(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送方向における前記角度調整部の上流側に設けられ、前記搬送方向の方向転換を行うことで、前記プレス部に対する前記電極の向きを変更する方向転換部を更に備える、請求項1〜4の何れか一項に記載の電極製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る電極製造装置を適用して製造される電極を用いた蓄電装置の内部を示す断面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿った断面図である。
図1及び
図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0019】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。また、電極組立体3の積層方向において、電極組立体3のガタツキを低減するために、電極組立体3とケース2との間の隙間に、数枚のスペーサが配置されている。スペーサの枚数は、電極組立体3の厚みに応じて適宜調整される。
【0020】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0021】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0022】
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0023】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、
図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0024】
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0025】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0026】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0027】
次に、
図3及び
図4を参照して、本発明の実施形態に係る電極製造装置100について説明する。
図3は、電極製造装置100を示す平面図である。
図4は、電極製造装置100の一部を示す側面図である。電極製造装置100は、金属箔の両面に活物質層を有する電極20を搬送方向Dへ搬送しながら製造する。なお、電極製造装置100が製造する電極20は正極8及び負極9のいずれであってもよい。電極20は、短手方向に対向する縁部20a,20bと、長手方向に対向する縁部20c,20dと、を有する。また、電極20は、縁部20aにタブ21を有する。電極20の短手方向に対して中心線CL2を設定する。
【0028】
図3に示すように、電極製造装置100は、搬送方向Dにおける上流側から順に、方向転換部23と、角度調整部24と、供給部26と、プレス部27と、受取部28と、厚み検査部29と、を備える。なお、方向転換部23の上流側には、電極20を搬送するコンベア31が設けられる。本実施形態の方向転換部23は、設備のレイアウトの都合上、電極20の搬送方向を変更する為に配置する。方向転換部23と角度調整部24との間には、電極20を搬送するコンベア32が設けられる。また、水平方向における一の方向に対して「X軸」を設定し、水平方向においてX軸と直交する方向に対して「Y軸」を設定し、上下方向に対して「Z軸」を設定する。上側がZ軸方向における正側に該当する。また、方向転換部23から厚み検査部29までの搬送方向DはX軸方向に対応し、搬送方向Dの下流側がX軸方向における正側に該当する。従って、X軸方向の負側から正側へ向かって、方向転換部23、角度調整部24、供給部26、プレス部27、受取部28、厚み検査部29の順で配置される。以降の説明においては、XYZ座標系を用いて説明を行う場合がある。なお、以降の説明における「上流」「下流」とは、搬送方向Dにおける上流と下流を示しているものとする。
【0029】
図3及び
