特許第6795197号(P6795197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795197
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】航空機
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20201119BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B64C39/02
   B64C27/08
【請求項の数】15
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2017-561652(P2017-561652)
(86)(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公表番号】特表2018-516200(P2018-516200A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】IB2016053132
(87)【国際公開番号】WO2016193884
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】62/167,910
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/213,784
(32)【優先日】2015年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517311080
【氏名又は名称】ベリティ ストゥディオス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヘーン, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイベル, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルディ, ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ダンドレーア, ラファエロ
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−047109(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/198642(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0236388(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行するように動作可能な航空機(100)であって、前記航空機(100)は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステム(250a,b)を有し、
前記第1のサブシステム(250a)は、第1の飛行モジュール(240a)と、前記航空機(100)を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタ(102)とを備え、
前記第2のサブシステム(250b)は、第2の飛行モジュール(240b)と、前記航空機(100)を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタ(102)とを備え、
それによって、前記第1または第2のサブシステム(250a,b)は、他のサブシステム(250a,b)の前記1つ以上のエフェクタ(102)に頼らずに、前記航空機(100)を飛行させるために選択的に使用可能であり、
前記第1の飛行モジュール(240a)
第1のスイッチ(340a)と、
前記第1のスイッチ(340a)を制御するための第1の協調ユニット(350a)と、
前記第1および第2の1つ以上のエフェクタ(102)を動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の通常動作制御ユニット(310a)と、
前記第1の1つ以上のエフェクタ(102)を動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の緊急制御ユニット(320a)と
を備えていること
前記第1のスイッチ(340a)、前記第1のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニット(310a)によって発生させられる前記制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタ(102)にパスする第1の位置と、前記第1のスイッチが前記第1の緊急制御ユニット(320a)によって発生させられる前記制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタ(102)にパスする第2の位置との間で前記第1の協調ユニット(350a)によって選択的に切り替えられることが可能なように構成されていること
前記第2の飛行モジュール(240b)
第2のスイッチ(340b)と、
前記第2のスイッチ(340b)を制御するための第2の協調ユニット(350b)と、
前記第2の1つ以上のエフェクタ(102)を動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の緊急制御ユニット(320b)と
を備えていることおよび、
前記第2のスイッチ(340b)、前記第2のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニット(310a)によって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタ(102)にパスする第1の位置と、前記第2のスイッチが前記第2の緊急制御ユニット(320b)によって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタ(102)にパスする第2の位置との間で前記第2の協調ユニット(350b)によって選択的に切り替えられることが可能なように構成されていることを特徴とする、航空機。
【請求項2】
前記第1のサブシステムは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサをさらに備え、前記第2のサブシステムは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサをさらに備えている、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記航空機は、前記第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成されている、請求項1または2に記載の航空機。
【請求項4】
前記第1のスイッチは、前記第1のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、前記第1のスイッチが前記第1の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、いかなる制御信号も前記第1の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第1の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成され、
前記第2のスイッチは、前記第2のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、前記第2のスイッチが前記第2の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、いかなる制御信号も前記第2の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第2の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項5】
前記第1の飛行モジュールは、少なくとも前記第1のサブシステム内の障害および前記第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第1の障害検出ユニットは、前記第1の協調ユニットに接続され、前記第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信し、前記第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第1の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害を示す前記第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記航空機が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第1の協調ユニットは、前記第2のサブシステム内の障害を示す前記第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記航空機が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように前記第2の協調ユニットをトリガするように構成されている、請求項4に記載の航空機。
【請求項6】
前記第1の飛行モジュールは、少なくとも前記第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第2の飛行モジュールは、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の通常動作制御ユニットをさらに備え、前記第2のスイッチがその第2の位置にあるとき、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされることが可能であり、
前記第1の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害が検出されたことを示す前記第1の障害検出ユニットからの信号を受信すると、前記第2のスイッチをその第2の位置に切り替えるように前記第2の協調ユニットを前記第1の協調ユニットがトリガするように構成され、それによって、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされ、それによって、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタは、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号のみによって制御される、請求項4に記載の航空機。
【請求項7】
前記第1および第2のサブシステムは、1つ以上の通信チャネルを介して動作可能に接続され、
前記第1の協調ユニットは、前記通信チャネル内の障害が検出されると、前記航空機が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成されている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項8】
第3のサブシステムをさらに備え、前記第3のサブシステムは、
前記航空機を飛行させるために十分な力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタと、
第3の飛行モジュールと
を備え、
前記第3の飛行モジュールは、
第3のスイッチと、
前記第3のスイッチを制御するための第3の協調ユニットと、
を備え、
前記第3のスイッチは、前記第3のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすること、または前記第2の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすることを行う第1の位置と、前記第3のスイッチが前記第1の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすることが可能な第2の位置と、いかなる制御信号も前記第3の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第3の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項9】
前記航空機の移動の1つ以上の特性を感知するように動作可能な1つ以上のセンサをさらに備え、
前記第1の飛行モジュールは、前記航空機に所定の様式で移動させる所定の制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタに選択的に送信可能なように構成され、
前記第1の飛行モジュールは、1つ以上の出力を前記1つ以上のセンサから受信し、それらの受信された出力を使用して、前記航空機が前記所定の様式で移動しているかどうかを決定するように構成され、
前記第1の飛行モジュールは、前記第1の飛行モジュールが前記航空機が前記所定の様式で移動していないことを決定する場合、前記第2のサブシステム内の障害が生じたことを決定するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項10】
コスチュームが取り付けられることが可能な支持構造をさらに備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項11】
前記支持構造に取り付けられているコスチュームをさらに備えている、請求項10に記載の航空機。
【請求項12】
前記航空機または支持構造上に搭載されている1つ以上の光源をさらに備え、前記1つ以上の光源は、前記コスチューム上に入射するように、光を前記航空機から放射するように配置されている、請求項11に記載の航空機。
【請求項13】
航空機(100)を制御する方法であって、前記航空機(100)は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の航空機であり、前記方法は、
(1)前記第1のサブシステム(250a)において、前記第1および第2のサブシステム(250a,b)のエフェクタ(102)のための第1の制御信号の組を計算するステップと、
(2)前記第1の制御信号の組を前記第2のサブシステム(250b)のエフェクタ(102)に通信するステップと、
(3)前記第1または第2のサブシステム(250a,b)内の障害を検出するステップと、
(4)前記航空機(100)が他のサブシステム(250a,b)のエフェクタ(102)のみを使用して飛行させられるように、障害が検出された前記サブシステム(250a,b)のエフェクタ(102)を無効にするステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記方法は、前記航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出された前記サブシステムを無効にすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記障害を被らなかったサブシステムにおいて、第2の制御信号の組を計算するステップをさらに含み、前記第2の制御信号の組は、前記障害を被らなかったサブシステムのエフェクタのみを制御する、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機に関する。特に、本発明は、少なくとも2つのサブシステムを備えている航空機に関し、サブシステムの各々は、他のサブシステムから独立して航空機を飛行させるために選択的に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
超小型または小型無人航空機(UAV)を含む航空機は、それらの制御、それらの安全性、およびそれらの信頼性に関して、独自の制約を有する。
【0003】
多くのマルチコプタを含む従来技術において公知のいくつかの航空機は、冗長エフェクタを使用する。しかしながら、エフェクタの冗長化は、非常に限られたタイプの障害のみを防御し、多くの他の単一障害点は、残存し、マルチコプタは、結果として、頻繁に墜落する。
【0004】
そのような障害から防御する解決策が、有人遠隔操縦式航空機のために存在する。例として、三重モジュール式冗長化(TMR)および票決システムが挙げられる。しかしながら、これらの解決策は、有人遠隔操縦式航空機に見出されるコスト−リスクトレードオフに適合するように開発されており、それは、航空機のそれらと大きく異なる。さらに、これらの解決策の大部分は、人間操縦者の使用に頼り、かつ人間操縦者の使用を奨励または要求さえし、それは、コストならびに技術的理由に起因して、航空機の多くの潜在的用途に対して非実践的である。例えば、人間操縦者による遠隔操作は、航空機と人間操縦者との間のリアルタイム高帯域幅データリンクを要求し、それは、航空機の多くの潜在的用途に対して、非常にコストがかかり、非常に電力を消費し、かつ非常に重いハードウェアを要求し、それは、冗長な方法で維持することが困難であり、故に、可能な単一障害点を構成し、それは、全体的システムの複雑性を増加させ、故に、安全性および信頼の低下の原因である可能性が高い。
【0005】
いくつかの航空機(例えば、技術的に高精度なマルチコプタ)およびいくつかのペイロード(例えば、特殊センサ)の比較的高値ならびに航空機によって潜在的に引き起こされる損傷または傷害のリスクを考慮すると、障害が起きた場合でも、航空機もしくはそのペイロードの損失、航空機もしくはそのペイロードへの損傷、航空機の動作する環境への損傷、または人もしくは見物人への傷害を回避することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目標は、既存の航空機の限界/不利点を排除または軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、他のサブシステムから独立して航空機を飛行させるために使用され得る複数のサブシステムを備えている、航空機が、提供される。好ましくは、各サブシステムは、それ自身の制御ユニットを有する。本願では、本発明の航空機は、「冗長航空機」と称され得る。本願では、用語「冗長」は、1つ以上の単一部品もしくは構成要素の障害時、システム全体(航空機または飛行機等)の障害を防止する複製物としての役割を果たすことを意味する。
【0008】
本発明のある実施形態の技術的利点は、既存の航空機の設計を改良または簡略化することを可能にし得る。例えば、設計は、航空機の低時定数、飛行動態、小サイズ、または軽重量等、航空機の具体的特性のより優れた公差、もしくはそこから利点を導出することを可能にし得る。別の例として、これらの設計は、エフェクタ冗長性(例えば、ヘキサコプタおよびオクトコプタ)、三重冗長化/票決システム、またはエフェクタの封入物(例えば、シュラウド、ダクテッドファン)、もしくは障害を防御するパラシュートを頼るもの等の現在のシステムより少ない質量を要求し、より少ない設計制約および固有の限界に直面し得る。別の例として、これらの設計は、同様のレベルの冗長性を達成するためにより少ないエフェクタを要求し得、それは、航空機内で使用される多くの種類のエフェクタに対して重要な効率利得をもたらし得る。
【0009】
本発明のある実施形態の技術的利点は、既存の航空機の安全性または信頼性の増加を可能にし得る。例えば、本発明は、衝突、機械的もしくは電気障害、電子機器の故障、オペレータエラー、または風もしくは乱気流等の悪環境条件から生じるリスクを最小化すること、または排除することを可能にし得る。本発明はまた、制御の完全損失を伴う壊滅的障害ではなく、性能の許容できる低下を可能にすることによって、障害の影響を軽減し得る。
【0010】
本発明のある実施形態の他の技術的利点は、航空機が、概ねまたは完全に、障害の検出を自動化し、代替緊急制御モードに切り替えることによって、概ねまたは完全に障害への応答を自動化することを可能にし得る。これは、例えば、自律的緊急着陸を安全に実行することができる航空機の作成を可能にし得る。別の例として、これは、人間操縦者によって制御困難または不可能であろう低下飛行モードで動作する、航空機を作成することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、そのような低下飛行モードは、航空機上で利用可能なエフェクタ、センサ、または計算リソースの一部を使用し得る。
【0011】
本発明のある実施形態のさらに他の技術的利点は、信頼性を増加させることによって、安全性を増加させることによって、多種多様な動作条件もしくは環境における航空機の使用を可能にすることによって、または経験豊富な人間操縦者によって現在行われているあるタスクの部分的または完全自動化を可能にすることによって、新しい用途のための航空機の使用を可能にし得る。人間操縦者の必要性は、多くの用途において、特に、費用有効性、可能な動作条件、および航空機の飛行耐久性を著しく限定する。例えば、経験豊富な人間操縦者でさえ、風の乱れ等の多くの実世界動作条件において安全かつ効率的制御を保証することができない。
【0012】
本発明のある実施形態のさらに他の技術的利点は、種々の状況における種々の用途の具体的必要性に対して調整されることを可能にし得る。例示的用途として、危険もしくは反復タスクを要求し得る、公共インフラの検査および監視、産業もしくは公共サービス用途(例えば、産業用地の監督および監視施設、写真測量、調査)、専門的航空写真もしくは映画撮影、空輸による積荷の輸送もしくは配達、音楽および光に合わせた演出を含む舞台公演、舞台俳優との相互作用を要求する劇場公演、趣味用プラットフォーム、飛行プラットフォームを積極的に研究する、もしくはそのカリキュラムの一部としてそれらを使用するグループのための研究用プラットフォーム、または生存性、電力自律性、検出能力、もしくは極限条件(天候、照明条件、汚染)における動作等の要件を伴う防衛用途が挙げられる。特に、ある技術的利点は、本発明が広範囲のセンサを装備することを可能にする。例えば、赤外線センサは、果樹園内の乾燥地の区画の検出または作物監視のための実施形態を可能にする。
【0013】
本発明のある実施形態のさらに他の技術的利点は、コストを削減することを可能にし得る。例えば、航空機は、概ねまたは完全に同じサブシステムから構築され、縮小設計、生産、試験、および複数の異なるシステムの使用に関連付けられた他のコストに起因して、コスト節約を可能にし得る。
【0014】
本発明のさらなる技術的利点は、以下の図、説明、および請求項から当業者に容易に明白であろう。さらに、具体的利点が上で挙げられたが、種々の実施形態は、挙げられた利点の全て、一部を含むことも、全く含まないこともあり、列挙された利点は、本発明の使用のために必要なものとして見なされるべきではない。
【0015】
本発明の第1の側面によると、飛行するように動作可能な航空機であって、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有する、航空機が、提供される。第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタとを備え得る。第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタとを備え得る。第1および第2のサブシステムは、第1または第2のサブシステムが、他のサブシステムの1つ以上のエフェクタに頼らずに、航空機を飛行させるために選択的に使用されることができるように構築され、配置され、動作可能であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、航空機は、1つのサブシステムのみを用いて飛行させられる。
【0017】
一実施形態では、第1のサブシステムはさらに、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサを備え、第2のサブシステムはさらに、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサを備えている。
【0018】
一実施形態では、航空機はさらに、第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成される。
【0019】
一実施形態では、第1のサブシステムはさらに、第1の電源を備え、第2のサブシステムはさらに、第2の電源を備えている。
【0020】
