特許第6795085号(P6795085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795085
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20201119BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   H04N1/00 127Z
   H04N1/00 127B
   G06F13/00 605E
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-510215(P2019-510215)
(86)(22)【出願日】2018年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2018013526
(87)【国際公開番号】WO2018181852
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】特願2017-71033(P2017-71033)
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】佐納 正樹
【審査官】 野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−040206(JP,A)
【文献】 特開2016−201702(JP,A)
【文献】 特開2016−139937(JP,A)
【文献】 特開2016−099812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて電子データを送信する電子機器と、当該電子機器との間で無線近距離通信を行う携帯端末とを備える通信システムであって、
前記携帯端末は、
前記電子データの少なくとも送信相手先情報を含む送信情報を記憶した記憶部と、
前記送信情報を前記電子機器に送信する第2近距離通信部と、を備え、
前記電子機器は、
表示部と、
ユーザーからの指示が入力される操作部と、
前記送信情報を前記携帯端末から受信する第1近距離通信部と、
前記電子データを送信するネットワーク通信部と、
前記第1近距離通信部で受信された前記送信情報が示す前記送信相手先情報を含むリストを前記表示部の画面に表示し、前記操作部の操作により前記リストから選択された前記送信相手先情報と、送信対象データとを用いて、送信対象とする電子データを作成し、当該作成した電子データを前記ネットワーク通信部から送信させ、この送信後に、前記携帯端末から受信していた前記送信情報を当該電子機器から消去する制御部と、を備え
前記電子データは、電子メールであり、
前記送信情報は、前記送信相手先情報としての宛先アドレスに加え、前記電子メールのタイトル及び本文を含むメール情報であり、
端末装置を更に備え、
前記電子機器の制御部は、前記操作部の操作に基づき前記メール情報を書き換え、この書き換えられたメール情報を、前記ネットワーク通信部から前記端末装置に送信し、
前記端末装置では、前記書き換えられたメール情報を受信して、この書き換えられたメール情報を近距離通信により前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末では、前記書き換えられたメール情報を前記第1近距離通信部で受信して、前記記憶部内のメール情報を該書き換えられたメール情報に更新する通信システム。
【請求項2】
前記無線近距離通信は、NFC通信である請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記メール情報は、複数の送信元アドレス及び当該各送信元アドレスに対応するそれぞれの本文を含み、
前記電子機器の前記制御部は、前記第1近距離通信部で受信された前記メール情報に基づき、宛先アドレス、タイトル、送信元アドレスのリストを前記表示部の画面に表示し、前記操作部の操作により前記リストから送信元アドレスが選択されると、この送信元アドレスに対応する本文を選択して前記電子メールの作成に用いる請求項に記載の通信システム。
【請求項4】
前記電子機器の前記制御部は、前記操作部の操作に基づき前記メール情報を書き換え、この書き換えられたメール情報を、前記第1近距離通信部から前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、前記書き換えられたメール情報を前記第2近距離通信部で受信すると、前記記憶部内のメール情報を該書き換えられたメール情報に更新する更新部を更に備える請求項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記メール情報は、前記携帯端末において作成されて当該携帯端末における通信に用いられる請求項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記メール情報が送信元アドレスを含み、
前記電子機器の前記制御部は、前記操作部の操作に基づき前記メール情報を書き換え、この書き換えられたメール情報を、前記ネットワーク通信部から、前記送信元アドレスを宛先アドレスとして設定した電子メールを作成し、当該宛先アドレスが示す端末装置に当該電子メールを送信する請求項に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、及び当該電子機器と携帯端末の間で近距離通信を行う通信システムに関し、特に、携帯端末を用いて、電子機器において送信対象とする電子データの作成を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを通じたメール送信等のデータ通信が可能な画像形成装置では、原稿を読取って、この原稿の画像を示す画像データを生成するか、又は画像データを受信して記憶しておき、この画像データを電子メールで送信する機能を有するものがあり、オフィス等においてはその機能が頻繁に利用されている。
【0003】
ここで、ユーザーは、電子メールの送信に際し、宛先アドレス、タイトル、本文、画像データのファイル名、送信元アドレス等を入力する必要がある。ところが、画像形成装置の操作部は、原稿の読取り、記録紙に対する画像の記録など画像形成に係る複数の機能を使い分けるための操作性を優先して設計されており、宛先アドレス等の入力のための文字入力を要する電子メールの作成に適しているとはいえない。このため、例えば、宛先アドレス、タイトル、本文、画像データのファイル名、送信元アドレス等を、複数の定型として予め記憶しておき、これらの定型のいずれかを選択するという簡単な操作により電子メールを概ね作成できるようにしている。
【0004】
