【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、他のサブシステムから独立して航空機を飛行させるために使用され得る複数のサブシステムを備えている、航空機が、提供される。好ましくは、各サブシステムは、それ自身の制御ユニットを有する。本願では、本発明の航空機は、「冗長航空機」と称され得る。本願では、用語「冗長」は、1つ以上の単一部品もしくは構成要素の障害時、システム全体(航空機または飛行機等)の障害を防止する複製物としての役割を果たすことを意味する。
【0008】
本発明のある実施形態の技術的利点は、既存の航空機の設計を改良または簡略化することを可能にし得る。例えば、設計は、航空機の低時定数、飛行動態、小サイズ、または軽重量等、航空機の具体的特性のより優れた公差、もしくはそこから利点を導出することを可能にし得る。別の例として、これらの設計は、エフェクタ冗長性(例えば、ヘキサコプタおよびオクトコプタ)、三重冗長化/票決システム、またはエフェクタの封入物(例えば、シュラウド、ダクテッドファン)、もしくは障害を防御するパラシュートを頼るもの等の現在のシステムより少ない質量を要求し、より少ない設計制約および固有の限界に直面し得る。別の例として、これらの設計は、同様のレベルの冗長性を達成するためにより少ないエフェクタを要求し得、それは、航空機内で使用される多くの種類のエフェクタに対して重要な効率利得をもたらし得る。
【0009】
本発明のある実施形態の技術的利点は、既存の航空機の安全性または信頼性の増加を可能にし得る。例えば、本発明は、衝突、機械的もしくは電気障害、電子機器の故障、オペレータエラー、または風もしくは乱気流等の悪環境条件から生じるリスクを最小化すること、または排除することを可能にし得る。本発明はまた、制御の完全損失を伴う壊滅的障害ではなく、性能の許容できる低下を可能にすることによって、障害の影響を軽減し得る。
【0010】
本発明のある実施形態の他の技術的利点は、航空機が、概ねまたは完全に、障害の検出を自動化し、代替緊急制御モードに切り替えることによって、概ねまたは完全に障害への応答を自動化することを可能にし得る。これは、例えば、自律的緊急着陸を安全に実行することができる航空機の作成を可能にし得る。別の例として、これは、人間操縦者によって制御困難または不可能であろう低下飛行モードで動作する、航空機を作成することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、そのような低下飛行モードは、航空機上で利用可能なエフェクタ、センサ、または計算リソースの一部を使用し得る。
【0011】
本発明のある実施形態のさらに他の技術的利点は、信頼性を増加させることによって、安全性を増加させることによって、多種多様な動作条件もしくは環境における航空機の使用を可能にすることによって、または経験豊富な人間操縦者によって現在行われているあるタスクの部分的または完全自動化を可能にすることによって、新しい用途のための航空機の使用を可能にし得る。人間操縦者の必要性は、多くの用途において、特に、費用有効性、可能な動作条件、および航空機の飛行耐久性を著しく限定する。例えば、経験豊富な人間操縦者でさえ、風の乱れ等の多くの実世界動作条件において安全かつ効率的制御を保証することができない。
【0012】
本発明のある実施形態のさらに他の技術的利点は、種々の状況における種々の用途の具体的必要性に対して調整されることを可能にし得る。例示的用途として、危険もしくは反復タスクを要求し得る、公共インフラの検査および監視、産業もしくは公共サービス用途(例えば、産業用地の監督および監視施設、写真測量、調査)、専門的航空写真もしくは映画撮影、空輸による積荷の輸送もしくは配達、音楽および光に合わせた演出を含む舞台公演、舞台俳優との相互作用を要求する劇場公演、趣味用プラットフォーム、飛行プラットフォームを積極的に研究する、もしくはそのカリキュラムの一部としてそれらを使用するグループのための研究用プラットフォーム、または生存性、電力自律性、検出能力、もしくは極限条件(天候、照明条件、汚染)における動作等の要件を伴う防衛用途が挙げられる。特に、ある技術的利点は、本発明が広範囲のセンサを装備することを可能にする。例えば、赤外線センサは、果樹園内の乾燥地の区画の検出または作物監視のための実施形態を可能にする。
【0013】
本発明のある実施形態のさらに他の技術的利点は、コストを削減することを可能にし得る。例えば、航空機は、概ねまたは完全に同じサブシステムから構築され、縮小設計、生産、試験、および複数の異なるシステムの使用に関連付けられた他のコストに起因して、コスト節約を可能にし得る。
【0014】
本発明のさらなる技術的利点は、以下の図、説明、および請求項から当業者に容易に明白であろう。さらに、具体的利点が上で挙げられたが、種々の実施形態は、挙げられた利点の全て、一部を含むことも、全く含まないこともあり、列挙された利点は、本発明の使用のために必要なものとして見なされるべきではない。
【0015】
本発明の第1の側面によると、飛行するように動作可能な航空機であって、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有する、航空機が、提供される。第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタとを備え得る。第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタとを備え得る。第1および第2のサブシステムは、第1または第2のサブシステムが、他のサブシステムの1つ以上のエフェクタに頼らずに、航空機を飛行させるために選択的に使用されることができるように構築され、配置され、動作可能であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、航空機は、1つのサブシステムのみを用いて飛行させられる。
【0017】
一実施形態では、第1のサブシステムはさらに、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサを備え、第2のサブシステムはさらに、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサを備えている。
【0018】
一実施形態では、航空機はさらに、第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成される。
【0019】
一実施形態では、第1のサブシステムはさらに、第1の電源を備え、第2のサブシステムはさらに、第2の電源を備えている。
【0020】
一実施形態では、航空機は、第1および第2のサブシステムによって共有される単一電源を備えている。本願では、構成要素が第1および第2のサブシステムによって「共有」されると言われる場合、それは、該構成要素が、第1および第2のサブシステムの両方によって使用されることができることを意味する。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、第1のスイッチと、第1のスイッチを制御するための第1の協調ユニットと、第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の通常動作制御ユニットと、第1の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の緊急制御ユニットとを備えている。いくつかの実施形態では、第1のスイッチは、第1の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成される。いくつかの実施形態では、スイッチは、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、スイッチがいかなる制御信号も第1の1つ以上のエフェクタにパスされないように開放されている第3の位置との間で切り替えられることができる。いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールは、第2のスイッチと、第2のスイッチを制御するための第2の協調ユニットと、第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の緊急制御ユニットとを備えている。いくつかの実施形態では、第2のスイッチは、第2の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成される。いくつかの実施形態では、第2のスイッチは、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第2の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、第2の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第2の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、スイッチがいかなる制御信号も第2の1つ以上のエフェクタにパスされないように開放されている第3の位置との間で切り替えられることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、少なくとも、第1のサブシステム内の障害および第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第1の障害検出ユニットは、第1の協調ユニットに接続され、第1のサブシステム内の障害の検出時、信号(例えば、障害検出信号)を第1の協調ユニットに送信し、第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を第1の協調ユニットに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1のサブシステム内の障害を示す第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第2のサブシステム内の障害を示す第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2の協調ユニットをトリガし、第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールはさらに、少なくとも、第1のサブシステム内の障害および第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第2の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2の障害検出ユニットは、第2の協調ユニットに接続され、第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を第2の協調ユニットに送信し、第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を第2の協調ユニットに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、第2のサブシステム内の障害を示す第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、第1のサブシステム内の障害を示す第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1の協調ユニットをトリガし、第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、少なくとも第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールはさらに、第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の通常動作制御ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2のスイッチがその第2の位置にあるとき、第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされることができる。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1のサブシステム内の障害が検出されたことを示す第1の障害検出ユニットからの信号を受信すると、第1の協調ユニットが、第2の協調ユニットをトリガし、第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、それによって、第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号が、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされ、それによって、第1および第2の1つ以上のエフェクタが、第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号のみによって制御されるように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の障害は、該第1の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害であり、第2のサブシステム内の障害は、該第2の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害である。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムは、1つ以上の通信チャネルを介して動作可能に接続される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、通信チャネル内の障害が検出されると、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、通信チャネル内の障害が検出されると、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、第1のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1の協調ユニットが所定の期間内に第2の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、第2の協調ユニットが所定の期間内に第1の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、航空機が第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、第1のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムは、マスタ−スレーブ構成で配置され、第1のサブシステムは、マスタであり、第2のサブシステムは、スレーブである。
【0029】
