特許第6795332号(P6795332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795332
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】回転繰出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/76 20060101AFI20201119BHJP
   A45D 40/26 20060101ALI20201119BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20201119BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B65D83/76 110
   A45D40/26 Z
   A45D34/04 555
   B65D83/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-109471(P2016-109471)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-214114(P2017-214114A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2018年12月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一男
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−075132(JP,A)
【文献】 特開2000−066264(JP,A)
【文献】 実公昭58−033109(JP,Y2)
【文献】 特開2002−262936(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0227018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/76
A45D 34/04
A45D 40/26
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状、クリーム状又は半固形状の内容物が収容され、内容物を吐出する吐出口が形成された容器本体と、
前記容器本体内に設けられ、前記容器本体に対して容器軸方向に沿って移動する中皿と、
前記容器本体及び前記中皿のうち、いずれか一方に設けられて容器軸方向に延び、外周面に螺旋溝が形成された螺旋軸と、
前記容器本体及び前記中皿のうち、前記一方とは異なる他方に設けられて前記螺旋溝に係合された係合部と、
前記容器本体内に設けられ、前記螺旋軸と前記係合部とを容器軸回りに相対回転させる操作部と、を備え、
前記中皿は、前記容器本体の内周面に摺接する中皿シール筒を備え、
前記操作部の外周面は、前記容器本体を形成する材質よりも軟らかく弾性変形可能な材質で形成され、前記容器本体の外周面に開口する開口部から、容器外部に露出していることを特徴とする回転繰出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の回転繰出容器であって、
容器軸に垂直な横断面視で、前記容器本体は非真円形状をなしていることを特徴とする回転繰出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の回転繰出容器であって、
前記操作部の半径は、
前記容器本体の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径よりも大きく、
前記容器本体の外周面のうち最も径方向外側に位置する部分の半径よりも小さいことを特徴とする回転繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるような、回転繰出容器が知られている。回転繰出容器は、内容物が収容され、内容物を吐出する吐出口が形成された容器本体と、容器本体内に設けられ、容器本体に対して容器軸方向に沿って移動する中皿と、中皿に設けられ、容器軸方向に延びる雄ねじ軸と、容器本体に設けられて雄ねじ軸に螺着され、雄ねじ軸に対して容器軸回りに回転させられることで中皿を容器軸方向に沿って移動させる操作部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58−33109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の回転繰出容器では、内容物を繰り出し操作する際の操作性を向上することに