(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の絶縁樹脂層中の難燃剤の含有割合X(質量%)と前記第2の絶縁樹脂層中の難燃剤の含有割合Y(質量%)との比(X/Y)が、0以上0.9以下である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
前記難燃剤が、リン酸エステル、ポリリン酸塩、ホスフィン酸金属塩およびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルム。
前記導電層が、前記絶縁樹脂層に隣接する金属薄膜層と、前記導電層において前記絶縁樹脂層とは反対側の最表層となる導電性接着剤層とを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×10
4Ω以上である導電性接着剤層を意味する。
導電性粒子の平均粒子径は、導電性粒子の顕微鏡像から30個の導電性粒子を無作為に選び、それぞれの導電性粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の導電性粒子の粒子径を算術平均して得た値である。
導電性粒子の比表面積は、脱気した粒子等を液体窒素に浸漬させ、吸着した窒素量を測定し、この値から算出する。
フィルム(離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(絶縁樹脂層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出した歪から算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
【0012】
<電磁波シールドフィルム>
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、
図2は、本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図であり、
図3は、本発明の電磁波シールドフィルムの第3の実施形態を示す断面図である。
第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と;絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と;、導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する。
【0013】
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有する例である。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する等方導電性接着剤層26とを有する例である。
第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、等方導電性接着剤層26のみからなる例である。
【0014】
(絶縁樹脂層)
絶縁樹脂層10は、金属薄膜層22を形成する際のベース(下地)となり、電磁波シールドフィルム1を、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着した後には、金属薄膜層22の保護膜となる。
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10
6Ω以上が好ましい。絶縁樹脂層10の表面抵抗は、実用上の点から、1×10
19Ω以下が好ましい。
【0015】
絶縁樹脂層10は、絶縁樹脂層10において導電層20とは反対側の最表層となる第1の絶縁樹脂層12と、第1の絶縁樹脂層12以外の第2の絶縁樹脂層14とを有する。
第1の絶縁樹脂層12は、難燃剤を含んでいてもよい。
第2の絶縁樹脂層14は、難燃剤を含む層である。
【0016】
第1の絶縁樹脂層12(100質量%)中の難燃剤の含有割合(質量%)は、第2の絶縁樹脂層14(100質量%)中の難燃剤の含有割合(質量%)よりも低い。第1の絶縁樹脂層12中の難燃剤の含有割合が第2の絶縁樹脂層14中の難燃剤の含有割合よりも低ければ、難燃剤を含まないまたは難燃剤が少ない第1の絶縁樹脂層12が溶融しにくいため、絶縁樹脂層10全体としての耐熱性の低下が抑えられる。また、難燃剤を含まないまたは難燃剤が少ない第1の絶縁樹脂層12は硬度の低下が抑えられるため、絶縁樹脂層10の表面硬度の低下が抑えられる。なお、難燃剤を含まないまたは難燃剤が少ない第1の絶縁樹脂層12の難燃性が低下しても、難燃剤を多く含む第2の絶縁樹脂層14によって絶縁樹脂層10全体としての難燃性を確保できる。
第1の絶縁樹脂層12中の難燃剤の含有割合Xと第2の絶縁樹脂層14中の難燃剤の含有割合Yとの比(X/Y)は、0以上0.9以下が好ましく、0以上0.5以下がより好ましく、0以上0.2以下がさらに好ましい。
【0017】
第1の絶縁樹脂層12(100質量%)中の難燃剤の含有割合は、0質量%以上30質量%以下が好ましく、0質量%以上10質量%以下がより好ましく、0質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。第1の絶縁樹脂層12中の難燃剤の含有割合が30質量%以下であれば、絶縁樹脂層10の耐熱性および表面硬度の低下が抑えられる。
【0018】
第2の絶縁樹脂層14(100質量%)中の難燃剤の含有割合は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、3質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。第2の絶縁樹脂層14中の難燃剤の含有割合が1質量%以上であれば、絶縁樹脂層10の難燃性が優れる。第2の絶縁樹脂層14中の難燃剤の含有割合が50質量%以下であれば、保護膜として必要とされる特性が損なわれない。
【0019】
難燃剤としては、リン化合物、窒素化合物、金属水酸化物、臭素化合物、塩素化合物、アンチモン化合物等が挙げられる。
リン化合物としては、リン酸エステル、ポリリン酸塩、ホスフィン酸金属塩、ホスファゼン、赤リン、リン酸エステルアミド等が挙げられる。
【0020】
リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、含ハロゲン縮合リン酸エステル(テトラキス(1−クロロプロパン−2−イル)=オキシジエチレン=ビス(ホスファート)、オキシビス(2,1−エタンジイル)ビスオキシビスホスホン酸テトラキス(2−クロロエチル)等)、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
ポリリン酸塩としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メラム、ポリリン酸ピペラジン等が挙げられる。
ホスフィン酸金属塩としては、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
ホスファゼンとしては、フェノキシシクロホスファゼン、フェノキシホスファゼン、プロポキシホスファゼン、ジアミノホスファゼン等が挙げられる。
【0021】