一実施形態では、航空機は、第1および第2のサブシステムによって共有される単一電源を備えている。本願では、構成要素が第1および第2のサブシステムによって「共有」されると言われる場合、それは、該構成要素が、第1および第2のサブシステムの両方によって使用されることができることを意味する。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、第1のスイッチと、第1のスイッチを制御するための第1の協調ユニットと、第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の通常動作制御ユニットと、第1の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の緊急制御ユニットとを備えている。いくつかの実施形態では、第1のスイッチは、第1の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成される。いくつかの実施形態では、スイッチは、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、スイッチがいかなる制御信号も第1の1つ以上のエフェクタにパスされないように開放されている第3の位置との間で切り替えられることができる。いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールは、第2のスイッチと、第2のスイッチを制御するための第2の協調ユニットと、第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の緊急制御ユニットとを備えている。いくつかの実施形態では、第2のスイッチは、第2の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成される。いくつかの実施形態では、第2のスイッチは、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第2の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、第2の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第2の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、スイッチがいかなる制御信号も第2の1つ以上のエフェクタにパスされないように開放されている第3の位置との間で切り替えられることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、少なくとも、第1のサブシステム内の障害および第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第1の障害検出ユニットは、第1の協調ユニットに接続され、第1のサブシステム内の障害の検出時、信号(例えば、障害検出信号)を第1の協調ユニットに送信し、第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を第1の協調ユニットに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1のサブシステム内の障害を示す第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第2のサブシステム内の障害を示す第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2の協調ユニットをトリガし、第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールはさらに、少なくとも、第1のサブシステム内の障害および第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第2の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2の障害検出ユニットは、第2の協調ユニットに接続され、第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を第2の協調ユニットに送信し、第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を第2の協調ユニットに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、第2のサブシステム内の障害を示す第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、第1のサブシステム内の障害を示す第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、航空機が第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1の協調ユニットをトリガし、第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、少なくとも第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールはさらに、第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の通常動作制御ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2のスイッチがその第2の位置にあるとき、第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされることができる。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1のサブシステム内の障害が検出されたことを示す第1の障害検出ユニットからの信号を受信すると、第1の協調ユニットが、第2の協調ユニットをトリガし、第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、それによって、第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号が、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされ、それによって、第1および第2の1つ以上のエフェクタが、第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号のみによって制御されるように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の障害は、該第1の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害であり、第2のサブシステム内の障害は、該第2の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害である。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムは、1つ以上の通信チャネルを介して動作可能に接続される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、通信チャネル内の障害が検出されると、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、通信チャネル内の障害が検出されると、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、第1のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1の協調ユニットが所定の期間内に第2の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、航空機が第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。いくつかの実施形態では、第2の協調ユニットは、第2の協調ユニットが所定の期間内に第1の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、航空機が第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、第1のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムは、マスタ−スレーブ構成で配置され、第1のサブシステムは、マスタであり、第2のサブシステムは、スレーブである。
【0029】
ある実施形態では、航空機はさらに、第3の飛行モジュールと、第1または第2もしくは第3のサブシステムの各々が、他の2つのサブシステムの1つ以上のエフェクタに頼らずに、航空機を飛行させるために選択的に使用され得るように、航空機に飛行させるために十分な第3の力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタとを備え得る第3のサブシステムを備えている。
【0030】
一実施形態では、第3のサブシステムはさらに、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサを備えている。一実施形態では、航空機はさらに、第1、第2、および第3のサブシステムによって共有される少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成される。
【0031】
一実施形態では、第3のサブシステムはさらに、第3の電源を備えている。別の実施形態では、航空機は、第1、第2、および第3のサブシステムによって共有される、単一電源を備えている。
【0032】
いくつかの実施形態では、航空機はさらに、第3のサブシステムを備え、第3のサブシステムは、航空機に飛行させるために十分な力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタと、第3のスイッチを備えている第3の飛行モジュールと、第3のスイッチを制御するための第3の協調ユニットとを備えている。いくつかの実施形態では、第3のスイッチは、第3の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成される。いくつかの実施形態では、第3のスイッチは、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第3の1つ以上のエフェクタにパスする、または第2の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第3の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第3の1つ以上のエフェクタにパスすることが可能な第2の位置と、スイッチがいかなる制御信号も第3の1つ以上のエフェクタにパスされないように開放されている第3の位置との間で切り替えられることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチは、4つの位置、すなわち、第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、第1のサブシステムの第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、第1のサブシステムの第2の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を第1の1つ以上のエフェクタにパスする第3の位置と、いかなる制御信号も第1の1つ以上のエフェクタにパスされないようにスイッチが開放される第4の位置とを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、第3の飛行モジュールはさらに、少なくとも第3のサブシステム内の障害を検出するように構成される第3の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第3の障害検出ユニットは、第3の協調ユニットに接続され、第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を第3の協調ユニットに送信し、第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を第1の協調ユニットに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、第3の協調ユニットは、第3のサブシステム内の障害を示す第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、第3のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成される。いくつかの実施形態では、第3の協調ユニットは、第3のサブシステム内の障害を示す第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号が、第1のサブシステムの第1の1つ以上のエフェクタ、および第2のサブシステムの第2の1つ以上のエフェクタにパスされるように、第1の協調ユニットをトリガし、第1のスイッチをその第2の位置に切り替えるように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムはさらに、第1の1つ以上のセンサからの出力をそれぞれの所定の値と比較し、該第1の1つ以上のセンサからの出力が該それぞれの所定の値と等しくない場合、障害が第1または第2のサブシステム内で生じたことを決定する手段を備えている。
【0036】
いくつかの実施形態では、航空機は、航空機の移動の1つ以上の特性を感知するように動作可能な1つ以上のセンサを備えている。いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、航空機に所定の様式で移動させる所定の制御信号を第2の1つ以上のエフェクタに選択的に送信可能なように構成される。いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、1つ以上の出力を1つ以上のセンサから受信し、それらの受信された出力を使用して、航空機が該所定の様式で移動しているかどうかを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールは、第1の飛行モジュールが航空機が該所定の様式で移動していないことを決定する場合、第2のサブシステム内の障害が生じたことを決定するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、航空機は、モジュール式であるように構成される。機体は、少なくとも、第1のサブシステムを備えている第1のモジュールと、第2のサブシステムを備えている第2のモジュールとを備え得る。第1および第2のモジュールは、第1および第2のモジュールが選択的に機械的に互いに取り付けられることを可能にする接続手段を備え得る。第1および第2のモジュールはまた、互いから選択的に取り外され得る。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムおよび第2のサブシステムの各々は、第1および第2のサブシステムが機械的に取り外し可能に接続可能なように構成される接続手段を備えている。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の1つ以上のエフェクタは、第1の方向に回転するように構成されるプロペラを備え、第2の1つ以上のエフェクタは、第1の方向と反対の第2の方向に回転するように構成されるプロペラを備えている。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の1つ以上のエフェクタは、選択的に、航空機に飛行させるために十分な第1の力を発生させるために動作可能であり、かつ第1のトルクを発生させるために動作可能であり、第2の1つ以上のエフェクタは、選択的に、航空機に飛行させるために十分な第2の力を発生させるために動作可能であり、かつ第2のトルクを発生させるために動作可能である。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムは、第2のトルクなしに、外部基準系に対して結果として生じる第1の力の方向の向きを制御するために選択的に使用可能であり、第2のサブシステムは、第1のトルクなしに、外部基準系に対して結果として生じる第2の力の方向の向きを制御するために選択的に使用されることができる。
【0040】
ある実施形態では、航空機はさらに、コスチュームが取り付けられることが可能な支持構造を備えている。好ましくは、支持構造は、機体から半径方向に延びているアーム部材を備えている。
【0041】
ある実施形態では、航空機はさらに、支持構造に取り付けられているコスチュームを備えている。本実施形態は、特に、舞台公演等のエンターテインメント用途のために有用である。そのような用途では、航空機は、舞台上で飛行させられ、したがって、コスチュームを飛行させ得る。例えば、支持構造に取り付けられる航空機のコスチュームがランプシェードである場合、飛行する航空機は、ランプシェードが飛行している印象を観客に与えるであろう。航空機の支持構造に取り付けられるコスチュームは、任意の好適な形状または構成をとり得ることを理解されたい。
【0042】
ある実施形態では、航空機はさらに、機体上に搭載され、該コスチューム上に入射するように、光が機体から放射するように配置される、1つ以上の光源(LED等)を備えている。このように、光源は、コスチュームを照らし出すであろう。好ましくは、光源は、コスチュームの内側表面上に入射する、光を放射し得るように位置付けられる。
【0043】
本発明のさらなる側面によると、飛行するように動作可能な航空機が、提供される。航空機は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有し、第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタとを備え、第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、航空機を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタとを備え、航空機はさらに、第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成され、したがって、第1または第2のサブシステムは、他のサブシステムの1つ以上のエフェクタに頼らずに、航空機を飛行させるために選択的に使用可能である。該航空機は、先行段落に説明される特徴のいずれかを有し得ることを理解されたい。
【0044】
いくつかの実施形態では、飛行モジュールは、障害を識別するように構築および配置され、または動作可能であり、障害は、エフェクタによって生成されるトルクまたは推力に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、飛行モジュールは、障害の識別に応答して、以下のステップ、すなわち、(1)所定の基準系に対する航空機の主軸の向きの推定値を計算するステップであって、該主軸は、該航空機が飛行するときに回転する軸である、ステップと、(2)該航空機の角速度の推定値を計算するステップと、(3)該所定の基準系に対する該航空機の主軸の該向きの推定値および航空機の角速度の該推定値に基づいて、航空機のエフェクタのうちの1つ以上のものを制御するステップとを実施する。航空機のエフェクタのうちの1つ以上のものを制御するステップは、(a)該1つ以上のエフェクタが、集合的に、該主軸に沿ったトルクおよび該主軸と垂直なトルクを生成し、(i)該主軸に沿ったトルクが該航空機を該主軸の周りに回転させ、(ii)該主軸と垂直なトルクが該航空機を移動させ、したがって、該主軸の向きが該所定の基準系に対する標的向きに収束するように、かつ(b)該1つ以上のエフェクタが、個々に、該主軸に沿って推力を生成するように行われ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、航空機は、冗長航空機、すなわち、その部品のうちの1つ以上のものの障害時、機体の障害を防止するための複製物としての役割を果たす部品を有する機体である。いくつかの実施形態では、航空機は、第1の電源、第1のセンサ、第1のエフェクタ、および第1の飛行モジュールを備えている第1のサブシステムと、第2の電源、第2のセンサ、第2のエフェクタ、および第2の飛行モジュールを備えている第2のサブシステムと、第1の信号を第1のサブシステムから第2のサブシステムに伝送するように構築および配置される第1の通信チャネルとを備えている。いくつかの実施形態では、第1の電源、第1のセンサ、第1のエフェクタ、第1の飛行モジュール、および第1の通信チャネルは、第1のサブシステムに取り付けられ、第2の電源、第2のセンサ、第2のエフェクタ、第2の飛行モジュール、および第1の通信チャネルは、第2のサブシステムに取り付けられ、第1および第2のサブシステムは、堅く取り付けられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の信号は、第2のサブシステムのエフェクタのための第1のサブシステムによって発生させられる制御信号を備えている。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2のサブシステムは、第2のサブシステムのエフェクタのための第1のサブシステムによって発生させられる制御信号が、第2のサブシステムのエフェクタに向かわせられるかどうかを切り替えるように構築および配置される、スイッチを備えている。
【0048】
いくつかの実施形態では、航空機は、第2の信号を第2のサブシステムから第1のサブシステムに伝送するように構築および配置される第2の通信チャネルを備えている。いくつかの実施形態では、この第2の信号は、第1のサブシステムのエフェクタのための第2のサブシステムによって発生させられる制御信号を備えている。
【0049】
いくつかの実施形態では、第2の通信チャネルは、第2の信号を第1のサブシステムから第2のサブシステムに伝送するように構築および配置される。いくつかの実施形態では、この第2の信号は、第2のサブシステムのエフェクタのための第1のサブシステムによって発生させられる制御信号を備えている。いくつかの実施形態では、第1の通信チャネルを通して送信される一部または全ての信号は、第2の通信チャネルを通して送信される一部または全ての信号と同じである。
【0050】
いくつかの実施形態では、航空機は、第1および第2の協調ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタのための制御信号を備えている第1の信号を、第1の通信チャネルを介して、第2の協調ユニットに送信するように構築および配置される。いくつかの実施形態では、第2の通信チャネルは、第1の通信チャネルの冗長チャネルであり、第1の協調ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタのための制御信号を備えている第1の信号を、第2の通信チャネルを介して、第2の協調ユニットに送信するように構築および配置される。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、第2のサブシステムのエフェクタのための制御信号を備えている第2の信号を、第2の通信チャネルを介して、第2の協調ユニットから受信するように構築および配置される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1のセンサのうちの少なくとも1つおよび第2のセンサのうちの少なくとも1つは、航空機の内部量を表すデータを感知し、第1のセンサのうちの少なくとも1つおよび第2のセンサのうちの少なくとも1つは、外部基準系に対する航空機の相対的位置、相対的向き、または相対的速度を表すデータを感知する。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムのエフェクタのうちの少なくとも1つおよび第2のサブシステムのエフェクタのうちの少なくとも1つの各々は、航空機に対して固定される回転軸を有し、各々は、トルクおよび推力の両方を同時に生成するように構築および配置される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムの各々は、自給式である。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサブシステムの各々は、マルチコプタである。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、第1および第2の制御ユニットを備え、第2の飛行モジュールはさらに、第3の制御ユニットを備えている。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の制御ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタおよび第2のサブシステムのエフェクタのための制御信号を提供するように構築および配置される通常動作制御ユニットであり、第2の制御ユニットは、第1のサブシステムのエフェクタのための制御信号を提供するように構築および配置される、第1の緊急制御ユニットであり、第3の制御ユニットは、第2のサブシステムのエフェクタのための制御信号を提供するように構築および配置される第2の緊急制御ユニットである。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の飛行モジュールはさらに、第1のサブシステムのエフェクタを使用して、所定の基準系に対する主方向の向きを制御するように構築および配置される第1の緊急制御ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第2の飛行モジュールはさらに、第2のサブシステムのエフェクタを使用して、所定の基準系に対する二次方向の向きを制御するように構築および配置される第2の緊急制御ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、主方向は、第1のサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向であり、二次方向は、第2のサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向である。いくつかの実施形態では、主方向は、二次方向に相当する。
【0058】
いくつかの実施形態では、各サブシステムのエフェクタは、ホバリング時、航空機を回転させるトルクを集合的に生成するように構築および配置される。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムはさらに、4つのエフェクタを備え、該第1のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1の巻き方を伴って回転するように構築および配置され、該第1のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1と異なる第2の巻き方を伴って回転するように構築および配置され、第2のサブシステムはさらに、4つのエフェクタを備え、該第2のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1の巻き方を伴って回転するように構築および配置され、該第2のサブシステムのエフェクタのうちの2つは、それらのそれぞれの推力の周りに第1と異なる第2の巻き方を伴って回転するように構築および配置される。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1のセンサのうちの少なくとも1つは、MEMSジャイロスコープ、MEMS加速度計、圧電ジャイロスコープ、および圧電加速度計のうちの1つである。いくつかの実施形態では、第2のセンサのうちの少なくとも1つは、MEMSジャイロスコープ、MEMS加速度計、圧電ジャイロスコープ、および圧電加速度計のうちの1つである。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1および第2のセンサのうちの少なくとも2つは、同一タイプである。
【0062】
いくつかの実施形態では、航空機は、第1のサブシステム内の障害を検出するように構築および配置される第1の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、航空機は、第2のサブシステム内の障害を検出するように構築および配置される第2の障害検出ユニットを備えている。いくつかの実施形態では、第1の障害検出ユニットは、第1のサブシステムおよび第2のサブシステム内の障害を検出するように構築および配置される。ある実施形態では、障害検出ユニットは、同一サブシステムまたは別のサブシステムからの信号へのアクセスを有する。これらは、センサの信号(例えば、センサ読み取り値)、電力ユニットの信号(例えば、バッテリ負荷、バッテリ充電、エラーコード)、エフェクタの動作を表す信号(例えば、1分あたりの回転数またはエフェクタもしくはそのモータコントローラによって提供され得るようなモータ電流)、および通常動作制御ユニットによって発生させられるハートビート信号を含み得る。いくつかの実施形態では、信号は、サブシステムの協調ユニット、スイッチ、および通信チャネルを介して転送され得る。障害検出ユニットは、次いで、これらの信号を公称動作の間に予期され得るもの(例えば、所定のセンサ読み取り値範囲、制御入力または動作状態に依存するモータ電流に対して予期される値、モータ応答のモデル、過去の信号の統計)と比較し得る。
【0063】
本発明のさらなる側面によると、航空機を制御する方法であって、航空機は、前述の航空機のいずれか1つによる航空機であり、方法は、
(1)第1のサブシステムにおいて、第1および第2のサブシステムのエフェクタのための第1の制御信号の組を計算するステップと、
(2)第1の制御信号の組をエフェクタの第2のサブシステムに通信するステップと、
(3)第1または第2のサブシステム内の障害を検出するステップと、
