(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一の色フィルターにより実現される相対分光応答度の特徴波長から前記基準となる相対分光応答度の特徴波長を減じた差を一の色フィルターの波長誤差とした場合に、一の色フィルターを透過した光線束を受光する受光センサーが出力する電気信号を変換して得られる信号値に乗じられる重みづけ係数を一の色フィルターの波長誤差に乗じた積の前記複数の色フィルターについての集合が打ち消しあう
請求項3に記載の測定器。
一の色フィルターにより実現される相対分光応答度の特徴波長から前記基準となる相対分光応答度の特徴波長を減じた差を一の色フィルターの波長誤差とした場合に、一の色フィルターを透過した光線束を受光する受光センサーが出力する電気信号を増幅する場合の増幅率を一の色フィルターの波長誤差に乗じた積の前記複数の色フィルターについての集合が打ち消しあう
請求項5又は6に記載の測定器。
一の色フィルターにより実現される相対分光応答度の特徴波長から前記基準となる相対分光応答度の特徴波長を減じた差を一の色フィルターの波長誤差とした場合に、一の色フィルターの波長誤差の前記複数の色フィルターについての集合が打ち消しあう
請求項8に記載の測定器。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1 序
1.1 輝度計の相対分光応答度のばらつきの原因
輝度計の相対分光応答度は、輝度計に使用される色フィルターの分光透過率の影響を受ける。このため、色フィルターの分光透過率のばらつきは、輝度計の相対分光応答度のばらつきの原因となる。そこで、輝度計の相対分光応答度のばらつきの原因の理解を容易にするため、色フィルターの分光透過率のばらつきの原因を以下で説明する。
【0009】
また、色フィルターは、吸収型及び干渉型に大別される。干渉型の色フィルターの分光透過率のばらつきの原因は、吸収型の色フィルターの分光透過率のばらつきの原因と異なる。そこで、色フィルターが吸収型である場合及び色フィルターが干渉型である場合の各々について、色フィルターの分光透過率のばらつきの原因を以下で説明する。
【0010】
1.2 吸収型の色フィルターの分光透過率のばらつきの原因
色フィルターが吸収型である場合は、互いに異なる分光透過率を有する複数の色フィルターが重ねあわされ、必要な分光透過率を有する色フィルターの重ねあわせ体が得られる。しかし、色フィルターの分光透過率には、ばらつきがある。このため、色フィルターの重ねあわせ体の分光透過率にも、ばらつきがある。
【0011】
色フィルターの分光透過率のばらつきは、主に、素材のばらつきにより生じる。
【0012】
色フィルターがガラス板である場合は、複数のガラス材料が混合され、混合物が溶融炉で溶融させられ、溶融物が固化させられる。溶融炉は、大型の連続溶融炉である場合もあるし、96L、16L等のバッチ炉である場合もある。しかし、固化物の組成等には、バッチ内及びバッチ間のばらつきがある。これが、色フィルターの分光透過率のばらつきの原因となる。
【0013】
吸収型の色フィルターがアセテートフィルムである場合は、ベースが染料で染色される。しかし、染料の色彩、濃度等には、バッチ内及びバッチ間のばらつきがある。これが、色フィルターの分光透過率のばらつきの原因となる。
【0014】
1.3 干渉型の色フィルターの分光透過率のばらつきの原因
色フィルターが干渉型である場合は、ガラス基板上に複数の膜が形成され、必要な分光透過率を有する色フィルターが得られる。
【0015】
色フィルターが干渉型である場合は、色フィルターの分光透過率のばらつきは、主に、複数の膜の各々の膜厚のばらつきにより生じる。
【0016】
色フィルターが干渉型の色フィルターである場合は、成膜装置中でガラス基板上に複数の膜が形成される。複数の膜の各々は、誘電体膜である場合もあるし、酸化膜である場合もある。成膜装置は、真空蒸着装置である場合もあるし、スパッタリング装置である場合もある。しかし、複数の膜の各々の膜厚は、成膜装置中のガラス基板の位置の影響を受け、成膜時間と膜厚との関係を示す成膜レートの影響を受ける。このため、複数の膜の各々の膜厚には、バッチ及びバッチ間のばらつきがある。これが、色フィルターの分光透過率のばらつきの原因となる。
【0017】
1.4 干渉型の色フィルターの分光透過率のばらつきの特徴
複数の膜の各々の膜厚の変化は、色フィルターの分光透過率を複雑に変化させるが、主に色フィルターの分光透過率を波長方向にずれさせる。このため、色フィルターの分光透過率のばらつきは、主に、色フィルターの分光透過率の波長のばらつきとなる。
【0018】
1.5 干渉型の色フィルターの分光透過率の波長のばらつきの大きさ
色フィルターの分光透過率の波長のばらつきの大きさは、成膜装置の能力、大きさ等により変化する。しかし、通常の色フィルターの生産方法が採用された場合は、色フィルターの分光透過率の波長のばらつきの大きさは、バッチ内において概ね±2nmであり、バッチ間において概ね±1nmであり、総合して概ね±3nmである。
【0019】
1.6 干渉型の色フィルターの利点
干渉型の色フィルターは、吸収型の色フィルターと比較して、測定器の相対分光応答度の分光応答度関数からの外れを小さくできる、分光透過率の経時変化が小さい等の利点を有する。外れは、ずれ、偏差等とも呼ばれる。
【0020】
1.7 相対分光応答度の分光応答度関数からの外れに関する規格
輝度計に関するドイツ工業規格DIN 5032-7は、輝度計の相対分光応答度S(λ)の国際照明委員会が採用した標準比視感度V(λ)からの外れf
1’を式(1)のように定義する。
【0022】
数(1)において、λ
1及びλ
2は、それぞれ、可視波長域の下限及び上限である。
【0023】
ドイツ工業規格DIN 5032-7は、輝度計の相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が2%未満、3%未満及び6%未満である場合の輝度計の等級を、それぞれ、L級、A級及びB級と規定する。
【0024】
このように、輝度計の相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’に関する等級が輝度計には規定されているため、輝度計が生産される場合は、輝度計の相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が規定内となるように輝度計の品質が管理される。
【0025】
照度計に関する日本工業規格JIS C-1609-1は、照度計の相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’を同様に定義し、相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が3%未満、6%未満及び9%未満である場合の照度計の等級を、それぞれ、精密級、A級及びAA級と規定する。
【0026】
1.8 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの例
輝度計が生産される場合は、輝度計の相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’を小さくすることが試みられる。しかし、色フィルターの分光透過率には、ばらつきがある。このため、輝度計の相対分光応答度S(λ)にもばらつきがあり、輝度計の相対分光応答度S(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’にもばらつきがある。
【0027】
また、色フィルターにより実現される相対分光応答度は標準比視感度V(λ)に近似させられるが、色フィルターにより実現される相対分光応答度を標準比視感度V(λ)に完全に一致させることは困難である。このため、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度も標準比視感度V(λ)に完全には一致せず、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度の標準比視感度からの外れf
1’も0にはならない。
【0028】
これらのことを、具体例を挙げて説明する。
【0029】
図17のグラフは、標準比視感度及び最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度を示す。
【0030】
図17に示されるように、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度は標準比視感度V(λ)に近似させられる。しかし、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度は、標準比視感度V(λ)に完全には一致しない。このため、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’は、0%にはならず、1.6%である。
【0031】
図18のグラフは、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度及び波長誤差Δλが−0.2nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度を示す。
図19のグラフは、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度及び波長誤差Δλが−1.0nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度を示す。
