(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー(80,280)には、前記シャフト(40)と径方向で密着する径方向シール(82)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のストロークセンサ。
前記軸方向シール(81)には、前記フランジ面(58)の側、又は前記固定部材(90)の側に向けて突出する弾性凸部(81a)が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のストロークセンサ。
前記フランジ面(58)又は前記固定部材(90)には、前記弾性凸部(81a)が嵌め込まれる凹部(58h)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のストロークセンサ。
前記軸線(C1)に沿う方向から見て、前記弾性凸部(81a)は、前記摺動端(55a)を周回するように環状をなしていることを特徴とする請求項4又は5に記載のストロークセンサ。
前記シャフト(40)には、前記カバー(80,280)と密着するように径方向外方に突出するリブ(43)が設けられていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のストロークセンサ。
前記屈伸部(283)は、前記軸線(C1)に沿う方向に並ぶ複数の折り返し部(283a)を備えていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のストロークセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、及び車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0010】
(第一実施形態)
<車両全体>
図1は、鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車1を示す。
図1を参照し、自動二輪車1は、ハンドル5によって操向される前輪3と、エンジンを含むパワーユニット10によって駆動される後輪4とを備える。以下、自動二輪車を単に「車両」ということがある。
【0011】
ハンドル5及び前輪3を含むステアリング系部品は、車体フレーム2前端部に形成されたヘッドパイプ20に操向可能に枢支されている。ヘッドパイプ20には、ハンドル5に接続された不図示のハンドル操向軸が挿通されている。車体フレーム2の前後中央部にはパワーユニット10が配置されている。パワーユニット10の後部には、スイングアーム6がピボット軸6aを中心に上下に揺動可能に枢支されている。スイングアーム6の前部と車体フレーム2の後部との間には、不図示のリヤサスペンションが介装されている。
【0012】
例えば、車体フレーム2は、複数種の鋼材を溶接等により一体に結合して形成されている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ20から後下方に延びた後に下方に屈曲して延びる左右一対のメインフレーム21と、左右メインフレーム21同士を連結するように車幅方向に延びる不図示のクロスメンバと、左右メインフレーム21の後上端部から後上方に延びる不図示のシートレールと、を備えている。左右メインフレーム21の前下端部には、後下方に延びるエンジンハンガ25が設けられている。
【0013】
パワーユニット10は、左右メインフレーム21の後下部、及びエンジンハンガ25に取り付けられている。パワーユニット10は、クランクケース11と、側面視でクランクケース11の上部から前上方に突出するシリンダ部12と、を備えている。
【0014】
左右メインフレーム21の上方には、燃料タンク8が配置されている。燃料タンク8の後方且つシートレール(不図示)上には、シート9が配置されている。
【0015】
車体フレーム2は、車体カバー7で覆われている。車体カバー7は、車体フレーム2の前部を覆うフロントカウル7aと、車体フレーム2の前部側方を覆うフロントサイドカウル7bと、車体フレーム2の下部を覆うアンダーカウル7cと、車体フレーム2の後部を覆うリヤカウル7dと、を備えている。
【0016】
エンジンの後部には、変速装置30が一体的に設けられている。変速装置30は、クランクケース11の左側面から左側方に突出するシフトスピンドル31と、シフトスピンドル31の先端部に取り付けられたシフトリンク機構32と、シフトリンク機構32に連結されたシフト変速手段としてのシフトペダル33と、を備えている。
【0017】
シフトリンク機構32は、シフトスピンドル31の先端部に取り付けられたシフトアーム34と、シフトアーム34に連結ピンを介して上端部が回動自在に連結されたストロークセンサ35と、ストロークセンサ35の下端部に上端部が連結されたリンク36と、クランクケース11に設けられた不図示の支軸に回動自在に取り付けられるとともに一端部がリンク36の下端部に連結ピンを介して回動自在に連結され、かつ他端部がシフトペダル33に連結ピンを介して回動自在に連結された中間アーム37と、不図示のコントロールユニット(ECU;Engine Control Unit)と、を備えている。
【0018】
ECUは、ストロークセンサ35からのストローク信号(ストローク量の検出値)を受ける制御部として機能する。ECUは、ストローク信号に基づいて後述する付勢部材63が前記ストローク量だけ圧縮されたときに発生する荷重(シフト操作荷重)を算出する。なお、
