特許第6795002号(P6795002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795002
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   H02M3/28 H
   H02M3/28 E
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-28481(P2018-28481)
(22)【出願日】2018年2月21日
(65)【公開番号】特開2019-30209(P2019-30209A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2017-147616(P2017-147616)
(32)【優先日】2017年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】松浦 貞博
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−188083(JP,A)
【文献】 特開2012−10439(JP,A)
【文献】 特開2002−354802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスを含み、外部から供給される交流の入力電圧をスイッチング方式により直流の出力電圧へ変換する直流電源装置と、
シートに画像を形成する画像形成部を含み、前記直流電源装置から電力が供給される負荷機器と、
前記直流電源装置の前記トランスが予め定められたレベルを超えて振動する電源振動状態が発生していることを検出する振動検出装置と、
前記電源振動状態の検出結果に応じて前記直流電源装置内の信号を補正する補正装置と、を備え、
前記直流電源装置は、
出力電力に対する前記負荷機器の消費電力の相対的な大きさを検出し、検出結果を表す負荷検出信号を出力する負荷電力検出回路と、
前記入力電圧を整流し、一次直流電圧を出力する一次整流回路と、
前記負荷検出信号のレベルに応じて、デューティー比が予め定められた範囲で変化する連続パルス信号または休止信号を出力制御信号として生成し、前記出力制御信号に応じて、前記連続パルス信号に同期して前記一次直流電圧をスイッチングすることにより一次交流電圧を生成する状態と、前記休止信号に従って前記一次直流電圧のスイッチングを休止する状態とに切り替わる出力制御回路と、
前記トランスによって前記一次交流電圧から変換された二次交流電圧を整流することにより前記出力電圧を生成する二次整流回路と、を備え、
前記補正装置は、前記電源振動状態が前記振動検出装置によって検出されるごとに、前記出力制御信号を補正する補正状態と前記出力制御信号の補正を解除する解除状態とに切り替わる、画像形成装置。
【請求項2】
前記補正装置の前記補正状態および前記解除状態は、それぞれ前記負荷検出信号を補正する状態および前記負荷検出信号の補正を解除する状態であり、
前記出力制御回路は、前記補正状態において補正後の前記負荷検出信号のレベルに応じて前記出力制御信号を生成する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部が、外部装置からの信号の入力および操作器を通じた操作の受け付けを伴わずに、自動制御によって動作状態が変化する特定機器を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記特定機器がヒーターを含む、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記直流電源装置は、前記トランスが実装されているとともに前記トランスに対向する位置に開口が形成された電源基板を含み、
前記振動検出装置は、非接触で前記トランスの振動を検出する振動センサーを含み、
前記振動センサーは、前記開口を通じて前記トランスに対向する状態で、前記電源基板における前記トランスが実装されている第1面の反対の第2面に実装されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記直流電源装置は、前記トランスが実装されているとともに前記トランスに対向する位置に開口が形成された電源基板を含み、
前記振動検出装置は、非接触で前記トランスの振動を検出する振動センサー、および、前記振動センサーが実装されたセンサー基板を含む振動センサーユニットを備え、
前記振動センサーが前記開口を通じて前記トランスに対向する状態で、前記振動センサーユニットが前記電源基板における前記トランスが実装されている第1面の反対の第2面に実装されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置の振動を抑制できる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、交流の入力電圧を直流の出力電圧へ変換する直流電源装置と、前記直流電源装置から電力が供給される負荷機器とを備える。
