(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記複数のコンベアに載る飲食物の載置状態を検出するセンサの出力に応じて選択した前記第1モードと前記第2モードの何れかのモードに従って前記複数のコンベアの動きを制御する、
請求項1または2に記載の注文飲食物搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注文飲食物を厨房から客席へ搬送する装置としては、厨房と客席との間で飲食物を循環させる循環方式の搬送装置や、飲食物を厨房から客席へ一方的に搬送する非循環方式の搬送装置がある。このような搬送装置は、搬送する飲食物が載る皿あるいはトレーの大きさに合わせた横幅の搬送路を有している。よって、大小様々な大きさの皿あるいはトレーを使って飲食物を搬送したい場合、例えば、横幅が比較的大きい搬送路を設けておくことになる。
【0005】
ところが、小さい皿を飲食物の搬送で用いることの多い店舗に、横幅の比較的大きい搬送路を有する搬送装置を設けると、搬送装置のスペースが無駄になり、限られた店舗内の面積を有効活用できない。また、搬送路の両側に客席がある場合に、一方の側の客席へ搬送する飲食物と他方の側の客席へ搬送する飲食物とを同時に搬送できないと搬送効率が悪い。
【0006】
そこで、本願は、大小様々な大きさの皿あるいはトレーの搬送を可能にしつつ、専有面積の抑制と搬送効率の向上が可能な注文飲食物搬送装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、並列な複数のコンベアを設け、これらの動作を制御する制御装置の機能として、コンベアの動きを同期させるモードと非同期にするモードとを用意することにした。
【0008】
詳細には、本願で開示する注文飲食物搬送装置は、飲食物を厨房から客席へ搬送する並列な複数のコンベアと、複数のコンベアの動作を制御する装置であり、複数のコンベアに跨って両方に載る飲食物がある場合に選択される第1モードにおいては複数のコンベアの動きを同期させ、複数のコンベアに跨って両方に載る飲食物がない場合に選択される第2モードにおいては複数のコンベアの動きを非同期にする制御装置と、を備える。
【0009】
このような注文飲食物搬送装置であれば、選択されるモードに応じて各コンベアの動きを同期させたり非同期にしたりすることができるため、横幅の大きいコンベアを設置しなくても、例えば、第1モードが選択される場合は1つのコンベアに載らない大きさの皿あるいはトレーで飲食物を搬送することが可能である。また、第2モードが選択される場合は各コンベアで様々な搬送先に飲食物を同時に搬送することが可能である。したがって、
このような注文飲食物搬送装置であれば、大小様々な大きさの皿あるいはトレーの搬送が可能でありながら、専有面積の抑制と搬送効率の向上が可能になる。
【0010】
なお、制御装置は、厨房に設置された操作手段を通じて選択された第1モードと第2モードの何れかのモードに従って複数のコンベアの動きを制御するものであってもよい。上記注文飲食物搬送装置がこのような制御装置を備えていれば、厨房のスタッフがモード切替を自らの意思で行うことができる。
【0011】
また、制御装置は、複数のコンベアに載る飲食物の載置状態を検出するセンサの出力に応じて選択した第1モードと第2モードの何れかのモードに従って複数のコンベアの動きを制御するものであってもよい。この場合、センサは、複数のコンベアの間に跨る物体の有無を検知し、制御装置は、センサが複数のコンベアの間に跨る物体を検知する場合は第1モードに従って複数のコンベアの動きを制御し、センサが複数のコンベアの間に跨る物体を検知しない場合は第2モードに従って複数のコンベアの動きを制御するものであってもよい。上記注文飲食物搬送装置がこのような制御装置を備えていれば、厨房のスタッフによるモード切替の操作が無くても搬送物に応じたモードの自動選択が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上記注文飲食物搬送装置であれば、大小様々な大きさの皿あるいはトレーの搬送を可能にしつつ、専有面積の抑制と搬送効率の向上が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。下記に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、うどん等の丼物、から揚げや天ぷら、ラーメン、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0015】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置10の全体構成図である。注文飲食物搬送装置10は、客の注文を受けて用意された飲食物を飲食店の厨房2からテーブル3L1,3L2,3R1,3R2へ搬送する装置であり、
