(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、ここで提案される穂先竿用アダプタの一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は、穂先竿用アダプタの側面図である。
図2は、穂先竿用アダプタの平面図である。
図3は、脚部材14の背面図である。
図4は、穂先竿用アダプタの変形例を示す側面図である。図中、穂先竿用アダプタ10に対して便宜上の向きを規定する。穂先竿用アダプタ10に対する上、下、左、右、前、後の向きは、図中、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。
【0009】
穂先竿用アダプタ10は、
図1に示すように、電動リール40と穂先竿60とに取り付けられる部材である。電動リール40と穂先竿60は、
図1において、2点鎖線で示されている。電動リール40には、穂先竿60の基端部60aを装着するための接続穴40aが設けられている。電動リール40は、台80の上に置かれる。台80は、例えば、釣り船の仕掛けを落とす穴の縁などに配置される。穂先竿60は、釣りの状況に応じて調子が異なるものに適宜に取り替えられうる。
【0010】
穂先竿用アダプタ10の一端は、電動リール40の接続穴40aに取り付けられる。穂先竿用アダプタ10の他端には、穂先竿60が取り付けられる。穂先竿用アダプタ10の中間部は、電動リール40の接続穴40aに対する穂先竿60の角度を変える機構を備えている。なお、ここでは、穂先竿用アダプタ10が取り付けられるリールとして電動リール40が例示されている。穂先竿用アダプタ10は、リールに取り付けられるとよく、取り付けられるリールは必ずしも電動である必要はない。以下、ここで提案される穂先竿用アダプタ10をより詳しく説明する。
【0011】
穂先竿用アダプタ10は、
図1に示すように、第1軸11と、第2軸12と、第1固定部材13と、脚部材14と、ガイド15とを備えている。
【0012】
第1軸11は、リール接続部11aと、脚部材14を取り付ける脚取付部11bと、第2軸12に接続される第1接続部11cとを備えている。
【0013】
この実施形態では、リール接続部11aは、第1軸11の一端に設けられている。リール接続部11aは、電動リール40に設けられる接続穴40aに装着可能な軸部である。リール接続部11aは、例えば、
図1に示されているように、穂先竿60の基端部と大凡同じ外径の中実軸で構成されているとよい。
【0014】
脚取付部11bは、
図2に示されているように、第1軸11の中間部に設けられている。脚取付部11bは、外方に延びたフランジ部11b1と、当該フランジ部11b1よりもリール接続部11a側に設けられた脚装着軸部11b2と、脚装着軸部11b2よりもリール接続部11a側に形成されたねじ溝11b3とを備えている。なお、
図2では、脚取付部11bに取り付けられる脚部材14が部分的に破断された状態が示されており、脚取付部11bが露見している。
【0015】
第1接続部11cは、リール接続部11aとは反対側の端部に設けられている。第1接続部11cは、他方の第2軸12が回動可能な構造を備えていると良い。この実施形態では、
図2に示されているように、第1軸11の方では、予め定められた間隔をあけ、かつ、軸方向に沿って延びた2本の取付片11c1,11c2が設けられている。2本の取付片11c1,11c2を横断するように、ねじ穴11c3が形成されている。
【0016】
第2軸12は、第1軸11に回動可能に接続されている。第2軸12には穂先竿接続部12aと、ガイド取付部12bと、第2接続部12cとを備えている。
【0017】
穂先竿接続部12aは、第1軸11に回動可能に接続された第2軸12の先端に設けられており、穂先竿60の基端部と大凡同じ内径を有する中空軸部を有している。当該中空の穂先竿接続部12aの最深部には、小穴12a1が貫通形成されている。なお、この実施形態では、小穴12a1は、穂先竿接続部12aに穂先竿60を挿し込む際の空気抜き用の穴として機能するとともに、ガイド15を取り付けるための穴としても機能している。なお、
