【実施例】
【0024】
(実施例1)
本発明に係る日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニット(以下、実施例では単に「クラッチユニット」という)の実施例1を
図1〜6において説明する。
【0025】
この実施例1では、本発明のクラッチユニットを適用する日射遮蔽装置の例として、ヘッドボックスから吊り下げられた1枚の遮蔽材を、ループ状の昇降用の操作コードによって昇降動作させる日射遮蔽装置とする。
【0026】
この日射遮蔽装置1は、
図1に示すように、ヘッドボックス2と、ヘッドボックス2から吊り下げられた遮蔽材3と、が設けられている。本実施例1では、遮蔽材3の例として、たくし上げカーテンとする。
【0027】
ヘッドボックス2には、プーリ操作駆動装置6、クラッチユニット7、巻き上げ回動軸8及び巻き上げローラ9が設けられている。
【0028】
プーリ操作駆動装置6は、ヘッドボックス2の一端(
図1中の右端)に設けられており、
図1(b)、(c)に示すように、操作コード13と、操作コード13によって回動されるプーリ14と、出力軸15と、を備えている。
【0029】
プーリ14の回転は、直接、又は歯車機構(図示しないが減速又は増速を目的とする歯車機構)を介して、出力軸15から、クラッチユニット7に伝達される。
【0030】
巻き上げローラ9は、遮蔽材3を上昇させる昇降コード17を上方に巻き上げるものである。遮蔽材3の下端にボトムレール18が取り付けられており、ボトムレール18は、昇降コード17の下端に取り付けられている。
【0031】
プーリ操作駆動装置6におけるプーリ14の回転は、クラッチユニット7に伝達され、クラッチユニット7は、プーリ操作駆動装置6の回転を、巻き上げ回動軸8に伝達する接続状態と、非伝達にする非接続状態とに切り替える。
【0032】
本発明のクラッチユニット7は、従来の日射遮蔽装置で使用されているストッパーユニット(遮蔽材を巻き上げた状態で保持したり、保持を解除して遮蔽材を自重降下させたりする保持手段。特許文献3等参照)の機能も兼ね備えている。
【0033】
以下、クラッチユニット7の構成について具体的に説明する。本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「軸方向」は、ヘッドボックス2の長手方向であり、より詳細には、後記する駆動軸31、カムドラム23及び巻き上げ回動軸8等の軸方向(
図1中の左右方向)を言う。
【0034】
「基端側」は上記軸方向において、プーリ操作駆動装置6に近い側(
図1中の右端側)を言い、「先端側」はプーリ操作駆動装置6に遠い側(
図1中の左端側)、即ち基端側とは逆側を言う。
【0035】
回転方向については、基端側から見て、時計回り、反時計回り等の用語を使用する。また、昇降コード17を巻き上げて、遮蔽材3を上昇させる時に後記するカムドラム23が回転する方向については、「巻き上げ時のカムドラムの回転方向」、「巻き上げ時の回転方向」等という。遮蔽材3が自重降下する時にカムドラム23が回転する方向については、「降下時のカムドラムの回転方向」、「降下時の回転方向」等という。
【0036】
クラッチユニット7は、その外観は
図3(a)に示すが、
図2、
図4に示すように、プーリ操作駆動装置6に連結された伝達側回転部21と、巻き上げ回動軸8に連結された被伝達側回転部22と、外周面に断面略半球状のカム溝24の形成されたカムドラム23と、カムドラム23を回転可能に収容するクラッチケース26と、クラッチケース26の内面に軸方向に直線的で断面略半球状に形成された案内溝27と、案内溝27内で軸方向に所定範囲内で移動可能に保持されているとともにカム溝24内でカムドラム23に対して相対的に移動するクラッチボール28と、を備えている。
【0037】
伝達側回転部21は、駆動軸31と、駆動軸31にスプライン結合され、駆動軸31に対して一体で回転しかつ軸方向に可動なクラッチバネ筒32と、駆動軸31の先端に設けられた伝達側噛み合い部33と、を備えている。伝達側噛み合い部33は、本実施例では、駆動軸31の先端に嵌め込まれ固定された噛み合い盤から成る。
【0038】
駆動軸31は、プーリ操作駆動装置6の出力軸15に連結され、操作コード13を一方向に引く操作により、一方向(本実施例1では反時計回りの方向とする)に回転する。そして、駆動軸31は、スプライン部36と円環部37を備えている。
【0039】
クラッチバネ筒32の外周面には、コイル状のクラッチバネ38が巻着されている。クラッチバネ38は、その弾力によって、常時はクラッチバネ筒32の外周面を締め付けており、クラッチバネ筒32が回転すると一体に回転する。
【0040】
