特許第6795280号(P6795280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795280
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20201119BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20201119BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B41J2/32 Z
   B41J3/36 Z
   B41J29/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-107674(P2014-107674)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-223695(P2015-223695A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年3月9日
【審判番号】不服2019-1611(P2019-1611/J1)
【審判請求日】2019年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 賢司
【合議体】
【審判長】 藤田 年彦
【審判官】 吉村 尚
【審判官】 尾崎 淳史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−53159(JP,A)
【文献】 実開平5−46463(JP,U)
【文献】 実開昭58−70615(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/165-2/20
B41J 2/21-2/215
B41J 2/32
B41J 2/345
B41J 3/01- 3/54
B41J 3/62
B41J 19/00-19/98
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタであって、
用紙が搬送される搬送経路の一方側に設けられ前記搬送経路上に搬送される用紙に印字を行う印字ヘッドと、
前記搬送経路の一方側において前記搬送方向の幅方向に折り返して延在し先端に前記印字ヘッドがコネクタを介して着脱可能に接続され、他端が前記プリンタ内に接続されるケーブル群と、
前記印字ヘッドが着脱可能に取り付けられるヘッドブラケットと、
前記搬送経路の他方側に設けられ前記印字ヘッドが対峙するプラテンローラと、
を備え、
前記ケーブル群は、前記印字ヘッドが前記ヘッドブラケットから外されたときに、前記印字ヘッドが前記ケーブル群と前記コネクタを介して接続されたまま前記印字ヘッド及び前記コネクタを前記プリンタの外まで移動可能な長さを有する、
プリンタ。
【請求項2】
前記搬送経路の一方側に、前記ケーブル群を収納可能な収納空間を有する収納ケースを設けた請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記収納ケースを、前記ケーブル群の基端側が挿通され前記ケーブル群を前記収納空間に引き通す第一開放口と、前記搬送経路の一方側に延在する前記ケーブル群を前記収納空間に出し入れ可能にする第二開放口とを備えて構成した請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記ヘッドブラケットは、回動軸を中心に回動可能に機台に設けられ、回動させることで、前記印字ヘッドを前記プラテンローラに対峙させる印字位置と、前記プラテンローラから離間する離間位置との二つの位置に移動可能であり、前記離間位置で上記印字ヘッドを上記ヘッドブラケットから取り外すと、前記ケーブル群が前記収納ケースから引出し可能になる請求項2又は3記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙に印字ヘッドにより印字を行うプリンタに係り、特に、印字ヘッドを着脱可能に取り付けてメンテナンスや交換を可能にしたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタとしては、例えば、特許文献1(特開平11−199097号公報)に掲載されたものが知られている。