特許第6794969号(P6794969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794969
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   B65G1/137 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-190945(P2017-190945)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-64789(P2019-64789A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 崇文
【審査官】 宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−327304(JP,A)
【文献】 特開平4−5778(JP,A)
【文献】 特開2002−179066(JP,A)
【文献】 特開平11−301809(JP,A)
【文献】 特開平09−108637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137、43/00−43/10、61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを備えた物品を、当該無線タグが搬送方向の上流側端部に位置する姿勢で搬送面に沿って搬送する搬送装置であって、
前記無線タグから情報を読み取るタグリーダと、
前記物品に対して前記搬送方向の下流側から当接して前記物品を停止位置に停止させるストッパと、
前記停止位置に在る前記物品の有無を検出する第1検出装置と、
前記停止位置に在る前記物品の想定占有領域よりも上流側における前記物品の有無を検出する第2検出装置と、
平面視で前記搬送面と重複する位置であって前記搬送面よりも下方に配置された昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、前記搬送方向における前記第2検出装置による検出位置と同じ位置、又は、当該検出位置よりも上流側の位置において前記タグリーダを昇降させ、前記タグリーダの位置を、前記搬送面よりも下方に位置する引退位置と、前記搬送面よりも上方に位置する読み取り位置と、に変更する搬送装置。
【請求項2】
前記搬送方向に沿って延びると共に、水平面内で前記搬送方向に直交する幅方向に互いに離間して配置された一対の搬送部を更に備え、
前記搬送面は、一対の前記搬送部の双方の上面を含む仮想面であり、
前記昇降機構は、駆動装置と、前記搬送方向に沿って配置されて前記駆動装置により回転駆動される回転軸と、前記回転軸に連結されて当該回転軸の軸心まわりに旋回する旋回アームと、を有し、
前記タグリーダは、前記旋回アームにおける前記回転軸との連結部から離間した位置に固定されている請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
一対の前記搬送部により前記物品の底面が支持されると共に、前記幅方向における一対の前記搬送部の間の領域では前記物品の前記底面は支持されず、
前記回転軸が、前記無線タグの移動軌跡と平面視で重なる位置に配置され、
前記タグリーダが前記引退位置に在る状態での前記旋回アームの姿勢が、前記幅方向における一対の前記搬送部の間の領域で下方にたわむ前記物品の前記底面に沿う姿勢となるように、前記旋回アームの初期位置が設定されている請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記昇降機構は、前記旋回アームの旋回範囲を制限する規制部を有し、
前記規制部は、前記旋回アームに当接することによって、前記旋回アームの旋回範囲を、前記回転軸を中心とした前記引退位置から前記読み取り位置までを含む一定範囲内に制限し、
前記規制部による制限がない場合における前記旋回アームの旋回軌跡が他の構造物に干渉しないように、前記旋回アームが配置されている請求項2又は3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記昇降機構は、前記タグリーダの位置を前記搬送方向に沿って変更可能とするための位置調整部を有している請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグを備えた物品を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1には、物品としてのパレット(10)及びこのパレット(10)に積載された積載物(A)を搬送するための搬送装置が開示されている。特許文献1の技術では、読み取り可能な状態で積載物(A)の情報が記録された無線タグ(13)をパレット(10)の積載面に埋設しており、この無線タグ(13)によって積載物(A)の管理を行っている。また、特許文献1の技術では、コンベア(16)に載置された状態のパレット(10)よりも下方に、無線タグ(13)との情報の受け渡しを行う情報受け渡し装置(14)が配置されている。そして、無線タグ(13)に対する情報受け渡し装置(14)の位置が、パレット(10)が搬送されている途中に、無線タグ(13)と接近する情報受け渡し位置に位置したとき、無線タグ(13)と情報受け渡し装置(14)との間で情報の適切な受け渡しを行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−179066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような搬送装置は、当該搬送装置とは別に設けられた移載装置との間でパレットの受け渡しを行うことが多く、また、移載装置は、搬送装置がパレットを搬送する搬送方向の上流側や下流側に配置されることがある。そのため、移載装置が、搬送装置との間でパレットを適切に保持および移載できるように、搬送装置によって搬送される際のパレットの向きは一定の向きに定められることが多い。例えば、無線タグがパレットの外縁部近傍に配置されている場合において、当該パレットが搬送される際の向きによっては、パレットにおける搬送方向の上流側端部に無線タグが配置される場合もある。このような場合、特許文献1の技術では、タグリーダ(14)がパレット(10)よりも下方に配置されているため、タグリーダ(14)の性能によっては、パレット(10)における搬送方向の上流側端部に配置された無線タグ(13)から情報を適切に読み取ることは困難であった。