リン酸エステルアミドとしては、アミノジフェニルホスフェート、メチルアミノジフェニルホスフェート、ジメチルアミノジフェニルホスフェート、エチルアミノジフェニルホスフェート、ジエチルアミノジフェニルホスフェート、プロピルアミノジフェニルホスフェート、ジプロピルアミノジフェニルホスフェート、オクチルアミノジフェニルホスフェート、シクロヘキシルアミノジフェニルホスフェート、ジシクロヘキシルアミノジフェニルホスフェート、アリルアミノジフェニルホスフェート、アニリノジフェニルホスフェート、ジ−o−クレジルフェニルアミノホスフェート、ジフェニル(メチルフェニルアミノ)ホスフェート、ジフェニル(エチルフェニルアミノ)ホスフェート、ベンジルアミノジフェニルホスフェート、モルホリノジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0022】
窒素化合物としては、メラミンシアヌレート、炭酸アンモニウム、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
臭素化合物としては、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、デカブロモジフェニルエーテル、トリブロモフェール、ヘキサブロモシクロドデカン、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、TBBAカーボネート・オリゴマー、TBBAエポキシ・オリゴマー、臭素化ポリスチレン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、TBBA−ビス(ジブロモプロピルエーテル)、ポリ(ジブロモフェノール)等が挙げられる。
塩素化合物としては、塩素化パラフィン、ドデカクロロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテン等が挙げられる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、四酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0023】
難燃剤としては、電子機器のノンハロゲン化が要求されている点から、リン化合物および窒素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、リン化合物がより好ましく、絶縁樹脂層10を形成する樹脂との相溶性の点から、リン酸エステル、ポリリン酸塩、ホスフィン酸金属塩およびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
リン酸エステル、ポリリン酸塩、ホスフィン酸金属塩およびホスファゼンのリン含有率は一般的に10質量%〜30質量%程度である。絶縁樹脂層10に含有されるリン含有量は1質量%以上5質量%以下が好ましい。
これら難燃剤は1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
第1の絶縁樹脂層12としては、熱硬化性樹脂と硬化剤と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料を塗布して形成された塗膜;熱可塑性樹脂と必要に応じて難燃剤とを含む第1の樹脂組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜が好ましい。
【0025】
第2の絶縁樹脂層14としては、熱硬化性樹脂と硬化剤と難燃剤とを含む第2の塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂と難燃剤とを含む第2の塗料を塗布して形成された塗膜;熱可塑性樹脂と難燃剤とを含む第2の樹脂組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤と難燃剤とを含む第2の塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜が好ましい。
【0026】
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられ、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
【0027】
第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14の160℃における貯蔵弾性率は、5×10
6Pa以上1×10
9Pa以下が好ましく、8×10
6Pa以上5×10
8Pa以下がより好ましい。通常、熱硬化性樹脂の硬化物は硬いため、これからなる塗膜は、柔軟性に乏しく、特に、厚さを薄くした場合は、非常に脆く自立膜として存在できるほどの強度がない。絶縁樹脂層10は、第1の離型フィルム30を剥離する際の温度下(熱硬化性導電性接着剤を硬化させる温度で、通常150℃以上200℃以下の温度)において、十分な強度を有することが好ましい。第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14の160℃における貯蔵弾性率が5×10
6Pa以上であれば、絶縁樹脂層10が軟化することがない。第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14の160℃における貯蔵弾性率が1×10
9Pa以下であれば、柔軟性や強度が十分となる。その結果、第1の離型フィルム30を剥離する際に絶縁樹脂層10はもとより電磁波シールドフィルム1が破断しにくい。
【0028】
第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14のいずれか一方または両方は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に意匠性を付与するために、着色されていてもよい。
第1の絶縁樹脂層12の表面には、絶縁樹脂層10の最表面の傷等を目立たなくするために、エンボス加工やブラスト加工が施された第1の離型フィルム30の凹凸が転写されていてもよい。
【0029】
第1の絶縁樹脂層12の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。第1の絶縁樹脂層12の厚さが0.1μm以上であれば、絶縁樹脂層10の耐熱性および表面硬度の低下が抑えられる。第1の絶縁樹脂層12の厚さが30μm以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
【0030】
第2の絶縁樹脂層14の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。第2の絶縁樹脂層14の厚さが0.1μm以上であれば、絶縁樹脂層10の難燃性が優れる。第2の絶縁樹脂層14の厚さが30μm以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
【0031】
(導電層)
導電層20としては、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、導電層20において絶縁樹脂層10とは反対側の最表層となる導電性接着剤層(異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26)とを有する導電層(I);または等方導電性接着剤層26のみからなる導電層(II)とが挙げられる。導電層20としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点から、導電層(I)が好ましい。
【0032】
(金属薄膜層)
金属薄膜層22は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層22は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