図1において、符号15はフロントフェンダ、符号16はリヤフェンダ、符号17はメインステップをそれぞれ示す。
【0019】
<ストロークセンサ>
図2に示すように、ストロークセンサ35は、軸線C1に沿う方向に延びるシャフト40と、シャフト40に沿うように延びてシャフト40を外部に突出させた状態でシャフト40を収容するとともに、シャフト40を軸線C1に沿う方向に摺動可能に支持するハウジング50と、シャフト40を原点位置に復帰させる原点復帰手段60(
図3参照)と、シャフト40の摺動量を検出する検出部70(
図3参照)と、シャフト40とハウジング50との相対移動を許容するとともに、シャフト40とハウジング50との摺動領域におけるシャフト40の突出側の摺動端55a(
図3参照)を覆うカバー80と、を備えている。
【0020】
なお、便宜上、図中の軸線C1は、上下方向に延びる直線と一致させている。以下、軸線C1に沿う方向を「軸線方向」、軸線方向で上下方向内側を「軸線方向内側」、軸線方向で上下方向外側を「軸線方向外側」ということがある。
【0021】
<シャフト>
図3に示すように、シャフト40は、軸線方向で連結されるとともに、金属で形成された複数の軸部材41,42を備えている。複数の軸部材41,42のそれぞれには、ハウジング50の内壁に当接して軸線に交差する方向へのシャフト40の移動を規制するように摺動する摺動部45,47が設けられている。複数の軸部材41,42は、軸線方向で上方に配置された第一軸部材41と、軸線方向で下方に配置された第二軸部材42と、を備えている。
【0022】
<第一軸部材>
第一軸部材41は、非磁性金属で形成されている。例えば、第一軸部材41は、オーステナイト系のステンレス鋼(SUS;Steel Use Stainless)で形成されている。
【0023】
第一軸部材41は、軸線方向に延びる第一軸部材本体41aと、第一軸部材本体41aの下端から下方に突出して第二軸部材42と連結する連結部41bと、第一軸部材本体41aの上端部に設けられるとともに被検出体71を収容して保持する被検出体保持部41cと、ハウジング50の内壁に当接せずに(摺動せずに)僅かな隙間を保って近接する拡径部46と、を備えている。
【0024】
第一軸部材本体41aは、軸線方向に直線状に延びる円柱状をなしている。第一軸部材本体41aの外周面は、平滑な面で形成されている。
連結部41bは、第一軸部材本体41aと同軸に延びるとともに、第一軸部材本体41aよりも縮径した円柱状をなしている。連結部41bの外周面には、ネジ山を有する雄ネジ部41jが形成されている。
【0025】
被検出体保持部41cは、第一軸部材本体41aの上端から軸線方向内側に窪む凹状をなしている。被検出体保持部41cには、被検出体71が圧入して保持されている。被検出体71は、接着剤等の固定手段により、被検出体保持部41cに強固に固定されている。
【0026】
図4に示すように、拡径部46は、第一軸部材本体41aの外周面に一体的に連なるとともに、軸線方向から見て第一軸部材本体41aよりも大きい外形を有するD字円環状をなしている。拡径部46の外周面の一部は、平坦面46aを有する形状をなしている。ハウジング50の内壁は、拡径部46の外周面に合わせた形状をなしている。すなわち、軸線方向から見て、ハウジング50の内壁の輪郭は、拡径部46の外周面の輪郭に沿うように形成されている。
【0027】
<第二軸部材>
図3に戻り、第二軸部材42は、非磁性金属で形成されている。なお、第二軸部材42は、第一軸部材41と同様、非磁性金属で形成されていることが好ましいが、鋼材等の軟磁性材料で形成されていてもよい。第二軸部材42は、検出部70(磁石、磁気検出素子など)との距離を確保してあるため、鋼材等の軟磁性材料で形成されていても、磁界への影響度は低い。第二軸部材42は、コストや強度を考慮して適宜材料を選択することが可能である。
【0028】
第二軸部材42は、軸線方向に延びる第二軸部材本体42aと、第二軸部材本体42aの上端部に設けられるとともに第一軸部材41に連結される被連結部42bと、第一軸部材本体41aの下端部を案内するガイド部42cと、を備えている。第二軸部材42には、カバー80と密着するように径方向外方に突出するリブ43が設けられている。
【0029】
第二軸部材本体42aは、第一軸部材本体41aと同軸に直線状に延びる円柱状をなしている。第二軸部材本体42aは、ハウジング50から下方に突出して外部に露出している。
【0030】
被連結部42bは、第二軸部材本体42aと同軸に延びるとともに、第二軸部材本体42aよりも拡径した円筒状をなしている。被連結部42bの内周面には、ネジ山を有する雌ネジ部42jが形成されている。第二軸部材42の雌ネジ部42jには、第一軸部材41の雄ネジ部41jが螺合により連結されている。例えば、連結部41bと被連結部42bとの間には、ねじの緩み防止の観点から、シールロック剤等の補強用接着剤が充填されている。
【0031】
ガイド部42cは、被連結部42bの上端に連なる円筒状をなしている。軸線方向から見て、ガイド部42cは、被連結部42bと実質的に同じ外形を有するとともに、被連結部42bよりも大きい内形を有している。軸線方向から見て、ガイド部42cの内形は、第一軸部材本体41aを案内可能に第一軸部材本体41aの外形に対応した大きさとなっている。ガイド部42cの内周面は、円滑な面で形成されている。
【0032】
<摺動部>
複数の摺動部45,47は、被検出体保持部41cに設けられた複数(例えば、本実施形態では2つ)の保持部側摺動部45と、被検出体保持部41cを避けた位置に設けられた複数(例えば、本実施形態では2つ)の非保持部側摺動部47と、を備えている。2つの非保持部側摺動部47は、第二軸部材42に設けられている。
