【文献】
山元 翔、外4名,“作問学習支援システムモンサクンのオンライン・タブレット化と実践運用 一般教室での教師による運用を指向して”,「先進的学習科学と工学研究会資料(第64回) 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B103」,日本,社団法人人工知能学会,2012年 3月 7日,pp.25-31,ISSN:1349-4104
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記クライアント端末において、前記問題が提示されてから解答が入力されるまでの経過時間に応じて、1以上の前記関連問題を順次提示するよう制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
前記制御部は、前記関連問題に対する解答の正誤、または前記問題に対する解答の正誤の少なくともいずれかに基づいて、次の問題で提示する関連問題を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
前記算出部は、前記問題に紐付けられた所定の思考回路種別と、前記関連問題に対する解答に基づいて学習者が前記問題に解答する際に使用したと推定される思考回路種別とが一致するか否かに応じて、前記問題の理解度を算出する、請求項2に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態による学習支援システムの概要
2.構成
2−1.ユーザ端末の構成
2−2.サーバの構成
3.動作処理
3−1.出題制御処理
3−2.各問題の表示制御処理
4.まとめ
【0016】
<<1.本開示の一実施形態による学習支援システムの概要>>
本開示の一実施形態による学習支援システムは、コンピュータを用いて学習者に問題の提示を行う際に、問題と、当該問題の正解を導くための所定の関連問題を経過時間に応じて順次提示し、関連問題の解答に応じて次に提示する問題を決定する。
【0017】
(背景)
上述したように、IRTを用いて学習者の実力を正確に測るためには大量の問題を学習者に解かせる必要があるが、近年の世界各国の教育環境において出題傾向にある、思考力、判断力、表現力等を問う分量の多い問題を大量に解くことは学習者に大きな負担となる。また、分量の多い問題を大量に作成することは、問題作成者(例えば先生、講師)にとっても大きな負担となる。また、思考力、判断力、表現力等を問う問題では、解答に至るまでの途中経過も考慮しなければ学習者の正確な実力、理解度を把握することは困難であった。
【0018】
また、近年の情報技術の進化により、コンピュータを利用したテスト方式(CBT ;Computer Based Test)が実現され、物理的に一カ所に集まることなく、世界各国で一斉にテストを行うことが可能となったが、上述したような分量の多い問題は一問一答式で正確な評価をすることが難しく、CBT化が困難であった。
【0019】
そこで、本実施形態による学習支援システムは、テスト問題を学習者に提示する際に、問題の正解を導くための1以上の関連問題を経過時間に応じて提示し、当該関連問題に対する解答に応じて次の問題を決定することで、学習効率を向上させることが可能となる。具体的には、関連問題に対する解答に基づいて、分量の多い問題であっても学習者の解答へ至るまでの途中経過を細分化して評価することができ、学習者の理解度をより正確に把握することが可能となる。したがって、本実施形態による学習支援システムは、例えば提示した1以上の関連問題が全て正解している場合は学習者の問題に対する理解が十分である場合と判断し、次は異なる類型の問題を出すよう制御することができる。また、思考力、判断力、表現力等を問う分量の多い問題において解答に至る途中経過を細分化して評価できるため、分量の多い問題を大量に出題することなく、IRTの適用やCBT化が容易となる。
【0020】
このような本実施形態による学習支援システムの全体構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態による学習支援システムの全体構成を説明する図である。図示された例では、ユーザ端末1とサーバ2がネットワーク3を介して接続されている。ユーザ端末1は情報通信端末であって、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートフォン、または、HMD(Head Mounted Display)、スマートウォッチ、スマートバンド、若しくはスマートアイグラス(透過式メガネ型端末)等のウェアラブル端末により実現され得る。ユーザ端末1は、学習者の他、テスト問題の作成者にも利用され得る。