ある実施形態では、航空機はさらに、第3の飛行モジュールと、第1または第2もしくは第3のサブシステムの各々が、他の2つのサブシステムの1つ以上のエフェクタに頼らずに、航空機を飛行させるために選択的に使用され得るように、航空機に飛行させるために十分な第3の力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタとを備え得る第3のサブシステムを備えている。
【0030】
一実施形態では、第3のサブシステムはさらに、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサを備えている。一実施形態では、航空機はさらに、第1、第2、および第3のサブシステムによって共有される少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成される。
【0031】
一実施形態では、第3のサブシステムはさらに、第3の電源を備えている。別の実施形態では、航空機は、第1、第2、および第3のサブシステムによって共有される、単一電源を備えている。
【0032】
いくつかの実施形態では、航空機はさらに、第3のサブシステムを備え、第3のサブシステムは、航空機に飛行させるために十分な力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタと、第3のスイッチを備えている第3の飛行モジュールと、第3のスイッチを制御するための第3の協調ユニットとを備えている。いくつかの実施形態では、第3のスイッチは、第3の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成される。いくつかの実施形態では、第3のスイッチは、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第3の1つ以上のエフェクタにパスする、または第2の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第3の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第3の1つ以上のエフェクタにパスすることが可能な第2の位置と、スイッチがいかなる制御信号も第3の1つ以上のエフェクタにパスされないように開放されている第3の位置との間で切り替えられることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチは、4つの位置、すなわち、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、第1のサブシステムの第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、第1のサブシステムの第2の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第3の位置と、いかなる制御信号も第1の1つ以上のエフェクタにパスされないようにスイッチが開放される第4の位置とを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、第3の飛行モジュールはさらに、少なくとも第3のサブシステム内の障害を検出するように構成される第3の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第3の障害検出ユニットは、第3の協調ユニットに接続され、第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を第3の協調ユニットに送信し、第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を第1の協調ユニットに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、第3の協調ユニットは、第3のサブシステム内の障害を示す第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、第3のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。いくつかの実施形態では、第3の協調ユニットは、第3のサブシステム内の障害を示す第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号が、第1のサブシステムの第1の1つ以上のエフェクタ、および第2のサブシステムの第2の1つ以上のエフェクタにパスされるように、第1の協調ユニットをトリガし、第1のスイッチをその第2の位置に切り替えるように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムはさらに、第1の1つ以上のセンサからの出力をそれぞれの所定の値と比較し、該第1の1つ以上のセンサからの出力が該それぞれの所定の値と等しくない場合、障害が第1または第2のサブシステム内で生じたことを決定する手段を備えている。
【0036】
いくつかの実施形態では、航空機は、航空機の移動の1つ以上の特性を感知するように動作可能な1つ以上のセンサを備えている。いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、航空機に所定の様式で移動させる所定の制御信号を第2の1つ以上のエフェクタに選択的に送信可能なように構成される。いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、1つ以上の出力を1つ以上のセンサから受信し、それらの受信された出力を使用して、航空機が該所定の様式で移動しているかどうかを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、第1の飛行モジュールが航空機が該所定の様式で移動していないことを決定する場合、第2のサブシステム内の障害が生じたことを決定するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、航空機は、モジュール式であるように構成される。機体は、少なくとも、第1のサブシステムを備えている第1のモジュールと、第2のサブシステムを備えている第2のモジュールとを備え得る。第1および第2のモジュールは、第1および第2のモジュールが選択的に機械的に互いに取り付けられることを可能にする接続手段を備え得る。第1および第2のモジュールはまた、互いから選択的に取り外され得る。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムおよび第2のサブシステムの各々は、第1および第2のサブシステムが機械的に取り外し可能に接続可能なように構成される接続手段を備えている。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の1つ以上のエフェクタは、第1の方向に回転するように構成されるプロペラを備え、第2の1つ以上のエフェクタは、第1の方向と反対の第2の方向に回転するように構成されるプロペラを備えている。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の1つ以上のエフェクタは、選択的に、航空機に飛行させるために十分な第1の力を発生させるために動作可能であり、かつ第1のトルクを発生させるために動作可能であり、第2の1つ以上のエフェクタは、選択的に、航空機に飛行させるために十分な第2の力を発生させるために動作可能であり、かつ第2のトルクを発生させるために動作可能である。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムは、第2のトルクなしに、外部基準系に対して結果として生じる第1の力の方向の向きを制御するために選択的に使用可能であり、第2のサブシステムは、第1のトルクなしに、外部基準系に対して結果として生じる第2の力の方向の向きを制御するために選択的に使用されることができる。
【0040】
ある実施形態では、航空機はさらに、コスチュームが取り付けられることが可能な支持構造を備えている。好ましくは、支持構造は、機体から半径方向に延びているアーム部材を備えている。
【0041】
ある実施形態では、航空機はさらに、支持構造に取り付けられているコスチュームを備えている。本実施形態は、特に、舞台公演等のエンターテインメント用途のために有用である。そのような用途では、航空機は、舞台上で飛行させられ、したがって、コスチュームを飛行させ得る。例えば、支持構造に取り付けられる航空機のコスチュームがランプシェードである場合、飛行する航空機は、ランプシェードが飛行している印象を観客に与えるであろう。航空機の支持構造に取り付けられるコスチュームは、任意の好適な形状または構成をとり得ることを理解されたい。
【0042】
ある実施形態では、航空機はさらに、機体上に搭載され、該コスチューム上に入射するように、光が機体から放射するように配置される、1つ以上の光源(LED等)を備えている。このように、光源は、コスチュームを照らし出すであろう。好ましくは、光源は、コスチュームの内側表面上に入射する、光を放射し得るように位置付けられる。
【0043】
本発明のさらなる側面によると、飛行するように動作可能な航空機が、提供される。航空機は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有し、第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタとを備え、第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタとを備え、航空機はさらに、第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成され、したがって、第1または第2のサブシステムは、他のサブシステムの1つ以上のエフェクタに頼らずに、航空機を飛行させるために選択的に使用可能である。該航空機は、先行段落に説明される特徴のいずれかを有し得ることを理解されたい。
【0044】
いくつかの実施形態では、飛行モジュールは、障害を識別するように構築および配置され、または動作可能であり、障害は、エフェクタによって生成されるトルクまたは推力に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、飛行モジュールは、障害の識別に応答して、以下のステップ、すなわち、(1)所定の基準系に対する航空機の主軸の向きの推定値を計算するステップであって、該主軸は、該航空機が飛行するときに回転する軸である、ステップと、(2)該航空機の角速度の推定値を計算するステップと、(3)該所定の基準系に対する該航空機の主軸の該向きの推定値および航空機の角速度の該推定値に基づいて、航空機のエフェクタのうちの1つ以上のものを制御するステップとを実施する。航空機のエフェクタのうちの1つ以上のものを制御するステップは、(a)該1つ以上のエフェクタが、集合的に、該主軸に沿ったトルクおよび該主軸と垂直なトルクを生成し、(i)該主軸に沿ったトルクが該航空機を該主軸の周りに回転させ、(ii)該主軸と垂直なトルクが該航空機を移動させ、したがって、該主軸の向きが該所定の基準系に対する標的向きに収束するように、かつ(b)該1つ以上のエフェクタが、個々に、該主軸に沿って推力を生成するように行われ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、航空機は、冗長航空機、すなわち、その部品のうちの1つ以上のものの障害時、機体の障害を防止するための複製物としての役割を果たす部品を有する機体である。いくつかの実施形態では、航空機は、第1の電源、第1のセンサ、第1のエフェクタ、および第1の飛行モジュールを備えている第1のサブシステムと、第2の電源、第2のセンサ、第2のエフェクタ、および第2の飛行モジュールを備えている第2のサブシステムと、第1の信号を第1のサブシステムから第2のサブシステムに伝送するように構築および配置される第1の通信チャネルとを備えている。いくつかの実施形態では、第1の電源、第1のセンサ、第1のエフェクタ、第1の飛行モジュール、および第1の通信チャネルは、第1のサブシステムに取り付けられ、第2の電源、第2のセンサ、第2のエフェクタ、第2の飛行モジュール、および第1の通信チャネルは、第2のサブシステムに取り付けられ、第1および第2のサブシステムは、堅く取り付けられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の信号は、第2のサブシステムのエフェクタのための第1のサブシステムによって発生させられる制御信号を備えている。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2のサブシステムは、第2のサブシステムのエフェクタのための第1のサブシステムによって発生させられる制御信号が、第2のサブシステムのエフェクタに向かわせられるかどうかを切り替えるように構築および配置される、スイッチを備えている。
【0048】
いくつかの実施形態では、航空機は、第2の信号を第2のサブシステムから第1のサブシステムに伝送するように構築および配置される第2の通信チャネルを備えている。いくつかの実施形態では、この第2の信号は、第1のサブシステムのエフェクタのための第2のサブシステムによって発生させられる制御信号を備えている。
【0049】
いくつかの実施形態では、第2の通信チャネルは、第2の信号を第1のサブシステムから第2のサブシステムに伝送するように構築および配置される。いくつかの実施形態では、この第2の信号は、第2のサブシステムのエフェクタのための第1のサブシステムによって発生させられる制御信号を備えている。いくつかの実施形態では、第1の通信チャネルを通して送信される一部または全ての信号は、第2の通信チャネルを通して送信される一部または全ての信号と同じである。
【0050】
