(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示が解決しようとする課題]
上記のようなネットワークシステムにおいて、伝送ルートの帯域の占有率が高い状況になると、伝送すべき各種情報を含むパケットのロス等が発生しやすくなり、情報を安定して伝送することが困難になる。
【0013】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することが可能な通信システム、通信装置および通信制御方法を提供することである。
【0014】
[本開示の効果]
本開示によれば、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0015】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本開示の実施の形態に係る通信システムは、電力系統に用いられる通信システムであって、転送先の識別情報を含むパケットを無線通信により転送する複数の通信装置を備え、前記通信装置は、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず受信し、前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行い、前記転送先の前記通信装置は、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて無線通信により転送する。
【0017】
このように、通信装置が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システムにおける特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。したがって、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0018】
(2)好ましくは、前記電力系統において
センサが設けられ、前記通信装置は、前記センサの計測結果が異常である場合、前記計測結果または前記計測結果に基づく情報を含む前記特定パケットを生成して転送し、前記通信装置は、前記計測結果が正常である場合、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットであって前記計測結果または前記計測結果に基づく情報を含む前記パケットを生成して転送する。
【0019】
このような構成により、電力系統における計測結果に異常がある場合に、当該異常および異常値をより確実に通知することができる。
【0020】
(3)より好ましくは、前記通信装置は、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットであって前記所定期間において生成された前記パケットを破棄し、前記所定期間において生成された前記特定パケットを破棄せずに転送する。
【0021】
このような構成により、たとえば他の通信装置から特定パケットが送信された状況において、自己の通信装置において生成した特定パケットも並行して伝送することができる。
【0022】
(4)好ましくは、前記通信システムは、さらに、前記複数の通信装置のうちの少なくともいずれか1つと他の装置との間の情報を中継する親装置を備え、前記親装置は、前記特定パケットを前記転送先の識別情報に関わらず受信し、自己の前記識別情報を含まない前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行う。
【0023】
このような構成により、たとえば親装置が他の装置からの情報を子装置へ中継する通信システムにおいて、転送される特定パケットの受信に先立って親装置におけるトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができ、特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。
【0024】
(5)本開示の実施の形態に係る通信装置は、電力系統に用いられる通信システムにおける通信装置であって、無線通信を行う通信部と、転送先の識別情報を含むパケットを前記通信部を介して転送する通信制御部とを備え、前記通信制御部は、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず前記通信部経由で受信し、前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行い、前記通信制御部は、前記特定パケットが自己の前記通信装置の識別情報を含む場合、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて前記通信部経由で転送する。
【0025】
このように、通信装置が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システムにおける特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。したがって、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0026】
(6)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、電力系統に用いられる通信システムにおける通信制御方法であって、前記通信システムは、転送先の識別情報を含むパケットを無線通信により転送する複数の通信装置を備え、前記通信装置が、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず受信し、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行うステップと、前記転送先の前記通信装置が、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて無線通信により転送するステップとを含む。
【0027】
このように、通信装置が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システムにおける特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。したがって、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0028】
(7)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、電力系統に用いられる通信システムにおける、無線通信を行う通信部を備える通信装置における通信制御方法であって、転送先の識別情報を含むパケットを前記通信部を介して転送するステップと、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず前記通信部経由で受信し、前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行うステップと、前記特定パケットが自己の前記通信装置の識別情報を含む場合、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて前記通信部経由で転送するステップとを含む。
【0029】
このように、通信装置が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システムにおける特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。したがって、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0030】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0031】
[構成および基本動作]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、通信システム301は、複数の通信装置101と、親装置102と、集約装置151と、上位装置171とを備える。
図1では、通信システム301は、1つの監視系統T1を示している。
【0033】
通信システム301は、電力系統に用いられる。より詳細には、通信システム301は、たとえば、発電所および電力の需要家間に設置される送電設備に併設される通信システムであって、たとえば、送電線を通して流れる電流の計測、送電線の電圧の計測、送電線の温度監視、および送電設備の保守等に用いられる。電力系統には、たとえばセンサが設けられている。
【0034】
通信装置101および親装置102は、マルチホップ通信を行うことにより、情報を転送する機能を有する。本明細書において、「転送」は、たとえば、情報を中継先へ中継すること、および、情報の送信元として情報を中継先へ送信することを含む。
【0035】
具体的には、通信装置101は、「転送」として、たとえば、自己が他の通信装置101または親装置102から受信した情報を当該他の通信装置101とは異なる他の通信装置101または親装置102へ送信し、また、自己におけるセンサの計測結果を示す情報を他の通信装置101または親装置102へ送信する。
【0036】
また、親装置102は、「転送」として、たとえば、通信システム301における複数の通信装置101のうちの端に位置する通信装置101から転送された情報を受信して集約装置151へ送信し、自己が集約装置151から受信した情報を、当該端に位置する通信装置101へ送信し、また、自己におけるセンサの計測結果を示す情報を集約装置151へ送信する。なお、親装置102は、複数の通信装置101のうちの端に位置する通信装置101に限らず、複数の通信装置101のうちのいずれかから転送された情報を受信して集約装置151へ送信し、また、自己が集約装置151から受信した情報を、複数の通信装置101のうちのいずれかへ転送する構成であってもよい。
【0037】
図2は、本開示の実施の形態に係る通信システムの適用例を示す図である。
図1および
図2を参照して、集約装置151は、たとえば鉄塔2に設けられる。
【0038】
電線1U,1V,1Wは、それぞれ、電力系統におけるU相,V相,W相の電線であり、複数の鉄塔2により支持されている。電線1U,1V,1Wにより1つの回線3が構成される。
図2では、1つの回線3を代表的に示しているが、複数の回線3が設けられてもよい。以下、電線1U,1V,1Wの各々を、電線1とも称する。
【0039】
通信装置101は、たとえば、複数相の電線1において、互いに対応する位置に設けられる。より詳細には、3つの通信装置101は、たとえば、電線1U,1V,1Wのそれぞれにおける鉄塔2の近傍の位置に設けられる。これらの3つの通信装置101と鉄塔2との間の距離は、たとえば同じである。
