特許第6794976号(P6794976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000002
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000003
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000004
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000005
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000006
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000007
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000008
  • 特許6794976-移載設備、移載方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794976
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】移載設備、移載方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20201119BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/06 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-240108(P2017-240108)
(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公開番号】特開2019-106517(P2019-106517A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 博史
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1511963(KR,B1)
【文献】 特開2010−010291(JP,A)
【文献】 特開2010−150004(JP,A)
【文献】 特開2007−076918(JP,A)
【文献】 特開2009−038326(JP,A)
【文献】 特開2001−002213(JP,A)
【文献】 特開2007−243078(JP,A)
【文献】 特開2005−064130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置して水平方向に出退移動させる第1移載機と、物品の上部を支持して鉛直方向に昇降移動させる第2移載機と、の間で物品の移載を行う移載設備であって、
前記第1移載機の載置面に載置されている物品の側面に当接して前記載置面における前記物品の位置規制を行う位置規制装置を備え、
前記第1移載機は、その載置面上にフローティングユニットを備え、
前記フローティングユニットは、物品載置支持用の支持部を備えた可動部が固定部に対して水平方向に移動自在に受け止め支持される構造であり、
前記物品は前記物品載置支持用の支持部に支持され、
前記可動部を前記固定部に対して水平方向に移動可能とし、且つ前記位置規制装置により前記物品の位置規制を行うことにより、前記第2移載機の昇降位置に対する物品の位置決めが前記載置面上で行われること
を特徴とする移載設備。
【請求項2】
前記第2移載機の昇降位置に対する前記第1移載機の位置決めを行う位置決め手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載の移載設備。
【請求項3】
前記物品は、その上部に前記第2移載機に係止される係止部が形成される略箱型形状のものであり、且つ前記係止部が鉤状に形成されているものであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移載設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置して水平方向に出退移動させる第1移載機と、物品の上部を支持して鉛直方向に昇降移動させる第2移載機と、の間で物品の移載を行う移載設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記移載設備としては、例えば、処理装置であるチャンバに基板を収容したカセット(物品)を移載する設備がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の移載設備においては、搬送台車ユニットによって搬送されるカセットをカセット搬送ユニット(第1移載機)が設備内に搬入し、カセット搬送ユニットにより搬入されたカセットをカセット移載ユニット(第2移載機)がチャンバに搬入する。或いはチャンバに搬入されたカセットをカセット移載ユニットが搬出し、カセット移載ユニットが搬送するカセットをカセット搬送ユニットが搬送台車ユニットに移載する。
