(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であり、下側が前側(第1方向一方側)、紙面上側が後側(第1方向他方側)である。
【0043】
図1において、紙面左右方向は、幅方向(第1方向に直交する第2方向)であり、紙面左側が幅方向一方側(第2方向一方側)、紙面右側が幅方向他方側(第2方向他方側)である。
【0044】
図1において、紙面紙厚方向は、上下方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向、厚み方向)であり、紙面手前側が上側(第3方向一方側、厚み方向一方側)、紙面奥側を下側(第3方向他方側、厚み方向他方側)である。方向は、具体的には、各図に記載の方向矢印従う。
【0045】
また、
図1、
図7、
図11、
図15、
図18〜20、
図22、
図23において、後述する第1導体パターン4および第2導体パターン6の相対位置を明確に示すため、後述するベース絶縁層3、中間絶縁層5およびカバー絶縁層7を省略している。但し、中間絶縁層5における湾曲部17(幅方向一方側の斜面15)のみを、点ハッチングで示している。
【0046】
<第1実施形態>
本発明の配線回路基板は、導体パターンを単数層あるいは複数層有しており、その層構成は、特に限定されない。また、配線回路基板は、金属支持基板を備える回路付サスペンション基板や、金属支持基板を備えないフレキシブル配線回路基板を含む。
【0047】
以下、本発明の第1実施形態である配線回路基板およびその製造方法を順次説明する。
【0048】
1.配線回路基板
図1および
図2に示すように、この配線回路基板1は、ベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上に設けられる第1導体パターン4と、ベース絶縁層3の上に設けられ、第1導体パターン4を被覆する絶縁層の一例としての中間絶縁層5と、中間絶縁層5の上に配置される導体パターンの一例としての第2導体パターン6と、中間絶縁層5の上に設けられ、第2導体パターン6を被覆するカバー絶縁層7とを備える。
【0049】
ベース絶縁層3は、前後方向に延びる略平板(シート)形状を有する。ベース絶縁層3は、絶縁材料からなる。絶縁材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂が挙げられ、好ましくは、ポリイミド樹脂が挙げられる。ベース絶縁層3の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上、例えば、25μm以下、好ましくは、15μm以下である。
【0050】
第1導体パターン4は、第1配線10と、第1配線10の両端に設けられる第1端子(図示せず)とを一体的に有する。
【0051】
第1配線10は、円弧形状を有する第1円弧部11と、第1円弧部11の両端に連続する2つの第1直線部12とを一体的に有する。
【0052】
第1円弧部11は、後方に向かうに従って幅方向一方側に湾曲している。
【0053】
第1円弧部11に沿う仮想円(詳しくは、第1円弧部11の幅方向中心に沿う仮想円)の半径R1は、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0054】
第1円弧部11の中心角αは、特に限定されず、例えば、0度超過以上、好ましくは、30度以上、より好ましくは、45度以上であり、また、例えば、180度以下、好ましくは、90度以下である。
【0055】
2つの第1直線部12は、それらの延長線が交差するように、配置されている。2つの第1直線部12のうち、一方は、平面視において、第1円弧部11の前端部から、前方斜め幅方向一方側に向かって傾斜し、他方は、平面視において、第1円弧部11の後端部から、後方斜め幅方向一方側に向かって傾斜する。
【0056】
第1配線10(第1円弧部11および第1直線部12のそれぞれ)は、断面略矩形状を有する。第1配線10は、上端部に2つの稜線部13を有する。
【0057】
第1導体パターン4の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、20μm以下、好ましくは、12μm以下である。第1配線10の幅W1は、特に限定されず、具体的には、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0058】
中間絶縁層5は、ベース絶縁層3の上面において、第1導体パターン4の側面および上面16を被覆するように、配置されている。なお、図示しないが、中間絶縁層5は、第1導体パターン4の第1端子(図示せず)を露出している。また、中間絶縁層5は、第1平坦面14と、斜面15と、第2平坦面16とを含む上面を有する。
【0059】
第1平坦面14は、面方向(ベース絶縁層3の表面に沿う方向)に平行する面であって、第1導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面と、厚み方向に対向する面である。
【0060】
斜面15は、第1配線10に対応しており、第1平坦面14に連続し、面方向に対して傾斜する面である。具体的には、斜面15は、第1配線10の2つの稜線部13に対応して、第1平坦面14から上方に向かって傾斜(隆起)する面である。
【0061】
斜面15と第1平坦面14とのなす角度β’の補角β、すなわち、斜面15の第1平坦面14に対する斜度βは、特に限定されず、例えば、5度以上、好ましくは、20度以上であり、また、例えば、90度未満、好ましくは、60度以下である。
【0062】
また、斜面15は、後述するが、
図7および
図8Aに示すように、金属薄膜33における反射光B’が、フォトレジスト25における第1部分23に至るような第2部分28を有している。
【0063】
図1および
図2に示すように、第2部分28は、曲り部の一例としての湾曲部17から構成される。具体的には、第2部分28は、好ましくは、湾曲部17のみからなる。
【0064】
詳しくは、湾曲部17は、2つの稜線部13に対応する2つの斜面15のうちの幅方向一方側部分(内側部分)である。湾曲部17は、平面視において、稜線部13の円弧形状に相似する円弧形状を有する。湾曲部17は、幅方向一方側に向かって連続的に曲がっている。湾曲部17に沿う仮想円(詳しくは、湾曲部17の幅方向中心に沿う仮想円)の半径R2は、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0065】
第2平坦面16は、第1配線10の2つの稜線部13を連結する上面18に対応しており、上面18の上側に間隔を隔てて対向配置されている。第2平坦面16は、2つの斜面15の上端部を連結する。第2平坦面16は、第1平坦面14と平行している。
【0066】
第2導体パターン6は、配線の一例としての第2配線20と、第2配線20の両端に設けられる第2端子(図示せず)とを一体的に有する。また、第2導体パターン6は、第2配線20と独立して設けられるダミー配線21をさらに有する。
【0067】
第2配線20は、前後方向に延びる第2直線部22からなる。第2直線部22は、厚み方向に投影したときに、2つの第1直線部12と交差している。また、第2直線部22は、厚み方向に投影したときに、湾曲部17の円弧の中心点Cと重複している。具体的には、第2直線部22の幅方向中央部が、厚み方向において、湾曲部17の円弧の中心点Cと重複している。また、第2配線20は、中間絶縁層5の第1平坦面14の上面に配置されている。第2配線20は、断面視略矩形状を有する。
【0068】
ダミー配線21は、第2配線20と幅方向他方側に間隔を隔てて対向配置されている。ダミー配線21は、第1導体パターン4の第1円弧部11に対応して設けられており、具体的には、ダミー配線21は、第1円弧部11における幅方向一方側の稜線部13に対応して設けられている。ダミー配線21は、平面視において、幅方向一方側の稜線部13の円弧形状に相似する円弧形状を有する。さらに、ダミー配線21は、平面視において、中間絶縁層5の湾曲部17と重複している。
【0069】
一方、ダミー配線21は、第1導体パターン4における2つの第1直線部12に対応して設けられていない。つまり、ダミー配線21は、厚み方向に投影したときに、第1直線部12とずれている。
【0070】
また、ダミー配線21は、平面視において、幅方向他方側の稜線部13に対応して設けられていない。つまり、ダミー配線21は、厚み方向に投影したときに、幅方向他方側の稜線部13とずれている。
