(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794979
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】コークス炉炭化室の炉蓋およびその乾燥孔蓋の固定方法
(51)【国際特許分類】
C10B 25/06 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
C10B25/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-246107(P2017-246107)
(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公開番号】特開2019-112518(P2019-112518A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 将貴
【審査官】
三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−171901(JP,A)
【文献】
特開2017−160315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 1/00−57/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉蓋金物の炭化室側にスライドプレート、シールプレート、キャスターブロックがこの順に設けられている炉蓋に、炉蓋金物、スライドプレート、シールプレート、キャスターブロックを貫通して設けられた乾燥孔を、乾燥孔蓋にて塞ぐ構造を有する炉蓋であって、
乾燥孔の周りであってシールプレートとキャスターブロックとの間にフランジプレートを配置し、スライドプレートとシールプレートとを挟んでシールプレートがスライドプレートとフランジプレートの間に密着するように、乾燥孔蓋をフランジプレートに蓋固定用ボルトで固定したことを特徴とするコークス炉炭化室の炉蓋。
【請求項2】
乾燥孔蓋を、スライドプレートのキリ穴とシールプレートのキリ穴とを介して、フランジプレートのタップ穴に締結し、シールプレートをスライドプレートとフランジプレートとの間に固定したことを特徴とする請求項1に記載のコークス炉炭化室の炉蓋。
【請求項3】
乾燥孔が設けられたキャスターブロックに、フランジプレートが納まる凹型形状部を形成し、フランジプレートを凹型形状部に配置することで、キャスターブロックの表面とフランジプレートの表面とが同一面になるよう構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のコークス炉炭化室の炉蓋。
【請求項4】
乾燥孔蓋のキリ穴と同一円周上で2倍の数で、スライドプレートには交互にキリ穴とタップ穴を、乾燥孔を有するシールプレートにキリ穴をスライドプレートに設けられたキリ穴と一致する位置に配置し、フランジプレートにはスライドプレートに設けられたキリ穴と一致する位置にタップ穴を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコークス炉炭化室の炉蓋。
【請求項5】
乾燥孔の周りに、請求項4に記載の乾燥孔蓋、スライドプレート、シールプレートおよびフランジプレートを固定するにあたり、
乾燥孔を有するシールプレートの固定では、乾燥孔蓋のキリ穴、スライドプレートのキリ穴、シールプレートのキリ穴を介して、蓋固定用ボルトをフランジプレートのタップ穴に締結して乾燥蓋を固定するとともに、
乾燥孔を有さないシールプレートの固定では、乾燥孔蓋のキリ穴を介して、蓋固定用ボルトをスライドプレートのタップ穴に締結して乾燥蓋を固定することを特徴とする炉蓋の乾燥孔蓋の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉の炭化室の押出機側およびコークス排出側に設けられる炉蓋に関し、特に、炉体れんが乾燥用に炉蓋に設けた乾燥孔からのガス漏れを防止すべく開発されたコークス炉炭化室の炉蓋およびその乾燥孔蓋の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉の炭化室は、その押出機側およびコークス排出側に窯口を閉塞するための炉蓋が設けられている。一般に、コークス炉は、原料となる石炭を、炉蓋を閉じた状態で炭化室内に装入し、炭化室に隣接して設けられた燃焼室で発生させた燃焼熱を利用(伝熱)することにより、炭化室内の石炭を乾留して、コークスとする炉である。コークス炉内にある乾留後のコークスは、その後、炉蓋を開けた状態で、炭化室の出口側から押し出される。