【0003】
前記画像形成装置において、スイッチング方式の前記直流電源装置が採用される場合が多い。この場合、前記直流電源装置は、一次整流回路、スイッチング素子、トランスおよび二次整流回路などを備える。
【0004】
前記画像形成装置において、前記負荷機器は、シートに画像を形成する画像形成部を含む。前記画像形成部は、モーターおよび前記シート上のトナー像を加熱する定着ヒーターなどを含む。
【0005】
前記画像形成装置において、動作モードが省電力モードであるときに、前記スイッチング素子を間欠的に動作させることは、前記直流電源装置の消費電力の低減に寄与する。しかしながら、前記スイッチング素子の間欠動作の周波数が前記トランスの共振周波数と一致または近似すると、前記トランスが振動し、振動音が発生する。
【0006】
例えば、前記画像形成装置において、前記スイッチング素子の間欠動作の周波数が、自動制御によって既定周波数になるときに、前記スイッチング素子の間欠動作の周波数を切り替えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−188083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記直流電源装置の前記トランスにおいて実際に共振が発生する周波数帯域は、必ずしも前記トランス自体の共振周波数と一致しない。即ち、前記トランスの実際の共振周波数の帯域は、前記トランスの個体差および前記トランスが実装された基板全体の個体差などに応じて異なる。
【0009】
一方、前記直流電源装置ごとに前記トランスの実際の共振周波数を測定し、測定結果を前記スイッチング素子の制御パラメーターへ反映することは手間である。
【0010】
本発明の目的は、制御パラメーターの調整に手間を要することなく直流電源装置のトランスの振動音の発生を防止できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の局面に係る画像係装置は、直流電源装置と、負荷機器と、振動検出装置と、補正装置と、を備える。前記直流電源装置は、トランスを含み、外部から供給される交流の入力電圧をスイッチング方式により直流の出力電圧へ変換する。前記負荷機器は、シートに画像を形成する画像形成部を含み、前記直流電源装置から電力が供給される。前記振動検出装置は、前記直流電源装置の前記トランスが予め定められたレベルを超えて振動する電源振動状態が発生していることを検出する。前記補正装置は、前記電源振動状態の検出結果に応じて前記直流電源装置内の信号を補正する。前記直流電源装置は、負荷電力検出回路と、一次整流回路と、出力制御回路と、二次整流回路と、を備える。前記負荷電力検出回路は、出力電力に対する前記負荷機器の消費電力の相対的な大きさを検出し、検出結果を表す負荷検出信号を出力する。前記一次整流回路は、前記入力電圧を整流し、一次直流電圧を出力する。前記出力制御回路は、前記負荷検出信号のレベルに応じて、デューティー比が予め定められた範囲で変化する連続パルス信号または休止信号を出力制御信号として生成し、前記出力制御信号に応じて、前記連続パルス信号に同期して前記一次直流電圧をスイッチングすることにより一次交流電圧を生成する状態と、前記休止信号に従って前記一次直流電圧のスイッチングを休止する状態とに切り替わる。前記二次整流回路は、前記トランスによって前記一次交流電圧から変換された二次交流電圧を整流することにより前記出力電圧を生成する。前記補正装置は、前記電源振動状態が前記振動検出装置によって検出されるごとに、前記出力制御信号を補正する補正状態と前記出力制御信号の補正を解除する解除状態とに切り替わる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御パラメーターの調整に手間を要することなく直流電源装置のトランスの振動音の発生を防止できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置における給電回路の構成図である。
図3図3は、給電回路に含まれる振動抑制回路における各種の信号のタイムチャートである。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置における負荷が低下しているときの負荷検出信号の補正の例を示すグラフである。
図5図5は、実施形態に係る画像形成装置における振動センサーの取り付け構造の第1実施例の側面図。
図6図6は、実施形態に係る画像形成装置における振動センサーの取り付け構造の第1実施例の分解図。
