(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配管内に前記外周壁部が配置されている状態において、鉛直方向に沿った前記配置空間の長さが、鉛直方向に沿った前記支持突起の厚さよりも大きくされることを特徴とする請求項15に記載の排水栓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、設置スペースの関係などから、槽体の表面から支持突起までの距離を比較的小さく設定したいことがある。この場合には、ヘアキャッチャーを設けないことが考えられるが、ヘアキャッチャーを設けないと、外周壁部を側方側から見たときに、外周壁部は支持突起によりいわば片持ちされたような状態となる。従って、支持突起が上動して外周壁部を持ち上げたときに、外周壁部のうち、前記支持突起により支持される部位(被支持部)との間で外周壁部の中心軸を挟む位置にある部位(対向部)が、被支持部よりも下がってしまうおそれがある。このように対向部が被支持部よりも下がってしまうと、配管の中心軸に対し外周壁部(例えば、外周壁部の中心軸や外周壁部を構成する面)が正常時よりも傾くこととなってしまい、ひいては栓蓋に傾きが生じてしまう。栓蓋に傾きが生じてしまうと、排水口を開放したときの美観が低下してしまうおそれがある。また、栓蓋が傾いた状態で排水口を閉鎖しようとすると、槽体等のうち排水口の閉鎖時に栓蓋によりシールされる部位(被シール部位)の中心と栓蓋の中心軸とで軸ずれが生じてしまい、ひいては水密性が低下してしまう可能性もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外周壁部を支持突起により支持し、支持突起の上下動により通水部材を上下動させるように構成された排水栓装置において、栓蓋の傾きをより確実に抑制し、良好な美観及び水密性を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.槽体の排水口を開閉するための栓蓋と、
排水用の配管内において当該配管の内周面に沿って配置される外周壁部を有するとともに、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する通水部材と、
前記配管内に突出し、前記排水口を開放した状態において前記外周壁部が載置されることで前記通水部材を支持する支持突起を有し、前記支持突起のうち少なくとも前記通水部材を支持する部位が上下動することで、前記通水部材を上下動させるように構成された栓蓋側機構部とを備え、
前記通水部材は、引き上げられることで前記配管から取外可能に構成された排水栓装置であって、
前記通水部材は、前記配管の中心軸に対する前記外周壁部の傾きを抑制する傾き抑制機構を備え
、
前記外周壁部は、前記支持突起に接触する部位よりも下方に向けて延びる脚部を備え、
前記脚部によって、前記傾き抑制機構の少なくとも一部が構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0010】
上記手段1によれば、通水部材自体が備えている傾き抑制機構によって、外周壁部が配管の中心軸に対して傾いてしまうことを抑制することができる。従って、排水口を開放するときに栓蓋に傾きが生じてしまうことをより確実に防止できる。その結果、排水口の開放時において良好な美観を得ることができる。また、排水口の開放時において、槽体等の被シール部位の中心と栓蓋の中心軸との軸ずれを効果的に抑制することができる。これにより、排水口の閉鎖時に良好な水密性を得ることができる。
【0011】
また、上記手段1によれば、支持突起が上動して外周壁部を持ち上げるときに、外周壁部の傾きが小さい時点で配管に対し脚部が接触することとなり、その結果、外周壁部のこれ以上の傾きを抑制することができる。これにより、栓蓋の傾きを効果的に抑制することができ、より良好な美観及び水密性を得ることができる。
【0012】
手段
2.前記脚部は、前記配管の内周面に沿って配置されることを特徴とする手段
1に記載の排水栓装置。
【0013】
上記手段
2によれば、脚部は、配管の内周面に沿って配置される。すなわち、脚部は、その外面が配管の内周面に対し近接した状態で配置される。従って、外周壁部の傾きがより小さい時点で配管に対し脚部を接触させることができ、外周壁部の傾きを効果的に抑制することができる。これにより、栓蓋の傾きを一層効果的に抑制することができ、一段と良好な美観及び水密性を得ることができる。
【0014】
手段
3.前記外周壁部は環状をなし、
前記脚部は、前記外周壁部の周方向に沿って等間隔に複数設けられることを特徴とする手段
1又は
2に記載の排水栓装置。
【0015】
上記手段
3によれば、配管に対し通水部材が相対回転した場合であっても、上記手段
1等による作用効果を確実に発揮させることができる。また、通水部材において、支持突起の上下動以外の傾きの発生要因(例えば、栓蓋等を介して伝わった外力等)が生じた場合であっても、外周壁部ひいては栓蓋の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
【0016】
手段
4.前記脚部は、前記配管の周方向に沿って、前記支持突起と隣接する位置に設けられることを特徴とする手段
1乃至
3のいずれかに記載の排水栓装置。
【0017】
上記手段
4によれば、支持突起が上動して外周壁部を持ち上げるときに、支持突起に隣接する脚部が配管に接触することで、外周壁部の傾きを一層効果的に抑制することができる。その結果、栓蓋の傾きをより効果的に抑制することができる。
【0018】
手段
5.前記脚部は、前記支持突起を回り込んで前記支持突起の鉛直下方に位置することを特徴とする手段
1乃至
4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0019】
上記手段
5によれば、支持突起が上動して外周壁部を持ち上げるときに、脚部のうち支持突起の鉛直下方に位置する部位が配管に接触することで、外周壁部ひいては栓蓋の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
【0020】
手段
6.前記外周壁部は、前記支持突起に接触する環状の胴部を有し、
前記胴部の下部から前記脚部が下方に向けて延びており、
前記外周壁部の中心軸に沿った前記脚部の長さ、及び、前記外周壁部の中心軸に沿った前記胴部の長さの和が、前記外周壁部の外径よりも大きくされることを特徴とする手段
1乃至
5のいずれかに記載の排水栓装置。
【0021】
尚、「外周壁部の中心軸」とあるのは、換言すれば、「胴部の中心軸」ということができる。
【0022】
上記手段
6によれば、外周壁部の傾きが非常に小さい時点で、配管に対し脚部及び/又は胴部が接触し、外周壁部のそれ以上の傾きを抑制することができる。これにより、より優れた美観及び水密性を得ることができる。
【0023】
手段7.前記外周壁部は、径方向外側に突出形成されたリブ部を備え、
前記リブ部によって、前記傾き抑制機構の少なくとも一部が構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
【0024】
上記手段7によれば、次述する手段8と同様の作用効果が奏される。
【0025】
手段
8.