図20のグラフは、最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度及び波長誤差Δλが−2.1nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度を示す。
【0032】
色フィルターの波長誤差Δλは、色フィルターにより実現される相対分光応答度の重心波長から最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度の重心波長を減じた差である。
【0033】
波長誤差Δλが−0.2nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’は、2.0%である。このため、色フィルターの波長誤差Δλの絶対値が0.2nm未満である場合は、相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が2.0%未満となり、輝度計の等級がL級になる。
【0034】
波長誤差Δλが−1.0nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’は、3.0%である。このため、色フィルターの波長誤差Δλの絶対値が1.0nm未満である場合は、相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が3.0%未満となり、輝度計の等級がA級になる。
【0035】
波長誤差Δλが−2.1nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’は、6.4%である。このため、色フィルターの波長誤差Δλの絶対値が2.1nm以上である場合は、相対分光応答度の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が6.4%以上となり、輝度計の等級がB級にさえならない。
【0036】
1.9 輝度計に使用される色フィルターの生産
通常の生産方法が採用された場合は、干渉型の色フィルターの分光透過率の波長のばらつきの大きさは概ね±3nmである。色フィルターの分光透過率の波長のばらつきの大きさは、概ね、色フィルターにより実現される相対分光応答度の波長のばらつきと同じであるため、色フィルターの分光透過率の波長のばらつきの大きさが概ね±3nmである場合は、色フィルターにより実現される相対分光応答度の波長のばらつきの大きさも概ね±3nmである。しかし、色フィルターにより実現される相対分光応答度の波長のばらつきの大きさが±3nmである場合は、輝度計の等級がB級にさえならない。
【0037】
このため、波長誤差Δλを小さくすることが求められる。そのためには、色フィルターの分光透過率のばらつきが小さくなる色フィルターの生産方法を採用することが考えられる。例えば、成膜装置中でガラス基板上に複数の膜を形成する場合に、位置による膜厚の変化が小さい範囲のみにガラス基板を配置することが考えられる。しかし、そのような配置は、色フィルターの生産費用を増加させる。また、通常の色フィルターの生産方法を採用し、生産した色フィルターの各々の分光透過率を測定し、波長誤差Δλが小さくなるように色フィルターを選択することも考えられる。例えば、輝度計の等級をL級にする場合は、波長誤差Δλの絶対値が0.2nm未満である色フィルターを選択することが考えられる。しかし、そのような選択も色フィルターの生産費用を増加させる。例えば、波長誤差Δλの絶対値が0.2nm未満の色フィルターを選択する場合は、良品率が約20%になり、色フィルターの生産費用を著しく増加させる。
【0038】
2 第1実施形態
第1実施形態は、輝度計に関する。輝度計は、光源の輝度を測定する測定器である。
【0039】
2.1 輝度計のハードウェア
図1の模式図は、第1実施形態の輝度計を示す。
【0040】
図1に示されるように、輝度計1000は、対物レンズ1010、視野絞り1011、バンドルファイバー1012、色フィルター群1013、受光センサー群1014、導出機構1015、ミラー1016及びファインダー系1017を備える。色フィルター群1013は、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を備える。受光センサー群1014は、第1の受光センサー1040及び第2の受光センサー1041を備える。導出機構1015は、増幅機構1050、変換機構1051及び演算機構1052を備える。増幅機構1050は、第1の増幅回路1060及び第2の増幅回路1061を備える。変換機構1051は、第1の変換回路1070及び第2の変換回路1071を備える。
【0041】
測定される光線束1080は、対物レンズ1010により収束させられる。対物レンズ1010からなる対物光学系が他の種類の対物光学系に置き換えられてもよい。
【0042】
収束させられた光線束1080のうちの周辺部の光線束1100は、視野絞り1011により制限される。
【0043】
制限された光線束1100は、バンドルファイバー1012の入射端1110に入射する。入射した光線束1100は、バンドルファイバー1012により分岐させられる。分岐により得られる第1の光線束1120及び第2の光線束1121は、それぞれ、バンドルファイバー1012の第1の出射端1130及び第2の出射端1131から出射する。バンドルファイバー1012からなる分岐機構が他の種類の分岐機構に置き換えられてもよい。
【0044】
出射した第1の光線束1120及び第2の光線束1121は、それぞれ、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を透過する。透過した第1の光線束1120及び第2の光線束1121は、それぞれ、第1の受光センサー1040及び第2の受光センサー1041に受光される。第1の受光センサー1040及び第2の受光センサー1041は、それぞれ、受光した第1の光線束1120及び第2の光線束1121に応じた第1の電気信号及び第2の電気信号を出力する。
【0045】
導出機構1015は、測定される光線束1080の分光分布に応じた輝度値LVを第1の電気信号及び第2の電気信号から導出する。第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、第1の増幅回路1060及び第2の増幅回路1061により増幅される。以下では、第1の増幅回路1060及び第2の増幅回路1061が第1の電気信号及び第2の電気信号を増幅する場合の増幅率を、それぞれ、第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2とする。出力された第1の電気信号及び第2の電気信号の大きさが適正である場合は、第1の増幅回路1060及び第2の増幅回路1061が省略されてもよい。増幅された第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、第1の変換回路1070及び第2の変換回路1071により第1の信号値S1及び第2の信号値S2にアナログ/デジタル変換される。演算機構1052は、マイクロコンピューターなどであり、第1の信号値S1及び第2の信号値S2から輝度値LVを演算する。演算機構1052は、第1の係数C1及び第2の係数C2を記憶しており、和S0=S1×C1+S2×C2に基づいて輝度値LVを演算する。
【0046】
第1の色フィルター1030により実現される相対分光応答度S1(λ)及び第2の色フィルター1031により実現される相対分光応答度S2(λ)の各々は、標準比視感度V(λ)に近似させられる。相対分光応答度S1(λ)は、測定される光線束1080の分光分布と第1の信号値S1との関係を示す。相対分光応答度S2(λ)は、測定される光線束1080の分光分布と第2の信号値S2との関係を示す。このため、相対分光応答度S1(λ)及び相対分光応答度S2(λ)は、それぞれ第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の分光透過率の影響を主に受けるが、対物レンズ1010の分光透過率及びバンドルファイバー1012の分光透過率の影響も受け、それぞれ受光センサー1040及び受光センサー1041の分光感度の影響も受ける。
【0047】
バンドルファイバー1012の分岐数が増やされてもよい。バンドルファイバー1012の分岐数が増やされる場合は、バンドルファイバー1012の分岐数に応じて、光線束の数、出射端の数、色フィルターの数、受光センサーの数、増幅回路の数、変換回路の数、電気信号の数、信号値の数等が増やされる。
【0048】
収束させられた光線束1080のうちの中央部の光線束1101は、ミラー1016に反射される。反射された光線束1101は、ファインダー系1017に導かれる。ファインダー系1017は、導かれてきた光線束1101からファインダー像を生成する。ミラー1016及びファインダー系1017が省略されてもよい。
【0049】
2.2 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
以下では、色フィルターにより実現される相対分光応答度の重心波長から基準となる最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度の重心波長を減じた差を色フィルターの波長誤差Δλとする。
【0050】
