(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795105
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】飛行時間型質量分析装置
(51)【国際特許分類】
H01J 49/40 20060101AFI20201119BHJP
H01J 49/24 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
H01J49/40 500
H01J49/24
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-557715(P2019-557715)
(86)(22)【出願日】2017年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2017043392
(87)【国際公開番号】WO2019111290
(87)【国際公開日】20190613
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 朋也
【審査官】
右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10-228880(JP,A)
【文献】
特表2002-520799(JP,A)
【文献】
特開2006-140064(JP,A)
【文献】
特開2010-112202(JP,A)
【文献】
特開2012-64437(JP,A)
【文献】
特開2012-99435(JP,A)
【文献】
特開2017-117726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が真空雰囲気に維持されるチャンバと、該チャンバの内部に該チャンバの内壁から離して配置されたフライトチューブと、前記チャンバの外側を温調する温度調整部と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
前記チャンバの内壁面にあって前記フライトチューブに対面する内壁面に輻射率向上処理が施されてなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記輻射率向上処理は前記チャンバを形成する材料の内壁面に対する表面処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記表面処理は、前記チャンバを形成する材料の表面に薄い被膜を形成する被膜形成処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記表面処理は、前記チャンバを形成する材料の表面を化学的に又は物理的に削って表面を粗くする加工処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項5】
請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記チャンバはアルミニウム製であり、前記表面処理はアルマイト加工処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記アルマイト加工処理は黒アルマイト加工処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項7】
請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記表面処理はニッケルメッキ加工処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項8】
請求項7に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記ニッケルメッキ加工処理は黒ニッケルメッキ加工処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項9】
請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記表面処理はカーボン被膜形成処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項10】
請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記表面処理はセラミック溶射処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【請求項11】
請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
前記輻射率向上処理は前記チャンバを形成する材料の内壁面に別の材料の薄板又は薄箔を貼り付ける処理であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飛行時間型質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に飛行時間型質量分析装置(以下、TOFMSと称すことがある)では、試料成分由来のイオンに一定の加速エネルギを付与し、フライトチューブ内に形成される飛行空間に導入して該飛行空間中を飛行させる。そして、各イオンが一定の距離を飛行するのに要する時間を測定し、その飛行時間に基づいて各イオンの質量電荷比m/zを算出する。そのため、周囲温度の上昇に伴って金属製のフライトチューブが熱膨張して飛行距離が変化すると、各イオンの飛行時間も変動して質量電荷比のずれをもたらす。こうしたフライトチューブの熱膨張に起因する質量ずれを回避して高い質量精度を達成するために、従来、様々な対策が試みられている。