カセット搬送ユニットが搬送台車ユニットから移載したカセットは、カセット移載ユニットによってチャンバに搬入される前に、チャンバの上方に設けられる荷受台に載置される。同様に、カセット移載ユニットがチャンバから搬出したカセットは、カセット搬送ユニットによって搬送台車ユニットに移載される前に荷受台に載置される。
カセット移載ユニットは、カセットを上方から把持して昇降移動させることにより、荷受台に載置されたカセットをチャンバに搬入し、或いはチャンバから搬出したカセットを荷受台に搬入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1511963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような移載設備においては、カセット(物品)をカセット搬送ユニット(第1移載機)とカセット移載ユニット(第2移載機)との間で移載する際に、移載途中に、一旦カセット(物品)を荷受台に載置させる動作が必要となる。さらに、カセット移載ユニット(第2移載機)がカセット(物品)を把持して昇降移動させる際に、カセット(物品)が荷受台に干渉するため、荷受台との干渉を避けるために、カセット(物品)を旋回させる等の動作が必要となる。そのため、カセット搬送ユニット(第1移載機)とカセット移載ユニット(第2移載機)との間のカセット(物品)の移載に時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、物品を載置して水平方向に出退移動させる第1移載機と、物品の上部を支持して鉛直方向に昇降移動させる第2移載機との間の物品の移載を効率良く行うことが可能な移載設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明の移載設備は、物品を載置して水平方向に出退移動させる第1移載機と、物品の上部を支持して鉛直方向に昇降移動させる第2移載機と、の間で物品の移載を行う移載設備であって、前記第1移載機の載置面に載置されている物品の側面に当接して前記載置面における前記物品の位置規制を行う位置規制装置を備え、前記第1移載機は、その載置面上にフローティングユニットを備え、前記フローティングユニットは、物品載置支持用の支持部を備えた可動部が固定部に対して水平方向に移動自在に受け止め支持される構造であり、前記物品は前記物品載置支持用の支持部に支持され、前記可動部を前記固定部に対して水平方向に移動可能とし、且つ前記位置規制装置により前記物品の位置規制を行うことにより、前記第2移載機の昇降位置に対する物品の位置決めが前記載置面上で行われるものである。
上記構成では、第1移載機の載置面に載置されている物品が、第2移載機の昇降位置に位置決めされる。
【0008】
本発明の移載設備は、上記移載設備において、前記第2移載機の昇降位置に対する前記第1移載機の位置決めを行う位置決め手段を備えるものである。
上記構成では、第1移載機が第2移載機の昇降位置に位置決めされる。
【0009】
本発明の移載設備は、上記移載設備において、前記物品は、その上部に前記第2移載機に係止される係止部が形成される略箱型形状のものであり、且つ前記係止部が鉤状に形成されているものである。
上記構成では、鉤状の係止部を有する略箱型形状の物品が、第1移載機と第2移載機との間で移載される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移載設備によれば、第1移載機と第2移載機との間の物品の移載を荷受台を介さずに直接行うことができるため、移載途中に物品を荷受台に載置する動作及び第2移載機による物品の昇降移動時に物品を旋回させる等の動作が不要となる。そのため、第1移載機と第2移載機との間の物品の移載を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る移載設備の平面図である。
図2】同移載設備の正面図である。
図3】同移載設備におけるフローティングユニットの側面断面図である。
図4】同移載設備におけるフォークユニットが搬送台車からカセットを搬出する際の概略を示す側面断面図である。
図5】同移載設備におけるフォークユニットが移載設備にカセットを搬入する際の概略を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
図6】同移載設備におけるフォークユニットが移載設備にカセットを搬入する際の概略を示す側面断面図である。
図7】同移載設備における移載機がフォークユニットからカセットを搬出する際の概略を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