【0005】
そこで、物品が備える無線タグが、当該物品の搬送面よりも下方からでは読み取り困難な場合であっても、当該無線タグから情報を適切に読み取ることが可能な搬送装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送装置は、
無線タグを備えた物品を、当該無線タグが搬送方向の上流側端部に位置する姿勢で搬送面に沿って搬送する搬送装置であって、
前記無線タグから情報を読み取るタグリーダと、
前記物品に対して前記搬送方向の下流側から当接して前記物品を停止位置に停止させるストッパと、
前記停止位置に在る前記物品の有無を検出する第1検出装置と、
前記停止位置に在る前記物品の想定占有領域よりも上流側における前記物品の有無を検出する第2検出装置と、
平面視で前記搬送面と重複する位置であって前記搬送面よりも下方に配置された昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、前記搬送方向における前記第2検出装置による検出位置と同じ位置、又は、当該検出位置よりも上流側の位置において前記タグリーダを昇降させ、前記タグリーダの位置を、前記搬送面よりも下方に位置する引退位置と、前記搬送面よりも上方に位置する読み取り位置と、に変更する。
【0007】
本構成によれば、搬送面に沿って搬送される物品に対して、当該物品がタグリーダによる検出位置を通過する際には、昇降機構によって搬送面よりも下方に位置する引退位置にタグリーダを配置することでタグリーダが物品の搬送の障害となることを避けることができる。そして、物品がタグリーダによる検出位置を通過した後に、昇降機構によって搬送面よりも上方に位置する読み取り位置にタグリーダを移動させて無線タグに接近させることで、無線タグが、物品の搬送方向の上流側端部であって当該物品の搬送面よりも下方からでは読み取り困難な位置に設けられている場合であっても、当該無線タグから適切に情報を読み取ることが可能となる。更に、第1検出装置及び第2検出装置によって、停止位置に在る物品の有無と共に、想定占有領域よりも上流側における物品の有無を検出することができる。これにより、昇降機構によるタグリーダの位置変更を適切なタイミングで行うことが可能となる。以上のとおり、本構成によれば、物品が備える無線タグが、当該物品の搬送面よりも下方からでは読み取り困難な場合であっても、当該無線タグから情報を適切に読み取ることが可能となる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】搬送装置の全体斜視図
図2】搬送装置の平面図
図3図2におけるIII−III断面図
図4】搬送装置を搬送方向の上流側から下流側に向けて見た図
図5】幅方向視における昇降機構の要部拡大図
図6】制御構成を示すブロック図
図7】制御手順を示すフローチャート
図8】形態1に係る旋回アームの初期位置を示す模式図
図9】形態2に係る旋回アームの初期位置を示す模式図
図10】形態3に係る旋回アームの初期位置を示す模式図
図11】別実施形態に係る昇降装置の搬送方向視図
図12】別実施形態に係る昇降装置の搬送方向視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第一実施形態
1−1.機械的構成
第一実施形態に係る搬送装置100について図面を参照して説明する。図1に示すように、搬送装置100は、無線タグ91を備えた物品9を、当該無線タグ91が搬送方向Xの上流側端部に位置する姿勢で搬送面Fに沿って搬送する。ここでは、物品9は、例えば農業製品、工業製品、天然の産品、食品などの積載物を搬送するための台又は容器等である。無線タグ91には、積載物に関する情報、例えば、積載物の種類、数、搬送日時、生産者等の各種の情報が読み取り可能に記録されている。搬送装置100は、このような積載物の搬送や保管などが行われる設備に用いられる。このような設備では、無線タグ91に記録された情報により、積載物の管理が行われている。
【0011】
以下の説明では、「搬送方向X」は、搬送装置100によって物品9が搬送される方向を指す。「上流側X1」は搬送方向Xの上流側を指し、「下流側X2」は搬送方向の下流側を指す。また、「幅方向Y」は、水平面内で搬送方向Xに直交する方向を指す。なお、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念として用いるものとする。
【0012】
物品9には、積載物が載置又は収容される。本実施形態では、物品9は、積載物が載置されるパレットである。但し、物品9は、積載物が収容されるコンテナ(折り畳みコンテナを含む)等であっても良い。或いは、無線タグ91を備えた物品9自体が搬送対象の各種製品等であっても良い。図1に示す例では、物品9は、移載装置のフォークが挿入されるための挿入口92を有している。例えば、物品9は、移載装置によって、他の場所から搬送装置100に搬送され、或いは、搬送装置100から他の場所に搬送される。
【0013】