図5に示すように、このプリンタPaは、用紙として粘着剤が塗布されたラベルを帯状台紙に仮着して複数列設したラベル連続体LAを対象とし、ラベル連続体LAを巻回したラベルロール100を供給リール101に取り付け、この供給リール101からラベル連続体LAを搬送ローラ102により引き出して搬送し、印字部103により印字を行ってラベルを供給している。印字部103は、サーマル型の印字ヘッド104及びプラテンローラ105を備え、リボン供給機構106から供給されるインクリボン107を介してラベルに熱転写により印字する。108はガイドローラ、109は印字部103がラベルLの所定位置に印字を行うことができるように、ラベル連続体LAの搬送過程でラベルLの位置を光学的に検知するセンサである。
【0003】
また、この種のプリンタPaの印字部103においては、印字ヘッド104は、用紙としてのラベル連続体LAが搬送される搬送経路の一方側に設けられており、図6に示すように、搬送経路の一方側に延在するケーブル群110の先端にコネクタ111を介して着脱可能に接続されている。また、印字ヘッド104は、ヘッドブラケット112に着脱可能に取り付けられている。ヘッドブラケット112は、回動可能に機台に設けられており、回動により印字ヘッド104を搬送経路の他方側に設けられたプラテンローラ105に対峙させる印字位置及びプラテンローラ105から離間する離間位置の2位置に位置させられる。そして、印字ヘッド104のメンテナンスや交換を行うときは、ヘッドブラケット112を回動させて印字ヘッド104を離間位置に位置させ、この離間位置において、印字ヘッド104をヘッドブラケット112から取り外し、ケーブル群110をある程度引き出して、ケーブル群110が接続された状態、あるいは、コネクタ111を外して印字ヘッド104をケーブル群110から分離して行うようにしている(例えば、特許文献2(特開2005−53159号公報)に掲載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−199097号公報
【特許文献2】特開2005−53159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のプリンタPaにおいて、印字ヘッド104のメンテナンスや交換を行うときは、図6に示すように、印字ヘッド104をヘッドブラケット112から取り外し、ケーブル群110をある程度引き出して行うが、ケーブル群110が短いと、印字ヘッドがヘッドブラケット112やその周囲の機器に近接するので、作業スペースが極めて狭く、作業性が悪いという問題があった。
これを解決するために、ケーブル群110を長くし、印字ヘッド104をヘッドブラケット112やその周辺機器から遠ざけることができるようにし、作業スペースを広くすることが考えられる。しかしながら、ケーブル群110を長くすると、印字ヘッド104をヘッドブラケット112に取り付けた際、ケーブル群110のゆとりを持たせた余長部分が搬送経路の一方側に集合して周辺機器に接触したり引っ掛かって障害になりやすくなる問題が生じる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、ケーブル群を長くした余長部分を設けることができるようにして印字ヘッドのメンテナンスや交換を行う際の作業性の向上を図ることができるようにするとともに、このケーブル群の余長部分が障害にならないようにしたプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のプリンタは、用紙が搬送される搬送経路の一方側に設けられ該搬送経路上に搬送される用紙に印字を行う印字ヘッドと、上記搬送経路の一方側に延在し先端が上記印字ヘッドに接続されるケーブル群と、上記印字ヘッドが着脱可能に取り付けられるヘッドブラケットと、上記搬送経路の他方側に設けられ上記印字ヘッドが対峙するプラテンローラとを備えたプリンタにおいて、上記搬送経路の一方側に、該搬送経路の一方側に延在するケーブル群を収納可能な収納空間を有した収納ケースを設けた構成としている。
【0008】
