(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態のエレベータシステムを含むシステム全体の概略を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態のエレベータシステムの一部を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のエントランス階の乗り場を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の乗りかご内の概略を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の制御盤のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態の制御部の機能を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態のエレベータシステムを含むシステム全体の動作を示すチャート図である。
【
図8】
図8は、実施形態の制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【0011】
以下に、実施形態に係るエレベータ制御方法およびこの制御方法を実行するためのエレベータシステムの構成を図面に基づいて説明する。なお、本願発明によるエレベータ制御方法は、以下の実施形態により限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態のエレベータシステム1を含むシステム全体を示した図である。エレベータシステム1は、管理サーバ50と有線または無線で通信可能に接続されている。管理サーバ50は、ネットワークNを介して、決済センター60に接続されている。ここで、ネットワークNは、VPN(Virtual Private Network)等の専用線である。また、管理サーバ50は、入退管理センター70と有線または無線で通信可能に接続されている。
【0013】
エレベータシステム1は、建物(ビルやショッピングセンター等)に設置されるもので、本実施形態では、建物は、各階に飲食店などの店舗Sが設けられたビルとなっている。エレベータシステム1は、乗りかご10と、ビルの各階床に設けられる乗り場20と、制御盤30等を備えている。
【0014】
乗りかご10は、ID用カードリーダ11と、決済用カードリーダ12とを備えている。各階床の乗り場20のうち、ビルの入口があるエントランス階床である1Fに設けられた1F乗り場20Aには、カードリーダ21が設置されている。上記各カードリーダ11、12、21の機能等については後述する。制御盤30は、1F乗り場20A、各階床の乗り場20、乗りかご10、管理サーバ50と有線または無線で通信可能に接続されて、エレベータシステム1に関する各種制御を行うものである。例えば、乗りかご14の移動に関する制御や後述する決済処理に関する制御等を行う。
【0015】
管理サーバ50は、制御盤30や入退管理センター70から受信する情報を管理するとともに、決済センター60との通信を行う。決済センター60は、クレジット会社、銀行などであり、管理サーバ50からの指示に基づいて決済を実行する。
【0016】
入退管理センター70は、ビルの入口に配置されている。入退管理センター70は、入館者の受付や退館者の確認を行う。入退管理センター70は、利用者の入館時に、入館者に関する必要情報(以下、登録情報という)の登録を行い、入館者を特定する利用者情報が記憶された記憶媒体であるICカードを利用者に配布する。ICカードに記憶される利用者情報は、登録情報と紐づいて利用者を特定できるものであり、例えば、氏名と1対1で対応するID番号等である。入退管理センター70で登録される登録情報は、利用者情報、利用者の氏名、住所等のほか、決済に必要な情報、例えばクレジットカード情報を含む。登録情報は、入退管理センター70から管理サーバ60に送信されて、管理サーバ60で管理される。また、入退管理センター70は、利用者の退館時に、ICカードの回収を行うとともに管理サーバ50と通信を行う。そして、入退管理センター70は、ICカードの情報からビル内の店舗Sの利用に係る代金の決済が完了しているか否かの確認を行う。
【0017】
利用者は、入退管理センター70で受け取ったICカードを、1F乗り場20Aのカードリーダ21にタッチして当該ICカードの利用者情報を読ませ、また、乗りかご10のID用カードリーダ11にタッチして当該ICカードの利用者情報を読ませることにより、エレベータシステムの利用が可能になる。さらに、利用者は、飲食店などの各店舗Sを利用した際には、店舗Sで支払に関する情報(以下、支払情報とも称す)をICカードに書き込んでもらうことで、エレベータでの移動中に乗りかご10内で一括に決済することができる。この点についての詳細は後述する。
【0018】