【0033】
保持部側摺動部45は、被検出体保持部41cの外周面に一体的に連なるとともに、軸線方向から見て被検出体保持部41cよりも大きい外形を有する円環状をなしている。
非保持部側摺動部47は、第二軸部材42のガイド部42cの外周面に一体的に連なるとともに、軸線方向から見てガイド部42cよりも大きい外形を有するD字円環状をなしている。
【0034】
軸線方向から見て、拡径部46の外形と非保持部側摺動部47の外形とは、概ね同じ大きさとなっている。軸線方向から見て、保持部側摺動部45の外形は、非保持部側摺動部47の外形よりも小さくなっている。
【0035】
図5に示すように、非保持部側摺動部47の外周面の一部は、平坦面47aを有する形状をなしている。すなわち、平坦面47aは、非保持部側摺動部47に形成されている。なお、非保持部側摺動部47は、軸線方向から見て相対的に大きい外形を有する。
【0036】
図3に示すように、シャフト40には、ハウジング50の内壁よりも径方向内方に窪む溝部48が設けられている。溝部48は、第一軸部材41の側においては軸線方向に隣り合う2つの保持部側摺動部45との間、及び軸線方向に隣り合う保持部側摺動部45と拡径部46との間に形成され、第二軸部材42の側においては軸線方向に隣り合う2つの非保持部側摺動部47の間に形成されている。溝部48には、不図示の潤滑剤が配置されている。
【0037】
<ハウジング>
ハウジング50は、軸線方向に分割された第一ハウジング半体51と、第二ハウジング半体55と、を備えている。
【0038】
<第一ハウジング半体>
第一ハウジング半体51は、非磁性材料で形成されている。例えば、第一ハウジング半体51は、アルミニウム及びステンレス鋼等の金属材料や、ポリブチレンテレフタレート(PBT;Poly Butylene Terephthalate)等の樹脂材料で形成されている。
【0039】
第一ハウジング半体51は、軸線方向に延びる第一ハウジング半体本体52と、第一ハウジング半体本体52の上側側部に設けられるとともに検出体72を収容する検出体収容部53と、第一ハウジング半体本体52の下端部に設けられるとともに第二ハウジング半体55に連結される被連結部54と、を備えている。
【0040】
第一ハウジング半体本体52は、第一軸部材41を摺動可能に収容する筒状をなしている。第一ハウジング半体本体52は、保持部側摺動部45を摺動自在に保持する保持部側内壁52aと、軸線方向から見て保持部側内壁52aよりも大きい内形を有するとともに拡径部46を囲む第一非保持部側内壁52bと、軸線方向から見て第一非保持部側内壁52bよりも大きい内形を有するとともに第二ハウジング半体55を案内するガイド内壁52cと、を備えている。第一非保持部側内壁52bとガイド内壁52cとの間には、原点復帰手段60の第一ピストン61の軸線方向(上方)への移動を規制する第一ピストン規制面52fが設けられている。
【0041】
検出体収容部53は、径方向において、被検出体71の軸線方向への移動領域と重なる部分に配置されている。検出体収容部53は、検出体72を収容する検出体収容凹部53aと、検出体収容凹部53aよりも大きい内形を有して径方向外方に開口するとともに検出体収容凹部53aに連通する基板収容部53bと、を備えている。基板収容部53bには、ケーブル73(
図2参照)を介して外部機器(不図示)に接続されるプリント配線基板74が収容されている。プリント配線基板74は、複数のビス75により、第一ハウジング半体51に固定されている。
【0042】
ケーブル73におけるプリント配線基板74との接続部分には、ケーブル73を保護するグロメット76(
図2参照)が設けられている。検出体収容部53及び基板収容部53bには、検出体72及びプリント配線基板74、並びにプリント配線基板74とケーブル73との接続部分を気密にする観点から、ポッティング材等の充填部材77が設けられている。
【0043】
被連結部54は、第一ハウジング半体本体52と同軸に延びる円筒状をなしている。被連結部54の内周面には、ネジ山を有する雌ネジ部54jが形成されている。
【0044】
<第二ハウジング半体>
第二ハウジング半体55は、非磁性材料で形成されている。なお、第二ハウジング半体55は、第一ハウジング半体51と同様、非磁性金属で形成されていることが好ましいが、鋼材等の軟磁性材料で形成されていてもよい。第二ハウジング半体55は、検出部70(磁石、磁気検出素子など)との距離を確保してあるため、鋼材等の軟磁性材料で形成されていても、磁界への影響度は低い。第二ハウジング半体55は、コストや強度を考慮して適宜材料を選択することが可能である。
【0045】
第二ハウジング半体55は、軸線方向に延びる第二ハウジング半体本体56と、第二ハウジング半体本体56の上端部に設けられるとともに第一ハウジング半体51と連結する連結部57と、を備えている。第二ハウジング半体55には、摺動端55aから径方向外側に広がるフランジ面58と、フランジ面58の外周部から軸線方向で外方(すなわち、下方)に突出する突出壁59と、が設けられている。
【0046】
第二ハウジング半体本体56は、第二軸部材42を摺動可能に収容する筒状をなしている。第二ハウジング半体本体56は、非保持部側摺動部47を摺動自在に保持する第二非保持部側内壁56aと、軸線方向から見て第二非保持部側内壁56aよりも大きい内形を有するとともに原点復帰手段60を収容する原点復帰手段収容内壁56bと、を備えている。第二非保持部側内壁56aと原点復帰手段収容内壁56bとの間には、原点復帰手段60の第二ピストン62の軸線方向(下方)への移動を規制する第二ピストン規制面56fが設けられている。