【0033】
金属薄膜層22としては、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)またはCVDによって形成された蒸着膜、めっきによって形成されためっき膜、金属箔等が挙げられ、厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスにて簡便に形成できる点から、物理蒸着による蒸着膜が好ましい。
【0034】
金属薄膜層22を構成する金属薄膜の材料としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられる。電気伝導度の点からは、銅が好ましく、化学的安定性の点からは、導電性セラミックスが好ましい。
【0035】
金属薄膜層22の厚さは、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.05μm以上1μm以下がより好ましい。金属薄膜層22の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが0.05μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが1μm以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の生産性、可とう性がよくなる。
【0036】
金属薄膜層22の表面抵抗は、0.001Ω以上1Ω以下が好ましく、0.001Ω以上0.1Ω以下がより好ましい。金属薄膜層22の表面抵抗が0.001Ω以上であれば、金属薄膜層22を十分に薄くできる。金属薄膜層22の表面抵抗が1Ω以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
【0037】
(導電性接着剤層)
導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。導電層(I)における導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。
【0038】
導電性接着剤層としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
【0039】
熱硬化性接着剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
【0040】
導電性粒子としては、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性接着剤層の流動性の点からは、堅く球状である焼成カーボン粒子が好ましい。
【0041】
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が2μm以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が26μm以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
【0042】
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が0.1μm以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が10μm以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
【0043】
導電性粒子の比表面積は、2m
2/g以上50m
2/g以下が好ましく、2m
2/g以上20m
2/g以下がより好ましい。導電性粒子の比表面積が2m
2/g以上であれば、導電性粒子を入手しやすい。導電性粒子の比表面積が50m
2/g以下であれば、導電性粒子の吸油量が大きくなりすぎず、その結果、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、導電性接着剤層の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。
【0044】
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上10体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が1体積%以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が30体積%以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0045】
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が50体積%以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が80体積%以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0046】
異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが3μm以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが25μm以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0047】
等方導電性接着剤層26の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましく、7μm以上17μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが5μm以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。等方導電性接着剤層26の厚さが20μm以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0048】
異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×10
4Ω以上1×10
16Ω以下が好ましく、1×10
6Ω以上1×10
14Ω以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が1×10
4Ω以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が1×10
16Ω以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
【0049】
等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω以上2.0Ω以下が好ましく、0.1Ω以上1.0Ω以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が0.05Ω以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が2.0Ω以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
【0050】
(第1の離型フィルム)