【0071】
そうすると、ダミー配線21は、第1円弧部11における幅方向一方側の稜線部13のみに対応して設けられている。つまり、ダミー配線21は、第1円弧部11における幅方向一方側の稜線部13と、第1円弧部11における幅方向一方側部分(上記した稜線部13を除く)とに重複している。
【0072】
ダミー配線21は、断面視において、中間絶縁層5の湾曲部17(斜面15)に沿って配置されており、断面視略波形状を有している。
【0073】
なお、ダミー配線21は、後述する工程(4)において湾曲部17に対応する金属薄膜33における反射光B’が、フォトレジスト25の第1部分23に集光することを防止するために形成される配線であって、本来、配線回路基板1に不要な配線であるが、湾曲部17を有する配線回路基板1には、必要な配線である。
【0074】
また、ダミー配線21は、第2配線20と独立し、第2端子(図示せず)と電気的に接続されていないので、実質的には、配線の機能を有しない。
【0075】
第2導体パターン6は、第1導体パターン4と同一の導体材料からなる。
【0076】
第2導体パターン6の寸法は適宜設定されている。第2導体パターン6の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、20μm以下、好ましくは、12μm以下である。第2配線20の幅W2は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。ダミー配線21の幅W3は、厚み方向に投影したときに、湾曲部17と重複できるように、設定されており、具体的には、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。ダミー配線21に沿う仮想円の半径R3は、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、100μm以下である。第2配線20およびダミー配線21間の間隔は、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0077】
2.配線回路基板の製造方法
次に、配線回路基板1の製造方法を、
図3A〜
図6Kを参照して説明する。
【0078】
この配線回路基板1の製造方法は、ベース絶縁層3を用意する工程(i)(
図3A参照)と、第1導体パターン4をベース絶縁層3の上に設ける工程(ii)(
図3B参照)と、中間絶縁層5を、第1導体パターン4を被覆するように、ベース絶縁層3の上に設ける工程(1)(
図3C参照)とを備える。
【0079】
また、配線回路基板1の製造方法は、金属薄膜33を中間絶縁層5の少なくとも斜面15の上に設ける工程(2)(
図4D参照)と、フォトレジスト25を金属薄膜33の上に設ける工程(3)(
図4E参照)と、フォトマスク24を、フォトレジスト25において第2導体パターン6が設けられべき部分の一例としての第1部分23が遮光されるように配置して、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光する工程(4)(
図4F参照)とを備える。
【0080】
さらに、配線回路基板1の製造方法は、第1部分23を除去して、第1部分23に対応する金属薄膜33を露出させる工程(5)(
図5G参照)と、第2導体パターン6を、フォトレジスト25から露出する金属薄膜33の上に設ける工程(6)(
図5Hの仮想線参照)とを備える。
【0081】
さらにまた、配線回路基板1の製造方法は、フォトレジスト25を除去する工程(iii)(
図5I参照)と、フォトレジスト25に対応する金属薄膜33を除去する工程(iv)(
図6J参照)と、カバー絶縁層7を、第2導体パターン6を被覆するように、中間絶縁層5の上に設ける工程(v)(
図6K参照)とを備える。
【0082】
配線回路基板1の製造方法では、工程(i)〜工程(ii)、工程(1)〜工程(6)、工程(iii)〜工程(v)が順次実施される。以下、上記した各工程を詳述する。
【0083】
2−1.工程(i)
図3Aに示すように、工程(i)では、ベース絶縁層3を用意する。
【0084】
2−2.工程(ii)
図3Bに示すように、工程(ii)では、第1導体パターン4をベース絶縁層3の上に設ける。
【0085】
2−3.工程(1)
図3Cに示すように、工程(1)では、中間絶縁層5を、第1導体パターン4を被覆するように、ベース絶縁層3の上に設ける。
【0086】
中間絶縁層5をベース絶縁層3の上に設けるには、例えば、感光性の絶縁材料のワニスをベース絶縁層3の上面に塗布し、露光および現像し、その後、必要により加熱する。あるいは、図示しない第1端子を露出するパターンに予め形成された中間絶縁層5を、図示しない接着剤を介して、ベース絶縁層3の上に接着する。
【0087】
このとき、第1導体パターン4に対応する中間絶縁層5には、斜面15および第2平坦面16が生じる。
【0088】
これにより、湾曲部17(
図1参照)を含む斜面15を有する中間絶縁層5を設ける。
【0089】
2−4.工程(2)
図4Dに示すように、工程(2)では、金属薄膜33を中間絶縁層5の少なくとも斜面15の上に設ける。
【0090】
金属薄膜33は、工程(6)(後述、
図5H参照)におけるアディティブ法の種膜(給電層)として役することができる。また、金属薄膜33は、アディティブ法で第2導体パターン6が得られたときには、第2導体パターン6と一体化することができる層である(
図2参照)。
【0091】
金属薄膜33は、例えば、中間絶縁層5の上面(第1平坦面14、斜面15(湾曲部17を含む)および第2平坦面16を含む)全面に設けられている。
【0092】
金属薄膜33は、金属材料からなる。金属材料としては、例えば、銅、クロム、ニッケルおよびそれらの合金が挙げられ、好ましくは、銅、クロムが挙げられる。金属薄膜33は、単層および複層(
図4Dにおいて図示されず)のいずれの層からなっていてもよい。好ましくは、金属薄膜33は、第1薄膜(具体的には、クロム薄膜)と、その上に設けられる第2薄膜(銅薄膜)との2層からなる。
【0093】
また、金属薄膜33は、中間絶縁層5の上面に追従している。そのため、金属薄膜33において、中間絶縁層5の第1平坦面14および第2平坦面16のそれぞれに対応する部分の上面が、第1平坦面14および第2平坦面16のそれぞれに平行し、つまり、面方向に沿っている。一方、金属薄膜33において、斜面15(湾曲部17を含む)に対応する部分の上面が、中間絶縁層5の斜面15(湾曲部17を含む)に平行し、つまり、面方向に対して傾斜している。
【0094】
金属薄膜33の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、30nm以上であり、また、例えば、300nmnm以下、好ましくは、200nm以下である。また、金属薄膜33が、第1薄膜および第2薄膜の2層からなる場合には、第1薄膜の厚みが、例えば、10nm以上、100nm以下であり、第2薄膜の厚みが、例えば、50nm以上、200nm以下である。
【0095】
金属薄膜33を中間絶縁層5の上に設けるには、例えば、スパッタリング法、めっき法などが用いられ、好ましくは、スパッタリング法が用いられる。
【0096】
2−5.工程(3)
図4Eに示すように、工程(3)では、フォトレジスト25を金属薄膜33の上に設ける。
【0097】
フォトレジスト25は、ネガ型のフォトレジスト(ネガティブフォトレジスト)である。ネガ型のフォトレジストは、露光時に光が照射された箇所が、その後の現像で残り、一方、露光時に光が遮光された箇所(照射されなかった箇所)が、その後の現像で除去されるレジストである。フォトレジスト25は、例えば、ドライフィルムレジスト(DFR)を含んでいる。また、フォトレジスト25は、
図5Hに示すように、工程(6)におけるめっきにおいてめっきレジストとして役することができる。
【0098】
また、フォトレジスト25は、工程(4)(
図4F参照)における光(例えば、紫外線など)を部分的に透過することができ、具体的には、フォトレジスト25の紫外線に対する透過率が、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、また、例えば、50%以下、好ましくは、60%以下である。
【0099】
上記したフォトレジスト25を、金属薄膜33の上面全面に配置する。
【0100】
