【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の石炭灰混合材料の品質管理方法は、
石炭灰混合材料の品質管理システムを用いて、石炭灰を含む原料を混合して製造される石炭灰混合材料の品質を管理する方法において、
前記品質管理システムは、性状認識部と、前記石炭灰を格納する複数の石炭灰格納部と、記憶部と、決定部と、を備え、
前記性状認識部が、前記石炭灰混合材料の原料となる前記石炭灰に含有される所定の重金属の種類及び該重金属の含有量を含む該石炭灰の性状を認識する工程と、
前記複数の石炭灰格納部のいずれかが、前記性状の認識された前記石炭灰を異なる性状の該石炭灰を混在させて
、かつ異なる性状の該石炭灰を混ぜずに、前記石炭灰格納部に格納される順に並べて配置して格納する格納工程と、
前記記憶部が、前記性状認識部により認識された石炭灰の性状、量及びいずれの前記石炭灰格納部に格納されているかを前記石炭灰格納部に格納された単位ごとに記憶する工程と、
前記決定部が、異なる性状の前記石炭灰を混在させて格納する前記石炭灰格納部を含む前記複数の石炭灰格納部のそれぞれから次に排出される前記石炭灰の前記性状を前記記憶部から取得し、該取得された性状に基づいて、該石炭灰格納部から排出されて前記石炭灰混合材料の原料として用いられる該石炭灰の排出量を該複数の石炭灰格納部のそれぞれについて決定する決定工程と、を含み、
前記決定工程において前記決定部は、該決定部が決定する前記石炭灰の前記排出量に従って該石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される前記所定の重金属の含有量があらかじめ定められた含有上限量以下となるように該排出量を決定することを特徴とする。
【0011】
本発明の石炭灰混合材料の品質管理方法によれば、性状認識部により石炭灰混合材料の原料となる石炭灰に含有される所定の重金属の種類及び該重金属の含有量を含む該石炭灰の性状が認識される。
そして複数の石炭灰格納部のいずれかにより、前記性状の認識された前記石炭灰が異なる性状の該石炭灰を混在させて
、かつ異なる性状の該石炭灰を混ぜずに、石炭灰格納部に格納される順に並べて配置して格納される。
【0012】
そして決定部により、
異なる性状の該石炭灰を混在させて格納する前記石炭灰格納部を含む前記複数の石炭灰格納部
のそれぞれから次に排出される石炭灰の性状に基づいて、石炭灰混合材料の原料として用いられる該石炭灰の排出量がそれぞれの石炭灰格納部について決定される。
【0013】
また当該排出量は、決定部により、当該排出量に従って該石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される所定の重金属の含有量があらかじめ定められた含有上限量以下となるように決定される。
【0014】
これにより、次に排出されるべき石炭灰の重金属の含有量が多い石炭灰格納部の石炭灰と、重金属の含有量が少ない石炭灰格納部の石炭灰とを混ぜることで、重金属の含有量が多い石炭灰格納部の石炭灰のみを用いる場合に比して重金属の含有量を減らすことができる。結果的に、重金属の溶出を抑制するための添加剤の量も減らすことができるので、製造コストの上昇を抑えることができて経済的である。
【0015】
また、石炭灰に含有される所定の重金属の含有量はあらかじめ定められた含有上限量以下となるように決定されるので、石炭灰混合材料からの重金属の溶出を抑えることが可能である。
【0016】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑え、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0017】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記決定工程において前記決定部は、前記記憶部から取得された前記性状に基づいて、該決定部が決定する前記石炭灰の前記排出量に従って排出した場合に得られる石炭灰を原料として用いて製造した場合の前記石炭灰混合材料から溶出する重金属の溶出量を推定し、該推定された溶出量があらかじめ定められた溶出上限量以下となるように前記
複数の石炭灰格納部
のそれぞれからの該排出量を決定す
ることが好ましい。
【0018】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法においては、決定部により、記憶部から取得された性状に基づいて、該決定部が決定する石炭灰の排出量に従って排出した場合に得られる石炭灰を原料として用いて製造した場合の石炭灰混合材料から溶出する重金属の溶出量が推定される。
【0019】
そして決定部により、該推定された溶出量があらかじめ定められた溶出上限量以下となるようにそれぞれの石炭灰格納部からの該排出量が決定される。