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内容物を繰り出し操作する際の操作性を向上できる回転繰出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る回転繰出容器は、液状、クリーム状又は半固形状の内容物が収容され、内容物を吐出する吐出口が形成された容器本体と、前記容器本体内に設けられ、前記容器本体に対して容器軸方向に沿って移動する中皿と、前記容器本体及び前記中皿のうち、いずれか一方に設けられて容器軸方向に延び、外周面に螺旋溝が形成された螺旋軸と、前記容器本体及び前記中皿のうち、前記一方とは異なる他方に設けられて前記螺旋溝に係合された係合部と、前記容器本体内に設けられ、前記螺旋軸と前記係合部とを容器軸回りに相対回転させる操作部と、を備え、前記中皿は、前記容器本体の内周面に摺接する中皿シール筒を備え、前記操作部の外周面は、前記容器本体を形成する材質よりも軟らかく弾性変形可能な材質で形成され、前記容器本体の外周面に開口する開口部から、容器外部に露出していることを特徴とする。
【0007】
この回転繰出容器では、容器本体及び中皿のうち、いずれか一方に螺旋軸が設けられ、前記一方とは異なる他方に、螺旋軸の螺旋溝に係合する係合部が設けられている。また、螺旋軸と係合部とを容器軸回りに相対回転させる操作部が設けられており、この操作部を回転操作することにより、螺旋溝と係合部との係合作用(ねじ作用)によって中皿は、容器本体内を容器軸方向に沿って吐出口側へ向けて移動することができ、吐出口から内容物が吐出される。
【0008】
そして、操作部の外周面は、容器本体を形成する材質よりも軟らかく弾性変形可能な材質で形成されている。つまり操作部の外周面は、容器本体よりも軟らかい例えばエラストマー等の弾性変形可能な材質(軟質材)からなり、指先等にフィットして操作時のグリップ性がよい。従って、たとえ容器の外径が小さく抑えられている場合でも、操作部を回転操作する際の操作性は良好に確保される。
【0009】
操作部の外周面は、容器本体の外周面に開口する開口部から容器外部に露出している。このため、容器本体の開口部に露出する操作部の外周面部分を回転操作することにより、容器本体から内容物を吐出させることができる。
そして、操作部の外周面のうち、容器本体の開口部から容器外部に露出する部分以外の部位については、容器本体内に配設される。また操作部の外周面のうち、開口部から容器外部に露出する部分については、グリップ性が向上した分、露出面積を小さく抑えることができる。これにより、例えば、開口部から露出する操作部の外周面部分を、容器本体の外周面から径方向外側へ向けて大きく突出させずに配置することができる。従って、操作部の外周面をエラストマー等の軟質材で形成しつつも、容器の外観デザインに与える影響を小さく抑えることができる。
【0010】
以上より本発明によれば、内容物を繰り出し操作する際の操作性を向上できる。特に、容器の外径を小さく抑えたり外観のデザイン性を高めたりしつつ、操作性を向上することが可能である。
【0011】
また、上記回転繰出容器において、容器軸に垂直な横断面視で、前記容器本体は非真円形状をなしていることが好ましい。
【0012】
この場合、容器軸に垂直な横断面視で、容器本体が非真円形状をなしている。従って、容器本体の形状に対応するように、中皿を容器の横断面視で非真円形状に形成し、容器本体内に中皿を嵌合させることにより、容器本体に対する中皿の回転を容易に規制することができる。また、容器本体が非真円形状であるので、容器の外観デザイン性を高めやすい。
【0013】
また、上記回転繰出容器において、前記操作部の半径は、前記容器本体の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径よりも大きく、前記容器本体の外周面のうち最も径方向外側に位置する部分の半径よりも小さいことが好ましい。
【0014】
この場合、操作部の半径が、容器本体の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径よりも大きいので、操作部の外周面のうち、容器本体の開口部から容器外部に露出される部分が、該容器本体の外周面よりも径方向外側に向けて出っ張るため、操作性をより向上させることができる。
また、操作部の半径が、容器本体の外周面のうち最も径方向外側に位置する部分の半径よりも小さいので、操作部を容器本体内に確実に収容できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の回転繰出容器によれば、内容物を繰り出し操作する際の操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る回転繰出容器の縦断面図(正断面図)である。
