【実施例】
【0023】
(実施例1)
本発明に係る日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニット(以下、実施例では単に「クラッチユニット」という)の実施例1を
図1〜6において説明する。
【0024】
この実施例1では、クラッチユニットを適用する日射遮蔽装置の例として、ヘッドボックスから吊り下げられた1枚の遮蔽材を、ループ状の昇降用の操作コードによって昇降動作させる日射遮蔽装置とする。
【0025】
この日射遮蔽装置1は、
図1に示すように、ヘッドボックス2と、ヘッドボックス2から吊り下げられた遮蔽材3と、が設けられている。本実施例1では、遮蔽材3として、たくし上げカーテンとする。
【0026】
ヘッドボックス2には、プーリ操作駆動装置6、クラッチユニット7、巻き上げ回動軸8及び巻き上げローラ9が設けられている。
【0027】
プーリ操作駆動装置6は、ヘッドボックス2の一端(
図1中の右端)に設けられており、操作コード13と、操作コード13によって回動されるプーリ14と、出力軸15と、を備えている。
【0028】
プーリ14の回転は、直接、又は歯車機構(図示しないが減速又は増速を目的とする歯車機構)を介して、出力軸15から、クラッチユニット7に伝達される。
【0029】
巻き上げローラ9は、遮蔽材3を上昇させる昇降コード17を上方に巻き上げるものである。遮蔽材3の下端にボトムレール18が取り付けられており、ボトムレール18は、昇降コード17の下端に取り付けられている。
【0030】
プーリ操作駆動装置6におけるプーリ14の回転は、クラッチユニット7に伝達され、クラッチユニット7は、プーリ操作駆動装置6の回転を、巻き上げ回動軸8に伝達する接続状態と、非伝達にする非接続状態に切り替える。
【0031】
本発明のクラッチユニット7は、従来の日射遮蔽装置1で使用されているストッパーユニット(遮蔽材3を巻き上げた状態で保持したり、保持を解除して遮蔽材3を自重降下させたりする手段。特許文献3等参照)の機能も兼ね備えている。
【0032】
以下、クラッチユニット7の構成について具体的に説明する。本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「軸方向」は、ヘッドボックス2の長手方向であり、より詳細には、後記する駆動軸31、カムドラム23及び巻き上げ回動軸8等の軸方向(
図1中の左右方向)を言う。
【0033】
「基端側」は上記軸方向において、プーリ操作駆動装置6に近い側(
図1中の右端側)を言い、「先端側」はプーリ操作駆動装置6から遠い側(
図1中の左端側)、即ち基端側とは逆側を言う。
【0034】
回転方向については、基端側から見て、時計回り、反時計回り等の用語を使用する。また、昇降コード17を巻き上げて、遮蔽材3を上昇させる時に後記するカムドラム23が回転する方向については、「巻き上げ時の回転方向」等という。遮蔽材3が自重降下する時にカムドラム23が回転する方向については、「降下時のカムドラムの回転方向」、「降下時の回転方向」等という。
【0035】
クラッチユニット7は、
図2に示すように、プーリ操作駆動装置6に連結された伝達側回転部21と、巻き上げ回動軸8に連結された被伝達側回転部22と、外周面に断面略半球状のカム溝24の形成されたカムドラム23と、カムドラム23を回転可能かつ軸方向に可動に収容するクラッチケース26と、クラッチケース26の内面に軸方向に直線的で断面略半球状に形成された案内溝27と、案内溝27内で軸方向に所定範囲内で移動可能に保持されているとともにカム溝24内でカムドラム23に対して相対的に移動するクラッチボール28と、を備えている。
【0036】
伝達側回転部21は、駆動軸31と、駆動軸31の先端に設けられた伝達側噛み合い部33と、を備えている。伝達側噛み合い部33は、本実施例では、駆動軸31の先端に嵌め込まれ固定された噛み合い盤から成る。
【0037】
駆動軸31は、プーリ操作駆動装置6の出力軸15に連結され、操作コード13を一方向に引く操作により一方向(本実施例では、「反時計回りの方向」とする)に回転する。そして、駆動軸31は、スプライン部36と円環部37を備えている。
【0038】
クラッチケース26は、ヘッドボックス2に固定されており、
図2、
図3(a)、
図4に示すように、クラッチケース本体41と、クラッチケース本体41に装着されるクラッチケース蓋体42を備えている。クラッチケース本体41の内面には、クラッチボール28を保持する案内溝27(
図2、
図4参照)が、軸方向に向けて直線的に形成されている。
【0039】
駆動軸31は、その先端側は、先端に固定されている伝達側噛み合い部33を含め、カムドラム23内に、回転可能に装入されている。駆動軸31は、その基端側に設けられた円環部37がクラッチケース蓋体42の開口部47に回転可能に嵌合されている。駆動軸31におけるクラッチケース26から基端側に延び出した部分が、プーリ操作駆動装置6の出力軸15に連結されている。
【0040】
カムドラム23は、
図2に示すように、その内面にスプライン孔25が形成され駆動軸31とスプライン結合されており、駆動軸31と共に回転するとともに、駆動軸31に対して相対的に軸方向に移動可能である。カムドラム23は、クラッチケース本体41及びクラッチケース蓋体42の内周壁面内に回転可能かつ軸方向に移動可能になるように装入されている(