【0047】
連結部57は、第二ハウジング半体本体56と同軸に延びる円筒状をなしている。連結部57の外周面には、ネジ山を有する雄ネジ部57jが形成されている。第二ハウジング半体本体56の雄ネジ部57jは、第一ハウジング半体51の雌ネジ部54jに螺合により連結されている。例えば、連結部57と被連結部54との間には、ねじの緩み防止の観点から、シールロック剤等の補強用接着剤が充填されている。
【0048】
軸線方向から見て、第一ハウジング半体51の保持部側内壁52aと第二ハウジング半体55の第二非保持部側内壁56aとは、互いに異なる形状をなしている。軸線方向から見て、保持部側摺動部45と非保持部側摺動部47とは、互いに異なる形状をなしている。
【0049】
<原点復帰手段>
原点復帰手段60は、軸線方向に並ぶ一対のピストン61,62と、一対のピストン61,62の間に設けられるとともに、一対のピストン61,62を引き離すように付勢する付勢部材63と、を備えている。
【0050】
一対のピストン61,62は、それぞれ非磁性材料で形成されている。なお、一対のピストン61,62は、それぞれ非磁性金属で形成されていることが好ましいが、鋼材等の軟磁性材料で形成されていてもよい。一対のピストン61,62は、それぞれ検出部70(磁石、磁気検出素子など)との距離を確保してあるため、鋼材等の軟磁性材料で形成されていても、磁界への影響度は低い。一対のピストン61,62は、耐久性や強度を考慮して適宜材料を選択することが可能である。
【0051】
一対のピストン61,62は、軸線方向で上側に配置された第一ピストン61と、軸線方向で下側に配置された第二ピストン62と、を備えている。
【0052】
第一ピストン61は、軸線方向から見て円環状をなすとともに第一軸部材本体41aに摺動可能に支持される摺動底壁61aと、摺動底壁61aの外周部から下方に突出するとともに付勢部材63を周回するように筒状をなす外周壁61bと、を備えている。
【0053】
第二ピストン62は、軸線方向から見て円環状をなすとともに第一軸部材本体41aに摺動可能に支持される摺動底壁62aと、摺動底壁62aの外周部から上方に突出するとともに付勢部材63を周回するように筒状をなす外周壁62bと、を備えている。すなわち、第二ピストン62は、第一ピストン61を上下反転させた形状をなしている。なお、第一ピストン61及び第二ピストン62のそれぞれの摺動底壁61a,62aには、軸線方向に開口する貫通孔61h,62hが形成されている。
【0054】
第一ピストン61及び第二ピストン62は、ハウジング50内において、第一ピストン規制面52fと第二ピストン規制面56fとの間に配置されている。第一ピストン61及び第二ピストン62は、それぞれの外周壁61b,62bと第二ハウジング半体55の原点復帰手段収容内壁56bとの間にクリアランスを有するように配置されている。これにより、車載後に大きな荷重が加わることでシャフト40に応力が加わったとしても、第一ピストン61及び第二ピストン62が原点復帰手段収容内壁56bに接触しにくくなるため、第一ピストン61、第二ピストン62、原点復帰手段収容内壁56b及び付勢部材63が傷つくなど操作感に与える要因を防止することができる。
【0055】
例えば、付勢部材63は、ステンレス鋼、SUS304WPB等の非磁性金属で形成されたコイルバネである。なお、付勢部材63は、軟磁性材料(例えば、SWBやSWC等の硬鋼線)で形成されていてもよい。付勢部材63は、検出部70(磁石、磁気検出素子など)との距離を確保してあるため、軟磁性材料で形成されていても、磁界への影響度は低い。付勢部材63は、耐久性や強度を考慮して適宜材料を選択することが可能である。
【0056】
付勢部材63は第一ピストン61及び第二ピストン62を軸線方向で離反させるように常時付勢している。すなわち、シャフト40が何れの位置であっても、付勢部材63によって、第一ピストン61を第一ピストン規制面52fや拡径部46の端面46bに押し当てたり、第二ピストン62を第二ピストン規制面56fや非保持部側摺動部47の端面47bに押し当てたりすることができる。そのため、第一ピストン61及び第二ピストン62のそれぞれの外周壁61b,62bと第二ハウジング半体55の原点復帰手段収容内壁56bとの間にクリアランスを有していても、第一ピストン61及び第二ピストン62の振動を抑制することができ、シャフト40のストロークに対して一定の操作感を得ることができる。加えて、第一ピストン61及び第二ピストン62の振動を抑制することで、検出体72による検出精度を安定化することができる。
【0057】
原点位置においては、第一ピストン61が第一ピストン規制面52f及び拡径部46の端面46bに当接し、かつ第二ピストン62が第二ピストン規制面56f及び非保持部側摺動部47の端面47bに当接することにより、軸間距離が規制される。ここで、「軸間距離」は、第一ピストン61の外周壁61bの下端と第二ピストン62の外周壁62bの上端との間の距離を意味する。原点位置においては、第一ピストン61の外周壁61bの下端と第二ピストン62の外周壁62bの上端とが軸線方向に離反しているため、この離反した間隔d1が検出体72によって検出されるシャフト40のストローク(検出ストローク)となる。
【0058】