(4)航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出されたサブシステムのエフェクタを無効にするステップと
を含む、方法が、提供される。
【0064】
方法は、航空機が他のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、障害が検出されたサブシステムを無効にすることを含み得る。本実施形態では、障害が検出されたサブシステムを無効にすることは、サブシステムのエフェクタを無効にし、好ましくは、該サブシステムに専用の他の構成要素の全ても無効にするであろう。
【0065】
方法は、障害を被らなかったサブシステムにおいて、第2の制御信号の組を計算するステップを含み得、第2の制御信号の組は、該サブシステムのエフェクタのみを制御する。
【0066】
本発明の別の側面によると、航空機のための方法であって、方法は、(1)第1の自給式サブシステムの第1の飛行モジュールで第1のエフェクタ制御信号の組を計算するステップと、(2)第1のエフェクタ制御信号の組を第2の自給式サブシステムの第2の飛行モジュールに通信するステップと、(3)第1または第2のサブシステム内の障害を検出するステップと、(4)障害によって影響されるサブシステムを無効にするステップと、(5)障害によって影響されないサブシステム内において、障害によって影響されないサブシステムのために、障害によって影響されないサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向の向きを制御する第2のエフェクタ制御信号の組を計算するステップを含む、方法が、提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、障害によって影響されないサブシステムのエフェクタの結果として生じる推力の方向の向きは、航空機が自律的に着陸するように調節される。
【0068】
いくつかの実施形態では、各サブシステムの第1の1つ以上のエフェクタは、(a)主軸に沿ったトルクおよび主軸と垂直なトルクを集合的に生成することであって、(i)主軸は、緊急制御ユニットの制御下、航空機が飛行するときにその周りに回転する方向であり、(ii)該主軸に沿ったトルクは、航空機に主軸の周りに回転させ、(iii)主軸と垂直なトルクは、主軸の向きが所定の基準系に対する標的向きに収束するように航空機を移動させる、ことと、(b)個々に、主軸に沿って推力を生成することとを行うように動作可能であるように構築および配置される。
【0069】
いくつかの実施形態では、各サブシステムは、別のサブシステムを無効にするように構築および配置される。
【0070】
いくつかの実施形態では、各サブシステムは、別のサブシステムのプロペラ、フラップ、またはエアフォイルなしに、航空機を飛行させるように構築および配置される。言い換えると、各サブシステムは、そのサブシステムのみに属するプロペラ、フラップ、またはエアフォイルのみを使用して、航空機を飛行させるように構築および配置される。
【0071】
本発明/用途では、以下が検討される。
(航空機)
好ましくは、航空機は、複数のエフェクタを伴う、飛行またはホバリング可能であり、小型、軽量、無人、かつ空気より重い航空機である。例として、1人で持ち運びできるように十分に小さい超小型UAVまたは小型UAV(SUAV)が挙げられる。典型的サイズは、50cm〜3mに及ぶ。典型的重量は、500g〜35kgに及ぶ。
【0072】
航空機は、1つの電源と、1つのセンサと、1つの飛行モジュールと、1つのエフェクタとを備えている。いくつかの実施形態では、航空機は、複数の電源、センサ、飛行モジュール、またはエフェクタを備えている。
【0073】
(サブシステム)
サブシステムは、航空機の電源、センサ、飛行モジュール、およびエフェクタのサブセットであり得る。一実施形態では、航空機は、複数のサブセットを備え、各サブセットは、少なくとも1つの電源と、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタとを備えている。一実施形態では、複数のサブセットの各々は、異なるサブシステムを画定する。
【0074】
いくつかの実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの電源と、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタとを有する。一実施形態では、航空機は、少なくとも2つのサブシステムを備えている。いくつかの実施形態では、サブシステムの各々は、各サブシステムが他のサブシステムから独立して航空機を飛行させるために選択的に使用されることができるように、航空機を飛行させるために要求されるありとあらゆる構成要素を有し得る。いくつかの実施形態では、サブシステムの各々は、緊急動作のために要求されるありとあらゆる構成要素を有し得る。
【0075】
他の実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタとを有する。随意に、本実施形態では、複数のサブシステムは、少なくとも1つのセンサを共有し得るか、または少なくとも1つの電源を共有し得る。
【0076】
他の実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタと、少なくとも1つのセンサとを有する。随意に、本実施形態では、複数のサブシステムは、少なくとも1つの電源を共有し得る。
【0077】
他の実施形態では、航空機は、複数のサブシステムを備え、各サブシステムは、少なくとも1つの飛行モジュールと、少なくとも1つのエフェクタと、少なくとも1つの電源とを有する。随意に、本実施形態では、複数のサブシステムは、少なくとも1つのセンサを共有し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、サブシステムは、互いから分離される。例えば、いくつかの実施形態では、サブシステムは、電磁的に遮蔽され得、異なる印刷回路基板(PCB)上に物理的に位置し得、電気的に絶縁され得、別個の筐体内にあり得、構造要素の異なる部品上に搭載され得、またはペイロードの異なる部品に取り付けられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム(時として、マスタ)および第2のサブシステム(時として、スレーブ)が、使用される。
【0080】
(マスタ/スレーブサブシステム)
マスタサブシステムは、通常飛行動作中(すなわち、障害の不在下での飛行動作)使用されるサブシステムである。いくつかの実施形態では、マスタサブシステムは、航空機のエフェクタの全てのための制御信号を提供する。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムは、対応するマスタ飛行モジュールを伴うマスタとして構成され、他のサブシステムは、対応するスレーブ飛行モジュールを伴うスレーブとして構成される。
【0081】
スレーブサブシステムは、緊急飛行動作中(すなわち、障害の存在下での飛行動作)に使用され得る。いくつかの実施形態では、スレーブサブシステムは、通常動作中に使用される。そのような構成は、例えば、構成をメモリユニット内に記憶することによって;スイッチ、ジャンパ、もしくははんだブリッジを用いた電気回路内の変更を通して;または、始動時に向き情報を提供する加速センサ等の2つ以上のサブシステムの区別を可能にするセンサ信号の使用を通して、達成され得る。いくつかの実施形態では、スレーブサブシステムまたはスレーブサブシステムの一部は、通常飛行動作中、使用され得る。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態では、航空機は、以下の複製構成要素(すなわち、サブシステムあたり少なくとも1つの構成要素):少なくとも2つのエフェクタと、少なくとも2つの電源と、少なくとも2つの飛行モジュールと、少なくとも2つのセンサと、少なくとも2つの通信チャネルとを備えている。例えば、一実施形態では、航空機は、以下を備え得る。
・ 少なくとも1つのエフェクタを有する第1のサブシステム+少なくとも1つのエフェクタを有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つの電源を有する第1のサブシステム+少なくとも1つの電源を有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つの飛行モジュールを有する第1のサブシステム+少なくとも1つの飛行モジュールを有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つのセンサを有する第1のサブシステム+少なくとも1つのセンサを有する第2のサブシステム
・ 少なくとも1つの通信チャネルを有する第1のサブシステム+少なくとも1つの通信チャネルを有する第2のサブシステム。
【0083】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステムは、2つ、3つ、または4つのエフェクタを備えている。いくつかの実施形態では、第2のサブシステムは、2つ、3つ、または4つのエフェクタを備えている。
【0084】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエフェクタ、電源、飛行モジュール、センサ、または通信チャネルは、2つ以上の異なるサブシステムによって共有され得る。本願では、構成要素が2つ以上のサブシステムによって「共有」されると言われる場合、該構成要素は、2つ以上のサブシステムによって使用されることができる。例えば、それは、構成要素が、2つ以上のサブシステムによって同時に使用可能であること、または構成要素が、必要に応じて、2つ以上のサブシステムのうちの1つのみによって使用されることができることを含む(後者の場合、2つ以上のサブシステムは、該構成要素を連続的に使用し得る)
【0085】
例えば、航空機は、少なくとも1つの第1のエフェクタ、少なくとも1つの第1の飛行モジュール、少なくとも1つの第1のセンサ、および少なくとも1つの第1の通信チャネルを有する第1のサブシステムと、少なくとも1つの第2のエフェクタ、少なくとも1つの第2の飛行モジュール、少なくとも1つの第2のセンサ、および少なくとも1つの第2の通信チャネルを有する第2のサブシステムとを備え得、航空機は、第1および第2のサブシステムが単一電源を共有するように、第1および第2のサブシステムの両方に給電する単一電源を備え得る。
【0086】
一実施形態では、電源は、第1または第2のサブシステムのいずれかのみに接続される。本実施形態では、電源は、電源がサブシステムのうちの1つのみに給電するように、第1または第2のサブシステムのいずれかに選択的に接続されることができる。単一電源は、第1のサブシステムへの接続から第2のサブシステムへの接続およびその逆に切り替えられることもできる。
【0087】
いくつかの実施形態では、単一電源は、冗長電源または二重電源(例えば、外部に単一電源として見える、2つの別個の電源を備えている)であり得る。そのような構成の例は、同一出力に並列に接続される2つのバッテリであり、各バッテリは、ダイオードを通して直列に接続される。第2の例は、無停電電力供給源として構成されるバッテリを伴う発電機である。
【0088】
本願では、第1および第2のサブシステムが電源を共有するとき、それは、第1および第2のサブシステムが電力を電源から同時に受信すること、または第1もしくは第2のサブシステムのいずれかのみが電力を電源から受信し得ることを意味する。電源は、電力を第1または第2のサブシステムのいずれかのみに提供するように選択的に切り替えられることができる。
【0089】
別の例では、航空機は、少なくとも1つの第1のエフェクタ、少なくとも1つの第1の飛行モジュール、少なくとも1つの第1のセンサ、および少なくとも1つの第1の電源を有する第1のサブシステムと、少なくとも1つの第2のエフェクタ、少なくとも1つの第2の飛行モジュール、少なくとも1つの第2のセンサ、および少なくとも1つの第2の電源を有する第2のサブシステムとを備え得、航空機は、第1および第2のサブシステムが単一通信チャネルを共有するように、第1および第2のサブシステムの両方に接続される単一通信チャネルを備え得る。
【0090】
本願では、第1および第2のサブシステムが単一通信チャネルを共有するとき、それは、第1および第2のサブシステムが単一通信チャネルに同時に接続され、単一通信チャネルを経由して同時に通信し得ること、または第1もしくは第2のサブシステムのいずれかのみが単一通信チャネルを経由して通信し得ることを意味する。後者の場合、一実施形態では、第1または第2のサブシステムは、そのサブシステムのみがメッセージを単一通信チャネルを経由して他のサブシステムに通信し得るように、単一通信チャネルに選択的に接続されることができる。
【0091】
別の実施形態では、航空機の第1および第2のサブシステムは、センサを共有し得る。これは、サブシステムの各々が、データ(センサ読み取り値等)をセンサから受信し得ることを意味する。サブシステムの各々は、それらが共有センサから受信されたデータを処理または使用し得る。
【0092】
別の例では、航空機は、少なくとも第1のエフェクタ、少なくとも第1の飛行モジュール、および少なくとも第1のセンサを有する第1のサブシステムと、少なくとも1つの第2のエフェクタ、少なくとも1つの第2の飛行モジュール、および少なくとも1つの第2のセンサを有する第2のサブシステムとを備え得、航空機は、第1および第2のサブシステムの両方に接続される少なくとも1つの通信チャネルと、第1および第2のサブシステムの両方に接続される単一電源と、第1および第2のサブシステムの両方に接続される少なくとも第3のセンサとを備え、それによって、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサは、第1および第2のサブシステムによって共有される。本願では、第1および第2のサブシステムが、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサを共有するとき、それは、第1および第2のサブシステムが、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサに同時に接続され、通信チャネルを経由して、同時に通信し、電力を単一電源から同時に受信し、第3のセンサと同時に通信し得ること、または、第1または第2のサブシステムのいずれかのみが、通信チャネル、単一電源、および第3のセンサに接続され、それによって、サブシステムのうちの1つのみが、他のサブシステムから排他的に、通信チャネルを経由して他のサブシステムに通信し、電力を単一電源から受信し、第3のセンサと通信し得ることを意味する。
【0093】
いくつかの実施形態では、センサは、冗長または組み合わせられたセンサであり得る。そのような構成の例は、2つ以上のカメラを伴う二重カメラシステムである。別の例は、各センサが他方の欠陥を補償するようにタンデムで使用されるソナーおよび赤外線センサの組み合わせである。別の例は、IMU対応GPSデバイスである。いくつかの実施形態では、センサは、RGBカメラ、深度センサ、マルチアレイマイクロホン、もしくは明視野センサのうちの1つまたはそのうちの1つ以上のものの組み合わせであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、サブシステムは、低下飛行性能において航空機を動作させるように構築および配置される。いくつかの実施形態では、サブシステムは、その公称推力、揚力、またはトルクの80%、50%、もしくは20%のみを用いて航空機を動作させるように構築および配置される(以下の導出参照)。いくつかの実施形態では、サブシステムは、航空機のエフェクタのうちの1つを使用せずに、航空機のセンサのうちの1つを使用せずに、航空機の電源のうちの1つを使用せずに、または航空機の飛行モジュールのうちの1つを使用せずに、航空機を動作させるように構築および配置される。
【0095】
(サブシステムの分解)
別の実施形態では、航空機は、互いに選択的に取り付けられ、または取り外され得る複数のサブシステムを備え得る。例えば、クワドロコプタの実施形態の場合、取り外しは、各々が2つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムをもたらし得る。例えば、航空機は、モジュール式である(すなわち、複数のモジュールを備えている)ように構成され得る。航空機はさらに、複数のモジュールが互いに除去可能に取り付けられることを可能にする取り付け手段を備え得る。例えば、航空機は、第1のサブシステムを備えている第1のモジュールと、第2のサブシステムを備えている第2のモジュールを備え得、第1および第2のモジュールは、互いに取り付けられ得る。例えば、第1のモジュールは、2つのエフェクタを備えている第1のサブシステムを備え得、第2のモジュールは、別の2つのエフェクタを備えている第2のサブシステムを備え得、第1および第2のモジュールは、互いに取り付けられ、クワドロコプタを形成し得るか、または第1および第2のモジュールは、互いに取り付けられ、2つのマルチコプタ(すなわち、各々が2つのエフェクタを有する2つのマルチコプタ)を提供し得る。これは、例えば、容易な保管、輸送、または破損したサブシステムの容易な交換のために有用であり得る。
【0096】
(自給式サブシステム)
自給式サブシステムは、航空機である。いくつかの実施形態では、自給式サブシステムは、ホバリング可能である。いくつかの実施形態では、自給式サブシステムは、低性能飛行可能である。
【0097】
(低性能飛行)
低性能飛行は、障害後の低下飛行性能である。低性能飛行は、低下制御支配力をもたらし得る。例えば、オーバーヒートしたバッテリは、エフェクタに利用可能な電力の低下をもたらし得る。別の例として、第1のサブシステムの障害は、航空機のエフェクタの半分のみを有し得る、第2のサブシステムを用いた飛行を要求し得る。低性能飛行は、低下自由度をもたらし得る。例えば、1つ以上の破損したエフェクタを伴う、クワドロコプタもしくはヘキサコプタは、ヨーにおいてもはや完全に制御可能ではなくなり得る。低性能飛行は、航空機の制御を人間操縦者に対して非常に困難にし得る。例えば、ヨーにおいて部分的にのみ制御可能になる航空機は、手動で飛行させられるにはあまりにも複雑であり得る。別の例として、低性能飛行における航空機の時定数は、人間反応時間に対して小さすぎ得る。低性能飛行は、異なる制御法則を要求し得る。例えば、改変された重量分布(例えば、衝突または別の障害の結果として)を伴う航空機は、安定した飛行を達成するために異なるモータ利得を要求し得る。別の例として、部分的に破損したエフェクタは、あまり効率的ではなく、故に、同様のレベルの推力を達成するために、異なる制御入力を要求し得る。低性能飛行は、航空機上で利用可能なエフェクタ、センサ、または計算リソースの一部を使用し得る。
【0098】
(ホバリング、基準系)
ホバリング可能な航空機は、航空機の外部の基準系に対する空間内のある点において、標的位置をほぼ達成し、維持することが可能である。空間内の航空機の場所は、典型的には、所定の基準系内に画定され、ある固定された点を基準として、位置および並進運動速度によって説明され得る。所定の基準系の例として、ある目印に固定される原点を伴う、「東−北−上」系が挙げられる。航空機の運動は、通常、慣性基準系を参照することによって説明される。
【0099】
(自律性)
いくつかの実施形態では、航空機は、自律的である。いくつかの実施形態では、航空機は、それらの位置または姿勢をホバリング点の周囲に自律的に安定させることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、それらの位置または姿勢を自律的に安定させることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、軌道に自律的に追従することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、第1の通過点から第2の通過点まで自律的にナビゲートすることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、障害物を自律的に回避することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、障害を自律的に検出することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、障害に自律的に応答することができる。いくつかの実施形態では、航空機は、自律的にナビゲートすることができる。いくつかの実施形態では、航空機は、所定の操縦を自律的に行うことができる。いくつかの実施形態では、航空機は、緊急制御ユニットを使用して自律的に動作することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、航空機は、それらの機能のうちのいくつかを自律的に行う一方、その他は、人間制御下で行われる。例えば、人間オペレータは、緊急モードのアクティブ化または非アクティブ化を決定し得る。別の例として、航空機およびその協調ユニットまたは緊急制御ユニットの最も好適な動作モードが、人間オペレータによって(例えば、地上制御ステーション上の一連の緊急ボタンのうちの1つを押すことによって)、航空機によって(例えば、その障害状態に応じて)、または2つの組み合わせによって(例えば、全サブシステムの障害状態および人間オペレータのコマンドに応じて)、決定され得る。典型的動作モードの例として、1つまたは全てのサブシステムの即時および完全電源オフ、現在の位置における停止および着陸まで高度の低下、ホーム位置への帰還およびホーム位置における着陸の開始、ならびに現在の位置における停止およびホバリングが挙げられる。
【0101】
(マルチコプタ)
マルチコプタは、概して、それらの各々が少なくとも1つのプロペラを駆動する少なくとも2つの回転子を伴う、飛行するだけではなく、ホバリングも可能な航空機である。回転子およびプロペラまたは複数のプロペラによって形成されるユニットは、以降では、エフェクタと呼ばれる。マルチコプタの典型的配置は、4つ、6つ、または8つのエフェクタを使用し、それらは、それぞれ、一般に、クワドロコプタ、ヘキサコプタ、およびオクトコプタと称され、従来技術において周知であり、広く使用されている。16以上のエフェクタを含み、多くの構成において配置される(例えば、整列軸ならびに傾斜、反転もしくは上反角軸を伴う;個々に配置されるか、または逆回転する;露出されるか、またはダクトもしくは保護シュラウド内に封入される)多くの他の変形例も、使用される。いくつかの変形例は、マルチコプタ構成から翼構成に切り替わることができる航空機を含む。これは、マルチコプタの利点(例えば、離陸、着陸、タスク性能等に好適なホバリング、高敏捷性等)と固定翼飛行機の利点(例えば、長距離を網羅する、または高速を達成するために好適な効率的前進飛行、高滑空比等)の組み合わせを可能にする。
【0102】
機械的単純性の理由から、マルチコプタは、典型的には、固定ピッチブレードを使用し、そのプロペラピッチは、回転中、変動しない。この機械的単純性および結果として生じる構築の容易性は、高敏捷性およびホバリング能力と組み合わせて、マルチコプタを多くの航空用途のために最適なプラットフォームにする。
【0103】
いくつかの実施形態では、冗長航空機は、2つのマルチコプタサブシステムから成る。例えば、冗長クワドロコプタは、各々が2つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムから成り得る。さらなる例として、冗長ヘキサコプタは、各々が3つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムから成り得る(すなわち、各サブシステムは、トリコプタである)。さらなる例として、冗長オクトコプタは、各サブシステムがクワドロコプタであるように、各々が4つのエフェクタを備えている2つのマルチコプタサブシステムから成り得る。いくつかの実施形態では、冗長マルチコプタは、3つのサブシステムから成る。例えば、冗長ヘキサコプタは、各々が2つのエフェクタを備えている3つのマルチコプタサブシステムから成り得る。当業者に明白であろうように、本発明の利点を前提として、多くの他の組み合わせが可能である。
【0104】
(エフェクタ)
本発明では、航空機は、エフェクタを装備し得る。エフェクタは、飛行を達成または方向付けるために動作可能な任意の手段である。エフェクタは、任意の好適な構成をとり得る。エフェクタの例として、ヒンジ付きエアフォイル(例えば、補助翼、方向舵、フラップ等)の旋回角度を制御し、気流を向け直すモータおよび線形または回転アクチュエータを伴う、固定ピッチプロペラが挙げられる。いくつかの実施形態では、機械的連結部が、複数のエフェクタを統合するために使用され得る。一般的例として、スウォシュプレート(3つのエフェクタ)およびスウォシュプレート制御式同軸2プロペラ設定(4つのエフェクタ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、発振制御信号が、複数のエフェクタを限定数の機械的自由度から作成するために使用され得る。例として、推力、ロール、およびピッチ支配力(3つのエフェクタ)を伴う低作動式スワッシュプレートレスプロペラを作成するための回転子の回転に関する正弦波制御信号の振幅および位相を変動させることと、推力、ロール、ならびにピッチ(3つのエフェクタ)を制御するための本発明に説明される制御方法とが挙げられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、エフェクタは、航空機に作用する推力およびトルクの両方を生成する。そのようなエフェクタは、典型的には、航空機の本体に対して固定される特性駆動軸(典型的には、推力の方向と同じ)を有することによって特徴付けられる。
【0106】
航空機は、多くの場合、推力発生のためにブラシレスモータを使用し、それは、典型的には、モータコントローラを使用して、この単一変数を所望の回転子速度を達成するために要求される振幅、波形、および周波数に変換する。そのようなモータコントローラは、典型的には、3つの双方向性出力(すなわち、周波数によって制御される3つの位相出力)を含み、それらは、論理回路によって制御されるが、追加のセンサおよび電子機器を伴うより複雑な実装を有し、高性能または他の望ましい特性を達成することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、気流を発生させる、または向け直すエフェクタ群に属する。いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、接合部を作動させるエフェクタ群に属する。いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、回転または線形アクチュエータ群に属する。
【0108】
いくつかの実施形態では、航空機のエフェクタは、航空機の本体に堅く取り付けられ;その回転子ピッチがブレードが回転するにつれて変動しない固定ピッチプロペラブレードを装備し;トルクおよび推力の両方を生成するように動作可能であり;または、航空機を飛行させることができる推力または揚力に寄与するように構築および配置される。
【0109】
(電源)