また、特許文献1では、画像形成装置に外部宛先情報を記憶すると共に、携帯端末に内部宛先情報を記憶しておき、画像形成装置で生成された画像データの送信に際しては、外部宛先情報を画像形成装置から携帯端末に送信して、外部宛先情報及び内部宛先情報を携帯端末に表示し、携帯端末側で外部宛先情報及び内部宛先情報のいずれかを選択して、外部宛先情報が選択された場合は、画像形成装置からその外部宛先情報の宛先に画像データを送信し、また内部宛先情報が選択された場合は、画像形成装置から携帯端末を経由して内部宛先情報の宛先に画像データを送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−93765号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、上記の画像形成装置では、当該画像形成装置に、宛先アドレス、タイトル、本文、画像データのファイル名、送信元アドレス等を定型として予め記憶しておく必要がある。また、この場合、個人情報でもある当該各情報が画像形成装置に記憶され続けるため、情報漏洩の観点からも好ましくない。また、特許文献1には、電子メールの作成を支援するための技術的な記載がなく、更に画像データを画像形成装置から携帯端末を経由して送信するときには画像形成装置と携帯端末間のデータ通信量が大幅に増大して、通信時間等が長くなる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、データ送信を行う電子機器側には、送信相手先情報等の送信情報が長期に亘って記憶されることがなく、電子データ送信のための電子機器での操作を従来よりも簡便にすることを目的とする。
【0008】
本発明の一局面に係る通信システムは、ネットワークを通じて電子データを送信する電子機器と、当該電子機器との間で無線近距離通信を行う携帯端末とを備える通信システムであって、前記携帯端末は、前記電子データの少なくとも送信相手先情報を含む送信情報を記憶した記憶部と、前記送信情報を前記電子機器に送信する第2近距離通信部と、を備え、前記電子機器は、表示部と、ユーザーからの指示が入力される操作部と、前記送信情報を前記携帯端末から受信する第1近距離通信部と、前記電子データを送信するネットワーク通信部と、前記第1近距離通信部で受信された前記送信情報が示す前記送信相手先情報を含むリストを前記表示部の画面に表示し、前記操作部の操作により前記リストから選択された前記送信相手先情報と、送信対象データとを用いて、送信対象とする電子データを作成し、当該作成した電子データを前記ネットワーク通信部から送信させ、この送信後に、前記携帯端末から受信していた前記送信情報を当該電子機器から消去する制御部と、を備えるものである。
【0009】
また、本発明の一局面に係る電子機器は、ネットワークを通じて電子データを送信し、携帯端末との間で無線近距離通信を行う電子機器であって、表示部と、ユーザーからの指示が入力される操作部と、前記電子データの少なくとも送信相手先情報を含む送信情報を前記携帯端末から受信する第1近距離通信部と、前記電子データを送信するネットワーク通信部と、前記第1近距離通信部で受信された前記送信情報が示す前記送信相手先情報を含むリストを前記表示部の画面に表示し、前記操作部の操作により前記リストから選択された前記送信相手先情報と、送信対象データとを用いて、送信対象とする電子データを作成し、当該作成した電子データを前記ネットワーク通信部から送信させ、この送信後に、前記携帯端末から受信していた前記送信情報を当該電子機器から消去する制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データ送信を行う電子機器側において、送信相手先情報等の送信情報が長期に亘って記憶されることがなく、電子データ送信のための電子機器での操作を従来よりも簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る一実施形態の通信システムを示すブロック図である。
図2】通信システムにおける携帯端末又はICカードに記憶されているメール情報を概念的に示す図である。
図3A】電子メールの作成に際し、メール情報を携帯端末又はICカードから画像形成装置へと送受して用いるための該画像形成装置の処理手順を示すフローチャートである。
図3B図3Aに引き続く処理手順を示すフローチャートである。
図4】画像形成装置と携帯端末又はICカードの間で行われる通信の手順を概略的に示す図である。
図5】画像形成装置の第1操作部及び第1表示部を示す平面図である。
図6】画像形成装置の第1表示部に表示されたメール情報を取得するための画面を示す図である。
図7】画像形成装置の第1近距離通信部のアンテナ付近に携帯端末をかざした状態を示す斜視図である。
図8】電子メールの作成を支援するための第1表示部の画面を示す図である。
図9】メール情報の受信を促す旨のメッセージが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図10】宛先アドレスを選択するための選択ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図11】宛先アドレスを追加修正するための追加修正ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図12】タイトルを選択するための選択ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図13】タイトルを追加修正するための追加修正ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図14】ファイル名を選択するための選択ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図15】ファイル名を追加修正するための追加修正ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図16】送信元アドレスを選択するための選択ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図17】送信元アドレスを追加修正するための追加修正ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図18A】本文を選択するための選択ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図18B】送信元アドレスを選択するための選択ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図19】本文を修正するための修正ダイアログが表示された第1表示部の画面を示す図である。
図20】電子メールを表示した第1表示部の画面を示す図である。