色フィルターの波長誤差Δλは、色フィルターにより実現される相対分光応答度の最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度からの波長ずれを表現する指標である。色フィルターの波長誤差Δλ以外の指標が用いられてもよい。重心波長が他の種類の特徴波長に変更されてもよい。例えば、重心波長がピーク波長、半値波長等に変更されてもよい。最良の色フィルターの相対分光応答度以外の相対分光応答度が基準となってもよい。例えば、標準比視感度に一致する相対分光応答度が基準となってもよい。
【0051】
第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の各々は干渉型である。このため、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の各々により実現される相対分光応答度の最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度からのずれは、波長誤差により表される。第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の各々が干渉型でない場合も、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の各々により実現される相対分光応答度の最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度からのずれが波長誤差により表されるときがある。このため、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の各々が干渉型でない場合に、輝度計1000において採用された相対分光応答度S0(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’を抑制する技術が採用される場合もある。
【0052】
第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1は負であり、第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2は正である。これにより、第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1の輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS1(λ)及び第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2の輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS2(λ)が打ち消しあうことが可能になる。
【0053】
第1実施形態においては、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあうように、第1の信号値S1に乗じられる第1の係数C1及び第2の信号値S2に乗じられる第2の係数C2を互いに異ならせる。すなわち、第iの色フィルターの波長誤差Δλiの影響ΔSi(λ)の2個の色フィルター1030及び1031についての集合である影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあうように、信号値Siに乗じられる係数Ciを2個の信号値S1及びS2の間で異ならせる。
【0054】
第1の係数C1及び第2の係数C2は、それぞれ、第1の電気信号及び第2の電気信号の輝度値LVへの寄与の大きさを示すから、第1実施形態においては、第1の係数C1及び第2の係数C2を互いに異ならせることにより、第iの電気信号の輝度値LVへの寄与の大きさを2個の電気信号の間で異ならせる重みづけが演算機構1052により行われる。重みづけが演算機構1052により行われる場合は、第1の係数C1及び第2の係数C2の各々が重みづけ係数となり、和S0が第1の信号値S1及び第2の信号値S2の重みづけ和になる。
【0055】
第1実施形態においては、増幅機構1050により重みづけが行われる必要がないため、第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2を互いに同じにする。
【0056】
第1実施形態においては、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあうようにするために、第1の係数C1を第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1に乗じた積C1×Δλ1及び第2の係数C2を第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2に乗じた積C2×Δλ2が打ち消しあうようにする。すなわち、第iの色フィルターを透過した光線束を受光する受光センサーが出力する電気信号を変換して得られる信号値Siに乗じられる重みづけ係数Ciを第iの色フィルターの波長誤差Δλiに乗じた積Ci×Δλiの2個の色フィルター1030及び1031についての集合である積C1×Δλ1及び積C2×Δλ2が打ち消しあうようにする。
【0057】
積C1×Δλ1及び積C2×Δλ2は、望ましくは、完全に打ち消しあう。積C1×Δλ1及び積C2×Δλ2が完全に打ち消しあう場合は、積C1×Δλ1及び積C2×Δλ2の和C1×Δλ1+C2×Δλ2が0になる。しかし、積C1×Δλ1及び積C2×Δλ2が完全に打ち消しあわない場合も、外れf
1’を小さくする効果は得られる。
【0058】
第1実施形態によれば、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあい、相対分光応答度S0(λ)が最良の色フィルターにより実現される相対分光応答度に近づく。これにより、外れf
1’が規格を満たさない相対分光応答度S1(λ)及びS2(λ)しかそれぞれ実現できない第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を使用して外れf
1’が規格を満たす相対分光応答度S0(λ)を有する輝度計1000を実現できる。したがって、輝度計1000の生産費用を増加させることなく外れf
1’を小さくできる。
【0059】
2.3 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制の例
図2のグラフは、波長誤差Δλが−2.1nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度及び波長誤差Δλが+1.7nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度を示す。
図3のグラフは、標準比視感度及び輝度計の相対分光応答度を示す。
【0060】
第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1が−2.1nmであり第1の色フィルター1030により実現される相対分光応答度S1(λ)が
図2に示される相対分光応答度S1(λ)であり、第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2が+1.7nmであり第2の色フィルター1031により実現される相対分光応答度S2(λ)が
図2に示される相対分光応答度S2(λ)である場合は、例えば、第1の係数C1が0.8にされ、第2の係数C2が1.0にされる。これにより、積C1×Δλ1が−1.7になり、積C2×Δλ2が1.7になり、積C1×Δλ1及び積C2×Δλ2が打ち消しあう。この場合は、輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)が
図3に示される相対分光応答度S0(λ)になり、輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が1.4%になり、輝度計1000の等級がL級になる。すなわち、L級を達成できないはずの第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を使用してL級を達成できる輝度計1000を生産できる。
【0061】
2.4 輝度計を生産する方法
図4のフローチャートは、輝度計を生産する方法を示す。
【0062】
輝度計1000が生産される場合は、
図4に示されるように、ステップ1140において、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031の候補となる色フィルターが準備される。
【0063】
続いて、ステップ1141において、準備された色フィルターの各々の波長誤差が測定される。準備された色フィルターの各々の波長誤差は、準備された色フィルターの各々の分光透過率を分光光度計により測定する工程を経て測定される。重心波長は、380−780nmの波長範囲におけるものである。分光透過率に代えて分光反射率が測定されてもよい。380−780nmの波長範囲が他の波長範囲に置き換えられてもよい。
図5のヒストグラムは、波長誤差の分布を示す。
【0064】
続いて、ステップ1142において、第1の色フィルター1030に適した波長誤差を有する色フィルター及び第2の色フィルター1031に適した波長誤差を有する色フィルターが準備された色フィルターから選択される。
【0065】
第1実施形態においては、2個の色フィルターの選択にあたって、準備された色フィルターがグループA1及びA2に分類される。
【0066】
グループA1及びA2には、それぞれ、負である波長誤差の範囲及び正である波長誤差の範囲が定義される。グループA1及びA2に定義される波長誤差の範囲には、それぞれ、