しかし、クラッチバネ筒32と共に回転しているクラッチバネ38は、その一端部40(
図2参照)を介してその回転が拘束され、弾力に抗する力が作用すると、クラッチバネ筒32に対する締め付け力が弱まる。そのため、クラッチバネ筒32は、クラッチバネ38に対して滑るようにして相対的に回転する。
【0041】
以上、整理すると、伝達側回転部21は、プーリ操作駆動装置6で回転する駆動軸31と、駆動軸31にスプライン結合しクラッチバネ38が巻着されたクラッチバネ筒32を有し、クラッチバネ38の一端部40がカムドラム23に係合されており、クラッチバネ筒32は、クラッチバネ38を介して、カムドラム23と共に軸方向に移動すると共に、クラッチバネ38を介してカムドラム23を回転可能とする構成である。
【0042】
カムドラム23及びクラッチバネ38の回転が、後記するカム溝24の停止部66にクラッチボール18が位置することによって拘束された場合は、クラッチバネ筒32は、カムドラム23及びクラッチバネ38に対して回転可能となる。
【0043】
図2及び
図4において、クラッチケース26は、クラッチケース本体41と、クラッチケース本体41に装着されるクラッチケース蓋体42を備えている。カムドラム23は、その基端部45にカムカバー46が装着され、さらに基端部45がクラッチケース蓋体42の内周壁面内に回転可能になるように装入されている。
【0044】
駆動軸31は、その先端に設けられた伝達側噛み合い部33を含め、クラッチバネ筒32と共に、カムカバー46の中心孔を通してカムドラム23内に、回転可能に装入されている。駆動軸31は、その基端側に設けられた円環部37がクラッチケース蓋体42の開口部47に回転可能に嵌合されている。駆動軸31におけるクラッチケース26から基端側に延び出した部分が、プーリ操作駆動装置6の出力軸15に連結されている。
【0045】
カムドラム23は、
図2に示すように、その基端部45が切り欠かれて係合部51が形成されており、この係合部51に、クラッチバネ38の一端部40が係合している。これによって、カムドラム23は、クラッチバネ筒32と共に回転可能である。また、カムドラム23はクラッチバネ筒32と共に、駆動軸31に対して相対的に軸方向に移動可能である。
【0046】
前記したとおり、カムドラム23の外周面には、カム溝24が形成されており、クラッチケース本体41の内面には、クラッチボール28を保持する案内溝27(
図2、
図4参照)が、軸方向に向けて直線的に形成されている。
【0047】
そして、カム溝24と案内溝27に、クラッチボール28が転動可能に嵌合されている。なお、参考までに、案内溝27について、動作時におけるカムドラム23との軸方向の相対的な位置関係を示すために、
図3(b)、
図5、
図6に模式的に示す。
【0048】
被伝達側回転部22は、
図2、
図4に示すように、被駆動軸52と、被駆動軸52に設けられた被伝達側噛み合い部53と、を備えている。本実施例では、被伝達側噛み合い部53は、被駆動軸52にスプライン結合された噛み合い盤である。
【0049】
被駆動軸52の基端側は、クラッチケース26及びカムドラム23内に回転可能に装入されている。被駆動軸52の先端側は、連結具56で巻き上げ回動軸8と連結され共に回転可能となる。被駆動軸52の基端側には、スプライン部58(
図2、
図4参照)が形成されている。
【0050】
被伝達側噛み合い部53は、カムドラム23内で、カムドラム23に対して相対的に回転可能であり、かつ位置決め環57によってカムドラム23と共に軸方向に移動可能に設けられている。
【0051】
より具体的には、この被伝達側噛み合い部53は、被駆動軸52のスプライン部58にスプライン結合して、被駆動軸52と共に回転し、かつ被駆動軸52に対して軸方向に相対的に移動可能に設けられている。
【0052】
図3(b)、
図5及び
図6は、クラッチユニット7のカムドラム23の外周面に形成されたカム溝24の展開図である。クラッチケース26は、ヘッドボックス2に固定されて設けられているが、このクラッチケース26の内面に軸方向に向けて直線的に形成された案内溝27を、軸方向に移動可能なカムドラム23との軸方向の相対的位置関係を示すために、模式的に示した。
【0053】
被伝達側噛み合い部53は、カムドラム23に対して相対的に回転する構成であるが、カムドラム23と共に軸方向に移動するので、クラッチユニット7の作用を説明する都合上、
図5及び
図6においては、被伝達側噛み合い部53をカムドラム23の基端に位置させて模式的に示した。さらに、軸方向には移動しない伝達側噛み合い部33を、被伝達側噛み合い部53に対向して模式的に示した。
【0054】
カム溝24は、
図3(b)、
図5、
図6に示すが、主要な溝として、巻き上げ溝61(