図2】回転繰出容器の縦断面図(側断面図)である。
図3】回転繰出容器の下面図である。
図4図1のA−A断面を示す図(横断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る回転繰出容器1について、図面を参照して説明する。
図1図4に示されるように、本実施形態の回転繰出容器1は、例えば液状、クリーム状又は半固形状等の内容物が収容され、内容物を吐出する吐出口2が形成された容器本体3と、容器本体3内に設けられ、容器本体3に対して容器軸O方向に沿って移動する中皿5と、容器本体3及び中皿5のうち、いずれか一方に設けられて容器軸O方向に延び、外周面に螺旋溝(雄ねじ部38)が形成された螺旋軸(雄ねじ軸4)と、容器本体3及び中皿5のうち、前記一方とは異なる他方に設けられて螺旋軸に係合された係合部(雌ねじ部28)と、容器本体3内に設けられ、螺旋軸と係合部とを容器軸O回りに相対回転させる操作部6と、容器本体3に着脱可能に装着されて吐出口2を覆うキャップ7と、を備えている。
本実施形態の例では、螺旋軸が、中皿5に設けられており、係合部が、容器本体3に設けられている。また操作部6が、容器本体3内のうち、容器軸O方向に沿う吐出口2とは反対側の端部に配置されている。
【0018】
容器本体3、中皿5、操作部6及びキャップ7は、それぞれ筒状をなしている。また螺旋軸は、軸状をなしている。容器本体3、螺旋軸(雄ねじ軸4)、中皿5、操作部6及びキャップ7は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置した状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向(上下方向)に沿って操作部6からキャップ7へ向かう方向を上方、キャップ7から操作部6へ向かう方向を下方という。また、容器軸O方向から見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
容器本体3は、容器軸O方向に延びる本体筒8と、本体筒8の上端部に配設され、吐出口2が形成された塗布筒9と、本体筒8の下端部に配設され、該本体筒8の下端開口部を覆うカバー筒10と、本体筒8、塗布筒9及びカバー筒10に対して周方向に回転自在に設けられた雌ねじ筒26と、を備えている。
【0020】
本体筒8は、筒状をなしており、周壁を有している。本実施形態の例では図4に示されるように、容器軸Oに垂直な断面視(横断面視)で、本体筒8の周壁は非真円形状をなしている。本実施形態の例では本体筒8の周壁が、多角形筒状に形成されている。
【0021】
具体的に、容器軸Oに垂直な断面視で、本体筒8は四角形状をなしており、互いに平行に延びる一対の長辺と、長辺に垂直に延び、互いに平行な一対の短辺と、長辺と短辺との間に配置されてこれらを滑らかに接続する4つのコーナRと、を有している。つまり、容器の横断面視において本体筒8は、長辺が延在する長手方向(長軸方向)の長さ(外形寸法)が長く、短辺が延在する短手方向(短軸方向)の長さが短い、長方形状をなしている。本実施形態の例では、容器の横断面視で本体筒8の長辺及び短辺が、直線状、又は、径方向外側へ向けて膨出する曲線状をなしている。
【0022】
本体筒8の周壁の外周面のうち、上端部には、該上端部と下端部との間に位置する中間部分よりも径方向内側に位置する塗布筒嵌合部11が形成されている。塗布筒嵌合部11も、容器の横断面視で四角形状(多角形筒状)をなしている。塗布筒嵌合部11の外周面のうち、容器の横断面視における本体筒8の長手方向(図1図3及び図4における左右方向)の両端部には、径方向外側へ向けて突出する上方凸部13が一対形成されている。
【0023】
本体筒8の周壁の外周面のうち、下端部には、該下端部と上端部との間に位置する中間部分よりも径方向内側に位置するカバー筒嵌合部12が形成されている。カバー筒嵌合部12も、容器の横断面視で四角形状(多角形筒状)をなしている。カバー筒嵌合部12の外周面のうち、容器の横断面視における本体筒8の長手方向の両端部には、径方向外側へ向けて突出する下方凸部14が一対形成されている。
【0024】
本体筒8の周壁の内周面には、径方向内側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる支持板15が一対形成されている。図示の例では、支持板15が、本体筒8の内周面のうち、上下方向の両端部間に位置する中間部分に配置されている。本体筒8の内周面において、一対の支持板15は、容器軸Oを中心に互いに180°回転対称となる位置に形成されている。
【0025】