図5のヒストグラムにおける階級群1165及び階級群1166が属する。
【0067】
分類により、準備された色フィルターの各々は、準備された色フィルターの各々の波長誤差を含む波長誤差の範囲が定義されたグループに属することになる。
【0068】
第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031として使用される色フィルターは、それぞれ、グループA1及びA2に属する色フィルターから選択される。
【0069】
続いて、ステップ1143において、選択された2個の色フィルターを第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031として使用して輝度計1000が組み立てられる。
【0070】
2.5 結像位置及びバンドルファイバーの径
対物レンズ1010は、測定される光線束1080を結像位置1150に結像させる。視野絞り1011に形成される開口1160は、結像位置1150に配置される。入射端1110は、開口1160から離して配置される。これにより、入射端1110が結像位置1150から離して配置され、光線束1100が焦点を結んでいない状態で入射端1110に入射する。光線束1100が焦点を結んでいない状態で入射端1110に入射する場合は、光線束1100が焦点を結んでいる状態で入射端1110に入射する場合と比較して、入射端1110の径を大きくしなければならない。
【0071】
バンドルファイバー1012は、分岐を有し、第1の出射端1130及び第2の出射端1131を有する。第1の出射端1130及び第2の出射端1131の各々の径は、入射端1110の径より小さくなる。これにより、入射端1110の径を大きくした場合であっても、第1の出射端1130及び第2の出射端1131から出射した第1の光線束1120及び第2の光線束1121の全体に、それぞれ、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を透過させることができ、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を透過した光線束の全体を、それぞれ、第1の受光センサー1040及び第2の受光センサー1041に受光させることができる。
【0072】
3 第1実施形態の第1変形例
第1実施形態の第1変形例においては、第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1の輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS1(λ)及び第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2の輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS2(λ)が打ち消しあうように、第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2を互いに異ならせられる。すなわち、第iの色フィルターの波長誤差Δλiの輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔSi(λ)の2個の色フィルター1030及び1031についての集合である影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあうように、増幅率Giを2個の電気信号(第1の電気信号及び第2の電気信号)の間で異ならせる。
【0073】
第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2は、それぞれ、第1の電気信号及び第2の電気信号の輝度値LVへの寄与の大きさを示すから、第1実施形態の第1変形例においては、第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2を互いに異ならせることにより、一の電気信号の輝度値LVへの寄与の大きさを2個の電気信号(第1の電気信号及び第2の電気信号)の間で異ならせる重みづけが増幅機構1050により行われる。
【0074】
第1実施形態の第1変形例においては、演算機構1052により重みづけが行われる必要がないため、第1の係数C1及び第2の係数C2を互いに同じにする。
【0075】
第1実施形態の第1変形例においては、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあうようにするために、第1の増幅率G1を第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1に乗じた積G1×Δλ1及び第2の増幅率G2を第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2に乗じた積G2×Δλ2が打ち消しあうようにする。すなわち、第iの色フィルターを透過した光線束を受光する受光センサーが出力する電気信号を増幅する場合の増幅率Giを色フィルターの波長誤差Δλiに乗じた積Gi×Δλiの2個の色フィルター1030及び1031についての集合である積G1×Δλ1及び積G2×Δλ2が打ち消しあうようにする。
【0076】
第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2は、それぞれ、増幅器1及び増幅器2を構成する素子の回路定数により設定される。回路定数の設定に使用される素子は、典型的には、抵抗である。
【0077】
第1実施形態の第1変形例によれば、第1実施形態と同様に、輝度計1000の生産費用を増加させることなく外れf
1’を小さくできる。
【0078】
4 第1実施形態の第2変形例
4.1 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
第1実施形態の第2変形例においては、第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1及び第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2が打ち消しあう。すなわち、第iの色フィルターの波長誤差Δλiの2個の色フィルター1030及び1031についての集合である波長誤差Δλ1及び波長誤差Δλ2が打ち消しあう。
【0079】
第1実施形態の第2変形例においては、演算機構1052又は増幅機構1050により重みづけが行われる必要がないため、第1の係数C1及び第2の係数C2を互いに同じにし、第1の増幅率G1及び第2の増幅率G2を互いに同じにする。
【0080】
図6のヒストグラムは、波長誤差の分布を示す。
【0081】
第1実施形態の第2変形例においては、第1の色フィルター1030に適した波長誤差を有する色フィルター及び第2の色フィルター1031に適した波長誤差を有する色フィルターが準備された色フィルターから選択される。これにより、輝度計1000が備える2個の色フィルター1030及び1031の各々に適した波長誤差を有する色フィルターが準備された色フィルターから選択される。
【0082】
第1実施形態の第2変形例においては、2個の色フィルターの選択にあたって、準備された色フィルターが表1に示されるグループA1,A2,B1,B2,C1及びC2に分類される。
【0084】
グループA1,A2,B1,B2,C1及びC2の各々には、表1に記載された波長誤差の範囲及び代表の波長誤差が定義される。グループA1,A2,B1,B2,C1及びC2に定義された波長誤差の範囲には、それぞれ、
図6のヒストグラムにおける階級群1170,1171,1172,1173,1174及び1175が属する。
【0085】
グループA1,A2,B1,B2,C1及びC2に定義される代表の波長誤差は、それぞれ、グループA1,A2,B1,B2,C1及びC2に定義される波長誤差の範囲の内部にあり、望ましくはグループA1,A2,B1,B2,C1及びC2に定義される波長誤差の範囲の中央にある。グループA2,B2及びC2に定義される波長誤差の範囲は、それぞれ、グループA1,B1及びC1に定義される波長誤差の範囲の符号を反転させたものである。グループA2,B2及びC2に定義される代表の波長誤差は、それぞれ、グループA1,B1及びC1に定義される代表の波長誤差の符号を反転させたものである。グループの数が増減されてもよい。グループA1,A2,B1,B2,C1及びC2の各々に定義される波長誤差の範囲及び代表の波長誤差が変更されてもよい。
【0086】
分類により、準備された色フィルターの各々は、準備された色フィルターの各々の波長誤差を含む波長誤差の範囲が定義されたグループに属することになる。
【0087】
第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031として使用される色フィルターは、それぞれ、第1のグループに属する色フィルター及び第2のグループに属する色フィルターから選択される。第1のグループ及び第2のグループは、第1のグループに定義された代表の波長誤差及び第2のグループに定義された代表の波長誤差が打ち消しあうように選択される。例えば、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031として使用される色フィルターは、それぞれ、表1の組み合わせaに示されるようにグループA1及びA2に属する色フィルターから選択されてもよいし、表1の組み合わせbに示されるようにグループB1及びB2に属する色フィルターから選択されてもよいし、表1の組み合わせcに示されるようにグループC1及びC2に属する色フィルターから選択されてもよい。第1のグループに定義された代表の波長誤差及び第2のグループに定義された代表の波長誤差が完全に打ち消しあう場合は、第1のグループに定義された代表の波長誤差及び第2のグループに定義された代表の波長誤差の単純和が0になる。