図7図7は、実施形態に係る画像形成装置における振動センサーの取り付け構造の第2実施例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0015】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式で印刷処理を実行する画像形成部4を備える装置である。前記印刷処理は、シート9に画像を形成する処理である。シート9は、用紙または樹脂フィルムなどのシート状の画像形成媒体である。
【0016】
図1に示されるように、画像形成装置10は、本体100内に配置されたシート搬送機構3、画像形成部4、給電回路5および制御装置8を備える。制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、記憶装置82とを含む。さらに、画像形成装置10は、操作器8aおよび表示装置8bなども備える。CPU81は、集積回路によって実現されている。
【0017】
操作器8aおよび表示装置8bは、ユーザーインターフェイスである。操作器8aは、ユーザーの操作を受け付ける装置であり、例えば操作ボタンまたはタッチパネル装置などを含む。表示装置8bは、情報を表示する装置であり、例えば液晶パネルユニットなどを含む。
【0018】
CPU81は、予め記憶装置82に記憶されたプログラムを実行することにより、各種のデータ処理を実行し、さらに、画像形成装置10が備える電気機器を制御する。
【0019】
CPU81は、停止する前、およびスリープモードへ移行する前に、画像形成装置10の各種の状態を表す状態データを記憶装置82に記録する。さらに、CPU81は、起動したときに前記状態データを記憶装置82から取得し、前記状態データに基づいて各種の制御パラ-メータの初期値を設定する。
【0020】
なお、CPU81の代わりに、DSP(Digital Signal Processor)などの他のプロセッサーが採用されることも考えられる。
【0021】
記憶装置82は、コンピューター読み取り可能な不揮発性のメモリーである。例えば、記憶装置82がフラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方を含むことが考えられる。
【0022】
シート搬送機構3において、シート送出機構30が、シート収容部101に収容されたシート9を、シート搬送路300へ送り出し、複数組の搬送ローラー対31が、シート9をシート搬送路300に沿って搬送する。
【0023】
画像形成部4は、光走査ユニット40、感光体41、帯電装置42、現像装置43、トナー補給ユニット44、転写装置45、クリーニング装置46、定着装置47およびモーター400などを備える印刷処理装置である。
【0024】
ドラム状の感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。光走査ユニット40が、帯電した感光体41の表面にビーム光を走査することにより、感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0025】
現像装置43は、感光体41の表面にトナー90を供給することにより、前記静電潜像をトナー像へ現像する。転写装置45は、感光体41の表面の前記トナー像を、シート搬送路300を移動中のシート9に転写する。
【0026】
定着装置47は、シート9に転写された前記トナー像を加熱することにより、前記トナー像をシート9に定着させる。定着装置47は、前記トナー像を加熱する定着ヒーター470と、定着装置47の温度を検出するサーミスターなどの定着温度センサー471とを備える。定着温度センサー471は、定着ヒーター470のフィードバック制御に用いられる。
【0027】
クリーニング装置46は、感光体41の表面に残存するトナー90を除去する。トナー補給ユニット44は、未使用のトナー90を現像装置43へ補給する。
【0028】
モーター400は、シート搬送機構3、現像装置43、転写装置45および定着装置47などが備える回転体および感光体41を駆動する。
【0029】
図2に示されるように、給電回路5は、直流電源回路50を含む。直流電源回路50は、外部電源1000から供給される交流の入力電圧Va0をスイッチング方式により直流の出力電圧Vd2へ変換する回路である。直流電源回路50は、直流電源装置の一例である。外部電源1000は、例えば商用電源である。
【0030】
画像形成装置10は、通気ファン102および除湿ヒーター103などをさらに備える。通気ファン102は、モーターを内蔵し、本体100内を換気するファンである。除湿ヒーター103は、シート収容部101に収容されたシート9を加熱し、乾燥させる。除湿ヒーター103は、定着ヒーター470よりも消費電力の小さなヒーターである。
【0031】
画像形成装置10において、直流電源回路50から電力が供給される負荷機器は、画像形成部4、通気ファン102、除湿ヒーター103、制御装置8、操作器8aおよび表示装置8bなどを含む。
【0032】
CPU81は、画像形成部4、表示装置8b、通気ファン102および除湿ヒーター103などを制御する。
【0033】