図4に示すように、プレス部27は、プレスローラ34A,34Bを備える。プレス部27は、電極20をプレスローラ34A,34Bでプレスする。プレスローラ34A,34Bは、互いに平行な状態で上下方向に配置されている。プレスローラ34Aが下側に配置され、プレスローラ34Bが上側に配置される。また、プレスローラ34A,34Bの回転軸34aは、Y軸方向に平行に延びている。以降、回転軸34aが延びる方向(第1の方向)を回転軸方向と称する場合もある。ここでは、回転軸方向はY軸方向と平行をなしている。下側のプレスローラ34Aの中心線を中心線CL1とする。
図3では、上側のプレスローラ34Bが省略されている。電極20は、プレスローラ34Aとプレスローラ34Bとの間を通過することにより、プレスされる。ここで、電極20をプレスする前の状態より、プレスローラ34Aの外周面とプレスローラ34Bの外周面とは、互いに接触し、荷重が付加されている。すなわち、プレスローラ34Aとプレスローラ34Bとの間には、隙間が形成されていない。電極20は、プレスローラ34Aの外周面及びプレスローラ34Bの外周面と密着し、十分に押圧力を付与された状態で、プレスローラ34A,34Bを通過する。なお、プレスローラ34A、34Bは互いに離間しており、隙間が形成されていてもよい。
【0030】
電極20は、タブ21とは反対側の縁部20bから順にプレス部27へ送り込まれる。従って、電極20は、縁部20bから縁部20aへ向けて徐々にプレス部27でプレスされる。また、電極20は、回転軸34aが延びる回転軸方向に対する角度が略0°の状態にて、プレス部27へ送り込まれる。すなわち、電極20の中心線CL2及び縁部20bは、Y軸方向と略平行をなした状態で、プレス部27にプレスされる。なお、電極20の回転軸方向に対する角度とは、電極20の中心線CL2が回転軸方向に対してなす角度であるものとする。
【0031】
プレス部27は、搬送方向Dにおけるプレスローラ34A,34Bの上流側に、電極20をプレスローラ34A,34Bへ導くニップローラ36を備える。ニップローラ36は、プレスローラ34Aとプレスローラ34Bとが上下方向に対向する部分の手前側に設けられる。
【0032】
供給部26は、プレス部27に対して上流側で隣接する位置にて、プレス部27に対して電極20を供給する。供給部26は、コンベア37と、駆動部38と、を備えている。コンベア37は、下流側へ向かうに従って先端が細くなる直角三角形状の形状を有する(ナイフエッジコンベア)。コンベア37の上面の高さは一定であり、下面が傾斜している。このような形状により、コンベア37は、下側のプレスローラ34Aとの干渉を回避した状態で、プレスローラ34Aとプレスローラ34Bとが上下方向に対向する部分に近接した位置に配置されている。なお、コンベア37の先端部と対応する位置にニップローラ36が設けられている。
【0033】
受取部28は、プレス部27に対して下流側で隣接する位置にて、プレス部27でプレスされた電極20を受け取る。受取部28は、コンベア39と、駆動部40と、を備えている。コンベア39は、上流側へ向かうに従って先端が細くなる直角三角形状の形状を有する。コンベア39の上面の高さは一定であり、下面が傾斜している。このような形状により、コンベア39は、下側のプレスローラ34Aとの干渉を回避した状態で、プレスローラ34Aとプレスローラ34Bとが上下方向に対向する部分に近接した位置に配置されている。
【0034】
角度調整部24は、搬送方向Dにおけるプレス部27より上流側に設けられ、回転軸方向に対する電極20の角度を調整する。角度調整部24は、電極20の搬送経路のうち、プレス部27と直線経路をなすライン上に配置されている。すなわち、角度調整部24とプレス部27との間には、後述の方向転換部などのように、電極20の角度を変動させ得る構成要素は設けられていない。角度調整部24は、供給部26のように、角度調整部24で調整された電極20の角度を維持できる構成要素のみを介して、プレス部27の上流側に配置される。なお、角度調整部24は、プレス部27と上流側で隣り合う位置に配置されてもよい。これにより、角度調整部24は、プレス部27へ供給される電極20の角度を調整することができる。「プレス部へ供給される電極の角度を調整する」とは、角度調整部24が角度調整を行った後は、調整後の角度が維持された状態の電極20がプレス部27でプレスされる態様にて、角度調整部24が電極20の角度調整を行うことである。
【0035】
前述のように、電極20の回転軸方向に対する角度(以降、単に「電極の角度」と称する場合がある)とは、電極20の中心線CL2が回転軸方向に対してなす角度である。