いくつかの実施形態では、航空機は、第1および第2の協調ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタのための制御信号を備えている第1の信号を、第1の通信チャネルを介して、第2の協調ユニットに送信するように構築および配置される。いくつかの実施形態では、第2の通信チャネルは、第1の通信チャネルの冗長チャネルであり、第1の協調ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタのための制御信号を備えている第1の信号を、第2の通信チャネルを介して、第2の協調ユニットに送信するように構築および配置される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第2のサブシステムのエフェクタのための制御信号を備えている第2の信号を、第2の通信チャネルを介して、第2の協調ユニットから受信するように構築および配置される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1のセンサのうちの少なくとも1つおよび第2のセンサのうちの少なくとも1つは、航空機の内部量を表すデータを感知し、第1のセンサのうちの少なくとも1つおよび第2のセンサのうちの少なくとも1つは、外部基準系に対する航空機の相対的位置、相対的向き、または相対的速度を表すデータを感知する。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムのエフェクタのうちの少なくとも1つおよび第2のサブシステムのエフェクタのうちの少なくとも1つの各々は、航空機に対して固定される回転軸を有し、各々は、トルクおよび推力の両方を同時に生成するように構築および配置される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムの各々は、自給式である。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムの各々は、マルチコプタである。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、第1および第2の制御ユニットを備え、第2の飛行モジュールはさらに、第3の制御ユニットを備えている。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の制御ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタおよび第2のサブシステムのエフェクタのための制御信号を提供するように構築および配置される通常動作制御ユニットであり、第2の制御ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタのための制御信号を提供するように構築および配置される、第1の緊急制御ユニットであり、第3の制御ユニットは、第2のサブシステムのエフェクタのための制御信号を提供するように構築および配置される第2の緊急制御ユニットである。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、第1のサブシステムのエフェクタを使用して、所定の基準系に対する主方向の向きを制御するように構築および配置される第1の緊急制御ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールはさらに、第2のサブシステムのエフェクタを使用して、所定の基準系に対する二次方向の向きを制御するように構築および配置される第2の緊急制御ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、主方向は、第1のサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向であり、二次方向は、第2のサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向である。いくつかの実施形態では、主方向は、二次方向に相当する。
【0058】
いくつかの実施形態では、各サブシステムのエフェクタは、ホバリング時、航空機を回転させるトルクを集合的に生成するように構築および配置される。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムはさらに、4つのエフェクタを備え、該第1のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1の巻き方を伴って回転するように構築および配置され、該第1のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1と異なる第2の巻き方を伴って回転するように構築および配置され、第2のサブシステムはさらに、4つのエフェクタを備え、該第2のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1の巻き方を伴って回転するように構築および配置され、該第2のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1と異なる第2の巻き方を伴って回転するように構築および配置される。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1のセンサのうちの少なくとも1つは、MEMSジャイロスコープ、MEMS加速度計、圧電ジャイロスコープ、および圧電加速度計のうちの1つである。いくつかの実施形態では、第2のセンサのうちの少なくとも1つは、MEMSジャイロスコープ、MEMS加速度計、圧電ジャイロスコープ、および圧電加速度計のうちの1つである。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1および第2のセンサのうちの少なくとも2つは、同一タイプである。
【0062】
いくつかの実施形態では、航空機は、第1のサブシステム内の障害を検出するように構築および配置される第1の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、航空機は、第2のサブシステム内の障害を検出するように構築および配置される第2の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第1の障害検出ユニットは、第1のサブシステムおよび第2のサブシステム内の障害を検出するように構築および配置される。ある実施形態では、障害検出ユニットは、同一サブシステムまたは別のサブシステムからの信号へのアクセスを有する。これらは、センサの信号(例えば、センサ読み取り値)、電力ユニットの信号(例えば、バッテリ負荷、バッテリ充電、エラーコード)、エフェクタの動作を表す信号(例えば、1分あたりの回転数またはエフェクタもしくはそのモータコントローラによって提供され得るようなモータ電流)、および通常動作制御ユニットによって発生させられるハートビート信号を含み得る。いくつかの実施形態では、信号は、サブシステムの協調ユニット、スイッチ、および通信チャネルを介して転送され得る。障害検出ユニットは、次いで、これらの信号を公称動作の間に予期され得るもの(例えば、所定のセンサ読み取り値範囲、制御入力または動作状態に依存するモータ電流に対して予期される値、モータ応答のモデル、過去の信号の統計)と比較し得る。
【0063】
本発明のさらなる側面によると、航空機を制御する方法であって、航空機は、前述の航空機のいずれか1つによる航空機であり、方法は、
(1)第1のサブシステムにおいて、第1および第2のサブシステムのエフェクタのための第1の制御信号の組を計算するステップと、
(2)第1の制御信号の組をエフェクタの第2のサブシステムに通信するステップと、
(3)第1または第2のサブシステム内の障害を検出するステップと、
(4)航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出されたサブシステムのエフェクタを無効にするステップと
を含む、方法が、提供される。
【0064】
方法は、航空機が他のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、障害が検出されたサブシステムを無効にすることを含み得る。本実施形態では、障害が検出されたサブシステムを無効にすることは、サブシステムのエフェクタを無効にし、好ましくは、該サブシステムに専用の他の構成要素の全ても無効にするであろう。
【0065】
方法は、障害を被らなかったサブシステムにおいて、第2の制御信号の組を計算するステップを含み得、第2の制御信号の組は、該サブシステムのエフェクタのみを制御する。
【0066】
本発明の別の側面によると、航空機のための方法であって、方法は、(1)第1の自給式サブシステムの第1の飛行モジュールで第1のエフェクタ制御信号の組を計算するステップと、(2)第1のエフェクタ制御信号の組を第2の自給式サブシステムの第2の飛行モジュールに通信するステップと、(3)第1または第2のサブシステム内の障害を検出するステップと、(4)障害によって影響されるサブシステムを無効にするステップと、(5)障害によって影響されないサブシステム内において、障害によって影響されないサブシステムのために、障害によって影響されないサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向の向きを制御する第2のエフェクタ制御信号の組を計算するステップを含む、方法が、提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、障害によって影響されないサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向の向きは、航空機が自律的に着陸するように調節される。
【0068】
いくつかの実施形態では、各サブシステムの第1の1つ以上のエフェクタは、(a)主軸に沿ったトルクおよび主軸と垂直なトルクを集合的に生成することであって、(i)主軸は、緊急制御ユニットの制御下、航空機が飛行するときにその周りに回転する方向であり、(ii)該主軸に沿ったトルクは、航空機に主軸の周りに回転させ、(iii)主軸と垂直なトルクは、主軸の向きが所定の基準系に対する標的向きに収束するように航空機を移動させる、ことと、(b)個々に、主軸に沿って推力を生成することとを行うように動作可能であるように構築および配置される。
【0069】
いくつかの実施形態では、各サブシステムは、別のサブシステムを無効にするように構築および配置される。
【0070】
いくつかの実施形態では、各サブシステムは、別のサブシステムのプロペラ、フラップ、またはエアフォイルなしに、航空機を飛行させるように構築および配置される。言い換えると、各サブシステムは、そのサブシステムのみに属するプロペラ、フラップ、またはエアフォイルのみを使用して、航空機を飛行させるように構築および配置される。
【0071】
本発明/用途では、以下が検討される。
(航空機)
好ましくは、航空機は、複数のエフェクタを伴う、飛行またはホバリング可能であり、小型、軽量、無人、かつ空気より重い航空機である。例として、1人で持ち運びできるように十分に小さい超小型UAVまたは小型UAV(SUAV)が挙げられる。典型的サイズは、50cm〜3mに及ぶ。典型的重量は、500g〜35kgに及ぶ。
【0072】
航空機は、1つの電源と、1つのセンサと、1つの飛行モジュールと、1つのエフェクタとを備えている。いくつかの実施形態では、航空機は、複数の電源、センサ、飛行モジュール、またはエフェクタを備えている。
【0073】
(サブシステム)
サブシステムは、航空機の電源、センサ、飛行モジュール、およびエフェクタのサブセットであり得る。一実施形態では、航空機は、複数のサブセットを備え、各サブセットは、少なくとも1つの電源と、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタとを備えている。一実施形態では、複数のサブセットの各々は、異なるサブシステムを画定する。
【0074】
いくつかの実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの電源と、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタとを有する。一実施形態では、航空機は、少なくとも2つのサブシステムを備えている。いくつかの実施形態では、サブシステムの各々は、各サブシステムが他のサブシステムから独立して航空機を飛行させるために選択的に使用されることができるように、航空機を飛行させるために要求されるありとあらゆる構成要素を有し得る。いくつかの実施形態では、サブシステムの各々は、緊急動作のために要求されるありとあらゆる構成要素を有し得る。
【0075】
他の実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタとを有する。随意に、本実施形態では、複数のサブシステムは、少なくとも1つのセンサを共有し得るか、または少なくとも1つの電源を共有し得る。
【0076】
他の実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタと、少なくとも1つのセンサとを有する。随意に、本実施形態では、複数のサブシステムは、少なくとも1つの電源を共有し得る。
【0077】
他の実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタと、少なくとも1つの電源とを有する。随意に、本実施形態では、複数のサブシステムは、少なくとも1つのセンサを共有し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、サブシステムは、互いから分離される。例えば、いくつかの実施形態では、サブシステムは、電磁的に遮蔽され得、異なる印刷回路基板(PCB)上に物理的に位置し得、電気的に絶縁され得、別個の筐体内にあり得、構造要素の異なる部品上に搭載され得、またはペイロードの異なる部品に取り付けられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム(時として、マスタ)および第2のサブシステム(時として、スレーブ)が、使用される。
【0080】
(マスタ/スレーブサブシステム)
マスタサブシステムは、通常飛行動作中(すなわち、障害の不在下での飛行動作)使用されるサブシステムである。いくつかの実施形態では、マスタサブシステムは、航空機のエフェクタの全てのための制御信号を提供する。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムは、対応するマスタ飛行モジュールを伴うマスタとして構成され、他のサブシステムは、対応するスレーブ飛行モジュールを伴うスレーブとして構成される。
【0081】
スレーブサブシステムは、緊急飛行動作中(すなわち、障害の存在下での飛行動作)に使用され得る。いくつかの実施形態では、スレーブサブシステムは、通常動作中に使用される。そのような構成は、例えば、構成をメモリユニット内に記憶することによって;スイッチ、ジャンパ、もしくははんだブリッジを用いた電気回路内の変更を通して;または、始動時に向き情報を提供する加速センサ等の2つ以上のサブシステムの区別を可能にするセンサ信号の使用を通して、達成され得る。いくつかの実施形態では、スレーブサブシステムまたはスレーブサブシステムの一部は、通常飛行動作中、使用され得る。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、航空機は、以下の複製構成要素(すなわち、サブシステムあたり少なくとも1つの構成要素):少なくとも2つのエフェクタと、少なくとも2つの電源と、少なくとも2つの飛行モジュールと、少なくとも2つのセンサと、少なくとも2つの通信チャネルとを備えている。例えば、一実施形態では、航空機は、以下を備え得る。
・ 少なくとも1つのエフェクタを有する第1のサブシステム+少なくとも1つのエフェクタを有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つの電源を有する第1のサブシステム+少なくとも1つの電源を有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つの飛行モジュールを有する第1のサブシステム+少なくとも1つの飛行モジュールを有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つのセンサを有する第1のサブシステム+少なくとも1つのセンサを有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つの通信チャネルを有する第1のサブシステム+少なくとも1つの通信チャネルを有する第2のサブシステム。