【0003】
特許文献1、2等に開示されているように、フライトチューブの熱膨張により生じる質量ずれをデータ処理によって補正するという方法も知られているが、質量ずれが大きいと十分な補正効果を得るのが難しい。そのため、高い質量精度を達成するには、こうしたデータ処理による補正を行うか否かに拘わらず、フライトチューブの熱膨張自体を或る程度抑えることが重要である。
【0004】
フライトチューブの熱膨張を抑制する方法として、フライトチューブ自体を熱膨張率の小さな材料から作製するという方法がある。例えば特許文献2、3には、フライトチューブの材料として熱膨張率の小さなFe-Ni36%(インバー:登録商標)を用いることが記載されている。しかしながら、特許文献3にも記載されているように、こうした熱膨張率の小さな材料はステンレス等に比べてかなり高価であるため、装置のコストが大幅に高くなる。
【0005】
一方、特許文献2、3には、周囲温度が変化してもフライトチューブの温度が極力変化しないように、温調された或いは外部の温度変化の影響を受けない容器(チャンバ)内にフライトチューブを設置するという方法も開示されている。こうしたチャンバの内部は高真空状態であるため、チャンバとフライトチューブとの間の熱的結合は輻射伝熱によるものが支配的であるが、それ以外に、チャンバの内壁面に対してフライトチューブを構造的に支持する部材、つまりはチャンバとフライトチューブとの両方に接触する部材、などを通しての熱伝導などによるものがある。即ち、真空断熱されたチャンバの内部に配置されたフライトチューブも、輻射伝熱や熱伝導などによりチャンバの外側の温度変動の影響を受ける。そのため、フライトチューブの温度安定性を高めるには、チャンバの外側に配置したヒータ等によりチャンバを温調する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/064802号パンフレット
【特許文献2】特開2003−68246号公報
【特許文献3】特開2012−64437号公報
【発明の概要】
【0007】
近年、質量分析装置には従来にも増して質量精度や分解能の向上が要求されている。そのために、TOFMSではフライトチューブの温度の一層の安定性が重要である。チャンバ自体の温調の性能を上げることでフライトチューブの温度安定性を高めたり、上述したようにフライトチューブに熱膨張の小さい材料を使用したりすることも可能であるものの、コストが大幅に増加するとともに、装置が大形になり重量も増すという問題もある。
【0008】
本発明はこうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、コストを大幅に増加させることなくフライトチューブの温度の安定性を高めることで高い質量精度を達成することができるTOFMSを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般にTOFMSにおいて、チャンバにはアルミニウム或いはステンレス等の金属が用いられ、フライトチューブにはステンレス等の金属が用いられる。ステンレスの輻射率は約0.3であり、アルミニウムの輻射率はさらに低く0.1以下である。このように輻射率が低いと輻射伝熱によるチャンバとフライトチューブとの間の熱的結合は小さい。つまり、上記輻射伝熱の経路における熱抵抗は大きい。輻射伝熱の経路における熱抵抗が熱伝導の経路における熱抵抗に比べて顕著に大きくなると、チャンバを一定温度に温調していてもフライトチューブの温度が安定しにくくなる。これは、室温が変動したときに十分に温調されていない熱伝導の経路を通してフライトチューブに温度変化が伝わり、フライトチューブが一定温度に維持されなくなってしまうためである。このような室温変動という外乱に対する温度制御の安定性を高めるには、輻射伝熱の経路における熱抵抗を熱伝導の経路における熱抵抗に比べて十分に小さくすることが必要である。
【0010】
本発明者は上記知見に基づき、輻射伝熱の経路における熱抵抗を極力小さくすることでフライトチューブの温度安定性を高めることに想到し、本発明をするに至った。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明は、内部が真空雰囲気に維持されるチャンバと、該チャンバの内部に該チャンバの内壁から離して配置されたフライトチューブと、前記チャンバの外側を温調する温度調整部と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
前記チャンバの内壁面にあって前記フライトチューブに対面する内壁面に輻射率向上処理が施されてなることを特徴としている。
【0011】