次に、
図2を用いてエレベータシステム1の構造について説明する。乗りかご10は、利用者や荷物を乗せることが可能な例えば箱形状であり、ビルに設置される昇降路2内で各階床に設けられた乗り場20A、20間を上下に移動(以下、昇降という)する。以下、1階側を下、上層階側を上として説明する。昇降路2の上部には、乗りかご10を昇降させる巻上機3(モータ4、メインシーブ5等を含む)が設けられている。巻上機3は、制御盤30によって制御される。また、昇降路2には、乗りかご10が昇降する際のガイドとなる上下方向に延びるガイドレール(図示省略)が設置されている。
【0019】
乗りかご10は、メインロープ6を介してカウンターウェイト7と連結している。カウンターウェイト7は、釣り合いおもりであり、昇降路2内で乗りかご10と連動して昇降する。カウンターウェイト7は、ウェイト用ガイドレール(図示省略)に沿って昇降する。このカウンターウェイト7は、乗りかご10が所定積載量(例えば、最大積載量に対して1/2程度)の場合に、巻上機3を挟んで、乗りかご10と釣り合うように重量が設定されている。このエレベータシステム1は、乗りかご10と、カウンターウェイト7とをメインロープ6で連結した、いわゆるつるべ式のエレベータを採用している。
【0020】
各乗り場20A、20は、開閉自在な乗り場扉25を備えている。乗り場扉25は、通常は閉鎖状態になっており、ロック機構(図示省略)により、開状態への動作が規制されている。これにより、乗り場扉25は、通常時は乗り場20A、20側と昇降路2側との間を遮っている。乗り場扉25は、乗りかご10が到着してかご扉(図示省略)が閉鎖状態から開放状態に動作するのに連動して、ロック機構によるロックを解除すると共に、閉鎖状態から開放状態となる。
【0021】
図3は、エントランス階床である1F乗り場20Aを示す図である。乗り場20Aは、乗り場扉25の側方に位置する乗り場操作盤22を備えている。呼び部を構成する乗り場操作盤22は、上の階床に移動する乗りかご10を呼ぶ上呼びボタン23と、図示していない地下階床に移動する乗りかご10を呼ぶ下呼びボタン24とを備えている。操作盤22の下方に設けられた乗り場カードリーダ21は、エレベータシステム1の利用者が入館時に配布された携帯型のICカードから利用者情報を読み取る。なお、その他の階床における各乗り場20は、乗り場カードリーダ21が備えられていない点を除いて1F乗り場20Aと同様の構成となっている。
【0022】
次に、乗りかご10内の構成について
図4を参照して説明する。乗りかご10は、その上面に内部を撮像可能なカメラ13を備えている。カメラ13は、常時は乗りかご10内を監視するものであるが、乗りかご10内の人数の変化をみることで、乗り場20から乗りかご10に乗り込む利用者数を検知できる。すなわち、カメラ13は乗りかご10に乗り込む人数を検知する検知部としても機能する。また、乗りかご10内には乗りかご操作盤14が設けられている。乗りかご操作盤14は、乗りかご10が乗り場20に停止しているときに、かご扉を開放する開ボタン15とかご扉を閉鎖する閉ボタン16とを備えている。さらに、乗りかご操作盤14には、乗りかごに乗った利用者が行先階床を指定する指定部17が設けられている。指定部17は、行先階床を指定するため階床指定ボタンを複数備えている。
【0023】
乗りかご操作盤14の下には、ICカードから情報を読み取るID用カードリーダ11が設けられている。ID用カードリーダ11は、読取部として機能するもので、エレベータシステム1の利用者が携帯するICカードから利用者情報と後述する支払情報とを読み取る。さらに、ID用カードリーダ11の下には、決済用操作盤18が配置されている。決済用操作盤18は、ID用カードリーダ11が読み取った支払情報の内容等を表示する表示部19と、決済用カードリーダ12とを備えている。決済用カードリーダ12は、ID用カードリーダ11と同様にICカードから利用者情報を読み取って、上記支払情報に基づいて決済に関する処理を行う。具体的には、エレベータシステム1の制御部40(
図5参照)を介して管理サーバ50に上記利用者情報と支払情報を送信するとともに、決済の指示を行う。決済用カードリーダ12は、決済処理部として機能する。なお、ID用カードリーダ11や決済用カードリーダ12の詳細については後述する。
【0024】
図5に基づいて、制御盤30のハードウェアについて説明する。制御盤30は、制御部40と、各種通信I/F(Interface)31〜33とを備える。
【0025】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、メモリ部44とを備える。CPU41は、バスライン45を介して、ROM42と、RAM43と、メモリ部44と接続される。CPU41は、ROM42やメモリ部44に記憶された制御プログラムをRAM43に展開し、展開された制御プログラムに従って動作することでエレベータシステム1全般の動作を制御する。メモリ部44は、不揮発性メモリ又はHDD(Hard Disk Drive)等であり、エレベータシステム1が備える各種機能を発揮させるためのプログラムが記憶されている。