槽体の排水口を開閉するための栓蓋と、
排水用の配管内において当該配管の内周面に沿って配置される外周壁部を有するとともに、前記栓蓋を直接又は間接的に支持する通水部材と、
前記配管内に突出し、前記排水口を開放した状態において前記外周壁部が載置されることで前記通水部材を支持する支持突起を有し、前記支持突起のうち少なくとも前記通水部材を支持する部位が上下動することで、前記通水部材を上下動させるように構成された栓蓋側機構部とを備え、
前記通水部材は、引き上げられることで前記配管から取外可能に構成された排水栓装置であって、
前記通水部材は、前記配管の中心軸に対する前記外周壁部の傾きを抑制する傾き抑制機構を備え、
前記外周壁部は、径方向外側に突出形成されたリブ部を備え、
前記リブ部によって、前記傾き抑制機構の少なくとも一部が構成されていることを特徴とす
る排水栓装置。
【0026】
上記手段
8によれば、リブ部によって、外周壁部(リブ部)と配管との間の隙間をより小さくすることができる。従って、外周壁部が若干傾いた段階で、配管やこれと同軸に設けられた部材等に対し外周壁部(リブ部)が接触することとなり、外周壁部のそれ以上の傾きを抑制することができる。その結果、栓蓋の傾きを一段と抑制することができ、より良好な美観及び水密性を得ることができる。
【0027】
また、単に外周壁部の外径を大きくすることで、外周壁部と配管との間の隙間を小さくした場合と比較して、支持突起が上下動したときに、配管と外周壁部との摺動抵抗を小さくすることができる。また、支持突起の上下動時に、配管と外周壁部との間に異物が挟まりにくくなる。これらの結果、配管の内周面に沿って通水部材(外周壁部)をスムーズに移動させることができる。つまり、上記手段
8によれば、栓蓋の傾き抑制を図りつつ、操作性の低下防止を図ることができる。
【0028】
尚、リブ部は通水部材の外周面の一部を構成するため、リブ部によって傾き抑制機構が構成されているということは、通水部材の外周面によって傾き抑制機構が構成されているということができる。すなわち、通水部材の外周面によって傾き抑制機構を構成することは、リブ部によって傾き抑制機構を構成することを含む。
【0029】
手段
9.前記リブ部は、前記外周壁部の少なくとも最上部に設けられることを特徴とする手段
7又は8に記載の排水栓装置。
【0030】
上記手段
9によれば、外周壁部の傾きが非常小さい時点で、配管等に対しリブ部を接触させることができる。これにより、栓蓋の傾きを極めて効果的に抑制することができ、非常に優れた美観及び水密性を得ることができる。
【0031】
手段
10.前記リブ部は、前記外周壁部の少なくとも最下部に設けられることを特徴とする手段
7又は8に記載の排水栓装置。
【0032】
上記手段
10によれば、上記手段
9と同様に、栓蓋の傾きを極めて効果的に抑制することができ、非常に優れた美観及び水密性を得ることができる。
【0033】
手段
11.前記リブ部は、前記配管の周方向に沿って、前記支持突起の近傍に設けられることを特徴とする手段
7乃至
10のいずれかに記載の排水栓装置。
【0034】
上記手段
11によれば、支持突起により外周壁部が持ち上げられたときに、支持突起の近傍に配置されたリブ部が配管等に接触することで、外周壁部の傾きを一層効果的に抑制することができる。その結果、栓蓋の傾きをより効果的に抑制することができる。
【0035】
手段
12.前記リブ部は、前記支持突起の鉛直下方の位置に設けられることを特徴とする手段
7乃至
11のいずれかに記載の排水栓装置。
【0036】
上記手段
12によれば、支持突起により外周壁部が持ち上げられたときに、支持突起の鉛直下方に位置するリブ部が配管等に接触することで、外周壁部ひいては栓蓋の傾きをより一層効果的に抑制することができる。
【0037】
手段
13.前記外周壁部は環状をなし、
前記リブ部は、前記外周壁部の周方向に沿って等間隔に3つ以上設けられることを特徴とする手段
7乃至
12のいずれかに記載の排水栓装置。
【0038】
上記手段
13によれば、配管に対し通水部材が相対回転した場合であっても、上記手段
8等による作用効果を確実に発揮させることができる。また、通水部材において、支持突起の上下動以外の傾きの発生要因(例えば、栓蓋等を介して伝わった外力等)が生じた場合であっても、外周壁部ひいては栓蓋の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
【0039】
手段
14.前記リブ部は、前記外周壁部におけるその上端から下端まで延びる突条をなすことを特徴とする手段
7乃至
13のいずれかに記載の排水栓装置。
【0040】
上記手段
14によれば、外周壁部の傾きがより小さい時点で、配管等に対しリブ部が接触することとなる。従って、栓蓋の傾きをより効果的に抑制することができ、さらに良好な水密性を得ることができる。
【0041】
手段
15.前記外周壁部は、鉛直斜め下方又は鉛直下方に向けて開口し、前記支持突起の配置される配置空間と、当該配置空間を形成する係止部とを有し、
前記配置空間に前記支持突起が配置された状態において、前記係止部は、前記支持突起の鉛直下方において鉛直方向に沿って前記支持突起に対し係止可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至
14のいずれかに記載の排水栓装置。
【0042】
上記手段
15によれば、支持突起を勢いよく上動させた場合に、栓蓋が上方に飛び出してしまうといった事態をより確実に防止することができる。その結果、安全性や使い勝手の向上を図ることができる。
【0043】
また、上記手段
15によれば、通水部材及び支持突起が適切な組付状態となっていない場合、つまり、配置空間に支持突起が配置されておらず、支持突起に係止部が載っている場合には、栓蓋が正常時よりも浮いた状態となる。そのため、誤組付が生じていることを容易に認識することができる。
【0044】
手段
16.前記配管内に前記外周壁部が配置されている状態において、鉛直方向に沿った前記配置空間の長さが、鉛直方向に沿った前記支持突起の厚さよりも大きくされることを特徴とする手段
15に記載の排水栓装置。
【0045】
上記手段
16によれば、通水部材及び支持突起が適切な組付状態となっていない場合に、栓蓋が正常時よりもさらに浮くこととなる。そのため、誤組付が生じていることを一層容易に認識することができる。
【0046】
手段
17.前記外周壁部の内側において前記通水部材により支持される支持軸を備え、
前記通水部材は、前記支持軸を介して前記栓蓋を間接的に支持しており、
前記支持軸は、
上端部において前記栓蓋を支持する棒状部と、
自身の内部に前記棒状部を往復移動可能な状態で収容する筒状の外筒部と、
前記外筒部の下端側開口を閉塞する底蓋部と、
前記外筒部内において前記棒状部及び前記底蓋部間に配置されたショックアブソーバスプリングとを備え、
前記排水口の開放時において、前記栓蓋に対し下方に向けた力が加わったときに、前記ショックアブソーバスプリングが圧縮変形可能に構成されることを特徴とする手段1乃至