【0020】
これにより、決定部が決定しようとする石炭灰の排出量に従って排出した場合に得られる石炭灰を原料として用いて製造した場合に溶出するであろう重金属の量があらかじめ推定されて、当該推定された溶出量があらかじめ定められた溶出上限量以下となるように排出量が決定されるので、石炭灰混合材料からの重金属の溶出を抑えることができる確実性が高まる。
【0021】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑える確実性を高めつつ、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0022】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記品質管理システムは、溶出量受付部を備え、
前記決定工程の前に、前記溶出量受付部が、前記性状の認識された前記石炭灰を原料として用いて製造
された前記石炭灰混合材料について
行われた前記所定の重金属の溶出検査である第1溶出検査
の結果であって、該所定の重金属の溶出量
を含む検査結果の情報の入力を受け付けて、
該溶出量を前記性状と対応付けて前記記憶部に記憶させる
工程を含み、
前記決定工程において前記決定部は、前記
複数の石炭灰格納部
のそれぞれから次に排出される前記石炭灰の前記性状及び該性状に対応付けられた前記溶出量を前記記憶部から取得し、該取得された性状及び溶出量に基づいて、
該複数の石炭灰格納部
のそれぞれからの
前記排出量を決定す
ることが好ましい。
【0023】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、溶出量受付部により、性状の認識された石炭灰を原料として用いて製造
された石炭灰混合材料について
行われた所定の重金属の溶出検査
の結果であって、該所定の重金属の溶出量
を含む検査結果の情報の入力が受け付けられて、性状と対応付けて記憶部に記憶される。
【0024】
そして決定部により、それぞれの石炭灰格納部から次に排出される石炭灰の性状及び該性状に対応付けられた溶出量を記憶部から取得し、該取得された性状及び溶出量に基づいて、それぞれの石炭灰格納部からの該排出量が決定される。
【0025】
これにより、実際に石炭灰混合材料を製造して所定の溶出検査を行った際の、所定の重金属の溶出量が考慮されてそれぞれの石炭灰格納部からの該排出量が決定されるので、石炭灰混合材料からの重金属の溶出を抑えることができる確実性が高まる。
【0026】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑える確実性を高めつつ、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0027】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記記憶部は、前記石炭灰の価格及び前記石炭灰混合材料からの所定の重金属の溶出を抑制するための添加剤の価格を記憶しており、
前記決定工程において前記決定部は、前記排出量に従って該石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される前記所定の重金属の含有量に基づいて前記添加剤の量を決定し、かつ該排出量及び該添加剤の量に基づく該石炭灰及び該添加剤の価格の合計が所定の上限金額以下となるように該排出量及び該添加剤の量を決定す
ることが好ましい。
【0028】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、記憶部に石炭灰及び添加剤を含む石炭灰混合材料の各原料の価格が記憶されている。
【0029】
そして決定部により、排出量に従って該石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される所定の重金属の含有量に基づいて添加剤の量が決定されるとともに、該排出量及び該添加剤の量に基づく該石炭灰及び該添加剤の価格の合計が所定の上限金額以下となるように該排出量及び該添加剤の量が決定される。
【0030】
これにより、石炭灰混合材料の原料の価格を抑えることができるので経済的である。
【0031】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑え、かつ経済性の高い石炭灰混合材料を製造することができる。
【0032】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記品質管理システムはシミュレーション部を備え、
前記格納工程の前に、前記シミュレーション部が、前記石炭灰格納部に格納されている前記石炭灰の前記性状及び量に基づいて、前記
複数の石炭灰格納部
のそれぞれからの将来の該石炭灰の排出量及び排出順をシミュレーションするシミュレーション