【0088】
この選択によれば、第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1及び第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2が打ち消しあう。すなわち、第iの色フィルターの波長誤差Δλiの2個の色フィルター1030及び1031についての集合である波長誤差Δλ1及び波長誤差Δλ2が打ち消しあう。
【0089】
4.2 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制の例
図7のグラフは、波長誤差Δλが−1.2nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度及び波長誤差Δλが+0.5nmである色フィルターにより実現される相対分光応答度を示す。
図8のグラフは、標準比視感度及び輝度計の相対分光応答度を示す。
【0090】
第1の色フィルター1030の波長誤差Δλ1が−1.2nmであり第1の色フィルター1030により実現される相対分光応答度S1(λ)が
図7に示される相対分光応答度S1(λ)であり、第2の色フィルター1031の波長誤差Δλ2が+0.5nmであり第2の色フィルター1031により実現される相対分光応答度S2(λ)が
図7に示される相対分光応答度S2(λ)である場合は、第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031として使用される色フィルターが、それぞれ、グループB1及びB2に属する色フィルターから選択されており、グループB1に定義された代表の波長誤差及びグループB2に定義された代表の波長誤差が打ち消しあう。この場合は、輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)が
図8に示される相対分光応答度S0(λ)となり、輝度計1000の相対分光応答度S0(λ)の標準比視感度V(λ)からの外れf
1’が2.0%になり、輝度計1000の等級がL級になる。すなわち、L級を達成できないはずの第1の色フィルター1030及び第2の色フィルター1031を使用してL級を達成できる輝度計1000を実現できる。
【0091】
第1実施形態の第2変形例によれば、第1実施形態と同様に、輝度計1000の生産費用を増加させることなく輝度計1000の相対分光応答度の分光比視感度からの外れを小さくできる。
【0092】
5 第2実施形態
第2実施形態は、輝度計に関する。
【0093】
5.1 輝度計のハードウェア
図9の模式図は、第2実施形態の輝度計を示す。
【0094】
図9に示されるように、輝度計2000は、対物レンズ2010、視野絞り2011、バンドルファイバー2012、色フィルター群2013、受光センサー群2014、導出機構2015、ミラー2016及びファインダー系2017を備える。色フィルター群2013は、第1の色フィルター2030及び第2の色フィルター2031を備える。受光センサー群2014は、第1の受光センサー2040及び第2の受光センサー2041を備える。導出機構2015は、合流回路2050、増幅機構2051、変換機構2052及び演算機構2053を備える。増幅機構2051は、増幅回路2060を備える。変換機構2052は、変換回路2070を備える。
【0095】
第2実施形態の対物レンズ2010、視野絞り2011、バンドルファイバー2012、受光センサー群2014、ミラー2016及びファインダー系2017は、それぞれ、第1実施形態の対物レンズ1010、視野絞り1011、バンドルファイバー1012、受光センサー群1014、ミラー1016及びファインダー系1017と同じものである。
【0096】
受光センサー群2014により出力される第1の電気信号及び第2の電気信号は、合流回路2050により合流させられる。合流後の電気信号は、増幅回路2060により増幅される。増幅された電気信号は、変換回路2070により信号値Sにアナログ/デジタル変換される。演算機構2053は、マイクロコンピューターなどであり、信号値Sから輝度値LVを演算する。
【0097】
合流回路2050は、第1の受光センサー2040及び第2の受光センサー2041を並列接続する回路である。合流後の電気信号が有するエネルギーは、第1の電気信号が有するエネルギー及び第2の電気信号が有するエネルギーの和である。合流回路2050が第1の受光センサー2040及び第2の受光センサー2041を直列接続する回路である場合もある。
【0098】
5.2 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
第2実施形態においては、第1実施形態の第2変形例と同様に、第1の色フィルター2030の波長誤差Δλ1及び第2の色フィルター2031の波長誤差Δλ2が打ち消しあう。このため、第1の電気信号及び第2の電気信号の段階で、第1の色フィルター2030の波長誤差Δλ1の輝度計2000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS1(λ)及び第2の色フィルター2031の波長誤差Δλ2の輝度計2000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS2(λ)が既に打ち消し可能になっている。その結果、輝度値LVの段階で、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあう。
【0099】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、輝度計2000の生産費用を増加させることなく輝度計2000の相対分光応答度の分光比視感度からの外れを小さくできる。加えて、第2実施形態によれば、増幅回路及び変換回路の数が減少し、輝度計2000の生産費用がさらに減少する。
【0100】
6 第3実施形態
第3実施形態は、輝度計に関する。
【0101】
6.1 輝度計のハードウェア
図10の模式図は、第3実施形態の輝度計を示す。
【0102】
図10に示されるように、輝度計3000は、対物レンズ3010、視野絞り3011、バンドルファイバー3012、色フィルター群3013、受光センサー群3014、導出機構3015、ミラー3016及びファインダー系3017を備える。色フィルター群3013は、第1の色フィルター3030及び第2の色フィルター3031を備える。受光センサー群3014は、第1の受光センサー3040及び第2の受光センサー3041を備える。導出機構3015は、増幅機構3050、合流回路3051、変換機構3052及び演算機構3053を備える。増幅機構3050は、第1の増幅回路3060及び第2の増幅回路3061を備える。変換機構3052は、変換回路3070を備える。
【0103】
第3実施形態の対物レンズ3010、視野絞り3011、バンドルファイバー3012、色フィルター群3013及び受光センサー群3014は、それぞれ、第1実施形態の対物レンズ1010、視野絞り1011、バンドルファイバー1012、色フィルター群1013及び受光センサー群1014と同じものである。
【0104】
受光センサー群3014により出力される第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、第1の増幅回路3060及び第2の増幅回路3061により増幅される。増幅された第1の電気信号及び第2の電気信号は、合流回路3051により合流させられる。合流後の電気信号は、変換回路3070により信号値Sにアナログ/デジタル変換される。演算機構3053は、マイクロコンピューターなどであり、信号値Sから輝度値LVを演算する。
【0105】
6.2 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
第3実施形態においては、第1実施形態の第1変形例と同様に、第1の色フィルター3030の波長誤差Δλ1の輝度計3000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS1(λ)及び第2の色フィルター3031の波長誤差Δλ2の輝度計3000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS2(λ)が打ち消しあうように増幅機構3050により重みづけが行われる。このため、増幅された第1の電気信号及び第2の電気信号の段階で、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が既に打ち消し可能になっている。その結果、輝度値LVの段階で、影響ΔS1(λ)及び影響ΔS2(λ)が打ち消しあう。
【0106】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、輝度計3000の生産費用を増加させることなく輝度計3000の相対分光応答度の分光比視感度からの外れを小さくできる。加えて、第3実施形態によれば、変換回路の数が減少し、輝度計3000の生産費用がさらに減少する。
【0107】
7 第4実施形態
第4実施形態は、輝度計に関する。