【0003】
コークス炉を新しく建設する場合や劣化したコークス炉を更新する場合、新しくしたコークス炉の炉体れんがは、操業に先立って乾燥しなければならない。その方法として、炉蓋に付帯して設けられた乾燥孔からガスバーナーの排ガスの熱を利用して炭化室内の温度を上げ、このことにより、れんが内の水分を蒸発させる方法がある。即ち、炭化室内の炉体れんがの乾燥を実施するためには、乾燥用のガスバーナーを炉蓋に装着する必要がある。一般に、炉蓋には乾燥用のガスバーナーを取付ける部分がなく、また、乾燥用のガスバーナーの排ガスを排出するための流路もないため、炉蓋本体金物からキャスターブロックまで貫通した乾燥孔が必要と考えられる。
【0004】
一般に、コークス炉内の気密性は、炭化室窯口の外側に設けられた炉枠外面に当接するナイフエッジと、ナイフエッジの内側に固定されたシールプレートと、シールプレートの炉外側にスライドプレートを有する炉蓋をバネの反力で炉枠側に押付けることで保持される(特許文献1参照)。ただし、乾燥用のガスバーナーを炉蓋に装着するためには、シールプレートやスライドプレートにも孔を開ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−288472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、新炉建設や劣化更新工事の際に実施される炉体れんがの乾燥のために、炉蓋やシールプレート、スライドプレートに乾燥用の孔を開けることが必要である。ただし、この場合、炉蓋を窯口に装着したときに、乾燥孔周りのシールプレートとスライドプレートとの間に不可避に隙間が生じるという問題があった。このシールプレートとスライドプレートとの間の隙間は、窯口での炉内の気密性低下につながっているので、これを解決する必要があった。上記隙間による炭化室の気密性の低下は、炉体れんがの乾燥の際には問題にならないが、炉体新設(更新)後、同じ炉蓋を用いて、炭化室に装入した石炭を乾留してコークスを製造する場合には、乾燥孔に蓋をするだけでは防止できず、操業時に炉内発生ガスが洩れてしまう原因となっていた。
【0007】
しかも、コークス炉からのガス洩れは、このガスに着火した場合、炉体金物の変形を招き炉体の劣化を早める原因となる。そのため、炉内発生ガスの洩れは防止しなければならない。それに加えて、乾燥孔のある炉蓋の乾燥孔に蓋をして通常操業に供する場合、乾燥孔のある炉蓋と無い炉蓋を混在させて長期間使用すると、乾燥孔のあるなしで部品ごとの寿命が異なる。また、費用の面からも、乾燥孔のない通常の共通部品を乾燥孔を有する炉蓋にも適用できる構造が求められる。特に、シールプレートは他の部品に比べて交換の頻度が高いため、乾燥孔のあるシールプレートから通常の乾燥孔のないシールプレートに交換する際には、その他の部品に乾燥孔があっても問題ない構造の炉蓋が求められていた。
【0008】
しかし、これまでの技術は、乾燥孔を新たに設けることによって生じる隙間からのガス漏れへの対策、及び、乾燥孔を設けた炉蓋の長期間使用を考慮した構造の検討はされてこなかったため、これら問題の解決が必要であった。
【0009】
本発明の目的は、乾燥孔を有する炉蓋においても炉蓋本来の気密性を保持してガス洩れを確実に防止できるコークス炉炭化室の炉蓋、好ましくは、乾燥孔がある部品から無い部品への交換にも対応できるコークス炉炭化室の炉蓋およびその乾燥孔蓋の固定方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来技術が抱えている前述の課題を解決し、前記の目的を実現するために鋭意研究した結果、発明者らは、以下に述べる新規なコークス炉炭化室の炉蓋を開発するに到った。即ち、本発明は、炉蓋金物の炭化室側にスライドプレート、シールプレート、キャスターブロックがこの順に設けられている炉蓋に、炉蓋金物、スライドプレート、シールプレート、キャスターブロックを貫通して設けられた乾燥孔を、乾燥孔蓋にて塞ぐ構造を有する炉蓋であって、乾燥孔の周りであってシールプレートとキャスターブロックとの間にフランジプレートを配置し、スライドプレートとシールプレートとを挟んで、乾燥孔蓋をフランジプレートに固定したことを特徴とするコークス炉炭化室の炉蓋である。