図3(b)の一点鎖線の経路参照)と、主及び副解除溝62、63(
図3(b)の二点鎖線の経路参照)と、を備えている。
【0055】
巻き上げ溝61は、カムドラム23の周回りに沿って形成されており、先端側(
図5及び
図6では左側)に向けて凸状に湾曲した噛み合わせ部65と、カムドラム23の反時計回りの方向(巻き上げ方向)とは逆の時計回りの方向かつ先端側に向けて屈曲し突出した停止部66と、カムドラム23の反時計回りの方向へ凸状に湾曲した保持部67と、が設けられている。
【0056】
後記するが、クラッチボール28が、カム溝24内をカムドラム23に対して相対的に移動し、噛み合わせ部65に位置すると、クラッチユニット7の伝達動作を行う。また、カムドラム23に対して、クラッチボール28がカム溝24内をカムドラム23に対して相対的に移動し、停止部66に位置すると、巻き上げ時のカムドラム23の回転方向(反時計回りの方向)への回転が拘束される。
【0057】
本発明の特徴的構成は、この停止部66の構成を、巻き上げ時のカムドラム23の回転方向(反時計回りの方向)とは逆方向かつ先端側に向けて屈曲し突出させ、先端が行き止まりとした溝とした点である。これによって、操作コード13による巻き上げ操作の途中、クラッチボール28が、カム溝24内でも先端側に位置する停止部66に到達し、カムドラム23の反時計回りの方向の回転が拘束される。
【0058】
この結果、後記する作用の項で詳述するが、駆動軸31の回転によって、カムドラム23が回転することなく、伝達側噛み合い部33及び被伝達側噛み合い部53を介して被駆動軸52が回転し、遮蔽材3が巻き上げられるが、この際に、クラッチボール28が、カム溝24内でも先端側の停止部66に位置しているので、カムドラム23が振動等で先端側に若干移動しても、クラッチの噛合いが外れることはない。
【0059】
上記操作コード13による巻き上げ操作を途中で止めて離すと、遮蔽材3の自重降下に基づきカムドラム23が時計回りの方向へ回転し、クラッチボール28が保持部67に移動して位置し、遮蔽材3の自重降下に基づくカムドラム23の時計回りの方向の回転が拘束されて、遮蔽材3は自重降下が阻止されて、降下しないように保持される。
【0060】
このように、カムドラム23の保持部67は、遮蔽材3を降下しないように保持する保持手段として機能する。要するに、本発明のクラッチユニット7は、保持手段を備えている。
【0061】
主及び副解除溝62、63は、いずれも巻き上げ溝61から分岐して形成されている。主解除溝62は、保持部67の時計回りの回転方向の近傍の分岐部70で巻き上げ溝61から分岐するように形成されており、副解除溝63は、噛み合わせ部65の第2回転方向の近傍の分岐部71で巻き上げ溝61から分岐するように形成されている。
【0062】
主解除溝62は、カムドラム23の反時計回りの回転方向(巻き上げ時の回転方向)に向けて基端側に向かう傾斜部74とその先の突き当たりである主解除部75を有する。主解除部75は、後記するがクラッチボール28がここに相対的に移動して位置すると、クラッチユニット7は伝達の解除動作を行い非接続状態とする(
図5(a)参照)。
【0063】
副解除溝63は、基端側に向かう傾斜部78とその先の突き当たりである副解除部79を有する。副解除部79に、クラッチボール28がカムドラム23に対して相対的に移動して位置すると、クラッチユニット7は伝達の解除動作を行い非接続状態とする。
【0064】
なお、主解除溝62及び主解除部75と、副解除溝63及び副解除部79とは、巻き上げ溝61から分岐する箇所は異なり、主、副を付しているが、構成及び解除動作を行う点では互いに同等である。主、副は、互いに区別するために付しているのであり、特に構成、作用については、特別な意味はない。
【0065】
クラッチボール28は、駆動軸31の回転に伴いカムドラム23が回転すると、案内溝27の軸方向の長さの範囲内で軸方向に移動し、かつカム溝24内を、カムドラム23に対して相対的に移動する。
【0066】
案内溝27の軸方向の長さLは、カム溝24における基端側に位置する解除部(主解除部75、副解除部79)とカム溝24における先端側に位置する噛み合わせ部65との軸方向の間隔Dより小さく形成されている(
図3(b)参照)。
【0067】
カム溝24の主解除部75及び副解除部79は、カム溝24における軸方向の最も基端側に位置する部分であり、カム溝24の噛み合わせ部65は、カム溝24における軸方向の最も先端側に位置する部分であるから、案内溝27の軸方向の長さLは、カムドラム23に形成されたカム溝24における、軸方向の最も基端側に位置する部分と最も先端側に位置する部分の軸方向の間隔の長さDより短く形成されているということとなる。
【0068】