第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10や導電層20を形成する際のキャリアフィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム30は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付けた後には、電磁波シールドフィルム1から剥離される。
【0051】
第1の離型フィルム30は、例えば、離型フィルム本体32と、離型フィルム本体32の絶縁樹脂層10側の表面に設けられた離型剤層34とを有する。
【0052】
離型フィルム本体32の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられ、電磁波シールドフィルム1を製造する際の耐熱性(寸法安定性)およびコストの点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0053】
離型フィルム本体32の160℃における貯蔵弾性率は、0.8×10
8Pa以上4×10
9Pa以下が好ましく、0.8×10
8Pa以上3×10
9Pa以下がより好ましい。離型フィルム本体32の160℃における貯蔵弾性率が0.8×10
8Pa以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。離型フィルム本体32の160℃における貯蔵弾性率が4×10
9Pa以下であれば、第1の離型フィルム30の柔軟性が良好となる。
【0054】
離型フィルム本体32の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。離型フィルム本体32の厚さが5μm以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。また、離型フィルム本体32がクッション材として十分に働き、プリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスにて貼着する際に、導電性接着剤層が絶縁フィルムの表面の凹凸形状に追随しやすくなる。離型フィルム本体32の厚さが500μm以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
【0055】
離型剤層34は、離型フィルム本体32の表面に、離型剤による離型処理を施して形成されたものである。第1の離型フィルム30が離型剤層34を有することによって、第1の離型フィルム30を絶縁樹脂層10から剥離する際に、第1の離型フィルム30を剥離しやすく、絶縁樹脂層10や硬化後の導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
【0056】
離型剤層34の厚さは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましい。離型剤層34の厚さが前記範囲内であれば、第1の離型フィルム30をさらに剥離しやすくなる。
【0057】
(第2の離型フィルム)
第2の離型フィルム40は、導電性接着剤層を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第2の離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層から剥離される。
【0058】
第2の離型フィルム40は、例えば、離型フィルム本体42と、離型フィルム本体42の導電性接着剤層側の表面に設けられた離型剤層44とを有する。
【0059】
離型フィルム本体42の樹脂材料としては、離型フィルム本体32の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
離型フィルム本体42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
【0060】
離型剤層44は、離型フィルム本体42の表面に、離型剤による離型処理が施して形成されたものである。第2の離型フィルム40が離型剤層44を有することによって、第2の離型フィルム40を導電性接着剤層から剥離する際に、第2の離型フィルム40を剥離しやすく、導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
【0061】
離型剤層34の厚さは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましい。離型剤層34の厚さが前記範囲内であれば、第2の離型フィルム40をさらに剥離しやすくなる。
【0062】
(電磁波シールドフィルムの厚さ)
電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)は、10μm以上45μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が10μm以上であれば、第1の離型フィルム30を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が45μm以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
【0063】
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)〜(c)を有する方法(α)によって製造できる。
工程(a):第1の離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁樹脂層の表面に導電層を形成する工程。
工程(c):工程(b)の後、導電層の表面に第2の離型フィルムを貼り付ける工程。
【0064】
また、本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a’)、(b’1)、(b’2)、(c’)を有する方法(β)によって製造できる。
工程(a’):第1の離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b’1):絶縁樹脂層の表面に金属薄膜層を形成することによって、第1の離型フィルムと、絶縁樹脂層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
工程(b’2):第2の離型フィルムの片面に導電性接着剤層を形成することによって、第2の離型フィルムと、導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
工程(c’):第1の積層体と第2の積層体とを、金属薄膜層と導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
【0065】
以下、
図1に示す電磁波シールドフィルム1を方法(α)によって製造する方法について、
図4を参照しながら説明する。
【0066】
工程(a):
図4に示すように、第1の離型フィルム30の片面に第1の絶縁樹脂層12を形成し、第1の絶縁樹脂層12の表面に第2の絶縁樹脂層14を形成する。
【0067】
第1の絶縁樹脂層12の形成方法としては、熱硬化性樹脂と硬化剤と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料を塗布し、硬化させる方法;熱可塑性樹脂と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料を塗布する方法;熱可塑性樹脂と必要に応じて難燃剤とを含む第1の樹脂組成物を溶融成形したフィルムを貼着する方法等が挙げられる。リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料を塗布し、硬化させる方法が好ましい。