本発明では、航空機は、1つ以上の電源を備え得る。電源は、任意の好適な構成をとり得る。電源のための例として、バッテリ、アキュムレータ、内燃機関、タービン、および電力コンデンサが挙げられる。さらなら例として、他の電気および非電気電源が挙げられる。いくつかの実施形態では、各サブシステムは、それ自身の電源を有する。いくつかの実施形態では、電源は、電力を同一サブシステムのセンサ、エフェクタ、および飛行モジュールに供給する。いくつかの実施形態では、電源は、電力を別のサブシステムの構成要素にも供給する。例えば、緊急動作中、電力を別のサブシステムのエフェクタに供給し得る。いくつかの実施形態では、電源は、信号を障害検出ユニットに提供する。例えば、バッテリは、その充電レベルまたはその動作温度に関する情報を提供し得る。
【0110】
(センサ)
本発明では、航空機はさらに、(a)サブシステムの構成要素(例えば、エフェクタ、電源)を表すデータを提供すること、または、(b)1つ以上のサブシステムの運動を表すデータを提供すること、または、(c)冗長航空機の運動を表すデータを提供することを行うように構築および配置され得る、1つ以上のセンサを備え得る。センサは、1つまたは複数のセンサ信号を発生させ得る。
【0111】
内受容性センサは、システムの内部量を感知する。例として、モータコントローラの温度を感知する熱センサおよびワイヤ内の電流を検出する電流センサが挙げられる。このタイプのセンサは、特に、障害を検出するために有用であり得る。
【0112】
外受容性センサは、外部基準系に対するシステムの状態(すなわち、相対的位置、相対的向き、または相対的速度)を感知する。例として、障害物までの距離を感知する視覚センサおよび磁気北極の方向を感知する磁力計が挙げられる。このタイプのセンサは、特に、自律的飛行のために有用であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、微小電気機械システム(MEMS)または圧電システムが、本発明に概略される冗長性および動作特性を達成することを可能にするために使用される。本発明とともに有用に採用され得るそのような微小センサの例として、MEMSジャイロスコープ、MEMS加速度計、圧電ジャイロスコープ、および圧電加速度計が挙げられる。いくつかの実施形態では、微小センサの使用は、各々が、各サブシステム内において、複数のジャイロスコープおよび加速度計を組み合わせるか、または多軸ジャイロスコープおよび加速度計を使用する1つ以上の慣性測定ユニット(IMU)の使用を可能にする。いくつかの実施形態では、微小センサの使用は、冗長航空機のための特定の特性を達成することを可能にする。例えば、MEMSジャイロスコープは、航空機の姿勢を監視し、航空機の姿勢閾値を超える場合、障害検出ユニットが緊急制御モードをトリガすることを可能にするために使用され得る。別の例として、MEMSジャイロスコープは、その低時定数にかかわらず、小型航空機をホバリング点の周囲で制御するために使用され得る。MEMSセンサは、例えば、従来のセンサと比較してそれらのより軽い重量およびより低い電力消費を含む、利点を有し、それは、航空機に複数のサブシステムを装備するための前提条件であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、各サブシステムは、同一タイプの2つ以上のセンサを使用する。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、同じ量を測定するセンサである。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、同一モデルであるセンサである。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、同一製造業者であるセンサである。いくつかの実施形態では、同一タイプのセンサは、航空機の同じ状態またはサブ状態を表すデータを提供するセンサである。
【0115】
いくつかの実施形態では、センサは、慣性センサ、距離センサ、または速度センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、カメラ、オプティカルフローセンサ、レーザもしくはソナー距離計、レーダ、気圧計、温度計、湿度計、緩衝器、化学センサ、電磁センサ、気流センサもしくは相対対気速度センサ、超音波センサ、マイクロホン、無線センサ、または赤外線センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、高さ、距離、または範囲センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、相対または絶対位置センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、測位センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、信号のための受信機(例えば、全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機、無線周波数受信機、または赤外線受信機)である。いくつかの実施形態では、センサは、GNSSタイプセンサ、ビジュアルオドメトリ/SLAM、再帰反射測位システム、レーザ距離計、Wi−Fi測位システム、無線周波数測位システム、気圧高度計およびバリオメータ、または超音波センサの群に属する。いくつかの実施形態では、センサは、MEMSセンサである。
【0116】
(飛行モジュール)
本発明では、航空機は、1つ以上の飛行モジュールを備え得る。飛行モジュールは、プロセッサと、メモリと、信号をセンサから受信し、信号をエフェクタまたは他の飛行モジュールに出力するための通信インターフェースとを備えている電子構成要素(典型的には、印刷回路基板(PCB))である。いくつかの実施形態では、飛行モジュールは、制御ユニット(例えば、通常動作制御ユニット、緊急制御ユニット等)と、協調ユニットと、障害検出ユニットとを含む。いくつかの実施形態では、単一飛行モジュールは、複数の通常動作制御ユニット、緊急制御ユニット、協調ユニット、または障害検出ユニットを備え得る。いくつかの実施形態では、各々が、それ自身のプロセッサ、メモリ、および通信インターフェースを備えている複数の飛行モジュールが、単一PCB上に位置し得る(例えば、製造を簡略化する、または所望の電気挙動を達成するために)。いくつかの実施形態では、飛行モジュールのプロセッサ、メモリ、および通信インターフェースは、複数のPCBにわたり分散させられる(例えば、ある重量分布または性能特性を達成するために)。
【0117】
(協調ユニット/協調信号)
本発明では、該1つ以上の協調ユニットは、複数のサブシステムの動作を協調させるために使用される。
【0118】
協調ユニットは、制御信号、障害検出信号、センサ信号、および協調信号を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、通信チャネルを介して、信号を別の協調ユニットから受信するように構成され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、協調ユニットは、通信チャネルを介して、別の協調ユニットから信号の送信を開始するように構成され得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、信号を障害検出ユニットに送信し得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、制御信号を転送する。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、通常動作制御信号、障害検出信号、センサ信号、または協調信号を伝送もしくは転送し得る。いくつかの実施形態では、協調ユニットは、緊急制御信号を伝送または転送し得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の第1の協調ユニットは、通信チャネルを介して、協調信号を第2のサブシステム内の第2の協調ユニットに送信する。いくつかの実施形態では、第1の協調ユニットは、通信チャネルを介して、制御信号を第2の協調ユニットに転送する。
【0121】
協調ユニットは、スイッチを制御する。協調ユニットは、スイッチを使用して、どの制御信号がどのエフェクタに転送されるかを選択し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、協調ユニットは、障害検出信号を障害検出ユニットから受信する。例えば、第1のサブシステムでは、第1の協調ユニットは、サブシステムのエフェクタのうちの1つに障害が生じたことの障害検出信号を障害検出ユニットから受信し得る。協調ユニットは、次いで、障害を示す協調信号を第2のサブシステムの第2の協調ユニットに送信し得、その信号は、通常動作制御モードを緊急制御モードに切り替えるように第2のサブシステムをトリガし得る。いくつかの実施形態では、このスイッチは、協調ユニットが信号を通常動作制御ユニットおよび緊急制御ユニットに送信することによってトリガされる。いくつかの実施形態では、このスイッチは、通常動作制御ユニットの制御信号の転送から緊急制御ユニットの制御信号の転送に切り替える信号をスイッチに送信することによってトリガされる。
【0123】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の第1の協調ユニットは、制御信号(例えば、通常動作制御信号)を第1のサブシステム内の制御ユニット(例えば、第1の通常動作制御ユニット)から受信するように配置され得、第1の協調ユニットは、次いで、これらの制御信号を第2のサブシステム内の第2の協調ユニットに転送し得、第2の協調ユニットは、次いで、これらの制御信号を第2のサブシステム内の障害検出ユニットに転送し得、これは、次いで、第2のサブシステム内の障害検出ユニットがこれらの信号を第2のサブシステム内の制御ユニット(例えば、第2の通常動作制御ユニット)のそれらと比較し、第1または第2のサブシステム内の障害を検出することを可能にし得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、第1のサブシステム内の第1の協調ユニットは、第1のセンサ信号を第1のサブシステム内の第1のセンサから受信するように配置され得、第1の協調ユニットは、次いで、第1のセンサ信号を表す協調信号を第2のサブシステム内の第2の協調ユニットに送信し得、第2の協調ユニットは、次いで、これらの信号を第2のサブシステム内の障害検出ユニットに転送し得、これは、次いで、第2のサブシステム内の障害検出ユニットがこれらの信号と第2のサブシステム内の第2のセンサ信号を比較し、第1または第2のサブシステム内の障害を検出することを可能にし得る。
【0125】
(スイッチ)
スイッチは、1つ以上のエフェクタへの異なる制御信号を転送することを切り替えるために、または選択するために使用され得る。スイッチはまた、1つ以上のエフェクタへの制御信号の組の転送をオンまたはオフに切り替えるために使用され得る(「オン/オフスイッチ」または「オン/オフセレクタ」)。
【0126】
いくつかの実施形態では、マスタおよびスレーブサブシステムの各々は、スイッチを有する。いくつかの実施形態では、スイッチは、1つ以上のエフェクタへの異なる制御ユニット(例えば、通常動作制御ユニット、緊急制御ユニット)からの制御信号を転送することを切り替えるために使用される。いくつかの実施形態では、スイッチは、協調ユニットによって動作させられる。
【0127】
(障害および障害検出ユニット/障害検出信号)
障害検出ユニットは、障害を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、それが一部であるサブシステム内の障害を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、別のサブシステム内の障害を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、通信チャネル内の障害を検出するために使用される。
【0128】
障害検出ユニットは、障害検出信号を発生させる。障害検出信号は、典型的には、障害検出ユニットから協調ユニットに送信される。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、協調信号を受信し得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、センサ信号を受信し得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、それ自身のサブシステム内の構成要素もしくはユニット(例えば、協調ユニットを介して、または構成要素もしくはユニットから直接)、または別のサブシステム内の構成要素もしくはユニット(例えば、別のサブシステムの協調ユニット、通信チャネル、およびそれ自身のサブシステムの協調ユニットを介して)の動作状態を示す信号を受信し得る。
【0129】
(障害のタイプ)
ここでは、障害は、構成要素の部分的または完全損失、またはオペレータエラーを意味し得る。例えば、マルチコプタ上で典型的に使用されるプロペラ等のエフェクタの障害は、エフェクタによって生成されるトルクまたは推力の障害を意味し得る。この例に対して、典型的には、損失は、公称推力、揚力、またはトルクの20%〜100%の範囲内である。別の例として、センサの障害は、任意のセンサデータの送達の部分的または完全失敗、範囲外のセンサデータ、他のセンサからのデータに対応しないセンサデータ、またはモデル予測に対応しないセンサデータを意味し得る。別の例として、通信チャネルの障害は、そのチャネルから受信される信号がないこと、所望の範囲、パターン、またはモデルに対応しない信号、または、チェック(例えば、巡回冗長検査)に不合格となった信号を意味し得る。
【0130】
全体的に、今日使用されている多くの小型航空機、特に、マルチコプタは、比較的に単純であり、故に、比較的に安全である(航空機における最良システムは、それを持たないものである。なぜなら、決して故障し得ないからである)。しかしながら、小型航空機の著しい人気に起因して、非常に多数の墜落が、文献で報告されている。全航空機墜落の大半は、エフェクタ障害に起因するものであり、航空機と障害物の衝突をもたらす操縦者エラーは別として、航空機は、典型的には、エフェクタが推力を制御された方法で生成することができなくならない限り、空中に留まる。本発明は、したがって、障害物との衝突を伴ういくつかを含む、全小型航空機墜落の大半の結果を克服または限定することを可能にし得る。文献における最も一般的航空機障害として、以下が挙げられる。
【0131】
1.操縦エラー、風、または乱気流に起因した障害物との衝突に起因する障害。例えば、検査動作中、突風が、航空機を橋に激突させ、破損したプロペラに起因したエフェクタ障害と後続の壊滅的制御の損失および墜落とをもたらす。
【0132】
2.航空機の配線の障害。非常に一般的障害の例として、以下が挙げられる。
− 振動に起因したモータコネクタの抜け。
− はんだ付けされたワイヤの分離。
− プロペラによって切断される緩んだワイヤ。
− 部分的モータ取り付け障害(留めねじの震動緩み、またはアセンブリの材料疲労)によって引き裂かれたワイヤ。
− 不十分なワイヤサイズ、およびワイヤまたははんだ取り付け点の結果として生じるオーバーヒート/溶融。
【0133】
3.航空機のプロペラ取り付け、モータ取り付け、アクチュエータ取り付け、またはフレームの障害。最も一般的障害として、以下が挙げられる。
− 緩んだねじおよびボルト(振動、組立不良、摩耗、材料疲労による緩み)。
− 誤った構成で取り付けられたプロペラ(反時計回り(「プラー」プロペラとも呼ばれる)および時計回りプロペラ(「プッシャ」プロペラとも呼ばれる))。
− 取り付けねじの過緊締。
− 取り付けねじの緊締不足。
− アクチュエータ取り付け障害。
− 破損した翼。
− 穴があいたエアフォイル。
【0134】
4.全モータの適切な平衡不良、全プロペラの適切な平衡不良、および曲がったモータコレットおよびシャフトに起因した障害。このカテゴリは、特に、より大きい航空機における部品の振動および後続の外れの主要な原因である。
【0135】
5.航空機のモータまたはアクチュエータの障害。最も一般的障害は、モータ(例えば、大きすぎるプロペラ)の過負荷および後続オーバーヒート、または粉塵もしくは砂塵における動作から生じる。他の一般的障害として、アクチュエータの不適正なサイズ設計または構成要素劣化が挙げられる。
【0136】
6.航空機の電気または電子構成要素の障害。このカテゴリにおける最も一般的障害は、雨、霧、または高湿度等の湿潤条件下での飛行である。
【0137】
7.航空機の飛行ソフトウェアの障害。例えば、飛行制御コンピュータの不適切なプログラミングまたは航空機重量に対する不適切なモータ利得。
【0138】
8.不適切な遠隔制御構成、特に、逆にもしくは不適切に構成された送信機チャネルによって生じる障害、または基地局と受信機との間の十分に強力な信号の確保不良。
【0139】
9.干渉、最も一般には、電子速度制御(「モータコントローラ」とも呼ばれる)と航空機の受信機との間の干渉によって生じる障害。
【0140】
10.不良ペイロードに起因した障害。
【0141】
11.センサ較正の欠如またはその不完性に起因した障害。
【0142】
12.材料疲労(例えば、疲労亀裂または応力破壊)に起因したプロペラの障害。
【0143】
13.構成要素障害。全ての構成要素は、有限寿命を有し、種々の要因、例えば、熱循環に応じて、種々の速度で劣化する。
【0144】
前述の障害の全てが、直接、エフェクタ障害をもたらすわけではないが、多くは、本発明を使用して、検出または回避され得る。特に、前述の障害のうちの1つに従って、本発明は、障害によって影響される構成要素またはサブシステムを無効にすることによって、かつ障害によって影響されないエフェクタの結果として生じる推力の方向の向きが、航空機が着陸することを可能にするように制御可能であるように、緊急制御ユニットを使用して、障害によって影響されないサブシステムのためのエフェクタ制御信号を計算することによって、航空機墜落を防止することを可能にし得る。
【0145】
種々の方法が、障害が生じたことを検出するために使用されることができる。例として、例えば、航空機上のモデルベースのオブザーバに測定されたデータを監視させ、エラーが観察されることを確率的に検出する(例えば、それぞれ異なる障害モードを表す、カルマンフィルタの集合を利用する)ことによる自動検出が挙げられる。スライディングモードオブザーバ、票決ベースのアルゴリズム、パリティ空間アプローチ、およびパラメータ識別も、使用されることができる。障害はまた、直接、例えば、航空機のエフェクタの回転速度を監視することによって、または航空機のエフェクタが引き込む電流の量を監視することによって、検出され得る。他の例として、航空機を監視し、障害が観察されると、信号を航空機に送信することができる、操縦者を立ち会わせることが挙げられる。
【0146】
いくつかの障害検出方法は、ある遅延後のみ、障害を検出し得、それは、航空機が障害が認識されるときに意図されるものとかけ離れた状態にあり得ることを意味する。障害物との衝突等のあるイベントも、航空機を予期されるものとかけ離れた状態にさせる傾向となるであろう。それにもかかわらず、本発明は、航空機が恣意的初期状態から回復することを可能にし得る。特定の航空機構成(質量、障害によって影響されない残りのエフェクタ等)に応じて、航空機は、障害後、ホバリング点に戻ること、または空間を自由に動き回ることが可能であり得る。代替として、位置を制御する代わりに、開示される発明は、障害後、(例えば)好ましい方法で地面に衝突するように、単に、航空機を向け直すために使用され得る。
【0147】
本発明はまた、操縦者エラーの厳しさを低減させる可能性をもたらし得る。例えば、クワドロコプタの操縦者が、クワドロコプタをある構造物と偶発的に衝突させ、それによって、プロペラのうちの1つを損傷した場合、自動化されたシステム(例えば、障害検出ユニット)は、障害が生じ、航空機のエフェクタのうちのいくつかが障害によって影響を受けていることを検出し得る。システムは、次いで、内部自動操縦(例えば、緊急制御ユニット)に自動的に従事し、利用可能なセンサを利用して、航空機をホバリングさせるか、または航空機を地面に安全着陸させ得る。
【0148】
(障害検出ユニット)
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、第1の信号を第2の信号と比較するように構築および配置される。これは、例えば、障害検出ユニットと2つ以上の同一タイプのセンサを接続することによって達成され得、2つ以上のセンサは、同様の読み取り値を提供するように構築および配置される。これは、例えば、センサをすぐ近くに、好適な相対的向きを伴って、または好適な相対的位置を伴って搭載することによって達成され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、信号を予期される閾値または範囲と比較するように構築および配置される。例えば、障害検出ユニットは、測定値を温度センサから受信し、これらの測定値を固定時間間隔にわたって平均し、平均をメモリから読み出された範囲と比較し、平均値が範囲外である場合、障害検出を報告し得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、単一構成要素または単一サブシステムの障害を検出するように構築および配置される。これは、例えば、特定の軸の周囲の航空機の移動を検出するようにセンサを搭載することによって、軸の周囲の移動を1つ以上のエフェクタの作用にリンクするモデルを使用することによって;および、センサの読み取り値を表すデータを無障害動作のための予期される範囲または閾値と比較するモデルを使用することによって達成され得る。障害検出ユニットは、次いで、センサの読み取り値を表すデータが予期される範囲外にある場合、または閾値を上回る(もしくは下回る)場合、障害を検出する。いくつかの実施形態では、モデルは、エフェクタコマンドまたは制御信号を含み得る。例えば、モデルは、所与のモータコマンドのためのある加速度計読み取り値を予測し得る。モデルの例として、第1原理モデル、ルックアップテーブル、および相関関数が挙げられる。
【0151】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、通信チャネルを介して受信された信号に基づいて、障害を検出するように構築および配置される。例えば、そのセンサから受信され、通信チャネルを介して転送される測定値に基づいて、別のサブシステムの温度センサ内の障害を検出し得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、1つのサブシステムのセンサ信号を使用して、別のサブシステムの動作を監視し得る。例えば、1つのサブシステム内のジャイロスコープは、他のサブシステムのエフェクタによって生じさせられる特定の軸の周囲の航空機の移動を検出するように搭載され得る。第1のサブシステムは、したがって、他のサブシステムの活動を観察し得る。検出された移動は、値によって表され得る。サブシステムは、次いで、値/検出された移動を予期される値と比較する。予期される値は、例えば、モデルによって、または第1のサブシステムの通常動作制御ユニットから協調ユニットおよび通信チャネルを介して他のサブシステムに送信されるモータコマンドに基づいて、予測され得る。値/検出された移動が、予期される値に対応しない場合、これは、障害が生じたことを示す。別の例として、障害の検出は、値/検出された移動が、所定の安全動作範囲内にあるかどうか、または所定の安全変化率内にあるかどうかを決定することによって行われ得る。
【0153】
障害検出ユニットはまた、多数の他の十分に確立された障害検出方法を実装して、障害が生じたかどうかを検出するように、それが受信する信号を評価し得る。例えば、それは、いくつかのセンサからの冗長情報を比較するアルゴリズムを使用し得;それは、予期されない信号停止を検出するためのウォッチドッグ機能性、CRC等のデータ破損チェック、信号範囲チェック、信号閾値チェック、相関検証を含み得;それは、エフェクタの不足電圧または過電圧、過剰電流、過剰温度、または運動を検出する追加のセンサも含み得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、通常動作制御ユニット内で発生させられる信号を示す信号を協調ユニットから受信する。障害検出ユニットは、次いで、これらの信号を使用して、ローカル信号(例えば、同一サブシステムのもの)を検証し得る。
【0155】
障害が検出されると、障害検出ユニットは、信号(例えば、障害検出信号)を協調ユニットに送信し得る。障害検出信号は、障害のタイプの詳細(例えば、エフェクタ故障)、サブシステムもしくはその構成要素の状態の詳細(例えば、エフェクタのシャットオフ)、または他のサブシステムのための命令(例えば、緊急制御の開始)を含み得る。
【0156】
(通常動作制御ユニット/通常動作制御信号)
通常動作制御ユニット(通常OP制御ユニットとも呼ばれる)は、いくつかの実施形態では、通常動作中、航空機を制御するために使用される。
【0157】
通常動作制御ユニットは、センサ信号に依存して、冗長航空機のエフェクタのための制御信号(通常動作制御信号または通常OP制御信号とも呼ばれる)を発生させる。通常動作制御信号は、典型的には、複数のサブシステムに送信され、いくつかの制御信号は、協調ユニットによって、通信チャネルを介して、別のサブシステムに転送される。
【0158】
通常動作制御ユニットは、従来技術において十分に確立され、広く使用されている、航空機制御法則を実装し得る。そのような制御法則の例として、PID制御、モデル予測制御、スライディングモード制御、フル状態フィードバック、およびバックステッピング制御が挙げられる。制御法則に応じて、通常動作制御ユニットはまた、状態推定アルゴリズムを実装して、冗長航空機の状態をセンサ信号から推定し得る。そのような状態推定アルゴリズムも、従来技術において十分に確立されている。そのような方法の例として、カルマンフィルタリング、拡張カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、アンセンテッドカルマンフィルタリング、および相補フィルタリングが挙げられる。いくつかの実施形態では、状態推定値は、航空機の回転および角速度を含む。通常動作制御ユニットは、次いで、これらの推定値を、例えば、姿勢コントローラ内で使用し得る。いくつかの実施形態では、状態推定器は、回転および並進運動状態の両方を推定する。
【0159】
制御ユニットは、単一エフェクタのための制御信号を計算し得る。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、異なる組のエフェクタのための異なる組の制御信号を計算する。例えば、通常動作制御ユニットは、マスタサブシステムの2つのエフェクタのための第1の制御信号の組と、スレーブサブシステムのための第2の制御信号の組とを計算し得る。別の例として、通常動作中、第1の通常動作制御ユニットは、マスタサブシステムのための第1の制御信号の組を計算し得、第2の通常動作制御ユニットは、スレーブサブシステムのための第2の制御信号の組を計算し得る。
【0160】