図3のように上方から見た場合、電極20の角度は、電極20の中心線CL2と回転軸34aの中心線CL1との角度と等しくなる。なお、電極20の「角度の調整」とは、電極20の向きを変更しない範囲内で、電極20の角度を変化させることである。従って、後述の方向転換部23のように、電極20の角度を大きく変化させることによって当該電極20の向きを変更することは、「角度の調整」には該当しない。電極20の向きについては、方向転換部23の構成の説明と共に後述する。電極20の角度調整部24は、電極20の中心線CL2を回転軸方向と平行となるように、電極20の角度を調整する。すなわち、角度調整部24は、電極20の角度が略0°となるように電極20の位置決めを行う。これにより、角度調整部24は、電極20の中心線CL2及び縁部20bをプレスローラ32Aの中心線CL1と略平行とした状態で、電極20をプレス部27へ送ることができる。例えば、
図3のコンベア32上の電極20のように、角度調整部24より上流側から搬送される電極20の中心線CL2は、回転軸方向に対して傾斜している場合がある。このような場合であっても、角度調整部24は電極20の位置決めを行いながら、当該電極20を搬送方向Dへ搬送する。これにより、
図3の角度調整部24の下流側の端部の電極20のように、電極20の中心線CL2をY軸方向に平行とすることができる。
【0036】
具体的に、角度調整部24は、複数の搬送ローラ42と、規制部43と、を備える。複数の搬送ローラ42は、電極20を搬送方向Dへ搬送するものであり、搬送方向Dへ並べられている。複数の搬送ローラ42は、支持体44に支持されている。当該支持体44には、各搬送ローラ42を回転させるための駆動部(不図示)が設けられている。複数の搬送ローラ42の一部は、Y軸方向における正側の端部が、搬送方向Dにおける下流側へ位置するように、Y軸方向に対して傾斜する。
図3に示す例では、上流側に配置された搬送ローラ42の傾斜が大きく、下流側に配置される搬送ローラ42ほど傾斜が小さくなっている。このような構成により、搬送ローラ42上の電極20は、搬送方向Dに搬送されながら、Y軸方向の正側へ寄せられる。規制部43は、搬送ローラ42に対して、Y軸方向における正側に配置され、電極20のY軸方向における正側への移動を規制する。これにより、搬送ローラ42によってY軸方向の正側へ寄せられた電極20は、規制部43によってY軸方向への移動を規制される。規制部43は、上下方向に立ち上がると共に、X軸方向に平行に延びる規制面43aを有する。これにより、電極20の縁部20cが規制面43aに当接し、当該縁部20cがX軸方向に平行に位置決めされる。これによって、電極20の角度は、角度調整部24によって略0°となるように調整される。規制部43は、上下方向に立ち上がったコンベアによって構成される。循環するベルトのうち、Y軸方向の負側に配置される部分が、規制面43aとして機能する。規制面43aは、コンベアのベルトの循環に伴って、搬送方向Dへ電極20と共に移動する。
【0037】
厚み検査部29は、搬送方向Dにおけるプレス部27の下流側に設けられ、Y軸方向の各位置における電極20の厚みを検査する。厚み検査部29は、電極20を搬送するコンベア29aと、コンベア29aで搬送される電極20の厚みを測定する測定部29bと、を備える。厚み検査部29は、例えば、
図5に示すように、厚みの許容誤差の範囲を規定する許容範囲Eを有している。厚み検査部29は、
図5に示す実線のグラフのように、電極20のY軸方向における所定範囲内の部分の厚みが全て許容範囲E内に収まっていれば、当該電極20を合格品であると判定する。一方、厚み検査部29は、
図5に示す破線のグラフのように、電極20のY軸方向における所定範囲内の部分の厚みの少なくとも一部が許容範囲Eからはみ出ていれば、当該電極20を不合格品であると判定する。なお、電極製造装置100は、不合格品であると判定された電極20を、下流側で除去する機構を有してよい。なお、厚み検査部29は、電極20のY軸方向の全域の厚みを検査する必要はなく、複数の点における厚みを検査すればよい。
【0038】