【0108】
7.1 輝度計のハードウェア
図11の模式図は、第4実施形態の輝度計を示す。
【0109】
図11に示されるように、輝度計4000は、対物レンズ4010、視野絞り4011、バンドルファイバー4012、色フィルター群4013、受光センサー群4014、導出機構4015、ミラー4016及びファインダー系4017を備える。色フィルター群4013は、第1の色フィルター4030、第2の色フィルター4031及び第3の色フィルター4032を備える。受光センサー群4014は、第1の受光センサー4040、第2の受光センサー4041及び第3の受光センサー4042を備える。導出機構4015は、増幅機構4050、変換機構4051及び演算機構4052を備える。増幅機構4050は、第1の増幅回路4060、第2の増幅回路4061及び第3の増幅回路4062を備える。変換機構4051は、第1の変換回路4070、第2の変換回路4071及び第3の変換回路4072を備える。
【0110】
第4実施形態の対物レンズ4010、視野絞り4011、ミラー4016及びファインダー系4017は、それぞれ、第1実施形態の対物レンズ1010、視野絞り1011、ミラー1016及びファインダー系1017と同じものである。
【0111】
視野絞り4011により制限された光線束4100は、バンドルファイバー4012の入射端4110に入射する。入射した光線束4100は、バンドルファイバー4012により分岐させられる。分岐により得られる第1の光線束4120、第2の光線束4121及び第3の光線束4122は、それぞれ、バンドルファイバー4012の第1の出射端4130、第2の出射端4131及び第3の出射端4132から出射する。
【0112】
出射した第1の光線束4120、第2の光線束4121及び第3の光線束4122は、それぞれ、第1の色フィルター4030、第2の色フィルター4031及び第3の色フィルター4032を透過する。透過した第1の光線束4120、第2の光線束4121及び第3の光線束4122は、それぞれ、第1の受光センサー4040、第2の受光センサー4041及び第3の受光センサー4042に受光される。第1の受光センサー4040、第2の受光センサー4041及び第3の受光センサー4042は、それぞれ、受光した第1の光線束4120、第2の光線束4121及び第3の光線束4122に応じた第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号を出力する。
【0113】
導出機構4015は、測定される光線束4080の分光分布に応じた輝度値LVを第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号から導出する。第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号は、それぞれ、第1の増幅回路4060、第2の増幅回路4061及び第3の増幅回路4062により増幅される。以下では、第1の増幅回路4060、第2の増幅回路4061及び第3の増幅回路4062が第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号を増幅する場合の増幅率を、それぞれ、第1の増幅率G1、第2の増幅率G2及び第3の増幅率G3とする。増幅された第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号は、それぞれ、第1の変換回路4070、第2の変換回路4071及び第3の変換回路4072により第1の信号値S1、第2の信号値S2及び第3の信号値S3にアナログ/デジタル変換される。演算機構4052は、マイクロコンピューターなどであり、第1の信号値S1、第2の信号値S2及び第3の信号値S3から輝度値LVを演算する。演算機構4052は、第1の係数C1、第2の係数C2及び第3の係数C3を記憶しており、和S0=S1×C1+S2×C2+S3×C3に基づいて輝度値LVを演算する。
【0114】
第1の色フィルター4030により実現される相対分光応答度S1(λ)、第2の色フィルター4031により実現される相対分光応答度S2(λ)及び第3の色フィルター4032により実現される相対分光応答度S3(λ)の各々は、標準比視感度V(λ)に近似させられる。相対分光応答度S1(λ)は、測定される光線束4080の分光分布と第1の信号値S1との関係を示す。相対分光応答度S2(λ)は、測定される光線束4080の分光分布と第2の信号値S2との関係を示す。相対分光応答度S3(λ)は、測定される光線束4080の分光分布と第3の信号値S3との関係を示す。
【0115】
7.2 輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
第4実施形態においては、色フィルター群4013において、第1の色フィルター4030の波長誤差Δλ1、第2の色フィルター4031の波長誤差Δλ2及び第3の色フィルター4032の波長誤差Δλ3が打ち消しあう。すなわち、第iの色フィルターの波長誤差Δλiの3個の色フィルター4030、4031及び4032についての集合である波長誤差Δλ1、波長誤差Δλ2及び波長誤差Δλ3が打ち消しあう。
【0116】
第4実施形態においては、演算機構4052又は増幅機構4050により重みづけが行われる必要がないため、第1の係数C1、第2の係数C2及び第3の係数C3を互いに同じにし、第1の増幅率G1、第2の増幅率G2及び第3の増幅率G3を互いに同じにする。
【0117】
第4実施形態においては、第1の色フィルター4030に適した波長誤差を有する色フィルター、第2の色フィルター4031に適した波長誤差を有する色フィルター及び第3の色フィルター4032に適した波長誤差を有する色フィルターが準備された色フィルターから選択される。これにより、輝度計4000が備える3個の色フィルターの各々に適した波長誤差を有する色フィルターが準備された色フィルターから選択される。
【0118】
第4実施形態においては、3個の色フィルターの選択にあたって、準備された色フィルターが表2に示されるグループX,A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2に分類される。
【0120】
グループX,A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2の各々には、表2に記載された波長誤差の範囲及び代表の波長誤差が定義される。
【0121】
グループX,A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2に定義される代表の波長誤差は、それぞれ、グループX,A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2に定義される波長誤差の範囲の内部にあり、望ましくはグループX,A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2に定義される波長誤差の範囲の中央にある。グループA2,B2,C2及びD2に定義された波長誤差の範囲は、それぞれ、グループA1,B1,C1及びD1に定義された波長誤差の範囲の符号を反転させたものである。グループA2,B2,C2及びD2に定義された代表の波長誤差は、それぞれ、グループA1,B1,C1及びD1に定義された代表の波長誤差の符号を反転させたものである。グループの数が増減されてもよい。グループX,A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2の各々に定義される波長誤差の範囲及び代表の波長誤差が変更されてもよい。
【0122】
分類により、準備された色フィルターの各々は、準備された色フィルターの各々の波長誤差を含む波長誤差の範囲が定義されたグループに属することになる。
【0123】
第1の色フィルター4030、第2の色フィルター4031及び第3の色フィルター4032として使用される色フィルターは、それぞれ、第1のグループ、第2のグループ及び第3のグループに属する色フィルターから選択される。第1のグループ、第2のグループ及び第3のグループは、第1のグループに定義された代表の波長誤差、第2のグループに定義された代表の波長誤差及び第3のグループに定義された代表の波長誤差が打ち消しあうように選択される。例えば、第1の色フィルター4030、第2の色フィルター4031及び第3の色フィルター4032として使用される色フィルターは、それぞれ、
表2の組み合わせaに示されるようにグループX,A1及びA2に属する色フィルターから選択されてもよいし、
表2の組み合わせbに示されるようにグループX,B1及びB2に属する色フィルターから選択されてもよいし、
表2の組み合わせcに示されるようにグループX,C1及びC2に属する色フィルターから選択されてもよいし、
表2の組み合わせdに示されるようにグループX,D1及びD2に属する色フィルターから選択されてもよい。0である代表の波長誤差が定義されたグループXに属する色フィルターから選択が行われないことも許される。負である代表の波長誤差が定義されたグループA1,B1,C1又はD1に属する色フィルターから選択される色フィルターの数が、正である代表の波長誤差が定義されたグループA2,B2,C2又はD2に属する色フィルターから選択される色フィルターの数と異なることも許される。2個以上の色フィルターが1個のグループに属する色フィルターから選択されることも許される。例えば、第1の色フィルター4030、第2の色フィルター4031及び第3の色フィルター4032として使用される色フィルターが、それぞれ、表2の組み合わせeに示されるように、グループD1,A2及びC2に属する色フィルターから選択されてもよいし、表2の組み合わせfに示されるように、グループD1,B2及びB2に属する色フィルターから選択されてもよい。第1のグループに定義された代表の波長誤差、第2のグループに定義された代表の波長誤差及び第3のグループに定義された代表の波長誤差が完全に打ち消しあう場合は、第1のグループに定義された代表の波長誤差、第2のグループに定義された代表の波長誤差及び第3のグループに定義された代表の波長誤差の和が0になる。