16のいずれかに記載の排水栓装置。
【0047】
上記手段
17によれば、排水口の開放時において、栓蓋等を踏み付けてしまったり、栓蓋に重量物を載置してしまったりした場合に、ショックアブソーバスプリングが圧縮変形することで、支持突起に加わる負荷を軽減することができる。これにより、支持突起やこれを支持する部材等の破損をより確実に防止することができ、装置の耐久性をより高めることができる。
【0048】
手段
18.前記栓蓋側機構部は、回動可能な回動部を有するとともに、
前記支持突起は、前記回動部の端面から前記配管内に突出し、前記回動部の回動により上下動するように構成されており、
前記支持突起は、前記回動部の回動軸の鉛直上方に配置可能とされることを特徴とする手段
17に記載の排水栓装置。
【0049】
支持突起が回動部の回動軸の鉛直上方に配置されている場合において、栓蓋等を踏み付ける等により、栓蓋に対し下方側に向けた力が加わってしまうと、支持突起には、主として回動部の径方向に沿った力が加わり、回動部の周方向に沿った力はほとんど加わらないことになる。そのため、加えられた力によって支持突起が力から逃げるように回動部が回動するといったことは生じにくく、支持突起や回動部等に対し大きな負荷が加わってしまう。その結果、支持突起等に破損が生じてしまうおそれがある。そこで、支持突起が回動部の回動軸の鉛直上方に配置されないように構成することで、栓蓋に対し下方側に向けた力が加わったときに、加えられた力によって支持突起が力から逃げるように回動部を回動可能とすることが考えられる。しかし、この場合には、支持突起の上下移動量ひいては栓蓋のリフト量が小さくなってしまうため、排水性能の面で若干不利となってしまうおそれがある。また、支持突起が力から逃げやすくなるように、回動部を非常に回動しやすい構成とすることも考えられるが、この場合には、少しの力で回動部が意図せず回動してしまうおそれがある。
【0050】
この点、上記手段
18によれば、支持突起が回動部の回動軸の鉛直上方に配置可能であるため、支持突起の上下移動量ひいては栓蓋のリフト量を最大限大きくすることができる。そのため、非常に優れた排水性能を実現することができる。
【0051】
一方、支持突起を回動部の回動軸の鉛直上方に配置可能とすることで、栓蓋に力が加わった際における支持突起等の破損が懸念されるが、上記手段
18によれば、ショックアブソーバスプリングによって支持突起等に加わる負荷を低減することができ、支持突起等の破損防止をより確実に図ることができる。
【0052】
また、支持突起が回動部の回動軸の鉛直上方に配置されているときには、栓蓋に対し下方側に向けた力が加わった場合であっても、回動部の回動が生じにくくなる。従って、誤って栓蓋を踏みつけてしまった場合等における意図しない回動部の回動、ひいては意図しない排水口の閉鎖をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、排水栓装置1は、槽体としての洗面器100等に取付けられており、操作装置2と、レリースワイヤ3と、栓蓋側機構部4と、排水口装置5とを備えている。尚、洗面器100は、その底部分を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、鉛直方向に延びる筒状の立設部102と、当該立設部102の下端から径方向内側に向けて突出する環状の張出部103とが形成されている。そして、張出部103の内周に、排水口104が形成されている。
【0055】
操作装置2は、
図2に示すように、洗面器100の近傍に設けられた壁状のバックガード105に取付けられた筒状のガイド部21と、当該ガイド部21の内周において往復移動可能に配置された操作部材22とを備えている。操作部材22の一端部には、レリースワイヤ3の後述する伝達部材31の他端部が取付けられている。
【0056】
また、ガイド部21の一端部外周には、ほぼ直角に屈曲する筒状をなす操作側屈曲ガイド部材23が取付けられている。そして、操作側屈曲ガイド部材23の内周においてレリースワイヤ3の後述するチューブ部材32の他端部が保持されている。
【0057】
レリースワイヤ3は、ワイヤー等からなる長尺状の伝達部材31と、樹脂等からなる長尺筒状のチューブ部材32とを備えている。伝達部材31は、チューブ部材32の内周に配置されており、操作部材22の往復移動に伴いチューブ部材32に対し往復移動するようになっている。
【0058】
図1に戻り、栓蓋側機構部4は、排水口装置5の後述する配管52に対し取付けられている。また、栓蓋側機構部4は、
図1及び
図3に示すように、回動可能な回動部41と、伝達部材31の一端部が接続され、伝達部材31の往復運動を回動運動に変換する運動方向変換部42と、運動方向変換部42が内部に収容されるとともに、配管52に対して取付けられるケース部材43とを備えている。
【0059】
回動部41は、ケース部材43の内部からその外部へと突出しており、この突出部分が配管52の後述する取付管52Bに挿通されている。また、回動部41は、配管52の後述する本体管52Aの内部空間側に位置する端面の外周側に、配管52(本体管52A)内に突出する棒状の支持突起44を有している。
【0060】
支持突起44は、円柱状をなし、その先端が配管52(本体管52A)の中心軸CL1に到達しないように比較的短いものとされている。また、回動部41が回動することで、支持突起44は回動しつつ上下動するようになっている。さらに、本実施形態において、支持突起44は、回動部41の回動可能範囲が所定範囲に規定されることで、回動部41の回動軸CL2の鉛直上方に配置可能とされている(
図4参照)。
【0061】
運動方向変換部42は、伝達部材31の一端部が接続されたラック部42Aと、当該ラック部42Aに噛合されるとともに、回動部41と同軸に設けられた回動可能な歯車部42Bとを備えている。伝達部材31の往復運動時には、ケース部材43内にてラック部42Aが往復運動して歯車部42Bが回動するとともに、歯車部42Bの回動により回動部41が回動し、ひいては支持突起44が回動しつつ上下動するようになっている。
【0062】
ケース部材43は、ラック部42Aの収容される部位に、ラック部42Aの往復移動方向の前後を挟むようにして前方側接触部43A及び後方側接触部43Bを備えている。そして、伝達部材31の往動に伴いラック部42Aが往動したときには、ラック部42Aが前方側接触部43Aに接触することで、ラック部42Aのそれ以上の往動が規制され、ひいては回動部41のそれ以上の回動が規制されるようになっている。一方で、伝達部材31の復動に伴いラック部42Aが復動したときには、ラック部42Aが後方側接触部43Bに接触することで、ラック部42Aのそれ以上の復動が規制され、ひいては回動部41のそれ以上の回動が規制されるようになっている。つまり、本実施形態では、前方側接触部43A及び後方側接触部43Bによって、回動部41の回動可能範囲が所定範囲に規定されている。
【0063】