図1に示すように、客が飲食する各テーブル3L1,3L2,3R1,3R2の脇を通る搬送路を形成する。注文飲食物搬送装置10は、飲食店の厨房2側からテーブル3L1,3L2,3R1,3R2へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベア20L,20Rと、主ベルトコンベア20L,20Rの厨房2側に延設され、搬送路を延伸する副ベルトコンベア30L,30Rと、を備えている。なお、本実施形態では、主ベルトコンベア20L,20Rが直線状に形成されているが、主ベルトコンベア20L,20Rを複数組み合わせることにより、主ベルトコンベア20L,20Rがコーナー部分を有する搬送路を形成するようにしてもよい。
【0016】
主ベルトコンベア20Lと主ベルトコンベア20Rには、互いに独立して回転制御可能な駆動モータが各々設けられている。副ベルトコンベア30Lと副ベルトコンベア30Rにも、互いに独立して回転制御可能な駆動モータが各々設けられている。そして、各駆動モータは、図示しない制御装置に繋がっており、操作パネルに入力された操作内容や各セ
ンサからの信号に基づいて制御される。以下、制御装置によって実現される注文飲食物搬送装置10の動作を説明する。
【0017】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、操作パネルにおいて搬送開始操作が行われると、副ベルトコンベア30L,30Rや主ベルトコンベア20L,20Rを作動させ、飲食物を厨房2からテーブル3L1,3L2,3R1,3R2へ搬送する。
図2は、操作パネルの画面表示を例示した図である。また、
図3は、注文飲食物搬送装置10の制御装置が実行する制御内容のフロー図である。
【0018】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、操作パネル40において搬送方法の切替ボタン41が押下されたか否かを判定する(S101)。制御装置は、ステップS101で肯定判定を行った場合、搬送モードの切替処理を実行する(S102)。具体的には、制御装置は、自身のメモリに記憶している搬送モードの設定値を変更する。操作パネル40には、搬送モードの設定状態に応じた操作画面が表示されている。例えば、搬送モードが「非同期モード」の場合には
図2(A)に示されるようにコンベアが左側と右側の2列に分かれたような図が表示され、搬送モードが「同期モード」の場合には
図2(B)に示されるように1本の太いコンベアの図が表示される。従って、制御装置がステップS102で搬送モードの切替処理を実行すると、操作パネル40の表示画面が切り替わる。
【0019】
また、制御装置は、ステップS101で否定判定を行うか、または、ステップS102の処理を実行した場合、操作パネル40においてテーブルの選択ボタン42が押下されたか否かを判定する(S103)。制御装置は、ステップS103の処理で否定判定を行った場合、下記のステップS104からステップS110までの一連の処理を省略し、再びステップS101以降の処理を実行する。制御装置は、ステップS103の処理で肯定判定を行った場合、現在選択されている搬送モードが「同期モード」であるか否かの判定を行う(S104)。具体的には、制御装置は、自身のメモリに記憶している搬送モードの設定値を参照する。
【0020】