本実施形態では、物品9は、平面視で矩形状に形成されており、積載物が載置される載置面9UFと、載置面9UFとは反対側を向く底面9DFと、上流側X1を向く背面9BFと、下流側X2を向く前面9FFと、幅方向Yを向く一対の側面9SFと、を有している。載置面9UF、底面9DF、背面9BF、前面9FF、及び一対の側面9SFは、平面状に形成されていても良く、凹凸を有する形状に形成されていても良い。換言すれば、載置面9UFは主として上方を向く面であり、底面9DFは主として下方を向く面であり、背面9BFは主として上流側X1を向く面であり、前面9FFは主として下流側X2を向く面であり、一対の側面9SFは主として幅方向Yを向く面である。なお、一対の側面9SFのそれぞれは、幅方向Yにおいて互いに反対側を向いている。図1に示す例では、挿入口92は、前面9FFと背面9BFとを搬送方向Xに貫通する状態で設けられている。
【0014】
本実施形態では、無線タグ91は、後述するタグリーダ1との間で無線による情報の送受信を行うことが可能な、いわゆるRFID(Radio frequency identification)タグとして構成されている。無線タグ91は、バッテリを有するアクティブ型であっても良いし、バッテリを有しないパッシブ型であっても良い。また、無線タグ91の形状には、例えば、コイン型、円筒型、ラベル型、カード型など、様々な形状を適用することができる。
【0015】
図1に示すように、無線タグ91は、搬送状態の物品9における上流側X1の端部に配置されている。本実施形態では、無線タグ91は、ラベル型であり、物品9の背面9BFに上流側X1を向く状態で配置されている。より詳細には、無線タグ91は、物品9の背面9BFの幅方向Yにおける中央部分に取り付けられている。なお、本実施形態では、物品9における背面9BFを構成する部分が、「上流側端部」に相当する。
【0016】
図1図4に示すように、搬送装置100は、物品9を搬送するための搬送部6を備えている。本実施形態では、搬送装置100は、搬送方向Xに沿って延びると共に、水平面内で搬送方向Xに直交する幅方向Yに互いに離間して配置された一対の搬送部6を備えている。
【0017】
一対の搬送部6は、互いに同一構造、或いは、概ね同一構造となっている。本実施形態では、搬送部6は、チェーンコンベアとして構成されている。搬送部6は、搬送モータ63によって回転駆動される駆動スプロケット62Aと、駆動スプロケット62Aに対して搬送方向Xに離間して配置された従動スプロケット62Bと、駆動スプロケット62Aと従動スプロケット62Bとにわたって巻回されたチェーン61と、を備えている。図示の例では、幅方向Yに離間して配置された一対の駆動スプロケット62A,62Aの双方が、搬送モータ63により回転する連結軸64に連結されている。本例では、一対の駆動スプロケット62A,62Aの双方は、連結軸64と一体回転し、1つの搬送モータ63によって回転駆動される。
【0018】
図1に示すように、搬送装置100は、搬送部6を支持するサイドフレーム71を備えている。サイドフレーム71は、搬送方向Xに沿って延びると共に、幅方向Yに離間して一対設けられている。一対のサイドフレーム71,71は、これらの間に配置されて幅方向Yに沿って延びる連結フレーム73により連結されている。サイドフレーム71は、搬送方向Xに沿って間隔を置いて配置される複数の支柱72によって下方から支持されている。
【0019】
搬送部6における幅方向Yの外側には、物品9を搬送方向Xに沿って案内するガイドフレーム75が設けられている。ガイドフレーム75は、幅方向Yに離間して一対設けられている。一対のガイドフレーム75の離間距離は、物品9の幅方向Yの長さと概ね同じに設定されている。これにより、搬送されている物品9を搬送方向Xに沿って案内することができると共に、物品9の姿勢を適切に保つことが可能となっている。換言すれば、搬送される物品9の移動軌跡を安定させることができ、当該物品9に備えられた無線タグ91の移動軌跡を安定させることができる。
【0020】
搬送部6は、物品9の底面9DFの一部を支持した状態で物品9を搬送する。図2に示すように、本実施形態では、一対の搬送部6により物品9の底面9DFが支持されると共に、幅方向Yにおける一対の搬送部6の間の領域では物品9の底面9DFは支持されない。換言すれば、物品9の底面9DFにおける幅方向Yの中央部分が支持されず、当該中央部分に対して幅方向Yの両側に位置する部分が一対の搬送部6の上面6Fによって下方から支持されている。本例では、搬送部6の上面6Fは、チェーン61における物品9との接触部分に相当する。
【0021】
物品9は、底面9DFが搬送面Fに沿った状態で搬送される。図1及び図2に示すように、本実施形態では、搬送面Fは、一対の搬送部6の双方の上面6Fを含む仮想面であり、搬送方向X及び幅方向Yに沿って連続的に延びている。換言すれば、搬送面Fは、一対の搬送部6の双方の上面6Fの他、一対の上面6Fの間の領域を含んだ平面となっている。
【0022】
図1図4に示すように、搬送装置100は、無線タグ91から積載物の情報を読み取るタグリーダ1を備えている。これにより、搬送装置100が用いられる設備において、積載物の管理を行うことが容易となっている。
【0023】
ここで、例えば、無線タグ91とタグリーダ1との通信可能距離が短い場合には(例えばパッシブ型の短波帯が適用される場合等)、タグリーダ1を無線タグ91に対して十分近づけると共に適切な位置関係で対向させなければ、無線タグ91から情報を適切に読み取ることができない。本実施形態では、前述のように、無線タグ91は、物品9の背面9BFに上流側X1を向く状態で配置されている。このような無線タグ91から適切に情報を読み取るには、無線タグ91の移動軌跡の中にタグリーダ1を配置する必要がある。しかし、無線タグ91の移動軌跡は物品9の移動軌跡の一部となっていることから、物品9の搬送を行うためには、無線タグ91の移動軌跡の中にタグリーダ1を固定した状態で配置することはできない。この搬送装置100は、このような問題を解決し、上流側端部に無線タグ91を備えた物品9を搬送方向Xに沿って搬送する場合であっても、適切に情報を読み取ることが可能に構成されている。