支持板15の径方向の内縁部には、周方向に互いに間隔をあけて雌ねじ筒支持爪16が複数形成されている。雌ねじ筒支持爪16は、径方向内側へ向かうに従い漸次上方に向かって傾斜して延びている。これらの雌ねじ筒支持爪16の上端部は、後述する雌ねじ筒26の外周面に摺接して、該雌ねじ筒26を回転自在に支持している。
【0026】
塗布筒9は、本体筒8に装着される装着筒部17と、装着筒部17に接続し、吐出口2が形成された吐出筒部18と、を備えている。
装着筒部17は、有頂筒状をなしており、周壁と頂壁とを有している。装着筒部17の周壁内には、本体筒8の塗布筒嵌合部11が嵌合する。装着筒部17の周壁内に塗布筒嵌合部11が嵌合した状態で、装着筒部17の周壁の外周面と、本体筒8の周壁の外周面のうち塗布筒嵌合部11より下方に位置する部分とは、互いに略面一に配置される。
【0027】
装着筒部17の周壁の内周面のうち、容器の横断面視における本体筒8の長手方向に沿う両端部には、径方向外側へ向けて窪む上方凹部19が一対形成されている。装着筒部17の周壁内に、本体筒8の周壁の塗布筒嵌合部11が嵌合したときに、装着筒部17の上方凹部19と、塗布筒嵌合部11の上方凸部13とが、互いに係合する。
【0028】
装着筒部17の頂壁には、シール筒20が垂下設されている。シール筒20は、本体筒8の周壁の上端開口部内に嵌合している。装着筒部17の頂壁上には、容器軸O上に位置して吐出筒部18が立設されている。
【0029】
吐出筒部18は、有頂筒状をなしており、周壁と頂壁とを有している。吐出筒部18の周壁は、装着筒部17の頂壁における径方向の内縁部から、上方に向けて突設されている。吐出筒部18の周壁の外周面には、雄ねじが形成されている。吐出筒部18の頂壁は、上方に向けて膨出するドーム状をなしている。吐出筒部18の頂壁の上面は、容器から吐出した内容物を被塗布面に塗布する塗布面とされる。吐出筒部18の頂壁における上端部には、該頂壁を上下方向に貫通する吐出口2が開口している。
【0030】
カバー筒10は、有底筒状をなしており、周壁と底壁とを有している。カバー筒10の周壁内には、本体筒8のカバー筒嵌合部12が嵌合する。カバー筒10の周壁内にカバー筒嵌合部12が嵌合した状態で、カバー筒10の周壁の外周面と、本体筒8の周壁の外周面のうちカバー筒嵌合部12より上方に位置する部分とは、互いに略面一に配置される。
【0031】
カバー筒10の周壁の内周面のうち、容器の横断面視における本体筒8の長手方向に沿う両端部には、径方向外側へ向けて窪む下方凹部21が一対形成されている。カバー筒10の周壁内に、本体筒8の周壁のカバー筒嵌合部12が嵌合したときに、カバー筒10の下方凹部21と、カバー筒嵌合部12の下方凸部14とが、互いに係合する。
【0032】
カバー筒10の周壁のうち、容器の横断面視における本体筒8の短手方向(図2における左右方向、図3及び図4においては上下方向)の両端部には、該カバー筒10の周壁を径方向に貫通する外窓23が一対形成されている。また、本体筒8の周壁のカバー筒嵌合部12のうち、容器の横断面視における本体筒8の短手方向の両端部には、該本体筒8の周壁を径方向に貫通する内窓24が一対形成されている。外窓23及び内窓24は、例えば、略コ字形の切り欠き形状や略四角形の孔形状等に形成されている。
【0033】
外窓23と内窓24とは、周方向及び上下方向の位置が互いに一致するように配置されているとともに、互いに連通している。また、外窓23の開口面積に比べて、内窓24の開口面積が大きくされている。具体的には、外窓23の周方向に沿う開口長さに比べて、内窓24の周方向に沿う開口長さが大きくされている。また、外窓23の上下方向に沿う開口長さに比べて、内窓24の上下方向に沿う開口長さが大きくされている。
【0034】
このような外窓23及び内窓24が容器本体3に形成されていることにより、該容器本体3の周壁の外周面には、開口部25が開口している。本実施形態の例では、開口部25が、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分に開口している。開口部25は、容器本体3の外周面のうち、容器の横断面視における本体筒8の短手方向の両端部に一対形成されている。つまり、本実施形態において開口部25は、外窓23と内窓24とを有しており、外窓23及び内窓24の数(各一対)に対応して、一対設けられている。容器本体3の周壁において、一対の開口部25は、容器軸Oを中心に互いに180°回転対称となる位置に形成されている。容器を径方向から見た側面視(正面視)において開口部25を正面に見て、開口部25は、四角形孔状をなしている。
【0035】
図2に示されるように、本実施形態の例では開口部25が、容器本体3の周壁のうち、容器軸O方向に沿う吐出口2とは反対側の端部に配置されている。
また、カバー筒10の底壁上には、円筒状をなすガイド筒部22が、容器軸Oと同軸に立設されている。