【0040】
また、2つの通信装置101および親装置102は、複数相の電線1において、互いに対応する位置に設けられる。より詳細には、親装置102は、たとえば、電線1Uにおける鉄塔2の近傍の位置に設けられる。2つの通信装置101は、たとえば、電線1V,1Wのそれぞれにおける鉄塔2の近傍の位置に設けられる。これらの2つの通信装置101および親装置102と鉄塔2との間の距離は、たとえば同じである。
【0041】
通信装置101および親装置102は、無線通信機能を有する装置である。通信装置101および親装置102は、たとえば、920MHz帯の通信帯域を用いる無線通信を行う。
【0042】
なお、通信装置101は、電線1U,1V,1Wにそれぞれ設けられる構成であるとしたが、これに限らず、電線1U,1V,1Wのうちの一部に設けられる構成であってもよい。
【0043】
また、親装置102は、電線1Uに設けられる構成であるとしたが、これに限らず、電線1Vまたは電線1Wに設けられる構成であってもよい。
【0044】
親装置102は、たとえば、集約装置151とシリアルケーブルで接続され、通信装置101から送信された情報を受信し、受信した情報を集約装置151へ転送する。
【0045】
上位装置171は、集約装置151と通信可能な装置である。上位装置171は、たとえば、携帯電話回線を介して集約装置151と通信することができる。また、集約装置151は、上位装置171から送信された情報を受信し、受信した情報を親装置102へ転送する。
【0046】
以下、上位装置171から見て通信装置101側を「下流側」と称し、通信装置101から見て上位装置171側を「上流側」と称する場合がある。また、上位装置171から通信装置101への方向を「下り方向」と称し、通信装置101から上位装置171への方向を「上り方向」と称する場合がある。
【0047】
監視系統T1に含まれる通信装置101の数は特に限定されるものではなく、たとえば50以上である。
【0048】
図3は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおけるアドレス割り当ての一例を示す図である。以下では、通信システム301が、通信装置101である通信装置101Aおよび通信装置101Bを備える場合について説明する。通信装置101Aおよび通信装置101Bは、上流側からこの順番で設置される。
【0049】
図3を参照して、通信システム301では、集約装置151、親装置102、通信装置101および上位装置171にそれぞれ異なる識別情報、たとえばショートアドレスが固定的に割り当てられている。
【0050】
また、監視系統T1にネットワーク識別子、たとえばPAN_ID(Personal Area Network Identification)が固定的に割り当てられている。
【0051】
また、通信システム301において、上位装置171および集約装置151間では、たとえば携帯電話回線を用いた通信が行われる。上位装置171および集約装置151間では、通信プロトコルとして、携帯電話回線用の通信プロトコル、たとえばIP(Internet Protocol)が用いられる。
【0052】
一方、集約装置151および親装置102間では、たとえばシリアル通信が行われる。集約装置151および親装置102間では、通信プロトコルとして、シリアル通信用の通信プロトコルが用いられる。
【0053】
また、親装置102および通信装置101間、ならびに通信装置101間では、たとえば、IEEE802.15.4の通信規格に従う、920MHz帯の通信帯域を用いる無線通信が行われる。親装置102および通信装置101間、ならびに通信装置101間では、通信プロトコルとして、当該無線通信用の通信プロトコルが用いられる。
【0054】
通信システム301において、親装置102、複数の通信装置101、集約装置151および上位装置171は、送信元アドレスおよび送信先アドレスとして識別情報、たとえば、送信元ショートアドレスおよび送信先ショートアドレスがそれぞれ格納されたパケットを送受信する。
【0055】
図4は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける通信装置の構成の一例を示す図である。
【0056】
図4を参照して、通信装置101は、通信部11と、通信制御部12と、記憶部13と、パケット生成部14と、センサ111とを備える。
【0057】
通信装置101は、自己におけるセンサ111の計測結果を示す計測情報を取得し、取得した計測情報を上流側の他の通信装置101または親装置102へ転送する。
【0058】
より詳細には、通信装置101は、センサ111の計測結果を含むパケットを生成して他の通信装置101または親装置102へ転送する。
【0059】
具体的には、センサ111は、一例として、電線1を通して流れる電流、電線1の電圧、および電線1の温度等を計測する。なお、センサ111の検知対象は特に限定されるものではない。
【0060】
センサ111は、当該検知対象の計測結果を示す計測情報をパケット生成部14へ出力する。
【0061】
パケット生成部14は、センサ111から受けた計測情報が格納されたアプリケーションパケットをたとえば所定の計測周期ごとに生成し、生成したアプリケーションパケットを通信制御部12へ出力する。
【0062】
通信制御部12は、パケット生成部14から受けたアプリケーションパケットを含むルーティングパケットを生成する。
【0063】
図5は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて使用されるパケットの一例を示す図である。
図5には、ルーティングパケットのフォーマットが示されている。
【0064】
図5を参照して、ルーティングパケットは、たとえば、ルーティングヘッダと、ペイロードに格納されたアプリケーションパケットとを含む。
【0065】
ルーティングヘッダは、たとえば、「PAN_ID」、「送信先ショートアドレス」、および「送信元ショートアドレス」を含む。
【0066】
アプリケーションパケットは、たとえば、アプリケーションヘッダおよびアプリケーションペイロードを含む。アプリケーションペイロードは、計測情報を含む。
【0067】
そして、通信制御部12は、たとえば、記憶部13に保存されているネットワーク情報を参照することにより、生成したルーティングパケットの「PAN_ID」、「送信先ショートアドレス」および「送信元ショートアドレス」を設定する。
【0068】
ネットワーク情報は、監視系統T1のPAN_IDと、上位装置171のショートアドレスと、監視系統T1における集約装置151のショートアドレスと、監視系統T1における親装置102のショートアドレスと、監視系統T1における複数の通信装置101のショートアドレスとの対応関係を示す。
【0069】
より詳細には、通信制御部12は、たとえば、生成したルーティングパケットの「PAN_ID」に自己の通信装置101が属する監視系統T1のPAN_IDを設定し、「送信先ショートアドレス」に当該ルーティングパケットを送信すべき上位装置171のショートアドレスを設定し、「送信元ショートアドレス」に自己の通信装置101のショートアドレスを設定する。
【0070】
そして、通信制御部12は、当該ルーティングパケットに無線ヘッダを付加した無線パケットを生成する。
【0071】
図6は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて使用されるパケットの一例を示す図である。
図6には、920MHzの無線通信により伝送される無線パケットのフォーマットが示されている。
【0072】
図6を参照して、無線パケットは、無線パケットは、無線ヘッダと、ペイロードに格納されたルーティングパケットとを含む。
【0073】
無線ヘッダは、たとえば、「送信先ショートアドレス」および「送信元ショートアドレス」を含む。
【0074】
そして、通信制御部12は、たとえば、IEEE802.15.4の通信規格に従って、生成した無線パケットの伝送ルートを設定する。再び
図2を参照して、無線パケットの伝送ルートの一例が破線により示される。この例では、互いに対応する位置に設けられる3つの通信装置101のうちの2つの通信装置101が、それぞれ、作成した無線パケットを対応の位置に設けられた他の通信装置101(以下、代表通信装置とも称する。)へ送信する。
【0075】
上記の例において、通信制御部12は、たとえば、記憶部13に保存されているネットワーク情報を参照することにより、当該無線パケットの伝送ルートを設定し、設定した伝送ルートに基づいて当該無線パケットを送信すべき代表通信装置のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを無線ヘッダにおける「送信先ショートアドレス」に設定する。
【0076】
また、通信制御部12は、当該無線パケットの無線ヘッダにおける「送信元ショートアドレス」に自己の通信装置101のショートアドレスを設定し、当該無線パケットを通信部11へ出力する。
【0077】
通信部11は、通信制御部12から受けた無線パケットを含む920MHz帯の無線信号を送信する。
【0078】
代表通信装置における通信部11は、たとえば、他の通信装置101から送信された920MHz帯の無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる無線パケットを取得して通信制御部12へ出力する。
【0079】
通信制御部12は、通信部11から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが自己の通信装置101を示す場合、当該無線パケットのルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスを確認する。
【0080】
そして、通信制御部12は、確認したルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスが上位装置171を示すことから、当該無線パケットをたとえば自己の通信装置101より上流側の通信装置101または親装置102へ通信部11を介して転送する。
【0081】
より詳細には、通信制御部12は、記憶部13に保存されているネットワーク情報を参照することにより、自己の通信装置101より上流側の通信装置101または親装置102のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを当該無線ヘッダにおける「送信先ショートアドレス」に設定して通信部11へ出力する。
【0082】