このように、「案内溝27の長さL」<「カム溝24における解除部75、79と噛み合わせ部65の間隔D」に決められた構成とすると、カムドラム23が回転すると、クラッチボール28は、案内溝27内を自由に移動するとともに、案内溝27の長さLに対応するカム溝24における軸方向の範囲内で、自由に移動する。このようにクラッチボール28が自由に移動する間は、カムドラム23は軸方向には移動することがない。
【0069】
しかしながら、クラッチボール28が案内溝27の一端まで移動すると、例えば、カムドラム23が巻き上げ時の回転方向に回転している際に、クラッチボール28は、案内溝27の先端まで移動するとそこで拘束され、それ以上は移動できないので、カムドラム23が、拘束されたクラッチボール28に対して相対的に軸方向で基端側に移動することで、クラッチボール28が噛み合わせ部クラッチボール65まで移動して位置することができる。
【0070】
その結果、カムドラム23と共に軸方向に移動する被伝達側噛み合い部53を、軸方向に移動不可能な伝達側噛み合い部33に噛み合わせる。
【0071】
同様に、クラッチボール28は、案内溝27の基端まで移動するとそこで拘束され、カムドラム23が降下時の回転方向(実施例1では時計方向)に回転しようとしても、それ以上は移動できないので、カムドラム23は降下時の回転方向(実施例1では時計方向)に回転しながら、拘束されたクラッチボール28に対して相対的に軸方向で先端側に移動することで、クラッチボール28が主解除部75(又は副解除部79)まで相対的に移動して位置することができる。
【0072】
その結果、カムドラム23と共に軸方向に移動する被伝達側噛み合い部53を、軸方向に移動不可能な伝達側噛み合い部33から噛み合わせを解除する。
【0073】
以上の動作は、後記する作用の項で、さらに詳細に説明するが、上記のとおり、クラッチボール28が案内溝27の先端側及び基端側に位置したそれぞれの状態で、カムドラム23が回転すると、カムドラム23は、軸方向に移動し、ラッチボールは噛み合わせ部65及び解除部75、79に移動可能であり、それぞれクラッチユニット7は、接続状態及び非接続状態となる。
【0074】
要するに、上記動作が生じるように、案内溝27の長さLと、カムドラム23に形成されたカム溝24の最も基端側に位置する部分と最も先端側に位置する部分の軸方向の間隔の長さDと、について寸法を設定する。
【0075】
図4(a)において、クラッチボール28がカム溝24の主解除部75に位置し、伝達側噛み合い部33と被伝達側噛み合い部53の噛み合わせが非接続状態にある時の、カムドラム23のカム溝24とクラッチボール28の位置関係を断面図で示す。
【0076】
また、
図4(b)において、クラッチボール28がカム溝24の噛み合わせ部65に位置し、伝達側噛み合い部33と被伝達側噛み合い部53が噛み合わせ状態にある時の、カムドラム23のカム溝24とクラッチボール28の位置関係を断面図で示す。
【0077】
なお、図示はしないが、以上説明した構成とは逆に、カム溝24をクラッチケース26の内外周面に設け、案内溝27をカムドラム23の外周面に設ける構成としてもよい。
【0078】
作用:
(1)上昇(巻き上げ)動作
以上の構成から成るクラッチユニット7の作用を、以下説明する。ここでは、動作開始前は、クラッチユニット7は、非接続状態、即ち、
図4(a)、
図5(a)に示すように、伝達側回転部21の伝達側噛み合い部33と被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53は、互いに離れ、噛み合いが解除された状態とする。
【0079】
このような動作開始前の状態から、操作コード13を一方向に引く操作によって、昇降コード17を巻き上げ遮蔽材3を上昇させる上昇動作(巻き上げ動作)について説明する。
【0080】
操作コード13を、
図1(c)の矢印に示すように引いてプーリ14を回転させると、クラッチユニット7における伝達側回転部21の駆動軸31及びクラッチバネ筒32が、
図2において、反時計廻りの方向に回転する。すると、クラッチバネ筒32に巻着されたクラッチバネ38の一端部40を介して、カムドラム23を反時計回りの方向に回転する。
【0081】
この回転に伴い、非接続状態では、
図5(a)に示すように、案内溝27の基端に位置し、かつ主解除溝62の主解除部75に位置していたクラッチボール28は、主解除溝62から分岐部70を通過し、巻き上げ溝61へ向けて、カムドラム23に対して相対的に移動し、かつ、案内溝27内を先端側(
図5(a)中、左方向)に移動する。
【0082】
なお、クラッチボール28は、案内溝27の範囲内で軸方向にしか移動できないので、カム溝24内のクラッチボール28の移動は、あくまでも、カムドラム23に対する相対的な移動である。