図8】同移載設備における移載機が蒸着装置のロードポートにカセットを移載する際の概略を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る移載設備10について説明する。
図1及び図2に示すように、移載設備10は、半導体製品或いは液晶表示素子製品の仕掛かり品である基板91に対して蒸着処理を行う蒸着装置80に付設される設備であり、板状体の基板91を収容したカセット90(「物品」の一例)を蒸着装置80のロードポート83に移載するものである。移載設備10においては、移載設備10に搬入されるカセット90が蒸着装置80のロードポート83に移載されるとともに、蒸着装置80のロードポート83から搬出されたカセット90が移載設備10の外部に搬出される。
移載設備10において搬送されるカセット90は、その一方側面或いは両側面が開口した略箱型形状の部材により形成され、その内部に複数の基板91を収容可能に構成されている。カセット90は、その上部に後述する移載機20に係止されるフランジ部92(「係止部」の一例)が複数形成されている。フランジ部92はカセット90の上面から突出して設けられる鉤状の部材により構成され、カセット90の上面の複数箇所に設けられる。
【0013】
移載設備10は、蒸着装置80の上方に付設されている。移載設備10に付設される蒸着装置80は、装置全体が装置筐体81により覆われている。装置筐体81は、その内部に蒸着装置80を格納可能な内部空間を有する。装置筐体81は、その上部に、カセット90を内部に搬送するためのカセット搬入口82が形成されている。
装置筐体81は、その内部空間においてカセット90を載置するためのロードポート83が設けられている。具体的には、ロードポート83は、カセット搬入口82の真下(後述する移載機20の真下であって、移載機20によって昇降するカセット90の昇降経路上)に設けられている。
【0014】
移載設備10の側方であって蒸着装置80の上方には、カセット90を移載設備10に対して搬送するフォークユニット40(「第1移載機」の一例)が設けられている。すなわち、カセット90は、蒸着装置80の上方であって、移載設備10の側方から搬入又は搬出される。
図1に示すように、フォークユニット40は、カセット90を載置して水平方向に出退移動させるものである。フォークユニット40は、台車走行レール85に沿って走行する搬送台車86からカセット90を搬出し、搬出したカセット90を移載設備10に搬入する。また、フォークユニット40は、移載設備10からカセット90を搬出し、搬出したカセット90を搬送台車86に移載する。
フォークユニット40は、その上面にカセット90を載置するための載置面41aを有するフォーク41と、フォーク41を水平方向に出退移動させるための屈伸式アーム42と、屈伸式アーム42を旋回する旋回台43と、から主に構成されている。
フォーク41は、カセット90載置して移載可能な略長方形状の板で構成され、屈伸式アーム42を屈伸させることによって、搬送台車86或いは移載設備10(移載機20)に対して出退移動を行う。
屈伸式アーム42は、一対のアームを伸長させることにより、搬送台車86に対してカセット90の搬出又は搬入を行うための搬出入位置45、或いは移載機20がフォーク41に対してカセット90の搬出又は搬入を行うためのカセット搬出入位置11までフォーク41を水平移動させる。
【0015】
図1及び図5に示すように、フォーク41は、載置面41aにフローティングユニット50が設けられている。フローティングユニット50は、載置面41aに載置されるカセット90を水平方向全方位に移動自在に受け止め支持するためのものである。フローティングユニット50は、フォーク41の幅方向(フォーク41の出退方向と水平に直交する方向)の両端側に、フォーク41の長手方向(フォークの出退方向)に沿って複数個(図1及び図5では2個づつ合計4個)並べた状態で載置面41a上に配置される。
図3に示すように、フローティングユニット50は、フォーク41を構成する枠体の内部に収納されている。フローティングユニット50は、カセット90を載置して支持するための支持部51を備えた可動部52が固定部53に対して水平方向に移動自在に受け止め支持される構造を有する。フローティングユニット50は、物品載置支持用の支持部51を備えた可動部52が、複数の転動部材54を保持具55にて回転自在に保持する状態で備えた転動式支持体56により、固定部53に対して、水平方向の全方位に移動自在に且つ平面視にて回転自在に受け止め支持されている。
転動式支持体56は、固定部53に上向き状態で備えさせた平坦状の固定部側接触面形成部材57aと、可動部52に下向き状態で備えさせた平坦状の可動部側接触面形成部材57bとの間に、複数の転動部材54を位置させた状態で、可動部52及び固定部53に対して水平方向の全方位に移動自在に設けられている。