一方、原点位置にあるシャフト40がハウジング50内に押し込まれるように(すなわち、上方に押し込まれるように)変位すると、第一ピストン61が第一ピストン規制面52fに当接した状態で、第二ピストン62が非保持部側摺動部47の端面47bに当接支持されて付勢部材63の付勢力に抗して上方に移動することで、第二ピストン62が第二ピストン規制面56fから離反していく。シャフト40は、第二ピストン62の外周壁62bの上端が第一ピストン61の外周壁61bの下端に当接するまで上方に移動可能である。そして、シャフト40を上方に押し込む力が無くなると、付勢部材63の付勢力により、シャフト40が原点位置に復帰される。
【0059】
他方、原点位置にあるシャフト40がハウジング50から引き出されるように(すなわち、下方に引き出されるように)変位すると、第二ピストン62が第二ピストン規制面56fに当接した状態で、第一ピストン61が拡径部46の端面46bに当接支持されて付勢部材63の付勢力に抗して下方に移動することで、第一ピストン61が第一ピストン規制面52fから離反していく。シャフト40は、第一ピストン61の外周壁61bの下端が第二ピストン62の外周壁62bの上端に当接するまで下方に移動可能である。そして、シャフト40を下方に引き出す力が無くなると、付勢部材63の付勢力により、シャフト40が原点位置に復帰される。
【0060】
なお、第一ピストン61及び第二ピストン62が収容される原点復帰手段収容内壁56bには、グリース等の潤滑剤が塗布されている。これにより、シャフト40に対する第一ピストン61及び第二ピストン62の摺動を長期的に安定して確保することができる。
【0061】
<検出部>
検出部70は、シャフト40に固定された被検出体71と、シャフト40の摺動に従って移動する被検出体71の移動量を検出する検出体72と、を備えている。
【0062】
<被検出体>
例えば、被検出体71は、円柱状をなして軸線方向に2極が着磁されたSmCo焼結磁石である。被検出体71がシャフト40とともに軸線方向に変位することで、検出体72へ与える磁界の向き(磁力)が変わる。これにより、検出体72によって被検出体71の移動量が検出される。
【0063】
なお、被検出体71は、円柱状に限らず、四角柱状をなしていてもよい。また、被検出体71は、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類系磁石であってもよい。
また、被検出体71は、焼結磁石に限らず、プラスチック磁石であってもよい。焼結磁石の方がプラスチック磁石よりも強い磁力を有する一方、プラスチック磁石の方が焼結磁石よりも大量生産性や耐割れ性に優れるため、被検出体71に用いる磁石は、使用条件や設計要件に応じて適宜選択すればよい。
【0064】
<検出体>
検出体72は、複数の磁気検出素子を備えている。例えば、検出体72は、回路基板に複数のホール素子(磁気検出素子)が実装された磁気検出パッケージとして構成されている。検出体72は、被検出体71の移動などの変位に伴う磁力の変化を電気信号に変換して外部に出力する。
【0065】
検出体72の磁気検出面は、被検出体71の着磁方向に垂直な方向に配置されている。検出体72は、プリント配線基板74の被検出体71の側の面に実装されている。検出体72は、検出体収容部53に収容された状態で、上述した充填部材77により気密にされている。これにより、検出体72と被検出体71とのギャップを極力小さくして高精度に磁界の変化を検出できるようになっている。なお、不図示のパッキンや蓋部材によって気密性を保持してもよい。
【0066】
検出体72は、複数のホール素子で、被検出体71による磁界(磁気検出面に対し垂直方向の磁界及び水平方向の二方向の磁界)を検出する。得られた二方向の磁界は、処理回路(例えば、ASIC;Application Specific Integrated Circuit)において三角関数(ATAN)により角度演算され、角度情報として出力される。出力された角度情報とシャフト40の移動量(ストローク)は比例しているため、結果的にシャフト40の移動量を検出することができる。
【0067】
なお、検出体72からの出力方式は、どのような方式であってもよく、検出体72の検出結果を利用するECU(不図示)などに応じて選択すればよい。例えば、検出体72からの出力方式は、アナログ方式、PWM(Pulse Width Modulation)方式、SENT(Single Edge Nibble Transmission)方式などが挙げられる。
【0068】
<カバー>
カバー80は、シャフト40の第二軸部材42とハウジング50の第二ハウジング半体55との隙間を塞ぐように筒状をなしている。カバー80は、ゴムなどの弾性部材で形成されている。
【0069】
カバー80は、フランジ面58と軸線方向で密着する軸方向シール81と、シャフト40の第二軸部材42と径方向で密着する径方向シール82と、軸方向シール81と径方向シール82との間に設けられるとともにシャフト40の摺動時に屈伸可能な屈伸部83と、カバー80内の圧力(内圧)を調整する内圧調整部84と、を備えている。
【0070】
軸方向シール81には、フランジ面58の側に向けて突出する弾性凸部81aが設けられている。
図6に示すように、軸線方向から見て、弾性凸部81aは、摺動端55a(
図3参照)を周回するように環状をなしている。
【0071】
一方、フランジ面58には、弾性凸部81aが嵌め込まれる凹部58hが設けられている。
図7に示すように、軸線方向から見て、凹部58hは、摺動端55aを周回するように環状をなしている。すなわち、軸線方向から見て、凹部58hは、弾性凸部81aに重なり合う外形をなしている。