【0124】
この選択によれば、第1の色フィルター4030の波長誤差Δλ1、第2の色フィルター4031の波長誤差Δλ2及び第3の色フィルター4032の波長誤差Δλ3が打ち消しあう。すなわち、第iの色フィルターの波長誤差の3個の色フィルター4030、4031及び4032についての集合である波長誤差Δλ1、波長誤差Δλ2及び波長誤差Δλ3が打ち消しあう。
【0125】
第2実施形態のように、受光センサー群4014が出力した第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号が合流回路により合流させられ、合流後の電気信号が増幅回路により増幅され、増幅された電気信号が変換回路により信号値に変換され、演算機構が信号値から輝度値LVを演算してもよい。また、第4実施形態のように、増幅機構4050が出力した増幅された第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号が合流回路により合流され、合流後の電気信号が変換回路により信号値に変換され、演算機構が信号値から輝度値LVを演算してもよい。
【0126】
第1実施形態のように、第1の色フィルター4030の波長誤差Δλ1の輝度計4000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS1(λ)、第2の色フィルター4031の波長誤差Δλ2の輝度計4000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS2(λ)及び第3の色フィルター4032の波長誤差Δλ3の輝度計4000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS3(λ)が打ち消しあうように演算機構4052により重みづけが行われてもよい。第1実施形態の第2変形例のように、影響ΔS1(λ)、影響ΔS2(λ)及び影響ΔS3(λ)が打ち消しあうように増幅機構4050により重みづけが行われてもよい。
【0127】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、輝度計4000の生産費用を増加させることなく輝度計4000の相対分光応答度の分光比視感度からの外れを小さくできる。
【0128】
8 第5実施形態
第5実施形態は、色彩輝度計に関する。色彩輝度計は、光源の色彩及び輝度を測定する測定器である。
【0129】
8.1 色彩輝度計のハードウェア
図12の模式図は、第5実施形態の色彩輝度計を示す。
【0130】
図12に示されるように、色彩輝度計5000は、対物レンズ5010、視野絞り5011、バンドルファイバー5012、色フィルター群5013X、受光センサー群5014X、導出機構5015X、色フィルター群5013Y、受光センサー群5014Y、導出機構5015Y、色フィルター群5013Z、受光センサー群5014Z、導出機構5015Z、ミラー5016及びファインダー系5017を備える。色フィルター群5013X、色フィルター群5013Y及び色フィルター群5013Zの各々は、第1の色フィルター5030及び第2の色フィルター5031を備える。受光センサー群5014X、受光センサー群5014Y及び受光センサー群5014Zの各々は、第1の受光センサー5040及び第2の受光センサー5041を備える。導出機構5015X、導出機構5015Y及び導出機構5015Zの各々は、増幅機構5050、変換機構5051及び演算機構5052を備える。増幅機構5050は、第1の増幅回路5060及び第2の増幅回路5061を備える。変換機構5051は、第1の変換回路5070及び第2の変換回路5071を備える。
【0131】
第5実施形態の対物レンズ5010、視野絞り5011、ミラー5016及びファインダー系5017は、それぞれ、第1実施形態の対物レンズ1010、視野絞り1011、ミラー1016及びファインダー系1017と同じものである。
【0132】
視野絞り5011により制限された光線束5100は、バンドルファイバー5012の入射端5110に入射する。入射した光線束5100は、バンドルファイバー5012により分岐させられる。分岐により得られる光線束5120X、光線束5121X、光線束5120Y、光線束5121Y、光線束5120Z及び光線束5121Zは、それぞれ、バンドルファイバー5012の出射端5130X、出射端5131X、出射端5130Y、出射端5131Y、出射端5130Z及び出射端5131Zから出射する。
【0133】
以下では、刺激値Xを得るための構成について説明する。刺激値Xを得るための構成についての説明は、その説明中の「X」及び「x」をそれぞれ「Y」及び「y」に読み替えることにより刺激値Yを得るための構成についての説明になり、その説明中の「X」及び「x」をそれぞれ「Z」及び「z」に読み替えることにより刺激値Zを得るための構成についての説明になる。
【0134】
出射した第1の光線束5120X及び第2の光線束5121Xは、それぞれ、色フィルター群5013Xに属する第1の色フィルター5030及び第2の色フィルター5031を透過する。透過した第1の光線束5120X及び第2の光線束5121Xは、それぞれ、受光センサー群5014Xに属する第1の受光センサー5040及び第2の受光センサー5041に受光される。受光センサー群5014Xに属する第1の受光センサー5040及び第2の受光センサー5041は、それぞれ、受光した第1の光線束5120X及び第2の光線束5121Xに応じた第1の電気信号及び第2の電気信号を出力する。
【0135】
導出機構5015Xは、測定される光線束5080の分光分布に応じた刺激値Xを第1の電気信号及び第2の電気信号から導出する。第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、導出機構5015Xに属する第1の増幅回路5060及び第2の増幅回路5061により増幅される。増幅された第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、導出機構5015Xに属する第1の変換回路5070及び第2の変換回路5071により第1の信号値SX1及び第2の信号値SX2にアナログ/デジタル変換される。導出機構5015Xに属する演算機構5052は、マイクロコンピューターなどであり、第1の信号値SX1及び第2の信号値SX2から輝度値LVを演算する。
【0136】
色フィルター群5013Xに属する第1の色フィルター5030により実現される相対分光応答度S1X(λ)及び色フィルター群5013Xに属する第2の色フィルター5031により実現される相対分光応答度S2X(λ)の各々は、等色関数のx成分に近似させられる。
【0137】
8.2 色彩輝度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
第5実施形態においては、色フィルター群5013Xに属する第1の色フィルター5030の波長誤差Δλ1Xの色彩輝度計5000の相対分光応答度S0X(λ)への影響ΔS1X(λ)及び色フィルター群5013Xに属する第2の色フィルター5031の波長誤差Δλ2Xの色彩輝度計5000の相対分光応答度S0X(λ)への影響ΔS2X(λ)が打ち消しあうように、演算機構5052又は増幅機構5050により重みづけが行われる。色フィルター群5013Xにおいえ、波長誤差Δλ1X及び波長誤差Δλ2Xが打ち消しあうようにしてもよい。
【0138】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様に、色彩輝度計5000の生産費用を増加させることなく色彩輝度計5000の相対分光応答度の等色関数からの外れを小さくできる。
【0139】
9 第6実施形態
第6実施形態は、照度計に関する。照度計は、光源の照度を測定する測定器である。
【0140】
9.1 照度計のハードウェア
図13の模式図は、第6実施形態の照度計を示す。
【0141】
図13に示されるように、照度計6000は、拡散球6010、拡散板群6011、色フィルター群6012、受光センサー群6013及び導出機構6014を備える。拡散板群6011は、第1の拡散板6020、第2の拡散板6021及び第3の拡散板6022を備える。色フィルター群6012は、第1の色フィルター6030、第2の色フィルター6031及び第3の色フィルター6032を備える。受光センサー群6013は、第1の受光センサー6040、第2の受光センサー6041及び第3の受光センサー6042を備える。導出機構6014は、増幅機構6050、変換機構6051及び演算機構6052を備える。増幅機構6050は、第1の増幅回路6060、第2の増幅回路6061及び第3の増幅回路6062を備える。変換機構6051は、第1の変換回路6070、第2の変換回路6071及び第3の変換回路6072を備える。
【0142】