本装置では、ケーブル群を長くしてゆとりを持たせた余長部分を設けるようにする。これにより、印字ヘッドをヘッドブラケットに装着した状態では、搬送経路の一方側に延在するケーブル群は収納ケースに収納されている。そして、印字ヘッドのメンテナンスや交換を行う際は、印字ヘッドをヘッドブラケットから取り外し、収納ケースからケーブル群を引き出し、あるいは、引き出しながら、印字ヘッドを装置外部へ移動させ、ケーブル群が接続された状態、若しくは、印字ヘッドをケーブル群から外して分離して行う。この場合、ケーブル群を長くしてあるので、その余長部分だけ印字ヘッドをヘッドブラケットやその周辺機器から遠ざけることができ、そのため、作業スペースを広くすることができることから、作業性の向上を図ることができる。また、印字ヘッドをヘッドブラケットに装着する際には、印字ヘッドの装着過程でケーブル群を収納ケースに収容しながら、あるいは、装着後にまとめてケーブル群を収納ケースに収容する。ケーブル群を収納ケースに収容した状態では、ケーブル群が露出しないので、ケーブル群の余長部分が搬送経路の一方側に集合して周辺機器に接触したり引っ掛かって障害になる事態を防止することができる。
【0009】
そして、必要に応じ、上記収納ケースを、上記ケーブル群の基端側が挿通され該ケーブル群を上記収納空間に引き通す第一開放口と、上記搬送経路の一方側に延在するケーブル群を上記収納空間に出し入れ可能にする第二開放口とを備えて構成している。
これにより、ケーブル群は、第二開放口を通して引き出され、あるいは、収納される。この場合、ケーブル群は、第一開放口に挿通され、収納ケースの第二開放口を通って印字ヘッドに至るので、集約されており、そのため、搬送経路の一方側に延在するケーブル群を収納空間から容易に引出しを行うことができるとともに、収納する際も収納空間に入れ易くなる。また、ケーブル群を収納ケースに収納した状態では絡まることなくまとめることができるようになる。
【0010】
また、必要に応じ、上記収納ケースを、開口を有した容器状のケース本体と、該ケース本体の開口を開閉可能に塞ぐ蓋とを備えて構成し、上記第一開放口及び第二開放口を上記ケース本体に形成した構成としている。
これにより、収納ケースの第二開放口からケーブル群を引き出す際に、蓋を開け、ケース本体の開口から手を差し伸べてケーブル群を押出すようにして引出しを補助することができ、それだけ、ケーブル群の引出しを容易にすることができ、より一層作業性を向上させることができる。一方、収納ケースの第二開放口からケーブル群を収納空間に入れる際には、蓋を開け、ケース本体の開口から手を差し伸べてケーブル群を引っ張るようにして収納を補助することができ、それだけ、ケーブル群の収納を容易にすることができる。また、ケーブル群が収納ケースに収納されたならば、蓋をケース本体に装着する。これにより、ケーブル類が保護される。
【0011】
更に、必要に応じ、上記ケース本体を、底壁と該底壁に連設され開口を形成する側壁とを備えて構成し、該底壁が上記搬送経路側に向くように配置し、上記第一開放口を上記搬送経路の幅方向一側壁に形成し、上記第二開放口を上記底壁に形成した構成としている。搬送経路側に向く底壁に第二開放口を設けたので、印字ヘッドは搬送経路側にあることから、ケーブル群の出し入れを容易に行うことができる。
【0012】
更にまた、必要に応じ、上記蓋の一側縁に係止突起を設ける一方、上記ケース本体の側壁に上記蓋の係止突起が着脱可能に係合する係止凹部を設け、該蓋の他側縁に上記係止突起が上記係止凹部に係合した状態で上記ケース本体の側壁に当接する当接片を設け、該当接片を上記ケース本体の側壁に解除可能に止着する止着手段を設けた構成としている。
これにより、蓋を取り付けるときは、蓋の係止突起をケース本体の係止凹部に差し込んで係合させ、止着手段により当接片をケース本体に止着する。一方、蓋を取り外すときは、止着手段を解除し、蓋の係止突起をケース本体の係止凹部から抜き取る。そのため、蓋の取付け,取外しが極めて簡単であり、また、蓋の保持が確実になる。
【0013】
また、必要に応じ、上記止着手段を、上記ケース本体の側壁の当接片に対応する部位に形成された雌ネジと、上記当接片に設けられ上記雌ネジに対応した取付孔と、該取付孔に挿通されて上記雌ネジに螺合する雄ネジ部及び雄ネジ部に連続し該雄ネジを手動操作で回転させるボルト頭を有したボルトとを備えて構成している。手動操作でボルトを回転させる簡易な操作で、蓋の取付け,取外しができ、この点でも、作業性が向上させられる。
【0014】