【0083】
クラッチボール28が案内溝27の先端に達すると、クラッチボール28はカム溝24内で先端側への移動が拘束される。そのため、カムドラム23の回転が続くと、カムドラム23は、軸方向で基端側に向けて移動し、クラッチボール28は巻き上げ溝61を移動し噛み合わせ部65に達する。
【0084】
このため、被伝達側噛み合い部53は、カムドラム23と共に軸方向で基端側に向けて移動し、
図5(b)に示すように、伝達側噛み合い部33と噛み合い、クラッチユニット7は伝達状態となる。
【0085】
その結果、駆動軸31の反時計回りの方向への回転は、伝達側噛み合い部33及び被伝達側噛み合い部53介して、被駆動軸52に伝達され、巻き上げ回動軸8による昇降コード17を巻き上げローラ9に巻き取り、遮蔽材3の上昇動作が開始する。
【0086】
さらに、操作コード13を操作し続けると、カムドラム23は反時計回りの方向に回転を続け、クラッチボール28は、
図6(a)に示すように停止部66に達する。すると、クラッチボール28は、停止部66で拘束されるので、カムドラム23の回転は拘束されて停止する。
【0087】
この状態で、操作コード13を同じ方向に操作し続け、駆動軸31及びクラッチバネ筒32を反時計回りの方向に回転すると、クラッチバネ38の一端部40がカムドラム23の係合部51に係止されているので、カムドラム23と共にクラッチバネ38の回転は停止し、クラッチバネ38によるクラッチバネ筒32への締め付けが緩む。
【0088】
そのため、操作コード13を操作して駆動軸31の回転を続けると、クラッチバネ筒32は、クラッチバネ38に対して非接触又は滑りながら回転を続け、被駆動軸52も回転を続け、巻き上げ回動軸8の回転は続き、遮蔽材3の上昇動作は続く。
【0089】
ところで、クラッチボール28はカム溝24の停止部66に係合することで、カムドラム23の回転は停止するが、上記巻き上げの際に、巻き上げ回動軸8、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53、伝達側噛み合い部33等を介して、カムドラム23にかかる外力(反力)によって、カムドラム23が軸方向で先端側(
図6(a)中左方向)に移動して、伝達側噛み合い部33と被伝達側噛み合い部53の噛み合いが解除される可能性がある。
【0090】
しかしながら、本発明では、停止部66を、カムドラム23の反時計回りの回転方向(巻き上げ方向)とは逆の時計回りの回転方向かつ先端側に向けて屈曲し突出した形状の溝としたので、ボールが停止部66に到達し、遮蔽材3の巻き上げ中に、カムドラム23が振動等で先端側に若干移動しても、伝達側噛み合い部33と被伝達側噛み合い部53の噛み合いが解除されることが防止され、クラッチユニット7が非接続状態となることはなく、安定した巻き取り動作が可能となる。
【0091】
遮蔽材3を所望の高さまで巻き上げてから、操作コード13を一方向に引くことを止めて操作コード13から手を離して停止すると、遮蔽材3の自重により、巻き上げ回動軸8は、巻き上げ時の回転方向とは逆の降下時の回転方向、即ち、本実施例では時計回りの方向に回転し、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53、伝達側噛み合い部33、駆動軸31、クラッチバネ筒32及びクラッチバネ38を介して、カムドラム23は、降下時の回転方向(時計回りの方向)に回転する。
【0092】
この回転によって、クラッチボール28は、
図6(b)に示すように、カム溝24における保持部67内に入り、遮蔽材3の自重降下によるカムドラム23の時計回りの方向の回転は停止する。これによって、遮蔽材3を所望の高さまで開いた状態で保持することができる。
【0093】
(2)降下(巻き降ろし)動作
上記のとおり上昇位置に保持した状態(
図6(b)参照)の遮蔽材3を降下させる際には、操作コード13を、上昇の際と同じ一方向に若干引くと、クラッチユニット7において、カムドラム23は反時計回りの方向に回転し、クラッチボール28は、
図6(b)に示す保持部67から、巻き上げ溝61を進み、分岐部70又は分岐部70を超える位置まで、カムドラム23に対して相対的に移動する。
【0094】
そして、操作コード13を一方向に引くことを止めると、遮蔽材3の自重により巻き上げ回動軸8は、巻き上げ方向とは逆の降下時の回転方向、即ち、本実施例1では時計回りの方向に回転し、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53、伝達側噛み合い部33、駆動軸31、クラッチバネ筒32及びクラッチバネ38を介して、カムドラム23を時計回りの方向に回転する。
【0095】