さらに、CPU81は、前記負荷機器の動作モードを標準モードおよび前記標準モードよりも電力消費の小さな省電力モードの一方から他方へ移行させるモード制御を実行する。画像形成部4は、前記標準モードにおいて前記印刷処理を実行可能である。一方、画像形成部4は、前記省電力モードにおいては前記印刷処理を実行できない。
【0034】
CPU81は、画像形成部4および制御装置8を含む前記負荷機器の前記動作モードを前記標準モードから前記省電力モードへ移行させる際に、自らも通常モードからスリープモードへ移行する。CPU81は、前記スリープモードにおいて、前記通常モードより低速のクロックで動作し、制限された一部の処理のみ実行可能である。
【0035】
後述するように、直流電源回路50は、前記負荷機器の動作モードが前記省電力モードである場合に、前記動作モードが前記標準モードである場合よりも消費電力が小さな状態へ移行する。
【0036】
例えば、印刷ジョブが終了した後、印刷ジョブデータの受信および操作器8aに対する操作がない状態が予め定められた時間継続した場合に、CPU81は、前記負荷機器を前記標準モードから前記省電力モードへ移行させる。
【0037】
また、前記負荷機器が前記省電力モードで動作しているときに、予め定められた復帰イベントが発生した場合に、CPU81が前記スリープモードから前記通常モードへ移行し、さらに、CPU81が、前記負荷機器における他の機器を前記省電力モードから前記標準モードへ移行させる。前記復帰イベントは、例えば、前記印刷ジョブデータを受信したこと、または、操作器8aに対して何らかの操作が行われたことなどである。
【0038】
画像形成装置10は、前記省電力モードにおいても動作状態が変化し得る特定機器を含む。前記特定機器は、前記省電力モードにおいて、外部装置からの信号の入力および操作器8aを通じた操作の受け付けを伴わずに、自動制御によって動作状態が変化する機器である。前記外部装置は、例えば前記印刷ジョブデータを送信する情報処理装置などである。
【0039】
例えば、前記省電力モードにおいて、除湿ヒーター103および定着ヒーター470の一方または両方が、タイマー制御などによって作動する場合がある。
【0040】
前記省電力モードにおいて、定着ヒーター470は、定着装置47の予熱のために作動する。定着装置47の予熱は、新たな印刷ジョブが発生したときのファーストプリントタイムを短縮するために行われる。本実施形態において、除湿ヒーター103および定着ヒーター470が前記特定機器の一例である。
【0041】
除湿ヒーター103または定着ヒーター470のような前記特定機器が比較的消費電力の大きな動作状態へ移行した場合、直流電源回路50を動作させることが必要である。
【0042】
一方、前記負荷機器が前記特定機器を含む場合、前記省電力モードにおいて停止した直流電源回路50を、前記外部装置からの入力信号によって起動させることはできない。
【0043】
また、前記省電力モードにおいて停止した直流電源回路50を必要に応じて起動させるために、制御装置8などの他の機器の消費電力が増えること、および、直流電源回路50の起動に関する多くの機器が増えることは好ましくない。
【0044】
画像形成装置10の直流電源回路50は、前記省電力モードにおいて停止し、前記外部装置からの信号入力および操作の受け付けを伴わずに、簡素な構成によって起動可能な構成を備える。
【0045】
[直流電源回路50の構成]
図2に示されるように、直流電源回路50は、保護回路51、一次整流回路52、出力制御回路53、補助電解コンデンサー54、高周波トランス55、二次整流回路56および負荷フィードバック回路57などを含む。
【0046】
保護回路51は、過電流が流れることを防ぐヒューズ51a、過電圧が印加されることを防ぐバリスタ51bおよびノイズフィルター51cを含む。
【0047】
一次整流回路52は、入力電圧Va0を全波整流するブリッジ整流回路52aおよび全波整流後の電圧を平滑化する一次電解コンデンサー52bを含む。一次整流回路52は、入力電圧Va0を整流し、一次直流電圧Vd1を出力する。
【0048】
出力制御回路53は、一次直流電圧Vd1をスイッチングすることにより連続パルス状の一次交流電圧Vp1を生成する。高周波トランス55は、一次直流電圧Vd1を二次交流電圧Vp2へ変換する。
【0049】
出力制御回路53は、パルス幅変調回路53aおよびスイッチング素子53bを含む。出力制御回路53の詳細については講述する。例えば、パルス幅変調回路53aが一つの半導体素子であることが考えられる。
【0050】
二次整流回路56は、二次交流電圧Vp2を全波整流するダイオード56aおよび全波整流後の電圧を平滑化する二次電解コンデンサー56bを含む。二次整流回路56は、二次交流電圧Vp2を整流することにより直流の出力電圧Vd2を生成する。
【0051】