図2では、ガイド15が取り外された状態で図示されている。
【0018】
ガイド取付部12bは、
図1に示すように、ガイド15を取り付けるための部位である。この実施形態では、第1軸11が取り付けられる第2軸12の基端側に貫通した上述した小穴12a1が、ガイド取付部12bとして機能する。
【0019】
この実施形態では、ガイド15は、金属の線材を曲げた部材である。ガイド15は、上述のようにガイド15を取り付ける穴として機能する小穴12a1に第2軸12の外側から挿し込まれて取り付けられている。ガイド15は、小穴12a1に取り付けられる端部と、第2軸12と第1軸11の接続部の上方に延びており、上端に釣り糸を通すためのガイド穴15aとを備えている。ガイド穴15aは、この実施形態では、線材を曲げて形成された輪がガイド穴15aとして機能する。なお、ガイド15の構造は、かかる形態に限定されない。
【0020】
第2接続部12cは、第1軸11の第1接続部11cに対して回動自在に取り付けられる部位である。この実施形態では、第2軸12の軸方向に延び、第1接続部11cの2本の取付片11c1,11c2の間に装着される取付片12c1を備えている。取付片12c1には、ねじ穴12c3が形成されている。ねじ穴12c3は、2本の取付片11c1,11c2に適切に装着された状態において、第1接続部11cの2本の取付片11c1,11c2に形成されたねじ穴11c3に合致するように形成されている。
【0021】
第1固定部材13は、第1軸11と第2軸12との角度を固定する部材である。この実施形態では、
図1および
図2に示すように、第1軸11の第1接続部11cと第2軸12の第2接続部12cに形成されたねじ穴11c3、12c3に取り付けられるねじ13aである。ねじ13aは、第1接続部11cの2本の取付片11c1,11c2の片側の取付片11c1から装着されており、反対側の取付片11c2にねじの先端が到達している。ねじ13aを締めつけると、第1軸11の2本の取付片11c1,11c2に第2軸12の取付片12c1が挟まれ、第1軸11に対する第2軸12の角度が固定される。なお、第1軸11、第2軸12および第1軸11と第2軸12の角度を調整し、固定する第1固定部材13などの構造は、かかる構造に限定されない。
【0022】
脚部材14は、第1軸11に設けられた部材である。脚部材14は
図1に示すように、第1軸11に取り付けられ、電動リール40が置かれる台80に接地している。かかる脚部材14によって、第1軸11が支えられる。このため、穂先竿60の先端が下方に引っ張られた場合でも、第1軸11が取り付けられた電動リール40は前方に倒れ難い。換言すれば、脚部材14によって台80に接地し、第1軸11を支持する支点ができ、電動リール40が前側に倒れ難くなる。
【0023】
この実施形態では、脚部材14は、第1軸11の中間部よりも第2軸12に接続された基端部側に配置されている。脚部材14が、第1軸11の中間部よりも第2軸12に接続された基端部側に配置されていることによって、第1軸11を支持する支点が電動リール40のよりも前方に配置されている。このため電動リール40が前側にさらに倒れにくくなる。
【0024】
脚部材14は、第1軸11を支持する高さが変更可能な機構を有する。この実施形態では、脚部材14は、第1部材14aと、第2部材14bと、第2固定部材14cとを備えている。第1部材14aと第2部材14bとは、第1軸11に対して周方向に回動可能に取り付けられている。この実施形態では、
図3に示すように、第1部材14aと、第2部材14bは、板状の部材であり、一端にそれぞれ第1軸11の脚取付部11bに装着可能な装着孔14a1,14b1を有している。第2部材14bが前(第1軸11のフランジ部11b1側)、第1部材14aが第2部材14bの後になるように、それぞれ第1軸11の脚取付部11bに装着されている。第1部材14aと第2部材14bは、第1軸11に対して左右に開いたり閉じたりする。第1軸11に対する第1部材14aと第2部材14bの角度が変わることによって、脚部材14が第1軸11を支持する高さが変わる。