【0083】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムは、2つ、3つ、または4つのエフェクタを備えている。いくつかの実施形態では、第2のサブシステムは、2つ、3つ、または4つのエフェクタを備えている。
【0084】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエフェクタ、電源、飛行モジュール、センサ、または通信チャネルは、2つ以上の異なるサブシステムによって共有され得る。本願では、構成要素が2つ以上のサブシステムによって「共有」されると言われる場合、該構成要素は、2つ以上のサブシステムによって使用されることができる。例えば、それは、構成要素が、2つ以上のサブシステムによって同時に使用可能であること、または構成要素が、必要に応じて、2つ以上のサブシステムのうちの1つのみによって使用されることができることを含む(後者の場合、2つ以上のサブシステムは、該構成要素を連続的に使用し得る)
【0085】
例えば、航空機は、少なくとも1つの第1のエフェクタ、少なくとも1つの第1の飛行モジュール、少なくとも1つの第1のセンサ、および少なくとも1つの第1の通信チャネルを有する第1のサブシステムと、少なくとも1つの第2のエフェクタ、少なくとも1つの第2の飛行モジュール、少なくとも1つの第2のセンサ、および少なくとも1つの第2の通信チャネルを有する第2のサブシステムとを備え得、航空機は、第1および第2のサブシステムが単一電源を共有するように、第1および第2のサブシステムの両方に給電する単一電源を備え得る。
【0086】
一実施形態では、電源は、第1または第2のサブシステムのいずれかのみに接続される。本実施形態では、電源は、電源がサブシステムのうちの1つのみに給電するように、第1または第2のサブシステムのいずれかに選択的に接続されることができる。単一電源は、第1のサブシステムへの接続から第2のサブシステムへの接続およびその逆に切り替えられることもできる。
【0087】
いくつかの実施形態では、単一電源は、冗長電源または二重電源(例えば、外部に単一電源として見える、2つの別個の電源を備えている)であり得る。そのような構成の例は、同一出力に並列に接続される2つのバッテリであり、各バッテリは、ダイオードを通して直列に接続される。第2の例は、無停電電力供給源として構成されるバッテリを伴う発電機である。
【0088】
本願では、第1および第2のサブシステムが電源を共有するとき、それは、第1および第2のサブシステムが電力を電源から同時に受信すること、または第1もしくは第2のサブシステムのいずれかのみが電力を電源から受信し得ることを意味する。電源は、電力を第1または第2のサブシステムのいずれかのみに提供するように選択的に切り替えられることができる。
【0089】
別の例では、航空機は、少なくとも1つの第1のエフェクタ、少なくとも1つの第1の飛行モジュール、少なくとも1つの第1のセンサ、および少なくとも1つの第1の電源を有する第1のサブシステムと、少なくとも1つの第2のエフェクタ、少なくとも1つの第2の飛行モジュール、少なくとも1つの第2のセンサ、および少なくとも1つの第2の電源を有する第2のサブシステムとを備え得、航空機は、第1および第2のサブシステムが単一通信チャネルを共有するように、第1および第2のサブシステムの両方に接続される単一通信チャネルを備え得る。
【0090】
本願では、第1および第2のサブシステムが単一通信チャネルを共有するとき、それは、第1および第2のサブシステムが単一通信チャネルに同時に接続され、単一通信チャネルを経由して同時に通信し得ること、または第1もしくは第2のサブシステムのいずれかのみが単一通信チャネルを経由して通信し得ることを意味する。後者の場合、一実施形態では、第1または第2のサブシステムは、そのサブシステムのみがメッセージを単一通信チャネルを経由して他のサブシステムに通信し得るように、単一通信チャネルに選択的に接続されることができる。
【0091】
別の実施形態では、航空機の第1および第2のサブシステムは、センサを共有し得る。これは、サブシステムの各々が、データ(センサ読み取り値等)をセンサから受信し得ることを意味する。サブシステムの各々は、それらが共有センサから受信されたデータを処理または使用し得る。
【0092】
別の例では、航空機は、少なくとも第1のエフェクタ、少なくとも第1の飛行モジュール、および少なくとも第1のセンサを有する第1のサブシステムと、少なくとも1つの第2のエフェクタ、少なくとも1つの第2の飛行モジュール、および少なくとも1つの第2のセンサを有する第2のサブシステムとを備え得、航空機は、第1および第2のサブシステムの両方に接続される少なくとも1つの通信チャネルと、第1および第2のサブシステムの両方に接続される単一電源と、第1および第2のサブシステムの両方に接続される少なくとも第3のセンサとを備え、それによって、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサは、第1および第2のサブシステムによって共有される。本願では、第1および第2のサブシステムが、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサを共有するとき、それは、第1および第2のサブシステムが、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサに同時に接続され、通信チャネルを経由して、同時に通信し、電力を単一電源から同時に受信し、第3のセンサと同時に通信し得ること、または、第1または第2のサブシステムのいずれかのみが、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサに接続され、それによって、サブシステムのうちの1つのみが、他のサブシステムから排他的に、通信チャネルを経由して他のサブシステムに通信し、電力を単一電源から受信し、第3のセンサと通信し得ることを意味する。
【0093】
いくつかの実施形態では、センサは、冗長または組み合わせられたセンサであり得る。そのような構成の例は、2つ以上のカメラを伴う二重カメラシステムである。別の例は、各センサが他方の欠陥を補償するようにタンデムで使用されるソナーおよび赤外線センサの組み合わせである。別の例は、IMU対応GPSデバイスである。いくつかの実施形態では、センサは、RGBカメラ、深度センサ、マルチアレイマイクロホン、もしくは明視野センサのうちの1つまたはそのうちの1つ以上のものの組み合わせであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、サブシステムは、低下飛行性能において航空機を動作させるように構築および配置される。いくつかの実施形態では、サブシステムは、その公称推力、揚力、またはトルクの80%、50%、もしくは20%のみを用いて航空機を動作させるように構築および配置される(以下の導出参照)。いくつかの実施形態では、サブシステムは、航空機のエフェクタのうちの1つを使用せずに、航空機のセンサのうちの1つを使用せずに、航空機の電源のうちの1つを使用せずに、または航空機の飛行モジュールのうちの1つを使用せずに、航空機を動作させるように構築および配置される。
【0095】
(サブシステムの分解)
別の実施形態では、航空機は、互いに選択的に取り付けられ、または取り外され得る複数のサブシステムを備え得る。例えば、クワドロコプタの実施形態の場合、取り外しは、各々が2つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムをもたらし得る。例えば、航空機は、モジュール式である(すなわち、複数のモジュールを備えている)ように構成され得る。航空機はさらに、複数のモジュールが互いに除去可能に取り付けられることを可能にする取り付け手段を備え得る。例えば、航空機は、第1のサブシステムを備えている第1のモジュールと、第2のサブシステムを備えている第2のモジュールを備え得、第1および第2のモジュールは、互いに取り付けられ得る。例えば、第1のモジュールは、2つのエフェクタを備えている第1のサブシステムを備え得、第2のモジュールは、別の2つのエフェクタを備えている第2のサブシステムを備え得、第1および第2のモジュールは、互いに取り付けられ、クワドロコプタを形成し得るか、または第1および第2のモジュールは、互いに取り付けられ、2つのマルチコプタ(すなわち、各々が2つのエフェクタを有する2つのマルチコプタ)を提供し得る。これは、例えば、容易な保管、輸送、または破損したサブシステムの容易な交換のために有用であり得る。
【0096】
(自給式サブシステム)
自給式サブシステムは、航空機である。いくつかの実施形態では、自給式サブシステムは、ホバリング可能である。いくつかの実施形態では、自給式サブシステムは、低性能飛行可能である。
【0097】
(低性能飛行)
低性能飛行は、障害後の低下飛行性能である。低性能飛行は、低下制御支配力をもたらし得る。例えば、オーバーヒートしたバッテリは、エフェクタに利用可能な電力の低下をもたらし得る。別の例として、第1のサブシステムの障害は、航空機のエフェクタの半分のみを有し得る、第2のサブシステムを用いた飛行を要求し得る。低性能飛行は、低下自由度をもたらし得る。例えば、1つ以上の破損したエフェクタを伴う、クワドロコプタもしくはヘキサコプタは、ヨーにおいてもはや完全に制御可能ではなくなり得る。低性能飛行は、航空機の制御を人間操縦者に対して非常に困難にし得る。例えば、ヨーにおいて部分的にのみ制御可能になる航空機は、手動で飛行させられるにはあまりにも複雑であり得る。別の例として、低性能飛行における航空機の時定数は、人間反応時間に対して小さすぎ得る。低性能飛行は、異なる制御法則を要求し得る。例えば、改変された重量分布(例えば、衝突または別の障害の結果として)を伴う航空機は、安定した飛行を達成するために異なるモータ利得を要求し得る。別の例として、部分的に破損したエフェクタは、あまり効率的ではなく、故に、同様のレベルの推力を達成するために、異なる制御入力を要求し得る。低性能飛行は、航空機上で利用可能なエフェクタ、センサ、または計算リソースの一部を使用し得る。
【0098】
(ホバリング、基準系)
ホバリング可能な航空機は、航空機の外部の基準系に対する空間内のある点において、標的位置をほぼ達成し、維持することが可能である。空間内の航空機の場所は、典型的には、所定の基準系内に画定され、ある固定された点を基準として、位置および並進運動速度によって説明され得る。所定の基準系の例として、ある目印に固定される原点を伴う、「東−北−上」系が挙げられる。航空機の運動は、通常、慣性基準系を参照することによって説明される。
【0099】
(自律性)
いくつかの実施形態では、航空機は、自律的である。いくつかの実施形態では、航空機は、それらの位置または姿勢をホバリング点の周囲に自律的に安定させることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、それらの位置または姿勢を自律的に安定させることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、軌道に自律的に追従することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、第1の通過点から第2の通過点まで自律的にナビゲートすることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、障害物を自律的に回避することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、障害を自律的に検出することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、障害に自律的に応答することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、自律的にナビゲートすることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、所定の操縦を自律的に行うことができる。いくつかの実施形態では、航空機は、緊急制御ユニットを使用して自律的に動作することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、航空機は、それらの機能のうちのいくつかを自律的に行う一方、その他は、人間制御下で行われる。例えば、人間オペレータは、緊急モードのアクティブ化または非アクティブ化を決定し得る。別の例として、航空機およびその協調ユニットまたは緊急制御ユニットの最も好適な動作モードが、人間オペレータによって(例えば、地上制御ステーション上の一連の緊急ボタンのうちの1つを押すことによって)、航空機によって(例えば、その障害状態に応じて)、または2つの組み合わせによって(例えば、全サブシステムの障害状態および人間オペレータのコマンドに応じて)、決定され得る。典型的動作モードの例として、1つまたは全てのサブシステムの即時および完全電源オフ、現在の位置における停止および着陸まで高度の低下、ホーム位置への帰還およびホーム位置における着陸の開始、ならびに現在の位置における停止およびホバリングが挙げられる。
【0101】
(マルチコプタ)
マルチコプタは、概して、それらの各々が少なくとも1つのプロペラを駆動する少なくとも2つの回転子を伴う、飛行するだけではなく、ホバリングも可能な航空機である。回転子およびプロペラまたは複数のプロペラによって形成されるユニットは、以降では、エフェクタと呼ばれる。マルチコプタの典型的配置は、4つ、6つ、または8つのエフェクタを使用し、それらは、それぞれ、一般に、クワドロコプタ、ヘキサコプタ、およびオクトコプタと称され、従来技術において周知であり、広く使用されている。16以上のエフェクタを含み、多くの構成において配置される(例えば、整列軸ならびに傾斜、反転もしくは上反角軸を伴う;個々に配置されるか、または逆回転する;露出されるか、またはダクトもしくは保護シュラウド内に封入される)多くの他の変形例も、使用される。いくつかの変形例は、マルチコプタ構成から翼構成に切り替わることができる航空機を含む。これは、マルチコプタの利点(例えば、離陸、着陸、タスク性能等に好適なホバリング、高敏捷性等)と固定翼飛行機の利点(例えば、長距離を網羅する、または高速を達成するために好適な効率的前進飛行、高滑空比等)の組み合わせを可能にする。
【0102】
機械的単純性の理由から、マルチコプタは、典型的には、固定ピッチブレードを使用し、そのプロペラピッチは、回転中、変動しない。この機械的単純性および結果として生じる構築の容易性は、高敏捷性およびホバリング能力と組み合わせて、マルチコプタを多くの航空用途のために最適なプラットフォームにする。
【0103】