その際、ドライフィルムレジストを、例えば、平板などを用いて、押圧する(押し付ける)。そのため、フォトレジスト25の上面は、平坦面となる。
【0101】
フォトレジスト25の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0102】
2−6.工程(4)
図4Fに示すように、工程(4)では、フォトマスク24を、フォトレジスト25における第1部分23と、フォトレジスト25において第2部分28に対応する第3部分29とが遮光されるように配置して、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光する。
【0103】
第1部分23は、工程(4)で、フォトレジスト25において、遮光されるべき部分である。また、第1部分23は、
図5Gが参照されるように、次の工程(5)において、除去されるべき部分である。さらに、第1部分23は、
図5Hが参照されるように、後の工程(6)において、フォトレジスト25の開口部30(後述)において第2配線20が設けられる(充填される)べき部分である。具体的には、第1部分23は、後の工程(6)において、フォトレジスト25の開口部30において第2配線20および第2端子(図示せず)が設けられる(充填される)べき部分である。
【0104】
一方、第3部分29は、工程(4)では、フォトレジスト25において、遮光される部分である。また、後の工程(6)において、フォトレジスト25の開口部30においてダミー配線21が設けられる(充填される)部分でもある。
【0105】
フォトマスク24は、上側からの光を下方に透光できる透光部分26と、上側からの光を下方に対して遮光できる遮光部分27とを有する。
【0106】
遮光部分27は、第1部分23に対応する第1遮光部分31と、第3部分29に対応する第2遮光部分32とを有する。
【0107】
工程(4)では、フォトマスク24を、第1遮光部分31が第1部分23と対向し、第2遮光部分32が第3部分29と対向し、透光部分26がフォトレジスト25において第1部分23および第3部分29以外の部分と対向するように、配置する。第2遮光部分32は、厚み方向に投影したときに、中間絶縁層5の第2部分28に重複している。透光部分26は、厚み方向に投影したときに、中間絶縁層5の第1平坦面14および第2平坦面16に重複している。
【0108】
フォトマスク24を、フォトレジスト25の上側に間隔を隔てて対向配置する。なお、
図4Fで図示されないが、フォトマスク24を、フォトレジスト25の上面に直接接触させることもできる。
【0109】
これにより、フォトマスク24を、フォトレジスト25における第1部分23および第3部分29が遮光されるように配置する。また、フォトマスク24を、フォトレジスト25における第1部分23および第3部分29以外の部分が透光されるように配置する。
【0110】
続いて、工程(4)では、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光する。
【0111】
フォトレジスト25を露光するには、フォトマスク24の上方に配置された光源からフォトマスク24に対して光を照射する。光の波長は、例えば、100nm以上、好ましくは、好ましくは、350nm以上であり、また、例えば、800nm以下、好ましくは、450nm以下である。照射(露光)量は、例えば、例えば、100mJ/cm
2以上、800mJ/cm
2以下である。
【0112】
[1] すると、フォトマスク24の第1遮光部分31に対して照射された光Aは、第1遮光部分31によって遮光され、フォトレジスト25の第1部分23に至らない。
【0113】
[2] また、フォトマスク24の第2遮光部分32に対して照射された光Bは、第2遮光部分32によって遮光され、フォトレジスト25の第3部分29に至らない。そのため、光Bは、第3部分29の下側に位置する金属薄膜33(フォトレジスト25の第2部分28に対向する金属薄膜33)にも至らない。
【0114】
2−7.工程(5)
図5Gに示すように、工程(5)では、フォトレジスト25における第1部分23(
図4F参照)を除去する。これとともに、フォトレジスト25における第3部分29(
図4F参照)を除去する。
【0115】
具体的には、まず、必要により、露光後のフォトレジスト25を加熱する(露光後加熱)。
【0116】
続いて、フォトレジスト25を現像液によって現像する。これによって、フォトレジスト25において第1部分23および第3部分29以外の部分を残しつつ、第1部分23および第3部分29のみを除去する。つまり、フォトレジスト25において、第1部分23および第3部分29に対応する開口部30を形成する。開口部30は、フォトレジスト25を厚み方向に貫通する。
【0117】
これによって、第1部分23および第3部分29に対応する金属薄膜33、つまり、開口部30に臨む金属薄膜33を露出させる。
【0118】
その後、必要により、フォトレジスト25を加熱により硬化させる。
【0119】
2−8.工程(6)
図5Hの仮想線に示すように、工程(6)では、まず、第2導体パターン6を、フォトレジスト25から露出する金属薄膜33の上に設ける。
【0120】
第2導体パターン6を金属薄膜33の上に設けるには、金属薄膜33から給電する電解めっきが用いられる。
【0121】
この際、フォトレジスト25は、めっきレジストとして利用される。また、金属薄膜33は、給電層として利用される。
【0122】
これにより、第2導体パターン6を、第2配線20、第2端子およびダミー配線21を有するパターンで、形成する。
【0123】
2−9工程(iii)
図5Iに示すように、工程(iii)では、フォトレジスト25を除去する。
【0124】
具体的には、フォトレジスト25を、例えば、ウェットエッチングにより除去する。
【0125】
2−10.工程(iv)
図6Jに示すように、工程(iv)では、フォトレジスト25(
図5H)に対応する金属薄膜33を除去する。
【0126】
具体的には、フォトレジスト25の下に位置していた金属薄膜33を、例えば、剥離により除去する。
【0127】
2−11.工程(v)
図6Kに示すように、工程(v)では、カバー絶縁層7を、第2導体パターン6の第2配線20およびダミー配線21を被覆し、第2端子(図示せず)を露出するパターンで、設ける。
【0128】
これにより、ベース絶縁層3と、第1導体パターン4と、中間絶縁層5と、金属薄膜33および第2導体パターン6と、カバー絶縁層7とを備える配線回路基板1を得る。
【0129】
なお、この配線回路基板1では、金属薄膜33が第2導体パターン6と一体化、具体的には、金属薄膜33が第2導体パターン6の一部として取り込まれていてもよい。その際には、
図1に示すように、金属薄膜33が第2導体パターン6と判然と区別できない場合がある。
【0130】
また、このような配線回路基板1の用途は、特に限定されず、例えば、ハードディスクドライブに搭載され、金属支持基板(
図2の仮想線参照)を備える回路付サスペンション基板や、金属支持基板を備えず、可撓性を有するフレキシブル配線回路基板などの、各種配線回路基板として用いられる。とくに、この配線回路基板1は、高密度配線(導体パターン)が必要とされる回路付サスペンション基板であって、上記したダミー配線21をヘッド搭載領域に有する回路付サスペンション基板に好適に用いられる。
【0131】
3.第1実施形態の作用効果
しかるに、
図7に示す、ダミー配線21(
図1参照)を有さない配線回路基板1を製造しようとする場合でも、
図8Aおよび
図8Bに示すように、工程(4)および工程(5)が実施される。
【0132】
図7に示すように、そのような配線回路基板1では、第2導体パターン6は、ダミー配線21を有さず、第2配線20および第2端子(図示せず)を備える。
【0133】
工程(4)では、
図8Aに示すように、フォトマスク24において、遮光部分27は、第3部分29に対応する第2遮光部分32(
図4F参照)を有さない一方、第1部分23に対応する第1遮光部分31のみを有する。
【0134】
[1] 光源からフォトマスク24に対して光を照射すると、フォトマスク24の第1遮光部分31に対して照射された光Aは、第1遮光部分31によって遮光され、フォトレジスト25の第1部分23に至らない。
【0135】