【0036】
図1及び図2において、雌ねじ筒26は、多段円筒状をなしている。雌ねじ筒26は、ガイド筒部22の径方向外側に同軸に隣接配置された大径筒部27と、大径筒部27よりも小径とされ、該大径筒部27の上方に連設されるとともに、内周面に雌ねじ部(係合部)28が形成された小径筒部29と、を備えている。
【0037】
大径筒部27は、有頂筒状をなしており、周壁と頂壁とを有している。大径筒部27の周壁の内周面は、カバー筒10のガイド筒部22の外周面に摺接する。大径筒部27の下端開口縁は、カバー筒10の底壁から上方に離間して配置されている。大径筒部27の頂壁は、ガイド筒部22の上端開口縁から上方に離間して配置されている。
【0038】
大径筒部27の頂壁上には、小径筒部29が立設されている。小径筒部29は、筒状をなしており、周壁を有している。小径筒部29の周壁は、大径筒部27の頂壁における径方向の内縁部から、上方に向けて突設されている。
【0039】
小径筒部29の周壁の外周面には、径方向外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起30が形成されている。環状突起30の外周面は、上方に向かうに従い漸次縮径している。環状突起30の下端部には、下方を向いて周方向に延びる環状の係止面31が形成されている。係止面31に対してはその下方から、雌ねじ筒支持爪16の上端が周方向に摺動可能に当接している。また、小径筒部29の周壁の外周面のうち、環状突起30(の係止面31)の下方に位置する部位に対しては、雌ねじ筒支持爪16の上端内周部が周方向に摺動可能に当接している。
本実施形態の例では、小径筒部29の周壁の内周面のうち、上端部に、螺旋溝(雄ねじ部38)に係合する係合部として、雌ねじ部28が配置されている。
【0040】
本実施形態の例では、操作部6が、円筒状に形成されている。操作部6は、少なくともその周壁の外周面が、容器本体3を形成する材質よりも軟らかく弾性変形可能な材質で形成されている。本実施形態では、操作部6全体が、例えばエラストマー等の弾性変形可能な材質(軟質材)で形成されている。操作部6の周壁は、雌ねじ筒26の大径筒部27の周壁の径方向外側に嵌合している。
【0041】
本実施形態の例では、操作部6の周壁の内周面に、径方向内側へ向けて突出するとともに上下方向に沿って延びるリブ32が、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。図4に示される例では、リブ32の径方向内側の端部が、容器の横断面視で径方向内側へ向けて凸となる曲線状をなしており、該端部は大径筒部27の外周面に圧接される。
【0042】
図1及び図2において、操作部6の周壁のうち、上下方向の両端部には、該周壁の両端部間に位置する中間部分よりも径方向内側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状の抜け止めフランジ33が、一対形成されている。一対の抜け止めフランジ33のうち、上方に位置する抜け止めフランジ33は、大径筒部27の頂壁に対してその上方から当接している。一対の抜け止めフランジ33のうち、下方に位置する抜け止めフランジ33は、大径筒部27の周壁の下端開口縁に対してその下方から当接している。
【0043】
そして、図2図4に示されるように、操作部6の外周面は、容器本体3の外周面に開口する開口部25から、容器外部に露出している。本実施形態の例では、操作部6の外周面が、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分に開口する開口部25から、容器外部に露出している。なお、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分は、容器の横断面視における本体筒8の一対の長辺の各中央部に相当する。
本実施形態の例では、容器を径方向から見た側面視(正面視)において開口部25を正面に見て、操作部6の外周面のうち、開口部25から容器外部に露出する部分(具体的には後述するように、開口部25から容器外部に張り出す部分)の形状が、前記側面視における開口部25の形状に対応して、四角形状とされている。つまり、開口部25と、該開口部25から露出する操作部6の外周面部分とが、互いに略同一形状とされている。また図4に示されるように、開口部25の開口縁と、操作部6の外周面とは、互いに接近配置されている。
【0044】
また本実施形態において、操作部6の半径は、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径よりも大きく、容器本体3の外周面のうち最も径方向外側に位置する部分の半径よりも小さい。具体的に、操作部6の外周面の半径(外半径)は、容器本体3のカバー筒10の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径(外半径の最小値)よりも大きく、容器本体3のカバー筒10の外周面のうち最も径方向外側に位置する部分の半径(外半径の最大値)よりも小さくされている。