フローティングユニット50は、可動部52を固定部53に対して水平方向に位置固定させる位置固定手段KFと、転動式支持体56を固定部53に対して水平方向における基準位置に復帰移動させる支持体復帰手段SFと、を有する。
位置固定手段KFは、電磁石58aによる磁気吸引力により可動部52の固定部に対する水平位置を固定する固定手段であり、固定部53側の電磁石58aと、可動部52側の強磁性体58bと、を磁力により接着させることにより、可動部52の平面視での位置を固定させる。
支持体復帰手段SFは、コイルバネ59の弾性付勢力を利用した弾性付勢式の復帰手段であり、円環状の転動式支持体56の径方向外方側に周方向に等間隔を空けて複数個の押し操作式のコイルバネ59を設け、コイルバネ59の径方向外方側を固定部53に位置固定状態で設けたバネ受け具59aによって受け止め、転動式支持体56を径方向内方側に向けて押し操作することによって、転動式支持体56を基準位置に復帰移動させる。
【0016】
図2及び図4に示すように、フォーク41は、その長手方向の端部(フォーク41の伸長方向の先端部)に、後述する位置決めガイドローラ26に篏合するローラ篏合部41bが形成されている。ローラ篏合部41bは、フォーク41の幅方向に沿って形成される側面視凹状の長尺状の部材であり、凹状部分が下方に向いた状態で形成されている。
【0017】
図1に示すように、フォークユニット40の両側方には、カセット90を一時的に保管するためのバッファーステーション95が設けられている。バッファーステーション95には、カセット90を載置するための載置台96が設けられている。
【0018】
図1及び図2に示すように、移載設備10は、その下部に、蒸着装置80のロードポート83に対してカセット90を搬出するためのカセット搬出口14が設けられている。カセット搬出口14は、装置筐体81のカセット搬入口82と連通して設けられている。
【0019】
移載設備10は、移載設備10におけるカセット90の搬送部である移載機20(「第2移載機」の一例)と、フォークユニット40のフォーク41の載置面41aに載置されているカセット90の位置規制を行うプッシャー25(「位置規制装置」の一例)と、移載機20の昇降位置に対するフォークユニット40のフォーク41の位置決めを行う位置決めガイドローラ26(「位置決め手段」の一例)と、を備える。
【0020】
図2に示すように、移載機20は、フォークユニット40のフォーク41に対してカセット90を搬出又は搬入し、搬出又は搬入するカセット90をフォーク41と蒸着装置80のロードポート83との間で昇降移動させるものである。すなわち、移載設備10においては、フォークユニット40により搬送されるカセット90を、荷受台等に一旦載置することなく、移載機20が直接フォークユニット40から搬出するとともに、蒸着装置80のロードポート83から搬出されるカセット90を、荷受台等に一旦載置することなく、移載機20が直接フォークユニット40に対して搬入する。
移載機20は、蒸着装置80のロードポート83の上方に設けられ、平面視において蒸着装置80のロードポート83と重なる位置に配置される。移載機20は、カセット搬出入位置11まで搬送されたカセット90をフォーク41から搬出し、又は、カセット搬出入位置11まで移動したフォーク41に対してカセット90を搬入する。移載機20は、蒸着装置80の上方において、カセット90の上部を係止して鉛直方向に昇降移動させることによりカセット90を搬送する。移載機20は、カセット90を昇降移動させるための昇降機構21と、カセット90の上部を係止するための係止機構24と、から主に構成されている。
【0021】
昇降機構21は、係止機構24を支持枠22Aにより吊り下げた状態で支持する。昇降機構21は、係止機構24(カセット90)を昇降移動させる第1昇降部22と、第1昇降部22及び係止機構24(カセット90)を昇降移動させる第2昇降部23と、から構成されている。すなわち、昇降機構21は、二段階の昇降移動によりカセット90を昇降させる。
第1昇降部22は、係止機構24を吊下げて支持する支持枠22Aと、支持枠22Aを昇降させるためのボールねじ22Bと、ボールねじ22Bのねじ軸22dを回動する第1モータ22Cと、から主に構成されている。
支持枠22Aは、正面視逆U字状に形成される枠材であり、その両端に設けられる一対の脚部22aにおいてねじ軸22dを回動可能に支持し、一対の脚部22aに架設される支持部22bにおいて係止機構24を吊下げた状態で支持する。ボールねじ22Bは、ねじ軸22dが支持枠22Aに支持されるとともに、ナット22eが第2昇降部23に支持される。第1モータ22Cは、支持枠22Aの両端上部に設けられる。
第1昇降部22は、第1モータ22Cの駆動によりねじ軸22dを回動させることで、第2昇降部23に支持されるナット22eに対してねじ軸22dを昇降させる。これにより、ねじ軸22dを回動可能に支持する支持枠22Aが昇降し、その昇降により係止機構24(カセット90)が昇降移動する。第1昇降部22は、ねじ軸22dの回動により係止機構24(カセット90)を昇降移動させることから、蒸着装置80のロードポート83に対するカセット90の細かな位置合わせを容易に行うことができる。