通信部11は、通信制御部12から受けた無線パケットを含む920MHz帯の無線信号を送信する。
【0083】
図7は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける親装置の構成の一例を示す図である。
【0084】
図7を参照して、親装置102は、通信部21と、通信制御部22と、記憶部23と、有線通信部24と、パケット生成部25と、センサ112とを備える。
【0085】
親装置102における通信部21は、たとえば、通信装置101から送信された920MHz帯の無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる無線パケットを取得して通信制御部22へ出力する。
【0086】
通信制御部22は、通信部21から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが自己の親装置102を示す場合、当該無線パケットのルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスを確認する。
【0087】
そして、通信制御部22は、確認したルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスが上位装置171を示すことから、当該無線パケットに含まれるルーティングパケットを集約装置151へ転送する。
【0088】
より詳細には、通信制御部22は、当該無線パケットの無線ヘッダをシリアル通信用の通信プロトコルにおいて用いられるシリアルヘッダに付け替えたシリアルパケットを生成する。
【0089】
具体的には、通信制御部22は、記憶部23に保存されているネットワーク情報を参照することにより、集約装置151のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを含むシリアルヘッダを生成する。
【0090】
そして、通信制御部22は、無線パケットの無線ヘッダを生成したシリアルヘッダに付け替えたシリアルパケットを生成し、生成したシリアルパケットを有線通信部24へ出力する。
【0091】
有線通信部24は、通信制御部22から受けたシリアルパケットをシリアルケーブルを介して集約装置151へ送信する。
【0092】
再び
図2を参照して、集約装置151は、親装置102からのシリアルパケットを受信し、受信したシリアルパケットを、たとえばIPにおいて用いられるIPパケットに変換して上位装置171へ転送する。
【0093】
上位装置171は、集約装置151からのIPパケットを受信し、たとえば、受信したIP無線パケットに含まれる計測情報に基づいて種々の演算を行う。
【0094】
また、集約装置151は、たとえば、監視系統T1における対応の通信装置101の設定情報等が格納されたアプリケーションパケットを含むルーティングパケットを生成し、生成したルーティングパケットを親装置102および他の通信装置101を介して送信する。
【0095】
より詳細には、集約装置151は、たとえば、図示しない記憶部に保存されているネットワーク情報を参照することにより、生成したルーティングパケットの「PAN_ID」に自己が属する監視系統T1のPAN_IDを設定し、「送信先ショートアドレス」に当該ルーティングパケットを送信すべき通信装置101のショートアドレスを設定し、「送信元ショートアドレス」に自己のショートアドレスを設定する。
【0096】
さらに、集約装置151は、たとえば、図示しない記憶部に保存されているネットワーク情報を参照することにより当該ルーティングパケットの伝送ルートを設定し、設定した伝送ルートに基づいて当該ルーティングパケットを送信すべき親装置102のショートアドレスを取得する。
【0097】
そして、集約装置151は、取得したショートアドレスを「送信先ショートアドレス」として含むシリアルヘッダを当該ルーティングパケットに付加したシリアルパケットを生成し、生成したシリアルパケットをシリアルケーブルを介して親装置102へ送信する。
【0098】
再び
図7を参照して、親装置102における有線通信部24は、集約装置151から送信されたシリアルパケットをシリアルケーブルを介して受信し、受信したシリアルパケットを通信制御部22へ出力する。
【0099】
通信制御部22は、有線通信部24から受けたシリアルパケットのルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが通信装置101を示すことから、当該シリアルパケットのシリアルヘッダを無線ヘッダに付け替えた無線パケットを生成する。
【0100】
具体的には、通信制御部22は、記憶部23に保存されているネットワーク情報を参照することにより、当該無線パケットの伝送ルートを設定し、設定した伝送ルートに基づいて当該無線パケットを送信すべき通信装置101のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを当該無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスに設定する。
【0101】
そして、通信制御部22は、当該無線パケットの無線ヘッダにおける送信元ショートアドレスに自己の親装置102のショートアドレスを設定し、当該無線パケットを通信部21へ出力する。
【0102】
通信部21は、通信制御部22から受けた無線パケットを含む920MHz帯の無線信号を送信する。
【0103】
通信装置101における通信部11は、たとえば、親装置102から送信された920MHz帯の無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる無線パケットを取得して通信制御部12へ出力する。
【0104】
通信制御部12は、通信部11から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが自己の通信装置101を示す場合、当該無線パケットのルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスを確認する。
【0105】
そして、通信制御部12は、確認したルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスが他の通信装置101を示す場合、当該無線パケットを通信部11を介して転送する。
【0106】
一方、通信制御部12は、当該ルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスが自己の通信装置101を示す場合、当該無線パケットに含まれる設定情報等を取得し、取得した設定情報の内容を自己に反映させる。
【0107】
[課題]
このような通信システムにおいて、たとえばセンサの計測結果が異常である場合、当該異常の通知は緊急を要する。
【0108】
しかしながら、通信システムにおける多数の通信装置がセンサの計測結果を高い頻度で送信する場合、伝送ルートの帯域の占有率が高い状況になる。このような状況においては、伝送されるパケットが消失することが多くなり、異常を示す情報が通知先へ到達しなくなることがある。
【0109】
このような場合、たとえば、当該情報の再送信が行われたとしても、異常が通知されるまでにより長い時間を要する。
【0110】
これに対して、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0111】
再び
図2および
図4を参照して、通信装置101における通信制御部12は、パケット生成部14から受けたアプリケーションパケットに含まれる計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合、当該計測情報と送信元ショートアドレスとして自己のショートアドレスとを含む、異常を通知するための特定パケットを生成する。
【0112】
より詳細には、通信制御部12は、たとえば、上記アプリケーションパケットに含まれる計測情報の示す、電線1を通して流れる電流、電線1の電圧または電線1の温度等が所定の閾値以上である場合、計測結果が異常であると判断し、特定パケット生成する。
【0113】
図8は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて使用される特定パケットの一例を示す図である。
図8には、特定パケットの一例としてのルーティングパケットのフォーマットが示されている。
【0114】
図8を参照して、特定パケットには、
図5に示すルーティングパケットと比べて、さらに、「動作タイプ」がルーティングヘッダに含まれる。
【0115】
動作タイプは、種類情報の一例であり、パケットが特定パケットであるか否かを示す。具体的には、パケットは、動作タイプにおける特定のビット(以下、異常ビットとも称する。)が「1」である場合、特定パケットであり、異常ビットが「0」である場合、特定パケットとは異なる種類情報を含むパケットすなわち特定パケットとは異なる種類のパケット(以下、通常パケットとも称する。)である。
【0116】
そして、通信制御部12は、たとえば、記憶部13に保存されているネットワーク情報を参照することにより、生成した特定パケットの「PAN_ID」に自己の通信装置101が属する監視系統T1のPAN_IDを設定し、「送信先ショートアドレス」に当該特定パケットを送信すべき上位装置171のショートアドレスを設定し、「送信元ショートアドレス」に自己の通信装置101のショートアドレスを設定する。
【0117】
次に、通信制御部12は、当該特定パケットに無線ヘッダを付加した無線パケットを生成し、たとえば記憶部13に保存されているネットワーク情報を参照することにより、生成した無線パケットの伝送ルートを設定し、設定した伝送ルートに基づいて当該無線パケットを送信すべき通信装置101たとえば代表通信装置のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを当該無線パケットの無線ヘッダにおける「送信先ショートアドレス」に設定する。
【0118】
また、通信制御部12は、当該無線パケットの無線ヘッダにおける「送信元ショートアドレス」に自己のショートアドレスを設定し、当該無線パケットを通信部11へ出力する。
【0119】
通信部11は、通信制御部12から受けた無線パケットを含む920MHz帯の無線信号を送信する。
【0120】
また、通信制御部12は、パケット生成部14から受けたアプリケーションパケットに含まれる計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合、正常なアプリケーションパケットを破棄する処理を所定期間行う。
【0121】