[2] しかし、第3部分29に対向する透光部分26に対して照射された光Bは、透光部分26を透過して、第3部分29に至ってしまう。そうすると、光Bの一部は、第3部分29を透過して、第2部分28に対応する金属薄膜33の上面で反射して、反射光B’を生成する。反射光B’は、断面視において、フォトレジスト25を上方斜め幅方向一方側に向かって透過しながら、フォトレジスト25の第1部分23に至ってしまう。
【0136】
そうすると、
図8Bに示すように、工程(5)において、第1部分23を完全に除去できず、つまり、第1部分23が一部または完全に残る。そのため、フォトマスク24において、第1部分23に対応する開口部30(
図5G参照)が形成されない。その結果、第1部分23に対応する金属薄膜33が被覆されてしまう。
【0137】
そうすると、第2配線20(仮想線)を形成することができない。つまり、形状不良を有する第2導体パターン6となってしまう。
【0138】
しかし、この第1実施形態の製造方法によれば、
図4Fに示すように、工程(4)において、フォトマスク24を、中間絶縁層5の第2部分28に対向するフォトレジスト25、つまり、第3部分29が遮光されるように、配置する。そのため、たとえ、斜面15が、金属薄膜33において反射した反射光B’が第1部分23に至るような第2部分28を有していても、工程(4)において、第3部分29が遮光されるので、反射光B’が第1部分23に至ることを防止することができる。つまり、反射光B’自体の発生を防止することができる。
【0139】
その結果、
図4Fに示すように、工程(4)において、第1部分23を確実に遮光して、第1部分23(および第3部分29)以外のフォトレジスト25を露光できる。その後、
図5Gに示すように、工程(5)において、第1部分23に対応する金属薄膜33を確実に露出させ、続いて、
図5Hに示すように、工程(6)において、形状不良が抑制された第2配線20を確実に設けることができる。
【0140】
そのため、高い信頼性を有する第2導体パターン6を高い自由度で設けることができる。
【0141】
従って、自由度の高い、接続信頼性に優れる配線回路基板1を得ることができる。
【0142】
また、
図7および
図8Aに示すように、中間絶縁層5の第2部分28が、平面視において、一方向に曲がる湾曲部17を有すると、反射光B’が、
図7に示すように、平面視において、中心点Cに対応する第1部分23に向かって集光する。つまり、平面視において、第2部分28(湾曲部17)に対応する金属薄膜33が凹レンズのようになって、反射光B’が第2部分28に点状に集光する。そのため、第1部分23における光量が相対的に高くなる。具体的には、第1部分23における光量が、
図8Bに示す工程(5)において、第1部分23が残ることができる光量以上の光量となる。
【0143】
すると、
図8Bに示すように、工程(5)において、第1部分23に対応する金属薄膜33を露出させることができず、
図8Cに示すように、工程(6)において、形状不良を有する第2導体パターン6が設けられる。つまり、湾曲部17に対応する反射光B’の、フォトレジスト25の第1部分23への集光により、第2配線20の形状不良が顕在化する。
【0144】
しかし、この第1実施形態の製造方法によれば、
図4Fに示すように、工程(4)において、フォトマスク24を、第2部分28に対向するフォトレジスト25である第3部分29が遮光されるように、配置するので、工程(4)において、第1部分23を確実に遮光できる。その後、
図5Gに示すように、工程(5)において、第1部分23に対応する金属薄膜33を確実に露出させる。続いて、
図5Hに示すように、工程(6)において、形状不良が抑制された第2配線20を備える第2導体パターン6を確実に設けることができる。
【0145】
また、第1実施形態の製造方法によれば、
図4Fに示すように、工程(4)では、フォトレジスト25においてダミー配線21が設けられるべき第3部分29が、平面視において、中間絶縁層5の第2部分28と重複している。そのため、工程(4)において、第3部分29を確実に遮光し、さらには、第2部分28を遮光することができる。そのため、第3部分29と重複する第2部分28における反射光B’の発生を防止することができる。そのため、第2部分28における反射光B’に起因する第1部分23の露光(
図8A参照)を確実に防止して、第2配線20を確実に設けることができる。
【0146】
また、この配線回路基板1では、第2導体パターン6がダミー配線21を有し、ダミー配線21が、平面視において、湾曲部17と重複するので、
図4Fに示されるように、工程(4)のフォト加工において、湾曲部17に対応する意図しない反射(反射光B’の生成)を防止して、遮光不良を第2配線20に対応する部分に生じることを防止することができる。そのため、第2配線20の信頼性が向上されている。
【0147】
4.第1実施形態の変形例
第1実施形態では、曲り部の一例として湾曲部17を挙げている。しかし、例えば、曲り部は、湾曲部17に限定されない。
【0148】
図示しないが、一方向に所定の角度で複数回あるいは単数回屈曲する屈曲部(あるいは、一方向に所定の角度で折れ曲がる折曲部)を挙げることもできる。その場合には、屈曲部(折曲部)は、多角形の一部の頂点と、それに連続する少なくとも2辺とを含む。上記した角度は、例えば、0度を超過し、さらには、30度以上であり、また、例えば、90度以下、好ましくは、60度以下である。
【0149】
また、ダミー配線21の形状は、
図1に示すように、平面視略円弧形状であるが、厚み方向において、第2部分28と重複していれば、上記の形状に限定されない。
【0150】
なお、ダミー配線21は、厚み方向において、第1円弧部11に対応する第2部分28のみに重複しているが、さらに、第1直線部12に対応する第2部分28に重複することもできる。
【0151】
<第2実施形態>
第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0152】
第1実施形態では、ネガ型のフォトレジスト25を用いて、アディティブ法で、第2導体パターン6を形成している。
【0153】
しかし、第2実施形態では、ポジ型のフォトレジスト25を用いて、サブトラクティブ法で、第2導体パターン6を形成する。
【0154】
4−1.配線回路基板の製造方法
第2実施形態の配線回路基板1の製造方法は、第1実施形態のベース絶縁層3を用意する工程(i)(
図3A参照)と、第1導体パターン4を設ける工程(ii)(
図3B参照)と、中間絶縁層5を設ける工程(1)(
図3C参照)とを備える。
【0155】
また、第2実施形態の配線回路基板1の製造方法は、導体層34を中間絶縁層5の少なくとも斜面15の上に設ける工程(2)(
図9A参照)と、フォトレジスト25を導体層34の上に設ける工程(3)(
図9B参照)と、フォトマスク24を、フォトレジスト25の第1部分23が遮光されるように配置して、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光する工程(4)(
図9Bの矢印参照)とを備える。
【0156】
さらに、第2実施形態の配線回路基板1の製造方法は、第1部分23を残すように、フォトレジスト25において第1部分23以外の部分を除去する工程(5)(
図9C参照)と、フォトレジスト25から露出する導体層34を除去して、第2導体パターン6を形成する工程(6)(
図10Dの仮想線参照)とを備える。
【0157】
また、配線回路基板1の製造方法は、フォトレジスト25を除去する工程(iii)(
図10E参照)と、カバー絶縁層7を設ける工程(v)(
図10F参照)とを備える。
【0158】
4−2.工程(1)および工程(2)
第2実施形態では、
図9Aおよび
図9Bに示すように、工程(1)および工程(2)を順次実施する。あるいは、工程(1)および工程(2)を、例えば、同時に実施する。その場合には、中間絶縁層5および導体層34が積層された2層基材を、ベース絶縁層3の上に、第1導体パターン4を被覆するように、設ける。
【0159】
導体層34は、中間絶縁層5の第1平坦面14、斜面15および第2平坦面16を含む上面全面に配置される。導体層34は、中間絶縁層5の上面に沿って、面方向に沿って延びる。導体層34は、第2導体パターン6と同一の導体材料からなる。導体層34の厚みは、第2導体パターン6の厚みと同一である。
【0160】
4−3.工程(4)
図9Bに示すように、工程(4)において、フォトマスク24を、フォトレジスト25において第1部分23および第3部分29が遮光されるように配置する。
【0161】