第2昇降部23は、ボールねじ22Bのナット22eを昇降可能にガイドするガイド体23Aと、ナット22eを昇降移動させる駆動ベルト23Bと、駆動ベルト23Bを回動させるための第2モータ23Cと、から主に構成されている。
ガイド体23Aは、一対の長尺状の部材により構成される。駆動ベルト23Bは、ガイド体23Aの上端部と下端部との間に回動可能に架け渡される。第2モータ23Cはガイド体23Aの下端部に設けられる。
第2昇降部23は、第2モータ23Cを駆動させて駆動ベルト23Bを回動させることによりボールねじ22Bのナット22eを昇降移動させる。これにより、ナット22eを支持する支持枠22A(ねじ軸22d)が昇降し、その昇降により係止機構24(カセット90)が昇降移動する。第2昇降部23は、鉛直方向に延設される長尺状の一対のガイド体23Aの間でガイド枠23Aを昇降移動させることで、蒸着装置80のロードポート83に対するカセット90の大まかな位置合わせを行う。
このように、昇降機構21は、第2昇降部23によりカセット90を蒸着装置80のロードポート83に対して大まかな位置まで下降させ、続いて第1昇降部22によりカセット90を蒸着装置80のロードポート83に対して接近する位置まで下降させることで、蒸着装置80のロードポート83に対するカセット90の位置合わせを行うことができる。
【0022】
図1及び図2に示すように、係止機構24は、第1昇降部22の支持枠22A(支持部22b)により支持されるとともに、カセット90の上部のフランジ部92を係止する。係止機構24は、カセット90の係止時にカセット90と対向する側にカセット90のフランジ部92を係止するための係止部24Aを有する。係止部24Aは、カセット90のフランジ部92に対応する位置に複数(図1においては4個)設けられている。係止部24Aは、フランジ部92に係止可能な鉤状の部材により形成され、当該鉤状の部材が所定方向に旋回可能に構成されている。係止機構24は、係止部24Aがフランジ部92を係止することによりカセット90を吊下げた状態で支持する。
【0023】
図1及び図7に示すように、プッシャー25は、フォークユニット40のフォーク41の載置面41aに載置されているカセット90の位置規制を行うものである。プッシャー25は、フォーク41に載置されるカセット90の角部90A(下方角部の側面)に当接することで、フォーク41上でのカセット90の位置を規制する。プッシャー25は、カセット搬出入位置11まで搬送されたカセット90を、対となるプッシャー25とともに挟んでなるカセット90の対角位置近傍に配置される。プッシャー25は、プッシャー本体25Aと、プッシャー本体25Aに支持されて水平方向に出退移動可能なアーム部25Bと、を備える。アーム部25Bはカセット90の角部90A(下方角部の側面)に当接可能に構成されている。プッシャー25は、アーム部25Bを、対となるプッシャー25のアーム部25Bとともに、フォーク41上のカセット90の対角位置から挟み込むように、カセット90の角部90A(下方角部の側面)に当接させることで、フォーク41上のカセット90の位置を、所定の位置に規制する。ここで、所定の位置とは、移載機20がフォーク41上のカセット90の姿勢を保持した状態で係止して昇降可能な位置(カセット搬出入位置11)である。アーム部25Bは、移載機20がフォーク41に対してカセット90を搬出又は搬入する際には、カセット90に向かって伸長移動を行うことによりカセット90の角部90A(下方角部の側面)に当接する。アーム部25Bは、移載機20によってカセット90が昇降する際には、カセット90から離れるように収縮移動を行うことによりカセット90の昇降経路を避ける方向に移動する。
【0024】
図2及び図7に示すように、位置決めガイドローラ26は、フォークユニット40のフォーク41の出退移動方向に対して水平方向に直交して設けられる長尺状のローラであり、フォーク41がカセット搬出入位置11まで移動した際にフォーク41のローラ篏合部41bが篏合可能な位置に設けられる。位置決めガイドローラ26に、カセット搬出入位置11まで移動したフォーク41のローラ篏合部41bが篏合することで、移載機20がフォーク41に対してカセット90の搬出又は搬入を行う位置(カセット搬出入位置11)に、フォーク41を位置決めすることができる。位置決めガイドローラ26は、ローラ篏合部41bの凹状部分の形状に合わせたローラ径により構成されている。位置決めガイドローラ26は、回動可能に支持される回動軸を介して回動する。位置決めガイドローラ26が回動軸を介して回動可能に構成されることで、位置決めガイドローラ26に向かって移動するローラ篏合部41bが位置決めガイドローラ26に引き込まれ篏合し易くなる。
【0025】
次に、移載設備10におけるカセット90の移載方法について説明する。