より詳細には、通信制御部12は、パケット生成部14から受けたアプリケーションパケットに含まれる計測情報の示す計測結果が異常であると判断すると、たとえば、通常状態から特定制御状態へ遷移する。
【0122】
そして、通信制御部12は、特定制御状態へ遷移してからたとえば100ミリ秒の間に、正常な計測結果を示す計測情報が格納されたアプリケーションパケットをパケット生成部14から受けると、当該アプリケーションパケットを破棄する。
【0123】
代表通信装置における通信部11は、たとえば、他の通信装置101から送信された920MHz帯の無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる無線パケットを取得して通信制御部12へ出力する。
【0124】
通信制御部12は、通信部11から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが自己の通信装置101を示す場合、当該無線パケットのルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスを確認する。
【0125】
そして、通信制御部12は、確認したルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスが上位装置171を示すことから、上記特定パケットを含む無線パケットを他の通信装置101または親装置102へ通信部11を介して転送する。
【0126】
より詳細には、通信制御部12は、通信部11から受けた特定パケットを含む無線パケットに他の転送先すなわち新たな転送先の識別情報を含めて、通信部11を介して無線通信によりたとえば自己の通信装置101より上流側の通信装置101または親装置102へ転送する。
【0127】
具体的には、通信制御部12は、記憶部13に保存されているネットワーク情報を参照することにより、新たな転送先の識別情報として自己の通信装置101より上流側の通信装置101または親装置102のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを当該無線ヘッダにおける「送信先ショートアドレス」に設定して通信部11へ出力する。
【0128】
通信部11は、通信制御部12から受けた無線パケットを含む920MHz帯の無線信号を送信する。
【0129】
また、通信制御部12は、通信部11から受けた無線パケットのルーティングパケットにおける異常ビットを確認し、当該異常ビットが「1」である場合、すなわち当該ルーティングパケットが特定パケットである場合、特定パケットとは異なる種類のパケットすなわち通常パケットを破棄する破棄処理を所定期間行う。
【0130】
より詳細には、通信制御部12は、通信部11から受けたルーティングパケットが特定パケットであることを確認すると、たとえば、通常状態から特定制御状態へ遷移する。
【0131】
そして、通信制御部12は、特定制御状態へ遷移してからたとえば100ミリ秒の間に、通常パケットを通信部11から受けた場合、当該通常パケットを転送することなく破棄する。
【0132】
また、通信制御部12は、特定制御状態において、正常な計測結果を示す計測情報が格納されたアプリケーションパケットをパケット生成部14から受けると、当該アプリケーションパケットを破棄する。
【0133】
一方、通信制御部12は、特定制御状態において、異常な計測結果を示す計測情報が格納されたアプリケーションパケットをパケット生成部14から受けると、当該アプリケーションパケットを含む特定パケットを生成し、生成した特定パケットを含む無線パケットを通信部11経由で他の通信装置101または親装置102へ転送する。
【0134】
また、通信制御部12は、特定制御状態において、通信部11から新たに受けた無線パケットに特定パケットが含まれる場合、当該無線パケットを通信部11経由で他の通信装置101または親装置102へ転送する。
【0135】
ここで、通信制御部12は、特定パケットを生成するか、または特定パケットを受けるたびに上記所定期間を新たに設定する。より詳細には、通信制御部12は、特定制御状態において、特定パケットを生成するか、または特定パケットが含まれる無線パケットを通信部11から受けた場合、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をゼロにリセットし、新たに100ミリ秒すなわち所定期間が経過するまで特定制御状態を維持する。
【0136】
そして、通信制御部12は、特定パケットの生成または受信が行われず、特定制御状態へ遷移してからたとえば100ミリ秒が経過するか、または上記経過時間をリセットしてからたとえば100ミリ秒が経過すると、特定制御状態から通常状態へ遷移する。
【0137】
通信システム301において、通信装置101は、特定パケットを含む無線パケットを当該無線パケットに含まれる識別情報に関わらず受信する。
【0138】
より詳細には、上記代表通信装置と異なる通信装置101(以下、宛先外通信装置とも称する。)は、たとえば、代表通信装置のショートアドレスが無線ヘッダの「送信先ショートアドレス」に設定された他の通信装置101から送信された無線パケットを受信する。
【0139】
具体的には、宛先外通信装置における通信部11は、たとえば、他の通信装置101から送信された920MHz帯の無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる無線パケットを取得して通信制御部12へ出力する。
【0140】
通信制御部12は、通信部11から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが自己の通信装置101以外の通信装置101または親装置102を示す場合、当該無線パケットの他の通信装置101または親装置102への転送を行わない。
【0141】
また、通信制御部12は、通信部11から受けた上記無線パケットのルーティングパケットにおける異常ビットを確認し、当該異常ビットが「1」である場合、すなわち当該ルーティングパケットが特定パケットである場合、通常状態から特定制御状態へ遷移し、特定パケットとは異なる種類のパケットすなわち通常パケットを破棄する破棄処理を所定期間行う。
【0142】
一方、通信制御部12は、通信部11から受けた上記無線パケットのルーティングパケットにおける異常ビットが「0」である場合、すなわち当該ルーティングパケットが通常パケットである場合、当該無線パケットを破棄する。
【0143】
通信システム301において、親装置102は、特定パケットを含む無線パケットを当該無線パケットに含まれる識別情報に関わらず受信する。
【0144】
再び
図7を参照して、親装置102における通信部21は、たとえば、通信装置101から送信された920MHz帯の無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる無線パケットを取得して通信制御部22へ出力する。
【0145】
通信制御部22は、通信部21から受けた上記特定パケットを含む無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスを確認し、当該送信先ショートアドレスが自己の親装置102を示す場合、当該無線パケットのルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスを確認する。
【0146】
そして、通信制御部22は、確認したルーティングパケットにおける送信先ショートアドレスが上位装置171を示すことから、当該無線パケットに含まれる特定パケットを集約装置151へ転送する。
【0147】
より詳細には、通信制御部22は、当該無線パケットの無線ヘッダをシリアル通信用の通信プロトコルにおいて用いられるシリアルヘッダに付け替えたシリアルパケットを生成する。
【0148】
具体的には、通信制御部22は、記憶部23に保存されているネットワーク情報を参照することにより、集約装置151のショートアドレスを取得し、取得したショートアドレスを含むシリアルヘッダを生成する。
【0149】
そして、通信制御部22は、無線パケットの無線ヘッダを生成したシリアルヘッダに付け替えたシリアルパケットを生成し、生成したシリアルパケットを有線通信部24へ出力する。
【0150】
有線通信部24は、通信制御部22から受けたシリアルパケットをシリアルケーブルを介して集約装置151へ送信する。
【0151】
一方、通信制御部22は、通信部21から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスが通信装置101を示す場合すなわち送信先ショートアドレスが自己のショートアドレスでない場合、当該無線パケットの集約装置151への転送を行わない。
【0152】
そして、通信制御部22は、当該無線パケットのルーティングパケットにおける異常ビットを確認し、当該異常ビットが「1」である場合、すなわち当該ルーティングパケットが特定パケットである場合、特定パケットとは異なる種類のパケットすなわち通常パケットを破棄する破棄処理を所定期間行う。
【0153】
より詳細には、通信制御部22は、当該ルーティングパケットが特定パケットであると確認すると、たとえば、通常状態から特定制御状態へ遷移する。
【0154】
そして、通信制御部22は、特定制御状態へ遷移してからたとえば100ミリ秒の間に、通常パケットを通信部21から受けた場合、当該通常パケットを転送することなく破棄する。
【0155】
また、通信制御部22は、特定制御状態へ遷移してからたとえば100ミリ秒の間において、有線通信部24から受ける通常パケットを転送することなく破棄する。
【0156】
また、通信制御部22は、特定制御状態において、正常な計測結果を示す計測情報が格納されたアプリケーションパケットをパケット生成部25から受けると、当該アプリケーションパケットを破棄する。
【0157】
一方、通信制御部22は、特定制御状態において、異常な計測結果を示す計測情報が格納されたアプリケーションパケットをパケット生成部25から受けると、当該アプリケーションパケットを含む特定パケットを生成し、生成した特定パケットを含む無線パケットを通信部21経由で通信装置101へ転送する。
【0158】
また、通信制御部22は、特定制御状態において、通信部21から新たに受けた無線パケットに特定パケットが含まれる場合、当該特定パケットを有線通信部24を介して集約装置151へ転送する。
【0159】
ここで、通信制御部22は、送信先ショートアドレスが通信装置101を示す特定パケットを通信部21から受けるたびに上記所定期間を新たに設定する。より詳細には、通信制御部22は、特定制御状態において、当該特定パケットが含まれる無線パケットを通信部21から受けた場合、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をゼロにリセットし、新たに100ミリ秒すなわち所定期間が経過するまで特定制御状態を維持する。