フォトレジスト25は、ポジ型のフォトレジスト(ポジディブフォトレジスト)である。ポジ型のフォトレジストは、露光時に光が照射された箇所が、その後の現像で除去され、一方、露光時に光が遮光された箇所(照射されなかった箇所)が、その後の現像で残ることができるレジストである。
【0162】
その後、
図9Bの矢印で示すように、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光する。
【0163】
[1] すると、フォトマスク24の第1遮光部分31に対して照射された光Aは、第1遮光部分31によって遮光され、第1部分23に至らない。
【0164】
[2] 一方、フォトマスク24の第2遮光部分32に対して照射された光Bは、第2遮光部分32によって遮光され、フォトレジスト25の第3部分29に至らない。そのため、光Bは、第3部分29の下側に位置する導体層34(第2部分28に対向する導体層34)にも至らない。
【0165】
4−4.工程(5)
図9Cに示すように、工程(5)では、露光後のフォトレジスト25を、例えば、現像液によって現像して、第1部分23および第3部分29を残すように、第1部分23および第3部分29以外のフォトレジスト25を除去する。
【0166】
4−5.工程(6)
図10Dに示すように、工程(6)では、フォトレジスト25から露出する導体層34を除去する。
【0167】
例えば、フォトレジスト25をエッチングレジストとして用いて、導体層34をエッチングする。
【0168】
これにより、第2配線20、第2端子(図示せず)およびダミー配線21を有する第2導体パターン6を形成する。
【0169】
4−6.工程(iii)
図10Eに示すように、工程(iii)では、フォトレジスト25を、例えば、剥離などによって、除去する。
【0170】
5.配線回路基板
上記した製造方法により得られた配線回路基板1は、ベース絶縁層3と、第1導体パターン4と、中間絶縁層5と、第2導体パターン6と、第2導体パターン6を被覆するカバー絶縁層7とを備える。また、第2実施形態の配線回路基板1は、第1実施形態と異なり、金属薄膜33(
図2参照)を備えない。
【0171】
一方、第2実施形態の配線回路基板1は、第2導体パターン6および中間絶縁層5の間に、それらを接着する接着剤層(図示せず)を備えていてもよい。
【0172】
5.第2実施形態の作用効果
第2実施形態の製造方法によれば、
図9Bに示すように、工程(4)において、フォトマスク24を、第2部分28に対向するフォトレジスト25である第3部分29が遮光されるように、配置する。そのため、たとえ、斜面15が、導体層34において反射した反射光B’が第1部分23に至るような第3部分29を有していても、工程(4)において、第3部分29が遮光されるので、反射光B’が第1部分23に至ることを防止することができる。つまり、反射光B’自体の発生を防止することができる。
【0173】
その結果、
図9Bに示すように、工程(4)において、第1部分23を確実に遮光して、フォトレジスト25を露光できる。その後、
図10Dに示すように、工程(5)において、第1部分23および第3部分29を残すように、第1部分23および第3部分29以外のフォトレジスト25を確実に除去し、続いて、
図10Eに示すように、工程(6)において、形状不良が抑制された第2配線20を確実に設けることができる。
【0174】
そのため、高い信頼性を有する第2導体パターン6を高い自由度で設けることができる。
【0175】
その結果、自由度の高い、接続信頼性に優れる配線回路基板1を得ることができる。
【0176】
<第3実施形態>
第3実施形態において、第1および第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0177】
1.配線回路基板
図1および
図2に示すように、第1実施形態の配線回路基板1は、第2配線20と独立するダミー配線21を備える。
【0178】
しかし、
図11および
図12に示すように、第3実施形態では、配線回路基板1は、第2配線20と連続するダミー部35を備える。
【0179】
1−1.ダミー部
ダミー部35は、第2導体パターン6に備えられる。ダミー部35は、第2直線部22の幅方向他端部から幅方向他方側に突出する突出部である。ダミー部35は、1つの頂点が湾曲状の略三角形状を有している。ダミー部35(右辺、突出片)は、第1配線10の第1円弧部11に相似する形状を有する。ダミー部35は、第2直線部22と幅方向に連続している。
【0180】
ダミー部35の突出方向(幅方向)の最大長さは、適宜設定され、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0181】
2−1.工程(4)
配線回路基板1の製造方法において、
図13Aに示すように、工程(4)では、幅方向に連続する第1遮光部分31および第2遮光部分32を有する遮光部分27を有するフォトマスク24を配置する。
【0182】
図13Aの矢印で示すように、第1遮光部分31および第2遮光部分32を含む遮光部分27に照射された光Dは、第1部分23および第3部分29に至らない。そのため、光Dは、第3部分29の下側に位置する金属薄膜33にも至らない。
【0183】
2−2.工程(5)
図13Bに示すように、第1部分23および第3部分29をまとめて除去する。
【0184】
これによって、フォトレジスト25において、第1部分23および第3部分29に対応する大きな開口部30を形成する。
【0185】
2−3.工程(6)
図13Cに示すように、第2導体パターン6を、フォトレジスト25の開口部30から露出する金属薄膜33の上に設ける。
【0186】
2−4.工程(iii)
図14Dに示すように、工程(iii)では、フォトレジスト25を除去する。
【0187】
2−5.工程(iv)
図14Eに示すように、工程(iv)では、フォトレジスト25(
図13C)に対応する金属薄膜33を除去する。
【0188】
2−6.工程(v)
図14Fに示すように、工程(v)では、カバー絶縁層7を、第2導体パターン6の第2配線20およびダミー部35を被覆し、第2端子(図示せず)を露出するパターンで、設ける。
【0189】
3.第3実施形態の作用効果
この第3実施形態の製造方法では、
図13Aに示すように、工程(4)では、フォトレジスト25においてダミー部35が設けられるべき第3部分29が、平面視において、第2部分28と重複している。従って、工程(4)において、第3部分29を確実に遮光できる。そのため、第3部分29と重複する第2部分28における反射光B’(
図8A参照)の発生を防止することができる。その結果、第2部分28における反射光B’に起因する第1部分23の露光を確実に防止して、第2配線20を確実に設けることができる。
【0190】
さらに、
図11に示すように、ダミー部35が第2配線20と連続しているので、第2配線20と別途ダミー配線21を設ける第1実施形態(
図1参照)に比べて、構成を簡易にすることができる。
【0191】
4.第3実施形態の変形例
第3実施形態の配線回路基板1は、ネガ型のフォトレジスト25を用いて製造しているが、変形例では、図示しないが、ポジ型のフォトレジスト25を用いて製造することもできる。
【0192】
また、ダミー部35の形状は、
図11に示すように、平面視略三角形状であるが、ダミー部35は、厚み方向において、第2部分28に重複していれば、上記した形状に限定されない。
【0193】
なお、ダミー部35は、第1円弧部11に対応する第2部分28のみに重複しているが、さらに、第1直線部12に対応する第2部分28に重複することもできる。
【0194】
<第4実施形態>
第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0195】
第1〜第3実施形態では、
図1および
図2が参照されるように、第1導体パターン4が、第1円弧部11を有する。
【0196】
しかし、
図15に示すように、第4実施形態では、第1導体パターン4が、第3直線部36を有する。
【0197】
1.第1導体パターン
第1導体パターン4において、第1配線10は、平面視において、第2導体パターン6の第2直線部22に対して相対的に遠い2つの第1直線部12と、第2直線部22に比べて近い第3直線部36と、それらを連結する第2連結部37とを一体的に備える。
【0198】