また、ケース部材43のうち前記回動部41の突出する側の面には、回動部41と平行に延びる複数の爪部43Cが設けられており、当該爪部43Cによって栓蓋側機構部4が配管52(取付管52B)へと取付けられている。
【0064】
さらに、ケース部材43におけるレリースワイヤ3の出口部分には、筒状をなす栓蓋側ガイド部材45が取付けられている。そして、栓蓋側ガイド部材45の内部において、チューブ部材32の一端部が保持されている。
【0065】
図1に戻り、排水口装置5は、排水口部材51と、配管52と、通水部材53と、支持軸54と、栓蓋55とを備えている。
【0066】
排水口部材51は、筒状に形成されており、自身の中心軸と前記排水口104の中心軸とがほぼ一致するように排水口104に挿設されている。また、排水口部材51は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔状のフランジ部51Aと、当該フランジ部51Aよりも下方側の外周に形成された雄ねじ部51Bとを備えている。
【0067】
配管52は、筒状の本体管52Aと、当該本体管52Aから枝分かれした筒状の取付管52Bとを備えている。
【0068】
本体管52Aは、鉛直方向に沿って延びるとともに、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部51Bを螺合可能な雌ねじ部52Cを備えている。そして、フランジ部51Aを前記張出部103上に配置した状態で、前記雄ねじ部51Bを雌ねじ部52Cに螺合し、フランジ部51A及び本体管52Aの上端面により張出部103を挟み込むことで、配管52は排水口部材51に接続されるとともに、洗面器100に取付けられている。
【0069】
また、本実施形態においては、配管52の上端面と洗面器100との間に、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材57が介在されており、当該シール部材57によって、排水口部材51及び配管52と洗面器100との間からの漏水防止が図られている。
【0070】
取付管52Bは、本体管52Aの外周から水平方向に突出形成され、自身の内部空間が本体管52Aの内部空間に連通している。また、取付管52Bのうち本体管52Aとは反対側に位置する端部には、取付管52Bの中心軸に対し回転対称な一対の取付用孔部(図示せず)が貫通形成されている。そして、当該取付用孔部に対し前記爪部43Cが挿通された上で、取付管52Bに対し爪部43Cが係止されることで、栓蓋側機構部4が取付管52Bに取付けられている。
【0071】
通水部材53は、配管52(本体管52A)内において上下動可能に配置されており、環状の外周壁部531と、外周壁部531の内周からその径方向に沿って延びるアーム部53A(
図5参照)とを有している。
【0072】
外周壁部531は、配管52(本体管52A)の内周面に沿うようにして配管52(本体管52A)内に配置されている。そして、外周壁部531が前記支持突起44に載置状態とされることで、通水部材53は、支持突起44により配管52(本体管52A)内で支持されている。但し、支持突起44が最も下方に配置された状態では、外周壁部531の下端面から支持突起44が離間するようになっている。尚、通水部材53の構成については後に詳述する。
【0073】
支持軸54は、外周壁部531の内側において外周壁部531と同軸に設けられている。支持軸54は、棒状部54A、外筒部54B、底蓋部54C、及び、ショックアブソーバスプリング54Dを備えている。
【0074】
棒状部54Aは、鉛直方向に延びる棒状をなし、その上端部が栓蓋55の背面中央部に取付けられることで栓蓋55を支持している。また、棒状部54Aの下端部は、径方向外側に突出する鍔状をなしている。
【0075】
外筒部54Bは、円筒状をなし、自身の内部に棒状部54Aを往復移動可能な状態で収容している。また、外筒部54Bの上端部は、径方向内側に向けて突出する屈曲形状をなしており、当該屈曲部分に対し棒状部54Aの前記鍔状部分が接触することで、外筒部54Bから棒状部54Aが抜けないようになっている。加えて、外筒部54Bの外周に対し通水部材53の前記アーム部53Aの最内周部が連結されている(
図5参照)。これにより、外筒部54Bひいては支持軸54は、外周壁部531の内側において通水部材53により支持された状態となっている。
【0076】
底蓋部54Cは、円板状をなし、外筒部54Bの下端側開口に挿入された状態で外筒部54Bに固定されている。底蓋部54Cによって、外筒部54Bの下端側開口は閉塞されている。
【0077】
ショックアブソーバスプリング54Dは、所定の金属線が螺旋状に巻回されることで構成されており、支持軸54の長手方向に沿って弾性変形可能となっている。また、ショックアブソーバスプリング54Dは、外筒部54Bの内部において、棒状部54Aの前記鍔状部分と底蓋部54Cとにより挟み込まれており、自身の自然長よりも圧縮された状態となっている。そして、通常状態(栓蓋55等に対し特段の外力が加わっていない状態)では、棒状部54Aの前記鍔状部分と底蓋部54Cとの間の距離が最大限確保されるようになっている。
【0078】
栓蓋55は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部55Aと、当該栓蓋本体部55Aに取付けられたパッキン部55Bとを備えている。
【0079】
栓蓋本体部55Aは、排水口部材51と略同軸に設けられており、その背面の外周側に、下方に向けて延びる筒状部55Cを備えている。そして、当該筒状部55Cの外周に対し前記パッキン部55Bが嵌め込まれている。
【0080】
パッキン部55Bは、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成されている。そして、操作部材22の変位に伴い支持突起44が下動した際に、通水部材53及び支持軸54とともに栓蓋55が下動し、パッキン部55Bの外周部分全域が底壁部101に接触することで、排水口104が閉鎖されるようになっている。一方で、操作部材22の変位に伴い支持突起44が上動した際には、通水部材53及び支持軸54とともに栓蓋55が上動し、パッキン部55Bが底壁部101から離間することで、排水口104が開放されるようになっている。
【0081】
また、本実施形態では、排水口104の開放時において、支持突起44は外周壁部531に接触しているが、排水口104の閉鎖時において、支持突起44は外周壁部531から離間するようになっている。これにより、排水口104の閉鎖時において、パッキン部55Bを確実に底壁部101へと接触させることができ、良好な水密性を得ることができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、排水口104の開放時において、例えば、栓蓋55に重量物が載置されること等により、栓蓋55に対し下方に向けた力が加わったときに、ショックアブソーバスプリング54Dが圧縮変形するようになっている。
【0083】