図21】メール情報の更新を促す旨のメッセージが表示された第1表示部の画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態にかかる通信システム及び電子機器について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、画像形成装置10、携帯端末装置20、ICカード30、及び端末装置40を備える通信システムSyを示すブロック図である。この通信システムSyにおいて、画像形成装置10は、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置10は、特許請求の範囲における電子機器の一例である。また、携帯端末装置20は、スマートフォン、タブレットなどの多機能型の携帯端末である。ICカード30は、非接触型のICカードで携帯端末である。更に、端末装置40は、パーソナルコンピュータ等である。携帯端末装置20及びICカード30は、近距離通信(本実施形態では、NFC:Near field radio communicationとする。但し、近距離通信をNFCに限定する趣旨ではない)により画像形成装置10及び端末装置40との間でデータ通信が可能である。また、画像形成装置10、携帯端末装置20、及び端末装置40は、ネットワークNを通じてのデータ通信が可能である。ネットワークNは、LAN、公衆回線、インターネット等からなる。
【0014】
ここで、画像形成装置10は、第1制御部11、第1表示部12、第1操作部14、第1ネットワーク通信部15、第1近距離通信部16、画像読取部17、画像形成部18、及び第1記憶部19等を備えている。
【0015】
第1制御部11は、画像形成装置10の全体的な動作制御を司り、各種のアプリケーションプログラムを実行すると共に、画像形成装置10を統括的に制御する。第1操作部14は、複数のハードキーや第1表示部12の画面に重ねられたタッチパネル等からなり、利用者により操作されて、画像形成動作及び画像読取動作等の実行指示、あるいは種々の情報を受け付けて第1制御部11に出力する。
【0016】
第1表示部12は、アプリケーションプログラムの実行に伴う画面、より具体的には画像形成処理に必要な設定項目の入力画面、あるいは、指示や情報の入力画面などを表示する。
【0017】
第1ネットワーク通信部15は、ネットワークNを通じて端末装置40や他の端末に接続され、端末装置40や他の端末との間で各種のデータを送受信する。
【0018】
第1近距離通信部16は、本実施形態ではNFC通信機能を有し、近距離通信により携帯端末装置20及びICカード30との間で各種のデータを送受信する。第1記憶部19は、各種のアプリケーションプログラムや種々の情報等を記憶している。
【0019】
画像読取部17は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に読み取るスキャナーを有し、原稿読取により、この原稿の画像を示す画像データを生成する。
【0020】
画像形成部18は、感光体ドラム、感光体ドラムの表面を均一帯電させる帯電装置、感光体ドラムの表面を露光して、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラムの表面の静電潜像をトナー像に現像する現像装置、及び感光体ドラムの表面のトナー像(画像)を記録媒体としての記録紙に転写する転写装置等を備え、上記のコンピューター等から受信した印刷データによって示される印刷ページや画像読取部17により生成された画像データによって示される画像を記録紙に形成する。
【0021】
一方、携帯端末装置20は、第2制御部21、第2表示部22、第2操作部24、第2ネットワーク通信部25、第2近距離通信部26、及び第2記憶部29等を備えている。なお、携帯端末装置20及び後述するICカード30は、いずれも、特許請求の範囲における携帯端末の一例となる。
【0022】
第2制御部21は、携帯端末装置20の全体的な動作制御を司り、各種のアプリケーションプログラム等を実行して、様々な処理を行う。第2操作部24は、複数のハードキーや第2表示部22の画面に重ねられたタッチパネル等からなり、利用者により操作されて、アプリケーションプログラムの実行に必要な入力指示や種々の情報等を受け付けて第2制御部21に出力する。
【0023】
第2表示部22は、アプリケーションプログラムの実行に伴う画面などを表示する。
【0024】
第2ネットワーク通信部25は、ネットワークNを通じて端末に接続され、この端末との間で各種のデータを送受する。
【0025】
第2近距離通信部26は、NFCタグとしての機能を有し、近距離通信により画像形成装置10及び端末装置40との間で各種のデータを送受する。第2記憶部29は、各種のアプリケーションプログラムや種々の情報等を記憶している。
【0026】
また、ICカード30(携帯端末)は、第3近距離通信部36、電源回路37、及び第3記憶部39等を備えることで、NFCタグとしての機能を備える。
【0027】
第3近距離通信部36は、近距離通信により画像形成装置10及び端末装置40との間で各種のデータを送受信する。電源回路37は、画像形成装置10側からアンテナを通じて供給される電力をICカード30の各部に供給する。第3記憶部39は、後述するメール情報M等を記憶しているメモリー等の記憶媒体である。
【0028】
また、端末装置40は、第4制御部41、第4表示部42、第4操作部44、第4ネットワーク通信部45、第4近距離通信部46、及び第4記憶部49等を備えている。
【0029】
第4制御部41は、端末装置40の全体的な動作制御を司り、各種のアプリケーションプログラム等を実行して、様々な処理を行う。第4操作部44は、キーボードやマウス、あるいは第4表示部42の画面に重ねられたタッチパネル等からなり、利用者により操作されて、アプリケーションプログラムの実行に必要な入力指示や種々の情報等を受け付けて第4制御部41に出力する。
【0030】
第4表示部42は、アプリケーションプログラムの実行に伴う画面などを表示する。
【0031】
第4ネットワーク通信部45は、ネットワークNを通じて画像形成装置10や他の端末に接続され、画像形成装置10や他の端末との間で各種のデータを送受する。第4近距離通信部46は、近距離通信により携帯端末装置20及びICカード30との間で各種のデータを送受する。第4記憶部49は、各種のアプリケーションプログラムや種々の情報等を記憶している。
【0032】
ところで、画像形成装置10においては、画像読取部17により原稿を読み取って、原稿の画像を示す画像データを第1記憶部19に記憶するか、又は画像データを第1ネットワーク通信部15により他の装置から受信して第1記憶部19に記憶した後、第1制御部11が、この画像データを電子メールに添付して、この電子メールを第1ネットワーク通信部15からネットワークNへと送信させる。この電子メールは、ネットワークN上のサーバー(図示せず)で受信され、サーバーから、送信相手先であるPC等の端末へと送信される。