【0160】
そして、通信制御部22は、送信先ショートアドレスが通信装置101を示す特定パケットの受信が行われず、特定制御状態へ遷移してからたとえば100ミリ秒が経過するか、または上記経過時間をリセットしてからたとえば100ミリ秒が経過すると、特定制御状態から通常状態へ遷移する。
【0161】
なお、通信制御部22は、通信部21から受けた無線パケットの無線ヘッダにおける送信先ショートアドレスが自己の親装置102を示す場合、当該無線パケットのルーティングパケットにおける異常ビットを確認し、当該異常ビットが「1」である場合、すなわち当該ルーティングパケットが特定パケットである場合、特定パケットとは異なる種類のパケットすなわち通常パケットを破棄する破棄処理を所定期間行ってもよい。
【0162】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0163】
図9および
図10は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける破棄処理のシーケンスを示す図である。
図9は、一例として、集約装置151、親装置102および通信装置101である通信装置101A,101B,101Cの動作を示す。
図10は、
図9の続きを示す。
【0164】
図9および
図10を参照して、まず、通信装置101Aは、自己のセンサ111によって出力された計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合(ステップS101)、通信装置101Aは、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS102)。
【0165】
また、通信装置101Aは、当該計測情報を含む特定パケットを含み、かつ計測情報の転送先とすべき通信装置101Bのショートアドレスを識別情報として含む無線パケットを生成して無線通信により転送する。そして、通信装置101Bは、通信装置101Aからの特定パケットを含む無線パケットを受信する。また、通信装置101Cは、当該無線パケットに含まれる識別情報に関わらず当該特定パケットを含む無線パケットを受信する(ステップS103)。
【0166】
次に、通信装置101Bは、所定期間、特定パケットとは異なる種類の通常パケットを破棄する破棄処理を行う。すなわち、通信装置101Bは、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS104)。
【0167】
また、通信装置101Cは、所定期間、特定パケットとは異なる種類の通常パケットを破棄する破棄処理を行う。すなわち、通信装置101Cは、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS105)。
【0168】
また、計測情報の転送先の通信装置101Bは、受信した特定パケットを含む無線パケットに新たな転送先とすべき通信装置101Cのショートアドレスを識別情報として含めて無線通信により転送する(ステップS106)。
【0169】
次に、通信装置101Cは、特定制御状態において、通信装置101Bからの特定パケットを含む無線パケットを受信する。そして、通信装置101Cは、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をリセットする(ステップS107)。
【0170】
また、通信装置101Cは、受信した特定パケットを含む無線パケットに新たな転送先とすべき親装置102のショートアドレスを識別情報として含めて無線通信により転送する(ステップS108)。
【0171】
次に、特定制御状態における通信装置101Bは、自己のセンサ111によって出力された計測情報が正常な計測結果を示す場合(ステップS109)、当該計測情報が格納された通常パケットを含む無線パケットの生成および転送を行うことなく当該計測情報が格納されたアプリケーションパケットを破棄する(ステップS110)。
【0172】
次に、親装置102は、通信装置101Cからの特定パケットを含む無線パケットを受信する。そして、親装置102は、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS111)。
【0173】
また、親装置102は、受信した無線パケットに含まれる特定パケットに新たな転送先とすべき集約装置151のショートアドレスを識別情報として含むシリアルパケットを生成し、生成した特定パケットを含むシリアルパケットを集約装置151へ転送する。そして、集約装置151は、当該シリアルパケットを受信する(ステップS112)。
【0174】
次に、特定制御状態における親装置102は、自己のセンサ112によって出力された計測情報が正常な計測結果を示す場合(ステップS113)、当該計測情報が格納された通常パケットを含むシリアルパケットの生成および転送を行うことなく当該計測情報が格納されたアプリケーションパケットを破棄する(ステップS114)。
【0175】
次に、通信装置101Cは、自己のセンサ111によって出力された計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合、当該計測情報を含む特定パケットを生成する(ステップS115)。そして、通信装置101Cは、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をリセットする(ステップS116)。
【0176】
また、通信装置101Cは、生成した特定パケットを含み、かつ計測情報の転送先とすべき親装置102のショートアドレスを識別情報として含む無線パケットを生成して無線通信により転送する。そして、親装置102は、特定制御状態において、通信装置101Cからの特定パケットを含む無線パケットを受信する(ステップS117)。
【0177】
次に、特定制御状態における親装置102は、通信装置101Cからの特定パケットを含む無線パケットを受信する。そして、親装置102は、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をリセットする(ステップS118)。
【0178】
また、親装置102は、受信した無線パケットに含まれる特定パケットに新たな転送先とすべき集約装置151のショートアドレスを識別情報として含むシリアルパケットを生成し、生成した特定パケットを含むシリアルパケットを集約装置151へ転送する。そして、集約装置151は、当該シリアルパケットを受信する(ステップS119)。
【0179】
次に、通信装置101Aは、特定制御状態へ遷移してから所定時間経過後に、特定制御状態から通常状態へ遷移する(ステップS120)。
【0180】
次に、通信装置101Bは、特定制御状態へ遷移してから所定時間経過後に、特定制御状態から通常状態へ遷移する(ステップS121)。
【0181】
次に、通信装置101Bは、通常状態において、自己のセンサ111によって出力された正常な計測結果を示す計測情報を含む通常パケットを生成する。そして、通信装置101Bは、生成した通常パケットを含み、かつ計測情報の転送先とすべき通信装置101Cのショートアドレスを識別情報として含む無線パケットを生成して無線通信により転送する(ステップS122)。
【0182】
次に、特定制御状態における通信装置101Cは、通信装置101Bからの通常パケットを含む無線パケットを受信し、受信した無線パケットの転送を行うことなく破棄する(ステップS123)。
【0183】
次に、通信装置101Cは、経過時間をリセットしてから所定時間経過後に、特定制御状態から通常状態へ遷移する(ステップS124)。
【0184】
次に、集約装置151は、親装置102の設定情報等が格納された通常パケットを含むシリアルパケットを生成し、生成した通常パケットを含むシリアルパケットを親装置102へ転送する(ステップS125)。
【0185】
次に、特定制御状態における親装置102は、集約装置151からの通常パケットを含むシリアルパケットを受信し、受信したシリアルパケットに含まれる通常パケットの転送を行うことなく当該シリアルパケットを破棄する(ステップS126)。
【0186】
次に、通信装置101Cは、通常状態において、自己のセンサ111によって出力された正常な計測結果を示す計測情報を含む通常パケットを生成する。そして、通信装置101Cは、生成した通常パケットを含み、かつ計測情報の転送先とすべき親装置102のショートアドレスを識別情報として含む無線パケットを生成して無線通信により転送する(ステップS127)。
【0187】
次に、特定制御状態における親装置102は、通信装置101Cからの通常パケットを含む無線パケットを受信し、受信した無線パケットの転送を行うことなく破棄する(ステップS128)。
【0188】
次に、特定制御状態における親装置102は、自己のセンサ111によって出力された計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合、当該計測情報を含む特定パケットを生成する(ステップS129)。そして、親装置102は、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をリセットする(ステップS130)。
【0189】
次に、親装置102は、生成した特定パケットを含み、かつ計測情報の転送先とすべき集約装置151のショートアドレスを識別情報として含むシリアルパケットを生成し、生成した特定パケットを含むシリアルパケットを集約装置151へ転送する。そして、集約装置151は、当該シリアルパケットを受信する(ステップS131)。
【0190】
次に、親装置102は、経過時間をリセットしてから所定時間経過後に、特定制御状態から通常状態へ遷移する(ステップS132)。
【0191】
図9および
図10に示す例において、通信装置101Aによる破棄処理は、ステップS101からステップS120の期間において行われる。通信装置101Bによる破棄処理は、ステップS104からステップS121の期間において行われる。通信装置101Cによる破棄処理は、ステップS105からステップS124の期間において行われる。親装置102による破棄処理は、ステップS111からステップS132の期間において行われる。すなわち、通信システム301において、各通信装置101および親装置102が設定する所定期間は、重複し得る。
【0192】
図11は、本開示の実施の形態に係る通信装置の通常状態における動作手順を定めたフローチャートである。
【0193】
図11を参照して、まず、通信装置101は、通常状態において、他の通信装置101から送信された無線パケットを受信する(ステップS201でYES)。