方向転換部23は、搬送方向Dの方向転換を行うことで、プレス部27に対する電極20の向きを変更する。当該方向転換部23より上流側の搬送経路の搬送方向Dと、方向転換部23より下流側の搬送経路との間の搬送方向Dとが異なる場合に、方向転換部23は、上流側と下流側の搬送方向Dをスムーズに切り替える。方向転換部23は、角度調整部24よりも上流側に配置される。本実施形態では、方向転換部23より上流側の搬送経路は、コンベア31によって構成される。当該搬送経路での搬送方向Dは、Y軸方向と平行な方向に設定される。方向転換部23より下流側の搬送経路は、コンベア32、角度調整部24、供給部26、プレス部27、受取部28、及び厚み検査部29によって構成される。当該搬送経路での搬送方向Dは、X軸方向と平行な方向に設定される。方向転換部23における搬送方向Dは、Y軸方向からX軸方向へ90°転換するような円弧を描く。
【0039】
方向転換部23は、湾曲する搬送方向Dに対する電極20の角度を略一定に保ちながら、電極20を搬送する。方向転換部23での搬送方向Dは、円弧を描いてY軸方向からX軸方向へ90°変化している。従って、電極20のプレス部27の回転軸方向に対する角度は、方向転換部23に搬送されるに従って徐々に変化し、方向転換部23の前後で約90°変化する。これにより、方向転換部23は、当該方向転換部23の通過前後において、プレス部27に対する電極20の向きを変更することができる。
【0040】
ここで、電極20の向きは、四方の縁部20a,20b,20c,20dのどの縁部がX軸方向の正側に位置するプレス部27の方を向いているかによって定義される。より詳細には、X軸方向の正側から負側へ向かって電極20を見た時に、投影寸法が最も大きくなる縁部が、プレス部27の方を向いている縁部であると定義される。例えば、
図3に示すコンベア32上には、X軸方向に対して縁部20bが傾斜した状態で、電極20が配置されている。従って、X軸方向の正側から負側へ向かって電極20を見た時には、縁部20b及び縁部20dが両方見える。しかし、縁部20bの投影寸法の方が縁部20dの投影寸法よりも大きく、見える範囲の大半の領域を縁部20bが占めている。よって、当該場合においては、電極20は、縁部20bをプレス部27へ向けていると言える。本実施形態では、方向転換部23より上流側の搬送経路を通過する電極20は、縁部20dをプレス部27の方へ向けている。方向転換部23より下流側の搬送経路を通過する電極20は、縁部20bをプレス部27の方へ向けている。従って、方向転換部23は、プレス部27に対する電極20の向きが縁部20d側であったものを、縁部20b側に変更している。
【0041】
なお、上述のような機能を有する方向転換部23の構成は特に限定されない。例えば、方向転換部23は、90°の円弧を描く軌道23aを有するカーブコンベアによって構成されてよい。軌道23aの中心線TLは、90°の円弧を描く。軌道23aでは、中心線TLに沿って円弧状に配置されたベルトが循環移動していてよい。または、軌道23a上の中心線TLに沿った各位置には、中心線TLに対して垂直をなすように延びるローラ部材が設けられてよい。このような円弧状のベルト、又は複数のローラ部材で搬送された電極20は、中心線TLに沿って円弧状の軌道を描きながら移動する。また、電極20は、中心線TLに対する角度を略一定に保ったまま移動する。
【0042】
次に、本実施形態に係る電極製造装置100の作用・効果について説明する。
【0043】
本実施形態に係る電極製造装置100は、電極20をプレスローラ34A,34Bでプレスするプレス部27と、プレス部27のプレスローラ34A,34Bの回転軸34aが延びる回転軸方向(第1の方向)に対する電極20の角度を調整する角度調整部24と、を備えている。また、角度調整部24は、搬送方向Dにおけるプレス部27より上流側に設けられ、プレス部27へ供給される電極20の角度を調整する。従って、角度調整部24は、回転軸方向に対する電極20の角度を小さくした状態で、当該電極20をプレス部27へ供給することができる。プレス部27は、当該プレス部27に対する傾斜が低減された状態の電極20をプレスすることができる。従って、電極20の傾きによる、プレス後の電極20の厚みのばらつきを抑制することができる。以上により、条件によらず、プレス後の電極20の厚みの均一性を担保できる。
【0044】
例えば、プレス部27が、角度調整部24で角度調整されなかった電極20のプレスを行った場合、プレス条件によって、当該電極20の縁部20c,20dが延びる方向における厚みは、
図5の破線で示すグラフのようになる。