1つのサブシステムの通常動作制御ユニットはさらに、別のサブシステムのセンサ信号に関連するデータを使用して、性能を改良し得る。これは、1つ以上の協調ユニットを使用して、そのデータを転送することによって達成され得る。両サブシステムによって保持されるセンサは、典型的には、同一量を表す信号を生成するであろうが、複数のサブシステムのセンサからのデータの組み合わせは、信号品質(例えば、信号対雑音比)を改良し得る。これは、例えば、両信号を合わせてフィルタリングし、雑音を低減させ、外れ値の除外を改良することによって達成され得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、通常動作制御ユニットは、障害が些細なものである限り(例えば、障害が航空機のエフェクタの動作に影響を及ぼさない限り、または障害が冗長構成要素によって補償され得る限り)、障害の検出後でも使用される。
【0162】
いくつかの実施形態では、単一通常動作制御ユニットが、使用される。
【0163】
(緊急制御ユニット/緊急制御信号)
緊急制御ユニットは、いくつかの実施形態では、障害後、航空機の制御を引き継ぐために使用される。緊急制御ユニットは、低性能飛行のための特殊制御法則を実装する。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、人間オペレータからの入力によって、アクティブにされる、非アクティブにされる、または影響を受ける。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、完全または部分的に、自律的である。
【0164】
緊急制御ユニットは、緊急制御信号を発生させる。いくつかの実施形態では、緊急制御信号は、航空機のエフェクタの一部を制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、同一サブシステム内のエフェクタのための緊急制御信号を発生させる。
【0165】
いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、その自由度のうちの1つにおける移動の制御を喪失した航空機を制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、障害によって影響を受けたサブシステムが無効にされると使用される。いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、障害検出ユニットによって検出された任意の障害後に使用される。
【0166】
いくつかの実施形態では、緊急制御ユニットは、そのサブシステムのエフェクタのための制御信号のみを発生させる。緊急制御ユニットは、したがって、航空機を減少数のエフェクタを用いて制御するように特に設計された制御法則を実装し得る。そのような制御法則の例は、本発明に開示される。単一サブシステムが完全に制御された飛行を維持することを可能にする十分な数のエフェクタで構成される冗長マルチコプタ(例えば、各々が4つのプロペラを伴う2つのサブシステムから成る8回転子冗長マルチコプタ)に対して、従来技術において十分に確立され、広く使用されている従来の多回転子制御法則が、緊急制御ユニット内に実装され得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、航空機は、それが、例えば、センサデータ(例えば、>10秒にわたる静止に対応するある範囲内の加速度計読み取り値)に基づいて、状態推定または別のアルゴリズムによって、特殊センサ(例えば、機体の着陸装置上のタッチセンサ)によって、または人間オペレータによって確認されるように、安全に着陸するまで、その障害状態のままであるか、または緊急制御ユニットの制御下にある。いくつかの実施形態では、航空機は、周期的に、その現在の障害状態または緊急制御ユニットの制御下のその動作を再評価する。いくつかの実施形態では、障害は、障害診断(例えば、イベント処理、故障樹分析を使用したシステム障害状態の決定、およびその他)をトリガするために使用され得る。いくつかの実施形態では、障害状態または緊急制御の終了は、航空機100の詳細、その予期される障害モード、実際の障害モード、および他の要因に依存する。いくつかの実施形態では、障害検出ユニットは、障害が検出された後も監視を継続し得、協調ユニットは、障害がもはや存続しなくなると、通常動作に戻るようにトリガし得る。
【0168】
(サブシステムの無効化)
いくつかの実施形態では、サブシステムは、無効にされ得る(例えば、そのサブシステムに属するエフェクタ等のサブシステムの構成要素内に障害がある場合、そのサブシステムは、無効にされ得る)。サブシステムの無効化は、例えば、サブシステムの制御ユニットの動作を停止することによって、サブシステムの電力ユニットをオフにすることによって、または協調ユニットまたはスイッチを使用することによって通信チャネルを介した制御信号の転送を中断することによって、達成され得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニット、電源、または協調ユニット等のサブシステム構成要素は、それらがサブシステムのステータスおよび機能を表すデータを提供し続けることを可能にする、特殊「無効」状態を有し得る。例えば、無効にされたサブシステムの協調ユニットは、依然として、無効にされたサブシステムのセンサ信号を表すデータを別のサブシステムの協調ユニットに転送し得る。別の例として、無効にされたサブシステムの障害検出ユニットは、監視を継続し、障害のステータスに関する更新を提供し得る。
【0169】
(ユニットの組み合わせ)
いくつかの実施形態は、単一または複数の障害検出ユニットと、協調ユニットと、通常動作制御ユニットと、緊急制御ユニットとを含み得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニット、協調ユニット、通常動作制御ユニット、および緊急制御ユニットの一部または全ては、単一もしくは複数の回路基板、単一ボードコンピュータ、または単一マイクロコントローラ上に実装され得る。いくつかの実施形態では、障害検出ユニット、協調ユニット、通常動作制御ユニット、および緊急制御ユニットの一部または全ての動作は、1つ以上のユニットの中に組み合わせられ得る。
【0170】
(通信チャネル/信号)
本発明の実施形態では、航空機は、1つ以上の通信チャネル(有線または無線通信チャネル)を備え得る。最も好ましくは、通信チャネルは、航空機のサブシステム(例えば、第1および第2のサブシステム)の各々に接続される。したがって、通信チャネルは、サブシステム間で通信するために使用されることができる。例えば、好ましい実施形態では、第1のサブシステムは、ある通信チャネルに接続され、第2のサブシステムは、該通信チャネルに接続され、該サブシステム間の通信は、通信チャネルを横断して生じることができる。通信は、サブシステムの協調ユニットによって媒介される。例示的通信チャネルとして、物理的伝送媒体(例えば、単一ワイヤまたはケーブル、2つのワイヤまたはケーブル)、論理的接続(例えば、データソースとデータシンクとの間のリンク)、無線接続(例えば、無線チャネル)が挙げられ、航空機は、これらのチャネルタイプのうちの任意の1つ以上のものを備え得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、コントローラエリアネットワーク(CANバス)、ユニバーサル非同期受信機/送信機(UART)、または集積回路間(ICまたはI2C)バスを使用する。
【0171】
通信チャネルは、1つのサブシステムにおいて発生させられた制御信号(例えば、通常動作ユニットによって計算され、協調ユニットを介して転送される、モータ制御信号)を別のサブシステムに搬送する。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、1つのサブシステムにおいて発生させられた協調信号(例えば、協調ユニットによって計算または転送され、サブシステムもしくはその構成要素のうちの1つのステータスを示す信号)を別のサブシステムに搬送する。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、1つのサブシステムにおいて発生させられた他の信号(例えば、イベントまたは測定された量もしくは測定された環境特性を検出するセンサの出力等のセンサ信号、電源のステータス(または「健全性」)を示す、電源によって発生させられる信号)を別のサブシステムに搬送する。いくつかの実施形態では、制御信号のみが、直接、通信チャネルを介して転送され、他の信号は、協調信号に変換される。
【0172】
本開示では、用語「通信チャネル」および「チャネル」は、限定ではないが、有線等の物理的伝送媒体または論理的接続を含み、通信チャネルはまた、無線通信チャネルでもあり得ることに留意されたい。さらなる変形例では、複数の通信チャネルが、提供される。単数形の用語は、その単数形または複数形の意味(すなわち、「チャネル」)を意味するように使用される。通信チャネルは、単一の一方向チャネル、同一方向に流れるデータを伴う2つの冗長一方向チャネル、反対方向に流れるデータを伴う2つの冗長一方向チャネル、単一の双方向チャネル、2つの冗長双方向チャネル、またはその組み合わせ(複製物を含む)であり得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一方向通信チャネルが、提供される。例として、PWM信号を伝送する有線が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上の双方向性通信チャネルが、提供される。例えば、各々が無線送受信機を備えている、2つの無線接続が、使用され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも2つの有線接続を備え得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも2つの無線接続を備え得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも1つの有線接続および少なくとも1つの無線接続の組み合わせを備え得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、1つ以上の冗長(例えば、バックアップ)通信チャネルが、提供される。例えば、2つの協調ユニットは、2つの別個の通信チャネルを通して同じ信号を送信し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、通信チャネルは、少なくとも5、10、50、または200アクチュエータ信号/秒の伝送スループットを有する。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、最大で200、100、20、または5msの第1の協調ユニットによる信号の送信と第2の協調ユニットによる受信との間の伝送遅延を有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、通信チャネルは、有線接続を使用する。これは、例えば、無線周波数干渉を回避するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、異なる信号伝達を使用する。これは、例えば、雑音に対する感受性を低減させるために有用であり得る。いくつかの実施形態では、双方向性通信チャネルが、肯定応答信号を送信側協調ユニットに返信することによって信号応答を受信する協調ユニットとともに提供される。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、エラー検出またはエラー補正機構を使用する。例として、ECC、CRC、およびチェックサムが挙げられる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
飛行するように動作可能な航空機であって、前記航空機は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有し、
前記第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第1の力を発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタとを備え、
前記第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第2の力を発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタとを備え、
それによって、前記第1または第2のサブシステムは、他のサブシステムの前記1つ以上のエフェクタに頼らずに、前記航空機を飛行させるために選択的に使用可能である、航空機。
(項目2)
前記第1のサブシステムは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサをさらに備え、前記第2のサブシステムは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサをさらに備えている、項目1に記載の航空機。
(項目3)
前記航空機は、前記第1および第2のサブシステムによって共有されている少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサは、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するために構成されている、項目1または2に記載の航空機。
(項目4)
前記第1の飛行モジュールは、
第1のスイッチと、
前記第1のスイッチを制御するための第1の協調ユニットと、
前記第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の通常動作制御ユニットと、
前記第1の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第1の緊急制御ユニットと
を備え、
前記第1のスイッチは、前記第1のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、前記第1のスイッチが前記第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号を前記第1の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、いかなる制御信号も前記第1の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第1の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成され、
前記第2の飛行モジュールは、
第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを制御するための第2の協調ユニットと、
前記第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の緊急制御ユニットと
を備え、
前記第2のスイッチは、前記第2のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタにパスする第1の位置と、前記第2のスイッチが前記第2の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタにパスする第2の位置と、いかなる制御信号も前記第2の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第2の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成されている、項目1〜3のいずれか1項に記載の航空機。
(項目5)
前記第1の飛行モジュールは、少なくとも前記第1のサブシステム内の障害および前記第2のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第1の障害検出ユニットは、前記第1の協調ユニットに接続され、前記第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信し、前記第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第1の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害を示す前記第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第1の協調ユニットは、前記第2のサブシステム内の障害を示す前記第1の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように前記第2の協調ユニットをトリガするように構成されている、項目4に記載の航空機。
(項目6)
前記第2の飛行モジュールは、少なくとも前記第2のサブシステム内の障害および前記第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第2の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第2の障害検出ユニットは、前記第2の協調ユニットに接続され、前記第2のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第2の協調ユニットに送信し、前記第1のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第2の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第2の協調ユニットは、前記第2のサブシステム内の障害を示す前記第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第2の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害を示す前記第2の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記機体が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第3の位置に切り替えるように前記第1の協調ユニットをトリガするように構成されている、項目4または5に記載の航空機。
(項目7)
前記第1の飛行モジュールは、少なくとも前記第1のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第1の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第2の飛行モジュールは、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタを動作させるための制御信号を発生させるように動作可能な第2の通常動作制御ユニットをさらに備え、前記第2のスイッチがその第2の位置にあるとき、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされることが可能であり、
前記第1の協調ユニットは、前記第1のサブシステム内の障害が検出されたことを示す前記第1の障害検出ユニットからの信号を受信すると、前記第2のスイッチをその第2の位置に切り替えるように前記第2の協調ユニットを前記第1の協調ユニットがトリガするように構成され、それによって、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号は、第1および第2の1つ以上のエフェクタにパスされ、それによって、前記第1および第2の1つ以上のエフェクタは、前記第2の通常動作制御ユニットによって発生させられる制御信号のみによって制御される、項目4に記載の航空機。
(項目8)
前記第1のサブシステム内の障害は、前記第1の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害であり、前記第2のサブシステム内の障害は、前記第2の1つ以上のエフェクタのうちの少なくとも1つ内の障害である、項目5−7のいずれか1項に記載の航空機。
(項目9)
前記第1および第2のサブシステムは、1つ以上の通信チャネルを介して動作可能に接続され、
前記第1の協調ユニットは、前記通信チャネル内の障害が検出されると、前記航空機が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成されている、項目4−8のいずれか1項に記載の航空機。
(項目10)
前記第1の協調ユニットは、前記第1の協調ユニットが所定の期間内に前記第2の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、前記航空機が前記第1のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第2のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成され、
前記第2の協調ユニットは、前記第2の協調ユニットが所定の期間内に前記第1の協調ユニットからのいかなる信号も受信しないと、前記航空機が前記第2のサブシステムのみを使用して飛行させられるように、前記第2のスイッチをその第2の位置に切り替え、前記第1のスイッチのその第3の位置への切り替えをトリガするように構成されている、項目4−9のいずれか1項に記載の航空機。
(項目11)
前記第1および第2のサブシステムは、マスタ−スレーブ構成で配置され、前記第1のサブシステムは、前記マスタであり、前記第2のサブシステムは、前記スレーブである、項目1〜10のいずれか1項に記載の航空機。
(項目12)
第3のサブシステムをさらに備え、前記第3のサブシステムは、
前記航空機を飛行させるために十分な力を発生させるために選択的に動作可能な第3の1つ以上のエフェクタと、
第3の飛行モジュールと
を備え、
前記第3の飛行モジュールは、
第3のスイッチと、
前記第3のスイッチを制御するための第3の協調ユニットと、
を備え、
前記第3のスイッチは、前記第3のスイッチが前記第1の通常動作制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすること、または前記第2の緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすることを行う第1の位置と、前記第3のスイッチが前記緊急制御ユニットによって発生させられる前記制御信号を前記第3の1つ以上のエフェクタにパスすることが可能な第2の位置と、いかなる制御信号も前記第3の1つ以上のエフェクタにパスされないように前記スイッチが開放されている第3の位置との間で前記第3の協調ユニットによって選択的に切り替えられることが可能なように構成されている、項目1〜11のいずれか1項に記載の航空機。
(項目13)
前記第3の飛行モジュールは、少なくとも前記第3のサブシステム内の障害を検出するように構成されている第3の障害検出ユニットをさらに備え、
前記第3の障害検出ユニットは、前記第3の協調ユニットに接続され、前記第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第3の協調ユニットに送信し、前記第3のサブシステム内の障害の検出時、信号を前記第1の協調ユニットに送信するように構成され、
前記第3の協調ユニットは、前記第3のサブシステム内の障害を示す前記第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記第3のスイッチをその第3の位置に切り替えるように構成され、
前記第3の協調ユニットは、前記第3のサブシステム内の障害を示す前記第3の障害検出ユニットからの信号の受信時、前記第1の緊急制御ユニットによって発生させられる制御信号が、前記第1のサブシステムの前記第1の1つ以上のエフェクタと、前記第2のサブシステムの前記第2の1つ以上のエフェクタとにパスされるように、前記第1のスイッチをその第2の位置に切り替えるように前記第1の協調ユニットをトリガするようにさらに構成されている、項目12に記載の航空機。
(項目14)
前記第1のサブシステムは、
前記第1の1つ以上のセンサからの出力をそれぞれの所定の値と比較し、前記第1の1つ以上のセンサからの出力が前記それぞれの所定の値と等しくない場合、障害が前記第1または第2のサブシステム内で生じたことを決定する手段をさらに備えている、項目1〜13のいずれか1項に記載の航空機。
(項目15)
前記航空機の移動の1つ以上の特性を感知するように動作可能な1つ以上のセンサをさらに備え、
前記第1の飛行モジュールは、前記航空機に所定の様式で移動させる所定の制御信号を前記第2の1つ以上のエフェクタに選択的に送信可能なように構成され、
前記第1の飛行モジュールは、1つ以上の出力を前記1つ以上のセンサから受信し、それらの受信された出力を使用して、前記航空機が前記所定の様式で移動しているかどうかを決定するように構成され、
前記第1の飛行モジュールは、前記第1の飛行モジュールが前記航空機が前記所定の様式で移動していないことを決定する場合、前記第2のサブシステム内の障害が生じたことを決定するように構成されている、項目1〜14のいずれか1項に記載の航空機。
(項目16)
モジュール式であるように構成され、前記第1のサブシステムおよび第2のサブシステムの各々は、前記第1および第2のサブシステムが機械的に取り外し可能に接続可能なように構成されている接続手段を備えている、項目1〜15のいずれか1項に記載の航空機。
(項目17)
前記第1の1つ以上のエフェクタは、第1の方向に回転するように構成されているプロペラを備え、前記第2の1つ以上のエフェクタは、前記第1の方向と反対の第2の方向に回転するように構成されているプロペラを備えている、項目1〜16のいずれか1項に記載の航空機。
(項目18)
飛行するように動作可能な航空機であって、前記航空機は、動作可能に接続されている少なくとも第1および第2のサブシステムを有し、
前記第1のサブシステムは、第1の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第1の力および第1のトルクを発生させるために選択的に動作可能な第1の1つ以上のエフェクタと、外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第1の1つ以上のセンサとを備え、
前記第2のサブシステムは、第2の飛行モジュールと、前記航空機を飛行させるために十分な第2の力および第2のトルクを発生させるために選択的に動作可能な第2の1つ以上のエフェクタと、前記外部基準系に対する前記航空機の少なくとも位置、向き、または速度を感知するための第2の1つ以上のセンサとを備え、
それによって、前記第1のサブシステムは、前記第2のトルクなしに、前記外部基準系に対して前記結果として生じる第1の力の方向の向きを制御するために選択的に使用可能であり、前記第2のサブシステムは、前記第1のトルクなしに、前記外部基準系に対して前記結果として生じる第2の力の方向の向きを制御するために選択的に使用可能である、航空機。
(項目19)
コスチュームが取り付けられることが可能な支持構造をさらに備えている、項目1〜18のいずれか1項に記載の航空機。
(項目20)
前記支持構造に取り付けられているコスチュームをさらに備えている、項目19に記載の航空機。
(項目21)
前記機体または支持構造上に搭載されている1つ以上の光源をさらに備え、前記1つ以上の光源は、前記コスチューム上に入射するように、光を前記機体から放射するように配置されている、項目20に記載の航空機。
(項目22)
航空機を制御する方法であって、前記航空機は、項目1〜21のいずれか1項に記載の航空機であり、前記方法は、