【0033】
ここで、ユーザーは、上記電子メールの作成に際し、宛先アドレスや、タイトル、本文、送信元アドレス等を設定する必要があるが、画像形成装置10の第1操作部14の操作だけでは、その設定を効率的に行うことができない。画像形成装置10の第1操作部14は、キーボードを有していないために文字入力が不便であり、また、第1表示部12の表示画面にソフトキーボードを表示したとしても、入力時間に長時間を要するため、この入力のために画像形成装置10が長時間占有されることになる。
【0034】
そこで、本実施形態では、電子メールの作成に必要な宛先アドレス、送信元アドレス、タイトル、本文等からなるメール情報を携帯端末装置20の第2記憶部29又はICカード30の第3記憶部39に予め記憶しておき、電子メールの作成に際しては、画像形成装置10が、NFC通信により、携帯端末装置20又はICカード30からメール情報を取得する。画像形成装置10では、取得したメール情報を第1記憶部19に記憶し、このメール情報に基づき、電子メールに、宛先アドレス、タイトル、本文、送信元アドレス等を簡単な操作で設定できるようにし、電子メールの作成を支援している。
【0035】
また、画像形成装置10は、電子メールを送信した後には、第1記憶部19内のメール情報を消去して、メール情報の漏洩を防止する。なお、電子メールは、特許請求の範囲における電子データの一例である。メール情報は、特許請求の範囲における送信情報の一例である。宛先アドレスは、特許請求の範囲における送信相手先情報の一例である。また、宛先アドレス、タイトル、本文、送信元アドレス等は、特許請求の範囲における送信情報の構成要素としての一例となる。
【0036】
次に、そのような電子メールの作成を支援するための手順について詳しく説明する。
【0037】
まず、携帯端末装置20の第2記憶部29又はICカード30の第3記憶部39に予め記憶されているメール情報を説明する。図2は、そのメール情報を概念的に示す図である。図2に示すようにメール情報Mは、宛先アドレスリストL1、タイトルリストL2、本文リストL3、ファイル名リストL4、送信元アドレスリストL5、送信元アドレス/本文対応付けリストL6を含んでいる。宛先アドレスリストL1は、1つ乃至複数の宛先アドレスのリストである。宛先アドレスリストL1には、各宛先アドレスに宛先の名称も対応付けて収められている。
【0038】
タイトルリストL2は、1つ乃至複数のタイトルを含む。本文リストL3は、1つ乃至複数の本文を含む。ファイル名リストL4は、1つ乃至複数のファイル名を含む。送信元アドレスリストL5は、1つ乃至複数の送信元アドレスを含む。送信元アドレスリストL5には、送信元アドレスに対応付けて送信元の名称も収められている。送信元アドレス/本文対応付けリストL6は、1つ乃至複数の送信元アドレスとこれに用いられる本文の対応関係を含むものである。
【0039】
このようなメール情報Mは、例えば、携帯端末装置20で作成されて第2記憶部29に記憶される。携帯端末装置20では、ユーザーによる第2操作部24の操作によりメール情報Mを入力して第2記憶部29に記憶させるか、あるいは第2記憶部29に既に登録されている宛先アドレス、タイトル、本文等をメール情報Mとして取り込んで第2記憶部29に記憶させる。第2制御部21は、当該メール情報Mを第2近距離通信部26が内蔵するメモリー等の記憶領域に一定期間おきに書き写しておく。
【0040】
また、メール情報Mは、端末装置40で作成されて第4記憶部49に記憶された後、端末装置40によりICカード30の第3記憶部39に書き込まれる。端末装置40では、携帯端末装置20と同様の手順でメール情報Mを作成して第4記憶部49に記憶し、ICカード30が該端末装置40の第4近距離通信部46のアンテナ付近に配された状態で、メール情報Mを第4近距離通信部46からICカード30に送信する。ICカード30では、メール情報Mを第3近距離通信部36で受信して第3記憶部39に記憶する。
【0041】
次に、画像形成装置10がメール情報Mを携帯端末装置20又はICカード30から取得して電子メールの作成に用いるために画像形成装置10で行われる処理手順を説明する。図3A及び図3Bは、その処理手順を示すフローチャートである。また、図4は、画像形成装置10と携帯端末装置20又はICカード30の間で行われる通信の手順を概略的に示す図である。
【0042】
画像形成装置10では、画像読取部17により原稿の画像を示す画像データを第1記憶部19に記憶するか、又は画像データを第1ネットワーク通信部15により他の装置から受信して第1記憶部19に記憶した後、当該画像データを電子メールで送信するものとする。このとき、ユーザーが、画像形成装置10の第1操作部14を操作して、電子メール作成支援処理の実行を指示すると、当該指示が第1制御部11に受け付けられる(ステップS101)。
【0043】
ここで、図5に示すように第1操作部14には、第1表示部12が一体的に設けられている。第1操作部14は、第1表示部12の画面に重ねられたタッチパネル及び複数のハードキー51等を備えている。画像読取部17による原稿の読取が終了したときには、第1制御部11による制御で第1表示部12に初期画面G1が表示される。この初期画面G1には、それぞれの機能に対応付けられた複数のタッチキー52a〜52c等が表示される。この状態で、ユーザーが電子メールの作成支援処理の実行指示を受け付けるための送信キー52bにタッチ操作すると、第1操作部14のタッチパネルにより送信キー52bに対するタッチ操作が検出されて、第1操作部14から第1制御部11へと電子メールの作成支援の実行が指示される。
【0044】
第1制御部11は、電子メールの作成支援の実行が指示されると、図6に示すような画面Gaを第1表示部12に表示させる(ステップS102)。この第1表示部12の画面Gaには、電子メールに添付される原稿の内容を示す画像を表示する領域P、新規メールボタンBa1、新規フォルダボタンBa2、NFCボタンBa3等が表示される。
【0045】
この状態で、ユーザーは、例えば図7に示すように、自分の携帯端末装置20を、画像形成装置10の第1近距離通信部16のアンテナ付近(本実施形態では第1表示部12付近とする)にかざすと共に、画像形成装置10側の第1表示部12に表示されている画面Gaの新規メールボタンBa1をタッチ操作する。第1制御部11は、第1操作部14を介して、新規メールボタンBa1がタッチ操作されたと判断すると(ステップS103で「Ba1」)、画像形成装置10の第1近距離通信部16が、携帯端末装置20の第2近距離通信部26との間で規定の通信プロトコルを実行して、携帯端末装置20とのデータ通信を開始する(ステップS104)。画像形成装置10の第1制御部11は、当該データ通信により、携帯端末装置20の第2近距離通信部26から発信されているメール情報Mを受信する(ステップS105)。