工程を含み、
前記シミュレーション部は、該シミュレーション部のシミュレーション結果に従って前記石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される前記所定の重金属の含有量が前記含有上限量以下となるように前記将来の該石炭灰の排出量及び排出順をシミュレーション
し、
前記格納工程の前に、前記決定部
が、前記シミュレーション部のシミュレーション結果と、次に前記石炭灰格納部に格納される前記石炭灰の前記性状及び量とに基づいて、該次に格納される石炭灰を格納させる前記石炭灰格納部を前記複数の石炭灰格納部から選択して決定す
る工程を含むことが好ましい。
【0033】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、シミュレーション部により、石炭灰格納部に格納されている石炭灰の性状及び量に基づいて、石炭灰格納部それぞれからの将来の該石炭灰の排出量及び排出順がシミュレーションされる。
【0034】
また、将来の石炭灰の排出量及び排出順は、シミュレーション部により、シミュレーション結果に従って石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される所定の重金属の含有量があらかじめ定められた含有上限量以下となるようにシミュレーションされる。
【0035】
そして決定部により、シミュレーション部のシミュレーション結果と、次に石炭灰格納部に格納される石炭灰の性状及び量とに基づいて、該次に格納される石炭灰を格納させる石炭灰格納部が複数の石炭灰格納部から選択されて決定される。
【0036】
これにより、将来的に石炭灰に含有される所定の重金属の含有量が含有上限量以下となるように石炭灰を排出し続けられるように、石炭灰を格納する時点でシミュレーションをしたうえで石炭灰格納部に石炭灰を格納するので、実際に石炭灰を排出する際に、石炭灰に含有される所定の重金属の含有量が含有上限量以下となるように石炭灰を排出できる確実性が高まる。
【0037】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑える確実性を高めつつ、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0038】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記品質管理システムは、前記石炭灰混合材料の前記石炭灰以外の原料である複数の他原料をそれぞれ格納する他原料格納部と、
排出制御部と、混練部と、を備え、
前記排出制御部が、前記決定
工程における決定結果に基づいて前記
複数の石炭灰格納部
のそれぞれから前記石炭灰を排出させるとともに、該排出された石炭灰の量に応じて前記他原料格納部から複数の前記他原料を排出させる
工程と、
前記混練部が、前記排出された前記石炭灰と前記他原料とを受け入れて練り混ぜる
工程とを含むことが好ましい。
【0039】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、排出制御部により、決定部の決定結果に基づいてそれぞれの石炭灰格納部から石炭灰が排出されるとともに、該排出された石炭灰の量に応じて他原料格納部から複数の他原料が排出されるように制御される。そして、混練部により、当該排出された石炭灰と他原料とが受け入れられて練り混ぜられる。
【0040】
これにより、決定部の決定結果に基づいて自動的に石炭灰混合材料の原料が排出されて練り混ぜられるので、決定されたとおりに確実に石炭灰混合材料が製造される。
【0041】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑えた石炭灰混合材料を確実に製造しつつ、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0042】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記品質管理システムは噴霧部を備え、
前記噴霧部が、前記
決定工程において前記決定部が決定した前記石炭灰の前記排出量に従って該石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される前記所定の重金属の含有量が所定の閾値以上である場合に、該所定の重金属の溶出を抑制するための噴霧剤を、該決定部の決定結果に基づいて製造され
た前記石炭灰混合材料に噴霧する
工程を含むことが好ましい。
【0043】
石炭灰に含有される重金属の含有量によっては、当該石炭灰を原料として用いて製造された石炭灰混合材料に安定化剤などを噴霧することが必要となる場合がある。
【0044】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、