【0024】
図1図4に示すように、搬送装置100は、物品9に対して搬送方向Xの下流側X2から当接して物品9を停止位置P1に停止させるストッパ2を備えている。ストッパ2は、搬送部6に対応して設けられており、本例では、一対の搬送部6に対応して合計で2つのストッパ2が設けられている。図示の例では、ストッパ2は、搬送部6の下流側X2の端部において、物品9の前面9FFと当接可能に設けられている。ストッパ2によって停止位置P1で停止した物品9は、例えば、図示しない移載装置によって他の場所に搬送される。ストッパ2は、搬送方向X視で物品9と重複する位置に固定された固定式であっても良く、或いは、搬送方向X視で物品9と重複する規制位置と、搬送方向X視で物品9と重複しない退避位置とに移動可能な可動式であっても良い。
【0025】
搬送装置100は、停止位置P1に在る物品9の有無を検出する第1検出装置S1を備えている。第1検出装置S1は、物品9の有無を、物品9との接触によって検出する機械式のセンサやスイッチ等を用いて構成されていても良いし、光の遮断や光の反射により検出する光学式のセンサやスイッチ等を用いて構成されていても良い。本例では、第1検出装置S1は、機械式のスイッチを用いて構成している。
【0026】
第1検出装置S1は、停止位置P1に在る物品9の想定占有領域EAと重複する位置に設けられている。これにより、停止位置P1に在る物品9と接触し、物品9が停止位置P1に在る状態を検出可能となっている。図示の例では、第1検出装置S1は、幅方向Yにおけるサイドフレーム71の内側に設けられている。
【0027】
図2及び図3に示すように、第1検出装置S1は、ローラ式の物品接触部S11と、上下方向に揺動する揺動部S12と、スイッチ部S13と、を備えている。物品接触部S11が物品9と接触して下方に押圧されることで、揺動部S12が下方に揺動して、揺動部S12によるスイッチ部S13の押下が解除される。本例では、スイッチ部S13の押下が解除された状態で、物品9が検出される。但し、これとは逆に、スイッチ部S13が押下されている状態で物品9が検出される構成としても良い。
【0028】
搬送装置100は、停止位置P1に在る物品9の想定占有領域EAよりも上流側X1における物品9の有無を検出する第2検出装置S2を備えている。第2検出装置S2も第1検出装置S1と同様、物品9の有無を、物品9との接触によって検出する機械式のセンサやスイッチ等を用いて構成されていても良いし、光の遮断や光の反射により検出する光学式のセンサやスイッチ等を用いて構成されていても良い。本例では、第2検出装置S2は、光学式のセンサを用いて構成されている。このような光学式のセンサは、機械式のスイッチ等に比べて、配置場所の制約を受け難く、他の装置等を設置するためのスペースの確保が容易となっている。
【0029】
第2検出装置S2は、想定占有領域EAよりも上流側X1に設けられており、想定占有領域EAよりも上流側X1に設定された検出位置P2に光を投射可能に構成されている。第2検出装置S2は、光を投光する投光部S21と、投光部S21により投光された光を受光する受光部S22と、を備えている。本例では、この第2検出装置S2により、想定占有領域EAよりも上流側X1に在る物品9が検出される。換言すれば、第2検出装置S2により、想定占有領域EAからの物品9のはみ出しが検出される。
【0030】
図1図4に示すように、搬送装置100は、平面視で搬送面Fと重複する位置であって搬送面Fよりも下方に配置された昇降機構5を備えている。本実施形態では、昇降機構5の全体が、平面視で搬送面Fと重複する位置に配置されている。但し、これに限らず、昇降機構5の少なくとも一部が平面視で搬送面Fと重複する位置に配置され、他の部分が平面視で搬送面Fと重複しない位置に配置されていても良い。
【0031】
本実施形態では、昇降機構5は、搬送面Fの下方において、ステー74に固定されている。図4に示すように、ステー74は、一対の搬送部6の間において幅方向Yに沿って配置されている。本例では、ステー74は、昇降機構5が載置される載置台部74Aと、載置台部74Aの幅方向Yにおける両端部から上方に向かって突出してサイドフレーム71に連結される一対の連結部74Bと、を有している。載置台部74Aは、搬送面Fよりも下方に配置されている。連結部74Bは、ボルト等の締結部材により、サイドフレーム71における幅方向Yの内側部分に連結されている。
【0032】
昇降機構5は、タグリーダ1を昇降させて、タグリーダ1の位置を少なくとも上下方向に変更可能に構成されている。図3及び図4に示すように、昇降機構5は、搬送方向Xにおける第2検出装置S2による検出位置P2と同じ位置、又は、当該検出位置P2よりも上流側X1の位置においてタグリーダ1を昇降させ、タグリーダ1の位置を、搬送面Fよりも下方に位置する引退位置TPと、搬送面Fよりも上方に位置する読み取り位置RPと、に変更する。図示の例では、昇降機構5は、検出位置P2よりも上流側X1の位置においてタグリーダ1を昇降させる。
【0033】
「引退位置TP」は、物品9の移動軌跡(無線タグ91の移動軌跡)と重複しない位置であり、本例では、搬送面Fよりも下方の位置に設定されている。タグリーダ1を引退位置TPに配置することで、タグリーダ1と物品9との接触を回避することができる。「読み取り位置RP」は、無線タグ91から情報を読み取ることが可能な位置であり、本例では、搬送面Fよりも上方の位置に設定されている。より具体的には、「読み取り位置RP」は、無線タグ91の移動軌跡に重複する位置であって、物品9が想定占有領域EAに収まった状態における無線タグ91と対向する位置である。
【0034】
本実施形態では、昇降機構5は、駆動装置としての昇降モータ51と、搬送方向Xに沿って配置されて昇降モータ51により回転駆動される回転軸52と、回転軸52に連結されて当該回転軸52の軸心まわりに旋回する旋回アーム53と、を有している。また、回転軸52が、無線タグ91の移動軌跡と平面視で重なる位置に配置されている。換言すれば、図4に示すように、搬送方向X視において、回転軸52は、無線タグ91の直下に配置されている。