そして、本装置において、上記ヘッドブラケットは、回動軸を中心に回動可能に機台に設けられ、回動により印字ヘッドをプラテンローラに対峙させる印字位置及びプラテンローラから離間する離間位置の2位置に位置させられ、該離間位置において、上記印字ヘッドを上記ヘッドブラケットから取り外したとき、上記ケーブル群を上記収納ケースから引出し可能にした構成にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ケーブル群を長くしてゆとりを持たせた余長部分を設けることができ、印字ヘッドのメンテナンスや交換を行う際は、その余長部分だけ印字ヘッドをヘッドブラケットやその周辺機器から遠ざけることができ、そのため、作業スペースを広くすることができることから、作業性の向上を図ることができる。また、印字ヘッドをヘッドブラケットに装着した際には、ケーブル群を収納ケースに収容することができ、この状態では、ケーブル群が露出しないので、ケーブル群の余長部分が搬送経路の一方側に集合して周辺機器に接触したり引っ掛かって障害になる事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係るプリンタを示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るプリンタを印字ヘッドを取り外すときの状態で示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るプリンタの要部を示す側面断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るプリンタの要部を示す正面断面図である。
図5】従来のプリンタの一例を示す図である。
図6】従来のプリンタの印字ヘッドと周辺機器の関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るプリンタについて説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るプリンタPは、用紙として、粘着剤が塗布されたラベルLを帯状台紙Dに仮着して複数列設したラベル連続体LAを対象にしている。このプリンタPは、ラベルLの列設方向に沿って搬送してラベルLを供給し、図5に示した従来例と同様、ラベル連続体LAを巻回したラベルロール(図示せず)からラベル連続体LAを機台1に設けた搬送ローラ(図示せず)を有した搬送部2により引き出して搬送し、印字部3により印字を行ってラベルLを供給している。
【0018】
印字部3は、図1乃至図4に示すように、用紙としてのラベル連続体LAが搬送される搬送経路の一方側に設けられ搬送経路上に搬送されるラベルLに印字を行うサーマル型の印字ヘッド4と、印字ヘッド4が着脱可能に取り付けられるヘッドブラケット5と、搬送経路の他方側に設けられ印字ヘッド4が対峙するプラテンローラ6とを備えて構成されている。印字ヘッド4は、リボン供給機構7から供給されるインクリボン8を介してラベルLに熱転写により印字する。9はインクリボン8のロール9aが装着されるロール軸、10は使用されたインクリボン8を巻き取る巻取ロール10aが装着されるロール軸である。
【0019】
また、ヘッドブラケット5は、回動軸11を中心に回動可能に機台1に設けられており、回動により印字ヘッド4を搬送経路の他方側に設けられたプラテンローラ6に対峙させる印字位置X(図1図3)及びプラテンローラ6から離間する離間位置Y(図2)の2位置に位置させられる。ヘッドブラケット5の回動軸11は機台1の側面板1aとこの側面板1aに複数の架設部材12を介して固定された固定板13との間に架設されている。また、ヘッドブラケット5は、図3に示すように、コイルスプリング14で離間位置Y方向に常時付勢されている。コイルスプリング14は、一端がヘッドブラケット5に係止され、他端が機台1の側面板1aと固定板13との間に架設された架設部材12に係止されている。図1及び図2に示すように、固定板13には回動によりヘッドブラケット5をコイルスプリング14の付勢力に抗して移動させ印字ヘッド4を印字位置Xに位置させるレバー15が設けられており、レバー15の先端の係止凹部15aを機台11の係止ピン15bに係止させることにより、ヘッドブラケット5を印字ヘッド4の印字位置Xでロックする。また、図1乃至図3に示すように、プラテンローラ6の下流側には帯状台紙Dを折り返してラベルLを帯状台紙Dから剥がして供給する剥離板16が設けられている。折り返された帯状台紙Dは排出ローラ17により搬送されて装置の下側に排出される。また、側面板1aと固定板13との間には、インクリボン8のガイドローラ18,18及びガイド部材19が架設されている。