噴霧部により、石炭灰の排出量に従って該石炭灰を排出した場合に得られる石炭灰に含有される所定の重金属の含有量が所定の閾値以上である場合に、該所定の重金属の溶出を抑制するための噴霧剤
が、該決定部の決定結果に基づいて製造され
た石炭灰混合材料に噴
霧される。
【0045】
これにより、原料の石炭灰に含有される所定の重金属の量が所定の閾値以上である
場合には、製造され
た石炭灰混合材料に所定の重金属の溶出を抑制するための噴霧剤
が自動的に
噴霧される。そのため、所定の重金属の溶出が抑制された石炭灰混合材料を製造できる確実性が高まる。
【0046】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑えた石炭灰混合材料を製造できる確実性を高めつつ、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0047】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記品質管理システムは噴霧部を備え、
前記決定部
が、
前記決定工程における決定結果に基づいて排出された前記石炭灰を原料として用いて製造した前記石炭灰混合材料について
行われた前記所定の重金属の溶出検査である第2溶出検査
の結果であって、該所定の重金属の溶出量
を含む検査結果の情報の入力を受け付け
る工程と、
前記噴霧部が、前記決定部が受け付けた
前記所定の重金属の溶出量が所定の基準値以上である場合に、該所定の重金属の溶出を抑制するための噴霧剤を、該決定部の決定結果に基づいて製造され
た前記石炭灰混合材料に噴霧する
工程とを含むことが好ましい。
【0048】
本発明の石炭灰混合材料の品質管理方法によれば、決定部により決定工程における決定結果に基づいて排出された石炭灰を原料として用いて製造した石炭灰混合材料について行われた所定の重金属の溶出検査である第2溶出検査の結果であって、該所定の重金属の溶出量を含む検査結果の情報の入力を受け付けられる。
そして噴霧部により、決定部が受け付けた所定の重金属の溶出量が所定の基準値以上である場合に、該所定の重金属の溶出を抑制するための噴霧剤が、決定結果に基づいて製造された石炭灰混合材料に噴霧される。
これにより、実際に石炭灰混合材料を製造して所定の溶出検査を行った場合の、所定の重金属の溶出量が
所定の基準値以上である場合に、製造され
た石炭灰混合材料に所定の重金属の溶出を抑制するための噴霧剤
が自動的に
噴霧される。そのため、所定の重金属の溶出が抑制された石炭灰混合材料を製造できる確実性が高まる。
【0049】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、重金属の溶出を抑えた石炭灰混合材料を製造できる確実性を高めつつ、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。
【0054】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法において、
前記品質管理システムは、出力部を備え、
前記出力部が、前記複数の石炭灰格納部それぞれに格納されている前記石炭灰の前記性状及び量を示す格納石炭灰情報を該複数の石炭灰格納部に格納された単位ごとに出力する
工程を含み、
前記格納石炭灰情報は、前記複数の石炭灰格納部それぞれに格納されている前記石炭灰の前記性状及び量を該石炭灰格納部ごとに表す複数の棒グラフであり、該棒グラフは該複数の石炭灰格納部に格納された前記単位ごとの該石炭灰の該性状及び量を、該棒グラフの一端から他端に向けて該石炭灰格納部に格納された時期が古い順に並べて配置して出力
されることが好ましい。
【0055】
本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、出力部により、複数の石炭灰格納部それぞれに格納されている石炭灰の性状及び量を示す格納石炭灰情報が、該複数の石炭灰格納部に格納された単位ごとに出力される。
【0056】
また、石炭灰格納部に格納された単位ごとの石炭灰の該性状及び量が、石炭灰格納部に格納された時期が古い順に並べられて棒グラフとして出力される。
【0057】
これにより、石炭灰混合材料品質管理システムの操作者は、複数の石炭灰格納部のそれぞれに、どのような性状の石炭灰がどの程度格納されているかを視覚的かつ直感的に知ることができる。そのため、石炭灰混合材料品質管理システムの操作者は、石炭灰格納部内の石炭灰の状況の把握を効率的に行うことができる。
【0058】
このように本発明の石炭灰混合材料
の品質管理
方法によれば、多様な性状の石炭灰を原料として用いても、操作者による石炭灰格納部内の石炭灰の状況の把握を効率化しつつ、重金属の溶出を抑え、かつ経済性を損なわずに石炭灰混合材料を製造することができる。