負荷フィードバック回路57は、シャントレギュレータ57a、フォトカプラ57b、負荷検出コンデンサー57cおよび定電流回路57dを含む。シャントレギュレータ57aおよびフォトカプラ57bの発光素子は、直流電源回路50の出力端に接続されている。
【0052】
フォトカプラ57bの受光素子および負荷検出コンデンサー57cは、直流電源回路50の一次側において電気的に並列に接続されている。なお、直流電源回路50の一次側は、高周波トランス55の入力側であり、直流電源回路50の二次側は、高周波トランス55の出力側である。前記負荷機器は、直流電源回路50の出力端に対して電気的に接続されている。
【0053】
定電流回路57dは、フォトカプラ57bの前記受光素子および負荷検出コンデンサー57cに対して電気的に直列に接続されている。なお、本実施形態における定電流回路57dは、パルス幅変調回路53aに内蔵されている。
【0054】
直流電源回路50の出力電圧Vd2が、前記負荷機器の消費電力の低下によって目標電圧を上回った場合、シャントレギュレータ57aおよびフォトカプラ57bがON状態となり、負荷検出コンデンサー57cの電圧が低下する。
【0055】
一方、直流電源回路50の出力電圧Vd2が、前記負荷機器の消費電力の増大によって前記目標電圧を下回った場合、シャントレギュレータ57aおよびフォトカプラ57bがOFF状態となり、負荷検出コンデンサー57cの電圧が、定電流回路57dから流れ込む電荷によって上昇する。
【0056】
従って、負荷検出コンデンサー57cの電圧レベルは、直流電源回路50の出力電力に対する前記負荷機器の消費電力の相対的な大きさを表す。負荷フィードバック回路57は、前記出力電力に対する前記負荷機器の消費電力の相対的な大きさを検出する負荷電力検出回路の一例である。
【0057】
以下の説明において、負荷検出コンデンサー57cの電圧レベルを表す信号のことを、負荷検出信号Ld0と称する。負荷検出信号Ld0は、パルス幅変調回路53aの入力信号の1つである。負荷フィードバック回路57は、負荷検出信号Ld0を出力する回路である。
【0058】
なお、シャントレギュレータ57aは、出力電圧Vd2を安定化させるレギュレータ素子の一例である。また、フォトカプラ57bは、シャントレギュレータ57aの動作状態を前記二次側から前記一次側へ帰還させる役割を果たす。
【0059】
出力制御回路53において、パルス幅変調回路53aは、負荷検出信号Ld0に応じてPWM(pulse width modulation)信号または休止信号を出力制御信号Sg0として生成する。
【0060】
前記PWM信号は、負荷検出信号Ld0に応じてデューティー比が調節された一定周波数の連続パルス信号である。出力制御回路53は、負荷検出信号Ld0のレベルに応じて、前記PWM信号のデューティー比を予め定められた下限から上限までの範囲内で調節する。
【0061】
前記休止信号はネガティブ信号である。即ち、前記休止信号が生成される状態は、前記PWM信号の出力が停止された状態である。出力制御回路53は、前記PWM信号のデューティー比を前記下限まで調節しても負荷検出信号Ld0のレベルが低下する場合に、前記休止信号を出力する。
【0062】
即ち、負荷検出信号Ld0のレベルが低下する場合、出力制御回路53は、前記PWM信号のデューティー比が前記下限に達するまでは、負荷検出信号Ld0のレベルに応じたデューティー比の前記PWM信号を出力制御信号Sg0として生成する。
【0063】
さらに、出力制御回路53は、前記PWM信号のデューティー比が前記下限に達した後は、負荷検出信号Ld0のレベルに応じた周期で、前記デューティー比が前記下限に調節された前記PWM信号と前記休止信号とを交互に出力制御信号Sg0として生成する。
【0064】
スイッチング素子53bは、出力制御信号Sg0をゲート信号として入力する電界効果トランジスタである。出力制御信号Sg0が前記PWM信号である場合、スイッチング素子53bは、前記PWM信号に同期して一次直流電圧Vd1をスイッチングすることにより一次交流電圧Vp1を生成する。
【0065】
スイッチング素子53bは、パルス幅変調回路53aによるPWM制御に従って、高周波トランス55に供給する電力を調節する。これにより、直流電源回路50の出力電圧Vd2が予め定められた一定の前記目標電圧に維持される。
【0066】
一方、出力制御信号Sg0が前記休止信号である場合、スイッチング素子53bは停止する。これにより、直流電源回路50の消費電力が大幅に低下する。
【0067】
また、前記負荷機器の動作モードが前記省電力モードである場合、パルス幅変調回路53aは、前記デューティー比が前記下限に調節された前記PWM信号と前記休止信号とを交互に出力制御信号Sg0としてスイッチング素子53bへ出力する。
【0068】
前記休止信号と前記デューティー比が前記下限に調節された前記PWM信号とが交互に出力制御信号Sg0としてスイッチング素子53bへ出力されると、スイッチング素子53bが間欠動作する。
【0069】