併せて、本実施形態では、洗面器100の表側から栓蓋55や支持軸54を引き上げることで、通水部材53、支持軸54及び栓蓋55からなるユニット58を配管52から一度に取外すことができるようになっている。そして、前記ユニット58を配管52から取外した状態では、配管52(本体管52A)内は、支持突起44のみが僅かに突出した状態となる。そのため、メンテナンス性や清掃性の向上を図ることができる。
【0084】
次いで、通水部材53の構成について説明する。本実施形態において、通水部材53は、上述の通り、外周壁部531を有しており、当該外周壁部531は、
図5及び
図6に示すように、胴部532と、それぞれ複数の脚部533及びリブ部534とを備えている。
【0085】
胴部532は、円筒状をなし、排水口104の開放時には、その下面に対し支持突起44が接触する。また、胴部532は、配管52(本体管52A)と同軸に配置した状態において、その外周面と配管52(本体管52A)や排水口部材51の内周面との間に若干(例えば、1mm程度)の隙間が形成されるように構成されている。
【0086】
さらに、本実施形態において、胴部532(通水部材53)の外周面は、配管52(本体管52A)の中心軸CL1に対する外周壁部531の傾きを抑制する傾き抑制機構の一部を構成している
(但し、参考例)。詳述すると、胴部532と配管52(本体管52A)とを同軸とした状態において胴部532の外周面と配管52(本体管52A)や排水口部材51の内周面との間に形成される隙間の大きさ、配管52(本体管52A)の中心軸CL1に対する外周壁部531の傾き(例えば、本実施形態のように、外周壁部531が環状をなす場合には、中心軸CL1に対する外周壁部531の中心軸CL3の傾き)の許容値を考慮し、脚部533やリブ部534が存在しないものと仮定した状態で支持突起44の上動に伴い外周壁部531が傾いたときに、その傾きが前記許容値以下の段階で、胴部532の外周面が配管52(本体管52A)や排水口部材51の内周面と接触するように、胴部532のその軸方向に沿った長さが比較的大きなものとされている。
【0087】
尚、胴部532(通水部材53)の外周面によって傾き抑制機構の少なくとも一部を構成することは、例えば、
図7(
図7では、支持軸54等を不図示)に示すように、胴部532の外周面(特に外周面の上部)と配管52(本体管52A)や排水口部材51の内周面との間に形成される隙間の大きさをr(mm)とし、前記許容値をθ(°)としたとき、胴部532の長さL(mm)をr/sinθ以上とすることにより可能である。例えば、rが1mmである場合に、前記許容値を3°としたとき、胴部532の長さLを約19.13mm以上とすることで、胴部532(通水部材53)の外周面によって傾き抑制機構の少なくとも一部を構成することができる。尚、前記許容値は、種々の要件により適宜設定され得るものであるが、例えば、5°以下(より好ましくは3°以下)に設定される。
【0088】
図5及び
図6に戻り、脚部533は、胴部532の下部から、胴部532のうち支持突起44と接触する部位よりも下方に向けて、胴部532の中心軸と平行な方向に延びている。また、脚部533は、外周壁部531の周方向に沿って等間隔に複数設けられている。
【0089】
さらに、脚部533は、外周壁部531の中心軸CL3と直交する断面において湾曲する形状をなしており、配管52(本体管52A)の内周面に沿って配置されている。そして、脚部533の外周面と配管52(本体管52A)の内周面との隙間は比較的小さなもの(例えば、1mm程度)とされている。そのため、支持突起44の動作に伴い外周壁部531が傾いたときにおいて、その傾きが小さい時点で配管52(本体管52A)に対し脚部533が接触可能となっている。従って、本実施形態では、脚部533によって、前記傾き抑制機構の一部が構成されている。
【0090】
また、外周壁部531の中心軸CL3(胴部532の中心軸)に沿った脚部533の長さ、及び、中心軸CL3(胴部532の中心軸)に沿った胴部532の長さの和は、外周壁部531の外径よりも大きなものとされている。本実施形態では、中心軸CL3に沿った脚部533の長さが、外周壁部531の外径よりも大きなものとされている。尚、本実施形態のようにリブ部534が存在する場合において、外周壁部531の外径とあるのは、外周壁部531の中心軸CL3上に中心が位置し、リブ部534の最外周部と接する仮想円の外径ということができる。また、リブ部534が存在しない場合、外周壁部531の外径とあるのは、胴部532の外径ということができる。
【0091】
さらに、脚部533は、その幅方向に沿った(外周壁部531の周方向に沿った)一方側の縁部を構成し、外周壁部531の周方向に対し傾斜する第一傾斜部533Aと、その幅方向に沿った他方側の縁部を構成し、第一傾斜部533Aと逆方向に傾斜する第二傾斜部533Bと、両傾斜部533A,533B間に位置し、丸みを帯びて湾曲する頂部533Cとを備えている。従って、仮に支持突起44の鉛直上方に傾斜部533A,533Bや頂部533Cが位置した状態で、配管52(本体管52A)内に対し通水部材53を挿入した場合であっても、傾斜部533A,533Bや頂部533Cが支持突起44に接触することで通水部材53が回転し、ひいては、支持突起44を隣接する脚部533同士の間にほぼ確実に配置することができるようになっている。
【0092】
さらに、外周壁部531の周方向に沿った隣接する脚部533同士の間隔はさほど大きなものとされておらず、脚部533は、外周壁部531の周方向〔配管52(本体管52A)の周方向〕に沿って、支持突起44と隣接するようになっている。
【0093】
リブ部534は、胴部532の外周面から径方向外側に向けて突出しており、外周壁部531の周方向に沿って等間隔に3つ以上(本実施形態では、6つ)設けられている。また、リブ部534は、支持突起44の動作に伴い外周壁部531が傾いたときに、その傾きが小さい時点で配管52(本体管52A)や排水口部材51に対し接触可能となっている。従って、本実施形態では、リブ部534によって前記傾き抑制機構の一部が構成されている。尚、本実施形態では、通水部材53(胴部532)の外周面、脚部533、及び、リブ部534の3つによって、前記傾き抑制機構が構成されている。
【0094】
また、リブ部534は、外周壁部531の中心軸CL3と平行に延びる突条をなしており、外周壁部531の中心軸CL3方向に沿った全域に亘って設けられている。すなわち、リブ部534は、外周壁部531におけるその上端から下端まで延びる突条をなしている。そのため、本実施形態において、リブ部534は、外周壁部531の最上部及び最下部に対しそれぞれ設けられた状態となっている。
【0095】
以上詳述したように、本実施形態によれば、通水部材53の外周面、脚部533及びリブ部534からなる傾き抑制機構によって、外周壁部531(本実施形態では、外周壁部531の中心軸CL3)が配管52の中心軸CL1に対して傾いてしまうことを非常に効果的に抑制することができる。従って、排水口104を開放するときに栓蓋55に傾きが生じてしまうことをより確実に防止できる。その結果、排水口104の開放時において良好な美観を得ることができる。また、排水口104の開放時において、底壁部101のうち排水口104の閉鎖時に栓蓋55と接触する部位(被シール部)の中心と栓蓋55の中心軸との軸ずれを効果的に抑制することができる。これにより、排水口104の閉鎖時に良好な水密性を得ることができる。特に本実施形態では、脚部533が配管52(本体管52A)の内周面に沿って配置されるため、栓蓋55の傾き抑制をより効果的に図ることができる。