図4に示すように、搬送台車86によりカセット90が所定の位置まで搬送されると、フォークユニット40は、屈伸式アーム42を伸長してフォーク41を搬送台車86に対して水平移動させることにより搬送台車86上のカセット90をフォーク41上に載置して支持する。カセット90がフォーク41上に載置されると、フローティングユニット50が作動し(可動部52が固定部53に対して水平方向に移動不能となり)、カセット90がフォーク41上で移動不能な状態となる。
図5及び図6に示すように、フローティングユニット50が作動すると、フォークユニット40は、カセット90をフォーク41に載置した状態で屈伸式アーム42を屈曲させるとともにフォーク41を旋回させる。さらに、フォークユニット40は、屈伸式アーム42を伸長してフォーク41を移載設備10のカセット搬出入位置11まで水平移動させる。これにより、カセット90がカセット搬出入位置11まで搬送される。
【0026】
図6及び図7に示すように、カセット90がカセット搬出入位置11まで搬送されると、フォーク41が下降するとともに、フォーク41のローラ篏合部41bが位置決めガイドローラ26に篏合される。これにより、フォーク41がカセット搬出入位置11に位置決めされる。フォーク41がカセット搬出入位置11に位置決めされると、フローティングユニット50の作動が解除され(可動部52が固定部53に対して水平方向に移動可能となり)、カセット90がフォーク41上で移動可能な状態となる。続いて、プッシャー25のアーム部25Bがカセット90に向かって伸長移動し、カセット90の角部90Aに当接する。これにより、カセット90の一方の対角が一対のアーム部25Bにより挟持された状態となる。
プッシャー25は、一対のアーム部25Bを互いに伸縮移動させることにより、カセット90を四方に移動させる。そして、プッシャー25は、カセット90を、移載機20の係止部24A(係止機構24)がカセット90のフランジ部92を係止可能な位置(カセット搬出入位置11)まで移動させる。すなわち、プッシャー25は、カセット90を四方に移動させることで移載機20の昇降位置に対するカセット90の位置決めを行う。プッシャー25によるカセット90の位置決めが完了すると、フローティングユニット50が作動し(可動部52が固定部53に対して水平方向に移動不能となり)、カセット90がフォーク41上で移動不能な状態となる。これにより、カセット90がカセット搬出入位置11で保持される。
【0027】
カセット90がカセット搬出入位置11で保持されると、移載機20の第2昇降部23が駆動し、移載機20の係止機構24がカセット90の上方位置まで下降する。そして、係止機構24の係止部24Aが所定方向に旋回することで、カセット90のフランジ部92が係止部24Aにより係止される。フランジ部92が係止部24Aに係止されると、フローティングユニット50の作動が解除される(可動部52が固定部53に対して水平方向に移動可能となる)。これにより、カセット90が移載機20により昇降移動可能な状態となる。
フローティングユニット50の作動が解除されると、フォークユニット40は屈伸式アーム42を屈曲させてフォーク41をカセット搬出入位置11から離れた位置まで水平移動させる。また、プッシャー25は、アーム部25Bをカセット90から離れる方向(カセット90の昇降経路を避ける方向)に収縮移動させる。
フォーク41及びアーム部25Bがカセット搬出入位置11から離れた位置まで移動すると、移載機20の第2昇降部23が駆動し、カセット90を係止した係止機構24が蒸着装置80のロードポート83に向けて下降する。具体的には、第2モータ23Cが駆動することで駆動ベルト23Bが作動し、駆動ベルト23Bが作動することでボールねじ22Bのナット22eがガイド体23Aに沿って下降する。そして、ナット22eを支持する支持枠22A(ねじ軸22d)が下降し、その下降により係止機構24(カセット90)が所定位置まで下降する。
図8に示すように、係止機構24が所定位置まで下降すると、第2昇降部23の駆動が停止し、第1昇降部22が駆動する。これにより、係止機構24に係止されるカセット90が蒸着装置80のロードポート83に移載される。具体的には、第2モータ23Cの駆動が停止することで、第1モータ22Cが駆動してボールねじ22Bのねじ軸22dが回動する。これにより、ねじ軸22dを支持する支持枠22Aが下降し、その昇降により係止機構24(カセット90)が下降する。
【0028】
一方、蒸着装置80において基板91に対する処理が完了すると、係止機構24の係止部24Aがカセット90のフランジ部92を係止する。そして、第1モータ22Cが駆動してボールねじ22Bのねじ軸22dが回動する。これにより、支持枠22Aが上昇し、その上昇に合わせて係止機構24が上昇してカセット90がロードポート83から搬出される。係止機構24が所定位置まで上昇すると、第1モータ22Cの駆動が停止し、第2モータ23Cが駆動する。これにより、駆動ベルト23Bが作動し、駆動ベルト23Bが作動することでボールねじ22Bのナット22eがガイド体23Aに沿って上昇する。そして、ナット22eを支持する支持枠22A(ねじ軸22d)が上昇し、その上昇により係止機構24(カセット90)が上昇する。