すると、クラッチボール28は、分岐部70から主解除溝62内に入り傾斜部74から主解除部75へ向けて、カムドラム23に対して相対的に移動しようとするが、案内溝27の基端で軸方向の移動は拘束されるので、カムドラム23が先端側に向けて移動する。
【0096】
そのため、
図4(a)、
図5(a)に示すように、被伝達側噛み合い部53と伝達側噛み合い部33は互いに離れ、両者の噛合いは解除される。その結果、被伝達側噛み合い部53、被駆動軸52及び巻き上げ回動軸8は、自由に回転可能となり、遮蔽材3は自重で降下し閉じた状態となる。
【0097】
この際、被伝達側噛み合い部53と伝達側噛み合い部33の噛合いは解除されているので、遮蔽材3の自重降下による被駆動軸52の時計回りの方向の回転は、駆動軸31、クラッチバネ筒32及びカムドラム23には伝達されない。
【0098】
なお、上昇動作では前記したとおり、伝達側回転部21の伝達側噛み合い部33と被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53の噛み合いが解除されている状態(
図5(a)参照)から、操作コード13を一方向に引く操作をして、
図5(b)に示すように接続状態とし、遮蔽材3を上昇させる。
【0099】
このように接続状態とし、クラッチボール28が噛み合わせ部65を過ぎてからすぐ操作コード13の操作を停止すると、カムドラム23が時計回りの方向(降下時のカムドラムの方向)に回転して、図示はしないが、クラッチボール28は、副解除溝63への分岐部71を経由して副解除溝63に入り、その副解除部79で停止する。
【0100】
これにより、クラッチボール28が主解除部75内に入った場合(
図5(a)参照)と同様に、伝達側回転部21の伝達側噛み合い部33と被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53の噛み合いが解除され、非接続状態となる。
【0101】
(実施例1の変形例)
以下、実施例1のクラッチユニット7の変形例を、
図7及び
図8において説明する。この変形例のクラッチユニット7’は、実施例1のクラッチユニット7と比べて、構成、作用について、略同じであり、共通する構成は同じ符号を使用する。ここでは、両者が相違する構成を中心に説明する。
【0102】
実施例1のクラッチユニット7は、カムドラム23とともに被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53が軸方向に移動し、伝達側噛み合い部33と噛み合い及び解除を行う構成とした。
【0103】
しかし、実施例1の変形例であるクラッチユニット7’は、被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53’は軸方向に移動しない構成とし、カムドラム23’とともに伝達側回転部21の伝達側噛み合い部33’が軸方向に移動し、被伝達側噛み合い部53’と噛み合い及び解除を行う構成とした。
【0104】
具体的には、
図7に示すように、被伝達側回転部22については、軸方向に移動しない被駆動軸52の基端に、被伝達側噛み合い部53’が形成されている。伝達側回転部21については、カムドラム23’とともに駆動軸31に対してカムドラム23’とともに軸方向に移動可能なクラッチバネ筒32の先端に伝達側噛み合い部33’が形成されている。
【0105】
そして、変形例のクラッチユニット7’のカムドラム23’のカム溝24’は、
図8に示すように、
図5に示す実施例1のクラッチユニット7のカムドラム23のカム溝24に対して、軸方向に対称の構成とする。
【0106】
伝達側回転部21と被伝達側回転部22をこのような構成とすることで、
図7(a)、
図8(a)に示すように、カムドラム23’が基端側の位置にあるときは、伝達側噛み合い部33’は被伝達側噛み合い部53’との噛み合いは解除されており、クラッチユニット7’は非接続状態である。
【0107】
しかしながら、操作コード13を一方向に引く操作をして、駆動軸31、クラッチバネ筒32及びカムドラム23’が反時計回りの方向に回転すると、
図7(b)、
図8(b)に示すように、カムドラム23’及びクラッチバネ筒32が軸方向で先端側に移動し、クラッチバネ筒32の先端の伝達側噛み合い部33’が非伝達側噛み合い部53’に噛み合い、クラッチユニット7’は接続状態となる。
【0108】
なお、クラッチボール28が停止部66及び保持部67に位置する状態では、それぞれ実施例1と同様に、カムドラム23’の回転を拘束する停止動作及び遮蔽材3を所定の高さで保持する保持動作を行う。
【0109】
(実施例2)