【0025】
第2固定部材14cは、第1部材14aおよび第2部材14bの角度を固定する部材である。この実施形態では、第1軸11の脚取付部11bの外周面には、ねじ溝11b3が形成されている(
図2参照)。第2固定部材14cは、例えば、ねじ溝11b3に装着されて第1部材14aと第2部材14bの角度を固定するものであるとよい。この実施形態では、第2固定部材14cは、第1ねじ14c1と、第2ねじ14c2とを備えている。第1ねじ14c1は、第1軸11の脚取付部11bに対して前側に装着されており、第1軸11に脚部材14に当てられる。第2ねじ14c2は、後側に装着されて第1ねじ14c1に当てられる。
【0026】
この場合、第1軸11に対する第1部材14aと第2部材14bとの角度を調節する。次に、第1ねじ14c1を脚部材14に向けて締め付けて第1部材14aと第2部材14bとの角度を仮固定する。さらに、第2ねじ14c2を第1ねじ14c1に向けて締め付けて第1ねじ14c1の緩み止めとして機能させる。これによって、第1部材14aと第2部材14bの角度が固定される。このように、第1ねじ14c1と第2ねじ14c2とは、ダブルナットとして機能する。
【0027】
第1部材14aと第2部材14bの角度は、第1軸11を支持する第1部材14aと第2部材14bが台80に接地するように調整するとよい。第1部材14aと第2部材14bとを台80に接地させることによって、電動リール40の前に台80に支持される支点が生じる。これによって、電動リール40が前側に倒れ難くなる。この実施形態では、第1部材14aと第2部材14bの角度を調整し、かつ、固定できるので、取り付けられる電動リール40が変わったり、台80の形状が変わったりしても、第1軸11に取り付けられた脚部材14を台80に接地させることができる。脚部材14の構造は、かかる構造に限定されない。
【0028】
例えば、第2ねじ14c2は、第1ねじ14c1よりも厚いねじであると良い。この実施形態では、第1ねじ14c1と第2ねじ14c2は、それぞれ外周面に凹凸を有するローレットねじで構成されており、作業者が手で回すことができる。この場合、後から締める第2ねじ14c2が厚いと、第2ねじ14c2に力を作用させやすくなる。このため、釣り人の作業性が良くなる。この場合、第1ねじ14c1の幅が3mm程度である場合、第2ねじ14c2の幅は、例えば、3mm以上、より好ましくは、6mm以上であるとよい。また、この場合、第2ねじ14c2の幅は、1cm程度でもよい。
【0029】
図4は、変形例である穂先竿用アダプタ10Aを示している。
図4に示すように、第2ねじ14c2は、第1ねじ14c1に当てられる側に段差14c3を有していてもよい。この場合、段差14c3によって、第1ねじ14c1の外周面と第2ねじ14c2の外周面との間に溝14dが形成される。この溝14dの幅は、例えば、1mm以上であるとよく、例えば、1mm以上3mm以下程度であるとよい。かかる段差14c3による溝が形成されていることによって、第2ねじ14c2を回す際に、第1ねじ14c1に指が当たり難くなる。このため、第2ねじ14c2を操作する際に第1ねじ14c1が連れて回りにくくなる。
【0030】
図5は、変形例である穂先竿用アダプタ10Bを示している。
図5に示すように、穂先竿用アダプタ10Bは、ワッシャー21,22,23を備えている。その余の点において、
図4に示された穂先竿用アダプタ10Aと同様の構造を有している。
【0031】
ワッシャー21は、第1軸11の基端部(ここでは、フランジ部11b1)と第1部材14aとの間において第1軸11に装着されている。かかるワッシャー21は、第1軸11のフランジ部11b1と第1部材14aとの間において、第1軸11のフランジ部11b1に対して第1部材14aが適度な摩擦でスムーズに動くように摩擦力を調整するためのものである。かかるワッシャー21には、例えば、0.3mm厚程度のナイロン製のワッシャーが用いられうる。