(1)前記第1のサブシステムにおいて、前記第1および第2のサブシステムのエフェクタのための第1の制御信号の組を計算するステップと、
(2)前記第1の制御信号の組を前記エフェクタの第2のサブシステムに通信するステップと、
(3)前記第1または第2のサブシステム内の障害を検出するステップと、
(4)前記航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出された前記サブシステムのエフェクタを無効にするステップと
を含む、方法。
(項目23)
前記方法は、前記航空機が他のサブシステムのエフェクタのみを使用して飛行させられるように、障害が検出された前記サブシステムを無効にすることを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記障害を被らなかったサブシステムにおいて、第2の制御信号の組を計算するステップをさらに含み、前記第2の制御信号の組は、前記障害を被らなかったサブシステムのエフェクタのみを制御する、項目22または23に記載の方法。
【0178】
本発明の実施形態が、ここで、例のみのとして、以下の図を参照して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0179】
図1図1は、図1は、クワドロコプタの形状における例示的航空機の概略斜視図を示す。
図2A図2Aおよび2Bは、取り外し可能組立接続部を伴い、通信チャネルによって接続される2つのマルチコプタサブシステムを備えている例示的冗長航空機の概略斜視図を示す。
図2B図2Aおよび2Bは、取り外し可能組立接続部を伴い、通信チャネルによって接続される2つのマルチコプタサブシステムを備えている例示的冗長航空機の概略斜視図を示す。
図3図3は、例示的実施形態の機能を説明するために使用されるブロック図を示す。
図4A図4Aは、より複雑な例示的実施形態の機能を説明するために使用されるブロック図を示す。
図4B図4Bは、単一通信チャネルを共有する2つのサブシステムを伴う例示的実施形態を示す。
図4C図4Cは、単一電源を共有する2つのサブシステムを伴う例示的実施形態を示す。
図4D図4Dは、単一通信チャネル、単一電源、および単一共有センサを共有する2つのサブシステムを伴う例示的実施形態を示す。
図5図5は、例示的実施形態における例示的決定プロセスを説明するために使用されるフローチャートを示す。
図6A図6A−6Dは、3つのサブシステムを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用される単一ブロック図(便宜上、構成要素A、B、およびCに分割される)を示す。
図6B図6A−6Dは、3つのサブシステムを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用される単一ブロック図(便宜上、構成要素A、B、およびCに分割される)を示す。
図6C図6A−6Dは、3つのサブシステムを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用される単一ブロック図(便宜上、構成要素A、B、およびCに分割される)を示す。
図6D図6A−6Dは、3つのサブシステムを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用される単一ブロック図(便宜上、構成要素A、B、およびCに分割される)を示す。
図7図7は、3つのサブシステムを伴う例示的実施形態の例示的決定プロセスを説明するために使用されるフローチャートを示す。
図8図8は、2つの一方向性通信チャネルを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用されるブロック図を示す。
図9図9は、2つの一方向性通信チャネルを伴う例示的実施形態における例示的決定プロセスを説明するために使用されるフローチャートを示す。
図10図10は、力およびトルクの作用を説明するために使用される例示的実施形態の概略斜視図を示す。
図11図11は、2つのサブシステムが接合され、クワドロコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される、図2Aおよび2Bに示される例示的実施形態の略図を示す。
図12A図12A−12Cは、2つまたは3つのサブシステムが接合され、ヘキサコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図12B図12A−12Cは、2つまたは3つのサブシステムが接合され、ヘキサコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図12C図12A−12Cは、2つまたは3つのサブシステムが接合され、ヘキサコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図13A図13A−13Dは、2つのサブシステムが接合され、オクトコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図13B図13A−13Dは、2つのサブシステムが接合され、オクトコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図13C図13A−13Dは、2つのサブシステムが接合され、オクトコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図13D図13A−13Dは、2つのサブシステムが接合され、オクトコプタである航空機を作成し得る方法を説明するために使用される略図を示す。
図14図14は、本発明と共に使用され得る航空機の別の例示的実施形態を示す。
図15図15は、本発明と共に使用され得る航空機の別の例示的実施形態を示す。
図16図16は、コスチュームが取り付けられる支持構造および照明具を装備する航空機の別の例示的実施形態を示す。
図17図17は、異なる形状/設計のコスチュームを装備する航空機の別の例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0180】
図1は、航空機100を示す。それは、中心筐体124と、4つの堅く取り付けられたアーム126とを伴うクワドロコプタの形状で実現される。エフェクタ102は、各アーム126の遠位端に搭載される。ここでは、エフェクタ102は、プロペラ104を作動させるモータ106である。プロペラの回転軸(「駆動軸」110)は、航空機100に対して固定される。4つのプロペラは、全てが同じ回転方向108(または「巻き方(handedness)」)を有するわけではない。2つのプロペラは、反時計回り方向に回転し、他の2つは、時計回り方向に回転する。航空機の質量中心120およびその主本体軸122も、示される。
【0181】
図2Aは、冗長マルチコプタである冗長航空機100の実施形態を示す。それは、飛行中に見られるであろうように、互いに堅く取り付けられる2つのマルチコプタサブシステム250a、250bを備えている。第1のサブシステム250aは、第1の飛行モジュール240aを含み、第2のサブシステム250bは、第2の飛行モジュール240bを含む。2つのサブシステム250a、250bは、2つのケーブル210.1および210.2から成る物理的冗長通信チャネル210によって接続される。
【0182】
図2Bは、互いから取り外され、通信チャネル210.1および210.2によってのみ接続されている、2つのサブシステム250a、250bを伴う、図2Aの冗長航空機100を示す。動作中、両サブシステム250a、250bは、互いに堅く取り付けられる。しかしながら、図2Bに図示されるような取り外しは、輸送中または保守のために有用であり得る。それは、2つのサブシステムの各々が自給式であるように構築および配置され得る方法もさらに図示する。
【0183】
本実施形態では、2つのサブシステム250a、250bの各々は、他のサブシステムが無効にされた状態で航空機100を飛行させることが可能である(すなわち、各サブシステム250a、250bは、他のサブシステム250b、250aのエフェクタ102を伴わずに、航空機100を飛行させるために要求されるリフトおよび安定化制御を提供することが可能であり、無効にされたサブシステムは、ペイロードとなる)。これは、2つのサブシステム250a、250bの各々に、電源、エフェクタ、センサ、および飛行モジュールを備えさせることと(いずれも図示せず)、従来技術において公知の標準的制御法則または以下に開示される制御法則を使用して航空機100が制御可能であるように構築および配置された各サブシステムのセンサおよびエフェクタを有することとによって、達成される。
【0184】
図3は、図2に示される例示的実施形態における信号フローを説明するために使用されるブロック図を示す。矢印は、信号フローを示す。詳細なセンサ信号フローは、明確にするために図3では省略されていることに留意されたい。本実施形態では、1つのサブシステム250aは、マスタとして指定され、他のサブシステム250bは、スレーブとして指定される。ここでは、各サブシステムは、それ自身の電源360a、360bと、エフェクタ102a、102bと、センサ300a、300bと、飛行モジュール240a、240bとを備えている。マスタの飛行モジュール240aは、協調ユニット350aと、通常動作制御ユニット310aと、緊急制御ユニット320aと、障害検出ユニット330aと、スイッチ340aとを備えている。スレーブの飛行モジュール240bは、協調ユニット350bと、緊急制御ユニット320bと、障害検出ユニット330bと、スイッチ340bとを備えている。本実施形態では、スレーブは、通常動作制御ユニット310bを要求しないことに留意されたい。本実施形態はさらに、2つの一方向性通信チャネル210.1、210.2を備えている(チャネルは、この信号フロー図には示されない)。第1の通信チャネル210.1は、信号をマスタの協調ユニット350aからスレーブの協調ユニット350bに通信する。第2の通信チャネル210.2は、信号をスレーブの協調ユニット350bからマスタの協調ユニット350aに通信する。
【0185】
マスタの協調ユニット350aは、マスタのスイッチ340aを制御する。スイッチ340aは、マスタの通常制御動作ユニット310aからマスタのエフェクタ102aへの制御信号の転送と、マスタの緊急制御ユニット320aからマスタのエフェクタ102aへの制御信号の転送と、マスタサブシステム250aにおける転送を無効にするために使用され得る「オフ」位置との間で切り替える。
【0186】
スレーブの協調ユニット350bは、スレーブのスイッチ340bを制御する。スイッチ340bは、マスタの通常制御動作ユニット310a(協調ユニット350a、350bを介して)からスレーブのエフェクタ102bへの制御信号の転送と、スレーブの緊急制御ユニット320bからスレーブのエフェクタ102bへの制御信号の転送と、スレーブサブシステム250bにおける転送を無効にするために使用され得る「オフ」位置との間で切り替える。
【0187】
協調ユニット350a、350bは、対応するサブシステム250a、250bに障害が生じているかどうかを示し得る障害検出信号をそれらのそれぞれの障害検出ユニット330a、330bから受信し得る。
【0188】
本実施形態では、各障害検出ユニット330a、330bは、それぞれ、そのサブシステムのセンサ300a、300b、エフェクタ102a、102b、電源360a、360b、緊急制御ユニット320a、320b、および協調ユニット350a、350bから信号を受信する(これらの信号は、明確にするために図3では省略されている)。マスタの障害検出ユニット330aは、その障害状態を示す信号をマスタの通常動作制御ユニット310aからも受信し得る(明確にするために図3では省略されている)。
【0189】
各障害検出ユニット330a、330bは、サブシステムの障害状態を表す信号を同じサブシステム250a、250bの一部である協調ユニット350a、350bに送る。
【0190】
各障害検出ユニット330a、330bはまた、それぞれ、そのサブシステムの協調ユニット330a、330bからの信号を受信し得、信号は、通信チャネル210を介する、他のサブシステム330b、330aのセンサ300b、300a、エフェクタ102b、102a、電源360b、360a、緊急制御ユニット320b、320a、協調ユニット330b、330a、または障害検出ユニット300b、330aの障害状態を表すデータを含む(例えば、それぞれ、他のサブシステムの協調ユニット330b、330aから送信される協調信号の一部として)。同様に、スレーブの障害検出ユニット330bも、通信チャネル210を介して、マスタの通常動作制御ユニット310aを表すデータを受信し得る。
【0191】
制御ユニット310a、320a、320bは、信号をそれらのサブシステム内のセンサ300a、300bから受信し(センサ信号は、明確にするために図3では省略されている)し、航空機のエフェクタ102のためのエフェクタ制御信号を計算する。
【0192】
本実施形態では、サブシステムの構成要素は全て、電力をそのサブシステムの電源360から受信する。
【0193】
本実施形態では、マスタの通常動作制御ユニット310aの制御信号は、マスタのセンサ300aのみに基づいて計算される(すなわち、スレーブのセンサ300bのセンサデータは、使用されない)。マスタの緊急制御ユニット320aの制御信号は、マスタのセンサ300aのみに基づいて計算される。スレーブの緊急制御ユニット320bの制御信号は、スレーブのセンサ300bのみに基づいて計算される。
【0194】
図4Aは、2つのサブシステム250a、250bを伴う、冗長航空機の実施形態の概略図である。冗長航空機内の信号フローも、矢印によって略図に図示される。詳細なセンサ信号フローは、明確にするために図4Aでは省略されていることに留意されたい。ここでは、マスタのセンサ300aは、データをマスタの制御ユニット310a、320aならびにマスタの障害検出ユニット330aに提供する。そのようなデータの例として、航空機の移動を表すデータ、障害物までの距離を表すデータ、および地面からの距離を表すデータが挙げられる。さらに、マスタのセンサ300aはまた、信号をマスタの協調ユニット350aに提供し、協調ユニット350aは、信号を表すデータを通信チャネル210を介してスレーブの協調ユニット350bからスレーブの障害検出ユニット330bに転送する。そのような信号の例として、センサの動作ステータスを表すデータ、エラーコード、およびセンサデータが挙げられる。同様に、スレーブのセンサ300bは、データを、スレーブの制御ユニット310b、320bおよび障害検出ユニット330bだけではなく、マスタの障害検出ユニット330aにも提供する。これは、障害検出ユニット330a、330bの両方が、障害に対して、それ自身ならびに他のサブシステムのセンサ300b、300aの両方を監視することを可能にする。
【0195】
本実施形態では図示されないが、同様のアーキテクチャが、マスタおよびスレーブのエフェクタ102a、102bまたはマスタおよびスレーブの電源360a、360bのために実装され得、それは、障害検出ユニット330a、330bの一方または両方が、障害に対して、それ自身ならびに他のサブシステムのエフェクタ102a、102bまたは電源360a、360bの両方を監視することを可能にするであろう。これは、システム診断のために使用され得る追加の情報を提供することによって、冗長航空機の信頼性または安全性をさらに増加させ得る。
【0196】
本実施形態では、図4Aに示される全構成要素は、通常動作中に使用される。特に、緊急制御ユニット320a、320bは両方とも、制御信号を持続的に計算し、障害の場合、対応するエフェクタ102a、102bへのそれらの信号の転送の即時切り替えを可能にする(すなわち、緊急ユニットによって計算される制御信号は、通常動作中、全く使用されない)。通常動作中、これらの制御信号は、計算されるが、スイッチによってブロックされ、エフェクタに転送されない。
【0197】
図4Aに示される実施形態は、第2の通常動作制御ユニット310bも有する。これは、例えば、スレーブの通常動作制御ユニット310bの制御信号をスレーブおよびマスタの協調ユニット350b、350aを介してマスタの障害検出ユニット330aに転送し、これらの制御信号をマスタの通常動作制御ユニット310aによって計算されるマスタの制御信号と比較することによって、信頼性または安全性をさらに増加させるために使用され得る。マスタの制御信号は、マスタの協調ユニット350aによって障害検出ユニット330aに転送されるか、またはマスタの通常動作制御ユニット310aから直接受信されるかのいずれかである。
【0198】
図4Aに示される実施形態は、2つの完全対称サブシステムを有することに留意されたい。したがって、それは、マスタ−スレーブアーキテクチャ(例えば、通常動作中、マスタの通常動作制御ユニットが、エフェクタ102a、102bのための制御信号を計算する)ならびに他のアーキテクチャ(例えば、通常動作中、第1のサブシステムの通常動作制御ユニット310aが、第1のサブシステム250aのエフェクタのための制御コマンドを計算し、第2のサブシステムの通常動作制御ユニット310bが、第2のサブシステム250bのエフェクタのための制御コマンドを計算する)の両方において使用されることができる。
【0199】
図4Bから4Dは、サブシステムがシステム構成要素を共有する2つのサブシステム250a、250bを伴う、本発明による航空機の異なる実施形態の概略図を示す。図4Bでは、冗長航空機は、単一の双方向性通信チャネル210を備えている。この単一双方向性通信チャネル210は、2つのサブシステム250a、250b間で接続され、サブシステム250aおよび250b間の信号の交換のために使用される。
【0200】
図4Cでは、航空機は、単一の電源360を備えている。単一電源は、単一電源が電力を2つのサブシステム250a、250bの各々に提供するように、2つのサブシステム250a、250bの各々に接続される。故に、単一電源は、両サブシステムによって共有される。別の実施形態では、単一電源は、電力をそれが接続されるサブシステム250a、250bに排他的に提供するように、2つのサブシステム250a、250bのいずれかに選択的に接続される。電源は、システム内の単一障害点となるであろうが、十分に高レベルの信頼性を達成する電源(例えば、非常に高信頼性の構成を使用するので、または内部冗長性機構を含むので)は、他のシステム設計制約(例えば、重量、サイズ、コスト)により、そのような設計決定を正当化し得る。
【0201】
図4Cに図示される実施形態の変形例では、航空機は、2つのサブシステム250a、250bによって共有される単一の組の高信頼センサまたは単一の高信頼中央処理ユニットを備え得る。図4Dは、図4Cに示されるような電源に加え、追加のセンサ300cも、両サブシステム250a、250bによって共有される、冗長航空機の概略図を示す。共有センサ300cに加え、サブシステム250aは、サブシステム250aによって排他的に使用されるそれ自身のセンサ300aを有し、サブシステム250bは、サブシステム250bによって排他的に使用されるそれ自身のセンサ300bを有する。言い換えると、センサ300a、300bは、共有されない。いくつかの実施形態では、共有センサのみが、サブシステム(図示せず)の制御下で航空機を飛行させるときに使用される。いくつかの実施形態では、第1のサブシステムに排他的に属するエフェクタのみが、第1のシステムのエフェクタを排他的に使用して機体が飛行させられるように(すなわち、飛行のために第2のサブシステム250bのエフェクタまたはセンサを使用しない)、航空機を飛行させるために選択的に使用されるか、または第2のサブシステム250bに排他的に属するエフェクタのみが、第2のシステムのエフェクタを排他的に使用して機体が飛行させられるように(すなわち、飛行のために第1のサブシステム250aのエフェクタまたはセンサを使用しない)航空機を飛行させるために選択的に使用される。また、別の例では、冗長航空機は、サブシステム250a、250bの1つのみに排他的に属するセンサを動作させるように構成され得る。例えば、飛行中、第1のサブシステム250aのセンサのみが、飛行中動作可能であり得るか、または飛行中、第2のサブシステム250bのセンサのみが、飛行中動作可能であり得る。システムはまた、任意のある時間において、サブシステム250a、250bのうちの1つのみのセンサが動作可能であるように、第1および第2のサブシステム250a、bのセンサの排他的動作間で切り替え得る。そのようなアーキテクチャは、1つ以上の共有センサまたはセンサの組のどちらも高信頼性である場合、またはあるセンサタイプの2つのセンサまたはセンサの組の使用が不可能である場合(例えば、センサが、非常に高価である、重い、もしくは大きいので、または超音波センサ等の複数のセンサが干渉するであろうため)、有益であり得る。
【0202】
共有電源または共有センサもしくは共有センサの組の出力は、次いで、それ自身のものであるかのように、各サブシステムによって使用され得る(当業者に明白であろうように、障害の場合、サブシステムまたはサブシステムの構成要素を無効にするために設計される特定のサブシステムのチェックおよびプロセスなしにもかかわらず)。例えば、共有電源(緊急動作のために要求される)および共有奥行知覚センサ(緊急動作のために要求されない)を伴う、ある実施形態では、通常動作中、各サブシステムは、共有電源からの電力を使用して、サブシステムの電子機器およびアクチュエータに給電し得、各サブシステムは、共有奥行知覚センサによって提供されるデータを使用して、共有3Dマッピングタスクの一部も行い得る。第1のサブシステムが障害の結果としてシャットダウンし、第2のサブシステムがマルチコプタを制御する緊急動作中、第2のサブシステムは、同一の以前共有電源からの電力を使用し得るが、動作(例えば、緊急着陸)のために共有センサによって提供されるデータをもはや要求しないであろう。
【0203】
図5は、図3に示されるそれのような信号フローを伴う実施形態のための例示的決定プロセスを示す。破線矢印は、状態間の遷移を示し、途切れのない矢印は、信号フローを示す。
【0204】
この例示的実施形態では、マスタのスイッチ340aは、3つの位置、すなわち、マスタの通常動作制御ユニット310aの信号をマスタのエフェクタ102aに転送するための第1の位置(「1」)と、マスタの緊急制御ユニット320aの信号をマスタのエフェクタ102aに転送するための第2の位置(「2」)と、いかなる制御信号もマスタのエフェクタ102aに転送しない第3の位置(「3」)とを有する。スレーブのスイッチ340bは、3つの位置、すなわち、マスタの通常動作制御ユニット310aの信号(マスタの協調ユニット350a、通信チャネル210、およびスレーブの協調ユニット350bを介して受信される)をスレーブのエフェクタ102bに転送するための第1の位置(「1」)と、スレーブの緊急制御ユニット320bの信号をスレーブのエフェクタ102bに転送するための第2の位置(「2」)と、いかなる制御信号もスレーブのエフェクタ102bに転送しない第3の位置(「3」)とを有する。
【0205】
開始510において、マスタ250aは、通常動作520aに入る。
【0206】
(通常動作)
通常動作中、航空機100は、マスタの飛行モジュール240aによって制御される。マスタの通常動作制御ユニット310aは、マスタのエフェクタ102aおよびスレーブのエフェクタ102bのために制御信号を提供する。
【0207】
障害が検出されない限り、マスタは、状態520(通常動作)、530a(マスタ内の障害の監視)、および540a(スレーブ内の障害の監視)にある。マスタのエフェクタ102aのための制御信号は、マスタのスイッチ340aを介して転送される。スレーブは、状態570b(通常動作、スレーブのエフェクタ102bのための制御信号がマスタからフィードされる)、530b(スレーブ内の障害の監視)、および540b(マスタ内の障害の監視)にある。スレーブに対して、マスタからの制御信号のフィードは、マスタの通常動作制御ユニットの制御信号を、マスタの協調ユニット350a、第1の通信チャネル210.1、スレーブの協調ユニット350b、およびスレーブのスイッチ340bを介して、スレーブのエフェクタ102bに転送することによって達成される。
【0208】
したがって、通常動作中、連続障害監視が、マスタおよびスレーブの障害検出ユニット330a、330bによって行われる。マスタの障害検出ユニット330aは、マスタ530aの障害およびスレーブ540aの障害を監視する。スレーブの障害検出ユニット330bは、スレーブ530bの障害およびマスタ540bの障害を監視する。障害が検出されない場合、通常動作が続く。
【0209】
通常動作は、マスタおよびスレーブの緊急制御ユニット320a、320bを要求しない(存在する場合、スレーブの通常動作制御ユニット310bも要求しない)が、それにもかかわらず、それらの制御信号をエフェクタに転送せずにこれらのユニットを動作させることが望ましくあり得る。代わりに、これらの制御信号は、障害検出ユニットに転送され得、障害検出ユニットは、次いで、それらを互いの間で比較するか、それらを他の制御信号と比較するか、またはそれらをモデルと比較し得る。これは、(1)その動作性を検証することを可能にし得る。それらの信号をスイッチを通して転送せずにこれらのユニットを動作させることは、(2)必要性が生じた場合、異なるサブシステム250a、250bの動作に瞬時に切り替える「ホットスタート」能力も提供し得る。同一目的(1)および(2)のために、スレーブの通常動作制御ユニット310bによって発生させられる制御信号は、存在する場合、障害検出ユニットに転送され得る。エフェクタへの制御信号の無転送は、例えば、協調ユニットおよびスイッチを使用することによって達成され得る。代替として、協調ユニットは、例えば、複数のスイッチを使用して、必要に応じて、制御ユニットをオンおよびオフに選択的に切り替え得る。同様に、制御ユニットから障害検出ユニットへの制御信号の転送は、協調ユニットおよびスイッチの組み合わせを使用して達成され得る。
【0210】
通常動作中、スイッチ位置は、マスタに対して1、スレーブに対して1である(すなわち、マスタのスイッチ340aは、その第1の位置にあって、スレーブのスイッチ340bは、その第1の位置にある)。
【0211】
マスタによって検出されたマスタ障害(530a):マスタの障害検出ユニット330aが、マスタの障害530aを検出する場合、マスタ250aは、状態550aに入るであろう。それは、障害検出ユニット330aによって発生させられ、マスタの協調ユニット350aおよび通信チャネル210を介して、スレーブの協調ユニット350bに通信される信号をスレーブ250bに送信するであろう。この信号の結果、スレーブは、その緊急動作モード状態560bに入るであろう。これは、スレーブの協調ユニット350bが信号をスイッチ340bに送信することによって達成され、スイッチ340bは、次いで、スレーブの緊急制御ユニット320bの制御信号をスレーブのエフェクタ102bに転送するであろう。スレーブのエフェクタ102bは、したがって、スレーブの緊急制御ユニット320bによって制御される。スレーブは、替えを確認する対応する確認信号をマスタに返信する。
【0212】
マスタ250aは、マスタの協調ユニット350aが切り替え信号をマスタのスイッチ340aに送信し、マスタのエフェクタ102aへの制御信号の転送を停止することによって無効にされる。航空機100は、現時点で、マスタのエフェクタ102aが無効にされた状態で、スレーブのエフェクタ102bのみによって飛行させられる。スレーブは、現時点で、状態560bにある。マスタは、現時点で、状態530aおよび550aにある。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して3、スレーブに対して2である。