図5の横軸は、電極20の基準位置からの縁部20c,20dが延びる方向における寸法を示している。縦軸は、電極20の各位置における厚みを示している。厚みは、金属箔及び両側の活物質層の厚みによって規定される。
図5の破線のグラフで示すように、角度調整部24で電極20の角度調整を行わない場合、電極20は、プレス部27に対する傾斜が大きい状態で、プレス部27へ供給される。電極20は、中心軸方向に対して傾斜した状態でプレスされることにより、縁部20c,20dが延びる方向に対する厚みのばらつきが大きく、不均一になっていることが分かる。一方、プレス部27が、角度調整部24で角度調整がなされた電極20のプレスを行った場合、当該電極20の縁部20c,20dが延びる方向における厚みは、
図5の実線で示すグラフのようになる。
図5の実線のグラフで示すように、角度調整部24で電極20の角度調整を行う場合、電極20は、プレス部27に対する傾斜を低減された状態で、プレス部27へ供給される。電極20は、中心軸方向に対する傾斜が低減された状態でプレスされることにより、縁部20c,20dが延びる方向に対する厚みのばらつきが小さく、均一になっていることが分かる。
【0045】
電極製造装置100は、搬送方向Dにおける角度調整部24の上流側に設けられ、搬送方向Dの方向転換を行うことで、プレス部27に対する電極20の向きを変更する方向転換部23を更に備えてよい。これにより、方向転換部23にて電極20の方向転換を行うことで電極20の傾斜が大きくなった場合も、角度調整部24が電極20の角度調整を行うことで、プレス部27に対する電極20の傾斜を低減することができる。
【0046】
角度調整部24は、電極20を搬送方向Dへ搬送する、搬送方向Dへ並べられた複数の搬送ローラ42と、搬送ローラ42に対して、回転軸方向における一方側(Y軸方向の正側)に配置され、電極20の回転軸方向における一方側への移動を規制する規制部43と、を備え、複数の搬送ローラ42の一部は、回転軸方向における一方側の端部が、搬送方向Dにおける下流側へ位置するように、回転軸方向に対して傾斜してよい。これにより、複数の搬送ローラ42に搬送される電極20は、搬送方向Dへ移動しながら、回転軸方向における一方側へ寄せられる。そして、電極20は、規制部43にて回転軸方向における一方側への移動を規制される。電極20が規制部43にて位置決めされることで、電極20の角度調整が行われる。
【0047】
プレス部27は、搬送方向Dにおけるプレスローラ34A,34Bの上流側に、電極20をプレスローラ34A,34Bへ導くニップローラ36を備えてよい。これにより、ニップローラ36は、スムーズに電極20をプレスローラ34A,34Bへ導くことができる。
【0048】
電極製造装置100は、搬送方向Dにおけるプレス部27の下流側に設けられ、回転軸方向の各位置における電極20の厚みを検査する厚み検査部29を更に備えてよい。これにより、厚み検査部29は、プレス後の電極20の厚みの均一性を検査することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態又は上記変形例に限定されない。
【0050】
例えば、上記実施形態では、角度調整部24は、搬送ローラ42及び規制部43を備えていた。これに代えて、
図6及び
図7に示すように、角度調整部124を備える電極製造装置200を採用してもよい。角度調整部124は、電極20を支持すると共に搬送方向Dへ移動する支持部142と、搬送方向Dへ移動し、且つ、搬送方向Dへの移動に伴って回転軸方向における互いの離間距離が狭くなる一対の位置決め部143A,143Bと、搬送方向Dにおいて電極20の位置決めを行う位置決め部144と、を備えてよい。支持部142、位置決め部143A,143B、及び位置決め部144は、循環するコンベア141に設けられている。支持部142は、コンベア141の循環方向に所定ピッチで設けられている。位置決め部143A,143Bは、支持部142を幅方向に挟むようにコンベア141の循環方向に所定ピッチで設けられている。位置決め部144は、循環方向において複数個(ここでは3個)の支持部142に対して一つの間隔で、コンベア141に設けられている。支持部142は、搬送方向Dへ進むに従って、Y軸方向の正側から徐々に負側へ移動する。位置決め部143Aも、搬送方向Dへ進むに従って、Y軸方向の正側から徐々に負側へ移動する。