なお、フランジ面58の外周寄りには、軸線方向から見て環状をなすとともに、フランジ面58よりも一段高く盛り上がる段差部58aが形成されている。これにより、カバー80を組み付ける際、カバー80を固定部材90で固定するまでの間、カバー80を仮留めすることができる。
【0072】
図3に示すように、径方向シール82は、その内周面を第二軸部材本体42aの外周面に密着させるとともに、その下端をリブ43の上面に密着させるように配置されている。
【0073】
屈伸部83は、ハウジング50寄りの位置に配置された1つの折り返し部83aを備えている。
【0074】
図3の断面視で、内圧調整部84は、軸方向シール81の径方向内端から下側ほど径方向内方に位置するように緩やかに延びた後、折り返し部83aを経て下側ほど径方向外方に位置するように屈曲して延び、その後、径方向内方に屈曲して延びて径方向シール82の上端に至っている。
【0075】
内圧調整部84は、シャフト40の摺動に従って屈伸部83が屈伸したときに、カバー80とシャフト40との間の空間85の容量(以下「エアボリューム」という。)が変化しないように膨張又は収縮することで内圧を調整する。
【0076】
例えば、原点位置にあるシャフト40がハウジング50内に押し込まれるように(すなわち、上方に押し込まれるように)変位すると、
図8に示すように、カバー80が矢印V1の方向に押し込まれることで屈伸部83が屈曲し、内圧調整部84はエアボリュームが変化しないように膨張する。なお、図中二点鎖線は、原点位置におけるカバー80の輪郭を示している。
【0077】
一方、原点位置にあるシャフト40がハウジング50から引き出されるように(すなわち、下方に引き出されるように)変位すると、
図9に示すように、カバー80が矢印V2の方向に引き出されることで屈伸部83が伸長し、内圧調整部84はエアボリュームが変化しないように収縮する。なお、図中二点鎖線は、原点位置におけるカバー80の輪郭を示している。
【0078】
<固定部材>
図3に示すように、ストロークセンサ35は、軸方向シール81をフランジ面58に圧着する固定部材90を更に備えている。例えば、固定部材90は、金属部材で形成されている。
図5に示すように、固定部材90は、突出壁59に嵌合される筒状の周壁91と、周壁91に連続するとともに軸方向シール81をフランジ面58に圧着する環状の底壁92と、を備えた椀形状をなしている。
【0079】
<ストロークセンサの組立方法>
以下、ストロークセンサ35の組立方法の一例を説明する。
図10に示すように、先ず、被検出体71が固定された第一軸部材41と、付勢部材63が第一ピストン61及び第二ピストン62に挟まれた原点復帰手段60と、第二軸部材42とを軸線方向に並べる。
【0080】
図11に示すように、次に、第一軸部材41を連結部41bの側から原点復帰手段60の軸心開口(すなわち、第一ピストン61及び第二ピストン62の貫通孔61h,62h)に挿通していく。このとき、第一軸部材41の連結部41bの下端が第二軸部材42の被連結部42bの開口端に接することで、第一軸部材41と第二軸部材42との軸線方向の位置が合うようになっている。したがって、第一軸部材41と第二軸部材42とを同軸状態に保ったまま、連結部41bの雄ネジ部41jと被連結部42bの雌ネジ部42jとによる螺合が可能となる。
【0081】
また、連結部41bの雄ネジ部41jと被連結部42bの雌ネジ部42jとが螺合する前に、第一軸部材本体41aの下端部が第二軸部材42のガイド部42cの開口端側内周面に当接して嵌まることで、第一軸部材41と第二軸部材42とが同軸となる。これにより、第一軸部材41と第二軸部材42とを同軸状態に保ったまま、拡径部46の端面46bと非保持部側摺動部47の端面47bとで原点復帰手段60を挟みつつ、連結部41bの雄ネジ部41jと被連結部42bの雌ネジ部42jとによる螺合が可能となる。したがって、付勢部材63による反発力(弾性力)があっても、第一軸部材41と第二軸部材42とが軸ずれすることなく、連結部41bと被連結部42bとの螺合を容易に行うことができる。
【0082】
加えて、非保持部側摺動部47が第二軸部材42のガイド部42cの外周面に設けられていることで、非保持部側摺動部47が設けられた位置で第一軸部材41と第二軸部材42とを軸支することができるため、シャフト40が分割構造であっても、シャフト40の軸精度を高精度に維持することができる。また、非保持部側摺動部47が設けられた位置で第一軸部材41と第二軸部材42とを軸支することで、第一軸部材41と第二軸部材42との軸支部が変形しにくくなるため、シャフト40が分割構造であっても、精度の高い検出を維持することができる。
【0083】
図12に示すように、次に、原点復帰手段60が装着されたシャフト40を、第二軸部材42の下端側から第二ハウジング半体55の開口(すなわち、原点復帰手段収容内壁56b)に挿通していく。上述の通り、原点復帰手段60における第一ピストン61及び第二ピストン62は、それぞれの外周壁61b,62bと第二ハウジング半体55の原点復帰手段収容内壁56bとの間にクリアランスを有するように配置されていることで(
図3参照)、第二ハウジング半体55にシャフト40を組み付ける際の作業性を向上することができる。
【0084】
シャフト40を第二ハウジング半体55に挿通しきったところで(すなわち、第二ピストン62が第二ピストン規制面56fに当接して第二軸部材42が第二ハウジング半体55よりも下方に突出したところで)、カバー80の軸方向シール81をフランジ面58に密着させた後、固定部材90を突出壁59に圧入して嵌め込むことで、軸方向シール81を第二ハウジング半体55の下端部に嵌めこむ。