上記実施例1及びその変形例では、ヘッドボックスから吊り下げられた1枚の遮蔽材3を、ループ状の昇降操作コード13によって昇降動作させる日射遮蔽装置1におけるクラッチユニット7について説明したが、本発明に係る保持手段を備えたクラッチユニットは、2枚の遮蔽材をそれぞれ昇降動作させるツインタイプの日射遮蔽装置に適用することも可能である。
【0110】
2枚の遮蔽材を備えたツインタイプの日射遮蔽装置としては、単一のループ状の昇降操作コードによって、中間レールを介して上下方向に配設された上部遮蔽材及び下部遮蔽材をそれぞれ独立に昇降動作させるタイプと、ヘッドボックスから吊り下げられた室内側の遮蔽材及び室外側の遮蔽材をそれぞれ独立に昇降動作させるタイプがある。
【0111】
以下、本発明に係るクラッチユニットの実施例2として、室外側の遮蔽材(たくし上げカーテン)及び室内側の遮蔽材(たくし上げカーテン)の前後二重の遮蔽材を備えたツインタイプの日射遮蔽装置において、室外側遮蔽材及び室内側の遮蔽材にそれぞれ対応して設けられ、プーリ操作駆動装置の回転を、それぞれ独立して、巻き上げ回転軸に伝達する状態と非伝達のいずれかに切り替えるクラッチユニットを説明する。
【0112】
まず、
図9において、実施例2のクラッチユニットを適用するツインタイプの日射遮蔽装置101の全体構成の概要を説明する。日射遮蔽装置101は、ヘッドボックス102と、ヘッドボックス102から室外側に吊り下げられた第1遮蔽材103と、ヘッドボックス102から室内側に吊り下げられた第2遮蔽材104と、を備えている。本実施例では、第1遮蔽材103及び第2遮蔽材104として、それぞれたくし上げカーテンが設けられている。
【0113】
ヘッドボックス102には、その一端(
図9中の右端)に、
図9〜
図11に示すようなプーリ操作駆動装置109が設けられている。ヘッドボックス102内の上部及び下部には、それぞれ
図9、
図10に示すような保持手段を備えた第1クラッチユニット111及び保持手段を備えた第2クラッチユニット112と、第1巻き上げ回動軸113及び第2巻き上げ回動軸114と、第1巻き上げローラ115及び第2巻き上げローラ116と、を備えている。
【0114】
第1クラッチユニット111及び第2クラッチユニット112は、プーリ操作駆動装置109により生じる回転力を、第1巻き上げ回動軸113及び第2巻き上げ回動軸114を介して、第1巻き上げローラ115及び第2巻き上げローラ116に伝達する。
【0115】
第1巻き上げローラ115及び第2巻き上げローラ116は、それぞれ第1遮蔽材103及び第2遮蔽材104を上昇させる第1昇降コード及び第2昇降コード119を上方に巻き上げるものである。なお、第1昇降コードは、室外側に位置するので、
図9においては図示されていないが、第2昇降コード119と同じ符号を明細書中では使用する。
【0116】
第1昇降コード119及び第2昇降コード119は、それぞれその下端は、第1遮蔽材103及び第2遮蔽材104の下端のボトムレール120に取り付けられている。なお、第1遮蔽材103の下端に設けられたボトムレール120は、室外側に位置するので、
図9においては図示されていないが、第2遮蔽材104の下端に設けられたボトムレール120と同じ符号を明細書中では使用する。
【0117】
プーリ操作駆動装置109は、ループ状(無端状)のボールチェーンから成る操作コード121(
図9参照)を一方又は他方に引いて、一方への回転又は他方への回転を発生させ、その回転を、第1クラッチユニット111又は第2クラッチユニット112に伝達する。
【0118】
このプーリ操作駆動装置109は、
図11に示すように、プーリ124と、プーリ操作コード121と共に回転する中間歯車125と、中間歯車125と噛み合う第1原動歯車126及び第2原動歯車127と、第1一方向クラッチ128及び第2一方向クラッチ129と、を備えている。
【0119】
第1一方向クラッチ128は、第1原動歯車126の出力を受けて、第1の回転方向(本実施例2では反時計回りの方向)のみの回転を第1クラッチユニット111に伝達する。第2一方向クラッチ129は、第2原動歯車127の出力を受けて、第2の回転方向(本実施例2では時計回りの方向)のみの回転を第2クラッチユニット112に伝達する。なお、第1一方向クラッチ128及び第2一方向クラッチ129は、それぞれ周知の一方向クラッチを使用する。
【0120】
このようなプーリ操作駆動装置109において、操作コード121を一方向に引いて、
図11において、プーリ及び中間歯車125を、例えば、時計回りの方向(第2の回転方向)に回転させると、中間歯車125を介して第1原動歯車126を反時計回りの方向(第1の回転方向)に回転し、さらに、第1一方向クラッチ128を介して、第1クラッチユニット111へ第1の回転方向(反時計回りの方向)の回転を伝達する。
【0121】