【0046】
すなわち、ステップS103後の状態で、携帯端末装置20が画像形成装置10の第1表示部12に近付くと、携帯端末装置20の第2近距離通信部26から、画像形成装置10の第1近距離通信部16に、携帯端末装置20の第2近距離通信部26からメール情報Mを取得する旨の指示が送られる。この指示に応答して、画像形成装置10の第1近距離通信部16は、携帯端末装置20の第2近距離通信部26に対してメール情報Mの送信要求を送信し、これに応答して携帯端末装置20の第2近距離通信部26から送られてくるメール情報Mを受信する。
【0047】
或いは、ユーザーは、携帯端末装置20の代わりに、自分のICカード30を画像形成装置10の第1表示部12付近にかざす。この場合も、ユーザーは、新規メールボタンBa1をタッチ操作する。第1制御部11は、第1操作部14を介して、新規メールボタンBa1がタッチ操作されたと判断すると(ステップS103で「Ba1」)、第1近距離通信部16は、上述した携帯端末装置20の場合と同様にして、ICカード30の第3近距離通信部36からメール情報Mを受信する(ステップS105)。
【0048】
S105におけるメール情報Mの受信後、画像形成装置10の第1制御部11は、このメール情報Mを第1記憶部19に記憶して、図8に示すような、電子メールの作成支援画面Gbを第1表示部12に表示する(ステップS106)。
【0049】
また、ユーザーによりNFCボタンBa3がタッチ操作された場合は(ステップS103で「Ba3」)、第1制御部11の制御により、図9に示すような、携帯端末に記憶されているメール情報Mの受信を促す旨を示すメッセージが第1表示部12のダイアログGcに表示される(ステップS108)。ユーザーは、このメッセージを読んで、自分の携帯端末装置20(又はICカード30)を画像形成装置10の第1表示部12付近にかざす。これにより、画像形成装置10と携帯端末装置20(又はICカード30)の間で規定の通信プロトコルに基づきデータ通信が可能となる(ステップS104)。この後、上記と同様に、S104〜S106の処理が行われる。
【0050】
このようにして画像形成装置10がユーザーの携帯端末装置20又はICカード30からメール情報Mを取得したときに、第1制御部11が表示させる作成支援画面Gb(図8)には、電子メールの送信対象とされるデータの内容を示す画像P、図2に示すメール情報Mにおける宛先アドレスリストL1の表示指示を受け付けるための宛先ボタンBb1、タイトルリストL2の表示指示を受け付けるためのタイトルボタンBb2、本文リストL3の表示指示を受け付けるための本文ボタンBb3、ファイル名リストL4の表示指示を受け付けるためのファイル名ボタンBb4、送信元アドレスリストL5の表示指示を受け付けるための送信元ボタンBb5、確認ボタンBb6等が表示される。
【0051】
そして、ユーザーにより、これらのボタンBb1〜Bb6が適宜選択されてタッチ操作され、第1操作部14に対応するそれぞれの指示が入力されると、画像形成装置10では、電子メール作成のための処理が順次進められて行く。
【0052】
ここで、図8に示す画面Gbにおいて、例えば、ユーザーにより宛先ボタンBb1がタッチ操作されると(ステップS109で「Bb1」)、第1制御部11は、宛先アドレスリストL1の表示指示を受け付け、第1記憶部19内のメール情報Mを検索して、図2に示す宛先アドレスリストL1における例えば複数の宛先アドレスE11〜E14を取得し、図10に示すような選択ダイアログGdを第1表示部12に表示する(ステップS110)。
【0053】
図10に示す選択ダイアログGdには、例えば複数の宛先アドレスE11〜E14とそれらに対応付けられた各チェックボックスCh、OKボタンBc1、修正ボタンBc2、追加ボタンBc3、及びキャンセルボタンBc4が表示されている。例えば、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いてOKボタンBc1がタッチ操作されると、第1制御部11は、この選択されたチェックボックスChに対応する宛先アドレスの選択を受け付ける。
【0054】
また、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いて修正ボタンBc2又は追加ボタンBc3がタッチ操作されると、第1制御部11は、選択ダイアログGdを閉じて、図11に示すような追加修正ダイアログGeを第1表示部12に表示する。この追加修正ダイアログGeには、その選択されたチェックボックスChに対応する宛先アドレスE1の表示欄R、上書きボタンBd1、追加ボタンBd2、及びキャンセルボタンBd3が表示されている。例えば、ユーザーが、表示欄Rをタッチ操作して選択すると、第1制御部11は第1表示部12にソフトキーボードを表示させる。ユーザーは、当該ソフトキーを操作して、表示欄Rの該当する宛先アドレスを修正し又は書き換える指示を入力することが可能とされている。この修正又は書換のための入力後、ユーザーが、上書きボタンBd1又は追加ボタンBd2をタッチ操作する。
【0055】
このとき、上書きボタンBd1がタッチ操作されると、第1制御部11(特許請求の範囲における更新部の一例となる)は、表示欄Rの該当する宛先アドレスを第1記憶部19内のメール情報Mにおける元の宛先アドレスに上書きして更新する。この後、第1制御部11は、追加修正ダイアログGeを閉じる。このように宛先アドレスを更新した上で、ユーザーが当該宛先アドレスを選択すると、電子メールの送信宛先情報として当該修正又は書き換え後の宛先アドレスが第1制御部11により選択される。
【0056】
また、追加ボタンBd2がタッチ操作されると、第1制御部11は、この時点で表示欄Rに表示されている宛先アドレスを第1記憶部19内のメール情報Mに追加する。この後、第1制御部11は、追加修正ダイアログGeを閉じる。この状態で、ユーザーが当該更新された宛先アドレスを選択すると、電子メールの送信宛先情報として当該更新された宛先アドレスが第1制御部11にその選択が受け付けられる。
【0057】
また、キャンセルボタンBd3がタッチ操作されると、第1制御部11は、宛先アドレスE1の更新や追加を行わず、追加修正ダイアログGeを閉じる。
【0058】
このように選択ダイアログGdにおいて宛先アドレスが選択されると、第1制御部11は、この選択された宛先アドレスを電子メールの送信相手先として設定する(ステップS111)。
【0059】
次に、図8に示す画面Gbにおいて、ユーザーによりタイトルボタンBb2がタッチ操作されると(ステップS109で「Bb2」)、第1制御部11は、タイトルリストL2の表示指示を受け付け、第1記憶部19内のメール情報Mを検索して、図2に示すタイトルリストL2における例えば複数のタイトルE21〜E24を取得し、図12に示すような選択ダイアログGfを第1表示部12に表示する(ステップS112)。