位置決め部143Bの位置は固定されている。これにより、電極20は、支持部142で支持されながら搬送方向Dへ移動する。そして、電極20は、搬送方向Dへ移動するに伴って、一対の位置決め部143A,143Bにて中心軸方向(Y軸方向)に挟まれる。電極20が位置決め部143A,143Bにて位置決めされることで、電極20の角度調整が行われる。なお、位置決め部143A及び支持部142のY軸方向におけるスライド機構は、どのような構成であってもよい。例えば、位置決め部143A及び支持部142に対して、所望の軌道を描くようにガイドレールを設けてよい。または、位置決め部143A及び支持部142にアクチュエータを設けてよい。
【0051】
例えば、
図8及び
図9に示すように、検出部301,302,303及び排出部305を備える電極製造装置300を採用してもよい。
【0052】
図8及び
図9に示すように、検出部301,302,303は、プレス部27より上流側に設けられ、電極20の各種状態を検出する。検出部301,302,303は、角度調整部24に設けられており、搬送ローラ42で搬送される電極20の状態を検出する。これにより、検出部301,302,303は、プレス部27へ供給するのに不適切な状態にある電極20を検出することができる。
【0053】
検出部301は、電極20のピッチを検出する。検出部301は、搬送ローラ42の上方に配置される。具体的には、検出部301は、電極20が当該検出部301の下方を通過するタイミングを計側するセンサによって構成される。このようなセンサとして、反射型の光電センサ、レーザセンサなどを採用してもよい。検出部301は、電極20が通過するタイミングを計側することで、電極20間にどの程度の大きさの隙間が形成されているかを検出できる。
【0054】
検出部302は、プレス前の電極20の厚みを検出する。具体的には、検出部302は、フォトマイクロセンサ、レーザセンサ、超音波センサ等の対象物の厚みを計側するセンサによって構成されてよい。検出部303は、電極20の姿勢を検出する。具体的には、検出部302は、カメラ等のイメージセンサによって構成されてよい。検出部303は、電極20の画像を取得し、当該画像に基づいて電極20の姿勢を把握することができる。検出部302,303は、搬送ローラ42の上方に配置される。
【0055】
なお、検出部301,302,303によって取得された検出結果は、図示されない制御部に送信される。制御部は、取得した検出結果に基づいて、対象となる電極20が、プレス部27に供給するのに適切な状態の電極20であるか(OK品)、プレス部27に供給するのに不適切な状態の電極20であるか(NG品)を判定する。ここでの制御部は、請求項における検出部の一部であるとみなしてよい。例えば、制御部は、電極20間のピッチが狭すぎる場合、対象となる電極20をNG品と判定する。制御部は、例えば電極20が二枚重なっている場合や、塗工に失敗して薄すぎる電極20などをNG品と判定する。制御部は、プレス部27に対して傾きすぎている電極20などをNG品と判定する。
【0056】
排出部305は、プレス部27より上流側に設けられ、検出部301,302,303の検出結果に基づいて、電極20を搬送路から排出する。角度調整部24と供給部26との間には隙間が設けられており、排出部305は当該隙間の位置に設けられる。従って、排出部305は、検出部301,302,303の検出結果に基づいてNG品と判定された電極20を、角度調整部24と供給部26で構成される搬送路から排出する。
【0057】
排出部305は、角度調整部24と供給部26との間の隙間に向かってエアーを噴出する気体供給部304と、角度調整部24と供給部26との間の隙間に配置された回収ボックス306と、を備える。気体供給部304は、NG品と判定された電極20に対して上方からエアーを吹き付ける。これにより、NG品に係る電極20は落下して、回収ボックス306で回収される。
【0058】
なお、搬送ローラ42の下方には、角度調整部24と供給部26との間の隙間に向かって下支えエアーを供給する気体供給部307(
図9参照)が設けられている。気体供給部307は、OK品に係る電極20が角度調整部24と供給部26との間の隙間において、下方へ曲がらないように下支えエアーで電極20を支える。
【0059】