熱硬化性樹脂と硬化剤と必要に応じて難燃剤とを含む第1の塗料は、必要に応じて溶剤、他の成分を含んでいてもよい。
【0068】
第2の絶縁樹脂層14の形成方法としては、熱硬化性樹脂と硬化剤と難燃剤とを含む第2の塗料を塗布し、硬化させる方法;熱可塑性樹脂と難燃剤とを含む第2の塗料を塗布する方法;熱可塑性樹脂と難燃剤とを含む第2の樹脂組成物を溶融成形したフィルムを貼着する方法等が挙げられる。リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤と難燃剤とを含む第2の塗料を塗布し、硬化させる方法が好ましい。
熱硬化性樹脂と硬化剤と難燃剤とを含む第2の塗料は、必要に応じて溶剤、他の成分を含んでいてもよい。
【0069】
絶縁樹脂層10を、塗料の塗布によって形成した場合、絶縁樹脂層10を比較的薄くできる。なお、熱硬化性樹脂の硬化物は硬いため、絶縁樹脂層10を薄くした場合は、強度が不十分となる。上述したように、第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14の160℃における貯蔵弾性率を、5×10
6Pa以上1×10
9Pa以下の範囲とすることによって、柔軟性や強度と、耐熱性とのバランスが良好となる。
【0070】
第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14の貯蔵弾性率の制御は、架橋密度および架橋構造からもたらされる強靭性の観点から熱硬化性樹脂、硬化剤、難燃剤等の種類や組成を選択し、熱硬化性樹脂の硬化物の貯蔵弾性率を調整することによって行われる。
このほか、貯蔵弾性率は、熱硬化性樹脂を硬化させる際の温度、時間等の硬化条件を調整する、または熱硬化性を有さない成分として熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂を添加することによって調整できる。
【0071】
工程(b):
図4に示すように、絶縁樹脂層10の表面に金属薄膜層22を形成し(工程(b1))、金属薄膜層22の表面に異方導電性接着剤層24を形成する(工程(b2))。
【0072】
金属薄膜層22の形成方法としては、物理蒸着、CVDによって形成された蒸着膜を形成する方法、めっきによってめっき膜を形成する方法、金属箔を貼り付ける方法等が挙げられる。面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、またはめっきによってめっき膜を形成する方法が好ましく、金属薄膜層22の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成でき、ドライプロセスにて簡便に金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着によって蒸着膜を形成する方法がより好ましい。
【0073】
異方導電性接着剤層24の形成方法としては、金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。
熱硬化性導電性接着剤組成物としては、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bと必要に応じて難燃剤とを含むものを用いる。
【0074】
工程(c):
図4に示すように、異方導電性接着剤層24の表面に第2の離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得る。
【0075】
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム1にあっては、第1の絶縁樹脂層12(100質量%)中の難燃剤の含有割合(質量%)が、第2の絶縁樹脂層14(100質量%)中の難燃剤の含有割合(質量%)よりも低いため、難燃剤を含まないまたは難燃剤が少ない第1の絶縁樹脂層12が溶融しにくいため、絶縁樹脂層10全体としての耐熱性の低下が抑えられる。また、難燃剤を含まないまたは難燃剤が少ない第1の絶縁樹脂層12は硬度の低下が抑えられるため、絶縁樹脂層10の表面硬度の低下が抑えられる。なお、難燃剤を含まないまたは難燃剤が少ない第1の絶縁樹脂層12の難燃性が低下しても、難燃剤を多く含む第2の絶縁樹脂層14によって絶縁樹脂層10全体としての難燃性を確保できる。
【0076】
(他の実施形態)
本発明の電磁波シールドフィルムは、絶縁樹脂層と導電層とを有する電磁波シールドフィルムであって、絶縁樹脂層が第1の絶縁樹脂層と第2の絶縁樹脂層とを有し、絶縁樹脂層において導電層とは反対側の最表層となる第1の絶縁樹脂層中の難燃剤の含有割合が、第2の絶縁樹脂層中の難燃剤の含有割合よりも低いものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、第2の絶縁樹脂層は、2層以上であってもよい。
導電性接着剤層の表面のタック性が少ない場合は、第2の離型フィルム40を省略しても構わない。
絶縁樹脂層10が十分な柔軟性や強度を有する場合は、第1の離型フィルム30を省略しても構わない。
離型フィルムは、離型フィルム本体のみで十分な離型性を有する場合は、離型剤層を有しなくてもよい。
【0077】
<電磁波シールドフィルム付きプリント配線板>
図5は、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、第1の離型フィルム30および第2の離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1から剥離されている。
【0078】
貫通孔のある部分を除くプリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22が、絶縁フィルム60および異方導電性接着剤層24を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と金属薄膜層22との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、30μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上200μm以下がより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
【0079】
(フレキシブルプリント配線板)
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
【0080】
(ベースフィルム)
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10
6Ω以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×10
19Ω以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、6μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
【0081】
(プリント回路)
プリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われていない。
【0082】
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム60は、基材フィルム(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