図1では一例として、ノート型PCのユーザ端末1A、1B、タブレット端末のユーザ端末1C、デスクトップ型PCのユーザ端末1Dを挙げている。また、ユーザ端末1は、有線または無線によりネットワーク3に接続し、ネットワーク上のサーバ2とデータの送受信を行う。例えばユーザ端末1は、サーバ2から受信した問題データを画面に表示し、また、学習者に入力された解答データをサーバ2へ送信する。
【0021】
サーバ2は、問題データを格納するデータベースを有する。問題データは、例えばユーザ端末1を用いて作成者により作成され、ネットワーク3を介してサーバ2に送信される。本明細書において、「問題データ」とは、テストに含まれる1以上の問題データと、各問題データに対応するその問題の正解データ、解説データ、関連情報とを含む。関連情報とは、上述したように、問題の正解へ導くための関連問題(クイズ形式のヒントであって、以下、ミニクイズとも称す)またはヒントである。サーバ2は、ユーザ端末1からのアクセスに応じて、問題データおよび関連情報をユーザ端末1へ送信する。
【0022】
また、サーバ2は、ユーザ端末1から受信した解答データに基づいて問題の採点処理を行う。さらに、本実施形態によるサーバ2は、問題の解答に至るまでの過程で提示したミニクイズに対する学習者の解答に基づいて学習者の理解度を算出し得る。また、サーバ2は、ミニクイズに対する解答に基づいて次に提示する問題を決定することで、学習効率を向上させることが可能である。
【0023】
以上、本開示の一実施形態による学習支援システムの概要について説明した。続いて、本実施形態による学習支援システムに含まれる各装置の構成について具体的に説明する。
【0024】
<<2.構成>>
<2−1.ユーザ端末の構成>
図2は、本実施形態によるユーザ端末1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、ユーザ端末1は、制御部10、通信部11、入力部12、出力部13、および記憶部14を含む。
【0025】
制御部10は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってユーザ端末1内の動作全般を制御する。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。例えば制御部10は、通信部11を介してサーバ2から受信した問題データを出力部13から出力するように制御し、また、入力部12から入力された解答データを通信部11を介してサーバ2に送信するよう制御する。若しくは、制御部10は、サーバ2から受信した問題作成画面を出力部13から出力するように制御し、また、入力部12から入力された問題データを通信部11を介してサーバ2に送信するよう制御する。
【0026】
通信部11は、有線/無線により他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。例えば通信部11は、ネットワーク3に接続してネットワーク上のサーバ2との間で通信を行う。例えば通信部11は、サーバ2から問題データを受信し、学習者に入力された回答データの送信を行う。
【0027】
入力部12は、外部からのユーザ端末1への情報入力を受付ける機能を有する。例えば入力部12は、タッチパネル、スイッチ、キーボード、マウス、ボタン、マイクロホン、カメラ、または各種センサ(例えば加速度センサ、位置センサ、または生体センサ等)により実現され得る。より具体的には、入力部12は、出力部13で提示した問題に対する解答データを取得し、制御部10へ送出する。
【0028】
出力部13は、映像、画像、または音声等により情報を出力する機能を有する。例えば出力部13は、表示部または/およびスピーカにより実現され、サーバ2から送信された問題データに基づいて問題提示画面を出力する。本実施形態による問題提示画面例については、
図9〜
図13を参照して後述する。また、出力部13は、問題作成画面を表示することも可能である。ユーザ端末1は、作成者がテスト問題を作成する際にも用いられ得る。ここで、
図3および
図4を参照して問題作成画面の一例について説明する。
【0029】
図3は、本実施形態による問題作成画面の一例を示す図である。図示された例では、画面30に、問題作成画面301、思考回路設定画面302、関連情報の作成ボタン303、および決定ボタン304が表示されている。問題作成画面301では、作成者によりテキストや図表が入力され、問題提示画面が生成される。また、問題作成画面301には、解答(正解データ)および解説を入力することも可能である。
図3に示す例では、問題作成画面301の下方の表に、マル・バツによる解答が入力されている。かかる解答は、学習者による解答確認時または教師による閲覧時に提示され得る。