2つの第1直線部12は、前後方向に間隔を隔てて配置されている。2つの第1直線部12のそれぞれは、前後方向に延びる。具体的には、2つの第1直線部12のそれぞれは、平面視において、第2導体パターン6の第2直線部22と平行する。また、2つの第1直線部12は、前後方向に投影したときに、重複する。つまり、一方の第1直線部12と第2直線部22との幅方向における距離L0は、他方の第1直線部12と第2直線部22との幅方向における距離L0と同一である。
【0199】
第3直線部36は、幅方向に投影したときに、2つの第1直線部12の間に配置されている。第3直線部36は、前後方向に延びる。第3直線部36は、第1直線部12と平行する。第3直線部36は、第2導体パターン6の第2直線部22と平行する。また、第3直線部36は、前後方向に投影したときに、2つの第1直線部12に対して、幅方向一方側に位置する。つまり、平面視における、第3直線部36と第2直線部22との幅方向における距離(間隔)L1は、2つの第1直線部12と第2直線部22との幅方向における距離(間隔)L0に比べて、小さい。
【0200】
平面視において、第3直線部36と第2直線部22との幅方向における距離(間隔)L1は、例えば、7.5μmを超過し、また、例えば、22.5μm以下、好ましくは、17.5μm以下、より好ましくは、12.5μm以下である。また、距離L1(μm)は、関係式(2)を満足する。
【0201】
L1≦−2×W2+37.5 (2)
なお、W2は、第2導体パターン6の第2直線部22の幅であって、配線の幅Wの一例であり、単位は、μmである。
【0202】
つまり、距離L1は、第2直線部22の幅W2が小さくなればなるほど、長くなることが許容される。
【0203】
上記した距離L1および第2直線部22の幅W2が上記した関係式(2)を満足しない場合、つまり、関係式(2)において左辺が、右辺より大きい場合には、ダミー配線21を配線回路基板1に設けることなく、反射光B’が、フォトレジスト25の第1部分23に至ることに基づく第2配線20の形状不良を解決でき、そうすると、ダミー配線21を設ける意義がなくなる場合がある。
【0204】
一方、平面視において、第1直線部12と第2直線部22との幅方向における距離(間隔)L0は、25μm以上、30μm以上であり、また、1000μm以下である。
【0205】
第2連結部37は、第3直線部36の前端部と、前側の第1直線部12の後端部とを連結する部分と、第3直線部36の後端部と、後側の第1直線部12の前端部とを連結する部分とを独立して備える。
【0206】
従って、第1配線10は、前側の第1直線部12から前側の第2連結部37に至る際に幅方向一方側に曲がり、次いで、前側の第2連結部37から第3直線部36に至る際に、幅方向他方側に曲がり、次いで、第3直線部36から後側の第2連結部37に至る際に幅方向他方側に曲がり、後側の第2連結部37から後側の第1直線部12に至る際に幅方向一方側に曲がる。
【0207】
2.中間絶縁層
図16Cおよび
図17Cに示すように、中間絶縁層5は、第1配線10(第3直線部36を含む)の幅方向一方側の稜線部13に対応する斜面15を有する。
【0208】
第3直線部36に対応する斜面15の幅方向一端部(立ち上がり部)と、第2直線部22の幅方向他端部との距離L2(Lの一例)は、5μmを超過し、また、20μm以下、好ましくは、15μm以下、より好ましくは、10μm以下である。
【0209】
距離L2が上記した上限を超える場合には、ダミー配線21を配線回路基板1に設けることなく、反射光B’がフォトレジスト25の第1部分23に至ることに基づく第2配線20の形状不良を解決でき、そうすると、ダミー配線21を設ける意義がなくなる場合がある。
【0210】
また、距離L2(μm)は、第2直線部22の幅W2(μm)とともに、関係式(1)を満足する。
【0211】
L1≦−2×W2+35 (1)
つまり、距離L2は、第2直線部22の幅W2が小さくなればなるほど、長くなることが許容される。
図25に示されるグラフにおいて、距離L2および幅W2が、「L1=−2×W2+35」の直線を含み、かつ、それより左下の領域にあればよい。
【0212】
上記した距離L2および第2直線部22の幅W2が上記した関係式(1)を満足しない場合、つまり、関係式(1)において左辺が、右辺より大きい場合には、ダミー配線21を配線回路基板1に設けることなく、反射光B’が、フォトレジスト25の第1部分23に至ることに基づく第2配線20の形状不良を解決でき、そうすると、ダミー配線21を設ける意義がなくなる場合がある。
【0213】
他方、距離L1および第2直線部22の幅W2が上記した関係式(2)を満足する場合には、第2直線部22の幅W2において、平面視において、第3直線部36と、第1部分23に対応する金属薄膜33との距離L1が、
図8Aに示すように、反射光B’が、第1部分23に到達してしまう距離(近距離)となる。そのため、ダミー配線21を設けて、幅W2を有する第2直線部22の形状不良を防止する必要がある。
【0214】
なお、上記した距離L2から距離L1を差し引いた長さ(=L2−L1)は、例えば、0μm超過、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、10μm以下である。
【0215】
一方、第1直線部12に対応する斜面15の幅方向一端部(立ち上がり部)と、第2直線部22の幅方向他端部との距離L3は、例えば、20μm以上、さらには、25μm以上であり、また、例えば、1000μm以下である。
【0216】
3.第2導体パターン
3−1.第2直線部
第2直線部22の幅W2は、15μm以下、好ましくは、12.5μm以下、より好ましくは、10μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上である。
【0217】
第2直線部22の幅W2が、上記した上限を上回れば、ダミー配線21を配線回路基板1に設けることなく、反射光B’が、フォトレジスト25の第1部分23に至ることに基づく第2配線20の形状不良を解決でき、そうすると、ダミー配線21を設ける意義がなくなる場合がある。
【0218】
3−2.ダミー配線
ダミー配線21は、第3直線部36に対応して設けられており、具体的には、ダミー配線21は、第3直線部36における幅方向一方側の稜線部13に対応して設けられている。ダミー配線21は、幅方向一方側の稜線部13の直線形状に相似する略直線形状を有する。さらに、ダミー配線21は、平面視において、斜面15と重複している。ダミー配線21は、平面視において、第2直線部22の幅方向他方側に間隔を隔てて隣接配置されている。ダミー配線21は、第2直線部22に比べて、前後方向に短い。
【0219】
一方、ダミー配線21は、第1直線部12に対応して設けられていない。ダミー配線21は、厚み方向に投影したときに、第1直線部12と重複していない。
【0220】
4.配線回路基板の製造方法
第4実施形態の配線回路基板1の製造方法は、第1実施形態の製造方法と同様の製造方法である。
【0221】
5.第4実施形態の作用効果
第4実施形態では、上記した距離L2および幅W2が上記した範囲に設定され、上記した関係式(1)を満足すれば、フォトマスク24が第2遮光部分32を有さず、工程(4)を実施すると、
図8Aが参照されるように、斜面15における反射光B’を生成し、その反射光B’に起因して、第1部分23が露光されてしまう。つまり、斜面15に対応する意図しない反射光B’に起因して、第1部分23に生じ、第2配線20の信頼性が低下する。
【0222】
具体的には、後で詳述される比較例3〜6、9〜11、14では、距離L2、幅W2、および、関係式(1)を満足するので、
図8Aに示すように、反射光B’が、第1部分23に到達する距離(近距離)となり、第1部分23の光量が高くなり、具体的には、現像において第1部分23が残ることができる光量以上の光量となる。そのため、第2配線20の形状評価が、不良となる。
【0223】
従って、第4実施形態のように、フォトマスク24を、第3部分29が遮光されるように、配置する、つまり、第2遮光部分32を第3部分29に対して対向させる。そのため、
図16Aに示すように、工程(4)において、第1部分23を確実に遮光して、フォトレジスト25を露光できる。その後、
図16Bに示すように、工程(5)において、第1部分23に対応する金属薄膜33を確実に露出させることができる。その後、
図16Cに示すように、工程(6)において、形状不良が抑制された第2配線20を確実に設けることができる。
【0224】