基材フィルムの表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10
6Ω以上が好ましい。基材フィルムの表面抵抗は、実用上の点から、1×10
19Ω以下が好ましい。
基材フィルムとしては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
基材フィルムの厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
【0083】
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔62の開口部の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
【0084】
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、例えば、下記の工程(d)〜(f)を有する方法によって製造できる。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):工程(d)の後、絶縁フィルム付きプリント配線板と、第2の離型フィルを剥離した本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層を接着し、かつ導電性接着剤層を、貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続する工程。
工程(f):工程(e)の後、第1の離型フィルムを剥離し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
【0085】
以下、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造する方法について、
図6を参照しながら説明する。
【0086】
(工程(d))
図6に示すように、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ね、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(e)または工程(f)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
【0087】
(工程(e))
図6に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着され、かつ異方導電性接着剤層24が、貫通孔62を通ってプリント回路54に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体4を得る。
【0088】
異方導電性接着剤層24の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下であり、30秒以上30分以下がさらに好ましい。熱プレスの時間が20秒以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。熱プレスの時間が60分以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
【0089】
熱プレスの温度(プレス機のプレス板の温度)は、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上175℃以下がより好ましい。熱プレスの温度が140℃以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの温度が190℃以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
【0090】
熱プレスの圧力は、10MPa以上20MPa以下が好ましく、10MPa以上16MPa以下がより好ましい。熱プレスの圧力が10MPa以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの圧力が20MPa以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の破損等を抑えることができる。
【0091】
(工程(f))
図6に示すように、絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。
【0092】
工程(e)における熱プレスの時間が20秒以上10分以下の短時間である場合、第1の離型フィルム30を剥離する前または剥離した後に異方導電性接着剤層24の本硬化を行うことが好ましい。
異方導電性接着剤層24の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15分以上120分以下であり、30分以上60分以下が好ましい。加熱時間が15分以上であれば、異方導電性接着剤層24を十分に硬化できる。加熱時間が120分以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下が好ましい。加熱温度が120℃以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が180℃以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
【0093】
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2にあっては、電磁波シールドフィルム1を用いているため、電磁波シールドフィルム1の絶縁樹脂層が難燃性を有し、かつ電磁波シールドフィルム1の絶縁樹脂層10の耐熱性および表面硬度の低下が抑えられている。
【0094】
(他の実施形態)
なお、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、プリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、導電層が絶縁フィルムに隣接し、かつ導電層が絶縁フィルムに形成された貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続された電磁波シールドフィルムを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1等を用いてもよい。
【実施例】
【0095】
以下、実施例を示す。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0096】
(貯蔵弾性率)
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、RSAII)を用い、温度:160℃、周波数:1Hz、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。
【0097】
(難燃性)
第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルムから長さ:200mm、幅:50mmの試験片を切り出した。UL94規格に準拠し、薄材料垂直燃焼試験(VTM試験)を実施した。サンプル数は5とした。判定基準を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
(耐熱性)