【0213】
マスタによって検出されたスレーブ障害540a:マスタの障害検出ユニット330aが、スレーブ540aの障害を検出する場合、マスタは、その緊急動作モード560aに入り、信号をスレーブの協調ユニット350bに送信し、そのスイッチ340bを使用して、スレーブのエフェクタ102bを無効にするであろう。スレーブは、現時点で、状態550bにある。それは、対応する確認信号をマスタに返信する。航空機100は、現時点で、スレーブのエフェクタ102bが無効にされた状態で、マスタのエフェクタ102aのみによって飛行させられる。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して2、スレーブに対して3である。
【0214】
スレーブによって検出されたスレーブ障害530b:同様に、スレーブの障害検出ユニット330bが、スレーブ530bの障害を検出する場合、スレーブ250bは、状態550bに入るであろう。それは、信号をマスタ250aに送信し、スレーブのエフェクタ102bを無効にするであろう。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して2、スレーブに対して3である。
【0215】
スレーブによって検出されたマスタ障害540b:スレーブの障害検出ユニット330bが、マスタ540bの障害を検出する場合、スレーブは、その緊急動作状態560bに入るであろう。それは、対応する信号をマスタの協調ユニット350aに送信し、マスタのエフェクタ102aへのマスタの制御信号の転送を無効にするであろう。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して3、スレーブに対して2である。
【0216】
(通信チャネルの障害)
本発明によって軽減され得る別の障害モードは、対応する信号(例えば、協調信号、制御信号)を伴う一方向性または双方向性通信チャネル210.1、210.2のうちの1つの障害に関する。
【0217】
2つの双方向性通信チャネル210.1、210.2のうちの1つに影響を及ぼす単一障害は、マスタサブシステム250aとスレーブサブシステム250bとの間の通信を損なわせず、通信は、依然として、第2の通信チャネル210.2、210.1を頼ることができる。したがって、2つの協調ユニット350a、350bは、緊急モードに入ることによって障害に反応しなくてもよく、代わりに、マスタの通常動作ユニットの制御下で継続し得る。2つの協調ユニット350a、350bのうちの1つの伝送ポートまたは受信ポートに影響を及ぼす単一障害は、双方向性通信チャネル210.1、210.2のうちの1つの障害として処理されることができる。いくつかの実施形態では、そのような障害は、ループバックを使用して検出され得る。例えば、CANドライバ/受信機ループバックまたは自己診断機能が、通信チャネルを使用または妨害せずに通信チャネルの機能をチェックするために使用され得る。
【0218】
2つの一方向性通信チャネル210.1、210.2、単一伝送ポート、または単一受信ポートのうちの1つに影響を及ぼす単一障害は、2つの協調ユニット350a、350bのうちの1つがデータを他の協調ユニット350b、350aからもはや受信しない結果となるであろう。この障害は、欠陥のある通信チャネル上で伝送している協調ユニットのサブシステムに関連付けられたエフェクタのうちの1つの障害として処理されることができ、欠陥のある通信チャネルは、上記の530a、530b、540a、540bに概略されたものに類似する障害モードをもたらす。
【0219】
例えば、障害が、データをマスタからスレーブに伝送する一方向通信チャネル(またはその関連伝送/受信ポート)に影響を及ぼすと、次いで、スレーブは、その緊急動作モード560bに入り、信号をマスタの協調ユニット350aに送信し、マスタ250aを無効にするであろう。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して3、スレーブに対して2である。
【0220】
逆に、障害が、データをスレーブからマスタに伝送する一方向通信チャネル(またはその関連伝送/受信ポート)に影響を及ぼす場合、マスタの障害検出ユニット330aは、信号の不在を検出し、その緊急動作モード560aに入り、信号をスレーブの協調ユニット350bに送信し、スレーブ250bを無効にするであろう。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して2、スレーブに対して3である。
【0221】
(間接障害検出)
サブシステムの障害はまた、別のサブシステムによって間接的に検出され得る。図3および4に示される実施形態では、これは、例えば、スレーブの障害検出ユニットを使用して、マスタの障害状態を監視することによって達成されることができる。
【0222】
これは、例えば、マスタに通常「ハートビート」信号をスレーブに送信させ(例えば、マスタの協調ユニットによって発生させられ、通信チャネルを通して伝送される)、スレーブにこのハートビートの存在を監視させる(例えば、スレーブの協調ユニットおよび障害検出ユニットを使用して)ことによって達成され得る。ハートビート信号の不在は、次いで、マスタの障害の指示として使用されることができる(例えば、マスタの電源の障害によって生じ得るような)。
【0223】
これは、例えば、(1)マスタ250aにその動作を示すデータをスレーブに送信させ(例えば、マスタの協調ユニット、通信チャネル210、およびスレーブの協調ユニットを介して)、(2)スレーブの障害検出ユニット330bに障害に対するそのデータを監視させ、(3)スレーブの障害検出ユニット330bに、それがマスタ250aの検出された障害を示すマスタからの信号の受信に反応するであろう同じ方法でそのような検出された障害に反応させることによっても達成され得る。
【0224】
前述のいくつかの実施形態は、冗長性を提供するが、各サブシステムの障害検出および協調ユニットならびに第1または第2の通信チャネルを頼る。実施形態はさらに、改良されることができる。例えば、サブシステムの障害検出ユニットは、センサ信号を使用して、別のサブシステムの異常挙動を検出し、障害を検出し、緊急モードをトリガし得る。別の例として、障害検出ユニットは、第1および第2の通信チャネルを介して、ハートビート信号を交換し得る。障害検出ユニットは、次いで、ハートビートの不在を使用して、その緊急モードをトリガし得る。いくつかの実施形態では、モータ制御信号は、ハートビート信号としての役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、ハートビート信号は、サブシステムが緊急モードに入ると、「無効」信号と置換され得る。
【0225】
要約すると、障害がない場合、航空機のエフェクタ102a、102bは、したがって、マスタの通常動作制御ユニット310aによって制御される。より複雑な実施形態では、複数の通常動作制御ユニットが、使用され得る。マスタ250aの障害の場合、航空機100は、スレーブ320bによって制御される緊急モードに入り、航空機100は、スレーブのエフェクタ102bのみを使用して完全を飛行させられる。逆に、スレーブ250bの障害の場合、航空機100は、マスタ320aによって制御される緊急モードに入り、航空機100は、マスタのエフェクタ102aのみを使用して完全を飛行させられる。
【0226】
(より複雑な障害例)
スレーブが図4に示されるもの等の通常動作制御ユニットを含むより複雑な実施形態は、障害を軽減するための追加のオプションをもたらし得、追加のオプションは、例えば、障害にかかわらずサブシステムを使用続けることを可能にし得る。
【0227】
例えば、いくつかの実施形態では、マスタのセンサ300aの障害またはマスタの通常動作制御ユニット310aの障害が、軽減され得る。ここでは、マスタの障害検出ユニットが、この障害が生じたことを決定し、障害をマスタの協調ユニットに通信したと仮定される。スレーブのセンサおよび通常動作制御ユニットは、動作可能であり、スレーブおよびマスタの電源、エフェクタ、スイッチ、および協調ユニットも、動作可能であることも仮定される。さらに、マスタのスイッチは、4つの位置、すなわち、マスタの通常動作ユニットの制御信号をマスタのエフェクタに転送する第1の位置と、スレーブの通常動作ユニットの制御信号をマスタのエフェクタに転送する第2の位置と、マスタの緊急制御ユニットの制御信号をマスタのエフェクタに転送する第3の位置と、マスタのエフェクタへの制御信号の転送をブロックする第4の位置(「オフ」スイッチ)とを有すると仮定される。同様に、さらに、スレーブのスイッチは、4つの位置、すなわち、マスタの通常動作ユニットの制御信号をスレーブのエフェクタに転送する第1の位置と、スレーブの通常動作ユニットの制御信号をスレーブのエフェクタに転送する第2の位置と、スレーブの緊急制御ユニットの制御信号をスレーブのエフェクタに転送する第3の位置と、スレーブのエフェクタへの制御信号の転送をブロックする第4の位置(「オフ」スイッチ)とを有すると仮定される。有効動作状態は、マスタによる通常動作(マスタ/スレーブのスイッチに対してスイッチ位置1/1)、スレーブによる通常動作(マスタ/スレーブのスイッチに対してスイッチ位置2/2)、マスタによる緊急動作(マスタ/スレーブのスイッチに対してスイッチ位置3/4)、およびスレーブによる緊急動作(マスタ/スレーブのスイッチに対してスイッチ位置4/3)として要約されることができる。
【0228】
前述の2つの例示的障害モード下(マスタのセンサ300aの障害またはマスタの通常動作制御ユニット310aの障害)、冗長航空機の全エフェクタの制御は、スレーブの通常動作制御ユニットにハンドオーバされる(すなわち、スレーブによる通常動作)。
【0229】
第1の例では、障害がマスタの障害検出ユニットによって検出され、障害軽減プロセスは、マスタの協調ユニットが信号(例えば、マスタの障害検出ユニットによって決定されるような障害のタイプを示すデータを含む)をスレーブの協調ユニットに伝送することによって開始される。第2の例では、障害が、スレーブの障害検出ユニットによって検出され、障害軽減プロセスは、スレーブの協調ユニットが信号(例えば、スレーブの障害検出ユニットによって決定されるような障害のタイプを示すデータを含む)をマスタの協調ユニットに伝送することによって開始される。
【0230】
両例において、スレーブの協調ユニットは、次いで、信号をスレーブのスイッチに送り、スイッチは、次いで、スレーブの通常動作制御ユニットからの制御信号をスレーブのエフェクタに選択的に転送し(スレーブのスイッチ位置2)、マスタの協調ユニットは、信号を送り、マスタのスイッチに、スレーブおよびマスタの協調ユニットを介して受信されたスレーブの通常動作制御ユニットの制御信号をマスタのエフェクタに転送させる(マスタのスイッチ位置2)。したがって、スレーブの通常動作制御ユニットからの信号は、全エフェクタによって受信される一方、マスタの通常動作制御ユニットからの信号は、エフェクタに影響を及ぼさない。マスタの欠陥のあるセンサまたはマスタの欠陥のある通常動作制御ユニットからの信号は、したがって、冗長航空機の飛行にもはや影響しない。
【0231】
図6は、3つのサブシステムを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用されるブロック図を示し、第1のサブシステムは、図6Aに示され、第2のサブシステムは、図6Bに示され、第3のサブシステムは、図6Cに示され、概略が、図6Dに示される。矢印は、信号フローを示す。詳細なセンサ信号フローは、明確にするために図6では省略されていることに留意されたい。第1のサブシステム250aは、マスタとしての役割りを果たし、他の2つのサブシステムは、第1のスレーブ(「スレーブ1」、250b)および第2のスレーブ(「スレーブ2」、250c)としての役割りを果たす。本実施形態では、マスタ250aは、3つの制御ユニット、すなわち、通常動作制御ユニット310aと、第1の緊急制御ユニット610a.1と、第2の緊急制御ユニット610a.2とを備えている。スレーブ1 250bは、第3の緊急制御ユニット610bを備えている。単純な例を図示する本実施形態では、スレーブ2 250cは、制御ユニットを備えていない。なぜなら、単一障害サブシステムの軽減は、マスタサブシステムの障害の場合、スレーブ1の制御ユニットに制御を引き継がせることによって、スレーブ1のサブシステムの障害の場合、マスタの制御ユニットに制御を引き継がせることによって達成されることができるからである。本実施形態では、マスタおよびスレーブ1サブシステム250a、250bは、完全に自給式であり、それらの各々は、それら自身の電源360a、360bと、それ自身のセンサ300a、300bと、それ自身のエフェクタ102a、102bと、それ自身の飛行モジュール240a、240bとを含む。本実施形態では、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2サブシステムは、3つの通信チャネル210を通して信号を交換する。
【0232】
図7は、図6に示されるものに類似する3つのサブシステムを伴う例示的実施形態における例示的決定プロセスを説明するために使用されるフローチャートを示す。破線矢印は、状態間の遷移を示し、途切れのない矢印は、信号フローを示す。
【0233】
本例示的実施形態では、航空機100は、マスタの通常動作制御ユニット310aの制御下(エフェクタ102a、102b、および102cを使用して)、またはマスタの緊急制御ユニット1 610a.1の制御下(例えば、スレーブ1 250b内の障害に起因して、エフェクタ102aおよび102cのみを使用して)、またはマスタの緊急制御ユニット2 610a.2の制御下(例えば、スレーブ2 250c内の障害に起因して、エフェクタ102aおよび102bを使用して)、またはスレーブ1の緊急制御ユニット610bの制御下(例えば、マスタ250a内の障害に起因して、エフェクタ102bおよび102cを使用して)のいずれかで飛行させられる。
【0234】
本例示的実施形態では、マスタのエフェクタ102aのための信号を選択するマスタのスイッチ340aは、4つの位置、すなわち、マスタの通常動作制御ユニット310からの制御信号の転送(位置1)と、マスタの緊急制御ユニット1からの制御信号の転送(位置2)と、マスタの緊急制御ユニット2からの制御信号の転送(位置3)と、任意の制御信号の無転送(位置4、「オフ」スイッチ)とを有する。スレーブ1のエフェクタ102bのための信号を選択するスレーブ1のスイッチ340bは、3つの位置、すなわち、マスタから受信された制御信号の転送(位置1)と、スレーブ1の緊急制御ユニット610bからの制御信号の転送(位置2)と、任意の制御信号の無転送(位置3、「オフ」スイッチ)とを有する。スレーブ2のエフェクタ102cのための信号を選択する、スレーブ2のスイッチ340cは、2つの位置、すなわち、マスタまたはスレーブ1から受信された制御信号の転送(位置1)と、任意の制御信号の無転送(位置2、「オフ」スイッチ)とを有する。
【0235】
ここで図7を参照すると、開始510において、マスタ250aは、通常動作710aを開始し、その通常動作制御ユニット310aを使用して、航空機100のための制御信号を計算する。スレーブ1 250bおよびスレーブ2 250cは、マスタの制御信号を780b、780cを通してそれらのそれぞれのエフェクタ102b、102cにフィードする。マスタに対して、これは、マスタの通常動作制御ユニット310aおよびマスタのスイッチ340a(マスタの協調ユニット350aを使用して、それを位置1に設定することによって)によって発生させられる制御信号をマスタのエフェクタ102aにパスすることによって達成される。スレーブ1 250bに対して、これは、マスタの通常動作制御ユニット310aによって発生させられる制御信号を、マスタの協調ユニット350a、通信チャネル210、スレーブ1の協調ユニット350b、およびスレーブ1のスイッチ340b(スレーブ1の協調ユニット350bを使用して、それを位置1に設定することによって)を介して、スレーブ1のエフェクタ102bにパスすることによって達成される。スレーブ2 250cに対して、これは、マスタの通常動作制御ユニット310aによって発生させられる制御信号を、マスタの協調ユニット350a、通信チャネル210、スレーブ2の協調ユニット350c、およびスレーブ2のスイッチ340c(スレーブ2の協調ユニット350cを使用して、それを位置1に設定することによって)を介して、スレーブ2のエフェクタ102cにパスすることによって達成される。
【0236】
この通常動作中、全てのサブシステムの障害検出ユニット330a、330b、330cは、障害に関して航空機100を持続的に監視する。本実施形態では、マスタの障害検出ユニット330aは、それ自身の障害720a、スレーブ1の障害730a.1、およびスレーブ2の障害730a.2を監視する。スレーブ1の障害検出ユニット330bは、それ自身の障害720bならびにマスタ730bの障害を監視する。スレーブ2の障害検出ユニット330cは、それ自身の障害720cを監視する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、1/1/1である。システムは、したがって、以下の障害状態を有し、対応する措置を伴う。
【0237】
マスタ720aによって検出されたマスタ障害:障害の検出は、状態740aをもたらし、マスタ250aは、マスタ障害が生じたことの信号をスレーブ1 250bに送信する。これは、スレーブ1 250bにその緊急動作状態750bに入らせる。この状態750bでは、スレーブ1 250bは、マスタ250aがそのエフェクタ102aへの制御信号の転送を無効にすべき(すなわち、マスタスイッチ位置4)であることを確認する信号を送信する。状態750bにあるスレーブ1 250bは、その緊急制御ユニット610bを使用して、航空機100のための制御信号を計算し、制御信号は、スレーブ1のスイッチ340bを介して、スレーブ1のエフェクタ102bに転送される(すなわち、スレーブ1のスイッチ位置2)。スレーブ1の緊急制御ユニット610bからの制御信号は、スレーブ1の協調ユニット350b、通信チャネル210、スレーブ2の協調ユニット350c、およびスレーブ2のスイッチ340cを介して、スレーブ2のエフェクタ102cにも転送される(対応するスイッチ位置1を伴う)。本例示的実施形態では、スレーブ2のスイッチ340cは、マスタ250aから生じる制御信号およびスレーブ1 250bから生じる制御信号の転送間で選択するためのスイッチ位置を有していないことに留意されたい。ここでは、この選択は、マスタ250aから生じる制御信号をデフォルトで転送することによって、かつ、そのような信号が受信され、いかなる制御信号もマスタ250aから受信されない場合、スレーブ1からの制御信号のみ転送することによって、スレーブ2の協調ユニット350cによって行われる。この障害例では、航空機100は、したがって、スレーブ1 102bおよびスレーブ2 102bのエフェクタのみを使用する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、4/2/1である。
【0238】
マスタによって検出されたスレーブ1障害730a.1:この状態における障害の検出は、マスタ250aが緊急動作750a.1に入り、対応する障害信号を通信チャネル210を経由してスレーブ1 250bに送信する結果をもたらす。スレーブ1 250bは、状態740bに入り、そのスイッチを位置3(「オフ」)に設定し、確認信号をチャネル210を経由してマスタ250aに送信する。マスタ250aは、現時点で、その第1の緊急制御ユニット610a.1を使用して、航空機100のための制御信号を計算する。航空機100は、マスタおよびスレーブ2のエフェクタのみを使用する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、2/3/1である。
【0239】
マスタによって検出されたスレーブ2障害730a.2:この状態における障害の検出は、マスタ250aが緊急動作750a.2に入り、対応する障害信号を通信チャネル210を経由してスレーブ2 250cに送信する結果をもたらす。スレーブ2 250cは、状態720cおよび(例えば、障害を確認後)そのスイッチを位置2(「オフ」)に設定する状態740cに入り、確認信号を通信チャネル210を経由してマスタ250aに返信する。マスタ250aは、現時点で、その第2の緊急制御ユニット610a.2を使用して、航空機100のための制御信号を計算する。航空機100は、マスタおよびスレーブ1のエフェクタのみを使用する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、3/1/2である。
【0240】
スレーブ1によって検出されたスレーブ1障害720b:この状態における障害の検出は、スレーブ1 250bが状態740bに入る結果をもたらし、それは、対応する障害信号を通信チャネル210を経由してマスタ250aに送信することと、それ自身のスイッチを位置3(「オフ」)に設定することとから成る。マスタ250aは、緊急動作750a.1に入り、その第1の緊急制御ユニット610a.1を使用して、航空機100のための制御信号を計算する。状態750a1では、マスタ250aはまた、信号をスレーブ1 250bに送信し、スレーブ1が無効にされるべきであることを確認する。航空機100は、マスタおよびスレーブ2のエフェクタのみを使用する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、2/3/1である。
【0241】
スレーブ1によって検出されたマスタ障害730b:この状態における障害の検出は、スレーブ1 250bが緊急動作750bに入り、対応する障害信号を通信チャネル210を経由してマスタ250aに送信する結果をもたらす。マスタ250aは、そのスイッチを位置4(「オフ」)に設定し、確認信号を通信チャネル210を経由してスレーブ1 250bに送信する。スレーブ1は、現時点で、その緊急制御ユニット610bを使用して、航空機100のための制御信号を計算する。航空機100は、スレーブ1およびスレーブ2のエフェクタのみを使用する。マスタから生じる制御信号がなく、かつスレーブ1から生じる制御信号がある場合、スレーブ2の協調ユニットは、現時点で、スレーブ2の制御信号をスレーブ2のエフェクタ102cに転送する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、4/2/1である。
【0242】
スレーブ2によって検出されたスレーブ2障害720c:この状態における障害の検出は、スレーブ2 250cが状態740cに入る結果をもたらし、それは、対応する障害信号を通信チャネル210を経由してマスタ250aに送信することと、スレーブ2がそのスイッチを位置2(「オフ」)に設定することとから成る。マスタ250aは、緊急動作750a.2に入り、その第2の緊急制御ユニット610a.2を使用して、航空機100のための制御信号を計算する。航空機100は、マスタおよびスレーブ1のエフェクタのみを使用する。対応するスイッチ位置は、マスタ、スレーブ1、およびスレーブ2に対して、それぞれ、3/1/2である。
【0243】
図8は、2つの一方向性通信チャネルを伴う例示的実施形態の機能を説明するために使用されるブロック図を示す。矢印は、信号フローを示す。詳細なセンサ信号フローは、明確にするために図8では省略されていることに留意されたい。本実施形態では、マスタ250aは、信号をスレーブ250bから受信しない。スレーブの協調ユニット350bは、2つの一方向性通信チャネル210.1、210.2を介して、信号をマスタ250aから冗長に受信する。
【0244】
本例示的実施形態では、マスタのエフェクタ102aのための信号を選択するマスタのスイッチ340aは、3つの位置、すなわち、マスタの通常動作制御ユニット310からの制御信号の転送(位置1)と、マスタの緊急制御ユニットからの制御信号の転送(位置2)と、任意の制御信号の無転送(位置3、「オフ」スイッチ)とを有する。スレーブのエフェクタ102bのための信号を選択するスレーブのスイッチ340bは、3つの位置、すなわち、マスタの通常動作制御ユニット310からの制御信号の転送(位置1)と、スレーブの緊急制御ユニットからの制御信号の転送(位置2)と、任意の制御信号の無転送(位置3、「オフ」スイッチ)とを有する。
【0245】
図9は、図8に示されるもの等の2つの一方向性通信チャネルを伴う例示的実施形態のための例示的決定プロセスを説明するために使用されるフローチャートを示す。破線矢印は、状態間の遷移を示し、途切れのない矢印は、信号フローを示す。マスタおよびスレーブの障害検出ユニット330a、330bは両方とも、それらのそれぞれのサブシステム530a、530bに対する障害監視を行うことができる。しかしながら、マスタ250aは、信号をスレーブ100bから受信しないので、スレーブ障害540aに対して直接監視することができない。代わりに、マスタは、そのセンサ300aの実際の出力を通常動作のためのセンサの予期される出力と比較することによって、スレーブを間接的に監視する。これは、上で概略された障害検出の種々の方法を使用して達成されることができる。別の例として、障害は、(1)マスタがスレーブの移動をトリガするための信号を送信し、(2)マスタがそのセンサを使用して飛行中の機械の移動を監視し、(3)そのセンサによって記録される実際の移動をスレーブへのその信号によってトリガされる所望の移動と比較し、障害が生じたかどうかを決定することによっても検出され得る。
【0246】
本実施形態の全体的アーキテクチャは、上の図3−5に説明されるものに類似し、マスタからスレーブへの冗長一方向性通信チャネルを伴うことに留意されたい。
【0247】
本実施形態では、スレーブの障害検出ユニットは、信号をマスタから受信し、したがって、本開示に説明される障害検出のための対応する方法を使用することができることにも留意されたい。加えて、通信チャネルの冗長性および対応する冗長信号を使用して、マスタの単一障害か、通信チャネル210.1、210.2のうちの1つに影響を及ぼす単一障害かを区別することができる。
【0248】
通常動作中(すなわち、障害の不在下)、スイッチ位置は、マスタに対して1、スレーブに対して1である。
【0249】
マスタによって検出されたマスタ障害530a:マスタの障害検出ユニット330aが、マスタ530aの障害を検出する場合、マスタ250aは、状態550aに入るであろう。それは、障害検出ユニット330aによって発生させられ、マスタの協調ユニット350aおよび通信チャネル210を介して、スレーブの協調ユニット350bに通信される信号をスレーブ250bに送信するであろう。この信号の結果、スレーブは、その緊急動作モード状態900bに入るであろう。これは、スレーブの障害検出ユニットが信号をスレーブの協調ユニット350bに送信することによって達成され、協調ユニット350bは、順に、信号をスイッチ340bに送信し、スイッチ340bは、次いで、スレーブの緊急制御ユニット320bの制御信号をスレーブのエフェクタ102bに転送するであろう。スレーブのエフェクタ102bは、したがって、スレーブの緊急制御ユニット320bの制御信号によって制御される。マスタ250aは、マスタの障害検出ユニットが信号をマスタの協調ユニット350aに送信し、マスタの協調ユニット350aが、順に、マスタのエフェクタ102aへの制御信号の転送を停止させるための切り替え信号をマスタのスイッチ340aに送信することによって無効にされる。航空機100は、現時点で、マスタのエフェクタ102aが無効にされた状態で、スレーブのエフェクタ102bのみによって飛行させられる。スレーブは、現時点で、状態900bにある。マスタは、現時点で、状態530aおよび550aにある。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して3、スレーブに対して2である。