【0060】
図12に示す選択ダイアログGfには、例えば複数のタイトルE21〜E24(図2)とそれらに対応付けられた各チェックボックスCh、OKボタンBc1、修正ボタンBc2、追加ボタンBc3、及びキャンセルボタンBc4が第1制御部11による制御により表示される。例えば、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いてOKボタンBc1がタッチ操作されると、第1制御部11は、この選択されたチェックボックスChに対応するタイトルの選択を受け付ける。
【0061】
また、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いて修正ボタンBc2又は追加ボタンBc3がタッチ操作されると、第1制御部11は、選択ダイアログGfを閉じて、図13に示すような追加修正ダイアログGgを第1表示部12に表示する。この追加修正ダイアログGgには、その選択されたチェックボックスChに対応するタイトルE2の表示欄R、上書きボタンBd1、追加ボタンBd2、及びキャンセルボタンBd3が表示されている。例えば、ユーザーにより、表示欄Rがタッチ操作されて選択されると、第1制御部11は第1表示部12にソフトキーボードを表示させる。ユーザーは、当該ソフトキーを操作して、表示欄Rに表示されているタイトルを修正し又は書き換える指示を入力することが可能とされている。この修正又は書換のための入力後、ユーザーが、上書きボタンBd1又は追加ボタンBd2をタッチ操作する。
【0062】
このとき、上書きボタンBd1がタッチ操作されると、第1制御部11は、表示欄Rに表示されているタイトルを第1記憶部19内のメール情報Mにおける元のタイトルに上書きして、このタイトルを更新する。この後、第1制御部11は、追加修正ダイアログGgを閉じる。このようにタイトルを更新した上で、ユーザーが選択ダイアログGfにおいて当該タイトルを選択すると、電子メールのタイトルとして当該修正又は書き換え後のタイトルの選択が第1制御部11により受け付けられる。
【0063】
こうして選択ダイアログGf又は追加修正ダイアログGgにおいてタイトルE2が選択されると、第1制御部11は、この選択されたタイトルE2を電子メールに設定する(ステップS113)。
【0064】
次に、図8に示す画面Gbにおいて、ユーザーによりファイル名ボタンBb4がタッチ操作されると(ステップS108で「Bb4」)、第1制御部11は、ファイル名リストL4を表示させる指示を受け付け、第1記憶部19内のメール情報Mを検索して、図2に示すファイル名リストL4における例えば複数のファイル名E41〜E44(図2)を取得し、図14に示すような選択ダイアログGhを第1表示部12に表示して、ファイル名E41〜E44の設定処理を開始する(ステップS114)。
【0065】
図14に示す選択ダイアログGhには、例えば複数のファイル名E41〜E44とそれらに対応付けられた各チェックボックスCh、OKボタンBc1、修正ボタンBc2、追加ボタンBc3、及びキャンセルボタンBc4が表示されている。例えば、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いてOKボタンBc1がタッチ操作されると、第1制御部11は、この選択されたチェックボックスChに対応するファイル名の選択を受け付ける。
【0066】
また、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いて修正ボタンBc2又は追加ボタンBc3がタッチ操作されると、第1制御部11は、選択ダイアログGhを閉じて、図15に示すような追加修正ダイアログGiを第1表示部12に表示する。この追加修正ダイアログGiには、その選択されたチェックボックスChに対応するファイル名の表示欄R、上書きボタンBd1、追加ボタンBd2、及びキャンセルボタンBd3が表示される。例えば、ユーザーにより、表示欄Rがタッチ操作されて選択されると、第1制御部11は第1表示部12にソフトキーボードを表示させる。ユーザーは、当該ソフトキーを操作して、表示欄Rに表示されているファイル名を修正し又は書き換える指示を入力することが可能とされている。この修正又は書換のための入力後、ユーザーが、上書きボタンBd1又は追加ボタンBd2をタッチ操作する。このとき、上書きボタンBd1がタッチ操作されると、第1制御部11は、表示欄Rに表示されているファイル名を第1記憶部19内のメール情報Mにおける元のファイルに上書きして、このファイル名を更新する。この後、第1制御部11は、追加修正ダイアログGiを閉じる。このようにファイル名を更新した上で、ユーザーが選択ダイアログGhにおいて当該ファイル名を選択すると、電子メールのファイル名として当該修正又は書き換え後のファイル名が第1制御部11により選択される。
【0067】
また、追加ボタンBd2がタッチ操作されると、第1制御部11は、表示欄Rに表示されているファイル名を第1記憶部19内のメール情報Mに追加して記憶し、このファイル名を追加する。この後、第1制御部11は、追加修正ダイアログGiを閉じる。このようにファイル名を追加した上で、ユーザーが選択ダイアログGhにおいて当該ファイル名を選択すると、電子メールのファイル名として当該追加されたファイル名の選択が第1制御部11により受け付けられる。
【0068】
また、キャンセルボタンBd3がタッチ操作されると、第1制御部11は、ファイル名E4の更新を行わずに、追加修正ダイアログGiを閉じる。
【0069】
こうして選択ダイアログGhにおいてファイル名が選択されると、第1制御部11は、第1記憶部19に記憶されているファイルのうち、この選択されたファイル名が示すファイルを電子メールに添付する(ステップS115)。
【0070】
次に、図8に示す画面Gbにおいて、ユーザーにより送信元ボタンBb5がタッチ操作されると(ステップS109で「Bb5」)、第1制御部11は、送信元アドレスリストL5を表示する指示を受け付け、第1記憶部19内のメール情報Mを検索して、図2に示す送信元アドレスリストL5における1乃至複数の送信元アドレスE51〜E54を取得し、図16に示すような選択ダイアログGjを第1表示部12に表示する(ステップS116)。
【0071】
図16に示す選択ダイアログGjには、例えば複数の送信元アドレスE51〜E54とそれらに対応付けられた各チェックボックスCh、OKボタンBc1、修正ボタンBc2、追加ボタンBc3、及びキャンセルボタンBc4が表示されている。例えば、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いてOKボタンBc1がタッチ操作されると、第1制御部11は、この選択されたチェックボックスChに対応する送信元アドレスを選択する。