【0096】
また、脚部533が外周壁部531の周方向に沿って等間隔に複数設けられるとともに、リブ部534が外周壁部531の周方向に沿って等間隔に3つ以上設けられる。そのため、仮に配管52(本体管52A)に対し通水部材53が相対回転した場合であっても、栓蓋55の傾きを効果的に抑制することができ、より良好な美観及び水密性を得ることができる。また、通水部材53において、支持突起44の上下動以外の傾きの発生要因(例えば、栓蓋55等を介して伝わった外力等)が生じた場合であっても、外周壁部531ひいては栓蓋55の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
【0097】
加えて、脚部533は、配管52(本体管52A)の周方向に沿って支持突起44と隣接する位置に設けられるため、支持突起44が上動して外周壁部531を持ち上げるときに、支持突起44に隣接する脚部533が配管52に接触することで、外周壁部531の傾きを一層効果的に抑制することができる。その結果、栓蓋55の傾きをより効果的に抑制することができる。
【0098】
さらに、外周壁部531の中心軸CL3に沿った脚部533の長さ、及び、中心軸CL3に沿った胴部532の長さの和が、外周壁部531の外径よりも大きくされているため、外周壁部531の傾きが非常に小さい時点で、配管52に対し脚部533や胴部532が接触しやすくなる。これにより、より優れた美観及び水密性を得ることができる。
【0099】
また、本実施形態のように、リブ部534によって傾き抑制機構の一部を構成することで、単に外周壁部531の外径を大きくし、外周壁部531と配管52や排水口部材51との間の隙間を小さくした場合と比較して、支持突起44が上下動したときに、配管52等と外周壁部531との摺動抵抗を小さくすることができる。さらに、支持突起44の上下動時に、配管52等と外周壁部531との間に異物が挟まりにくくなる。これらの結果、配管52の内周面に沿って通水部材53(外周壁部531)をスムーズに移動させることができ、良好な操作性を得ることができる。
【0100】
加えて、本実施形態において、リブ部534は、外周壁部531におけるその上端から下端まで延びる突条(本実施形態では、外周壁部531のその中心軸CL3方向の全域に亘って延びる突条)をなし、外周壁部531の最上部及び最下部に設けられている。従って、外周壁部531の傾きが非常小さい時点で配管52に対しリブ部534が接触しやすくなり、栓蓋55の傾きを極めて効果的に抑制することができる。
【0101】
また、支持突起44が回動部41の回動軸CL2の鉛直上方に配置可能であるため、支持突起44の上下移動量ひいては栓蓋55のリフト量を最大限大きくすることができる。そのため、非常に優れた排水性能を実現することができる。
【0102】
尚、支持突起44を回動部41の回動軸CL2の鉛直上方に配置可能とした場合には、排水口104の開放時において、栓蓋55に重量物を載置すること等により栓蓋55に下方に向けた力が加わった場合に、支持突起44や回動部41等に大きな負荷が加わり、支持突起44等に破損が生じてしまうことが懸念される。しかしながら、本実施形態では、栓蓋55に力が加わったときにショックアブソーバスプリング54Dが圧縮変形することで、支持突起44等に加わる負荷を軽減することができる。これにより、支持突起44等の破損をより確実に防止することができ、排水栓装置1の耐久性をより高めることができる。
【0103】
また、支持突起44を回動部41の回動軸CL2の鉛直上方に配置した状態においては、栓蓋55に対し下方側に向けた力が加わった場合に、回動部41の回動が生じにくくなる。従って、誤って栓蓋55を踏みつけてしまった場合等における意図しない回動部41の回動、ひいては意図しない排水口104の閉鎖をより確実に防止することができる。
【0104】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0105】
(a)上記実施形態では、外周壁部531(胴部532)の外周面、脚部533及びリブ部534によって傾き抑制機構が構成されているが、これら3つのうちの1つ又は2つによって傾き抑制機構を構成してもよい。例えば、
図8に示すように、通水部材61の外周壁部611における胴部612の長さを所定値以上とすることで、外周壁部611(胴部612)の外周面のみによって傾き抑制機構を構成してもよい
(但し、参考例)。尚、配管52(本体管52A)に対する通水部材61の相対回転を規制可能な場合には、少なくとも胴部612のうち前記中心軸CL3を挟んで支持突起44と対向し得る部位を所定値以上の長さとすれば、傾き抑制機構を実現することができる。
【0106】
また、
図9に示すように、比較的短い胴部622の下部から脚部623が延びるように通水部材62を構成し、脚部623のみによって傾き抑制機構を構成してもよい。
【0107】
(b)脚部533の形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではない。従って、例えば、
図10に示すように、通水部材64における脚部643が、その幅方向に沿った(外周壁部641の周方向に沿った)一方側の縁部を構成する直線部643Aと、その幅方向に沿った他方側の縁部を構成する傾斜部643Bと、直線部643A及び傾斜部643B間に位置する頂部643Cとを備えることとしてもよい。直線部643Aは、外周壁部641の中心軸と平行に延びている。傾斜部643Bは、外周壁部641の周方向に対し傾斜する形状をなしている。頂部643Cは、丸みを帯びた湾曲形状をなしている。
【0108】
このように構成することで、仮に支持突起44の鉛直上方に傾斜部643Bや頂部643Cが位置した状態で、配管52(本体管52A)内に通水部材64を挿入したとしても、傾斜部643Bや頂部643Cが支持突起44に接触することで、支持突起44に対し直線部643Aが接近するようにして通水部材64が回転し、ひいては、支持突起44が、直線部643Aと傾斜部643Bとの間にほぼ確実に配置される。
【0109】
また、特に本例では、脚部643が、配管52(本体管52A)の周方向に沿って(外周壁部641の周方向に沿って)支持突起44とより近接した状態となるため、支持突起44により外周壁部641が持ち上げられ、外周壁部641が傾いたときに、その傾きが非常に小さい時点で支持突起44に隣接する脚部643が配管52に対し接触しやすくなる。これにより、外周壁部641ひいては栓蓋55の傾きを一層効果的に抑制することができる。
【0110】
(c)