拡散球6010は透過型の拡散部材として機能するため、測定される光線束6080は、拡散球6010を透過する際に拡散球6010により拡散させられる。これにより、測定される光線束6080が拡散球6010により分岐させられる。分岐により得られる第1の光線束6090、第2の光線束6091及び第3の光線束6092は、それぞれ、第1の拡散板6020、第2の拡散板6021及び第3の拡散板6022へ向かう。半球状の拡散部材である拡散球6010が、半球状でない拡散部材に置き換えられてもよい。例えば、拡散球6010が、平板状の拡散板に置き換えられてもよい。
【0143】
第1の光線束6090、第2の光線束6091及び第3の光線束6092は、それぞれ、第1の拡散板6020、第2の拡散板6021及び第3の拡散板6022により拡散させられる。
【0144】
拡散させられた第1の光線束6090、第2の光線束6091及び第3の光線束6092は、それぞれ、第1の色フィルター6030、第2の色フィルター6031及び第3の色フィルター6032を透過する。透過した第1の光線束6090、第2の光線束6091及び第3の光線束6092は、それぞれ、第1の受光センサー6040、第2の受光センサー6041及び第3の受光センサー6042に受光される。第1の受光センサー6040、第2の受光センサー6041及び第3の受光センサー6042は、それぞれ、受光した第1の光線束6090、第2の光線束6091及び第3の光線束6092に応じた第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号を出力する。
【0145】
導出機構6014は、第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号から照度値IVを演算する。第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号は、それぞれ、第1の増幅回路6060、第2の増幅回路6061及び第3の増幅回路6062により増幅される。増幅された第1の電気信号、第2の電気信号及び第3の電気信号は、それぞれ、第1の変換回路6070、第2の変換回路6071及び第3の変換回路6072により第1の信号値S1、第2の信号値S2及び第3の信号値S3にアナログ/デジタル変換される。演算機構6052は、マイクロコンピューターなどであり、第1の信号値S1、第2の信号値S2及び第3の信号値S3から照度値IVを演算する。演算機構6052は、第1の係数C1、第2の係数C2及び第3の第3の係数C3を記憶しており、和S0=S1×C1+S2×C2+S3×C3に基づいて照度値IVを演算する。
【0146】
第1の色フィルター6030により実現される相対分光応答度S1(λ)、第2の色フィルター6031により実現される相対分光応答度S2(λ)及び第3の色フィルター6032により実現される相対分光応答度S3(λ)の各々は、標準比視感度V(λ)に近似させられる。
【0147】
9.2 照度計の相対分光応答度の標準比視感度からの外れの抑制
第6実施形態においては、第1の色フィルター6030の波長誤差Δλ1の照度計6000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS1(λ)、第2の色フィルター6031の波長誤差Δλ2の照度計6000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS2(λ)及び第3の色フィルター6032の波長誤差Δλ3の照度計6000の相対分光応答度S0(λ)への影響ΔS3(λ)が打ち消しあうように、演算機構6052又は増幅機構6050により重みづけが行われる。色フィルター群6012において波長誤差Δλ1、波長誤差Δλ2及び波長誤差Δλ3が打ち消しあうようにしてもよい。
【0148】
第6実施形態によれば、第1実施形態と同様に、照度計6000の生産費用を増加させることなく照度計6000の相対分光応答度の分光比視感度からの外れを小さくできる。
【0149】
10 第7実施形態
第7実施形態は、色彩計に関する。色彩計は、物体の色彩を測定する測定器である。
【0150】
10.1 色彩計のハードウェア
図14の模式図は、第7実施形態の色彩計を示す。
図15の模式図は、第7実施形態の色彩計が備える測定機構を示す。
図16の模式図は、第7実施形態の色彩計が備える反射光用の受光機構及びコントローラーを示す。
【0151】
図14に示されるように、色彩計7000は、測定機構7010及びコントローラー7011を備える。
図14及び
図15に示されるように、測定機構7010は、放射機構7020、光線束分離機構7021、結像機構7022、積分球7023、反射光用の受光機構7024及び参照光用の受光機構7025を備える。反射光用の受光機構7024は、
図16に示されるように、色フィルター群7030X、受光センサー群7031X、色フィルター群7030Y、受光センサー群7031Y、色フィルター群7030Z及び受光センサー群7031Zを備える。コントローラー7011は、
図16に示されるように、導出機構7040X、導出機構7040Y及び導出機構7040Zを備える。色フィルター群7030X、色フィルター群7030Y及び色フィルター群7030Zの各々は、第1の色フィルター7050及び第2の色フィルター7051を備える。受光センサー群7031X、受光センサー群7031Y及び受光センサー群7031Zの各々は、第1の受光センサー7060及び第2の受光センサー7061を備える。導出機構7040X、導出機構7040Y及び導出機構7040Zの各々は、増幅機構7070、変換機構7071及び演算機構7072を備える。増幅機構7070は、第1の増幅回路7080及び第2の増幅回路7081を備える。変換機構7071は、第1の変換回路7090及び第2の変換回路7091を備える。
【0152】
放射機構7020は、ランプ+反射傘+拡散板などであり、光線束を放射する。
【0153】
光線束分離機構7021は、ハーフミラー等である。結像機構7022は、レンズなどである。放射された光線束は、光線束分離機構7021により、照明光の光線束7100及び参照光の光線束7101に分離される。照明光の光線束7100は、結像機構7022により結像させられる。結像させられた照明光の光線束7100は、試料を照明する。
【0154】
積分球7023は反射型の拡散部材として機能するため、試料が照明光の光線束7100を反射することにより得られる測定される光線束7102は、積分球7023により反射される際に積分球7023により拡散反射される。これにより、測定される光線束7102が積分球7023により分岐させられ、光線束7110X、7111X、7110Y、7111Y、7110Z及び7111Zが得られる。球状の拡散部材である積分球7023が、球状でない反射型の拡散部材に置き換えられてもよい。
【0155】
以下では、刺激値Xを得るための構成について説明する。刺激値Xを得るための構成についての説明は、その説明中の「X」及び「x」をそれぞれ「Y」及び「y」に読み替えることにより刺激値Yを得るための構成についての説明になり、その説明中の「X」及び「x」をそれぞれ「Z」及び「z」に読み替えることにより刺激値Zを得るための構成についての説明になる。
【0156】
第1の光線束7110X及び第2の光線束7111Xは、それぞれ、色フィルター群7030Xに属する第1の色フィルター7050及び第2の色フィルター7051を透過する。透過した第1の光線束7110X及び第2の光線束7111Xは、それぞれ、受光センサー群7031Xに属する第1の受光センサー7060及び第2の受光センサー7061に受光される。受光センサー群7031Xに属する第1の受光センサー7060及び第2の受光センサー7061は、それぞれ、受光した第1の光線束7110X及び第2の光線束7111Xに応じた第1の電気信号及び第2の電気信号を出力する。
【0157】
導出機構7040Xは、測定される光線束7102の分光分布に応じた刺激値Xを第1の電気信号及び第2の電気信号から導出する。第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、導出機構7040Xに属する第1の増幅回路7080及び第2の増幅回路7081により増幅される。増幅された第1の電気信号及び第2の電気信号は、それぞれ、導出機構7040Xに属する第1の変換回路7090及び第2の変換回路7091により第1の信号値SX1及び第2の信号値SX2に変換される。導出機構7040Xに属する演算機構7072は、マイクロコンピューターなどであり、第1の信号値SX1及び第2の信号値SX2から刺激値Xを演算する。
【0158】
色フィルター群7030Xに属する第1の色フィルター7050により実現される相対分光応答度S1X(λ)及び色フィルター群7030Xに属する第2の色フィルター7051により実現される相対分光応答度S2X(λ)の各々は、等色関数のx成分に近似させられる。
【0159】
10.2 色彩計の相対分光応答度の等色関数からの外れの抑制
第7実施形態においては、色フィルター群7030Xに属する第1の色フィルター7050の波長誤差Δλ1の色彩計6000の相対分光応答度への影響及び色フィルター群7030Xに属する第2の色フィルター7051の波長誤差Δλ2の色彩計のx成分の相対分光応答度への影響が打ち消しあうように、演算機構7072又は増幅機構7070により重みづけが行われる。色フィルター群7030Xにおいて波長誤差Δλ1及び波長誤差Δλ2が打ち消しあうようにしてもよい。
【0160】
第7実施形態によれば、第1実施形態と同様に、色彩計7000の生産費用を増加させることなく色彩計7000の相対分光応答度の等色関数からの外れを小さくできる。