いくつかの実施形態では、冗長航空機は、2つのマルチコプタサブシステムから成る。例えば、冗長クワドロコプタは、各々が2つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムから成り得る。さらなる例として、冗長ヘキサコプタは、各々が3つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムから成り得る(すなわち、各サブシステムは、トリコプタである)。さらなる例として、冗長オクトコプタは、各サブシステムがクワドロコプタであるように、各々が4つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムから成り得る。いくつかの実施形態では、冗長マルチコプタは、3つのサブシステムから成る。例えば、冗長ヘキサコプタは、各々が2つのエフェクタを備えている3つのマルチコプタサブシステムから成り得る。当業者に明白であろうように、本発明の利点を前提として、多くの他の組み合わせが可能である。
【0104】
(エフェクタ)
本発明では、航空機は、エフェクタを装備し得る。エフェクタは、飛行を達成または方向付けるために動作可能な任意の手段である。エフェクタは、任意の好適な構成をとり得る。エフェクタの例として、ヒンジ付きエアフォイル(例えば、補助翼、方向舵、フラップ等)の旋回角度を制御し、気流を向け直すモータおよび線形または回転アクチュエータを伴う、固定ピッチプロペラが挙げられる。いくつかの実施形態では、機械的連結部が、複数のエフェクタを統合するために使用され得る。一般的例として、スウォシュプレート(3つのエフェクタ)およびスウォシュプレート制御式同軸2プロペラ設定(4つのエフェクタ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、発振制御信号が、複数のエフェクタを限定数の機械的自由度から作成するために使用され得る。例として、推力、ロール、およびピッチ支配力(3つのエフェクタ)を伴う低作動式スワッシュプレートレスプロペラを作成するための回転子の回転に関する正弦波制御信号の振幅および位相を変動させることと、推力、ロール、ならびにピッチ(3つのエフェクタ)を制御するための本発明に説明される制御方法とが挙げられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、エフェクタは、航空機に作用する推力およびトルクの両方を生成する。そのようなエフェクタは、典型的には、航空機の本体に対して固定される特性駆動軸(典型的には、推力の方向と同じ)を有することによって特徴付けられる。
【0106】
航空機は、多くの場合、推力発生のためにブラシレスモータを使用し、それは、典型的には、モータコントローラを使用して、この単一変数を所望の回転子速度を達成するために要求される振幅、波形、および周波数に変換する。そのようなモータコントローラは、典型的には、3つの双方向性出力(すなわち、周波数によって制御される3つの位相出力)を含み、それらは、論理回路によって制御されるが、追加のセンサおよび電子機器を伴うより複雑な実装を有し、高性能または他の望ましい特性を達成することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、気流を発生させる、または向け直すエフェクタ群に属する。いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、接合部を作動させるエフェクタ群に属する。いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、回転または線形アクチュエータ群に属する。
【0108】
いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、航空機の本体に堅く取り付けられ;その回転子ピッチがブレードが回転するにつれて変動しない固定ピッチプロペラブレードを装備し;トルクおよび推力の両方を生成するように動作可能であり;または、航空機を飛行させることができる推力または揚力に寄与するように構築および配置される。
【0109】
(電源)
本発明では、航空機は、1つ以上の電源を備え得る。電源は、任意の好適な構成をとり得る。電源のための例として、バッテリ、アキュムレータ、内燃機関、タービン、および電力コンデンサが挙げられる。さらなら例として、他の電気および非電気電源が挙げられる。いくつかの実施形態では、各サブシステムは、それ自身の電源を有する。いくつかの実施形態では、電源は、電力を同一サブシステムのセンサ、エフェクタ、および飛行モジュールに供給する。いくつかの実施形態では、電源は、電力を別のサブシステムの構成要素にも供給する。例えば、緊急動作中、電力を別のサブシステムのエフェクタに供給し得る。いくつかの実施形態では、電源は、信号を障害検出ユニットに提供する。例えば、バッテリは、その充電レベルまたはその動作温度に関する情報を提供し得る。
【0110】
(センサ)
本発明では、航空機はさらに、(a)サブシステムの構成要素(例えば、エフェクタ、電源)を表すデータを提供すること、または、(b)1つ以上のサブシステムの運動を表すデータを提供すること、または、(c)冗長航空機の運動を表すデータを提供することを行うように構築および配置され得る、1つ以上のセンサを備え得る。センサは、1つまたは複数のセンサ信号を発生させ得る。
【0111】
内受容性センサは、システムの内部量を感知する。例として、モータコントローラの温度を感知する熱センサおよびワイヤ内の電流を検出する電流センサが挙げられる。このタイプのセンサは、特に、障害を検出するために有用であり得る。
【0112】
外受容性センサは、外部基準系に対するシステムの状態(すなわち、相対的位置、相対的向き、または相対的速度)を感知する。例として、障害物までの距離を感知する視覚センサおよび磁気北極の方向を感知する磁力計が挙げられる。このタイプのセンサは、特に、自律的飛行のために有用であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、微小電気機械システム(MEMS)または圧電システムが、本発明に概略される冗長性および動作特性を達成することを可能にするために使用される。本発明とともに有用に採用され得るそのような微小センサの例として、MEMSジャイロスコープ、MEMS加速度計、圧電ジャイロスコープ、および圧電加速度計が挙げられる。いくつかの実施形態では、微小センサの使用は、各々が、各サブシステム内において、複数のジャイロスコープおよび加速度計を組み合わせるか、または多軸ジャイロスコープおよび加速度計を使用する1つ以上の慣性測定ユニット(IMU)の使用を可能にする。いくつかの実施形態では、微小センサの使用は、冗長航空機のための特定の特性を達成することを可能にする。例えば、MEMSジャイロスコープは、航空機の姿勢を監視し、航空機の姿勢閾値を超える場合、障害検出ユニットが緊急制御モードをトリガすることを可能にするために使用され得る。別の例として、MEMSジャイロスコープは、その低時定数にかかわらず、小型航空機をホバリング点の周囲で制御するために使用され得る。MEMSセンサは、例えば、従来のセンサと比較してそれらのより軽い重量およびより低い電力消費を含む、利点を有し、それは、航空機に複数のサブシステムを装備するための前提条件であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、各サブシステムは、同一タイプの2つ以上のセンサを使用する。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、同じ量を測定するセンサである。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、同一モデルであるセンサである。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、同一製造業者であるセンサである。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、航空機の同じ状態またはサブ状態を表すデータを提供するセンサである。
【0115】
いくつかの実施形態では、センサは、慣性センサ、距離センサ、または速度センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、カメラ、オプティカルフローセンサ、レーザもしくはソナー距離計、レーダ、気圧計、温度計、湿度計、緩衝器、化学センサ、電磁センサ、気流センサもしくは相対対気速度センサ、超音波センサ、マイクロホン、無線センサ、または赤外線センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、高さ、距離、または範囲センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、相対または絶対位置センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、測位センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、信号のための受信機(例えば、全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機、無線周波数受信機、または赤外線受信機)である。いくつかの実施形態では、センサは、GNSSタイプセンサ、ビジュアルオドメトリ/SLAM、再帰反射測位システム、レーザ距離計、Wi−Fi測位システム、無線周波数測位システム、気圧高度計およびバリオメータ、または超音波センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、MEMSセンサである。
【0116】
(飛行モジュール)
本発明では、航空機は、1つ以上の飛行モジュールを備え得る。飛行モジュールは、プロセッサと、メモリと、信号をセンサから受信し、信号をエフェクタまたは他の飛行モジュールに出力するための通信インターフェースとを備えている電子構成要素(典型的には、印刷回路基板(PCB))である。いくつかの実施形態では、飛行モジュールは、制御ユニット(例えば、通常動作制御ユニット、緊急制御ユニット等)と、協調ユニットと、障害検出ユニットとを含む。いくつかの実施形態では、単一飛行モジュールは、複数の通常動作制御ユニット、緊急制御ユニット、協調ユニット、または障害検出ユニットを備え得る。いくつかの実施形態では、各々が、それ自身のプロセッサ、メモリ、および通信インターフェースを備えている複数の飛行モジュールが、単一PCB上に位置し得る(例えば、製造を簡略化する、または所望の電気挙動を達成するために)。いくつかの実施形態では、飛行モジュールのプロセッサ、メモリ、および通信インターフェースは、複数のPCBにわたり分散させられる(例えば、ある重量分布または性能特性を達成するために)。
【0117】
(協調ユニット/協調信号)
本発明では、該1つ以上の協調ユニットは、複数のサブシステムの動作を協調させるために使用される。
【0118】
協調ユニットは、制御信号、障害検出信号、センサ信号、および協調信号を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、通信チャネルを介して、信号を別の協調ユニットから受信するように構成され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、協調ユニットは、通信チャネルを介して、別の協調ユニットから信号の送信を開始するように構成され得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、信号を障害検出ユニットに送信し得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、制御信号を転送する。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、通常動作制御信号、障害検出信号、センサ信号、または協調信号を伝送もしくは転送し得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、緊急制御信号を伝送または転送し得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の第1の協調ユニットは、通信チャネルを介して、協調信号を第2のサブシステム内の第2の協調ユニットに送信する。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、通信チャネルを介して、制御信号を第2の協調ユニットに転送する。
【0121】
協調ユニットは、スイッチを制御する。協調ユニットは、スイッチを使用して、どの制御信号がどのエフェクタに転送されるかを選択し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、協調ユニットは、障害検出信号を障害検出ユニットから受信する。例えば、第1のサブシステムでは、第1の協調ユニットは、サブシステムのエフェクタのうちの1つに障害が生じたことの障害検出信号を障害検出ユニットから受信し得る。協調ユニットは、次いで、障害を示す協調信号を第2のサブシステムの第2の協調ユニットに送信し得、その信号は、通常動作制御モードを緊急制御モードに切り替えるように第2のサブシステムをトリガし得る。いくつかの実施形態では、このスイッチは、協調ユニットが信号を通常動作制御ユニットおよび緊急制御ユニットに送信することによってトリガされる。いくつかの実施形態では、このスイッチは、通常動作制御ユニットの制御信号の転送から緊急制御ユニットの制御信号の転送に切り替える信号をスイッチに送信することによってトリガされる。
【0123】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の第1の協調ユニットは、制御信号(例えば、通常動作制御信号)を第1のサブシステム内の制御ユニット(例えば、第1の通常動作制御ユニット)から受信するように配置され得、第1の協調ユニットは、次いで、これらの制御信号を第2のサブシステム内の第2の協調ユニットに転送し得、第2の協調ユニットは、次いで、これらの制御信号を第2のサブシステム内の障害検出ユニットに転送し得、これは、次いで、第2のサブシステム内の障害検出ユニットがこれらの信号を第2のサブシステム内の制御ユニット(例えば、第2の通常動作制御ユニット)のそれらと比較し、第1または第2のサブシステム内の障害を検出することを可能にし得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の第1の協調ユニットは、第1のセンサ信号を第1のサブシステム内の第1のセンサから受信するように配置され得、第1の協調ユニットは、次いで、第1のセンサ信号を表す協調信号を第2のサブシステム内の第2の協調ユニットに送信し得、第2の協調ユニットは、次いで、これらの信号を第2のサブシステム内の障害検出ユニットに転送し得、これは、次いで、第2のサブシステム内の障害検出ユニットがこれらの信号と第2のサブシステム内の第2のセンサ信号を比較し、第1または第2のサブシステム内の障害を検出することを可能にし得る。
【0125】
(スイッチ)