【0035】
タグリーダ1は、旋回アーム53に固定されている。旋回アーム53の旋回によってタグリーダ1の位置が変更される。このために、図3及び図4に示すように、タグリーダ1は、旋回アーム53における回転軸52との連結部55から離間した位置に固定されている。図示の例では、旋回アーム53は、基端部材53Aと、基端部材53Aよりも旋回アーム53の旋回中心から離間して配置された先端部材53Bと、を有している。基端部材53Aと先端部材53Bとは、互いに連結されて一体化されている。より具体的には、図5に示すように、基端部材53Aは、鉛直方向に沿って配置される基端本体部53AMと、水平面に沿う板状の屈曲基端板部53APとを有している。また、先端部材53Bは、鉛直方向に沿って配置される先端本体部53BMと、水平面に沿う板状の屈曲先端板部53BPとを有している。そして、屈曲基端板部53APと屈曲先端板部53BPとが互いに対向した状態となるように配置され、ボルト54B等の締結部材により連結されて、基端部材53Aと先端部材53Bとが一体化している。そして、タグリーダ1は、搬送方向Xの下流側X2を向く状態で先端部材53Bの先端本体部53BMに固定されている。また、回転軸52との連結部55は、基端部材53Aに設けられている(図3参照)。
【0036】
また、昇降機構5は、タグリーダ1の位置を搬送方向Xに沿って変更可能とするための位置調整部54を有している。本実施形態では、図5に示すように、位置調整部54は、旋回アーム53における、基端部材53Aと先端部材53Bとの連結部に設けられている。位置調整部54は、基端部材53Aに対して先端部材53Bを搬送方向Xに相対移動させることが可能に構成されている。本例では、位置調整部54は、屈曲基端板部53AP及び屈曲先端板部53BPのいずれか一方に形成されて搬送方向Xに沿って延びる長孔54Aと、長孔54Aを挿通するボルト54Bと、ボルト54Bに螺合するナット54Cと、を含んで構成されている。図示の例では、長孔54Aは、屈曲基端板部53APに形成されており、屈曲基端板部53APを上下方向に貫通している。ボルト54Bは、屈曲先端板部53BPに形成された丸孔54Dと長孔54A(屈曲基端板部53AP)とを上下方向に貫通している。そして、ナット54Cは、ボルト54Bの頭部との間に、屈曲基端板部53AP及び屈曲先端板部53BPを挟んだ状態で、ボルト54Bに螺合されている。これにより、基端部材53Aと先端部材53Bとが固定されると共に、その固定位置を搬送方向Xに調整することができる。より詳しくは、ボルト54Bが長孔54Aに挿通された状態のまま、当該長孔54Aに沿って先端部材53Bを基端部材53Aに対して搬送方向Xに移動させることにより、タグリーダ1の位置を搬送方向Xに沿って調整可能となっている。そして、調整後の位置においてボルト54B及びナット54Cを締結することで、タグリーダ1の搬送方向Xの位置を固定することができる。
【0037】
また、昇降機構5は、旋回アーム53の旋回範囲を制限する規制部56を有している。この規制部56は、旋回アーム53に当接することによって、旋回アーム53の旋回範囲を、回転軸52を中心とした引退位置TPから読み取り位置RPまでを含む一定範囲内に制限している。
【0038】
本実施形態では、昇降機構5は、一対の規制部56を有している。図4に示すように、一対の規制部56は、旋回アーム53の旋回軌跡内であって、旋回アーム53の必要な旋回範囲の両外側に配置されている。ここでは、一対の規制部56は、搬送方向X視で、回転軸52を挟んで幅方向Yの両側に分かれて配置されている。特に、一対の規制部56のうちの1つは、旋回アーム53の旋回範囲における読み取り位置RP側の端部に対して外側に近接した位置に配置されていると好適である。これにより、タグリーダ1の読み取り位置RPを越えて旋回アーム53が旋回しようとした場合に、当該旋回アーム53に対して規制部56が当接し、それ以上旋回アーム53が旋回することを規制できる。
【0039】
また、本実施形態では、規制部56による制限がない場合における旋回アーム53の旋回軌跡が他の構造物に干渉しないように、旋回アーム53が配置されている。ここで、「他の構造物」には、搬送装置100を構成する各部材及び各装置が含まれている。図2に示すように、平面視において、旋回アーム53は、規制部56以外の構造物(例えばステー74等)とは重複しないように配置されている。
【0040】
1−2.制御構成
次に、搬送装置100の制御構成について説明する。搬送装置100は、図6に示すように、昇降モータ51を少なくとも制御する制御装置8を備えている。制御装置8は、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアと、プロセッサ上で実行されるプログラムと、の協働により、制御装置8の各機能が実現される。
【0041】
制御装置8は、第1検出装置S1からの検出情報と第2検出装置S2からの検出情報とを取得可能に構成されている。制御装置8は、第1検出装置S1から取得した検出情報と第2検出装置S2から取得した検出情報とに基づいて昇降モータ51を制御することにより、適切なタイミングで、引退位置TPと読み取り位置RPとの間でタグリーダ1の位置を変更する。
【0042】
搬送部6によって搬送方向Xにおける上流側X1から下流側X2に向かって搬送される物品9は、搬送部6の下流側X2の端部においてストッパ2に当接して停止する。物品9が搬送面Fに沿って搬送されてストッパ2に当接して停止するまでの間、タグリーダ1の位置は引退位置TPに維持される。
【0043】