具体的には、上記した比較例3〜6、9〜11、14のそれぞれに対応する、実施例2〜9のそれぞれは、第2配線20の第2配線20の形状評価が、良好となる。
【0225】
なお、
図15および
図17Aに示すように、第2直線部22に対応する第1直線部12は、第1直線部12に対して相対的に遠くに配置されているため、
図17Bおよび
図17Cに示すように、第1直線部12に対応するダミー配線21が設けられていなくても、第3直線部36に対応する第2部分28における反射光E’が第1部分23に至らない。そのため、第2直線部22における形状不良が発生せず、そもそも、ダミー配線21を設ける必要がない。
【0226】
6.第4実施形態の変形例
図15に示すように、第4実施形態では、第1導体パターン4に第3直線部36を設け、厚み方向に投影したときに、第3直線部36と重複するダミー配線21を設けた。
【0227】
しかし、
図18に示すように、第2導体パターン6に第4直線部38を設け、平面視において、ダミー配線21を、第4直線部38の幅方向他方側に隣接配置させることができる。
【0228】
図18に示すように、第1配線10は、第1直線部12のみからなる。
【0229】
第2配線20は、平面視において、第1直線部12に対して相対的に遠い2つの第2直線部22と、第2直線部22に比べて近い第4直線部38と、それらを連結する第1連結部39とを一体的に備える。
【0230】
ダミー配線21は、第1直線部12に対して、前後方向に短い。一方、ダミー配線21は、幅方向に投影したとときに、第4直線部38と重複しており、より具体的には、第4直線部38と同一位置に位置している。
【0231】
この変形例における配線回路基板1は、第1実施形態の配線回路基板1と同様の方法により製造され、第1実施形態と同一の作用効果を奏する。
【0232】
また、
図19に示すように、第1配線10が、第1直線部12および第2連結部37(
図15参照)を有さず、かつ、第3直線部36のみからなり、また、第2配線20が、第2直線部22および第1連結部39(
図18参照)を有さず、かつ、第4直線部38のみからなっていてもよい。その場合には、ダミー配線21を、第1配線10および第2配線20に平行し、前後方向に長く延びる。ダミー配線21は、前後方向に沿う直線形状を有する。ダミー配線21は、厚み方向に投影したときに、第1配線10(第3直線部36)の幅方向一方側の稜線部13に対応する斜面15と重複している。
【0233】
第4実施形態の配線回路基板1は、ネガ型のフォトレジスト25を用いて製造しているが、変形例では、図示しないが、ポジ型のフォトレジスト25を用いて製造することもできる。
【0234】
<第5実施形態>
第5実施形態において、第1〜第4実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0235】
第5実施形態では、
図20および
図21が参照されるように、第2導体パターン6は、ダミー部35を有する。
【0236】
なお、第5実施形態において、第1配線10および第2配線20のそれぞれは、第4実施形態の第1配線10および第2配線20のそれぞれと同一である。
【0237】
1.ダミー部
図20および
図21に示すように、第5実施形態では、第2配線20と連続するダミー部35を備える。
【0238】
ダミー部35は、厚み方向に投影したときに、第2配線20の幅方向他端部から第3直線部36の幅方向一端部に至るように、突出する。つまり、ダミー部35は、第2配線20から幅方向他方側に突出する突出部である。ダミー部35は、平面視において、略矩形状、あるいは、略台形状を有する。ダミー部35は、第2配線20と幅方向に連続している。
【0239】
ダミー部35の突出方向(幅方向)の最大長さは、適宜設定され、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0240】
2.配線回路基板の製造方法
第5実施形態の配線回路基板1は、第3実施形態(
図13A〜
図13C参照)と同一の製造方法によって、得られる。
【0241】
3.第5実施形態の作用効果
第5実施形態によれば、第4実施形態と同一の作用効果を奏することができる。
【0242】
さらに、
図20に示すように、ダミー部35が第2配線20と連続しているので、第2配線20と別途ダミー配線21を設ける第4実施形態(
図15参照)に比べて、構成を簡易にすることができる。
【0243】
4.第5実施形態の変形例
図20および
図21に示すように、第5実施形態では、第1導体パターン4に第3直線部36を設け、厚み方向に投影したときに、第3直線部36と重複するダミー部35を設けている。
【0244】
しかし、
図22に示すように、第2導体パターン6に第4直線部38を設け、平面視において、ダミー部35を、第4直線部38の幅方向他方側に連続させることができる。
【0245】
ダミー部35は、第4直線部38の幅方向他端部から幅方向他方側に突出する突出部である。
【0246】
また、
図23に示すように、第1配線10が、第1直線部12および第2連結部37(
図20参照)を有さず、かつ、第3直線部36のみからなり、また、第2配線20が、第2直線部22および第1連結部39(
図22参照)を有さず、かつ、第4直線部38のみからなっていてもよい。その場合には、ダミー部35を、第1配線10および第2配線20に平行し、前後方向に長く延び、かつ、幅広の形状に形成することもできる。
【0247】
ダミー部35は、厚み方向に投影したときに、第1配線10(第3直線部36)の幅方向一方側の稜線部13に対応する斜面15を重複している。ダミー部35は、平面視において、第1配線10の幅方向一端部の前後方向全体に重複するパターンである。ダミー部35を有する第2導体パターン6は、第1導体パターン4に比べて、幅広の配線パターンである。
【0248】
第5実施形態の配線回路基板1は、ネガ型のフォトレジスト25およびポジ型のフォトレジスト25のいずれも使用することもできる。
【0249】
<第1〜第5実施形態の変形例>
第1〜第5実施形態の中間絶縁層5の斜面15は、第1導体パターン4の稜線部13に対応している。
【0250】
しかし、例えば、
図24に示すように、斜面15が、第1導体パターン4に対応せず、単に、絶縁層の一例としてのベース絶縁層3が複数の厚みT1およびT2を有することによって、ベース絶縁層3が斜面15を有することもできる。なお、厚みT1は、第1平坦面14におけるベース絶縁層3の厚みである。厚みT2は、第2平坦面16におけるベース絶縁層3の厚みである。
【0251】
なお、この配線回路基板1は、ベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上に設けられ、第2配線20およびダミー配線21を有する第1導体パターン4と、ベース絶縁層3の上に、第1導体パターン4を被覆するように設けられるカバー絶縁層7とを備える。
【0252】
一方、配線回路基板1は、中間絶縁層5、および、第2導体パターン6を備えない。
【0253】
この変形例によっても、第1〜5実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0254】
また、本発明の配線回路基板として配線回路基板1を挙げて説明しているが、これに限定されず、金属支持基板2を備える回路付サスペンション基板とすることもできる。その場合には、回路付サスペンション基板は、金属支持基板2と、ベース絶縁層3、第1導体パターン4、中間絶縁層5、第2導体パターン6およびカバー絶縁層7を備える。
【0255】
また、中間絶縁層5は、第2平坦面16を有しているが、少なくとも斜面15を有していればよく、第2平坦面16を有していなくてもよい。
【0256】
上記した第1〜第5実施形態を適宜組み合わせることができる。例えば、第2導体パターン6は、ダミー配線21(
図1参照)およびダミー部35(
図15参照)の両方を備えることができる。
【0257】
また、中間絶縁層5は、湾曲部17(
図1参照)、および、第3直線部36に対応する斜面15の両方を備えることができる。
【実施例】
【0258】
以下に、実験例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実験例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0259】
実施例1(第1実施形態に対応する実施例)