【0085】
またこのとき、第二軸部材42のリブ43をカバー80の径方向シール82の開口に挿通させて、カバー80の径方向シール82を第二軸部材42の外周面及びリブ43の上面に密着させる。
【0086】
図13に示すように、次に、シャフト40に装着された第二ハウジング半体55に、第一ハウジング半体51を連結する。具体的に、シャフト40に装着された第二ハウジング半体55を、第一軸部材41の上端側から第一ハウジング半体51の内部に挿入していき、連結部57の雄ネジ部57jと被連結部54の雌ネジ部54jとによる螺合を行う。
【0087】
このとき、第一軸部材41の上端側に設けられた保持部側摺動部45が第一ハウジング半体51の保持部側内壁52aに当接して嵌まることで、この箇所における組み付け状態を意識することなく、連結部57の雄ネジ部57jと被連結部54の雌ネジ部54jとを螺合することができる。
以上により、本実施形態に係るストロークセンサ35(
図3参照)が得られる。
【0088】
なお、シャフト40に装着された第二ハウジング半体55に、第一ハウジング半体51を連結することに限らず、シャフト40に装着された第一ハウジング半体51に、第二ハウジング半体55を連結してもよい。すなわち、この場合においても、第一軸部材41の上端側に設けられた保持部側摺動部45が第一ハウジング半体51の保持部側内壁52aに当接して嵌まることで、この箇所における組み付け状態を意識することなく、連結部57の雄ネジ部57jと被連結部54の雌ネジ部54jとを螺合することができる。
【0089】
以上説明したように、上記実施形態は、軸線方向に延びるシャフト40と、シャフト40に沿うように延びてシャフト40を外部に突出させた状態でシャフト40を収容するとともにシャフト40を軸線方向に摺動可能に支持するハウジング50と、シャフト40の摺動量を検出する検出部70と、シャフト40とハウジング50との相対移動を許容するとともにシャフト40とハウジング50との摺動領域におけるシャフト40の突出側の摺動端55aを覆うカバー80と、を備えたストロークセンサ35であって、ハウジング50には摺動端55aから径方向外側に広がるフランジ面58が設けられ、カバー80にはフランジ面58と軸線方向で密着する軸方向シール81が設けられ、軸方向シール81をフランジ面58に圧着する固定部材90を更に備えたものである。
この構成によれば、ハウジング50には摺動端55aから径方向外側に広がるフランジ面58が設けられ、カバー80にはフランジ面58と軸線方向で密着する軸方向シール81が設けられ、軸方向シール81をフランジ面58に圧着する固定部材90を更に備えていることで、固定部材90の圧着力で軸方向シール81がフランジ面58に密着されるため、軸方向シール81をフランジ面58に十分に密着させることができる。すなわち、ハウジング50が膨張したり、カバー80の劣化によりカバー80の弾性力が低下したりした場合であっても、軸方向シール81とフランジ面58との間のシール性は固定部材90の圧着力に依存するため、軸方向シール81をフランジ面58に十分に密着させることができる。したがって、シール性を確保することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、カバー80にはシャフト40と径方向で密着する径方向シール82が設けられていることで、軸方向シール81とフランジ面58との間のシール性を確保することに加え、径方向シール82とシャフト40との間のシール性を確保することができる。したがって、ハウジング50の外壁やシャフト40を伝う水がハウジング50内に浸入することを確実に抑制することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、ハウジング50にはフランジ面58の外周部から軸線方向で外方に突出する突出壁59が設けられ、固定部材90が突出壁59に嵌合される周壁91と周壁91に連続するとともに軸方向シール81をフランジ面58に圧着する底壁92とを備えた椀形状をなしていることで、周壁91の突出壁59への嵌合により周壁91と突出壁59との間のシール性を確保するとともに、底壁92の圧着力により軸方向シール81とフランジ面58との間のシール性を確保することができる。
【0092】
また、上記実施形態では、軸方向シール81にはフランジ面58の側に向けて突出する弾性凸部81aが設けられていることで、軸方向シール81のフランジ面58の側が平坦面である場合と比較して、軸方向シール81とフランジ面58との密着性が増すため、軸方向シール81とフランジ面58との間のシール性を向上することができる。
【0093】
また、上記実施形態では、フランジ面58には弾性凸部81aが嵌め込まれる凹部58hが設けられていることで、ハウジング50の外壁やシャフト40を伝う水が軸方向シール81とフランジ面58との間に浸入したとしても、水を凹部58hにとどめることができる。したがって、水がハウジング50内に浸入することを確実に抑制することができる。加えて、軸方向シール81とフランジ面58との径方向の位置ずれを抑制することができるため、固定部材90の圧着力を軸方向シール81に均等に作用させることができる。したがって、軸方向シール81とフランジ面58との間のシール性を向上することができる。
【0094】