【0030】
思考回路設定画面302は、当該問題で解答を導き出すために使うと想定される思考回路を設定するための画面である。問題を解くために使用する思考回路は特に限定しないが、例えば「ステップ回路」、「リバース回路」、「クリエイト回路」、「ノック回路」、および「スキャン回路」といった思考回路に分類することが想定される。「ステップ回路」とは、確かな理由から着実に答えを導き出す堅実な思考回路であって、不確かな道は進まない思考回路である。「リバース回路」とは、与えられた、若しくは想定した結果になるように考えていく思考回路であって、結果ありきで考えることで進むべき道が明らかになる思考回路である。「クリエイト回路」とは、形や見方を変えて自らヒントを生み出す発想転換型の思考回路であって、確かな理由を探る前に感覚的な気づきも時に必要となる思考回路である。「ノック回路」とは、考えられる可能性を当てはめて、それが正しいかどうかを確認して進めていく思考回路であって、一つ一つ検証しながら進めていく思考回路である。「スキャン回路」とは、情報をしっかり整理して必要な情報と不要な情報を見つける思考回路であって、問題の本質をしっかり見抜く思考回路である。本実施形態では、問題毎に設定された思考回路に応じて各問題を類型分けすることが可能である。また、問題毎に設定する思考回路は一つであってもよいし、複数であってもよい。
【0031】
関連情報の作成ボタン303は、ミニクイズまたはヒント等の問題の正解を導くための情報を作成するためのボタンである。ここで、
図4に、関連情報の作成画面例を示す。
【0032】
図4に示すように、作成ボタン303が選択されると画面30に関連情報作成画面310がポップアップ表示される。関連情報作成画面310は、関連情報入力欄311、ラベル設定欄312、正解への寄与度設定欄313および関連情報の出題順設定欄314を含む。関連情報入力欄311には、少なくともテキストまたは図表により関連情報としてミニクイズ(択一解答方式または自由入力解答方式)、ヒント(読んだことを確認するチェックボックス有り/無し)、読解確認クイズ(読んだことを確認するチェックボックス有り/無し)、または簡易アンケート(択一解答方式はまたは自由入力解答方式)が入力され得る。ラベル設定欄312では、関連情報が、例えばミニクイズ、ヒント、読解確認クイズ、または簡易アンケートのいずれであるかが設定される。例えばミニクイズラベルを選択した場合、関連情報入力欄311に入力された関連情報のうち、選択した所定個所(
図4に示す例では「4回目」と「5回目」の部分)を伏せたミニクイズが生成される。正解への寄与度設定欄313では、当該関連情報の正解へ導く寄与度(すなわちヒントの大きさ)が設定される。出題順設定欄314では、経過時間に応じて順次提示される当該関連情報の出題順(何番目に提示すべき関連情報であるか)が設定される。なお
図4には図示していないが、関連情報がミニクイズの場合、当該ミニクイズの解答を導き出すために使うと想定される思考回路(例えば「ステップ回路」、「リバース回路」、「クリエイト回路」、「ノック回路」、または「スキャン回路」)を設定するとも可能である。
【0033】
決定ボタン304は、問題の作成が終了した場合に選択されるボタンである。決定ボタン304が選択され、確定した問題データは、サーバ2へ送信され、問題データDB22に登録される。
【0034】
記憶部14は、制御部10の処理に用いられる各種プログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)により実現される。
【0035】
以上、本実施形態によるユーザ端末1の構成例について具体的に説明した。続いて、サーバ2の構成例について
図5を参照して説明する。
【0036】
<2−2.サーバの構成>
図5は、本実施形態によるサーバ2の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、サーバ2は、制御部20、通信部21、問題データDB(データベース)22、および理解度DB(データベース)23を含む。
【0037】
制御部20は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってサーバ2内の動作全般を制御する。制御部20は、例えばCPU、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、本実施形態による制御部20は、
図5に示すように、問題登録部201、提示制御部202、理解度算出部203、および採点部204として機能する。
【0038】
問題登録部201は、問題データを問題データDB22に記憶する機能を有する。問題データには、上述したように、テストに含まれる1以上の問題データと、各問題に対応する正解データ、解説データ、および関連情報を含む。