また、操作コード121を逆方向に引いて、プーリ124及び中間歯車125を、第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転させると、中間歯車125を介して第2原動歯車127を第2の回転方向(時計回りの方向)に回転し、さらに第2一方向クラッチ129を介して第2クラッチユニット112へ第2の回転方向(時計回りの方向)の回転を伝達する。
【0122】
実施例2の第1クラッチユニット111及び第2クラッチユニット112は、それぞれ実施例1の保持手段を備えたクラッチユニット7と同様の構成を使用するので、ここではその詳細に説明は省略する。
【0123】
特に、実施例2の第1クラッチユニット111のカムドラム132及び第2クラッチユニット112のカムドラム134における、カム溝133及びカム溝135を、
図12(a)及び(b)でそれぞれ示すが、それぞれ実施例1のクラッチユニット7のカムドラム23におけるカム溝24と同じであり、その各部について同じ符号を付して図示し、具体的な説明は省略する。
【0124】
図12(a)及び(b)でも明らかなように、第1クラッチユニット111と第2クラッチユニット112は、プーリ操作駆動装置109から伝達される回転方向が互いに逆である点に基づく構成、作用は互いに異なるが、それ以外の構成、作用は同じである。
【0125】
即ち、プーリ操作駆動装置109から第1クラッチユニット111と第2クラッチユニット112へ伝達される回転の向きが互いに逆であることに伴い、第1クラッチユニット111の第1カムドラム132のカム溝133(
図12(a)参照)と、第2クラッチユニット112の第2カムドラム134のカム溝135(
図12(b)参照)は、カムドラムの回転方向に対して、互いに逆方向(線対称)の構成とする。
【0126】
以上の構成からなる実施例2のクラッチユニットにおいては、操作コード121を一方向に引いて、第1クラッチユニット111に第1の回転方向(反時計回りの方向)の回転を伝達すると、第1クラッチユニット111が動作して、ヘッドボックス102から室外側に吊り下げられた第1遮蔽材103の昇降を操作することができる。そして、第1遮蔽材103の保持、降下のための第1クラッチユニット111の保持状態、非接続状態となる動作は、実施例1のクラッチユニット7と同じである。
【0127】
また、操作コード121を他方向に引いて、第2クラッチユニット112に第2の回転方向(時計回りの方向)の回転を伝達すると、第2クラッチユニット112が動作して、ヘッドボックス102から室内側に吊り下げられた第2遮蔽材104の昇降を操作することができる。そして、第2遮蔽材104の保持、降下のための第2クラッチユニット112の保持状態、非接続状態となる動作は、実施例1のクラッチユニット7と同じである。
【0128】
以上の実施例1及び実施例2の記載では、本発明は、遮蔽材が自重降下する日射遮蔽装置1、101における保持手段を備えたクラッチユニット7、7’、111、112について説明したが、自重降下の代わりにスプリングによる付勢力で遮蔽材を上昇させ、スプリングによる付勢力に抗して遮蔽材を降下させる日射遮蔽装置におけるクラッチユニットとしても適用可能である。
【0129】
より詳細には、操作コード、プーリ等を備えたプーリ操作駆動装置を操作することで、スプリングの弾力に抗して遮蔽材を降下させるとともに付勢力を蓄積させ、プーリ操作駆動装置を操作することで、蓄積したスプリングの付勢力により巻き上げ回動軸及び昇降コードの巻き上げローラを回転させて遮蔽材を上昇させる日射遮蔽装置において、プーリ操作駆動装置と巻き上げ回動軸の接続及び非接続を行うとともに、遮蔽材をプリングの付勢力を拘束して、所望の下降状態に保持する保持機能を備えたクラッチ手段として、本発明のクラッチユニットを適用することが可能である。
【0130】
このクラッチユニットの構成は、遮蔽材の自重降下の代わりにスプリングによる付勢力で遮蔽材を上昇させ、スプリングによる付勢力に抗して遮蔽材を降下させ、その途中で上昇することを拘束して保持する点を除いて、遮蔽材が自重降下する日射遮蔽装置におけるクラッチユニット7、7’、111、112の構成と同じである。
【0131】
自重降下の代わりにスプリングによる付勢力で遮蔽材を上昇させる日射遮蔽装置では、クラッチユニットのカムドラムのカム溝は、実施例1及び実施例2のクラッチユニットにおけるカム溝に対して、カムドラムの回転方向に対して線対称の構成とする。
【0132】
以上、本発明に係る日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニットを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。