【0026】
通信I/F31は、制御部40が乗りかご10と通信するためのインタフェースである。制御部40は、通信I/F31を介して、乗りかご10のID用カードリーダ11、決済用カードリーダ12、カメラ13、指定部17、表示部19と通信可能である。通信I/F32は、制御部40が各乗り場20A、20と通信するためのインタフェースである。制御部40は、通信I/F32を介して、乗り場20Aのカードリーダ21、各乗り場20A、20の乗り場操作盤22と通信可能である。通信I/F33は、制御部40が管理サーバ50と通信するためのインタフェースである。制御部40は、通信I/F33を介して、管理サーバ50と通信可能である。
【0027】
図6は、制御部40の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部40は、登録受付部41、利用者情報登録部42、利用者情報受付部43、支払情報受付部44、決済部45、決済判定部46、人数判定部47を備える。
【0028】
登録受付部41は、各階床の乗り場制御盤22による呼び操作や乗りかご10の指定部17から情報を受信し、乗りかご10の行先の登録を受け付ける。利用者情報登録部42は、ビルに入館する利用者が入退管理センター70で登録した利用者情報を管理サーバ50から受信し登録する。利用者情報受付部43は、乗り場カードリーダ21や乗りかご10のID用カードリーダ11から利用者情報を受信し、当該利用者情報を受け付ける。制御部40は、利用者情報登録部42で登録された利用者情報と、利用者情報受付部43で1F乗り場20Aから受け付けた利用者情報とが一致すると、1F乗り場20Aの操作盤22による呼び登録にしたがって乗りかご10を1F乗り場20Aまで移動させる。
【0029】
支払情報受付部44は、乗りかご10のID用カードリーダ11から支払情報を受信し、当該支払情報を受け付ける。この支払情報は、利用者が階床で提供を受けた商品やサービスに関する情報であって、合計金額や代金明細等である。なお、階床に複数の店舗が存在する場合、支払情報は、複数の店舗のうちいずれか一つ以上で提供を受けた商品やサービスで発生した代金にかかる情報とする。上記支払情報は、利用者が利用した店舗SによってICカードに書き込まれる。利用者が乗りかご10のID用カードリーダ11にICカードをタッチすることで、制御部40は、当該利用者の利用者情報と支払情報とを受信することとなる。なお、利用者がビル内の店舗Sを利用していない場合、ICカードに支払情報は書き込まれない。したがって、ICカードをID用カードリーダ11にタッチしても、ID用カードリーダ11は支払情報を読み取らないため、支払情報受付部44は支払情報を受信しない。
【0030】
決済部45は、乗りかご10の決済用カードリーダ12から利用者情報を受信する。決済部45は、受信した利用者情報と当該利用者情報に関する支払情報とを関連付けた情報を決済指示とともに管理サーバ50に送信する。管理サーバ50は、利用者情報と関連付けたクレジットカード情報が記憶されており、決済部45から受信した決済指示に関して決済センター60に決済指示を送信する。具体的には、管理サーバ50は、利用者情報、支払情報、クレジットカード情報等を決済センターに送信をし、決済センター60はこれらに基づいてクレジット決済を実行する。決済部45が送信した決済指示について決済センター60での決済が完了すると、決済完了通知が、この決済センター60から管理サーバ50を介して決済部45に送信される。
【0031】
決済判定部46は、支払情報受付部44で受け付けた支払情報が決済センター60で決済されたか否かを判定する。具体的には、決済判定部46は、特定の利用者情報に関して、支払情報受付部44で受け付けた支払情報と、決済部45が管理サーバ50から受信した決済完了通知を比較する。
【0032】
人数判定部47は、乗りかご10が停止した階床で乗り場20から乗りかご10に乗り込んだ人数の情報をカメラ13から受信する。人数判定部47は、カメラ13から受信した人数の情報と利用者情報受付部43がID用カードリーダ11から受信した情報とを比較する。具体的には、乗りかご10に乗り込んだ人数と乗りかご10内のID用カードリーダ11にICカードをタッチした人数とを比較し、乗りかご10に乗り込んだ利用者全員の利用者情報を取得したか否かを判定する。
【0033】
次に、実施形態のエレベータシステム1を用いたシステム全体の流れについて、
図7のシーケンスチャートを用いて説明する。なお、このシーケンスチャートは、各種処理が適切に行われてエラーが発生しない場合の流れを示している。
【0034】
まず、エレベータシステム1の利用者がビルに入館するにあたっての流れ(