【0011】
なお、前記のように構成される本発明に係るコークス炉炭化室の炉蓋においては、
(1)乾燥孔蓋を、スライドプレートのキリ穴とシールプレートのキリ穴とを介して、フランジプレートのタップ穴に締結し、シールプレートをスライドプレートとフランジプレートとの間に固定したこと、
(2)乾燥孔が設けられたキャスターブロックに、フランジプレートが納まる凹型形状部を形成し、フランジプレートを凹型形状部に配置することで、キャスターブロックの表面とフランジプレートの表面とが同一面になるよう構成したこと、
(3)乾燥孔蓋のキリ穴と同一円周上で2倍の数で、スライドプレートには交互にキリ穴とタップ穴を、乾燥孔を有するシールプレートにキリ穴をスライドプレートに設けられたキリ穴と一致する位置に配置し、フランジプレートにはスライドプレートに設けられたキリ穴と一致する位置にタップ穴を配置したこと、
がより好ましい解決手段となるものと考えられる。
【0012】
また、本発明に係る炉蓋の乾燥孔蓋の固定方法は、乾燥孔の周りに、上記(3)に記載の乾燥孔蓋、スライドプレート、シールプレートおよびフランジプレートを固定するにあたり、乾燥孔を有するシールプレートの固定では、乾燥孔蓋のキリ穴、スライドプレートのキリ穴、シールプレートのキリ穴を介して、蓋固定用ボルトをフランジプレートのタップ穴に締結して乾燥蓋を固定するとともに、乾燥孔を有さないシールプレートの固定では、乾燥孔蓋のキリ穴を介して、蓋固定用ボルトをスライドプレートのタップ穴に締結して乾燥蓋を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乾燥孔の周りに、シールプレートをスライドプレートとフランジプレートとの間に挟んで固定したことで、これまで乾燥孔部分に生じていたシールプレートとスライドプレートとの隙間を無くすことができる。これにより、乾燥孔を設けた場合でも、乾燥孔を設けない場合に発揮できる炉蓋本来の気密性を保持することができるため、乾燥孔部分からの炉内発生ガスの洩れが無くなり、コークス炉寿命を延ばすことができる。また、フランジプレートを設けていても、例えば乾燥孔を設けないシールプレート等の共通部品を適用可能に構成することで、部品交換での費用削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の適用対象となる従来から知られているコークス炉の一例を説明するための図である。
【
図2】(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のコークス炉炭化室の炉蓋を従来の炉蓋と対比して説明するための部分断面図である。
【
図3】(a)〜(d)は、それぞれ、本発明のコークス炉炭化室の炉蓋において、共通部品を適用する際の各部材の構成を説明するための図である。
【
図4】(a)、(b)は、それぞれ、本発明のコークス炉炭化室の炉蓋において、共通部品を適用する際の各部材の固定方法の一例を説明するための図である。
【
図5】(a)、(b)は、それぞれ、本発明のコークス炉炭化室の炉蓋において、共通部品を適用する際の各部材の固定方法の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の適用対象となるコークス炉について>
図1は本発明の適用対象となる従来から知られているコークス炉の一例を説明するための図である。
図1に示す例において、コークス炉1は、石炭を装入する炭化室2と炭化室2を加熱する燃焼室3とが交互に配置された構造体(炉団)である。炭化室2においては、上部の装入孔(図示せず)から装入した石炭を蒸し焼き(乾留)して、コークスを製造している。製造したコークスは、炭化室2の前後方向の端部の窯口に着脱自在に設けられた炉蓋4を開け、水平方向に図示しない押し出しラムにより押し出すことで、炭化室2から取り出される。
【0016】
燃焼室3の下部には、一体に蓄熱室5が設けられており、燃焼室3と蓄熱室5とにより、燃料ガス6を空気13により燃焼して燃焼排ガス7としてコークス炉1の外部に排出することで、隣接する炭化室2を石炭が乾留される温度まで加熱している。上記構成のコークス炉1は、石炭処理能力が高く、熱効率も良好で、強度の高いコークスを得ることができる。
【0017】
図1に示す構成のコークス炉1では、
図1に燃焼室3および蓄熱室5の構成を示すように、燃焼室3および蓄熱室5が長さ方向に燃焼側と引き落とし側とに仕切り壁12により2分割されており、燃料ガス6と燃焼した燃焼ガスを、