また、上記実施形態では、軸線方向から見て弾性凸部81aが摺動端55aを周回するように環状をなしていることで、ハウジング50の外壁やシャフト40を伝う水が軸方向シール81とフランジ面58又は固定部材90との間に浸入したとしても、水は弾性凸部81aの外周に沿うように流れるため、水を弾性凸部81aの外周側にとどめることができる。したがって、水がハウジング50内に浸入することを確実に抑制することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、シャフト40にはカバー80と密着するように径方向外方に突出するリブ43が設けられていることで、シャフト40を伝う水をリブ43で遮ることができるため、シャフト40を伝う水がカバー80内に浸入することを確実に抑制することができる。
【0096】
また、上記実施形態では、カバー80にはシャフト40の摺動時に屈伸可能な屈伸部83が設けられていることで、シャフト40の摺動時にカバー80の位置がずれにくくなるため、シール性をより効果的に確保することができる。
【0097】
また、上記実施形態では、屈伸部83が1つの折り返し部83aを備えていることで、カバー80の復元力を確保してシャフト40に対するカバー80の位置ずれを抑制することができるため、シール性をより効果的に確保することができる。加えて、屈伸部83が複数の折り返し部83aを備えた場合と比較して、単純な形状となるため、カバー80の生産性を向上することができる。
【0098】
また、上記実施形態では、カバー80は、シャフト40の摺動に従って屈伸部83が屈伸したときに、カバー80とシャフト40との間の空間85の容量が変化しないように膨張又は収縮することで内圧を調整する内圧調整部84を備えていることで、シャフト40の摺動時にカバー80が屈伸変形した場合であっても、カバー80内の気圧を所定の高さに維持することができるため、カバー80内への水の吸込みを抑制することができる。したがって、シール性を向上することができる。
【0099】
また、上記実施形態では、上記ストロークセンサ35を備えた自動二輪車1において、シール性を確保することができる。
【0100】
(第二実施形態)
図14は、第二実施形態に係るストロークセンサ235の
図2に相当する断面図である。
図14に示すように、第二実施形態は、カバー280の態様が上述した第一実施形態と相違している。なお、以下の説明においては、上述した第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
<カバー>
図14及び
図15に示すように、カバー280は、フランジ面58と軸線方向で密着する軸方向シール81と、シャフト40の第二軸部材42と径方向で密着する径方向シール82と、軸方向シール81と径方向シール82との間に設けられるとともにシャフト40の摺動時に屈伸可能な屈伸部283と、カバー280内の圧力(内圧)を調整する内圧調整部284と、を備えている。
【0102】
屈伸部283は、軸線方向に並ぶ複数(例えば、本実施形態では3つ)の折り返し部283aを備えている。
内圧調整部284は、軸方向シール81の径方向内端から下方に向けて蛇腹形状を形成しつつ延びた後、径方向内方に屈曲して延びて径方向シール82の下端に至っている。
【0103】
以上説明したように、上記実施形態では、屈伸部283が軸線方向に並ぶ複数の折り返し部283aを備えていることで、シャフト40の摺動時に複数の折り返し部283aでカバー280を屈伸させてカバー280の位置ずれを抑制することができるため、シール性をより効果的に確保することができる。
【0104】
なお、上記実施形態では、軸方向シールにはフランジ面の側に向けて突出する弾性凸部が設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、軸方向シールには固定部材の側に向けて突出する弾性凸部が設けられていてもよい。また、軸方向シールにはフランジ面の側及び固定部材の側の両側に向けて突出する弾性凸部が設けられていてもよい。また、軸方向シールに弾性凸部が設けられていなくてもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、フランジ面に弾性凸部が嵌め込まれる凹部が設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、固定部材に弾性凸部が嵌め込まれる凹部が設けられていてもよい。また、フランジ面及び固定部材の両方に弾性凸部が嵌め込まれる凹部が設けられていてもよい。また、フランジ面及び固定部材に凹部が設けられていなくてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、拡径部46がハウジング50の内壁に当接せずに(摺動せずに)僅かな隙間を保って近接している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、拡径部46がハウジング50の内壁と摺動するように当接していてもよい。この構成によれば、摺動部45,47に加えて拡径部46も摺動し、摺動箇所が増える。これにより、被検出体71と検出体72との位置ずれが生じにくくなるため、より高い検出精度をより確実に維持することができる。
【0107】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、シフト変速手段としてはシフトペダルに限らず、シフトアクチュエータ(モータ)あってもよい。
前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。