図7にAで示す)について説明する。ビルの入口に設けられた入退管理センター70は、入館する利用者に関して利用者登録を行う。入退管理センター70は、利用者の氏名、住所、氏名と1対1で対応するID番号、クレジットカード情報等を管理サーバ50に送信する。管理サーバ50は、受信した各種情報を記憶し管理する。また、入退管理センター70は、ICカードに利用者情報であるID番号を書き込み、入館する利用者にICカードを配布する。
【0035】
次に、入館した利用者が所望の階床に移動するまでの流れ(
図7にBで示す)を説明する。入館した利用者は、1F乗り場20Aでカードリーダ21に配布されたICカードをタッチした後、上呼びボタン23を押して呼び登録を行う。カードリーダ21で読み取った利用者情報は、カードリーダ21から制御部40の利用者情報受付部43に送信される。制御部40は、受信した利用者情報が管理サーバ50に登録されているか否かを管理サーバ50に対して問い合わせる。管理サーバ50は、受信した利用者情報が登録されていれば、その旨の応答を制御部40に対して行う。
【0036】
制御部40は、1F乗り場20Aで読み取った利用者情報が管理サーバ50に登録されている旨の情報を管理サーバ50から受信すると、上呼びボタン23による呼び登録に基づいて、乗りかご10を1F乗り場20Aに移動させるよう巻上機3を制御する。そして、乗りかご10が1F乗り場20Aに到着した後、制御部40は、かご扉および乗り場扉25を開放させ、利用者が乗り込むまで乗りかご10を1F乗り場20Aに待機させる。
【0037】
利用者が乗りかご10に乗り込むと、カメラ13は、乗り込んだ利用者数を検知する。そして、カメラ13は、検知した人数情報を制御部40の人数判定部47に送信する。乗りかご10に乗り込んだ利用者は、配布されたICカードをID用カードリーダ11にタッチする。ID用カードリーダ11は、ICカードから利用者情報であるID番号を読み取る。そして、ID用カードリーダ11は、読み取った利用者情報を制御部40の利用者情報受付部43に送信する。制御部40では、ID用カードリーダ11が読み取った利用者の数とカメラ13が検知した乗り込み人数とを比較して人数チェックを行う。ID用カードリーダ11が読み取った利用者の数とカメラ13が検知した乗り込み人数とが一致すると、制御部40は、指定部17で指定された階床に乗りかご10を移動させる。こうして、利用者は乗りかご10に乗って所望の階床まで移動することができる。
【0038】
所望の階床に移動した利用者の店舗Sでの処理(
図7にCで示す)について説明する。利用者は、当該階床に存在する飲食店などの店舗Sを利用することができる。店舗Sは、利用者が利用した代金に関する支払情報をICカードに書き込む。支払情報は、合計金額や代金明細等の情報である。
【0039】
次に、店舗Sを利用した利用者が乗りかご10を利用して1F乗り場20Aに戻るまでの流れ(
図7にDで示す)を説明する。この流れが本実施形態の特徴的部分である。利用者は、店舗Sを利用した階床の乗り場20で乗りかご10を呼ぶ。このときには、乗り場20でのICカードの読み取りは不要である。
【0040】
利用者が乗りかご10に乗り込むと、カメラ13は、乗り込んだ利用者数を検知する(検知ステップ)。そして、カメラ13は、検知した人数情報を制御部40の人数判定部47に送信する。乗りかご10に乗り込んだ利用者は、携帯するICカードをID用カードリーダ11にタッチする。ID用カードリーダ11は、ICカードから利用者情報であるID番号と店舗Sで書き込まれた支払情報とを読み取る(読取ステップ)。そして、ID用カードリーダ11は、読み取った利用者情報を制御部40の利用者情報受付部43に送信するとともに、読み取った支払情報を制御部40の支払情報受付部44に送信する。
【0041】
制御部40の人数判定部47は、カメラ13から受信した人数と、利用者情報受付部43が受信した利用者情報の数とを比較し、両者が一致していると、乗りかご10に対して表示指示を送信する。この表示指示は、利用者に決済を促すためのものである。乗りかご10の表示部19は、制御部40からの指示に基づいて、例えば「店舗で利用した代金の決済をお願いします」等、利用者に決済を促すための表示を行う。この表示にしたがって利用者は決済指示を行う。
【0042】
決済指示を行うために、利用者は、決済用カードリーダ12にICカードをタッチする。決済用カードリーダ12は、ICカードから利用者情報であるID番号を読み取り、制御部40の決済部45に利用者情報を送信することで、決済部45に対して決済指示を行う。決済部45は、受信した利用者情報と支払情報受付部44が受信した支払情報とに基づいて、管理サーバ50に対して決済指示を送信する。
図7には図示していないが、管理サーバ50は、利用者情報と関連付けて記憶されているクレジットカード情報を参照して、受信した決済指示に関して決済センター60に決済指示を送信する。決済センター60でクレジット決済が完了すると、決済通知が決済センター60から管理サーバ50に送信される。これを受信した管理サーバ50は、決済通知を制御部40に送信する。