【0039】
提示制御部202は、問題データDB22に格納されている各種データを用いて、ユーザ端末1へ問題データの提示制御を行う。例えば提示制御部202は、問題データDB22から学習者に提示する(出題する)問題データを抽出し、通信部21を介してユーザ端末1へ送信するよう制御する。ユーザ端末1では、受信した問題データに基づいて出力部13に問題表示画面を出力する。また、提示制御部202は、問題表示画面が出力されてから解答が入力されるまでの経過時間に応じて、関連情報を順次出力するよう制御する。例えば提示制御部202は、問題データがユーザ端末1で学習者に提示されてからの経過時間に応じて通信部21を介して関連情報をユーザ端末1へ順次送信して提示するよう制御する。若しくは、提示制御部202は、1以上の関連情報を予めユーザ端末1へ送信し、ユーザ端末1の制御部10により、問題データが提示されてからの経過時間に応じて関連情報を順次提示するよう制御指示を行ってもよい。関連情報(具体的には、ミニクイズまたはヒント)は、例えば正解へ導く寄与度が小さいものから時間経過に応じて順に提示され得る。
【0040】
また、本実施形態による提示制御部202は、問題に対する学習者の解答、ミニクイズに対する学習者の解答、および学習者に提示したヒントの少なくともいずれかに基づいて、次に学習者に提示する問題を決定する。例えば、提示制御部202は、提示したミニテストの解答が正解で、問題の解答も正解である場合、学習者は当該問題を理解していると判断し、次に提示する問題は異なる類型の問題(例えば異なる思考回路を試す問題)に決定する。一方、提示制御部202は、提示したミニテストの解答が不正解の場合、若しくはミニテストの解答は正解であるが問題の解答が不正解である場合、学習者は当該問題を理解していない或いは些細なミスにより間違えたものと判断し、次も同様の類型の問題に決定する。これにより、理解が十分な学習者に同じ類型の問題を提示することを回避し、学習効率を向上させることができる。また、大量の問題を解かせることなく学習者の理解度をより正確に算出することが可能となる。
【0041】
さらに、提示制御部202は、学習者がどのミニクイズに正解したかに応じて、次に出題する問題で提示する関連情報を決定してもよい。例えば提示制御部202は、ミニテストに正解し、問題も正解だった場合、次の問題では同程度の寄与度のミニテストはスキップするよう制御してもよいし、寄与度のより小さいミニテストを提示するよう制御してもよい。また、例えば提示制御部202は、ミニテストに正解し、問題が不正解だった場合、次の問題では同程度の寄与度のミニテストを提示するよう制御する。また、例えば提示制御部202は、提示したミニテストが不正解で、問題も不正解の場合、次の問題では、より詳しい(正解へ導く寄与度がより大きい)ミニテストを提示するよう制御する。
【0042】
理解度算出部203は、問題に対する学習者の解答、ミニクイズに対する学習者の解答、および学習者に提示したヒント内容の少なくともいずれかに基づいて、学習者の当該問題に対する理解度を算出する。理解度は、理解度スコアとして数値化したものであってもよい。ここで、
図6を参照して本実施形態による理解度算出について説明する。
図6は、本実施形態による理解度算出方法について説明する図である。図示された例では、問題Qについて、ミニクイズq1、ミニクイズq2、およびミニクイズq3が設定されている場合に、提示したミニクイズの正誤と問題正誤に基づく理解度スコアの算出例が示される。ミニクイズq1〜q3は、問題の正解を導くものであって、時間経過に応じて順次提示される。
図6に示す例では、ミニクイズq1〜q3の正誤を「0(不正解)」「1(正解)」で示し、問題Qの正誤を「マル(正解)」「バツ(不正解)」で示す。また、ミニクイズq1〜q3は、時間経過に応じて提示される順に、正解へ導く寄与度が大きくなるものとする。
【0043】
例えば
図6のユーザ1の解答例で示すように、ミニクイズが1問も提示されることなく解答が入力され、入力された解答が正解であった場合、十分に理解できているものとし、理解度算出部203は、例えば理解度スコア90と算出する。また、ユーザ2の解答例で示すように、ミニクイズが1問提示されてこれに正解し、さらに問題に正解した場合、ヒントを1つ得て正解しているので、理解度はユーザ1よりも低い80と算出される。また、ユーザ3の解答例で示すように、ミニクイズが2問提示されてこれらに正解し、さらに問題に正解した場合、ヒントを2つ得て正解しているので、理解度スコアはユーザ2よりも低い70と算出される。また、ユーザ4の解答例で示すように、ミニクイズが3問提示されて正解し、さらに問題に正解した場合、ヒントを3つ得て正解しているので、理解度スコアはユーザ3よりも低い60と算出される。以上説明したユーザ2〜ユーザ4の解答例に基づく理解度算出では、ミニクイズが提示された数に応じて10づつスコアが減算されているが、理解度スコアの算出は本実施形態に限定されず、例えば提示された各ミニクイズの正解へ導く寄与度に応じた重み付けを加算した上で算出してもよい。すなわち、寄与度が大きいヒントを得て正解した場合、寄与度が小さいヒントを得て正解した場合よりも理解度スコアは低く算出される。