スイッチは、1つ以上のエフェクタへの異なる制御信号を転送することを切り替えるために、または選択するために使用され得る。スイッチはまた、1つ以上のエフェクタへの制御信号の組の転送をオンまたはオフに切り替えるために使用され得る(「オン/オフスイッチ」または「オン/オフセレクタ」)。
【0126】
いくつかの実施形態では、マスタおよびスレーブサブシステムの各々は、スイッチを有する。いくつかの実施形態では、スイッチは、1つ以上のエフェクタへの異なる制御ユニット(例えば、通常動作制御ユニット、緊急制御ユニット)からの制御信号を転送することを切り替えるために使用される。いくつかの実施形態では、スイッチは、協調ユニットによって動作させられる。
【0127】
(障害および障害検出ユニット/障害検出信号)
障害検出ユニットは、障害を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、それが一部であるサブシステム内の障害を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、別のサブシステム内の障害を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、通信チャネル内の障害を検出するために使用される。
【0128】
障害検出ユニットは、障害検出信号を発生させる。障害検出信号は、典型的には、障害検出ユニットから協調ユニットに送信される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、協調信号を受信し得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、センサ信号を受信し得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、それ自身のサブシステム内の構成要素もしくはユニット(例えば、協調ユニットを介して、または構成要素もしくはユニットから直接)、または別のサブシステム内の構成要素もしくはユニット(例えば、別のサブシステムの協調ユニット、通信チャネル、およびそれ自身のサブシステムの協調ユニットを介して)の動作状態を示す信号を受信し得る。
【0129】
(障害のタイプ)
ここでは、障害は、構成要素の部分的または完全損失、またはオペレータエラーを意味し得る。例えば、マルチコプタ上で典型的に使用されるプロペラ等のエフェクタの障害は、エフェクタによって生成されるトルクまたは推力の障害を意味し得る。この例に対して、典型的には、損失は、公称推力、揚力、またはトルクの20%〜100%の範囲内である。別の例として、センサの障害は、任意のセンサデータの送達の部分的または完全失敗、範囲外のセンサデータ、他のセンサからのデータに対応しないセンサデータ、またはモデル予測に対応しないセンサデータを意味し得る。別の例として、通信チャネルの障害は、そのチャネルから受信される信号がないこと、所望の範囲、パターン、またはモデルに対応しない信号、または、チェック(例えば、巡回冗長検査)に不合格となった信号を意味し得る。
【0130】
全体的に、今日使用されている多くの小型航空機、特に、マルチコプタは、比較的に単純であり、故に、比較的に安全である(航空機における最良システムは、それを持たないものである。なぜなら、決して故障し得ないからである)。しかしながら、小型航空機の著しい人気に起因して、非常に多数の墜落が、文献で報告されている。全航空機墜落の大半は、エフェクタ障害に起因するものであり、航空機と障害物の衝突をもたらす操縦者エラーは別として、航空機は、典型的には、エフェクタが推力を制御された方法で生成することができなくならない限り、空中に留まる。本発明は、したがって、障害物との衝突を伴ういくつかを含む、全小型航空機墜落の大半の結果を克服または限定することを可能にし得る。文献における最も一般的航空機障害として、以下が挙げられる。
【0131】
1.操縦エラー、風、または乱気流に起因した障害物との衝突に起因する障害。例えば、検査動作中、突風が、航空機を橋に激突させ、破損したプロペラに起因したエフェクタ障害と後続の壊滅的制御の損失および墜落とをもたらす。
【0132】
2.航空機の配線の障害。非常に一般的障害の例として、以下が挙げられる。
− 振動に起因したモータコネクタの抜け。
− はんだ付けされたワイヤの分離。
− プロペラによって切断される緩んだワイヤ。
− 部分的モータ取り付け障害(留めねじの震動緩み、またはアセンブリの材料疲労)によって引き裂かれたワイヤ。
− 不十分なワイヤサイズ、およびワイヤまたははんだ取り付け点の結果として生じるオーバーヒート/溶融。
【0133】
3.航空機のプロペラ取り付け、モータ取り付け、アクチュエータ取り付け、またはフレームの障害。最も一般的障害として、以下が挙げられる。
− 緩んだねじおよびボルト(振動、組立不良、摩耗、材料疲労による緩み)。
− 誤った構成で取り付けられたプロペラ(反時計回り(「プラー」プロペラとも呼ばれる)および時計回りプロペラ(「プッシャ」プロペラとも呼ばれる))。
− 取り付けねじの過緊締。
− 取り付けねじの緊締不足。
− アクチュエータ取り付け障害。
− 破損した翼。
− 穴があいたエアフォイル。
【0134】
4.全モータの適切な平衡不良、全プロペラの適切な平衡不良、および曲がったモータコレットおよびシャフトに起因した障害。このカテゴリは、特に、より大きい航空機における部品の振動および後続の外れの主要な原因である。
【0135】
5.航空機のモータまたはアクチュエータの障害。最も一般的障害は、モータ(例えば、大きすぎるプロペラ)の過負荷および後続オーバーヒート、または粉塵もしくは砂塵における動作から生じる。他の一般的障害として、アクチュエータの不適正なサイズ設計または構成要素劣化が挙げられる。
【0136】
6.航空機の電気または電子構成要素の障害。このカテゴリにおける最も一般的障害は、雨、霧、または高湿度等の湿潤条件下での飛行である。
【0137】
7.航空機の飛行ソフトウェアの障害。例えば、飛行制御コンピュータの不適切なプログラミングまたは航空機重量に対する不適切なモータ利得。
【0138】
8.不適切な遠隔制御構成、特に、逆にもしくは不適切に構成された送信機チャネルによって生じる障害、または基地局と受信機との間の十分に強力な信号の確保不良。
【0139】
9.干渉、最も一般には、電子速度制御(「モータコントローラ」とも呼ばれる)と航空機の受信機との間の干渉によって生じる障害。
【0140】
10.不良ペイロードに起因した障害。
【0141】
11.センサ較正の欠如またはその不完性に起因した障害。
【0142】
12.材料疲労(例えば、疲労亀裂または応力破壊)に起因したプロペラの障害。
【0143】
13.構成要素障害。全ての構成要素は、有限寿命を有し、種々の要因、例えば、熱循環に応じて、種々の速度で劣化する。
【0144】
前述の障害の全てが、直接、エフェクタ障害をもたらすわけではないが、多くは、本発明を使用して、検出または回避され得る。特に、前述の障害のうちの1つに従って、本発明は、障害によって影響される構成要素またはサブシステムを無効にすることによって、かつ障害によって影響されないエフェクタの結果として生じる推力の方向の向きが、航空機が着陸することを可能にするように制御可能であるように、緊急制御ユニットを使用して、障害によって影響されないサブシステムのためのエフェクタ制御信号を計算することによって、航空機墜落を防止することを可能にし得る。
【0145】
種々の方法が、障害が生じたことを検出するために使用されることができる。例として、例えば、航空機上のモデルベースのオブザーバに測定されたデータを監視させ、エラーが観察されることを確率的に検出する(例えば、それぞれ異なる障害モードを表す、カルマンフィルタの集合を利用する)ことによる自動検出が挙げられる。スライディングモードオブザーバ、票決ベースのアルゴリズム、パリティ空間アプローチ、およびパラメータ識別も、使用されることができる。障害はまた、直接、例えば、航空機のエフェクタの回転速度を監視することによって、または航空機のエフェクタが引き込む電流の量を監視することによって、検出され得る。他の例として、航空機を監視し、障害が観察されると、信号を航空機に送信することができる、操縦者を立ち会わせることが挙げられる。
【0146】
いくつかの障害検出方法は、ある遅延後のみ、障害を検出し得、それは、航空機が障害が認識されるときに意図されるものとかけ離れた状態にあり得ることを意味する。障害物との衝突等のあるイベントも、航空機を予期されるものとかけ離れた状態にさせる傾向となるであろう。それにもかかわらず、本発明は、航空機が恣意的初期状態から回復することを可能にし得る。特定の航空機構成(質量、障害によって影響されない残りのエフェクタ等)に応じて、航空機は、障害後、ホバリング点に戻ること、または空間を自由に動き回ることが可能であり得る。代替として、位置を制御する代わりに、開示される発明は、障害後、(例えば)好ましい方法で地面に衝突するように、単に、航空機を向け直すために使用され得る。
【0147】
本発明はまた、操縦者エラーの厳しさを低減させる可能性をもたらし得る。例えば、クワドロコプタの操縦者が、クワドロコプタをある構造物と偶発的に衝突させ、それによって、プロペラのうちの1つを損傷した場合、自動化されたシステム(例えば、障害検出ユニット)は、障害が生じ、航空機のエフェクタのうちのいくつかが障害によって影響を受けていることを検出し得る。システムは、次いで、内部自動操縦(例えば、緊急制御ユニット)に自動的に従事し、利用可能なセンサを利用して、航空機をホバリングさせるか、または航空機を地面に安全着陸させ得る。
【0148】
(障害検出ユニット)
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、第1の信号を第2の信号と比較するように構築および配置される。これは、例えば、障害検出ユニットと2つ以上の同一タイプのセンサを接続することによって達成され得、2つ以上のセンサは、同様の読み取り値を提供するように構築および配置される。これは、例えば、センサをすぐ近くに、好適な相対的向きを伴って、または好適な相対的位置を伴って搭載することによって達成され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、信号を予期される閾値または範囲と比較するように構築および配置される。例えば、障害検出ユニットは、測定値を温度センサから受信し、これらの測定値を固定時間間隔にわたって平均し、平均をメモリから読み出された範囲と比較し、平均値が範囲外である場合、障害検出を報告し得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、単一構成要素または単一サブシステムの障害を検出するように構築および配置される。これは、例えば、特定の軸の周囲の航空機の移動を検出するようにセンサを搭載することによって、軸の周囲の移動を1つ以上のエフェクタの作用にリンクするモデルを使用することによって;および、センサの読み取り値を表すデータを無障害動作のための予期される範囲または閾値と比較するモデルを使用することによって達成され得る。障害検出ユニットは、次いで、センサの読み取り値を表すデータが予期される範囲外にある場合、または閾値を上回る(もしくは下回る)場合、障害を検出する。いくつかの実施形態では、モデルは、エフェクタコマンドまたは制御信号を含み得る。例えば、モデルは、所与のモータコマンドのためのある加速度計読み取り値を予測し得る。モデルの例として、第1原理モデル、ルックアップテーブル、および相関関数が挙げられる。
【0151】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、通信チャネルを介して受信された信号に基づいて、障害を検出するように構築および配置される。例えば、そのセンサから受信され、通信チャネルを介して転送される測定値に基づいて、別のサブシステムの温度センサ内の障害を検出し得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、1つのサブシステムのセンサ信号を使用して、別のサブシステムの動作を監視し得る。例えば、1つのサブシステム内のジャイロスコープは、他のサブシステムのエフェクタによって生じさせられる特定の軸の周囲の航空機の移動を検出するように搭載され得る。第1のサブシステムは、したがって、他のサブシステムの活動を観察し得る。検出された移動は、値によって表され得る。サブシステムは、次いで、値/検出された移動を予期される値と比較する。予期される値は、例えば、モデルによって、または第1のサブシステムの通常動作制御ユニットから協調ユニットおよび通信チャネルを介して他のサブシステムに送信されるモータコマンドに基づいて、予測され得る。値/検出された移動が、予期される値に対応しない場合、これは、障害が生じたことを示す。別の例として、障害の検出は、値/検出された移動が、所定の安全動作範囲内にあるかどうか、または所定の安全変化率内にあるかどうかを決定することによって行われ得る。
【0153】
障害検出ユニットはまた、多数の他の十分に確立された障害検出方法を実装して、障害が生じたかどうかを検出するように、それが受信する信号を評価し得る。例えば、それは、いくつかのセンサからの冗長情報を比較するアルゴリズムを使用し得;それは、予期されない信号停止を検出するためのウォッチドッグ機能性、CRC等のデータ破損チェック、信号範囲チェック、信号閾値チェック、相関検証を含み得;それは、エフェクタの不足電圧または過電圧、過剰電流、過剰温度、または運動を検出する追加のセンサも含み得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、通常動作制御ユニット内で発生させられる信号を示す信号を協調ユニットから受信する。障害検出ユニットは、次いで、これらの信号を使用して、ローカル信号(例えば、同一サブシステムのもの)を検証し得る。
【0155】
障害が検出されると、障害検出ユニットは、信号(例えば、障害検出信号)を協調ユニットに送信し得る。障害検出信号は、障害のタイプの詳細(例えば、エフェクタ故障)、サブシステムもしくはその構成要素の状態の詳細(例えば、エフェクタのシャットオフ)、または他のサブシステムのための命令(例えば、緊急制御の開始)を含み得る。
【0156】
(通常動作制御ユニット/通常動作制御信号)
通常動作制御ユニット(通常OP制御ユニットとも呼ばれる)は、いくつかの実施形態では、通常動作中、航空機を制御するために使用される。
【0157】
通常動作制御ユニットは、センサ信号に依存して、冗長航空機のエフェクタのための制御信号(通常動作制御信号または通常OP制御信号とも呼ばれる)を発生させる。通常動作制御信号は、典型的には、複数のサブシステムに送信され、いくつかの制御信号は、協調ユニットによって、通信チャネルを介して、別のサブシステムに転送される。
【0158】