図3Aに示すように、まず、厚み10μmのポリイミドからなるベース絶縁層3を用意した(工程(i))。
【0260】
図3Bに示すように、次いで、銅からなる第1導体パターン4をベース絶縁層3の上に設けた(工程(ii))。
図1に示すように、第1導体パターン4は、第1円弧部11と、2つの第1直線部12とを一体的に備える。第1導体パターン4の厚みは、9μmであり、幅W1は、20μmであった。第1円弧部11に沿う仮想円の半径R1は、50μmであった。第1円弧部11の中心角αは、90度であった。
【0261】
図3Cに示すように、次いで、ポリイミドからなる中間絶縁層5を、第1導体パターン4を被覆するように、ベース絶縁層3の上に設けた(工程(1))。中間絶縁層5は、第1平坦面14、斜面15および第2平坦面16を有している。斜面15は、湾曲部17を有している。湾曲部17と第1平坦面14とのなす角度β’の補角βは、30度であった。湾曲部17に沿う仮想円の半径R2は、40μmであった。
【0262】
図4Dに示すように、次いで、厚み30nmのクロム薄膜と、厚み70μmの銅薄膜とからなる金属薄膜33を、スパッタリング法で、中間絶縁層5の上に設けた(工程(2))。
【0263】
図4Eで示すように、次いで、厚み20μmのフォトレジスト25を金属薄膜33の上に設けた(工程(3))。
【0264】
図4Fで示すように、次いで、フォトマスク24を、フォトレジスト25における第1部分23および第3部分29が遮光されるように配置した(工程(4))。具体的には、フォトマスク24を、第1遮光部分31が第1部分23と対向し、第2遮光部分32が第3部分29と対向するように、配置した。
【0265】
図4Fの矢印で示すように、続いて、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光した(工程(4))。
【0266】
図5Gに示すように、次いで、現像により、フォトマスク10の第1部分23および第3部分29を除去して、第1部分23および第3部分29に対応する金属薄膜33を露出させた(工程(5))。
【0267】
図5Hに示すように、次いで、金属薄膜33から給電する電解銅めっきにより、第2導体パターン6を、フォトレジスト25から露出する金属薄膜33の上に設けた(工程(6))。
図1に示すように、第2導体パターン6は、第2配線20、および、第2配線20と独立し、平面視円弧形状のダミー配線21を備える。第2導体パターン7の厚みは、9μmであった。第2直線部22の幅W2は、10μmであった。ダミー配線21の幅W3は、20μmであった。ダミー配線21に沿う仮想円の半径R3は、35μmであった。ダミー配線21の円弧の中心角は、90度であった。
【0268】
図5Iに示すように、次いで、エッチングにより、フォトレジスト25を除去した工程(iii)。
【0269】
図6Jに示すように、次いで、剥離により、フォトレジスト25に対応する金属薄膜33を除去した(工程(iv))。
【0270】
図6Kに示すように、次いで、厚み5μmのポリイミドからなるカバー絶縁層9を、第2導体パターン7を被覆するように、中間絶縁層5の上に設けた(工程(v))。
【0271】
これにより、回路付サスペンション基板1を得た。
【0272】
得られた回路付サスペンション基板1を観察したところ、第2配線20には、断線などの形状不良が観察されなかった。
【0273】
比較例1(実施例1に対応する比較例)
第2導体パターン6にダミー配線21を設けなかった以外は、実施例1と同様に処理して、回路付サスペンション基板1を得た(
図7、
図8A〜
図8C)。つまり、工程(4)では、
図8Aに示すように、フォトマスク24において、遮光部分27は、第3部分29に対応する第2遮光部分32(
図4F参照)を有さず、第1部分23に対応する第1遮光部分31のみを有する。
【0274】
しかし、
図8Aに示すように、工程(4)において、第1部分23に対応する金属薄膜33において反射光B’の生成に起因する第1部分23の遮光不良が発生し、
図8Bに示すように、工程(5)において、第1部分23を除去できず、
図8Cの実線で示すように、中心点C(
図7参照)およびその近傍において、第2配線20の形状不良を生じた。
【0275】
実施例2(第4実施形態に対応する実施例)
図3Aに示すように、まず、厚み10μmのポリイミドからなるベース絶縁層3を用意した(工程(i))。
【0276】
図3Bに示すように、次いで、銅からなる第1導体パターン4をベース絶縁層3の上に設けた(工程(ii))。
図15に示すように、第1導体パターン4は、2つの第1直線部12と、第3直線部36と、それらを連結する第2連結部37とを一体的に備えており、それらの厚みは、9μmであり、幅W1は、20μmであった。
【0277】
図3Cに示すように、次いで、ポリイミドからなる中間絶縁層5を、第1導体パターン4を被覆するように、ベース絶縁層3の上に設けた(工程(1))。中間絶縁層5は、第1平坦面14、斜面15および第2平坦面16を有している。斜面15と第1平坦面14とのなす角度βは、30度であった。
【0278】
図4Dに示すように、次いで、厚み30nmのクロム薄膜と、厚み70μmの銅薄膜とからなる金属薄膜33を、スパッタリング法で、中間絶縁層5の上に設けた(工程(2))。
【0279】
図16Aおよび
図17Aに示すように、次いで、厚み20μmのフォトレジスト25を金属薄膜33の上に設けた(工程(3))。
【0280】
次いで、フォトマスク24を、フォトレジスト25における第1部分23および第3部分29が遮光されるように配置した(工程(4))。具体的には、フォトマスク24を、第1遮光部分31が第1部分23と対向し、第2遮光部分32が第3部分29と対向するように、配置した。
【0281】
図16Aおよび
図17Aの矢印で示すように、続いて、フォトレジスト25を、フォトマスク24を介して露光した(工程(4))。
【0282】
図16Bおよび
図17Bに示すように、次いで、現像により、フォトマスク10の第1部分23および第3部分29を除去して、第1部分23および第3部分29に対応する金属薄膜33を露出させた(工程(5))。
【0283】
次いで、金属薄膜33から給電する電解銅めっきにより、第2導体パターン6を、フォトレジスト25から露出する金属薄膜33の上に設けた(工程(6))。第2導体パターン6は、第2配線20、および、第2配線20と独立するダミー配線21を備える。第2導体パターン7の厚みは、9μmであった。第2直線部22の幅W2は、7.5μmであった。ダミー配線21の幅W3は、20μmであった。平面視における、第3直線部36と第2直線部22との幅方向における距離(間隔)L1は、20μmであった。また、斜面15と第2直線部22との距離L2は、17.5μmであった。距離L2から距離L1を差し引いた長さ(=L2−L1)は、2.5μmであった。
【0284】
次いで、
図5Iに示すように、エッチングにより、フォトレジスト25を除去した工程(iii)。
【0285】
次いで、
図6Jに示すように、剥離により、フォトレジスト25に対応する金属薄膜33を除去した(工程(iv))。
【0286】
図16Cおよび
図17Cに示すように、次いで、厚み5μmのポリイミドからなるカバー絶縁層9を、第2導体パターン7を被覆するように、中間絶縁層5の上に設けた(工程(v))。
【0287】
これにより、配線回路基板1を得た。
【0288】
得られた配線回路基板1を観察したところ、第2配線20には、断線などの形状不良が観察されなかった。
【0289】
比較例2(実施例2に対応する比較例)
第2導体パターン6にダミー配線21を設けなかった以外は、実施例2と同様に処理して、配線回路基板1を得た。
【0290】
第2導体パターン6には、断線などの形状不良が観察された。
【0291】
実施例3〜9
上記したW2およびL2(ならびにL1)を、表1〜表4の記載に従って、変更した以外は、実施例2と同様に処理して、配線回路基板1を得た。
実施例3〜9では、第2配線20には、断線などの形状不良が観察されなかった。
【0292】
比較例2〜16
上記したW2およびL2(ならびにL1)を、表1〜表4の記載に従って、変更し、さらに、第2導体パターン6にダミー配線21を設けなかった以外は、実施例2と同様に処理して、配線回路基板1を得た。
【0293】
第2配線20において、断線などの形状の評価を、表1〜表4に記載する。
【0294】
【表1】
【0295】
【表2】
【0296】
【表3】
【0297】
【表4】