本発明に係るTOFMSでは、チャンバの内壁面に所定の輻射率向上処理を施すことで、輻射伝熱によるチャンバとフライトチューブとの間の熱的結合を大きくする。それにより、例えばフライトチューブをチャンバ内に保持するためにフライトチューブとチャンバとの両方に接触するように設けられた支持部材を介する熱伝導による熱的結合に比べて、上記輻射伝熱による熱的結合を相対的に大きくすることができる。その結果、例えば室温が変化してその変化が温度調整部で十分に温調されていない支持部材等を介してフライトチューブに伝導したとしても、輻射伝熱によってフライトチューブの温度を安定に保つことができる。
【0012】
また、装置の起動による温調開始時等にフライトチューブが一定温度に静定するまでの所要時間(以下「温度安定化時間」という)は、フライトチューブの温度変化の時定数τに依存する。この時定数τはτ≒[伝熱の経路における熱抵抗]×[フライトチューブの熱容量]である。チャンバの輻射率が低いと輻射伝熱の経路における熱抵抗が大きくなるため、時定数τも大きくなってフライトチューブの温度安定化時間が長くなる。そうすると、TOFMSの装置起動時に測定を開始できるまでの時間が長くなり、測定効率が低下してしまう。これに対し、本発明に係るTOFMSでは、チャンバの輻射率を高めることで輻射伝熱の経路における熱抵抗が小さくなるので、それだけ時定数τも小さくなり、フライトチューブの温度安定化時間を短縮することができる。
【0013】
本発明において上記輻射率向上処理は様々な処理手法とすることができる。
本発明の一態様として、前記輻射率向上処理は前記チャンバを形成する材料の内壁面に対する表面処理であるものとすることができる。
【0014】
表面処理には、大別して、メッキ加工処理、塗装又は塗布加工処理、溶射処理などによって表面に何らかの薄い被膜を形成する被膜形成処理と、表面を化学的に又は物理的に削って表面を粗くする(凹凸を形成する)加工処理とがある。
【0015】
チャンバがアルミニウム製である場合、上記表面処理はアルマイト加工処理とすることができる。また、上記表面処理はニッケルメッキ加工処理とすることができる。また、上記表面処理はカーボン被膜形成処理とすることができる。アルマイト加工処理の場合、アルマイト加工後に黒色の染料で着色する等の方法により表面を黒色にする黒アルマイト加工処理とすることで、さらに輻射率を向上させることができる。ニッケルメッキ加工処理の場合、ニッケルメッキ加工後に黒色に酸化させる等の方法により表面を黒色にする黒ニッケルメッキ加工処理とすることで、さらに輻射率を向上させることができる。また、上記表面処理はセラミック溶射処理とすることもできる。
【0016】
さらにまた本発明の別の態様として、前記輻射率向上処理は前記チャンバを形成する材料の内壁面に別の材料の薄板又は薄箔を貼り付ける処理であるものとすることができる。例えば、チャンバがアルミニウム製である場合、該チャンバの内壁面にステンレス製の薄板を貼り付けるようにするとよい。
【0017】
どのような処理方法を採用するのかは、真空雰囲気の下でそれら処理による形成物から放出されるガス(アウトガス)の影響やコストなどを考慮して決めればよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るTOFMSによれば、室温が変化した場合でもフライトチューブの温度変化を抑えることができる。コスト増加の程度は輻射率向上処理の処理方法により異なるが、いずれにしてもフライトチューブにインバーなどの高価な材料を用いる場合に比べればコストの増加を抑えることができ、コスト増加を抑えつつ高い質量精度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例であるTOFMSの一部の概略構成図。
【
図2】他の実施例のTOFMSにおけるチャンバの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例であるTOFMSについて、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のTOFMSの一部の概略構成図である。
【0021】
本実施例のTOFMSは、いずれも図示しないイオン源、四重極マスフィルタ、コリジョンセル、及び
図1中に現れている直交加速TOFMS1を含む、四重極−飛行時間型質量分析装置(Q−TOFMS)であり、コリジョンセルで所定の質量電荷比のプリカーサイオンを解離させることで生成された各種のプロダクトイオンが
図1中で左方からX軸方向に導入される。
【0022】
図1において、図示しないターボ分子ポンプ等の真空ポンプにより真空排気されるチャンバ10の内部には、絶縁性で且つ振動吸収性能の高い支持部材11を介して略円筒形状又は角筒形状のフライトチューブ12が保持されている。また、図示しない支持部材を介して、このフライトチューブ12に対し直交加速部14及びイオン検出器15がそれぞれ固定されている。フライトチューブ12の内部下側には、多数の円環状又は矩形環状の反射電極から成るリフレクタ13が配置され、このリフレクタにより形成される反射電場でイオンが折り返されるリフレクトロン型の飛行空間がフライトチューブ12の内部に設けられている。
【0023】
フライトチューブ12はステンレス等の金属製であり、所定の直流電圧がフライトチューブ12に印加される。また、リフレクタを構成する複数の反射電極には、フライトチューブ12に印加される電圧を基準としてそれぞれ異なる直流電圧が印加される。これによりリフレクタ中には反射電場が形成され、それ以外の飛行空間は無電場・無磁場で且つ高真空雰囲気のものとなる。