以上により、電極製造装置300においては、プレス部27に供給される電極20として適切な状態でないものが存在していた場合、検出部301,302,303が不適切な状態の電極20を検出することができる。また、排出部305は、不適切な状態の電極20を搬送路から排出することで、当該電極20をプレス部27へ供給されないようにすることができる。
【0060】
また、
図10及び
図11に示すように、ロボットアーム406A,406Bを備える電極製造装置400を採用してもよい。ここでは、請求項における「角度調整部」が、ロボットアーム406A,406Bによって構成される。電極製造装置400は、上流側に設けられる搬送コンベア403と、搬送コンベア403とプレス部27との間に下流側に設けられる供給部401と、上述のロボットアーム406A,406Bと、を備える。
【0061】
搬送コンベア403は、上流側から供給された電極20を搬送するコンベアである。電極20は、搬送コンベア403上においては、位置調整がなされる前の段階であるため、位置及び姿勢が乱れた状態で搬送される。搬送コンベア403の上側には検出部404が設けられている。検出部404は、搬送コンベア403上の電極20の位置及び姿勢を検出するカメラ等によって構成される。
【0062】
ロボットアーム406A,406Bは、搬送コンベア403と供給部401との境界付近に配置されている。ロボットアーム406Aは、搬送コンベア403に対してY軸方向の正側に配置され、ロボットアーム406Bは、搬送コンベア403に対してY軸方向の負側に配置される。
【0063】
ロボットアーム406A,406Bは、搬送コンベア403上の電極20を保持した後、検出部404の検出結果に基づいて、電極20の位置調整及び角度調整を行った上で、供給部401へ移送する。すなわち、電極20の角度がプレス部27に対して傾斜していることが検知された場合、ロボットアーム406A,406Bは、当該電極20の角度を調整した上で、供給部401へ載せ替える。また、このとき、ロボットアーム406A,406Bは、Y軸方向における電極20の位置や、電極20のピッチなどを調整した上で、当該電極20を供給部401へ載せ替える。
【0064】
具体的に、ロボットアーム406A,406Bは、電極20を保持する保持部406aと、互いに回転可能に接続された複数のアーム406bと、を備える。保持部406aは、電極20を保持した状態で、上下方向へ移動することが可能であり、回転方向へ回転することも可能である。複数のアーム406bは、YX平面内、及び上下方向に保持部406aを移動させることができる。なお、ロボットアーム406A,406Bは、搬送コンベア403上の電極20で保持して供給部401へ運ぶ動作と、供給部401上に電極20を載置して搬送コンベア403へ戻る動作と、を交互に行うことができる。これにより、電極20の搬送速度が大きい場合であっても処理可能のなるため、処理の高速化を図ることができる。ただし、電極20の搬送速度によっては、ロボットアーム406は一台でもよく、三台以上でもよい。
【0065】
供給部401は、ロボットアーム406Aから受け取った電極20を、姿勢を維持した状態のままで下流側へ搬送し、当該電極20をプレス部27に供給する。供給部401は、吸着コンベアによって構成される。供給部401のベルト402の上面は、吸着面のして機能し、載置された電極20を吸着することで、電極20の姿勢及び位置を固定したまま、搬送することができる。
【0066】
上記実施形態では、受取部28の下流側に厚み検査部29が設けられていた。これに代えて、受取部28に測定部29bを設けることで、受取部28を厚み検査部として機能させてよい。または、厚み検査部を省略してもよい。
【0067】
上記実施形態では、電極20は、タブ21とは反対側の縁部20bから順にプレス部27でプレスされるが、向きを変更し、例えば、タブ21のある縁部20aからプレス部27でプレスされてもよい。
【0068】
上記実施形態は方向転換部23を備えるが、方向転換部23が無く、コンベア31とコンベア32との搬送方向が、直線状に配置されていてもよい。直線状のコンベア間の乗り継ぎにおいても、電極の接地のタイミングが左右で均一でないと、ワークが回転する。従って、本発明による効果を得ることが出来る。
【0069】
電極製造装置の各構成要素のレイアウトは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。