【0045】
このため、操作部6の外周面のうち、容器本体3の開口部25から容器外部に露出される部分は、該容器本体3の外周面よりも径方向外側に向けて出っ張って配置される。また、操作部6の外周面のうち、開口部25から容器外部に露出する部分以外の部位については、容器本体3内に収容される。
容器本体3の開口部25から容器外部に露出した操作部6の部分を、指先等により容器軸O回りに回転操作することで、本体筒8に対して、操作部6とともに雌ねじ筒26が回転する。
【0046】
図1及び図2において、中皿5は、中皿本体34と、中皿本体34と本体筒8との間に位置して本体筒8の内周面に摺接する中皿シール筒35と、中皿本体34に装着されて容器軸O方向に延びる雄ねじ軸(螺旋軸)4と、を備えている。
容器軸Oに垂直な断面視で、中皿5は、本体筒8の周壁の形状に対応する非真円形状をなしている。本実施形態の例では容器の横断面視において、本体筒8の周壁が四角形状(多角形筒状)に形成されているのに対応して、中皿5も四角形状(多角形筒状)に形成されている。
【0047】
中皿本体34は、有頂筒状をなしており、頂壁と周壁とを有している。本実施形態の例では、中皿本体34の頂壁上に、係合筒36が立設されている。係合筒36は、有頂筒状をなしており、周壁と頂壁とを有している。図示の例では、係合筒36の頂壁が、上方に向けて凸となるドーム状をなしている。
【0048】
中皿本体34の頂壁には、容器の横断面視における本体筒8の長手方向に互いに間隔をあけて、一対の雄ねじ軸支持爪37が垂下設されている。中皿本体34の頂壁の下面において、一対の雄ねじ軸支持爪37は、容器軸Oを中心に互いに180°回転対称となる位置に形成されている。
【0049】
中皿本体34の周壁の下端開口部には、中皿シール筒35の周壁の内周面が接続している。つまり中皿シール筒35は、中皿本体34の周壁の径方向外側に配置されている。中皿シール筒35の周壁の外周面のうち、上下方向の両端部は、該両端部間に位置する中間部分よりも径方向外側に向けて突出しているとともに、周方向の全周にわたって弾性変形した状態で、本体筒8の内周面に密に当接している。
【0050】
本実施形態の例では、容器本体3内に配置されて上下方向に延びる螺旋軸として、雄ねじ軸4が設けられている。また、螺旋軸の外周面に形成された螺旋溝として、雄ねじ部38が設けられている。雄ねじ軸4は、上端部が中皿本体34に取り付けられ、上端部以外の部位における外周面に、雄ねじ部38が形成されている。
雄ねじ軸4の上端部には、容器の横断面視で十字状をなす係合軸部39が形成されている。係合軸部39は、係合筒36内に嵌合している。
【0051】
雄ねじ軸4の上端部において係合軸部39の下方に位置する部分には、径方向の外側へ向けて一対の係止アーム40が突設されている。図1に示される容器の縦断面視において、係止アーム40はL字状をなしており、雄ねじ軸4の外周面から径方向外側へ向けて延びた後、上方へ向きを変えるように(屈曲するように)延びている。雄ねじ軸4の上端部において一対の係止アーム40は、容器軸Oを中心に互いに180°回転対称となる位置に形成されている。係止アーム40の下面における径方向外側の端部は、雄ねじ軸支持爪37の内周突起に対して、その上方から当接している。係止アーム40が設けられたことにより、中皿本体34と雄ねじ軸4との容器軸O回りの相対回転が規制されている。
【0052】
雄ねじ軸4における上端部以外の部位(係止アーム40よりも下方に位置する部位)は、雌ねじ筒26内に挿入されている。雄ねじ軸4の雄ねじ部38は、雌ねじ筒26の雌ねじ部28に螺着している。本実施形態の例では、雄ねじ部38及び雌ねじ部28が、二条ねじである。
【0053】
キャップ7は、有頂筒状をなしており、頂壁と周壁とを有している。容器軸Oに垂直な断面視で、キャップ7の周壁は、本体筒8の周壁の形状に対応する非真円形状をなしている。本実施形態の例では容器の横断面視において、本体筒8の周壁が四角形状(多角形筒状)に形成されているのに対応して、キャップ7の周壁も四角形状(多角形筒状)に形成されている。
【0054】
キャップ7の頂壁は、容器本体3の吐出筒部18及び吐出口2をその上方から覆っている。キャップ7の頂壁には、容器軸O上に位置してシール栓41が垂下設されており、該シール栓41は、吐出筒部18の吐出口2内に嵌合している。
【0055】