【0250】
マスタによって検出されたスレーブ障害540a:逆に、マスタの障害検出ユニット330aが、スレーブ540aの障害を検出する場合(例えば、本開示に説明される間接障害検出の方法のうちの1つを使用して)、マスタは、その緊急動作モード560aに入り、スレーブのエフェクタ102bを無効にするための信号をスレーブの協調ユニット350bに送信するであろう。スレーブは、現時点で、状態910bにある。航空機100は、現時点で、スレーブのエフェクタ102bが無効にされた状態で、マスタのエフェクタ102aのみによって飛行させられる。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して2、スレーブに対して3である。
【0251】
スレーブによって検出されたスレーブ障害530b:同様に、スレーブの障害検出ユニット330bが、スレーブ530bの障害を検出する場合、スレーブ250bは、状態910bに入るであろう。それは、そのエフェクタ102bを無効にし、マスタの障害検出ユニットがその障害を検出することを可能にするであろう。エフェクタの無効化の詳細は、航空機100の詳細、その予期される障害モード、実際の障害モード、および他の要因に応じて、適合され得る。例えば、エフェクタは、スイッチを使用して制御信号の転送をオフに瞬時に切り替えることによって;スイッチを使用して制御信号の転送をオフに切り替える前に5秒の期間にわたってエフェクタに供給される電力を徐々に低減させることによって;、または、マスタの障害検出ユニットが優れた正確度を伴って障害を検出すること、またはスイッチを使用して制御信号の転送をオフに切り替える前に可能な限り迅速にそれを行うことを可能にする所定の移動を実行することによって無効にされ得る。スレーブの協調ユニットまたは障害検出ユニットは、マスタが障害を正常に検出したことの指示に対しても、マスタから受信される信号を監視し得る。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して2、スレーブに対して3である。
【0252】
スレーブによって検出されたマスタ障害540b:スレーブの障害検出ユニット330bが、マスタ540bの障害を検出する場合、スレーブは、その緊急動作状態900bに入り、その緊急制御ユニット320bからそのエフェクタ102bへの制御信号の転送に切り替えるであろう。この場合、スレーブによる障害検出は、例えば、第1および第2の通信チャネルの両方上のマスタからの信号がないこと対して監視することによって達成され得る。スレーブの障害検出ユニットは、マスタが障害を正常に検出したことの指示に対しても、マスタから受信される信号を監視し得る。この状態のスイッチ位置は、マスタに対して3、スレーブに対して2である。
【0253】
図10は、サブシステムとして使用され得る航空機100の概略斜視図面を示す。図10における航空機100は、2つのエフェクタ102を装備する。2つのエフェクタ102の各々は、プロペラを装備し、プロペラの各々は、同時に、トルクおよび推力の両方を生成する。この機体では、第1および第2のエフェクタ102の各々は、航空機100に対して固定された回転軸を有する。両プロペラは、同一方向108にスピンする。
【0254】
固定ピッチプロペラの形態における2つのエフェクタは、同一方向に回転する。機体の本体に対して固定された座標系1010も、示され、座標系1010は、方向x、y、およびzから成り、それらは、zが主方向1030に沿って指し、xがエフェクタ2からエフェクタ1に指し、yが右手の法則に従うように選定される。
【0255】
この機体では、プロペラによって生成される力ベクトルfTiは、平行であり、機体の主方向1030と平行である。力ベクトルの和は、航空機の結果として生じる推力の方向である。
【0256】
プロペラによって生成されるベクトルτiは、航空機の回転方向に対抗する空気力学的抗力トルクτdによって平衡を保たせられる。この機体に示される配置は、ホバリング時、航空機100に角速度1050でその質量中心120の周りに回転させる。
【0257】
解説を明確にするために、システムについての以下の仮定が、導出のためになされる。これらの仮定は、実践的機体構成のための制御スキームの導出のために合理的であり、実践的かつ適用可能な制御スキームにつながることに留意されたい。
・ 機体本体の質量分布は、慣性の主軸がx、y、およびzに一致し、それによって、以下の成分を伴う、慣性行列Iは、対角であり、成分は、以下である。
【数10】
・ エフェクタは、本体のx軸に沿って搭載されるプロペラであり、各々は、機体の質量中心120から距離lにある。
・ エフェクタは、同じプロペラであり、マルチコプタのそれと比較して取るに足らない質量を有し、その大きさが機体本体のそれと比較して取るに足らない対角慣性行列Iを有し、主方向と平行な軸の周囲を回転する。
【数11】
・ 機体本体の角速度の大きさは、いずれのプロペラの角速度の大きさと比較しても取るに足らないものである。
・ プロペラによって生成される力ベクトルfTiは、平行であり、以下のように本体に固定された座標系で表され得るように、図10に図示されるような機体の主方向1030と平行である。
【数12】
(ベクトルfTiとスカラーfTiとの間の区別に留意されたい)。機体に作用すると仮定される唯一の他の力は、その重量mgである。
・ 機体の質量中心120を通して、主方向1030と垂直に作用する、プロペラによって生成されるトルクベクトルの成分は、図10に図示されるように、yと同一直線上かつ平行である。主方向1030と垂直に作用する成分は、質量中心120から距離lに作用するプロペラの推力ベクトル力fTiのモーメントのみに起因し、xの方向におけるトルク成分はないと仮定される。主方向1030と平行なトルクの成分は、
【数12-1】
であり、プロペラの回転に対抗するための空気力学的反作用抗力トルクによって生じる。したがって、
本体に固定された系で表されるプロペラのトルクベクトルは、
【数13】
である。
・ 機体の回転方向に対抗するように作用する空気力学的抗力トルクτの成分は、τd=(0,0,-τ)であるように、zと平行にのみ作用すると仮定されるであろう(ベクトルτとスカラーτとの間の区別に留意されたい)。
【0258】
再び、ある慣性座標系に対して本体に固定された系の回転をRで表し、本体の角速度をωで表すと、回転行列Rの微分方程式は、
【数14】
であり、式中、ω=(p、q、r)は、機体本体に固定される座標系で表される機体の角速度であり、
【数14-1】
は、
【数15】
のようなクロス積の行列形態である。
機体の向きは、再び、
【数16】
によって説明され、式中、zは、
【数17】
によって与えられる関連付けられた微分方程式を伴う、所定の基準系における主方向1030の方向である。
【0259】
この機体構成に関して、角速度の展開を統制する微分方程式は、以下によって与えられる。
【数18】
【0260】
機体本体に対する、本体に固定された系において表されるプロペラiの角速度は、ωRi=(0,0,ωRi)である(再び、ベクトルωRiとスカラーωRiとの間の区別に留意されたい)。
本方程式の左辺は、角加速度を含み、
【数19】
に単純化される。
【0261】
機体の向きは、角速度成分pおよびqを通して制御される。
【0262】
全トルクの和、すなわち、右辺の最初の項は、プロペラのトルクベクトルと、機体の回転方向に対抗する空気力学的抗力トルクとを含み、
【数20】
となる。
【0263】
最終項は、非慣性系における微分係数をとることにより、系における角運動量の相互結合を表す。この項を展開し、成分を加えると、前述の仮定を前提として、
【数21】
となる。
上式から、方程式をその成分において書き出すと、3つのスカラー微分方程式
【数22】
を得る。
このことから、エフェクタへの制御信号の送信は、x周りの角加速度
【数22-1】
に直接影響を及ぼすことを可能にすることが分かる。それが主方向と垂直な成分を有するので、この直接生成される角加速度は、主方向から線形に独立する。さらに、前述の角加速度
【数22-2】
を通して、角速度qが、達成されることができる。
【0264】
したがって、yに沿う二次方向を通して本体を旋回させることによって、主方向1030の周りの機体の角速度成分(r)と二次方向の周りの機体の角速度成分(q)とは、ここではxである旋回軸の周りに角加速度(したがって、旋回)を生成するように相互作用するであろう。留意すべきことは、二次方向が主方向1030に対して非ゼロ角度に位置し(すなわち、主方向から線形に独立する)、旋回方向が一次および二次方向の両方に対して非ゼロ角度に位置する(すなわち、旋回軸は、両方から線形に独立する)ことである。具体的には、この機体に対して、これは、プロペラがx軸の周りにトルクを生成することはできないが、xに沿う角速度の成分pが影響され得、慣性系に対する主方向の向きが制御されることができることを意味する。同様に、他の機体に対して、これは、前述の影響が、相殺または別様に補償されるのではなく、それらの制御のために積極的に活用され得ることを意味する。
【0265】
さらに、この向きは、角速度成分pおよびqをゼロにし、
【数22-3】
であるように、fT1=fT2であるように、プロペラにコマンドすることによって維持されることができる。機体の角速度は、次いで、主方向1030に沿って指し、向きは、一定となるであろう。
【0266】
主方向に沿った機体の角速度の成分rは、トルク
【数22-4】
および抗力トルクτによって統制されるであろう。抗力トルクは、典型的には、rに伴って単調に増加するであろうため、低速度で
【数22-5】
における非平衡が存在し、それによって、機体は、角速度のこの成分を増加させ、したがって、機体は、主方向の周りに回転する自然な傾向を有するであろう。固定ピッチプロペラに対して、典型的には、推力の大きさfTiと空気力学的反応抗力トルク
【数22-6】
との間に強い線形関係が存在する。
【0267】
機体の並進運動加速は、現時点で、2つの力fT1およびfT2の差異を使用して、主方向の向きを達成および維持し、2つのプロペラ推力の和を使用して、本体に作用する結果として生じる力を達成することによってもたらされることができる。
【0268】
前述の導出は、具体的仮定の下で行われたが、これらの仮定は、実践的機体構成のための制御スキームの導出のために合理的であり、実践的かつ適用可能な制御スキームにつながることに留意されたい。前述の結果は、したがって、より広範な状況に該当し、そのように解釈されるべきである。
【0269】
さらに、使用される具体的制御法則は、変動することができ、極配置を使用する線形二次レギュレータ(LQR)等の線形方法、種々のロバストな制御方法、または非線形制御方法等を使用して導出されることができることが、当業者に容易に明白であろう。
【0270】
図11は、図2A、2B、および10に示され、上で概略された方法を使用して制御可能であり、2つのサブシステムがクワドロコプタである単一冗長航空機を作成するために配置され得る方法を説明するために使用される例示的実施形態の略図を示す。第1のサブシステム250aは、図10に図示される航空機に類似する。それは、時計回り方向にスピンする2つのプロペラを有する。第2のサブシステム250bは、反時計回り方向にスピンする2つのプロペラを有する。これらの2つのサブシステムは、組み合わせられ、標準的クワドロコプタ(「Q1」)の形状における冗長航空機100を形成することができる。
【0271】
図11から13における矢印の同様の陰影は、ともに属するサブシステムを示すことに留意されたい。例えば、クワドロコプタQ1は、矢印がそのプロペラの方向を黒色で示す、第1のサブシステム250aと、矢印がそのプロペラの方向を白色で示す、第2のサブシステム250bとから成る。
【0272】
図12Aから12Cは、2つまたは3つのサブシステムがヘキサコプタである航空機を作成するために配置され得る方法を説明するために使用される略図を示す。
【0273】
図12Aは、スタックされたプロペラを伴う4つのヘキサコプタ構成H1、H2、H3、H4を示す。典型的スタックされたプロペラ配置は、同じサイズを伴い、同一回転軸を共有し、反対方向に回転する対のプロペラを使用する。
【0274】
ヘキサコプタH1は、黒色および白色の対応する矢印色を伴う2つのサブシステムから成る。通常動作中、全エフェクタが、動作可能であり、6つのプロペラによって生成されるトルクのペアリングおよび相殺をもたらす。H1は、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。2つのサブシステムのうちの1つの無効は、非平衡プロペラトルクを伴う航空機をもたらし、それは、本開示に説明される制御方法を使用して制御されることができる。
【0275】
ヘキサコプタH2は、再び、黒色および白色の対応する矢印色を伴う2つのサブシステムから成る。通常動作中、全エフェクタが、動作可能であり、再び、6つのプロペラによって生成されるトルクのペアリングおよび相殺をもたらす。H2は、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。2つのサブシステムのうちの1つの無効は、全プロペラが同一方向にスピンする航空機をもたらし、それは、本開示に説明される制御方法を使用して制御されることができる。
【0276】
ヘキサコプタH3は、黒色、白色、および灰色の対応する矢印色を伴う3つのサブシステムから成る。通常動作中、全エフェクタが、動作可能であり、再び、6つのプロペラによって生成されるトルクのペアリングおよび相殺をもたらす。H3は、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。白色または黒色サブシステムの無効は、非平衡プロペラトルクを伴う航空機をもたらし、それは、本開示に説明される制御方法を使用して制御されることができる。灰色サブシステムの無効は、トルク平衡航空機をもたらし、それは、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。
【0277】
ヘキサコプタH4は、黒色、白色、および灰色の対応する矢印色を伴う3つのサブシステムから成る。通常動作中、全エフェクタが、動作可能であり、再び、6つのプロペラによって生成されるトルクのペアリングおよび相殺をもたらす。H4は、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。3つのサブシステムのうちの任意の1つの無効は、トルク平衡航空機をもたらし、それは、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。
【0278】
図12Bおよび12Cは、個々に配置されるプロペラを伴う4つのヘキサコプタ構成H5、H6、H7、H8を示す。再び、面内および面外におけるプロペラの相対的位置付け、プロペラの回転軸、プロペラのサイズ等の観点から、多くの他の構成も、可能であり、本発明とともに有用に採用されることができる。
【0279】
ヘキサコプタH5は、60度回転された白色サブシステムを伴う、ヘキサコプタH2に対応する。それは、通常動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して、緊急動作中、本開示に説明されるそれらの方法を使用して、制御されることができる。
【0280】
ヘキサコプタH6は、ヘキサコプタH1に対応し、ヘキサコプタH7は、ヘキサコプタH4に対応し、ヘキサコプタH8は、ヘキサコプタH3に対応するが、それぞれ、異なる例示的プロペラ配置を伴う。各々は、通常動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して、緊急動作中、本開示に説明される方法を使用して制御されることができる。
【0281】
前述の例に加え、多くの他の変形例が、可能である。特に、その通常動作モード中に本開示に説明されるもの等の非平衡プロペラを伴うヘキサコプタが、可能であり、本発明とともに有用に採用されることができる。
【0282】
図13Aから13Dは、2つのサブシステムがオクトコプタである航空機を作成するように配置され得る方法を説明するために使用される略図を示す。
【0283】
図13Aおよび13Bは、スタックされたプロペラを伴う4つのオクトコプタ構成O1、O2、O3、およびO4を示す。
【0284】
オクトコプタO1は、各々が典型的クワドロコプタ構成を有する、白色および黒色サブシステムから成る構成を示す。それは、通常動作中ならびに緊急動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。
【0285】
オクトコプタO2は、各々が典型的クワドロコプタ構成を有する、白色および黒色サブシステムから成る典型的構成を示す。それは、通常動作中ならびに緊急動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。
【0286】
オクトコプタO3およびO4の各々は、8つのプロペラを備え、全4つの第1のサブシステムのエフェクタは、それらのそれぞれの推力の周りに同じ巻き方を伴って回転するように構築および配置され、全4つの第2のサブシステムのエフェクタは、それらのそれぞれの推力の周りに同じ巻き方を伴って回転するように構築および配置される。O3およびO4の各々は、通常動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して、緊急動作中、本開示に説明される方法を使用して制御されることができる。
【0287】
図13Cおよび13Dは、個々に配置されるプロペラを伴う4つのオクトコプタ構成O5、O6、O7、およびO8を示す。
【0288】
オクトコプタO5は、異なる例示的プロペラ配置を示し、それは、通常動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して、緊急動作中、本開示に説明される方法を使用して制御されることができる。
【0289】
オクトコプタO6は、オクトコプタO2に対応するが、45度回転される黒色サブシステムを伴う。これは、通常動作中ならびに緊急動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。
【0290】
オクトコプタO7は、再び、オクトコプタO4に対応するが、さらに異なる例示的プロペラ配置を伴う。これは、通常動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して、緊急動作中、本開示に説明される方法を使用して制御されることができる。
【0291】
オクトコプタO8は、再び、オクトコプタO2に対応するが、異なる例示的プロペラ配置を伴う。これは、通常動作中ならびに緊急動作中、従来技術において公知の制御方法を使用して制御されることができる。
【0292】
前述の例に加え、多くの他の変形例が、可能である。特に、3つまたは4つのサブシステムを備えているオクトコプタならびに第WO2014/198642A1号によって開示されるもの等のその通常動作モード中に非平衡プロペラを伴うオクトコプタが、可能であり、本発明とともに有用に採用されることができる。
【0293】
図11−13に概略されるものまたは例示的実施形態に説明されるもの以外の構成も、可能であり、本発明とともに有用に採用されることができる。これらは、異なるサイズを有するプロペラ(例えば、それらを異なる速度で動作させ、全体的雑音放射を低減させるために)、平行であるが、同じではない回転軸(例えば、傾きを伴わずに横方向運動を可能にするために)、異なる回転軸(例えば、傾きを伴わずに横方向運動および雑音放射低減を達成するために)、同じ方向のプロペラ回転(例えば、ある制御モードにおける角回転を増加させるために)、または前述の変形例を用いる構成を含む。
【0294】
図14は、本発明と共に使用され得る航空機の別の例示的実施形態を示す。それは、合計6つのエフェクタと、2つのプロペラ102a.1、102b.1と、翼1400に取り付けられる4つの制御表面102a.2、102a.3、102b.2、102b.3(「フラップ」とも呼ばれる)とを有する。本実施形態は、例えば、以下のサブシステムに分解されることができる。
・ 第1のプロペラ102a.1および2つの制御表面102a.2、102a.3
・ 第2のプロペラ102b.1および2つの制御表面102b.2、102b.3
【0295】
図15は、本発明と共に使用され得る航空機の別の例示的実施形態を示す。それは、合計6つのエフェクタと、2つのプロペラ102a.1、102b.2と、支持構造1500に取り付けられる4つの制御表面102a.2、102a.3、102b.2、102b.3(「フラップ」とも呼ばれる)とを有する。本実施形態は、例えば、以下のサブシステムに分解されることができる。
・ 第1のプロペラ102a.1および2つの制御表面102a.2、102a.3
・ 第2のプロペラ102b.1および2つの制御表面102b.2、102b.3
【0296】
図16は、本発明と共に使用され得る航空機100の別の例示的実施形態を示す。航空機100は、支持構造1611を備えている。この例では、支持構造は、アーム126を備え、それは、エフェクタ102Aを越えて延びている。コスチューム1600が、支持構造1611に取り付けられる。したがって、航空機100が飛行させられると、コスチューム1600も、それとともに飛行するであろう。この特定の実施形態は、特に、舞台公演等のエンターテインメント用途のために有用である。この特定の実施形態では、航空機はさらに、4つのLEDの形態における4つの光源1610を備えている。LEDの各々は、該コスチュームの内側表面に入射するように、光が機体から離れるように放射するように配置される。したがって、LEDは、コスチュームを照明する。本実施形態の変形例では、各LED(光源)は、LEDによって生成される光を収束または発散させ、コスチュームを照明するレンズを具備する。LEDは、飛行モジュール240によって制御され得る。
【0297】
コスチューム1600は、任意の好適な形態をとり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、コスチュームは、支持構造としての役割りも果たし、飛行のために要求される構造安定性、または航空機のエフェクタ、センサ、飛行モジュール、もしくは電力ユニットのための取り付け点を提供する。いくつかの実施形態では、コスチュームは、空気力学的特性を有する(例えば、エアフォイルを提供することによって揚力を発生させ得る)。
【0298】
図17は、図16に図示される航空機と同一特徴の多くを有するが、図16の航空機100内に提供されるコスチューム1600と異なる形状/設計を有するコスチューム1620を装備する航空機100の別の例を示す。
【0299】
本発明のある側面が、特に、その例示的実施形態を参照して図示および説明されたが、形態および詳細における種々の変更が、以下の請求項によって定義された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そこに行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、本発明の範囲を示す前述の説明ではなく、添付の請求項を参照して、あらゆる点において、制限ではなく、例証と見なされることが望ましい。
【0300】
(図における番号)
100 航空機
102 エフェクタ
102a マスタのエフェクタ
102b スレーブ1のエフェクタ
102c スレーブ2のエフェクタ
104 プロペラ
106 モータ
108 プロペラの回転方向
110 駆動軸
120 質量中心
122 主機軸
124 中心筐体
126 アーム
210 通信チャネル
210.1 第1の通信チャネル(一方向性または双方向性)
210.2 第2の通信チャネル(一方向性または双方向性)
240 飛行モジュール
240a 第1の飛行モジュール(マスタ)
240b 第2の飛行モジュール(スレーブ/スレーブ1)
240c 第3の飛行モジュール(スレーブ2)
250a第1のサブシステム(マスタ)
250b 第2のサブシステム(スレーブ/スレーブ1)
250c 第3のサブシステム(スレーブ2)
300a マスタのセンサ
300b スレーブ1のセンサ
300c 共有センサ
300d スレーブ2のセンサ
310a マスタの通常動作制御ユニット
310b スレーブの通常動作制御ユニット
320a マスタの緊急制御ユニット
320b スレーブの緊急制御ユニット
330a マスタの障害検出ユニット
330b スレーブ1の障害検出ユニット
330c スレーブ2の障害検出ユニット
340a マスタのスイッチ
340b スレーブ1のスイッチ
340c スレーブ2のスイッチ
350a マスタの協調ユニット
350b スレーブ1の協調ユニット
350c スレーブ2の協調ユニット
360a マスタの電源
360b スレーブ1の電源
360c スレーブ2の電源
510 開始
520a 通常動作マスタ
530a マスタによるマスタ障害決定
530b スレーブによるスレーブ障害決定
540a マスタによるスレーブ障害決定
540b スレーブによるマスタ障害決定
550a マスタ措置:スレーブに信号伝達し、マスタを無効にする
550b スレーブ措置:マスタに信号伝達し、スレーブを無効にする
560a スレーブ障害に起因してマスタによって開始される緊急動作
560b マスタ障害に起因してスレーブによって開始される緊急動作
570b マスタからスレーブへのフィード
610a.1 マスタの第1の緊急制御ユニット
610a.2 マスタの第2の緊急制御ユニット
610b スレーブ1の緊急制御ユニット
710a 通常動作(マスタ、スレーブ1、スレーブ2)
720a マスタによるマスタ障害決定
720b スレーブ1によるスレーブ1障害決定
720c スレーブ2によるスレーブ2障害決定
730a.1 マスタによるスレーブ1障害決定
730a.2 マスタによるスレーブ2障害決定
730b スレーブによる1マスタ障害決定
740a マスタ措置:スレーブ1に信号伝達し、マスタを無効にする
740b スレーブ1措置:マスタに信号伝達し、スレーブ1を無効にする
740c スレーブ2措置:マスタに信号伝達し、スレーブ2を無効にする
750a.1 スレーブ1障害に起因してマスタによって開始される緊急動作(マスタ、スレーブ2)
750a.2 スレーブ2障害に起因してマスタによって開始される緊急動作(マスタ、スレーブ1)
750b マスタ障害に起因してスレーブ1によって開始される緊急動作(スレーブ1、スレーブ2)
780b マスタからスレーブ1へのフィード
780c マスタからスレーブ2へのフィード
900b マスタ障害に起因してスレーブによって開始される緊急動作
910b スレーブの無効化
1010 本体座標系
1030 主方向
1050 角速度
1400 翼
1500 堅い支持構造
1600 コスチューム
1610 レンズを伴うLED
1620 コスチューム
τ:トルクベクトル
τd:空気力学的トルク
Ti:エフェクタiの推力
mg:航空機の重量
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17