制御装置8は、図7に示す手順に従って無線タグ91から積載物の情報を読み取る。すなわち、物品9が停止位置P1に在るか否かを、第1検出装置S1からの検出情報に基づいて判断する(#10)。制御装置8は、物品9が停止位置P1に在ると判断した場合には(#10:Yes)、物品9が想定占有領域EA内に在る(収まっている)か否かを、第2検出装置S2からの検出情報に基づいて判断する(#20)。制御装置8は、物品9が想定占有領域EA内に在る(収まっている)と判断した場合には(#20:Yes)、昇降モータ51を制御してタグリーダ1の位置を読み取り位置RPに変更し(#30)、無線タグ91から積載物の情報を読み取る(#40)。制御装置8は、情報を読み取った後は、昇降モータ51を制御してタグリーダ1の位置を引退位置TPに変更する(#50)。なお、ステップ#20の処理において、制御装置8は、物品9が想定占有領域EA内に収まっていないと判断した場合には(#20:No)、警報を発し(#21)、処理を終了すると良い。
【0044】
以上のように、この搬送装置100によれば、物品9が搬送面Fに沿って移動している場合には、タグリーダ1を搬送面Fよりも下方の引退位置TPに配置することで、タグリーダ1が、物品9と干渉することを回避することができる。そして、搬送面F上での移動を終えた物品9が、停止位置P1に在り、且つ、想定占有領域EAに収まっていることを第1検出装置S1及び第2検出装置S2によって検出した場合には、タグリーダ1を搬送面Fよりも上方の読み取り位置RPに配置する。これにより、タグリーダ1を無線タグ91に対して十分に接近させることが可能となる。そのため、この搬送装置100は、通信可能距離が短い無線タグ91とタグリーダ1とを用いて構成することができる。
【0045】
1−3.旋回アームの初期位置
本実施形態では、物品9は、積載物が載置されるパレットであるため、積載物の重量、或いは、積載物及び物品9自体の重量により、物品9の底面9DFが搬送面Fよりも下方にたわむ場合がある。図8図10には、物品9の底面9DFが搬送面Fよりも下方にたわんでいる場合における、回転軸52の配置位置と旋回アーム53の初期位置(初期姿勢)についての異なる形態が、模式的に示されている。なお、図8図10では、物品9の底面9DFのたわみ等の縮尺を実際よりも強調して示している。
【0046】
図8には、形態1を示している。形態1では、回転軸52が、無線タグ91の移動軌跡と平面視で重なる位置に配置されている。換言すれば、搬送方向X視で、回転軸52が無線タグ91の直下に配置されている。そして、旋回アーム53の初期位置は、旋回アーム53が水平方向に沿う姿勢となるように設定されている(図中において実線で示す)。形態1によれば、回転軸52と無線タグ91との距離を短くすることができ、旋回アーム53の長さを短く構成することができる。これにより、旋回アーム53に作用する回転モーメントが小さくなるため、昇降モータ51のトルクを小さくして、昇降モータ51の効率を向上させることが可能となる。
【0047】
図9には、形態2を示している。形態2では、回転軸52が、無線タグ91の移動軌跡と平面視で重ならない位置に配置されている。換言すれば、搬送方向X視で、回転軸52が無線タグ91に対して幅方向Y及び下方にずれた位置に配置されている。そして、図9に示す例では、旋回アーム53と物品9との接触を避けるため、旋回アーム53の姿勢が、物品9の底面9DFに沿わせる状態で回転軸52を支点として下方に傾斜している(図中において実線で示す)。形態2によれば、上記形態1に比べて、回転軸52の位置が幅方向Yにずれている分、引退位置TPと読み取り位置RPとの間でタグリーダ1を位置変更させるために要する旋回アーム53の旋回範囲(角度)を小さくすることができる。また、旋回アーム53の旋回範囲が小さくなることで、引退位置TPと読み取り位置RPとの間でタグリーダ1を位置変更させるために要する時間を短縮することが可能となっている。
【0048】
図10には、形態3を示している。形態3では、回転軸52が、無線タグ91の移動軌跡と平面視で重なる位置に配置されている。更に、図中において実線で示すように、タグリーダ1が引退位置TPに在る状態での旋回アーム53の姿勢が、幅方向Yにおける一対の搬送部6の間の領域で下方にたわむ物品9の底面9DFに沿う姿勢となるように、旋回アーム53の初期位置が設定されている。換言すれば、旋回アーム53の姿勢が、回転軸52を支点として、先端(タグリーダ1)側に向かうに従って上方に向かうように傾斜した姿勢となるように、初期位置が設定されている。これにより、旋回アーム53が水平方向に沿った姿勢である場合に比べて、タグリーダ1の引退位置TPが高い位置に設定されている。これにより、引退位置TPを読み取り位置RPに接近させることができ、引退位置TPと読み取り位置RPとの間でタグリーダ1を位置変更させるために要する旋回アーム53の旋回範囲を小さくすることができる。また、旋回アーム53の旋回範囲が小さくなることで、引退位置TPと読み取り位置RPとの間でタグリーダ1を位置変更させるために要する時間を短縮することが可能となっている。更に、旋回アーム53の姿勢が物品9の底面9DFに沿った姿勢であることに加えて、回転軸52が無線タグ91の移動軌跡と平面視で重なる位置に配置されているため、回転軸52と無線タグ91との距離を短くすることができている。これにより、旋回アーム53の長さを短くすることができ、旋回アーム53に作用する回転モーメントを小さくすることが可能となっている。従って、昇降モータ51のトルクを小さくして、効率の向上を図ることが可能となっている。
【0049】
2.別実施形態
次に、搬送装置100の別実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記の実施形態では、昇降機構5の全体が、平面視で搬送面Fと重複する位置に配置されている例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、少なくとも、昇降機構5におけるタグリーダ1を支持している部分(上記実施形態では旋回アーム53)が、平面視で搬送面Fと重複する位置に配置されていれば良い。