【0194】
次に、通信装置101は、受信した無線パケットにおける送信先ショートアドレスが自己を示す場合(ステップS202でYES)、当該無線パケットにおける送信先ショートアドレスに、当該無線パケットの新たな転送先とすべき通信装置101または親装置102のショートアドレスを設定する(ステップS203)。
【0195】
次に、通信装置101は、当該無線パケットの新たな転送先とすべき通信装置101または親装置102のショートアドレスを設定した無線パケットを、当該ショートアドレスを有する通信装置101または親装置102へ転送する(ステップS204)。
【0196】
次に、通信装置101は、受信した無線パケットにおける送信先ショートアドレスに関わらず、無線パケットに特定パケットが含まれるか否かを確認する(ステップS205)。
【0197】
一方、通信装置101は、受信した無線パケットにおける送信先ショートアドレスが他の通信装置101または親装置102を示す場合(ステップS202でNO)、受信した無線パケットにおける送信先ショートアドレスに関わらず、無線パケットに特定パケットが含まれるか否かを確認する(ステップS205)。
【0198】
通信装置101は、受信した無線パケットに通常パケットが含まれる場合(ステップS205でNO)、当該無線パケットを破棄し(ステップS206)、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS201)。
【0199】
一方、通信装置101は、受信した無線パケットに特定パケットが含まれる場合(ステップS205でYES)、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS207)。
【0200】
また、通信装置101は、自己のセンサ111によって出力された異常な計測結果を示す計測情報を含むアプリケーションパケット(以下、異常パケットとも称する。)を生成した場合(ステップS201でNOかつステップS208でYES)、当該異常パケットが格納された特定パケットを含む無線パケットを生成して通信装置101または親装置102へ転送する(ステップS209)。そして、通信装置101は、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS207)。
【0201】
一方、通信装置101は、自己のセンサ111によって出力された正常な計測結果を示す計測情報を含むアプリケーションパケット(以下、正常パケットとも称する。)を生成した場合(ステップS201でNO、ステップS208でNOかつステップS210でYES)、当該正常パケットが格納された通常パケットを含む無線パケットを生成して通信装置101または親装置102へ転送する(ステップS211)。そして、通信装置101は、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS201)。
【0202】
また、通信装置101は、アプリケーションパケットの生成を行わない場合(ステップS210でNO)、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS201)。
【0203】
図12は、本開示の実施の形態に係る通信装置の特定制御状態における動作手順を定めたフローチャートである。
【0204】
図12を参照して、まず、通信装置101は、特定制御状態において、自己のセンサ111によって出力された正常な計測結果を示す計測情報を含む正常パケットを生成した場合(ステップS301でYES)、当該正常パケットを含む通常パケットを通信装置101または親装置102へ転送することなく破棄する(ステップS302)。そして、通信装置101は、特定制御状態を維持する(ステップS314)。
【0205】
一方、通信装置101は、特定制御状態において、自己のセンサ111によって出力された異常な計測結果を示す計測情報を含む異常パケットを生成した場合(ステップS301でNOかつステップS303でYES)、当該異常パケットを含む特定パケットを生成して通信装置101または親装置102へ転送する(ステップS304)。そして、通信装置101は、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をゼロにリセットし(ステップS305)、特定制御状態を維持する(ステップS314)。
【0206】
また、通信装置101は、他の通信装置101から通常パケットを含む無線パケットを受信した場合(ステップS301でNO、ステップS303でNOかつステップS306でYES)、当該無線パケットを通信装置101または親装置102へ転送することなく破棄する(ステップS307)。そして、通信装置101は、特定制御状態を維持する(ステップS314)。
【0207】
また、通信装置101は、特定制御状態において、他の通信装置101から特定パケットを含む無線パケットを受信した場合であって(ステップS301でNO、ステップS303でNO、ステップS306でNOかつステップS308でYES)、当該無線パケットにおける送信先ショートアドレスが自己を示す場合(ステップS309でYES)、当該無線パケットにおける送信先ショートアドレスに、新たな特定パケットの転送先とすべき通信装置101または親装置102のショートアドレスを設定する(ステップS310)。
【0208】
次に、通信装置101は、次の特定パケットの転送先とすべき通信装置101または親装置102のショートアドレスを設定した無線パケットを、当該ショートアドレスを有する通信装置101または親装置102へ転送する(ステップS311)。
【0209】
次に、通信装置101は、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をゼロにリセットする(ステップS312)。そして、通信装置101は、特定制御状態を維持する(ステップS314)。
【0210】
一方、通信装置101は、当該無線パケットにおける送信先ショートアドレスが他の通信装置101または親装置102を示す場合(ステップS309でNO)、当該無線パケットを他の通信装置101または親装置102へ転送することなく破棄し(ステップS313)、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をゼロにリセットする(ステップS312)。そして、通信装置101は、特定制御状態を維持する(ステップS314)。
【0211】
次に、通信装置101は、特定制御状態へ遷移してから所定時間が経過した場合(ステップS314でYES)、特定制御状態から通常状態へ遷移する(ステップS315)。
【0212】
一方、通信装置101は、特定制御状態へ遷移してからの経過場合が所定時間未満である場合(ステップS314でNO)、特定制御状態を維持する(ステップS301)。
【0213】
図13は、本開示の実施の形態に係る親装置の通常状態における動作手順を定めたフローチャートである。
【0214】
図13を参照して、まず、親装置102は、通常状態において、通信装置101から送信された無線パケットを受信する(ステップS401でYES)。
【0215】
次に、親装置102は、受信した無線パケットにおける送信先ショートアドレスが通信装置101を示す場合すなわち送信先ショートアドレスが自己のショートアドレスでない場合(ステップS402でYES)、無線パケットに特定パケットが含まれるか否かを確認する(ステップS405)。
【0216】
親装置102は、受信した無線パケットに通常パケットが含まれる場合(ステップS405でNO)、当該無線パケットを破棄し(ステップS406)、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS401)。
【0217】
一方、親装置102は、受信した無線パケットにおける送信先ショートアドレスが自己を示す場合(ステップS402でNO)、当該無線パケットに基づいて、集約装置151のショートアドレスを送信先ショートアドレスに設定したシリアルパケットを生成する(ステップS403)。
【0218】
次に、親装置102は、当該シリアルパケットを、集約装置151へ転送する(ステップS404)。そして、親装置102は、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS401)。
【0219】
一方、親装置102は、受信した無線パケットに特定パケットが含まれる場合(ステップS405でYES)、通常状態から特定制御状態へ遷移する(ステップS407)。
【0220】
また、親装置102は、自己のセンサ112によって出力された異常な計測結果を示す計測情報を含む異常パケットを生成した場合(ステップS401でNOかつステップS408でYES)、当該異常パケットが格納された特定パケットを含むシリアルパケットを生成して集約装置151へ転送する(ステップS409)。そして、親装置102は、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS401)。
【0221】
一方、親装置102は、自己のセンサ112によって出力された正常な計測結果を示す計測情報を含む正常パケットを生成した場合(ステップS401でNO、ステップS408でNOかつステップS410でYES)、当該正常パケットが格納された通常パケットを含むシリアルパケットを生成して集約装置151へ転送する(ステップS411)。そして、親装置102は、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS401)。
【0222】
また、親装置102は、異常パケットおよび正常パケットの生成を行わない場合(ステップS410でNO)、新たな無線パケットを待ち受ける(ステップS401)。
【0223】
図14は、本開示の実施の形態に係る親装置の特定制御状態における動作手順を定めたフローチャートである。
【0224】
図14を参照して、まず、親装置102は、特定制御状態において、自己のセンサ112によって出力された正常な計測結果を示す計測情報を含む正常パケットを生成した場合(ステップS501でYES)、当該正常パケットを含む通常パケットを集約装置151へ転送することなく破棄する(ステップS502)。そして、親装置102は、特定制御状態を維持する(ステップS513)。
【0225】
一方、親装置102は、特定制御状態において、自己のセンサ112によって出力された異常な計測結果を示す計測情報を含む異常パケットを生成した場合(ステップS501でNOかつステップS503でYES)、当該異常パケットを含む特定パケットを生成して集約装置151へ転送する(ステップS504)。そして、親装置102は、特定制御状態を維持する(ステップS513)。