制御装置は、ステップS104の処理で肯定判定を行った場合、全てのコンベア、すなわち、主ベルトコンベア20L,20Rと副ベルトコンベア30L,30Rを起動する(S105)。また、制御装置は、ステップS104の処理で否定判定を行った場合、選択されたテーブル側のコンベアを起動する(S106)。例えば、「非同期モード」が選択されている状態で、テーブル3L1またはテーブル3L2に対応する選択ボタン42が押下された場合、制御装置は、ステップS106の処理で主ベルトコンベア20Lと副ベルトコンベア30Lを起動する。また、例えば、「非同期モード」が選択されている状態で、テーブル3R1またはテーブル3R2に対応する選択ボタン42が押下された場合、制御装置は、ステップS106の処理で主ベルトコンベア20Rと副ベルトコンベア30Rを起動する。
【0021】
なお、制御装置は、選択されている搬送モードに応じて主ベルトコンベア20L,20Rと副ベルトコンベア30L,30Rの速度を変更してもよい。制御装置は、例えば、並列する2つのコンベアに跨る比較的大きい搬送物を搬送する場合に選択される「同期モード」においては、比較的小さい搬送物を搬送する場合に選択される「非同期モード」よりもコンベアの速度が遅くなるようにしてもよい。
【0022】
制御装置は、ステップS105またはステップS106の処理を実行した後、起動した副ベルトコンベア30L,30Rに載っていた飲食物が主ベルトコンベア20L,20Rに載ったか否かを判定する(S107)。制御装置は、起動した副ベルトコンベア30L,30Rに載っていた飲食物が主ベルトコンベア20L,20Rに載ったか否かの判定を、例えば、副ベルトコンベア30L,30Rと主ベルトコンベア20L,20Rとの境界
付近に設置したセンサの検知結果に基づいて判定してもよいし、副ベルトコンベア30L,30Rを起動してからの経過時間に基づいて判定してもよい。制御装置は、ステップS107の処理において肯定判定を下した場合、副ベルトコンベア30L,30Rを停止する(S108)。副ベルトコンベア30L,30Rが停止すれば、飲食物が主ベルトコンベア20L,20Rで搬送中であっても、次に搬送したい飲食物を副ベルトコンベア30L,30Rに載せておくことができる。
【0023】
制御装置は、ステップS108の処理を実行した後、主ベルトコンベア20L,20Rに載っている飲食物が搬送先のテーブル3L1,3L2,3R1,3R2に到着したか否かを判定する(S109)。制御装置は、飲食物が到着したか否かの判定を、例えば、搬送先のテーブル3L1,3L2,3R1,3R2付近に設置したセンサの検知結果に基づいて判定してもよいし、搬送先のテーブル3L1,3L2,3R1,3R2の位置毎に予め設定された搬送開始からの経過時間に基づいて判定してもよい。制御装置は、ステップS109の処理において肯定判定を下した場合、主ベルトコンベア20L,20Rを停止する(S110)。
【0024】
なお、上記したステップS107からステップS110までの説明においては、「コンベア」の文言に対して符号「20L,20R」あるいは符号「30L,30R」を付していたが、ステップS108,110で停止されるコンベアは、選択ボタン42および選択中の搬送モードに応じた符号「20L,20R」のうち何れか一方または両方のコンベアと、符号「30L,30R」のうち何れか一方または両方のコンベアである。搬送先のテーブルもこれと同様であり、テーブル3L1,3L2,3R1,3R2の何れか一つのテーブルが搬送先のテーブルである。
【0025】
図4は、飲食物の搬送状態を示した図である。例えば、主ベルトコンベア20L,20Rのうち何れか1つのコンベアで運ぶことのできる小さい皿1Sに載せた飲食物を搬送したい場合、厨房2に居るスタッフが操作パネル40で「非同期モード」を選択し或いは「非同期モード」が選択されていることを確認してから皿1Sを副ベルトコンベア30L(または副ベルトコンベア30R)に載せ、選択ボタン42を押すと、
図4(A)に示されるように、飲食物を載せた皿1Sが副ベルトコンベア30L(または副ベルトコンベア30R)と主ベルトコンベア20L(または主ベルトコンベア20R)に載って、テーブル3L1,3L2,3R1,3R2の何れかへ搬送される。また、例えば、主ベルトコンベア20L,20Rの両方に跨る大きさのトレー1Lに載せた飲食物を搬送したい場合、厨房2に居るスタッフが操作パネル40で「同期モード」を選択し或いは「同期モード」が選択されていることを確認してからトレー1Lを副ベルトコンベア30L,30Rに載せ、選択ボタン42を押すと、
図4(B)に示されるように、飲食物を載せたトレー1Lが副ベルトコンベア30L,30Rと主ベルトコンベア20L,20Rに載って、テーブル3L1,3L2,3R1,3R2の何れかへ搬送される。