係止機構24に係止されるカセット90がカセット搬出入位置11まで上昇すると、フォークユニット40はフォーク41をカセット搬出入位置11まで水平移動させる。この時、ローラ篏合部41bが位置決めガイドローラ26に篏合される。
【0029】
フォーク41がカセット搬出入位置11まで水平移動すると、第2モータ23Cが駆動し係止機構24が下降する。これにより、カセット90が下降してフォーク41に載置される。カセット90がフォーク41に載置されると、係止機構24の係止部24Aが所定方向に旋回することで、係止部24Aによるフランジ部92への係止が解除される。係止部24Aによるフランジ部92への係止が解除されると、フォークユニット40は、カセット90を載置した状態でフォーク41を上昇させてローラ篏合部41bと位置決めガイドローラ26との篏合を解除し、屈伸式アーム42を屈折させるとともに、カセット90を載置したフォーク41を旋回させる。さらに、フォークユニット40は、屈伸式アーム42を伸長してフォーク41を搬送台車86まで水平移動させ、フォーク41上のカセット90を搬送台車86に移載する。
【0030】
以上のように、本発明に係る移載設備10は、フォークユニット40と移載機20との間のカセット90の移載を荷受台を介さずに直接行うことができるため、移載途中にカセット90を荷受台に載置する動作及び移載機20によるカセット90の昇降移動時にカセット90を旋回させる等の動作が不要となる。そのため、フォークユニット40と移載機20との間のカセット90の移載を効率良く行うことができる。また、荷受台が不要となるため、移載設備10が設備筐体で覆われたものであってもカセット90の移載を行うことができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、移載設備10において移載される物品はカセット90に限定されるものではなく、フォークユニット40と移載機20との間で移載を行うことが可能な物品であれば構わない。
本実施の形態においては、移載機20の係止部24Aがカセット90の上部の鉤状のフランジ部92を係止した状態で、移載機20がカセット90を昇降移動させているが、これに限定されるものではなく、例えば、移載機20がカセット90の側面を把持した状態でカセット90を昇降移動させても構わない。
本実施の形態においては、移載機20が第1昇降部22と第2昇降部23とによる二段階の昇降移動によってカセット90を昇降させているが、これに限定されるものではなく、第1昇降部22又は第2昇降部23のいずれか一方のみ、すなわち、一段階の昇降移動によってカセット90を昇降させても構わない。また、第1昇降部22は、ボールねじ22Bを用いてカセット90の昇降を行うが、これに限定されるものではなく、係止機構24に取り付けた昇降ベルトを巻き取り及び巻き出すことでカセット90の昇降を行っても構わない。
本実施の形態においては、フローティングユニット50が、フォーク41の幅方向の両端部に、フォーク41の長手方向に沿って複数個並べた状態で載置面41a上に配置されているが、カセット90をフォーク41上で充分に支持することが可能であれば、フローティングユニット50の配置位置、個数は限定されない。
本実施の形態においては、支持体復帰手段SFを弾性付勢式の復帰手段により構成しているが、磁石式の復帰手段により構成しても構わない。
本実施の形態においては、プッシャー25は、カセット90の角部90Aに当接することでカセット90の位置を規制しているが、これに限定されるものではなく、カセット90の側面であって、当接時にカセット90の位置を規制可能であれば、カセット90の側面の中央部を当接するように構成しても構わない。また、2体のプッシャー25によりカセット90の位置規制を行っているが、これに限定されるものではく、1体、或いは3体以上のプッシャー25により位置規制を行っても構わない。
本実施の形態においては、移載機20の昇降位置に対するフォークユニット40のフォーク41の位置決めをローラである位置決めガイドローラ26により行っているが、これに限定されるものではなく、フォーク41をカセット搬出入位置11で保持可能な構成であれば、例えば、フォーク41のローラ篏合部41bが篏合可能な凸状の部材により構成しても構わない。
【符号の説明】
【0032】
10 移載設備
20 移載機(第2移載機)
25 プッシャー(位置規制装置)
40 フォークユニット(第1移載機)
41a 載置面
50 フローティングユニット
51 支持部
52 可動部
53 固定部
90 カセット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8