【0226】
また、親装置102は、通信装置101から通常パケットを含む無線パケット、または集約装置151から通常パケットを含むシリアルパケットを受信した場合(ステップS501でNO、ステップS503でNOかつステップS505でYES)、当該無線パケットまたは当該シリアルパケットを集約装置151または通信装置101へ転送することなく破棄する(ステップS506)。そして、親装置102は、特定制御状態を維持する(ステップS513)。
【0227】
また、親装置102は、特定制御状態において、通信装置101から特定パケットを含む無線パケットを受信した場合であって(ステップS501でNO、ステップS503でNO、ステップS505でNOかつステップS507でYES)、当該無線パケットにおける送信先ショートアドレスが自己を示す場合(ステップS508でNO)、当該無線パケットに基づいて、集約装置151のショートアドレスを送信先ショートアドレスに設定したシリアルパケットを生成する(ステップS509)。
【0228】
次に、親装置102は、当該シリアルパケットを、集約装置151へ転送する(ステップS510)。そして、親装置102は、特定制御状態を維持する(ステップS513)。
【0229】
一方、親装置102は、当該無線パケットにおける送信先ショートアドレスが通信装置101を示す場合すなわち送信先ショートアドレスが自己のショートアドレスでない場合(ステップS508でYES)、当該無線パケットを転送することなく破棄し(ステップS511)、特定制御状態へ遷移してからの経過時間をゼロにリセットする(ステップS512)。そして、親装置102は、特定制御状態を維持する(ステップS513)。
【0230】
次に、親装置102は、特定制御状態へ遷移してから所定時間が経過した場合(ステップS513でYES)、特定制御状態から通常状態へ遷移する(ステップS514)。
【0231】
一方、親装置102は、特定制御状態へ遷移してからの経過場合が所定時間未満である場合(ステップS513でNO)、特定制御状態を維持する(ステップS501)。
【0232】
なお、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、親装置102および集約装置151は、シリアルケーブルで接続され、シリアル通信を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。親装置102および集約装置151は、たとえば、シリアルケーブルで接続されることなく、携帯電話回線を用いた無線通信、または920MHz帯の通信帯域を用いる無線通信等を行う構成であってもよい。
【0233】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、親装置102および集約装置151は、別個の装置であるとしたが、これに限定するものではない。集約装置151は、親装置102を含み、たとえば、携帯電話回線を用いた無線通信、または920MHz帯の通信帯域を用いた通信装置101との無線通信等を行う構成であってもよい。
【0234】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、親装置102は、特定パケットを集約装置151へ転送する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301において、親装置102は、たとえば、通常パケットの転送先である集約装置151と異なる装置へ特定パケットを転送する構成であってもよい。
【0235】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101は、たとえば、
図2に示す鉄塔2ごとに設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301において、通信装置101は、たとえば、並んで設置された複数の鉄塔2において、鉄塔2の設置間隔等に基づいて、1つおき、2つおき、または3つおきに設置されてもよい。
【0236】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101は、電線1U,1V,1Wにそれぞれ設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301において、通信装置101は、電力系統の保守に必要な情報を検出可能な複数の位置に、それぞれ設置される構成であってもよい。具体的には、たとえば、
図2に示す複数の鉄塔2自体に複数の通信装置101がそれぞれ設置されてもよいし、並んで設置された複数の鉄塔2自体に、たとえば、鉄塔2の設置間隔等に基づいて、1つおき、2つおき、または3つおきに設置されてもよい。
【0237】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、親装置102は、電線1U、電線1Vまたは電線1Wに設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301において、親装置102は、電力系統の保守に必要な情報を検出可能な位置に設置される構成であってもよい。具体的には、たとえば、親装置102は、
図2に示すいずれかの鉄塔2自体に設置されてもよい。
【0238】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、全部の通信装置101が、センサ111を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301において、通信装置101の一部が、センサ111を備えない構成であってもよい。この場合、通信装置101は、たとえば、他の通信装置101からの無線パケットを転送する。
【0239】
あるいは、通信装置101がセンサ111を備えない場合、当該通信装置101は、たとえば、電力系統における電線1または鉄塔2自体に、電力系統の保守に必要な情報を出力するセンサが設けられている場合、当該センサから送信された当該情報を受信し、受信した情報を他の通信装置101または親装置102へ転送する。
【0240】
より詳細には、通信装置101における通信部11は、当該センサから送信された当該情報を受信し、受信した情報を通信制御部12へ出力する。通信制御部12は、通信部11から受けた情報が正常であると判断した場合、当該情報または当該情報が正常である旨の情報を格納したパケットを生成し、当該情報が異常であると判断した場合、当該情報または当該情報が異常である旨の情報を格納した特定パケットを生成する。
【0241】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、親装置102は、センサ112を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。親装置102は、センサ112を備えなくてもよい。この場合、親装置102は、通信装置101からの無線パケット、および集約装置151からシリアルパケットを転送する。
【0242】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムは、親装置102を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301は、親装置102を備えない構成であってもよい。この場合、通信システム301において、複数の通信装置101のうちの少なくともいずれか1つが無線パケットを集約装置151へ転送する。
【0243】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101および親装置102は、通常状態において、自己のセンサ111またはセンサ112によって出力された計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合、特定制御状態へ遷移する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信装置101および親装置102は、通常状態において、自己のセンサ111またはセンサ112によって出力された計測情報の示す計測結果が異常であると判断した場合においても、特定制御状態へ遷移することなく通常状態を維持する構成であってもよい。
【0244】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101および親装置102は、特定制御状態において生成した正常パケットを破棄する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信装置101および親装置102は、特定制御状態において生成した正常パケットを含む通常パケットを転送する構成であってもよい。この場合、当該通常パケットを受信した特定制御状態における通信装置101または親装置102は、受信した当該通常パケットを破棄する。
【0245】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101における通信制御部12および親装置102における通信制御部22は、それぞれ、パケット生成部14またはパケット生成部25から受けたアプリケーションパケットに含まれる計測情報を含むパケットを生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信制御部12および通信制御部22は、たとえば、当該計測情報の示す計測結果が正常であるか否かを示す情報を含むパケットを生成する構成であってもよい。
【0246】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、「動作タイプ」がルーティングパケットにおけるルーティングヘッダに含まれる構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301において、「動作タイプ」が無線パケットにおける無線ヘッダに含まれる構成であってもよい。この場合、通信装置101における通信制御部12および親装置102における通信制御部22は、通信装置101における通信部11または親装置102における通信部21から受けた無線パケットに含まれる動作タイプにおける特定のビットに基づいて、当該無線パケットが特定パケットであるか否かを確認する。
【0247】
この場合、当該無線パケットのペイロードにおけるルーティングパケットにおいて、「動作タイプ」が当該ルーティングパケットのルーティングヘッダに含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0248】