【0072】
また、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いて修正ボタンBc2又は追加ボタンBc3がタッチ操作されると、第1制御部11は、選択ダイアログGjを閉じて、図17に示すような追加修正ダイアログGkを第1表示部12に表示する。この追加修正ダイアログGkには、その選択されたチェックボックスChに対応する送信元アドレスの表示欄R、上書きボタンBd1、追加ボタンBd2、及びキャンセルボタンBd3が表示されている。例えば、ユーザーにより、表示欄Rがタッチ操作されて選択されると、第1制御部11は第1表示部12にソフトキーボードを表示させる。ユーザーは、当該ソフトキーを操作して、表示欄Rに表示されている送信元アドレスを修正し又は書き換える指示を入力することが可能とされている。
【0073】
この修正又は書換のための入力後、ユーザーが、上書きボタンBd1又は追加ボタンBd2をタッチ操作する。このとき、上書きボタンBd1がタッチ操作されると、第1制御部11は、表示欄Rに表示されている送信元アドレスを第1記憶部19内のメール情報Mにおける元の送信元アドレスに上書きして、この送信元アドレスを更新する。この後、第1制御部11は、追加修正ダイアログGkを閉じる。このように送信元アドレスを更新した上で、ユーザーが選択ダイアログGjにおいて当該送信元アドレスを選択すると、電子メールの送信元アドレスとして当該修正又は書き換え後の送信元アドレスが第1制御部11により選択される。
【0074】
また、キャンセルボタンBd3がタッチ操作されると、第1制御部11は、送信元アドレスE5の更新や追加を行わずに、追加修正ダイアログGkを閉じる。
【0075】
こうして選択ダイアログGj又は追加修正ダイアログGkにおいて送信元アドレスが選択される。そして、第1制御部11は、この選択された送信元アドレスE5を電子メールに設定する(ステップS117)。
【0076】
引き続いて、ユーザーにより本文ボタンBb3がタッチ操作されると(ステップS118)、第1制御部11は、電子メールでの送信対象として用いることが可能な本文のリストを表示させる指示を受け付け、第1記憶部19内のメール情報Mを検索して、送信元アドレス/本文対応付けリストL6を参照し、ステップS115で選択した送信元アドレスに対応する1つ又は複数の本文を検出する。第1制御部11は、図18Aに示すような選択ダイアログGmを第1表示部12に表示することで、上記検出した本文をリスト表示する(ステップS119)。この選択ダイアログGmには、複数の本文E31〜E34(図2)とそれらに対応付けられた各チェックボックスCh、OKボタンBc1、修正ボタンBc2、追加ボタンBc3、及びキャンセルボタンBc4が表示されている。例えば、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いてOKボタンBc1がタッチ操作されると、第1制御部11は、この選択されたチェックボックスChに対応する本文を選択する。
【0077】
また、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、引き続いて修正ボタンBc2がタッチ操作されると、第1制御部11は、選択ダイアログGmを閉じて、図19に示すような修正ダイアログGnを第1表示部12に表示する。この修正ダイアログGnには、その選択されたチェックボックスChに対応する本文の表示欄R、上書きボタンBd1、追加ボタンBd2、及びキャンセルボタンBd3が表示されている。例えば、ユーザーにより、表示欄Rがタッチ操作されて選択されると、第1制御部11は、上記ソフトキーを表示させ、ユーザーによる当該ソフトキーの操作により、表示欄Rに表示されている本文が修正されたり書き換えたりされ、更に上書きボタンBd1がタッチ操作されると、第1制御部11は、表示欄Rに表示されている本文を第1記憶部19内のメール情報Mにおける元の本文に上書きして、この本文を更新する。
【0078】
また、追加ボタンBd2がタッチ操作されると、第1制御部11は、表示欄Rに表示されている本文(元のまま、或いは、上記ソフトキーの操作により修正されたり書き換えられた本文)を第1記憶部19内のメール情報Mにおける元の本文に追加して記憶する。
【0079】
上記上書きボタンBd1又は追加ボタンBd2の操作に基づく処理後、第1制御部11は、修正ダイアログGnを閉じる。このように本文を更新又は追加した上で、ユーザーが選択ダイアログGmで本文を選択すると、電子メールの本文として当該修正又は書き換え後の本文が第1制御部11により選択され、或いは、追加された本文が第1制御部11により電子メールの本文として更に加えられる。
【0080】
なお、図18Aに示す選択ダイアログGmの表示時に、いずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、更に追加ボタンBc3がタッチ操作された場合、第1制御部11は、この時点で送信元が電子メールに設定されていないと判断したときは、図18Bに示すような送信元アドレスを選択するための選択ダイアログGm2を第1表示部12に表示する。この選択ダイアログGm2の表示時には、第1制御部11は、図16に示した選択ダイアログGjの場合と同様の操作に基づいて送信元アドレスを受け付ける処理を行う。第1制御部11は、送信元アドレスを受け付けた後は、再び選択ダイアログGmを第1表示部12に表示する。
【0081】
また、図18AでいずれかのチェックボックスChがタッチ操作されて選択され、更に追加ボタンBc3がタッチ操作された場合であって、第1制御部11が、この時点で既に送信元アドレスが電子メールに設定されていると判断したときは、第1制御部11は、上記選択ダイアログGm2を表示させず、チェックボックスChのタッチ操作により選択された本文を、第1記憶部19内のメール情報Mにおける元の本文に追加して記憶する。
【0082】
こうして選択ダイアログGmにおいて本文が選択される。そして、第1制御部11は、この選択された本文を電子メールに設定する(ステップS120)。
【0083】
すなわち、まず送信元アドレスが選択され、引き続いてその選択された送信元アドレスに対応する本文が選択されるという手順で、送信元アドレス及び本文の選択が行われる。
【0084】
従って、異なる送信元アドレスが選択された場合は、選択される本文も異なることとなる。これにより、例えば、個人に対応する送信元アドレスを用いる場合と、個人が属する組織に対応する送信元アドレスを用いる場合とで、互いに異なる複数の本文を使い分けることができる。
【0085】