キャップ7の頂壁には、容器の横断面視における本体筒8の長手方向に互いに間隔をあけて、一対の雌ねじ壁42が垂下設されている。キャップ7の頂壁の下面において、一対の雌ねじ壁42は、容器軸Oを中心に互いに180°回転対称となる位置に形成されている。容器の横断面視において雌ねじ壁42は、周方向に沿って延びる円弧状をなしている。雌ねじ壁42の周方向の両端部は、キャップ7の周壁の内周面に接続しており、これらの雌ねじ壁42とキャップ7の周壁部分とで囲まれた円筒状の内周面には、吐出筒部18の雄ねじに螺着する雌ねじが形成されている。
図1及び図2に示されるように、吐出筒部18にキャップ7が螺着されたときに、本体筒8の周壁の外周面と、キャップ7の周壁の外周面とは、互いに略面一に配置される。
【0056】
この回転繰出容器1では、容器本体3及び中皿5のうち、いずれか一方に螺旋軸(雄ねじ軸4)が設けられ、前記一方とは異なる他方に、螺旋軸の螺旋溝に係合する係合部(雄ねじ軸4の雄ねじ部38に螺着する雌ねじ部28)が設けられている。また、螺旋軸と係合部とを容器軸O回りに相対回転させる操作部6が設けられている。従って、容器本体3からキャップ7を取り外し、操作部6を回転操作することにより、螺旋溝と係合部との係合作用(ねじ作用)によって中皿5は、容器本体3内を容器軸O方向に沿って吐出口2側へ向けて移動することができ、吐出口2から内容物が吐出される。
【0057】
そして、操作部6の外周面は、容器本体3を形成する材質よりも軟らかく弾性変形可能な材質で形成されている。つまり操作部6の外周面は、容器本体3よりも軟らかい例えばエラストマー等の弾性変形可能な材質(軟質材)からなり、指先等にフィットして操作時のグリップ性がよい。従って、たとえ容器の外径が小さく抑えられている場合でも、操作部6を回転操作する際の操作性は良好に確保される。またこの効果により、容器のコンパクト化(特に小径化)も可能になる。
【0058】
操作部6の外周面は、容器本体3の外周面に開口する開口部25から容器外部に露出している。このため、容器本体3の開口部25に露出する操作部6の外周面部分を回転操作することにより、容器本体3から内容物を吐出させることができる。
そして、操作部6の外周面のうち、容器本体3の開口部25から容器外部に露出する部分以外の部位については、容器本体3内に配設される。また操作部6の外周面のうち、開口部25から容器外部に露出する部分については、グリップ性が向上した分、露出面積を小さく抑えることができる。これにより、開口部25から露出する操作部6の外周面部分を、容器本体3の外周面から径方向外側へ向けて大きく突出させずに配置することができる。従って、操作部6の外周面をエラストマー等の軟質材で形成しつつも、容器の外観デザインに与える影響を小さく抑えることができる。
【0059】
以上より本実施形態によれば、内容物を繰り出し操作する際の操作性を向上できる。特に、容器の外径を小さく抑えたり外観のデザイン性を高めたりしつつ、操作性を向上することが可能である。
【0060】
また本実施形態では、容器軸Oに垂直な横断面視で、容器本体3が非真円形状をなしている。従って、容器本体3の形状に対応するように、中皿5を容器の横断面視で非真円形状に形成し、容器本体3内に中皿5を嵌合させることにより、容器本体3に対する中皿5の回転を容易に規制することができる。また、容器本体3が非真円形状であるので、容器の外観デザイン性を高めやすい。
【0061】
また本実施形態では、操作部6の半径が、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径よりも大きいので、操作部6の外周面のうち、容器本体3の開口部25から容器外部に露出される部分が、該容器本体3の外周面よりも径方向外側に向けて出っ張るため、操作性をより向上させることができる。
また、操作部6の半径が、容器本体3の外周面のうち最も径方向外側に位置する部分の半径よりも小さいので、操作部6を容器本体3内に確実に収容できる。
【0062】
また本実施形態では、容器の側面視(正面視)において開口部25を正面に見て、開口部25が四角形孔状をなしており、該開口部25から露出する(開口部25から容器外部へ張り出す)操作部6の外周面部分が、開口部25の形状に対応する四角形状をなしている。つまり、開口部25と、該開口部25から露出する操作部6の外周面部分とが、互いに略同一形状とされている。このため、開口部25の開口縁と、操作部6の外周面との間に形成される隙間を小さく抑えることができる。これにより、前記隙間を通して容器内部に異物等が浸入するようなことを防止でき、かつ容器外観の見栄えを良くすることができる。
【0063】