【0026】
上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、上記の通り、並列する主ベルトコンベア20Lと主ベルトコンベア20Rを同期させたり、或いは非同期で各々独立に動作させたりすることができる。よって、例えば、比較的小さい搬送物である皿1Sを搬送する場合は主ベルトコンベア20Lと主ベルトコンベア20Rとを互いに非同期で独立に動作させることで、テーブル3L1,3L2の何れかへの飲食物の搬送と、テーブル3R1,3R2の何れかへの飲食物の搬送とを同時に行うことができる。また、例えば、比較的大きい搬送物であるトレー1Lを搬送する場合は主ベルトコンベア20Lと主ベルトコンベア20Rの動きが同期するように同時に動作させることで、主ベルトコンベア20Lと主ベルトコンベア20Rの何れか一方のコンベアだけでは搬送できない大きさのトレー1Lの搬送も行うことができる。
【0027】
上記実施形態の注文飲食物搬送装置10であれば、トレー1Lを載せることが可能な横幅を単体で有するコンベアを備えなくても、単体のコンベアの横幅より大きいトレー1Lを搬送できるため、限られた店舗内で搬送装置が占有する面積を抑制すること可能であり、また、比較的小さい皿1Sを搬送する際は2列のコンベアを独立で同時に使うことができるので搬送効率も良い。
【0028】
なお、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、1本の搬送路が主ベルトコンベア20L(20R)と副ベルトコンベア30L(30R)の2つのコンベアで構成されていたが、各搬送路はそれぞれ1つのコンベアで構成されていてもよいし、或いは3つ以上の直列なコンベアで構成されていてもよい。
【0029】
また、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、搬送モードの切り替えが切替ボタン41で行われるようになっていたが、搬送モードの切り替えは搬送物が2列のコンベアに跨るように載っているか否かを識別するセンサに基づいて自動的に行われてもよいし、当該センサと切替ボタン41とを併用することで操作者の誤操作を防ぐ機能が付加されていてもよい。
【0030】
搬送物が2列のコンベアに跨るように載っているか否かを識別するセンサとしては、例えば、搬送物の形状や大きさの相違を識別可能な超音波センサや光学センサ等の非接触式センサ、搬送物への物理的な接触の有無を検知する接触式センサ、搬送物に付与されている識別情報を読み取って識別するRFID(Radio Frequency Identifier)等の各種情報読取手段、撮像装置から得た搬送物の映像を解析して種別を判別する画像解析装置、コンベアに載置された搬送物の重量を測定する重量センサ、その他の各種センサが挙げられる。
【0031】
図5は、センサの取付位置を例示した図である。RFIDや非接触式センサを、搬送物が2列のコンベアに跨るように載っているか否かの識別にセンサとして用いる場合、当該センサを例えば
図5(A)において符号Aで示されるように副ベルトコンベア30L,30Rの間に配置すれば、トレー1Lが副ベルトコンベア30Lと副ベルトコンベア30Rとの間に跨っているか否かの識別が可能である。
【0032】
また、接触式センサを、搬送物が2列のコンベアに跨るように載っているか否かの識別にセンサとして用いる場合、当該センサを例えば
図5(B)において符号Bで示されるように副ベルトコンベア30L,30Rの間からコンベアの搬送面より上に接触部分が飛び出すように設ければ、トレー1Lが副ベルトコンベア30Lと副ベルトコンベア30Rとの間に跨っているか否かの識別が可能である。なお、
図5(B)では、当該センサが皿1Sを検出する光学式のエリアセンサも兼ねる場合を想定し、各副ベルトコンベア30L,30Rを両側から挟むようにエリアセンサ用の受発光部が配置された様子が図示されている。
【0033】
また、搬送物の映像を解析して種別を判別する画像解析装置を、搬送物が2列のコンベアに跨るように載っているか否かの識別にセンサとして用いる場合、撮像装置を例えば
図5(C)において符号Cで示されるように副ベルトコンベア30L,30Rを上から俯瞰する位置に設ければ、副ベルトコンベア30L,30Rに載っている搬送物が皿1Sであるかトレー1Lであるかの判別が可能である。