【0043】
制御部40は、受信した決済通知の数と、支払情報受付部44が受信した支払情報の数とを比較して、乗りかご10から受信した支払情報全ての決済が完了したか否かの決済チェックを行う。決済用カードリーダ12でICカードを読み取ってから上記決済チェックを行うまでのステップが、決済に関する処理を行う決済処理ステップである。決済に関する処理とは、利用者が代金の支払を行うための処理であって、クレジットカードによる決済の指示のみならず、現金での支払や電子マネーでの支払等も含む。制御部40は、決済チェックが完了すると、乗りかご10に対して表示指示を送信する。この表示指示は、利用者に行先階床の入力を促すためのものである。乗りかご10の表示部19は、制御部40からの指示に基づいて、例えば「行先階を押してください」等、利用者に行先階床の入力を促すための表示を行う。この表示にしたがって利用者が指定部17で所望の行先階床を指定すると、制御部40の登録受付部41に行先が登録される。制御部40は、これを受けてかご扉、乗り場扉25を閉鎖した後、指定された階床に乗りかご10を移動させる(移動制御ステップ)。
【0044】
次に、
図7にDで示した、店舗Sを利用した利用者が乗りかご10を利用して1F乗り場20Aに戻るまでの流れにおける制御部40の制御を
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
制御部40は、登録受付部41が各階床20の乗り場操作盤22から呼び登録を受信したか否かを判断する(S10)。呼び登録の受信があると、当該呼び登録のあった階床に乗りかご10を移動させ(S11)、乗りかご10のかご扉と乗り場扉25とを開放させる(S12)。S10で呼び登録の受信がない場合、制御部40は、呼び登録を受信するまで待機する。続いて、制御部40は、人数判定部47がカメラ13から乗りかご10に乗り込んだ人数情報を受信したか否かを判断する(S13)。人数情報を受信した場合、制御部40は、乗りかご10のID用カードリーダ11から利用者情報および支払情報を受信したか否かを判断する(S14)。利用者情報は、利用者情報受付部43がID用カードリーダ11から受信する。支払情報は、支払情報受付部44がID用カードリーダ11から受信する。S13で人数判定部47が人数情報を受信しない場合、制御部40は、S12で乗り場扉25を開放させてから所定時間T1経過したか否かを判断する(S30)。所定時間T1経過した場合、制御部40は、乗りかご10に乗り込む利用者がいないと判断し、かご扉と乗り場扉25とを閉鎖させ(S31)、S10の処理に戻る。S30で所定時間T1経過していない場合、制御部40は、S13の処理に戻る。
【0046】
S14で利用者情報受付部43が利用者情報を受信した場合、人数判定部47は、カメラ13から受信した乗り込み人数と、ID用カードリーダ11から受信した利用者情報の数とが一致しているか否かを判断する(S15)。S14で利用者情報受付部43が利用者情報を受信しない場合、制御部40は、S13で人数判定部47が人数情報を受信したと判断してから所定時間T2経過したか否かを判断する(S40)。所定時間T2経過した場合、制御部40は、表示部19に警告表示をさせ(S41)、S14の処理に戻る。この警告表示は、乗りかご10に乗り込んだ利用者に対して、当該利用者が携帯するICカードをID用カードリーダ11にタッチするよう促すための表示である。S40で所定時間T2経過していない場合、制御部40は、S14の処理に戻る。
【0047】
S15で、カメラ13から受信した乗り込み人数と、ID用カードリーダ11から受信した利用者情報の数とが一致した場合、制御部40は、表示部19に決済受付表示をさせる(S16)。すなわち、乗りかご10に乗り込んだ利用者全員がID用カードリーダ11で利用者情報を読み込ませたことを条件として、決済受付表示を行う。この決済受付表示は、利用者に対して当該利用者が支払うべき店舗Sの代金について決済を促す表示である。S15で、カメラ13から受信した乗り込み人数と、ID用カードリーダ11から受信した利用者情報の数とが一致していない場合、制御部40は、S40の処理に戻る。
【0048】