ところで、特許文献1に記載のようなネットワークシステムにおいて、伝送ルートの帯域の占有率が高い状況になると、伝送すべき各種情報を含むパケットのロス等が発生しやすくなり、情報を安定して伝送することが困難になる。
【0249】
これに対して、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、複数の通信装置101は、転送先の識別情報を含むパケットを無線通信により転送する。通信装置101は、特定の種類情報を含む特定パケットを識別情報に関わらず受信し、特定パケットを受信した場合、所定期間、特定パケットとは異なる種類情報を含む通常パケットを破棄する破棄処理を行う。転送先の通信装置101は、受信した特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて無線通信により転送する。
【0250】
このように、通信装置101が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置101が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置101において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システム301における特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。
【0251】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0252】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101は、電力系統に設けられたセンサの計測結果が異常である場合、当該計測結果または当該計測結果に基づく情報を含む特定パケットを生成して転送する。通信装置101は、計測結果が正常である場合、特定パケットとは異なる種類情報を含むパケットであって当該計測結果または当該計測結果に基づく情報を含むパケットを生成して転送する。
【0253】
このような構成により、電力系統における計測結果に異常がある場合に、当該異常および異常値をより確実に通知することができる。
【0254】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、通信装置101は、特定パケットとは異なる種類情報を含むパケットであって所定期間において生成されたパケットを破棄し、当該所定期間において生成された特定パケットを破棄せずに転送する。
【0255】
このような構成により、たとえば他の通信装置101から特定パケットが送信された状況において、自己の通信装置101において生成した特定パケットも並行して伝送することができる。
【0256】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、親装置102は、複数の通信装置101のうちの少なくともいずれか1つと集約装置151との間の情報を中継する。親装置102は、特定パケットを転送先の識別情報に関わらず受信し、自己の識別情報を含まない特定パケットを受信した場合、所定期間、特定パケットとは異なる種類情報を含む通常パケットを破棄する破棄処理を行う。
【0257】
このような構成により、たとえば親装置102が他の装置からの情報を通信装置101へ中継する通信システムにおいて、転送される特定パケットの受信に先立って親装置102におけるトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができ、特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。
【0258】
また、本開示の実施の形態に係る通信装置では、通信部11は、無線通信を行う。通信制御部12は、転送先の識別情報を含むパケットを通信部11を介して転送する。通信制御部12は、特定の種類情報を含む特定パケットを識別情報に関わらず通信部11経由で受信し、特定パケットを受信した場合、所定期間、特定パケットとは異なる種類情報を含む通常パケットを破棄する破棄処理を行う。通信制御部12は、特定パケットの識別情報が自己の通信装置101の識別情報を含む場合、受信した当該特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて通信部11経由で転送する。
【0259】
このように、通信装置101が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置101が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置101において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システム301における特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。
【0260】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信装置では、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0261】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける通信制御方法では、まず、通信装置101が、特定パケットを転送先の識別情報に関わらず受信し、所定期間、特定パケットとは異なる種類情報を含む通常パケットを破棄する破棄処理を行う。次に、転送先の通信装置101が、受信した特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて無線通信により転送する。
【0262】
このように、通信装置101が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置101が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置101において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システム301における特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。
【0263】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける通信制御方法では、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0264】
また、本開示の実施の形態に係る通信装置における通信制御方法では、まず、転送先の識別情報を含むパケットを通信部11を介して転送する。次に、特定の種類情報を含む特定パケットを識別情報に関わらず通信部経由で受信し、特定パケットを受信した場合、所定期間、特定パケットとは異なる種類情報を含む通常パケットを破棄する破棄処理を行う。次に、自己の通信装置が特定パケットの転送先である場合、受信した特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて通信部11経由で転送する。
【0265】
このように、通信装置101が特定パケットを無線送信し、特定パケットの次の転送先でない通信装置101が特定パケットを受信して廃棄処理を開始する構成により、特定パケットの次の転送先以外の通信装置101において、転送される特定パケットの受信に先立ってトラフィックおよび処理負荷を低減しておくことができる。これにより、通信システム301における特定パケットの伝送をより確実に成功させることができる。
【0266】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信装置における通信制御方法では、各種情報が通信装置間で転送される通信システムにおいて、特定の情報を安定して伝送することができる。
【0267】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0268】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
電力系統に用いられる通信システムであって、
転送先の識別情報を含むパケットを無線通信により転送する複数の通信装置を備え、
前記通信装置は、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず受信し、前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行い、
前記転送先の前記通信装置は、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて無線通信により転送し、
前記通信装置が前記パケットを含む無線信号を送信した場合において、前記転送先以外の前記通信装置が前記無線信号を受信可能であり、
前記通信装置は、前記特定パケットを受信するたびに前記所定期間を新たに設定し、
各前記通信装置が設定する前記所定期間が重複し得る、通信システム。
【0269】
[付記2]
電力系統に用いられる通信システムにおける通信装置であって、
無線通信を行う通信部と、
転送先の識別情報を含むパケットを前記通信部を介して転送する通信制御部とを備え、
前記通信制御部は、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず前記通信部経由で受信し、前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行い、
前記通信制御部は、前記特定パケットが自己の前記通信装置の識別情報を含む場合、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて前記通信部経由で転送し、
前記通信装置が前記パケットを含む無線信号を送信した場合において、前記転送先以外の前記通信装置が前記無線信号を受信可能であり、
前記通信装置は、前記特定パケットを受信するたびに前記所定期間を新たに設定し、
各前記通信装置が設定する前記所定期間が重複し得る、通信装置。
電力系統に用いられる通信システムであって、転送先の識別情報を含むパケットを無線通信により転送する複数の通信装置を備え、前記通信装置は、特定の種類情報を含む前記パケットである特定パケットを前記識別情報に関わらず受信し、前記特定パケットを受信した場合、所定期間、前記特定パケットとは異なる種類情報を含む前記パケットを破棄する破棄処理を行い、前記転送先の前記通信装置は、受信した前記特定パケットに他の転送先の識別情報を含めて無線通信により転送する。