【0051】
(2)上記の実施形態では、昇降モータ51により回転駆動される回転軸52によって旋回アーム53を旋回させる例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、昇降機構5は、例えば図11に示すように、シリンダ(例えばエアシリンダや油圧シリンダ等)によって旋回アーム53を旋回させるように構成されていても良い。または、昇降機構5は、旋回アーム53を介さずに、例えば図12に示すように、シリンダ(又はリニアモータ)等の直線駆動機構の往復運動によってタグリーダ1の位置を引退位置TPと読み取り位置RPとに変更するように構成されていても良い。
【0052】
(3)上記の実施形態では、無線タグ91が配置される箇所が、物品9の背面9BFの幅方向Yにおける中央部分である例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、無線タグ91は、物品9の背面9BFのいずれの位置に配置されていても良い。更に、上記実施形態では、物品9における上流側部分が、背面9BFを構成する部分である例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、上流側端部は、物品9における背面9BFの周辺部分も含む。例えば、物品9の載置面9UF、底面9DF、又は側面9SFにおける上流側の領域も、上流側端部に含まれる。また、載置面9UF、底面9DF、及び側面9SFの各面の境界部分となる角部も上流側端部に含まれる。これらの部分に無線タグ91が配置されていても好適である。
【0053】
(4)上記の実施形態では、物品9が、平面視で矩形状に形成され、搬送方向Xに貫通する挿入口92を有するパレットである例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、物品9としてのパレットには、様々な形状、様々な材質のものを適用することができる。同様に、物品9がコンテナ等の容器である場合も、様々な形状、様々な材質のものを適用することができる。
【0054】
(5)上記の実施形態では、物品9が停止位置P1に在ること及び想定占有領域EAに在ることを、機械式又は光学式のセンサやスイッチ等を用いて構成された第1検出装置S1及び第2検出装置S2によって検出する例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、第1検出装置S1及び第2検出装置S2の一方、または、双方が撮像装置として構成され、当該撮像画像によって、物品9が停止位置P1に在ること及び想定占有領域EAに在ることを検出するようにしても良い。
【0055】
(6)上記の実施形態では、昇降機構5が、旋回アーム53の旋回範囲を制限する規制部56を有している例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、昇降機構5が規制部56を有しない構成としても良い。この場合には、昇降モータ51の制御によって、旋回アーム53の旋回範囲を適切な範囲に制限すると良い。
【0056】
(7)上記の実施形態では、昇降機構5が、タグリーダ1の位置を搬送方向Xに沿って変更可能とするための位置調整部54を有している例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、昇降機構5が位置調整部54を有しない構成としても良い。また、上記の実施形態では、位置調整部54の機能を実現するための一例として、異なる部材によって構成される基端部材53Aと先端部材53Bとが、互いに連結されて一体化されることにより、旋回アーム53を構成している例について説明した。しかし、昇降機構5が位置調整部54を有しない場合には、旋回アーム53は一体物として構成されていても良い。
【0057】
(8)上記の実施形態では、搬送部6がチェーンコンベアとして構成されている例について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、搬送部6は、プーリに巻回されたベルトを有するベルトコンベアとして構成されていても良い。その他にも、搬送部6は、幅方向Yに沿う軸心まわりに回転するローラを、搬送方向Xに沿って複数有するローラコンベアとして構成されていても良い。搬送部6がローラコンベアとして構成される場合には、搬送方向Xに並ぶ複数のローラの隙間で、タグリーダ1を昇降させるように構成すると良い。
【0058】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0059】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した搬送装置の概要について説明する。
【0060】
無線タグを備えた物品を、当該無線タグが搬送方向の上流側端部に位置する姿勢で搬送面に沿って搬送する搬送装置であって、
前記無線タグから情報を読み取るタグリーダと、
前記物品に対して前記搬送方向の下流側から当接して前記物品を停止位置に停止させるストッパと、
前記停止位置に在る前記物品の有無を検出する第1検出装置と、
前記停止位置に在る前記物品の想定占有領域よりも上流側における前記物品の有無を検出する第2検出装置と、
平面視で前記搬送面と重複する位置であって前記搬送面よりも下方に配置された昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、前記搬送方向における前記第2検出装置による検出位置と同じ位置、又は、当該検出位置よりも上流側の位置において前記タグリーダを昇降させ、前記タグリーダの位置を、前記搬送面よりも下方に位置する引退位置と、前記搬送面よりも上方に位置する読み取り位置と、に変更する。
【0061】