【0044】
また、
図6のユーザ5の解答例で示すように、ミニクイズが3問提示されたがこれらに全て不正解し、問題も不正解だった場合、理解が不十分であるとし、理解度算出部203は、例えば理解度スコア20と算出する。また、ユーザ6の解答例で示すように、ミニクイズq1は正解したがミニクイズq2、q3が不正解で、問題も不正解だった場合、ユーザ5よりは理解度が高いと言えるが以前不十分であるため、理解度スコアは30と算出される。また、ユーザ7の解答例で示すように、ミニクイズq1、q2は正解したがミニクイズq3が不正解で、問題も不正解だった場合、理解度スコアはユーザ6よりも高い40と算出される。また、ユーザ8の解答例で示すように、ミニクイズq1、q2、q3は正解したが、問題は不正解だった場合、理解度スコアはユーザ7よりも高い50と算出される。以上説明したユーザ5〜ユーザ8の解答例に基づく理解度算出では、いずれもミニクイズが3つ提示された場合に正誤に応じて10づつスコアが変化しているが、理解度スコアの算出は本実施形態に限定されず、例えば提示された各ミニクイズの正解へ導く寄与度に応じた重み付けを加算した上でスコアを変化させてもよい。より具体的には、例えば寄与度が大きいミニクイズに正解して問題の解答が不正解であった場合、同ミニクイズに不正解で問題の解答も不正解であった場合よりも理解度スコアは高く算出される。
【0045】
以上、提示したミニクイズの正誤と問題正誤に基づく理解度スコアの算出例について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば理解度算出部203は、問題の解答および/またはミニクイズの解答から学習者が使用した思考回路を推定し、最適な思考回路(例えば問題作成時に設定した思考回路)が使用されたか否かに基づいて、理解度を算出してもよい。
【0046】
採点部204は、問題データDB22に格納された正解データを参照して、ユーザ端末1から送信された問題に対する解答の正誤を判断し、1以上の問題を含むテストの点数を算出する。採点部204は、理解度の算出とは別にテストの点数を算出するため、例えば
図6に示す例では、いずれも問題に正解しているため同等の加点処理を行う。なお本実施形態による採点処理はこれに限定されず、例えば採点部204は、理解度算出部203により算出された問題毎の理解度に応じて重み付けを行った上で点数を算出してもよい。
【0047】
通信部21は、有線/無線により他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。例えば通信部21は、ネットワーク3に接続してユーザ端末1との間で通信を行う。例えば通信部21は、ユーザ端末1へ問題データを送信し、また、学習者に入力された回答データをユーザ端末1から受信する。
【0048】
問題データDB22は、問題データを格納する記憶部である。格納される問題データは、テストに含まれる1以上の問題データと、各問題データに対応するその問題の正解データ、解説データ、関連情報とが含まれる。
【0049】
理解度DB23は、理解度算出部203により算出された理解度を格納する記憶部である。
【0050】
以上、本実施形態によるサーバ2の構成例について具体的に説明した。なおサーバ2の構成例は
図3に示す例に限定されず、例えば各種データベース(問題データDB22または理解度DB23)は、サーバ2と接続する外部装置にあってもよい。
【0051】
<<3.動作処理>>
<3−1.出題制御処理>
続いて、本実施形態による動作処理について説明する。
図7は、本実施形態による出題制御処理について示すフローチャートである。
【0052】
図7に示すように、まず、サーバ2は、ユーザ端末1に対して各問題の表示制御を行う(ステップS103)。例えばサーバ2は、ユーザ端末1で1問ずつ表示(出題)するよう制御し、全問終了するまで上記表示制御を繰り返す(ステップS106)。
【0053】
次に、全問終了した場合(ステップS106/Yes)、サーバ2は、ユーザ端末1から送信された問題に対する解答データに基づいて、採点処理を行う(ステップS109)。具体的には、サーバ2は、採点部204により、ユーザ端末1から送信された問題に対する解答データについて、問題データDB22に格納されている正解データを参照して問題の正誤を確認し、点数の算出を行う。