S16で決済受付表示を行った後、制御部40は、決済部45が乗りかご10の決済用カードリーダ12から決済指示を受信したか否かを判断する(S17)。決済部45は、決済用カードリーダ12から利用者情報を受信すると、決済指示があったと判断する。決済部45が利用者情報を受信して決済指示があったと判断した場合、決済部45は、受信した利用者情報および支払情報とともに決済指示を管理サーバ50に送信する(S18)。管理サーバ50は、受信した利用者情報、支払情報と当該利用者情報に関連付けて記憶しているクレジットカード情報とを決済センター60に送信することで決済センター60に対して決済指示を行う。その後、管理サーバ50は、決済センター60から決済が完了した旨の決済通知を受信し、これを決済部45に送信する。すなわち、決済部45は、管理サーバ50を介して決済センター60から決済通知を受信する(S19)。その後、決済判定部46は、支払情報受付部43が受信した支払情報の数と、決済部45が受信した決済通知の数とを比較する(S20)。なお、S17で決済指示を受信していない場合、制御部40は、S16で決済受付表示を行ってから所定時間T3経過したか否かを判断する(S50)。所定時間T3経過していれば、制御部40は、S20の処理に進む。所定時間T3経過していなければS17の処理に戻る。
【0049】
S20で、支払情報受付部43が受信した支払情報の数と、決済部45が受信した決済通知の数とが一致した場合、制御部40は、乗りかご10に乗り込んだ利用者の全ての支払情報の決済が済んだと判断して、表示部19に階床入力受付表示を行わせる(S21)。この階床入力受付表示は、利用者に対して行先階の入力を促す表示を行うものである。S20で、支払情報受付部43が受信した支払情報の数と、決済部45が受信した決済通知の数とが一致しない場合、制御部40は、表示部19に警告表示を行わせ(S60)、S17の処理に戻る。この警告表示は、利用者に対してICカードを決済用カードリーダ12にタッチするよう促すための表示である。
【0050】
制御部40は、S21で表示部19に階床入力受付表示をさせた後、登録受付部41が指定部17から行先階床を受信したか否か判断する(S22)。行先階床を受信した場合、制御部40は、かご扉、乗り場扉25を閉鎖させ(S23)、登録受付部41が受信した行先階床に乗りかご10を移動させる(S24)。そして、S10の処理に戻る。一方、S22で行先階床を受信しない場合、制御部40は、登録受付部41が行先階床を受信するまで待機する。このような制御を行うことで、店舗Sを利用した代金について乗りかご10内で決済に関する処理がなされないと乗りかご10が昇降されないようにできるため、利用者による代金の未払いを抑制できる。
【0051】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、乗りかご10内で店舗Sにおいて書き込まれた支払情報の読み取りと当該支払情報の決済指示が行えるため、店舗毎に支払を行う必要がなく、エレベータでの移動中に代金の決済が可能となり利便性が高い。また、電子タグが付されていない商品の売買やサービスに対する代金の支払い等、幅広い取引についてエレベータの乗りかご10内で決済することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、決済に関する処理として、ICカードから読み取った利用者情報と支払情報とを管理サーバ50を介して決済センター60に出力すればよいので、エレベータシステム1に現金を扱う会計機や電子マネー用の決済端末などを設ける必要がない。しかも、ビルのセキュリティ強化のためにエレベータシステムを利用する利用者を特定することに用いられるID用カードリーダ11を支払情報の決済にも利用しているため、エレベータシステム1の構成を複雑化することなく、乗りかご10内での決済を可能とできる。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、制御部40は、ID用カードリーダ11で読み取った支払情報の全ての決済が完了していることを条件として、乗りかご10を移動させるようにしている。したがって、決済に関する処理が済んでいない利用者がエントランス階床にエレベータで移動することができないので、ID用カードリーダ11で読み取った支払情報に関する未払いを抑制することができる。
【0054】
これに加えて、制御部40は、乗りかご10に乗り込んだ利用者全員の利用者情報をID用カードリーダ11で読み取ったことを条件として、乗りかご10を移動させるようにしている。このため、利用者による未払いをより抑制することができる。
【0055】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【課題】本発明が解決しようとする課題は、ICタグが付されていない商品の代金やサービスの代金等の決済に関する処理をかご内で行うことができるエレベータ制御方法を提供することである。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御方法は、複数の階床を移動可能な乗りかごと前記乗りかごの移動を制御する制御部とを備えたエレベータシステムで実行されるもので、利用者が携帯可能な記憶媒体から当該利用者が階床で提供を受けた商品やサービスに関する支払情報を読み取る読取ステップと、前記乗りかご内で、前記読取ステップで読み取った支払情報に基づいて決済に関する処理を行う決済処理ステップと、を含むものである。