通常動作制御ユニットは、従来技術において十分に確立され、広く使用されている、航空機制御法則を実装し得る。そのような制御法則の例として、PID制御、モデル予測制御、スライディングモード制御、フル状態フィードバック、およびバックステッピング制御が挙げられる。制御法則に応じて、通常動作制御ユニットはまた、状態推定アルゴリズムを実装して、冗長航空機の状態をセンサ信号から推定し得る。そのような状態推定アルゴリズムも、従来技術において十分に確立されている。そのような方法の例として、カルマンフィルタリング、拡張カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、アンセンテッドカルマンフィルタリング、および相補フィルタリングが挙げられる。いくつかの実施形態では、状態推定値は、航空機の回転および角速度を含む。通常動作制御ユニットは、次いで、これらの推定値を、例えば、姿勢コントローラ内で使用し得る。いくつかの実施形態では、状態推定器は、回転および並進運動状態の両方を推定する。
【0159】
制御ユニットは、単一エフェクタのための制御信号を計算し得る。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、異なる組のエフェクタのための異なる組の制御信号を計算する。例えば、通常動作制御ユニットは、マスタサブシステムの2つのエフェクタのための第1の制御信号の組と、スレーブサブシステムのための第2の制御信号の組とを計算し得る。別の例として、通常動作中、第1の通常動作制御ユニットは、マスタサブシステムのための第1の制御信号の組を計算し得、第2の通常動作制御ユニットは、スレーブサブシステムのための第2の制御信号の組を計算し得る。
【0160】
1つのサブシステムの通常動作制御ユニットはさらに、別のサブシステムのセンサ信号に関連するデータを使用して、性能を改良し得る。これは、1つ以上の協調ユニットを使用して、そのデータを転送することによって達成され得る。両サブシステムによって保持されるセンサは、典型的には、同一量を表す信号を生成するであろうが、複数のサブシステムのセンサからのデータの組み合わせは、信号品質(例えば、信号対雑音比)を改良し得る。これは、例えば、両信号を合わせてフィルタリングし、雑音を低減させ、外れ値の除外を改良することによって達成され得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、通常動作制御ユニットは、障害が些細なものである限り(例えば、障害が航空機のエフェクタの動作に影響を及ぼさない限り、または障害が冗長構成要素によって補償され得る限り)、障害の検出後でも使用される。
【0162】
いくつかの実施形態では、単一通常動作制御ユニットが、使用される。
【0163】
(緊急制御ユニット/緊急制御信号)
緊急制御ユニットは、いくつかの実施形態では、障害後、航空機の制御を引き継ぐために使用される。緊急制御ユニットは、低性能飛行のための特殊制御法則を実装する。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、人間オペレータからの入力によって、アクティブにされる、非アクティブにされる、または影響を受ける。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、完全または部分的に、自律的である。
【0164】
緊急制御ユニットは、緊急制御信号を発生させる。いくつかの実施形態では、緊急制御信号は、航空機のエフェクタの一部を制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、同一サブシステム内のエフェクタのための緊急制御信号を発生させる。
【0165】
いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、その自由度のうちの1つにおける移動の制御を喪失した航空機を制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、障害によって影響を受けたサブシステムが無効にされると使用される。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、障害検出ユニットによって検出された任意の障害後に使用される。
【0166】
いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、そのサブシステムのエフェクタのための制御信号のみを発生させる。緊急制御ユニットは、したがって、航空機を減少数のエフェクタを用いて制御するように特に設計された制御法則を実装し得る。そのような制御法則の例は、本発明に開示される。単一サブシステムが完全に制御された飛行を維持することを可能にする十分な数のエフェクタで構成される冗長マルチコプタ(例えば、各々が4つのプロペラを伴う2つのサブシステムから成る8回転子冗長マルチコプタ)に対して、従来技術において十分に確立され、広く使用されている従来の多回転子制御法則が、緊急制御ユニット内に実装され得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、航空機は、それが、例えば、センサデータ(例えば、>10秒にわたる静止に対応するある範囲内の加速度計読み取り値)に基づいて、状態推定または別のアルゴリズムによって、特殊センサ(例えば、機体の着陸装置上のタッチセンサ)によって、または人間オペレータによって確認されるように、安全に着陸するまで、その障害状態のままであるか、または緊急制御ユニットの制御下にある。いくつかの実施形態では、航空機は、周期的に、その現在の障害状態または緊急制御ユニットの制御下のその動作を再評価する。いくつかの実施形態では、障害は、障害診断(例えば、イベント処理、故障樹分析を使用したシステム障害状態の決定、およびその他)をトリガするために使用され得る。いくつかの実施形態では、障害状態または緊急制御の終了は、航空機100の詳細、その予期される障害モード、実際の障害モード、および他の要因に依存する。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、障害が検出された後も監視を継続し得、協調ユニットは、障害がもはや存続しなくなると、通常動作に戻るようにトリガし得る。
【0168】
(サブシステムの無効化)
いくつかの実施形態では、サブシステムは、無効にされ得る(例えば、そのサブシステムに属するエフェクタ等のサブシステムの構成要素内に障害がある場合、そのサブシステムは、無効にされ得る)。サブシステムの無効化は、例えば、サブシステムの制御ユニットの動作を停止することによって、サブシステムの電力ユニットをオフにすることによって、または協調ユニットまたはスイッチを使用することによって通信チャネルを介した制御信号の転送を中断することによって、達成され得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニット、電源、または協調ユニット等のサブシステム構成要素は、それらがサブシステムのステータスおよび機能を表すデータを提供し続けることを可能にする、特殊「無効」状態を有し得る。例えば、無効にされたサブシステムの協調ユニットは、依然として、無効にされたサブシステムのセンサ信号を表すデータを別のサブシステムの協調ユニットに転送し得る。別の例として、無効にされたサブシステムの障害検出ユニットは、監視を継続し、障害のステータスに関する更新を提供し得る。
【0169】
(ユニットの組み合わせ)
いくつかの実施形態は、単一または複数の障害検出ユニットと、協調ユニットと、通常動作制御ユニットと、緊急制御ユニットとを含み得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニット、協調ユニット、通常動作制御ユニット、および緊急制御ユニットの一部または全ては、単一もしくは複数の回路基板、単一ボードコンピュータ、または単一マイクロコントローラ上に実装され得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニット、協調ユニット、通常動作制御ユニット、および緊急制御ユニットの一部または全ての動作は、1つ以上のユニットの中に組み合わせられ得る。
【0170】
(通信チャネル/信号)
本発明の実施形態では、航空機は、1つ以上の通信チャネル(有線または無線通信チャネル)を備え得る。最も好ましくは、通信チャネルは、航空機のサブシステム(例えば、第1および第2のサブシステム)の各々に接続される。したがって、通信チャネルは、サブシステム間で通信するために使用されることができる。例えば、好ましい実施形態では、第1のサブシステムは、ある通信チャネルに接続され、第2のサブシステムは、該通信チャネルに接続され、該サブシステム間の通信は、通信チャネルを横断して生じることができる。通信は、サブシステムの協調ユニットによって媒介される。例示的通信チャネルとして、物理的伝送媒体(例えば、単一ワイヤまたはケーブル、2つのワイヤまたはケーブル)、論理的接続(例えば、データソースとデータシンクとの間のリンク)、無線接続(例えば、無線チャネル)が挙げられ、航空機は、これらのチャネルタイプのうちの任意の1つ以上のものを備え得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、コントローラエリアネットワーク(CANバス)、ユニバーサル非同期受信機/送信機(UART)、または集積回路間(I
2CまたはI2C)バスを使用する。
【0171】
通信チャネルは、1つのサブシステムにおいて発生させられた制御信号(例えば、通常動作ユニットによって計算され、協調ユニットを介して転送される、モータ制御信号)を別のサブシステムに搬送する。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、1つのサブシステムにおいて発生させられた協調信号(例えば、協調ユニットによって計算または転送され、サブシステムもしくはその構成要素のうちの1つのステータスを示す信号)を別のサブシステムに搬送する。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、1つのサブシステムにおいて発生させられた他の信号(例えば、イベントまたは測定された量もしくは測定された環境特性を検出するセンサの出力等のセンサ信号、電源のステータス(または「健全性」)を示す、電源によって発生させられる信号)を別のサブシステムに搬送する。いくつかの実施形態では、制御信号のみが、直接、通信チャネルを介して転送され、他の信号は、協調信号に変換される。
【0172】
本開示では、用語「通信チャネル」および「チャネル」は、限定ではないが、有線等の物理的伝送媒体または論理的接続を含み、通信チャネルはまた、無線通信チャネルでもあり得ることに留意されたい。さらなる変形例では、複数の通信チャネルが、提供される。単数形の用語は、その単数形または複数形の意味(すなわち、「チャネル」)を意味するように使用される。通信チャネルは、単一の一方向チャネル、同一方向に流れるデータを伴う2つの冗長一方向チャネル、反対方向に流れるデータを伴う2つの冗長一方向チャネル、単一の双方向チャネル、2つの冗長双方向チャネル、またはその組み合わせ(複製物を含む)であり得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一方向通信チャネルが、提供される。例として、PWM信号を伝送する有線が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上の双方向性通信チャネルが、提供される。例えば、各々が無線送受信機を備えている、2つの無線接続が、使用され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも2つの有線接続を備え得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも2つの無線接続を備え得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも1つの有線接続および少なくとも1つの無線接続の組み合わせを備え得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、1つ以上の冗長(例えば、バックアップ)通信チャネルが、提供される。例えば、2つの協調ユニットは、2つの別個の通信チャネルを通して同じ信号を送信し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも5、10、50、または200アクチュエータ信号/秒の伝送スループットを有する。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、最大で200、100、20、または5msの第1の協調ユニットによる信号の送信と第2の協調ユニットによる受信との間の伝送遅延を有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、通信チャネルは、有線接続を使用する。これは、例えば、無線周波数干渉を回避するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、異なる信号伝達を使用する。これは、例えば、雑音に対する感受性を低減させるために有用であり得る。いくつかの実施形態では、双方向性通信チャネルが、肯定応答信号を送信側協調ユニットに返信することによって信号応答を受信する協調ユニットとともに提供される。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、エラー検出またはエラー補正機構を使用する。例として、ECC、CRC、およびチェックサムが挙げられる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
飛行するように動作可能な航空機であって、前記航空機は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有し、
前記第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタとを備え、
前記第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタとを備え、
それによって、前記第1または第2のサブシステムは、他のサブシステムの前記1つ以上のエフェクタに頼らずに、前記航空機を飛行させるために選択的に使用可能である、航空機。
(項目2)
前記第1のサブシステムは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサをさらに備え、前記第2のサブシステムは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサをさらに備えている、項目1に記載の航空機。
(項目3)
前記航空機は、前記第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成されている、項目1または2に記載の航空機。
(項目4)
前記第1の飛行モジュールは、
第1のスイッチと、
前記第1のスイッチを制御するための第1の協調ユニットと、
前記第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の通常動作制御ユニットと、
前記第1の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の緊急制御ユニットと
を備え、