【0054】
以上、本実施形態による出題制御処理について具体的に説明した。続いて、上記S103に示す各問題の表示制御について
図8を参照して説明する。
【0055】
<3−2.各問題の表示制御処理>
図8は、本実施形態による各問題の表示制御処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、サーバ2は、提示制御部202により、ユーザ端末1で問題提示画面の表示を行うよう制御する(ステップS203)。
【0056】
次に、サーバ2は、ユーザ端末1において問題の解答が入力されるまでの時間をカウントし、解答が入力されない時間が所定時間経過したか否かを判断する(ステップS206/No、S209)。
【0057】
次いで、解答が入力されずに所定時間経過した場合(ステップS209/Yes)、サーバ2の提示制御部202は、経過時間に応じて所定のミニクイズまたはヒント等の関連情報をユーザ端末1で表示するよう制御する(ステップS212)。関連情報は、問題の正解へ導くものであって、学習者は、関連情報を確認することで問題解答への糸口を得ることができる。
【0058】
続いて、サーバ2は、ユーザ端末1でミニクイズを提示した場合には当該ミニクイズに対する解答を取得する(ステップS215)。
【0059】
その後、以前解答が入力されずに、さらに所定時間経過した場合、提示制御部202は、次の関連情報を表示するよう制御し、ミニクイズを提示した場合には当該ミニクイズの解答を取得する(ステップS206、S209〜215)。このように、提示制御部202は、問題の解答が入力されるまで(ステップS206)、経過時間に応じて関連情報を順次表示し(ステップS209〜215の繰り返し)、学習者へ問題解決のヒントを与える。ここで、
図9〜
図11を参照して本実施形態による問題提示画面および関連情報提示画面の具体例について説明する。
【0060】
図9は、本実施形態による問題提示画面例について説明する図である。図示された例では、画面40に、問題401、および解答欄402、403が表示されている。学習者は、問題401を確認して問題を解き、解答を解答欄402、403に入力する。解答欄402、403に入力された解答は、問題に対する解答データとしてユーザ端末1からサーバ2へ送信される。
【0061】
本実施形態では、問題401を表示してから所定時間経過しても解答欄402、403に解答が入力されない場合、サーバ2の提示制御部202により、問題401の解答を導くための関連情報が経過時間に応じて順次表示される。関連情報を表示する時間軸の順番は、
図4を参照して説明したように出題順設定欄314によって設定され得る。出題順は、通常、正解への寄与度が小さいものから順に設定され得る。
【0062】
具体的には、例えば
図10に示すように、関連情報の一例であるミニクイズ410が画面40にポップアップ表示される。ミニクイズ410は、解答欄411を含み、解答欄411に入力された解答は、ミニクイズ410に対する解答データとしてユーザ端末1からサーバ2へ送信される。
【0063】
次いで、ミニクイズ410を解いた後も所定時間学習者が問題の解答を入力しない場合、サーバ2の提示制御部202は、ミニクイズ410よりも正解への寄与度が大きい次の関連情報を提示するよう制御する。具体的には、例えば
図11に示すように、関連情報の一例であるミニクイズ420が画面40にポップアップ表示される。ミニクイズ420は、解答欄421、422、423を含み、解答欄421、422、423に入力された解答は、ミニクイズ420に対する解答データとしてユーザ端末1からサーバ2へ送信される。
【0064】
続いて、ミニクイズ420を解いた後も所定時間学習者が問題の解答を入力しない場合、サーバ2の提示制御部202は、ミニクイズ420よりも正解への寄与度が大きい次の関連情報を提示するよう制御する。具体的には、例えば
図12に示すように、関連情報の一例であるヒント430が画面40にポップアップ表示される。なお
図12には図示されていないが、430には、ヒントを読んだことを確認するチェックボックスが含まれていてもよい。
【0065】
以上、問題提示画面例および関連情報提示画面例について具体例を説明した。
【0066】
次に、
図8に戻り、問題の解答が入力された場合(ステップS206/Yes)、サーバ2の提示制御部202は、ユーザ端末1においてアンケート入力画面を表示するよう制御する(ステップS218)。アンケート入力画面では、学習者に対して、例えば現在解いた問題が難しかったか否かといった難易度の心証が確認され得る。ここで、