また本実施形態では、互いに螺着される雄ねじ部38と雌ねじ部28とが、二条ねじであるため、一条ねじである構成と比べて、ねじのリードが大きくなる。すなわち、雄ねじ部38と雌ねじ部28との、容器軸O回りの相対的な単位回転量(例えば1回転)あたりの容器軸O方向へ向けた相対的な移動量(変位量)を、大きくすることができる。従って、操作部6を回転させることにより、容器本体3内において中皿5を速やかに容器軸O方向に移動させることができ、少ない回転量で多くの内容物を吐出口2から吐出させることができる。
【0064】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0065】
例えば、前述の実施形態では、雄ねじ軸(螺旋軸)4が、中皿5に設けられており、雌ねじ部(係合部)28が、容器本体3に設けられているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、雄ねじ軸(螺旋軸)4が、容器本体3に設けられており、雌ねじ部(係合部)28が、中皿5に設けられていてもよい。
この場合、例えば、容器本体3の本体筒8内に、該本体筒8に対して回転自在に雄ねじ軸4を設け、この雄ねじ軸4に操作部6を装着する。また中皿5に、上下方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔の内周面に雌ねじ部28を形成し、該雌ねじ部28に雄ねじ軸4の雄ねじ部(螺旋溝)38を螺着すればよい。なおこの場合、容器本体3内において雄ねじ軸4が、中皿5を上下方向に貫通して吐出口2付近(容器本体3の上端部)まで延設されていることが好ましい。
【0066】
また前述の実施形態では、螺旋軸が雄ねじ軸4であり、螺旋溝が雄ねじ部38であり、係合部が雌ねじ部28であるとしたが、これらは、ねじに限定されるものではない。すなわち、例えば螺旋軸の外周面に、通常のねじよりもリードの大きな螺旋溝を形成し、この螺旋溝に対して、突起状の係合部を係合してもよい。
【0067】
また前述の実施形態では、操作部6が円筒状に形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、操作部6は、例えば円筒状以外の円柱状、正多角形筒状、正多角形柱状、球状等に形成されていてもよい。なお、操作部6が球状に形成される場合には、容器本体3の開口部25は、該操作部6の外周面の形状に対応して、円形孔状に形成されることが好ましい。
また操作部6は、雌ねじ筒26(の大径筒部27)に、一体にインサート成形されていてもよい。この場合、操作部6の回転操作によって、雌ねじ筒26から操作部6が離脱するようなことが防止される。
【0068】
また前述の実施形態では、操作部6の半径が、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径よりも大きくされているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、操作部6は、その外周面が容器本体3の開口部25から容器外部に露出してさえいればよく(つまり操作可能であればよいことから)、例えば操作部6の半径が、容器本体3の外周面のうち最も径方向内側に位置する部分の半径より小さくてもよく、或いは同等であってもよい。
【0069】
また、前述の実施形態では、容器本体3及び中皿5を、容器軸Oに垂直な横断面視で非真円形状に形成して、互いに嵌合させることにより、容器本体3に対する中皿5の回転を規制することとした。具体的に、前述の実施形態では、この非真円形状として、容器本体3の内周面及び中皿5の外周面を、容器の横断面視で四角形状(多角形状)に形成した一例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、容器の横断面視における非真円形状には、例えば、上記四角形状以外の多角形状、楕円形状、真円形状の円周上の少なくとも一部に平面部や凹部、凸部等が形成された形状等、種々の形状が含まれる。
【0070】
或いは、容器本体3及び中皿5を、容器軸Oに垂直な横断面視で真円形状に形成して互いに嵌合させ、容器本体3と中皿5との間に、容器軸O方向に延びるリブと溝とを係合させた回り止め手段等を設けることにより、容器本体3に対する中皿5の回転を規制することとしてもよい。
なお、容器の横断面視で容器本体3を真円形状に形成する場合には、容器本体3と操作部6とを二重筒状に配置するとともに、互いの周壁同士を接近配置して、容器本体3の外周面に開口された開口部25から、操作部6の外周面を露出させればよい。これにより、本発明の上述した作用効果を得ることができる。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 回転繰出容器
2 吐出口
3 容器本体
4 雄ねじ軸(螺旋軸)
5 中皿
6 操作部
25 開口部
28 雌ねじ部(係合部)
38 雄ねじ部(螺旋溝)
O 容器軸
図1
図2
図3
図4