図11に示すように、胴部652の下部であって隣接する脚部653間に位置する部位に、鉛直斜め下方又は鉛直下方(本例では、鉛直斜め下方)に開口する窪み状の配置空間652Aを設けることとしてもよい。配置空間652Aは、支持突起44の配置される空間である。また、配置空間652Aの開口の幅は、支持突起44よりも若干小さなものとされており、配置空間652Aの開口の幅を広げるように通水部材65を弾性変形させることによって、支持突起44が配置空間652Aの開口を通過できるようになっている。そして、配置空間652Aに対し支持突起44を配置した状態では、胴部652のうち配置空間652Aを形成する部位である係止部652Bが、支持突起44の鉛直下方において鉛直方向に沿って支持突起44へと係止可能となっている。
【0111】
このように構成することで、支持突起44を勢いよく上動させた場合に、栓蓋55(ユニット58)が上方に飛び出してしまうといった事態をより確実に防止することができる。その結果、安全性や使い勝手の向上を図ることができる。また、通水部材65及び支持突起44が適切な組付状態となっていない場合、つまり、配置空間652Aに支持突起44が配置されておらず、支持突起44に係止部652Bが載っている場合には、栓蓋55が正常時よりも浮いた状態となる。そのため、誤組付が生じていることを容易に認識することができる。
【0112】
尚、このように構成した場合、配管52に対し通水部材65を単に挿入しただけでは、支持突起44に対し係止部652Bが載置された状態となり、配置空間652Aへと支持突起44が配置されていない状態となり得る。この場合には、通水部材65を下方へと若干押し込み、通水部材65を弾性変形させて配置空間652Aの開口を拡幅させることで、配置空間652Aへと支持突起44を配置することができる。
【0113】
また、外周壁部651の中心軸に沿った(配管52内に外周壁部651が配置されている状態における、鉛直方向に沿った)配置空間652Aの長さは適宜変更可能である。例えば、当該長さを、
図11に示すように、鉛直方向に沿った支持突起44の厚さとほぼ同じものとしてもよい。また、例えば、
図12に示すように、外周壁部661の中心軸に沿った(配管52内に外周壁部661が配置されている状態における、鉛直方向に沿った)配置空間662Aの長さを、鉛直方向に沿った支持突起44の厚さよりも大きなものとし、配置空間662A内において、支持突起44が外周壁部661の中心軸(鉛直)方向に沿ってある程度移動可能となるように構成してもよい。この場合には、支持突起44に対する通水部材66の誤組付が生じているとき(つまり、配置空間662Aに支持突起44が配置されておらず、外周壁部661のうち配置空間662Aを形成する係止部662Bが支持突起44に載っているとき)に、栓蓋55が正常時よりもさらに浮くこととなる。そのため、誤組付が生じていることを一層容易に認識することができる。
【0114】
(d)上記実施形態では、支持突起44の鉛直下方に脚部533が存在しないように構成されているが、
図13に示すように、脚部673が、支持突起44を回り込んで支持突起44の鉛直下方に位置するように通水部材67を構成してもよい。この場合、支持突起44の上動に伴い外周壁部671が傾いたときに、脚部673のうち支持突起44の鉛直下方に位置する部位は、外周壁部671の傾きがより小さい時点で配管52(本体管52A)に接触することとなる。従って、外周壁部671ひいては栓蓋55の傾きを非常に効果的に抑制することができる。
【0115】
(e)上記実施形態において、脚部533は、外周壁部531の周方向に沿って等間隔に複数設けられているが、脚部の数や配置間隔はこれに限定されるものではない。従って、例えば、1つの脚部のみを設けることとしてもよい。また、複数の脚部を非等間隔に設ける(例えば、支持突起44を挟むようにして2つの脚部のみを設ける)こととしてもよい。
【0116】
(f)上記実施形態において、リブ部534は、外周壁部531の周方向に沿って等間隔に3つ以上設けられているが、リブ部の数や配置間隔はこれに限定されるものではない。従って、例えば、リブ部を所定位置(例えば、支持突起44との間で、外周壁部531の中心軸CL3を挟む位置)に1つのみ設けることとしてもよい。また、例えば、複数のリブ部を非等間隔に設けることとしてもよい。
【0117】
さらに、例えば、
図10に示すように、直線部643Aと平行に延びるようにして直線部643Aの外周にリブ部644を設けてもよい。この場合には、上述の通り、直線部643Aが、外周壁部531の周方向に沿って〔配管52(本体管52A)の周方向に沿って〕支持突起44と隣接するため、リブ部644が外周壁部641の周方向に沿って〔配管52(本体管52A)の周方向に沿って〕支持突起44の近傍に位置することとなる。これにより、支持突起44により外周壁部641が持ち上げられたときに、支持突起44の近傍に配置されたリブ部644が配管52等に対し一層接触しやすくなり、外周壁部641ひいては栓蓋55の傾きをより一層効果的に抑制することができる。
【0118】
また、
図13に示すように、リブ部674が、支持突起44の鉛直下方に位置するように構成してもよい。この場合、支持突起44の上動に伴い外周壁部671が傾いたとしても、外周壁部671の傾きがより一層小さい時点で、リブ部674のうち支持突起44の鉛直下方に位置する部位が配管52(本体管52A)に接触することとなる。従って、外周壁部671ひいては栓蓋55の傾きを一層効果的に抑制することができる。
【0119】
(g)上記実施形態において、リブ部534は、外周壁部531の中心軸と平行に延びる突条をなしているが、リブ部534の形状はこれに限られるものではない。例えば、リブ部は、点状の突起であってもよいし、外周壁部531の周方向に対し斜めに延びる突条であってもよい。
【0120】
(h)上記実施形態において、リブ部534は、外周壁部531のその中心軸CL3方向に沿った全域に亘って設けられているが、リブ部を、外周壁部531のその中心軸CL3方向に沿った一部のみに設けてもよい。例えば、リブ部を、外周壁部531の最上部のみに設けてもよいし、外周壁部531の最下部のみに設けてもよい。
【0121】
(i)上記実施形態において、各脚部533は、外周壁部531の周方向に沿って間隔をあけた状態で設けられているが、
図14及び
図15、並びに、
図16(
図14〜16では、アーム部等を不図示)に示すように、外周壁部681,691の脚部683,693が、外周壁部681,691の周方向に沿って連続する筒状をなすように通水部材68,69を構成してもよい。また、この場合には、脚部683,693のうち支持突起44の配置部位に対応する部分に窪み部(本例では、溝部)を設ける一方、それ以外の部位を配管52(本体管52A)の内周面に沿って配置される形状をなすように構成してもよい。
【0122】
尚、