図13を参照してアンケート入力画面の具体例について説明する。
【0067】
図13は、本実施形態によるアンケート入力画面例を説明する図である。図示された例では、アンケート入力画面440が画面40にポップアップ表示されている。アンケート入力画面440は、Yesボタン441およびNoボタン442を含み、解答に自信があるか否かを学習者にYes/Noを選択させる。選択された情報は、アンケート結果としてユーザ端末1からサーバ2へ送信される。
図13に示す例では、「解答に自信がありますか?」と表示されているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば「問題は難しかったですか?」といったように、問題に対する学習者の心証を直接確認するものであってもよい。また、アンケートの方式は、
図13に示すようなYes/Noの選択に限られず、択一方式や自由入力方式であってもよい。
【0068】
続いて、サーバ2の提示制御部202は、学習者による問題の解答内容、およびミニクイズの解答内容に応じて、次に提示する問題を決定する(ステップS221)。具体的には、例えば提示制御部202は、問題の正誤、およびミニクイズの正誤に基づいて、次も同じ類型の問題(例えば問題を解く際に利用すると想定される思考回路が同じ問題)を提示するか、他の類型の問題を提示するかを決定する。また、提示制御部202は、問題の正誤、およびミニクイズの正誤に基づいて、次に提示する問題で提示する関連情報を決定してもよい。具体的には、例えば提示制御部202は、今回の問題で正解したミニクイズと同程度の寄与度の関連情報は次の問題ではスキップしたり、今回の問題が不正解であった場合は次の問題ではさらに寄与度の高い関連情報を提示したりする。なお提示制御部202は、問題の解答時間の長さ、提示した関連情報の寄与度の高さ、次のステップで算出される問題の理解度、およびアンケート結果のうち少なくともいずれかをさらに用いて、次に提示する問題を決定してもよい。
【0069】
次いで、サーバ2の理解度算出部203は、問題の理解度の算出を行う(ステップS224)。具体的には、例えば理解度算出部203は、学習者による問題の解答内容、およびミニクイズの解答内容に基づいて、問題の理解度を算出し得る。算出された理解度は理解度DB23に保存され、学習者本人や教師側、テスト実施者側に必要に応じて送信される。
【0070】
<<4.まとめ>>
以上、
図1〜
図13を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明した。上述したように、本開示の実施形態による学習支援システムでは、問題の正解を導くためのミニクイズの解答に応じて次の問題を決定することで、学習効率を向上させることが可能となる。
【0071】
また、問題の正解を導くためのミニクイズを解かせることで、問題の内容に対する理解度をより正確に算出することができる。すなわち、問題数が少なくても各問題で1以上のミニクイズを提示することで、理解度にバラつきがあるスコアを付けることが可能となる。また、理解度がバラつくと、次の問題を決定する際の自由度が上がる。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0073】
例えば、上述したユーザ端末1、またはサーバ2に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、ユーザ端末1、またはサーバ2の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【0074】
また、上述した実施形態では、経過時間に応じて関連情報(ミニクイズを含む)を順次提示する旨を説明したが、本実施形態はこれに限定されず、途中で提示方法の設定を変更することも可能である。例えば、サーバ2の提示制御部202は、学習者が既に解いた問題の正誤やミニクイズの正誤に応じて、関連情報を提示する時間間隔を変更することが可能である。また、関連情報を提示する時間間隔は、学習者またはテスト出題者等のユーザにより設定、変更されてもよい。
【0075】
また、サーバ2の提示制御部202は、問題提示画面に「わからないボタン」を表示し、当該ボタンが選択された場合に関連情報を提示するよう制御してもよい。
【0076】
また、サーバ2の提示制御部202は、提示したミニクイズに対する解答の正誤に応じて次に提示する関連情報を決定してもよい。例えば提示制御部202は、ミニクイズの解答が不正解である場合、さらに簡単な(すなわち、正解を導く寄与度が高い)ヒントまたはミニクイズ等の関連情報を提示するよう制御してもよい。
【0077】
また、
図5に示すサーバ2の制御部20の機能構成の一部がユーザ端末1側にあってもよい。