前記第1のスイッチは、前記第1のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、前記第1のスイッチが前記第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、いかなる制御信号も前記第1の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第1の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成され、
前記第2の飛行モジュールは、
第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを制御するための第2の協調ユニットと、
前記第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の緊急制御ユニットと
を備え、
前記第2のスイッチは、前記第2のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、前記第2のスイッチが前記第2の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、いかなる制御信号も前記第2の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第2の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成されている、項目1〜3のいずれか1項に記載の航空機。
(項目5)
前記第1の飛行モジュールは、少なくとも前記第1のサブシステム内の障害および前記第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第1の障害検出ユニットは、前記第1の協調ユニットに接続され、前記第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信し、前記第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第1の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害を示す前記第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第1の協調ユニットは、前記第2のサブシステム内の障害を示す前記第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように前記第2の協調ユニットをトリガするように構成されている、項目4に記載の航空機。
(項目6)
前記第2の飛行モジュールは、少なくとも前記第2のサブシステム内の障害および前記第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第2の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第2の障害検出ユニットは、前記第2の協調ユニットに接続され、前記第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第2の協調ユニットに送信し、前記第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第2の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第2の協調ユニットは、前記第2のサブシステム内の障害を示す前記第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第2の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害を示す前記第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように前記第1の協調ユニットをトリガするように構成されている、項目4または5に記載の航空機。
(項目7)
前記第1の飛行モジュールは、少なくとも前記第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第2の飛行モジュールは、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の通常動作制御ユニットをさらに備え、前記第2のスイッチがその第2の位置にあるとき、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされることが可能であり、
前記第1の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害が検出されたことを示す前記第1の障害検出ユニットからの信号を受信すると、前記第2のスイッチをその第2の位置に切り替えるように前記第2の協調ユニットを前記第1の協調ユニットがトリガするように構成され、それによって、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされ、それによって、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタは、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号のみによって制御される、項目4に記載の航空機。
(項目8)
前記第1のサブシステム内の障害は、前記第1の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害であり、前記第2のサブシステム内の障害は、前記第2の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害である、項目5−7のいずれか1項に記載の航空機。
(項目9)
前記第1および第2のサブシステムは、1つ以上の通信チャネルを介して動作可能に接続され、
前記第1の協調ユニットは、前記通信チャネル内の障害が検出されると、前記航空機が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成されている、項目4−8のいずれか1項に記載の航空機。
(項目10)
前記第1の協調ユニットは、前記第1の協調ユニットが所定の期間内に前記第2の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、前記航空機が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成され、
前記第2の協調ユニットは、前記第2の協調ユニットが所定の期間内に前記第1の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、前記航空機が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第1のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成されている、項目4−9のいずれか1項に記載の航空機。
(項目11)
前記第1および第2のサブシステムは、マスタ−スレーブ構成で配置され、前記第1のサブシステムは、前記マスタであり、前記第2のサブシステムは、前記スレーブである、項目1〜10のいずれか1項に記載の航空機。
(項目12)
第3のサブシステムをさらに備え、前記第3のサブシステムは、
前記航空機を飛行させるために十分な力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタと、
第3の飛行モジュールと
を備え、
前記第3の飛行モジュールは、
第3のスイッチと、
前記第3のスイッチを制御するための第3の協調ユニットと、
を備え、
前記第3のスイッチは、前記第3のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすること、または前記第2の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすることを行う第1の位置と、前記第3のスイッチが前記緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすることが可能な第2の位置と、いかなる制御信号も前記第3の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第3の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成されている、項目1〜11のいずれか1項に記載の航空機。
(項目13)
前記第3の飛行モジュールは、少なくとも前記第3のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第3の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第3の障害検出ユニットは、前記第3の協調ユニットに接続され、前記第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第3の協調ユニットに送信し、前記第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第3の協調ユニットは、前記第3のサブシステム内の障害を示す前記第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記第3のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第3の協調ユニットは、前記第3のサブシステム内の障害を示す前記第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号が、前記第1のサブシステムの前記第1の1つ以上のエフェクタと、前記第2のサブシステムの前記第2の1つ以上のエフェクタとにパスされるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替えるように前記第1の協調ユニットをトリガするようにさらに構成されている、項目12に記載の航空機。
(項目14)
前記第1のサブシステムは、
前記第1の1つ以上のセンサからの出力をそれぞれの所定の値と比較し、前記第1の1つ以上のセンサからの出力が前記それぞれの所定の値と等しくない場合、障害が前記第1または第2のサブシステム内で生じたことを決定する手段をさらに備えている、項目1〜13のいずれか1項に記載の航空機。
(項目15)
前記航空機の移動の1つ以上の特性を感知するように動作可能な1つ以上のセンサをさらに備え、
前記第1の飛行モジュールは、前記航空機に所定の様式で移動させる所定の制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタに選択的に送信可能なように構成され、
前記第1の飛行モジュールは、1つ以上の出力を前記1つ以上のセンサから受信し、それらの受信された出力を使用して、前記航空機が前記所定の様式で移動しているかどうかを決定するように構成され、
前記第1の飛行モジュールは、前記第1の飛行モジュールが前記航空機が前記所定の様式で移動していないことを決定する場合、前記第2のサブシステム内の障害が生じたことを決定するように構成されている、項目1〜14のいずれか1項に記載の航空機。
(項目16)
モジュール式であるように構成され、前記第1のサブシステムおよび第2のサブシステムの各々は、前記第1および第2のサブシステムが機械的に取り外し可能に接続可能なように構成されている接続手段を備えている、項目1〜15のいずれか1項に記載の航空機。
(項目17)
前記第1の1つ以上のエフェクタは、第1の方向に回転するように構成されているプロペラを備え、前記第2の1つ以上のエフェクタは、前記第1の方向と反対の第2の方向に回転するように構成されているプロペラを備えている、項目1〜16のいずれか1項に記載の航空機。
(項目18)
飛行するように動作可能な航空機であって、前記航空機は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有し、
前記第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第1の力および第1のトルクを発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタと、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサとを備え、
前記第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第2の力および第2のトルクを発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタと、前記外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサとを備え、
それによって、前記第1のサブシステムは、前記第2のトルクなしに、前記外部基準系に対して前記結果として生じる第1の力の方向の向きを制御するために選択的に使用可能であり、前記第2のサブシステムは、前記第1のトルクなしに、前記外部基準系に対して前記結果として生じる第2の力の方向の向きを制御するために選択的に使用可能である、航空機。
(項目19)
コスチュームが取り付けられることが可能な支持構造をさらに備えている、項目1〜18のいずれか1項に記載の航空機。
(項目20)
前記支持構造に取り付けられているコスチュームをさらに備えている、項目19に記載の航空機。
(項目21)
前記機体または支持構造上に搭載されている1つ以上の光源をさらに備え、前記1つ以上の光源は、前記コスチューム上に入射するように、光を前記機体から放射するように配置されている、項目20に記載の航空機。
(項目22)
航空機を制御する方法であって、前記航空機は、項目1〜21のいずれか1項に記載の航空機であり、前記方法は、
(1)前記第1のサブシステムにおいて、前記第1および第2のサブシステムのエフェクタのための第1の制御信号の組を計算するステップと、
(2)前記第1の制御信号の組を前記エフェクタの第2のサブシステムに通信するステップと、
(3)前記第1または第2のサブシステム内の障害を検出するステップと、
(4)前記航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出された前記サブシステムのエフェクタを無効にするステップと
を含む、方法。
(項目23)
前記方法は、前記航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出された前記サブシステムを無効にすることを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記障害を被らなかったサブシステムにおいて、第2の制御信号の組を計算するステップをさらに含み、前記第2の制御信号の組は、前記障害を被らなかったサブシステムのエフェクタのみを制御する、項目22または23に記載の方法。
【0178】
本発明の実施形態が、ここで、例のみのとして、以下の図を参照して説明されるであろう。