本構成によれば、搬送面に沿って搬送される物品に対して、当該物品がタグリーダによる検出位置を通過する際には、昇降機構によって搬送面よりも下方に位置する引退位置にタグリーダを配置することでタグリーダが物品の搬送の障害となることを避けることができる。そして、物品がタグリーダによる検出位置を通過した後に、昇降機構によって搬送面よりも上方に位置する読み取り位置にタグリーダを移動させて無線タグに接近させることで、無線タグが、物品の搬送方向の上流側端部であって当該物品の搬送面よりも下方からでは読み取り困難な位置に設けられている場合であっても、当該無線タグから適切に情報を読み取ることが可能となる。更に、第1検出装置及び第2検出装置によって、停止位置に在る物品の有無と共に、想定占有領域よりも上流側における物品の有無を検出することができる。これにより、昇降機構によるタグリーダの位置変更を適切なタイミングで行うことが可能となる。以上のとおり、本構成によれば、物品が備える無線タグが、当該物品の搬送面よりも下方からでは読み取り困難な場合であっても、当該無線タグから情報を適切に読み取ることが可能となる。
【0062】
ここで、前記搬送方向に沿って延びると共に、水平面内で前記搬送方向に直交する幅方向に互いに離間して配置された一対の搬送部を更に備え、
前記搬送面は、一対の前記搬送部の双方の上面を含む仮想面であり、
前記昇降機構は、駆動装置と、前記搬送方向に沿って配置されて前記駆動装置により回転駆動される回転軸と、前記回転軸に連結されて当該回転軸の軸心まわりに旋回する旋回アームと、を有し、
前記タグリーダは、前記旋回アームにおける前記回転軸との連結部から離間した位置に固定されていると好適である。
【0063】
本構成によれば、タグリーダが、旋回アームにおける回転軸との連結部から離間した位置に固定されているため、旋回アームの旋回により、回転軸を中心とする円弧を描くようにタグリーダを位置変化させることができる。これにより、タグリーダの位置を、引退位置と読み取り位置とに位置変更することが可能となっている。また、旋回アームの旋回中心となる回転軸が搬送方向に沿って配置されているため、旋回アームの旋回は搬送方向に直交する方向に沿う面内で行われる。これにより、旋回アーム及び当該旋回アームに固定されているタグリーダが、搬送方向には位置変化し難いようにでき、旋回アーム及びタグリーダが搬送方向に位置変化することを原因とした物品との干渉を避けることが可能となる。
【0064】
また、一対の前記搬送部により前記物品の底面が支持されると共に、前記幅方向における一対の前記搬送部の間の領域では前記物品の前記底面は支持されず、
前記回転軸が、前記無線タグの移動軌跡と平面視で重なる位置に配置され、
前記タグリーダが前記引退位置に在る状態での前記旋回アームの姿勢が、前記幅方向における一対の前記搬送部の間の領域で下方にたわむ前記物品の前記底面に沿う姿勢となるように、前記旋回アームの初期位置が設定されていると好適である。
【0065】
本構成によれば、物品の底面が下方にたわんでいる場合において、旋回アーム及び当該旋回アームに固定されているタグリーダが物品の底面に干渉することを抑制しつつ、回転軸と無線タグとの距離を短くすることができる。これにより、旋回アームの長さを短くできると共に、旋回アームを回転駆動するための駆動装置のトルクを小さくすることができる。更に、タグリーダが引退位置に在る状態での旋回アームの姿勢を、タグリーダが読み取り位置に在る状態での姿勢に近づけることができるため、引退位置と読み取り位置との間でタグリーダを位置変更させるために要する時間を短くすることが可能となる。
【0066】
また、前記昇降機構は、前記旋回アームの旋回範囲を制限する規制部を有し、
前記規制部は、前記旋回アームに当接することによって、前記旋回アームの旋回範囲を、前記回転軸を中心とした前記引退位置から前記読み取り位置までを含む一定範囲内に制限し、
前記規制部による制限がない場合における前記旋回アームの旋回軌跡が他の構造物に干渉しないように、前記旋回アームが配置されていると好適である。
【0067】
本構成によれば、引退位置から読み取り位置までを含む範囲で旋回アームの旋回範囲を制限することによって、引退位置と読み取り位置との間でのタグリーダの位置変更を可能としつつ、旋回アームの余分な旋回を制限することができる。また、旋回アームは、規制部による制限がない場合における旋回軌跡が他の構造物に干渉しないように配置されているため、仮に規制部に不具合が生じるなどして、旋回アームの旋回範囲を制限できない状態となった場合であっても、旋回アームと他の構造物との干渉を避けることができる。
【0068】
また、前記昇降機構は、前記タグリーダの位置を前記搬送方向に沿って変更可能とするための位置調整部を有していると好適である。
【0069】
本構成によれば、搬送方向におけるタグリーダの位置を調整することができる。これにより、読み取り位置に在る状態のタグリーダと無線タグとの離間距離を調整して、タグリーダによる読み取りの精度を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る技術は、無線タグを備えた物品を搬送する搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 :搬送装置
1 :タグリーダ
2 :ストッパ
S1 :第1検出装置
S2 :第2検出装置
5 :昇降機構
6 :搬送部
6F :搬送部の上面
9 :物品
9BF :物品の背面(物品の上流側端部)
9DF :物品の底面
51 :昇降モータ(駆動装置)
52 :回転軸
53 :旋回アーム
54 :位置調整部
55 :連結部
56 :規制部
91 :無線タグ
EA :想定占有領域
F :搬送面
P1 :停止位置
P2 :検出位置
RP :読み取り位置
TP :引退位置
X :搬送方向
X1 :上流側
X2 :下流側
Y :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12