図1に矢印で示すように、(蓄熱室5の燃焼側)→(燃焼室3の燃焼側)→(燃焼室3の引き落とし側)→(蓄熱室5の引き落とし側)と流通させて、隣接する炭化室2を、石炭を乾留するための温度例えば約1100℃に加熱している。そして、この状態を20〜30分程度継続したら、ガスの流れを反対向きにして燃焼と排気の切り替えを行い、燃焼側と引き落とし側を入れ替えて加熱することを繰り返す操業を行う。
【0018】
<本発明の炉蓋の構造について>
図2(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のコークス炉炭化室の炉蓋を従来の炉蓋と対比して説明するための部分断面図である。
【0019】
図2(a)は従来の乾燥孔構造を有する炉蓋の一例を示す図である。
図2(a)に示す例において、21は乾燥孔、22は乾燥孔21を塞ぐ乾燥孔蓋、23は乾燥孔蓋22を締結するための蓋固定用ボルト、24は乾燥孔21を有するシールプレート、25は乾燥孔21を有するスライドプレート、26は炉蓋本体金物、28は乾燥孔21を有するキャスターブロック、である。
図2(a)に示す例では、乾燥孔21の周囲に、キャスターブロック28、シールプレート24、が、各々の乾燥孔21を重複させた状態で順に積層されて配置されている。そして、蓋固定用ボルト23を、乾燥孔蓋22に設けたキリ穴を介して、スライドプレート25のタップ穴に締結することで、乾燥孔21を乾燥孔蓋22で塞いでいる。
【0020】
図2(a)に示す従来の乾燥孔構造を有する炉蓋では、スライドプレート25とキャスターブロック28との間にシールプレート24が配置されている。そして、スライドプレート25とキャスターブロック28との間は蓋固定用ボルト23で締結されていない。そのため、シールプレート24とスライドプレート25との隙間を、炭化室内で発生するガスがガスの流れ30で示すように通過し、外部へ洩れやすい構造となっている。
【0021】
図2(b)は本発明の乾燥孔構造を有する炉蓋の一例を示す図である。
図2(b)に示す例において、
図2(a)に示す例と異なる点は、乾燥孔21の周囲のスライドプレート25とキャスターブロック28との間に、フランジプレート27を設けた点である。そして、蓋固定用ボルト23を、乾燥孔蓋22、スライドプレート25、シールプレート24、の各々に設けたキリ穴を介して、フランジプレート27のタップ穴に締結することで、乾燥孔21を乾燥孔蓋22で塞いている。
図2(b)に示す例では、シールプレート24がスライドプレート25とフランジプレート27の間に密着して固定されるため、炭化室から外部のガス洩れを抑止できる。
【0022】
図2(b)に示す本発明の乾燥孔構造を有する炉蓋では、スライドプレート25とフランジプレート27との間にシールプレート24が配置され、しかも、スライドプレート25とフランジプレート27とは蓋固定用ボルト23により締結されている。そのため、
図2(a)に示す従来例のように、シールプレート24とスライドプレート25との隙間を通じるガスの流れ30を無くすことができる。
【0023】
図2(c)は本発明の乾燥孔構造を有する炉蓋の他の例を示す図である。
図2(c)に示す例において、
図2(b)に示す例と異なる点は、乾燥孔21が設けられたキャスターブロック28に、フランジプレート27が納まる凹型形状部28aを形成し、フランジプレート27を凹型形状部28aに配置することで、キャスターブロック28の表面とフランジプレートの表面とが同一面になるよう構成した点である。
図2(c)に示す本発明の乾燥孔構造を有する炉蓋では、
図2(b)に示す例と同様に、シールプレート24とスライドプレート25との隙間を介するガスの洩れを無くすことができると共に、
図2(b)に示す例よりも、シールプレート24とフランジプレート27およびキャスターブロック28がよりよく密着し、さらにシールプレート24の変形を防止することができ、より一層気密性を高くすることができる。
【0024】
なお、
図2において、キャスターブロック28とシールプレート24または、キャスターブロック28とフランジプレート27とは密着している必要はない。キャスターブロック28とシールプレート24または、キャスターブロック28とフランジプレート27との隙間を通じて拡散するガスは、キャスターブロック28の外側に配置されたナイフエッジ部でシールされているためである。
【0025】
<本発明において共通部品を適用する例について>