【0032】
ワッシャー22は、第1部材14aと第2部材14bとの間において第1軸11に装着されている。かかるワッシャー22は、第1ねじ14c1が締められた後で、第1部材14aと第2部材14bとが動き過ぎるのを防止する部材である。ここでワッシャー22には、0.3mm厚程度のゴムワッシャーが用いられうる。
【0033】
また、ワッシャー23は、第2部材14bと第1ねじ14c1との間において第1軸11に装着されている。ワッシャー23は、第2部材14bが第1ねじ14c1に対して適度な摩擦でスムーズに動くように摩擦力を調整するためのものである。つまり、第1ねじ14c1に対して、第2部材14bが第1ねじ14c1に連れて回るのを防止できる。かかるワッシャー23には、例えば、0.3mm厚程度のナイロン製のワッシャーが用いられうる。
【0034】
このように第1部材14aと第2部材14bとの間において第1軸11に、エラストマからなる第1ワッシャー22が装着されていてもよい。これにより、第1部材14aと第2部材14bとが滑りにくくなるので、第1部材14aと第2部材14bとが第1軸11を支持する高さが調整しやすくなる。かかる観点において、エラストマからなる第1ワッシャー22には、例えば、工業用のゴムワッシャーなど、所要の耐久性と摩擦力が得られるエラストマを適宜に採用してもよい。例えば、アスク工業株式会社製のアスナーシートが用いられうる。また、第1ワッシャー22の厚さは、例えば、0.1mm以上0.5mm以下程度であるとよい。
【0035】
また、第1軸11のフランジ部11b1と第1部材14aとの間、および、第2部材14bと第1ねじ14c1との間の第1軸11において、それぞれ樹脂製の第2ワッシャーが装着されていてもよい。これにより、第1軸11のフランジ部11b1と第1部材14aとの間、および、第2部材14bと第1ねじ14c1との間の適度な滑りを確保できる。かかる構成によって、第1軸11のフランジ部11b1と第1部材14aとの間、および、第2部材14bと第1ねじ14c1との間が、第1部材14aと第2部材14bとの間よりも先に滑る。このため、第1部材14aと第2部材14bとの角度を維持しつつ、第1部材14aと第2部材14bとが接地するようになり、第1部材14aと第2部材14bとが第1軸11を支持する高さが調整しやすくなる。かかる観点において、第2ワッシャー21、23には、例えば、ナイロン製のワッシャーが用いられうる。厚さは、例えば、0.2mm以上0.5以下程度であるとよい。
【0036】
ここまで、脚部材として、第1軸11に装着された第1部材14aと、第2部材14bとからなり、第1軸11を支持する高さが変更可能な機構を有する構造を例示した。この実施形態では、脚部材14は、第1軸11を支持しうる構造であればよい。
図6は、脚部材の変形例を示している。
図6に示すように、脚部材30は、上述した穂先竿用アダプタ10において、脚部材14に代えて、第1軸11に装着される部材である。脚部材30は、
図6に示すように、第1軸11に装着される穴30aを、当該穴30aが設けられる基部から、左右に延びた脚部30b、30cを有している。この場合、脚部材30は、安定して第1軸11を支持できるように、所要の厚さを有しているとよい。この脚部材30は、高さを調節する構造を有していないが、高さ違いの複数の部材を用意しておくとよい。また、脚部材30は、第1軸11に装着されるとよく、第1ねじ14c1や第2ねじ14c2は無くても良い。例えば、脚部材30は、第1軸11に圧入されるものでもよい。また、脚部材30の穴30aと第1軸11との間に滑り止めが装着されていてもとよい。
【0037】
以上、ここで提案される穂先竿用アダプタの一実施形態を説明したが、ここで提案される穂先竿用アダプタは、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態に限定されない。