以上に示されるように、出力制御回路53のパルス幅変調回路53aは、負荷検出信号Ld0のレベルに応じて、デューティー比が予め定められた範囲で変化する前記PWM信号または前記休止信号を出力制御信号Sg0として生成する。
【0070】
さらに、出力制御回路53のスイッチング素子53bは、出力制御信号Sg0に応じて、前記PWM信号に同期して一次直流電圧Vd1をスイッチングすることにより一次交流電圧Vp1を生成する状態と、前記休止信号に従って一次直流電圧Vd1のスイッチングを休止する状態とに切り替わる。
【0071】
前記負荷機器の消費電力が小さい場合、出力制御回路53は、前記PWM信号に同期して一次直流電圧Vd1をスイッチングすることにより一次交流電圧Vp1を生成する状態と、前記休止信号に従って一次直流電圧Vd1のスイッチングを休止する状態とに切り替わる。
【0072】
前記負荷機器の前記動作モードが前記省電力モードであるときに、スイッチング素子53bを間欠的に動作させることは、直流電源回路50の消費電力の低減に寄与する。
【0073】
しかしながら、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が高周波トランス55の共振周波数と一致または近似すると、高周波トランス55が振動し、振動音が発生する。
【0074】
ところで、直流電源回路50の高周波トランス55において実際に共振が発生する周波数帯域は、必ずしも高周波トランス55自体の共振周波数と一致しない。即ち、高周波トランス55の実際の共振周波数の帯域は、高周波トランス55の個体差および高周波トランス55が実装された基板全体の個体差などに応じて異なる。
【0075】
一方、直流電源回路50ごとに高周波トランス55の実際の共振周波数を測定し、測定結果をスイッチング素子53bの制御パラメーターへ反映することは手間である。
【0076】
画像形成装置10は、後述する振動センサー7および振動抑制回路6を備えることにより、制御パラメーターの調整に手間を要することなく直流電源回路50の高周波トランス55の振動音の発生を防止できる。
【0077】
<振動センサー7>
振動センサー7は、高周波トランス55の振動を検出するセンサーである。例えば、振動センサー7が、給電回路5の一部品として基板に実装されていることが考えられる。
【0078】
振動センサー7が、圧電型センサー、動電型センサー、ストレインゲージ型センサー、渦電流型センサー、静電容量型センサーまたは光学型センサーであることが考えられる。
【0079】
<振動抑制回路6>
振動抑制回路6は、ピークホールド回路61、比較回路62、信号切替回路63および補正回路64を含む。
【0080】
図3に示されるように、ピークホールド回路61は、振動センサー7が出力する振動検出信号Sg1のピーク値を所定時間保持したピークホールド信号Sg2を出力する回路である。ピークホールド信号Sg2は、振動検出信号Sg1の振幅を表す。即ち、ピークホールド回路61は、振動検出信号Sg1の振幅を検出する回路である。
【0081】
比較回路62は、ピークホールド信号Sg2のレベルが予め定められたしきいレベルを超えたときにアクティブとなり、そうでない場合にネガティブとなる振動判定信号Sg3を出力する回路である。アクティブな振動判定信号Sg3は、高周波トランス55が予め定められたレベルを超えて振動する電源振動状態が発生していることを表す信号である。
【0082】
なお、振動センサー7、ピークホールド回路61および比較回路62は、前記電源振動状態が発生していることを検出する振動検出装置の一例である。
【0083】
信号切替回路63は、振動判定信号Sg3がネガティブからアクティブへ変化するごとに出力信号のON/OFFを反転させる信号である。振動判定信号Sg3の初期状態はネガティブである。以下、信号切替回路63の出力信号のことを補正信号Sg4と称する。
【0084】
補正回路64は、補正信号Sg4に従って負荷検出信号Ld0を補正する補正状態と負荷検出信号Ld0の補正を解除する解除状態とに切り替わる回路である。即ち、補正回路64は、補正信号Sg4がアクティブであるときに前記補正状態であり、補正信号Sg4がネガティブであるときに前記解除状態である。
【0085】
図4は、前記負荷機器の消費電力Pwoが低下しているときに、補正回路64が、前記解除状態から前記補正状態へ切り替わり、その後、さらに前記解除状態へ戻る様子を示す。図4は、補正回路64が、前記補正状態において、負荷検出信号Ld0を増大させる方向へ補正する例を示す。
【0086】
前述したように、前記負荷機器の消費電力Pwoが低下しているときに、前記休止信号と前記デューティー比が前記下限に調節された前記PWM信号とが、交互に出力制御信号Sg0としてパルス幅変調回路53aからスイッチング素子53bへ供給される。これにより、スイッチング素子53bが間欠動作する。
【0087】
スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が高周波トランス55の共振周波数の帯域に入ると、高周波トランス55が振動し始め、補正信号Sg4がネガティブからアクティブへ変化する。図4に示される例では、負荷検出信号Ld0が、補正信号Sg4の変化に応じて、補正回路64によって増大する方向へ補正される。
【0088】
負荷検出信号Ld0が補正されると、パルス幅変調回路53aの作用により、間接的に出力制御信号Sg0が補正される。具体的には、出力制御信号Sg0は、前記PWM信号および前記休止信号の切り替わりの周波数が変化するように補正される。
【0089】
信号切替回路63および補正回路64は、前記電源振動状態の検出結果に応じて前記直流電源回路50内の信号を補正する補正装置の一例である。信号切替回路63および補正回路64は、前記電源振動状態がピークホールド回路61および比較回路62によって検出されるごとに、出力制御信号Sg0を間接的に補正する前記補正状態と出力制御信号Sg0の補正を解除する前記解除状態とに切り替わる。
【0090】
本実施形態において、前記補正状態は、負荷検出信号Ld0を補正する状態であり、前記解除状態は、負荷検出信号Ld0の補正を解除する状態である。出力制御回路53は、前記補正状態において補正後の負荷検出信号Ld0のレベルに応じて出力制御信号Sg0を生成する。
【0091】
例えば、負荷検出信号Ld0が増大する方向へ補正される場合、出力制御信号Sg0が、前記休止信号および前記PWM信号の切り替わりの周波数が大きくなる方向へ補正される。これにより、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が大きくなる。
【0092】
高周波トランス55が振動し始めたときに出力制御信号Sg0が補正されると、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が高周波トランス55の共振周波数の帯域から外れる。これにより、高周波トランス55の振動が止まる。
【0093】
一方、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が大きくなることにより、直流電源回路50の出力電力が大きくなり、補正後の負荷検出信号Ld0のレベルがさらに低下する。これにより、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が、再び高周波トランス55の共振周波数の帯域に入る。これにより、補正信号Sg4がアクティブからネガティブへ変化し、補正回路64が前記解除状態に戻る。
【0094】
補正回路64が前記解除状態に戻ると、出力制御信号Sg0が、前記休止信号および前記PWM信号の切り替わりの周波数が小さくなる方向へ変化する。これにより、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が小さくなる。その結果、スイッチング素子53bの間欠動作の周波数が高周波トランス55の共振周波数の帯域から外れる。これにより、高周波トランス55の振動が止まる。
【0095】
図4において、破線は、振動抑制回路6による補正制御が行われなかった場合に高周波トランス55の振動が継続する期間を示す。出力制御信号Sg0が補正される期間、即ち、負荷検出信号Ld0が補正される期間において、直流電源回路50の消費電力が若干増大するが、高周波トランス55の振動が抑制される。
【0096】
なお、前記負荷機器が起動することにより前記負荷機器の消費電力Pwoが急激に増大する場合、通常、スイッチング素子53bが連続動作することにより、高周波トランス55の振動が生じない。仮に、前記負荷機器の消費電力Pwoが徐々に増大した場合、補正回路64は、消費電力Pwoが低下する場合と逆の順序で状態が変化する。
【0097】
画像形成装置10においては、直流電源回路50ごとに高周波トランス55の実際の共振周波数を測定し、測定結果をスイッチング素子53bの制御パラメーターへ反映する作業は不要である。
【0098】
従って、画像形成装置10が採用されれば、前記制御パラメーターの調整に手間を要することなく高周波トランス55の振動音の発生を防止できる。
【0099】
[応用例]
以上に示された画像形成装置10の振動抑制回路6において、補正回路64が、前記補正状態において、負荷検出信号Ld0を低減する方向へ補正することも考えられる。
【0100】
[振動センサー7の取り付け構造の第1実施例]
次に、図5,6を参照しつつ、振動センサー7の取り付け構造の第1実施例について説明する。
【0101】
第1実施例において、前記振動検出装置は、振動センサー7を含む振動センサーユニット70と、ピークホールド回路61および比較回路62を備える。また、直流電源回路50は、プリント基板である電源基板500を含む。
【0102】