図3(a)〜(d)、
図4(a)、(b)および
図5(a)、(b)は、それぞれ、本発明のコークス炉炭化室の炉蓋において、乾燥孔のある炉蓋と乾燥孔のない炉蓋に共通する部品を適用する際の方法を説明するための図である。
【0026】
この例において、共通部品とは、乾燥孔を有しないシールプレート24である。乾燥孔を有する炉蓋は、コークス炉の立ち上げ時のみに使用するものであるため、立上げ完了後の定常操業では乾燥孔は用いられない。従って、乾燥孔を有する炉蓋に設置された乾燥孔を有するシールプレートを交換する必要が発生した場合には、乾燥孔のない炉蓋に用いられる乾燥孔のないシールプレートに交換することが好ましい。
図3〜
図5に示した方法によれば、乾燥孔を有する炉蓋の構造を変更することなく、シールプレートを、乾燥孔21を有しないシールプレート24に交換することができる。
【0027】
図3(a)〜(d)に示す例では、
図3(a)に示すように、乾燥孔蓋22に円周上同一角度においてn箇所(ここでは6箇所)のキリ穴22aが開いている場合の例を示す。
図3(b)はスライドプレート25の乾燥孔21の周囲を示している。本例では、乾燥孔蓋22のキリ穴22aと同一円周上で2倍の2n箇所(ここでは12箇所)で、交互にキリ穴25aとタップ穴25bとを設けている。
図3(c)はシールプレート24の乾燥孔21の周囲を示している。本例では、スライドプレートのキリ穴に対応するn箇所(ここでは6箇所)で、キリ穴24aを設けている。
図3(d)はフランジプレート27の乾燥孔21の周囲を示している。本例では、乾燥孔蓋22のキリ穴22aと同一円周上で、スライドプレートのキリ穴に対応するn箇所(ここでは6箇所)で、タップ穴27bを設けている。
【0028】
図4(a)、(b)および
図5(a)、(b)は、乾燥孔21を有するシールプレート24と乾燥孔21を有していない共通部材としてのシールプレート24とを、
図3(a)〜(d)のそれぞれに示した構造の乾燥孔蓋22とスライドプレート25とフランジプレート27とを変更せずに、取り替える方法を説明するための図である。本例では、乾燥孔蓋22を固定するために、いずれの場合も乾燥孔蓋22のキリ穴の数と同じ6本の蓋固定用ボルト23を用いている。
【0029】
図4(a)、(b)に示す例では、乾燥孔21を有するシールプレート24を固定する例を示す。
図4(b)に示す例は、
図4(a)に示す乾燥孔蓋22のA−A線に沿った断面(A−A線の方向が炉蓋の幅方向に一致する構成とした場合)を示しており、乾燥孔蓋22のキリ穴22aとスライドプレート25に設けたキリ穴25aとシールプレート24に設けたキリ穴24aを介して、長い蓋固定用ボルト23aをフランジプレート27のタップ穴27bに締結している。ここで長い蓋固定用ボルト23aとは、フランジプレート27のタップ穴27bまで届く蓋固定用ボルトを示している。
【0030】
図5(a)、(b)に示す例では、乾燥孔21を有さないシールプレート24を固定する例を示す。
図5(b)に示す例は、
図5(a)に示す乾燥孔蓋22のB−B線に沿った断面(B−B線の方向が炉蓋の幅方向に一致する構成とした場合)を示しており、乾燥孔蓋22のキリ穴22aを介して、短い蓋固定用ボルト23bをスライドプレート25のタップ穴25bに締結している。ここで、短い蓋固定用ボルト23bとは、スライドプレート25のタップ穴25bにまで届く蓋固定用ボルトを示している。なお、
図5では、乾燥孔蓋の固定にフランジプレートは用いる必要がないため、フランジプレートは除去してもよい。また、必要に応じてキャスターブロックを凹型形状部28aのないもの、あるいは乾燥孔21のないものに交換してもよい。
【0031】
上述したように、
図4(a)、(b)に示す乾燥孔蓋22の取付け位置から、360/2n度(ここでは30度)乾燥孔蓋22を回転させて取付けることで、
図5(a)、(b)に示す乾燥孔蓋22の取付け位置を達成できる。本例によれば、乾燥孔21を有する炉蓋にも、乾燥孔21を有さない炉蓋にも、共通のシールプレート24を適用可能とすることができる。
【符号の説明】
【0032】
21 乾燥孔
22 乾燥孔蓋
22a、24a、25a キリ穴
23 蓋固定用ボルト
23a 長い蓋固定用ボルト
23b 短い蓋固定用ボルト
24 シールプレート
25 スライドプレート
25b、27b タップ穴
26 炉蓋本体金物
27 フランジプレート
28 キャスターブロック
28a 凹型形状部
30 ガスの流れ