【0020】
また、印字ヘッド4には、図2乃至図4に示すように、搬送経路の一方側に延在するケーブル群20の先端にコネクタ21を介して着脱可能に接続されている。ケーブル群20は、機台1の側面板1aの所定位置に形成された貫通孔22から集約されてヘッドブラケット5の下側の方へ延在している。ケーブル群20には、その長くしてゆとりを持たせた余長部分を設けるようにしている。例えば、印字ヘッド4がヘッドブラケット5から外されて、装置外部に移動されたとき数十センチメートル程度装置から離間できる長さに設定されている。
【0021】
そして、本実施の形態に係るプリンタPにおいては、図1乃至図4に示すように、搬送経路の一方側に、ケーブル群20を収納可能な収納空間31を有した収納ケース30が設けられている。収納ケース30は、ヘッドブラケット5の上流側上部に配置され、機台1の側面板1aと固定板13との間に架設されている。詳しくは、収納ケース30は、上側に開口32を有した容器状のケース本体33と、ケース本体33の開口32を開閉可能に塞ぐ蓋40とを備えて構成されている。
【0022】
ケース本体33は、底壁34と、底壁34に連設され開口32を形成する側壁35とを備えて構成されている。底壁34は上流側から下流側に向けて上向きに傾斜形成されており、ケース本体33はこの底壁34が搬送経路側に向くように配置されている。搬送経路の幅方向一側壁35(a)は、側面板1aの貫通孔22の位置に接合されており、この一側壁35には、貫通孔22に対応して形成されるとともに、ケーブル群20の基端側が挿通されケーブル群20を収納空間31に引き通す第一開放口36が形成されている。また、底壁34には、搬送経路の一方側に延在するケーブル群20を収納空間31に出し入れ可能にする第二開放口37が形成されている。第二開放口37は、底壁34の面積の50%〜70%を切除した大きさに形成されている。
【0023】
蓋40は、ケース本体33の開口32を覆う大きさの板状に形成され、下流側の一側縁中央部に、係止突起41が設けられている。一方、ケース本体33の下流側の側壁35中央部には蓋40の係止突起41が着脱可能に係合する係止凹部42が設けられている。また、蓋40の上流側の他側縁中央には、係止突起41が上記係止凹部42に係合した状態でケース本体33の側壁35に当接する当接片43が折曲形成されている。また、この当接片43をケース本体33の側壁35に解除可能に止着する止着手段44が設けられている。
【0024】
止着手段44は、図3に示すように、ケース本体33の側壁35の当接片43に対応する部位に形成された雌ネジ45と、当接片43に設けられ雌ネジ45に対応した取付孔46と、取付孔46に挿通されて雌ネジ45に螺合する雄ネジ部47及び雄ネジ部47に連続し雄ネジ部47を手動操作で回転させるボルト頭48を有したボルト49とを備えて構成されている。取付孔46は雄ネジ部47の一般外径より小径に形成されており、雄ネジ部47のボルト頭48に隣接する基端部が雄ネジ部47の一般外径より小径に形成され、この雄ネジ部47の基端部が取付孔46に挿通されている。そのため、ボルト49は、その螺合解除時に、取付孔46から抜け止めされ、蓋40の当接片43から離脱しないように保持される。また、ボルト頭48には、手動操作し易いようにローレット加工が施されている。
【0025】
従って、本発明の実施の形態に係るプリンタPによれば、図3及び図4に示すように、印字ヘッド4をヘッドブラケット5に装着した状態では、搬送経路の一方側に延在するケーブル群20は収納ケース30に収納されている。ラベルLに印字を行うときは、レバー15を操作して、印字ヘッド4を印字位置Xに位置させ、搬送部2によりラベル連続体LAを搬送し、印字部3の印字ヘッド4により印字を行う。
【0026】
そして、印字ヘッド4のメンテナンスや交換を行う際は、図2に示すように、印字ヘッド4をヘッドブラケット5から取り外し、収納ケース30から第二開放口37を通してケーブル群20を引き出し、あるいは、引き出しながら、印字ヘッド4を装置外部へ移動させ、ケーブル群20が接続された状態、若しくは、印字ヘッド4をケーブル群20から外して分離して行う。この場合、ケーブル群20を長くしてあるので、その余長部分だけ印字ヘッド4をヘッドブラケット5やその周辺機器から遠ざけることができ、そのため、作業スペースを広くすることができることから、作業性の向上を図ることができる。