【0024】
図1中に示すように、直交加速部14にイオンがX軸方向に導入されている状態で、直交加速部14中の加速電極に外部からパルス状の直流電圧が印加されると、その直流電圧によってイオンはZ軸方向に所定の運動エネルギを付与される。これにより、イオンは直交加速部14からフライトチューブ12内の飛行空間に送り込まれる。イオンは
図1中に点線で示すような軌道を通りつつ飛行空間中を飛行しイオン検出器15に到達する。飛行空間中のイオンの速度は該イオンの質量電荷比に依存する。そのため、略同時に飛行空間に導入された異なる質量電荷比を有するイオンは、飛行する間に質量電荷比に応じて分離され、時間差を有してイオン検出器15に到達する。イオン検出器による検出信号は図示しない信号処理部に入力され、各イオンの飛行時間が質量電荷比に換算されることでマススペクトルが作成される。
【0025】
フライトチューブ12が熱によって膨張すると、飛行距離が変化するために質量電荷比のずれになる。そこで、本実施例のTOFMSではフライトチューブ12の温度安定性を高めるために、以下のような構成となっている。
【0026】
チャンバ10はその周囲に配置された、ヒータ、温度センサ等を含む温調部16により所定温度に温調される。主として温調されているチャンバ10からの輻射伝熱によってフライトチューブ12は一定温度に維持されるように加熱されるが、この輻射伝熱の効率が高くなるようにチャンバ10の内壁面には輻射率が高まるような表面処理加工が施されている。具体的には、この実施例では、チャンバ10の材料としてはステンレスよりも安価であるアルミニウムが用いられ、そのアルミニウム製のチャンバ10の本体10aの内壁面にあって少なくともフライトチューブ12に対面する範囲に、黒ニッケルメッキ加工処理による被膜層10bが形成されている。
【0027】
よく知られているように黒色ニッケルメッキは反射防止や装飾を目的としてごく一般に利用されているメッキの一つであり、比較的、加工コストが安価である。黒色ニッケルメッキによる被膜層10bを形成すると、表面が黒色になり輻射率が向上する。本発明者の実験によれば、アルミニウム製のチャンバ10の本体10aの内壁面に黒色ニッケルメッキによる被膜層10bを形成することで、輻射率を10倍程度高められることが確認されている。これにより、本実施例のTOFMSでは、チャンバ10とフライトチューブ12との間の輻射伝熱の経路における熱抵抗が従来(黒色ニッケルメッキによる被膜層10bを形成しない場合)に比べて大幅に低下し、フライトチューブ12の温度安定性を向上させることができる。
【0028】
本発明者の実験によれば、本実施例のTOFMSでは従来に比べてステップ状の室温の変化に対するフライトチューブ12の温度変化量は約1/2に抑えられることが確認できた。一方、フライトチューブ12の温度安定化時間は従来に比べて約60%短縮できることが確認できた。
【0029】
上記実施例ではチャンバ10の内壁面の輻射率を向上させるために黒色ニッケルメッキによる被膜層を形成していたが、本発明において輻射率を向上させる処理はこれに限らない。
【0030】
例えば上述したようにチャンバがアルミニウム製である場合には、黒色ニッケルメッキの代わりに通常のニッケルメッキでもよいし、アルマイト加工処理による被膜層を形成してもよい。或いは、カーボン被膜形成処理やセラミック溶射処理、さらにはそれ以外のメッキ加工処理、塗装又は塗布加工処理、溶射処理などによって表面に輻射率の改善が可能な被膜層を形成してもよい。
【0031】
また、チャンバ10の材料とは異なる材料から成る被膜層を形成するのではなく、チャンバ10そのものの表面を化学的に又は物理的に削ることで凹凸を形成するようにしてもよい。
図2はこうした加工処理により凹凸面10cを形成した例である。これによっても、チャンバ10の内壁面の輻射率が高くなるため、上記実施例と同様の効果を達成することができる。
【0032】
また、上述したような各種の加工処理によって被膜層を形成するのではなく、チャンバ10の内壁面に、そのチャンバ10の材料に比べて輻射率が高い別の材料の薄板又は薄箔を貼り付けてもよい。具体的には、上述したようなアルミニウム製であるチャンバ10の内壁面にステンレス製の薄板を貼り付ければよい。これによっても、チャンバ10の内壁面の輻射率が高くなるため、上記実施例と同様の効果を達成することができる。
【0033】
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、上記記載の変形例以外に本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば上記実施例は直交加速式のリフレクトロン型TOFMSであるが、直交加速式である必要はなく、例えばイオントラップから射出したイオンを飛行空間に投入する構成やMALDIイオン源などにより試料から生成したイオンを加速して飛行空間に投入する構成であってもよい。また、リフレクトロン型でなくリニア型のTOFMSでもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…直交加速TOFMS
10…チャンバ
10a…本体
10b…被膜層
10c…凹凸面
11…支持部材
12…フライトチューブ
13…リフレクタ
14…直交加速部
15…イオン検出器
16…温調部