高周波トランス55は、電源基板500における第1面500aに実装されている。また、電源基板500における高周波トランス55に対向する位置には開口500cが形成されている。なお、開口500cは、高周波トランス55のリード端子55aが挿入される実装用の貫通孔とは異なる。
【0103】
振動センサーユニット70は、振動センサー7と、振動センサー7が実装されたプリント基板であるセンサー基板700とを含む。さらに、振動センサーユニット70は、センサー基板700に実装されたピン端子71も含む。ピン端子71は、振動センサー7のリード端子7aと電気的に接続されている。
【0104】
本実施例において、振動センサー7は、非接触で高周波トランス55の振動を検出するセンサーである。例えば、振動センサー7が、電磁ノイズの影響を受けにくい光学型センサーであることが考えられる。
【0105】
振動センサーユニット70は、振動センサー7が開口500cを通じて高周波トランス55に対向する状態で、電源基板500における第2面500bに実装されている。第2面500bは、電源基板500における第1面500aの反対の面である。
【0106】
図6に示される例では、振動センサーユニット70は、電源基板500における開口500cのある縁部から反対側の縁部へ架け渡された状態で、電源基板500に実装されている。
【0107】
本実施例によれば、振動センサー7を高周波トランス55のコイル部分により近接させることができる。そのため、レーザー光などの検出媒体を出力する能力が比較的低い小型の振動センサー7を採用しながら高周波トランス55の振動を高感度で検出することができる。
【0108】
[振動センサー7の取り付け構造の第2実施例]
次に、図7を参照しつつ、振動センサー7の取り付け構造の第2実施例について説明する。
【0109】
第2実施例において、前記振動検出装置は、振動センサー7と、ピークホールド回路61および比較回路62を備える。また、直流電源回路50は、プリント基板である電源基板500を含む。
【0110】
本実施例における振動センサー7は、前記第1実施例と同様に、非接触で高周波トランス55の振動を検出するセンサーである。
【0111】
本実施例において、振動センサー7は、開口500cを通じて高周波トランス55に対向する状態で、電源基板500における第2面500bに実装されている。即ち、振動センサー7のリード端子7aが、電源基板500に直接接続されている。
【0112】
図7に示される例では、振動センサー7は、電源基板500における開口500cのある縁部から反対側の縁部へ架け渡された状態で、電源基板500に実装されている。
【0113】
本実施例が採用される場合も、第1実施例が採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0114】
3 :シート搬送機構
4 :画像形成部
5 :給電回路
6 :振動抑制回路
7 :振動センサー(振動検出装置)
8 :制御装置
8a :操作器
8b :表示装置
9 :シート
10 :画像形成装置
30 :シート送出機構
31 :搬送ローラー対
40 :光走査ユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :トナー補給ユニット
45 :転写装置
46 :クリーニング装置
47 :定着装置
50 :直流電源回路
51 :保護回路
51a :ヒューズ
51b :バリスタ
51c :ノイズフィルター
52 :一次整流回路
52a :ブリッジ整流回路
52b :一次電解コンデンサー
53 :出力制御回路
53a :パルス幅変調回路
53b :スイッチング素子
54 :補助電解コンデンサー
55 :高周波トランス
56 :二次整流回路
56a :ダイオード
56b :二次電解コンデンサー
57 :負荷フィードバック回路
57a :シャントレギュレータ
57b :フォトカプラ
57c :負荷検出コンデンサー
57d :定電流回路
61 :ピークホールド回路(振動検出装置)
62 :比較回路(振動検出装置)
63 :信号切替回路(補正装置)
64 :補正回路(補正装置)
70 :振動センサーユニット
81 :CPU
82 :記憶装置
90 :トナー
100 :本体
101 :シート収容部
102 :通気ファン
103 :除湿ヒーター(特定機器)
300 :シート搬送路
400 :モーター
470 :定着ヒーター(特定機器)
471 :定着温度センサー
500 :電源基板
500a :電源基板の第1面
500b :電源基板の第2面
500c :開口
700 :センサー基板
1000 :外部電源
Ld0 :負荷検出信号
Pwo :消費電力
Sg0 :出力制御信号
Sg1 :振動検出信号
Sg2 :ピークホールド信号
Sg3 :振動判定信号
Sg4 :補正信号
Va0 :入力電圧
Vd1 :一次直流電圧
Vd2 :出力電圧
Vp1 :一次交流電圧
Vp2 :二次交流電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7