なお、図3A及び図3Bのフローチャートには記載されていないが、送信元ボタンBb5よりも先に本文ボタンBb3がタッチ操作されたときには、第1制御部11により、本文リストL3における全ての本文が選択ダイアログGmに表示され、OKボタンBc1の操作に応じて、この選択ダイアログGmに表示している全ての本文の選択が受け付けられる。
【0086】
このように宛先ボタンBb1、タイトルボタンBb2、本文ボタンBb3、ファイル名ボタンBb4、送信元ボタンBb5のタッチ操作及びそのタッチ操作に引き続く処理により、宛先アドレス、タイトル、送信元アドレス、本文が電子メールに設定されると共に、ファイル名の画像データが電子メールに添付され、電子メールが作成される。
【0087】
次に、図8に示す画面Gbにおいて、ユーザーにより確認ボタンBb6がタッチ操作されると(ステップS121で「Yes」)、第1制御部11は、当該電子メールの内容を示す情報の表示指示を受け付け、上記のように作成された電子メールQの内容を示す情報を含む画像を、図20に示すように、第1表示部12のダイアログGqに表示する(ステップS122)。
【0088】
そして、ユーザーにより、図20に示されるダイアログGqの電子メールQの内容が確認され、ダイアログGqの送信ボタンBeがタッチ操作されると、電子メールの送信指示が第1操作部14に入力され、第1制御部11は、この送信指示に従って、電子メールQを第1ネットワーク通信部15によりネットワークNへと送信させる(ステップS123)。この電子メールQは、ネットワークN上のサーバーで受信され、サーバーから、電子メールQに設定されている宛先アドレスが示すPC等の端末に送信される。
【0089】
このようにして、電子メールQの送信が終了すると、第1制御部11は、図21に示すような携帯端末に記憶されているメール情報Mの更新を促す旨を示すメッセージを第1表示部12のダイアログGrに表示する(ステップS124)。ユーザーは、このメッセージを読んで、第1表示部12のダイアログGrのOKボタンBc1又はキャンセルボタンBc4をタッチ操作する。このとき、キャンセルボタンBc4がタッチ操作されると(ステップS125で「Bc4」)、第1制御部11は、第1記憶部19内のメール情報Mを送信することなく、第1記憶部19内のメール情報Mを消去して(ステップS127)、図3A及び図3Bの処理を終了する。
【0090】
また、OKボタンBc1がタッチ操作されると(ステップS125で「Bc1」)、第1制御部11は、メール情報Mの更新要求を第1記憶部19内のメール情報Mと共に第1近距離通信部16から携帯端末装置20に送信し(ステップS126)、この後に第1記憶部19内のメール情報Mを消去して(ステップS127)、図3A及び図3Bの処理を終了する。
【0091】
携帯端末装置20では、メール情報Mの更新要求及び第1記憶部19内のメール情報Mが第2近距離通信部26で受信されると、第2制御部21は、メール情報Mの更新要求に応じて第2記憶部29内のメール情報Mをその受信したメール情報Mに書き換えて更新する。
【0092】
なお、メール情報Mの更新要求及び第1記憶部19内のメール情報Mを携帯端末装置20に送信する代わりに、第1記憶部19内のメール情報Mを、電子メールQに設定された送信元アドレスのユーザーに送信しても構わない。当該メール情報Mは送信控えとなる。この場合、画像形成装置10の第1制御部11は、送信元アドレスを宛先アドレスとして設定した電子メールを作成して、この電子メールにメール情報Mの更新要求及び第1記憶部19内のメール情報Mを添付し、この電子メールを第1ネットワーク通信部15からネットワークNへと送信する。この後、第1制御部11は、第1記憶部19内のメール情報Mを消去する。この電子メールは、ネットワークN上のサーバーで受信され、サーバーから宛先アドレス(送信元アドレス)の当該ユーザーが保有する端末装置40へと送信される。端末装置40のユーザーは、第4操作部44を操作して、電子メールに添付されているメール情報Mの更新要求及びメール情報を第4記憶部49に記憶させる。
【0093】
そして、携帯端末装置20(又はICカード30)が端末装置40の第4近距離通信部46のアンテナ付近に配されて、ユーザーによる第4操作部44の操作でメール情報Mの更新が指示されると、第4制御部41は、第4記憶部49内のメール情報Mの更新要求及びメール情報Mを第4近距離通信部46から携帯端末装置20(又はICカード30)に送信する。携帯端末装置20(又はICカード30)では、メール情報Mの更新要求及びメール情報Mを第2近距離通信部26(又は第3近距離通信部36)で受信すると、第2記憶部29(又は第3記憶部39)内のメール情報Mをその受信したメール情報Mに書き換えて更新する。
【0094】
なお、上記実施形態では、電子メール作成時に、画像形成装置10が、送信対象とする画像を先に取得して記憶した後に、電子メール作成支援処理(電子メール情報の設定処理)が開始されるものとされているが、これに限定されず、当該電子メール作成支援処理を先に行ってから、送信対象とする画像を取得するようにしてもよい。この場合、第1制御部11は、図8以降に示す作成支援画面Gbには、電子メールの送信対象とされるデータの内容を示す画像Pを表示させず、送信対象とする画像を取得した時点で表示させるものとする。
【0095】
以上説明したように本実施形態では、電子メールの作成に必要な宛先アドレス、タイトル、本文、ファイル名、送信元アドレスを含むメール情報Mを携帯端末装置20の第2記憶部29又はICカード30の第3記憶部39に予め記憶しておき、電子メールの作成に際しては、メール情報Mを携帯端末装置20又はICカード30から画像形成装置10へと近距離通信で送信している。このため、画像形成装置10では、メール情報Mに基づき、宛先アドレス、タイトル、本文、ファイル名、送信元アドレスを電子メールに簡単に設定することができ、電子メールの作成が容易である。
【0096】
また、電子メールを送信した後には、画像形成装置10の第1記憶部19内のメール情報Mを消去しているので、メール情報Mの漏洩を防止することができる。
【0097】
なお、上記実施例では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、コピー機、プリンター、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置でもよい。
【0098】
また、図1乃至図21を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【0099】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明の様々な修正形態及び変更形態が、当業者には、明らかとなり得る。また、本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21