【0078】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0079】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
問題と、時間の経過と共に提示され、前記問題の解答を導く関連問題とを、クライアント端末へ送信し、前記クライアント端末から前記関連問題に対する解答を受信する通信部と、
前記関連問題に対する解答に基づいて、次に送信する問題を決定する制御部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記情報処理装置は、
前記関連問題に対する解答に基づいて前記問題の理解度を算出する算出部をさらに備える、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記算出部は、さらに前記問題に対する解答に基づいて前記問題の理解度を算出する、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記情報処理装置は、
前記問題に対する解答と、問題データ記憶部に予め記憶された正解データに基づいて、1以上の前記問題を含むテスト問題の点数を算出する採点部をさらに備える、前記(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記制御部は、さらに前記問題に対する解答に基づいて、次に送信する問題を決定する、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(6)
前記通信部は、時間の経過と共に提示され、前記問題に解答するために必要なヒントを前記クライアント端末へ送信し、
前記制御部は、前記クライアント端末で提示された関連問題に対する解答、および提示されたヒントに基づいて、次に送信する問題を決定する、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(7)
前記制御部は、前記クライアント端末において、前記問題が提示されてから解答が入力されるまでの経過時間に応じて、1以上の前記関連問題を順次提示するよう制御する、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)
前記制御部は、前記関連問題に対する解答の正誤、または前記問題に対する解答の正誤の少なくともいずれかに基づいて、次の問題で提示する関連問題を決定する、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)
前記制御部は、各関連問題に設定された正解へ導く寄与度を考慮して次の問題で提示する関連問題を決定する、前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)
各問題には、問題を解く際に使うことが想定される所定の思考回路種別が紐付けられ、
前記制御部は、前記関連問題に対する解答の正誤に基づいて、前記問題に紐付けられた思考回路種別と同じまたは異なる思考回路種別が紐付けられた問題を次の問題として決定する、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(11)
前記算出部は、前記問題に紐付けられた所定の思考回路種別と、前記関連問題に対する解答に基づいて学習者が前記問題に解答する際に使用したと推定される思考回路種別とが一致するか否かに応じて、前記問題の理解度を算出する、前記(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(12)
プロセッサが、
問題と、時間の経過と共に提示され、前記問題の解答を導く関連問題とを、クライアント端末へ送信し、前記クライアント端末から前記関連問題に対する解答を受信することと、
前記関連問題に対する解答に基づいて、次に送信する問題を決定することと、
を含む、情報処理方法。
(13)
コンピュータを、
問題と、時間の経過と共に提示され、前記問題の解答を導く関連問題とを、クライアント端末へ送信し、前記クライアント端末から前記関連問題に対する解答を受信する通信部と、
前記関連問題に対する解答に基づいて、次に送信する問題を決定する制御部と、
として機能させるための、プログラム。
(14)
問題と、時間の経過と共に提示され、前記問題の解答を導く関連問題とをサーバから受信し、前記関連問題に対する解答を前記サーバへ送信する通信部と、
問題を提示する提示部と、
時間の経過と共に、前記関連問題を前記提示部へ順次提示する制御部と、
を備え、
前記通信部は、前記関連問題に対する解答に基づいて決定された次の問題を受信する、
情報処理装置。