【0027】
この場合、ケーブル群20は、第一開放口36に挿通され、収納ケース30の第二開放口37を通って印字ヘッド4に至るので、集約されており、そのため、搬送経路の一方側に延在するケーブル群20を収納空間31から容易に引出しを行うことができる。また、搬送経路側に向く底壁34に第二開放口37を設けたので、印字ヘッド4は搬送経路側にあることから、ケーブル群20の引出しを容易に行うことができる。
【0028】
更に、この場合には、蓋40を開けて行うことができる。この蓋40を取り外すときは、ボルト49のボルト頭48を回転させてボルト49を螺合を解除し、蓋40の係止突起41をケース本体33の係止凹部42から抜き取る。手動操作でボルト49を回転させる簡易な操作で、蓋40の取外しができ、作業性が向上させられる。そして、この蓋40を開けた状態では、ケース本体33の開口32から手を差し伸べてケーブル群20を押出すようにして引出しを補助することができ、それだけ、ケーブル群20の引出しを容易にすることができ、それだけ作業性を向上させることができる。
【0029】
次に、印字ヘッド4をケーブル群20のコネクタ21に取り付けた状態で、印字ヘッド4をヘッドブラケット5に取り付ける際には、収納ケース30の第二開放口37からケーブル群20を収納空間31に入れる。この場合、印字ヘッド4の装着過程でケーブル群20を収納ケース30に収容しながら、あるいは、装着後にまとめてケーブル群20を収納ケース30に収容する。この場合にも、蓋40を開けて行うことができる。この蓋40を開けた状態では、ケース本体33の開口32から手を差し伸べてケーブル群20を引っ張るようにして収納を補助することができ、それだけ、ケーブル群20の収納を容易にすることができる。また、ケーブル群20は、第一開放口36に挿通され、収納ケース30の第二開放口37を通って印字ヘッド4に至るので、集約されており、そのため、収納する際も収納空間31に入れ易くなる。また、ケーブル群20を収納ケース30に収納した状態では絡まることなくまとめることができるようになる。更に、搬送経路側に向く底壁34に第二開放口37を設けたので、印字ヘッド4は搬送経路側にあることから、この点でも、ケーブル群20の収納を容易に行うことができる。
【0030】
ケーブル群20が収納ケース30に収納されたならば、蓋40をケース本体33に装着する。この場合は、蓋40の係止突起41をケース本体33の係止凹部42に差し込んで係合させ、ボルト49のボルト頭48を回転させてねじ込み、当接片43をケース本体33に止着する。手動操作でボルト49を回転させる簡易な操作で、蓋40の取付けができ、この点でも、作業性が向上させられる。これにより、ケーブル類が保護される。
【0031】
ケーブル群20を収納ケース30に収容した状態では、ケーブル群20が露出しないので、ケーブル群20の余長部分が搬送経路の一方側に集合して周辺機器に接触したり引っ掛かって障害になる事態を防止することができる。
【0032】
尚、上記実施の形態では、インクリボン8を介して印字ヘッド4により印字を行うタイプのプリンタに本発明を適用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ラベルLに感熱紙を用いインクリボン8を用いないタイプのプリンタにも適用でき、適宜変更して差支えない。また、上記実施の形態では、用紙としてラベル連続体LAを対象にしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、台紙なしのラベル連続体は勿論のこと、他の、どのような用紙であってもよく、適宜変更して差支えない。
【符号の説明】
【0033】
P プリンタ
LA ラベル連続体(用紙)
L ラベル
D 帯状台紙
1 機台
1a 側面板
2 搬送部
3 印字部
4 印字ヘッド
5 ヘッドブラケット
6 プラテンローラ
7 リボン供給機構
X 印字位置
Y 離間位置
11 回動軸
13 固定板
20 ケーブル群
21 コネクタ
22 貫通孔
30 収納ケース
31 収納空間
32 開口
33 ケース本体
34 底壁
35 側壁
36 第一開放口
37 第二開放口
40 蓋
41 係止突起
42 係止凹部
43 当接片
44 止着手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6