第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルムを、内部の温度を288℃に設定したリフロー炉に30秒間入れた。リフロー炉から電磁波シールドフィルムを取り出し、目視にて観察し、下記基準にて評価した。
◎:第1の絶縁樹脂層に溶融した形跡が見られない。
〇:第1の絶縁樹脂層にわずかに溶融した形跡が見られる。
×:第1の絶縁樹脂層に溶融した形跡が見られる。
【0100】
(表面硬度)
絶縁樹脂層の表面硬度について、鉛筆硬度試験(JIS K5600−5−4、ISO15184、ASTM D3363準拠、機械法:KT−VF2391 TQC WWテスター、使用鉛筆:三菱鉛筆Uni 6B〜6H、鉛筆先端負荷荷重:750g(7.35N)、鉛筆引っかき角度:45度、速度:1.0mm/s、距離:7mm)を行い、鉛筆硬度を測定した。
【0101】
(実施例1)
第1の離型フィルム30および第2の離型フィルム40として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm、160℃における貯蔵弾性率:6×10
8Pa)を用意した。
【0102】
第1の塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828)の100質量部および硬化剤(トルエンジイソシアネート)の2質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
第2の塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(トルエンジイソシアネート)の2質量部および難燃剤(大塚化学社製、SPS−100、ホスファゼン化合物<シクロホスファゼンオリゴマー・ポリホスファゼン>)の20質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
【0103】
熱硬化性導電性接着剤組成物として、熱硬化性接着剤24a(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、導電性粒子24b(焼成カーボン粒子(エアウォーターベルパール社製、CR1−2000、平均粒子径:9μm、比表面積:5m
2/g、真密度:1.5g/cm
3)に銀メッキを1μm厚で施したもの)の40質量部および難燃剤(大塚化学社製、SPS−100、ホスファゼン化合物<シクロホスファゼンオリゴマー・ポリホスファゼン>)の10質量部を、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解または分散させたものを用意した。
【0104】
工程(a):
第1の離型フィルム30の離型剤層34の表面に第1の塗料を塗布し、150℃で0.4時間加熱し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を硬化させて、第1の絶縁樹脂層12(厚さ:5μm、160℃における貯蔵弾性率:1×10
9Pa)を形成した。
第1の絶縁樹脂層12の表面に第2の塗料を塗布し、150℃で0.4時間加熱し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を硬化させて、第2の絶縁樹脂層14(厚さ:5μm、160℃における貯蔵弾性率:2×10
8Pa)を形成した。
【0105】
工程(b1):
第2の絶縁樹脂層14の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、厚さ0.07μm、表面抵抗0.3Ωの蒸着膜(金属薄膜層22)を形成した。
【0106】
工程(b2):
金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層24(厚さ:10μm、銀メッキ焼成カーボン粒子:5体積%、表面抵抗:5×10
8Ω)を形成した。
【0107】
工程(c):
異方導電性接着剤層24の表面に第2の離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得た。難燃性、耐熱性および表面硬度の評価結果を表2に示す。
【0108】
工程(d):
厚さ25μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×10
17Ω)(基材フィルム)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム60(厚さ:50μm)を得た。プリント回路54のグランドに対応する位置に貫通孔62(孔径:150μm)を形成した。
【0109】
厚さ12μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×10
17Ω)(ベースフィルム52)の表面に、プリント回路54が形成されたフレキシブルプリント配線板50を用意した。
フレキシブルプリント配線板50に絶縁フィルム60を熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得た。
【0110】
工程(e):
絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、ホットプレス装置(折原製作所社製、G−12)を用い、温度:160℃、圧力:3MPaで3分間熱プレスし、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24を仮接着して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体4を得た。
【0111】
工程(f):
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体4を、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)を用い、温度:150℃で30分間加熱することによって、異方導電性接着剤層24を本硬化させた。絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。
貫通孔62が形成された位置に対応するプリント回路54のグランドと、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22との間の導通を調べ、プリント回路54のグランドと硬化された異方導電性接着剤層24とが電気的に接続されていることを確認した。
【0112】
(実施例2〜4、比較例1〜2)
表2に示すように、第1の絶縁樹脂層12(100質量%)中の難燃剤の含有割合(質量%)および第2の絶縁樹脂層14(100質量%)中の難燃剤の含有割合(質量%)を変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム1を得た。難燃性、耐熱性および表面硬度の評価結果を表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
第1の絶縁樹脂層12中の難燃剤の含有割合が、第2の絶縁樹脂層14中の難燃剤の含有割合よりも低い実施例1〜4においては、絶縁樹脂層10が難燃性を有し、かつ絶縁樹脂層10の耐熱性および表面硬度の低下が抑えられていた。
第1の絶縁樹脂層12および第2の絶縁樹脂層14に難燃剤を含まない比較例1においては、絶縁樹脂層10の難燃性に劣っていた。
第1の絶縁樹脂層12中の難燃剤の含有割合が、第2の絶縁樹脂層14中の難燃剤の含有割合と同じ比較例2においては、絶縁樹脂層10の耐熱性および表面硬度に劣った。