図16に示すように、外周壁部691(本体管52A)の周方向に沿って延びる溝部693Aを設けるとともに、当該溝部693Aの下方に配管52(本体管52A)の内周面に沿って配置される環状突起部693Bを設ける場合には、例えば、脚部693に対し上下方向に延びるスリットを設けることで、脚部693が径方向内側に向けて容易に弾性変形可能となるように構成してもよい。この場合には、配管52内に対するユニット58の取付(溝部693Aに対する支持突起44の配置)、及び、配管52からのユニット58の取外(溝部693Aからの支持突起44の取外)を容易に行うことが可能となる。尚、環状突起部693Bを設けることで、支持突起44を勢いよく上動させたときに、栓蓋55が上方に飛び出してしまうことをより確実に防止できる。これにより、安全性や使い勝手の向上を図ることができる。
【0123】
(j)上記実施形態において、脚部533は配管52(本体管52A)の内周面に沿って配置されるように構成されているが、
図17及び
図18(
図17及び
図18では、アーム部等を不図示)に示すように、外周壁部701の脚部703が配管52(本体管52A)の内周面に沿って配置されず、脚部703から配管52(本体管52A)までの距離が比較的大きなものとなるように通水部材70を構成してもよい。このように構成した場合においても、脚部が存在しない場合と比べて、外周壁部701や栓蓋55の傾き抑制という面で有利な効果が奏されることとなる。そのため、良好な美観及び水密性を得ることができる。
【0124】
(k)上記実施形態において、外周壁部531は環状をなしているが、
図19及び
図20に示すように、外周壁部711が非環状をなすように通水部材71を構成してもよい。尚、本例において、外周壁部711は、支持突起44により支持される被支持部711Aと、配管52の中心軸CL1を介して前記被支持部711Aと相対する位置に設けられる対向部711Bとを備えている。そして、被支持部711Aにおいて、下方に向けて延びるように設けられた脚部713と、自身の外面上端部が被支持部711Aの外面上端部よりも上方に位置するように構成された対向部711Bとによって、傾き抑制機構が構成されている。すなわち、外周壁部711の傾きが比較的小さい時点で、脚部713や対向部711Aの外面上端部が排水口部材51や配管52(本体管52A)と接触することで、外周壁部711のそれ以上の傾きが抑制されるようになっている。尚、対向部711B及び脚部713のうちの一方のみによって、傾き抑制機構を構成してもよい。また、外周壁部711のうち中心軸CL1を介して被支持部711Aと相対する位置に脚部を設けることとしてもよいし、外周壁部711のうち被支持部711Aや対向部711Bを構成する部位の上方に向けた延び量を適宜変更してもよい。また、例えば、外周壁部711のうち被支持部711Aを構成する部位(脚部713の設けられた部位)の形状を、外周壁部711のうち対向部711Bを構成する部位に適用したり、外周壁部711のうち対向部711Bを構成する部位の形状を、外周壁部711のうち被支持部711Aを構成する部位に適用したりすることで、外周壁部711が中心軸CL1において回転対称の形状をなすように構成してもよい。
【0125】
(l)上記実施形態において、支持突起44は円柱状をなしているが、支持突起44の形状はこれに限定されるものではない。例えば、支持突起が、断面楕円形状や断面矩形状、断面多角形状等であってもよい。
【0126】
(m)上記実施形態において、支持軸54は、ショックアブソーバスプリング54D等を備え、栓蓋55に対し下方に向けた力が加わった際に、支持突起44に加わる負荷を軽減する機能(ショックアブソーバ機能)を有しているが、支持軸がショックアブソーバ機能を備えないこととしてもよい。尚、この場合には、支持突起44が回動部41の回動軸CL2の鉛直上方に配置されないように、回動部41の回動可能範囲を規定することが好ましい。このように規定することで、栓蓋55に対し下方に向けた力が加わったときには、支持突起44が力から逃げるようにして回動部41が回動しやすくなり、ひいては支持突起44等の破損をより確実に防止することができる。
【0127】
(n)上記実施形態では、槽体として洗面器100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面器に限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などに対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【0128】
(o)上記実施形態における操作装置2の構成やこの設置場所はあくまでも例示である。従って、操作装置としては、操作部材が往復動作するものに代えて、操作部材が回転(回動)動作し、この回転(回動)動作に伴い伝達部材31を動作させるものを用いてもよい。また、操作装置を、洗面器や浴槽などの槽体に設置することとしてもよいし、槽体の近傍に設けられた構造物に設置することとしてもよい。
【0129】
(p)上記実施形態において、伝達部材31は、チューブ部材32の内周を往復移動可能なワイヤー等によって構成されているが、伝達部材の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、回転力を伝達可能なユニバーサルジョイントなどによって伝達部材を構成してもよい。この場合には、伝達部材の端部を回動部に直接接続し、運動方向変換部42を設けないこととしてもよい。
【0130】
(q)通水部材の内側を流れる排水に含まれるゴミ等の異物を捕集すべく、外周壁部の内側にヘアキャッチャーを設けてもよい。
【0131】
(r)上記実施形態では、排水口部材51の内径と、配管52(本体管52A)の内径とがほぼ等しいものとされているが、排水口部材51の内径が、配管52(本体管52A)の内径よりも大きなものであってもよい。つまり、通水部材が内側に配置される部分において段差が形成されていてもよい。この場合、通水部材のうち排水口部材51の内側に配置される部分(上側部分)が傾き抑制機構としての機能を備えていてもよいし、通水部材のうち配管52(本体管52A)の内側に配置される部分(下側部分)が傾き抑制機構としての機能を備えていてもよい。勿論、前記上側部分及び下側部分の双方が傾き抑制機構としての機能を備えていてもよい。この場合には、通水部材の外周面に段差が形成され得る。つまり、通水部材は、その軸方向に沿って外径が一定であってもよいし、その軸方向に沿って外径が相違していてもよい。
【0132】
(s)上記実施形態では、支持突起44として、回動部41の回動に伴い上下動するものを挙げているが、支持突起は通水部材を支持する部位が上下動可能なものであればよく、この構成に限定されるものではない。従って、例えば、一端部において通水部材を支持するとともに、他端部が水平方向に沿って延びる軸を回転軸として回動可能とされた棒状の部材によって支持突起を構成してもよい。また、例えば、配管52の内周面に対する突出量が変化するようにして往復移動可能であるとともに、通水部材を支持する部分が前記移動方向に対し傾斜状をなす支持突起を用いてもよい。この場合、支持突起の移動に伴い、前記傾斜状の部分のうち通水部材を支持する部分の高さが変化することで、通水部材を上下動させることができる。