図2、
図4参照)。
【0041】
なお、本実施例では、カムドラム23は、その内面にスプライン孔25を形成し、カムドラム23は、駆動軸31と直接的にスプライン結合している。しかし、カムドラム23内面にスプライン孔25を形成せず、駆動軸31とスプライン結合したスプライン筒をカムドラム23の内面に嵌合固定し、このスプライン筒を介して、カムドラム23を駆動軸31と間接的にスプライン結合し、駆動軸31と共に回転し、かつ駆動軸31に対して相対的に軸方向に移動可能な構成としてもよい。
【0042】
前記したとおり、カムドラム23の外周面には、カム溝24が形成されている。そして、カム溝24と案内溝27に、クラッチボール28が転動可能に嵌合されている。なお、参考までに、案内溝27について、
図3(b)、
図5、
図6において、カムドラム23との軸方向の相対的な位置関係を示すために、模式的に示す。
【0043】
被伝達側回転部22は、
図2、
図4に示すように、被駆動軸52と、被駆動軸52にスプライン結合された被伝達側噛み合い部53と、を備えている。本実施例では、被伝達側噛み合い部53は、被駆動軸52にスプライン結合された噛み合い盤である。
【0044】
被駆動軸52の基端側は、クラッチケース26及びカムドラム23内に回転可能に装入されている。被駆動軸52の先端側は、連結具56で巻き上げ回動軸8と連結されており、共に回転可能となる。被駆動軸52の基端側にはスプライン部58(
図2、
図4参照)が形成されている。
【0045】
被伝達側噛み合い部53は、カムドラム23内で、カムドラム23に対して相対的に回転可能であり、かつ位置決め環57によってカムドラム23と共に軸方向に移動可能に設けられている。
【0046】
より具体的には、この被伝達側噛み合い部53は、被駆動軸52のスプライン部58にスプライン結合して、被駆動軸52と共に回転し、かつ被駆動軸52に対して軸方向に相対的に移動可能に設けられている。
【0047】
図3(b)、
図5及び
図6は、クラッチユニット7のカムドラム23の外周面に形成されたカム溝24の展開図である。クラッチケース26は、ヘッドボックス2に固定されて設けられているが、このクラッチケース26の内面に軸方向に向けて直線的に形成された案内溝27を、軸方向に移動可能なカムドラム23との軸方向の相対的位置を示すために、模式的に示した。
【0048】
被伝達側噛み合い部53は、カムドラム23に対して相対的に回転し、カムドラム23と共に軸方向に移動する構成であるが、クラッチユニット7の作用を説明する都合上、
図5及び
図6において、被伝達側噛み合い部53をカムドラム23の基端に位置させて模式的に示した。さらに、軸方向には移動しない伝達側噛み合い部33を、被伝達側噛み合い部53に対向して模式的に示した。
【0049】
カム溝24は、
図3(b)、
図5、
図6に示すが、周回りに無端状に連続して形成されている巻き上げ溝61(
図3(b)の一点鎖線の経路参照)と、バイパス溝63(
図3(b)の二点鎖線の経路参照)と、保持溝64(
図3(b)の実線の経路参照)と、解除溝62(
図3(b)の点線の経路参照)と、を備えている。
【0050】
巻き上げ溝61は、互いに連続する噛み合わせ部65と直線部66から成り、カムドラム23の周方向に無端状に連続して形成されている。噛み合わせ部65は、先端側(
図3(b)、
図5及び
図6では左側)に向けて凸状に湾曲して形成されており、直線部66は、回転方向に向けて直線的に延びるように形成されている。
【0051】
バイパス溝63は、巻き上げ溝61から分岐しており、斜め部67と、カムドラム23の回転方向に向けて直線的に延びる直線部68とから成る。斜め部67は、噛み合わせ部65の巻き上げ時の回転方向の先端が延長する方向に斜めに延びるように、巻き上げ溝61に連続して形成されている。
【0052】
保持溝64は、巻き上げ時のカムドラム23の回転方向(本実施例では反時計回りの方向)に向けて凸状に湾曲し、軸方向において、巻き上げ溝61とバイパス63溝の間に位置し、その両端がそれぞれ巻き上げ溝61とバイパス溝63に連続するように形成されている。保持溝64の回転方向の先端は保持部69となっている。
【0053】
解除溝62は、バイパス溝63の直線部68から連続し、巻き上げ時のカムドラム23の回転方向に向けて、かつ基端側に向けて斜めに延びるように形成されている。解除溝62の先端は、解除部72となっている。
【0054】
クラッチボール28は、駆動軸31の回転に伴いカムドラム23が回転すると、案内溝27の軸方向の長さの範囲内で軸方向に移動し、かつカム溝24内を、カムドラム23に対して相対的に移動する。
【0055】
案内溝27の軸方向の長さLは、カム溝24における基端側に位置する解除部72とカム溝24における先端側に位置する噛み合わせ部65との軸方向の間隔Dより小さく形成されている(
図3(b)参照)。
【0056】
なお、カム溝24の解除部72は、カム溝24における軸方向の最も基端側に位置する部分であり、カム溝24の噛み合わせ部65は、カム溝24における軸方向の最も先端側に位置する部分であるから、案内溝27の軸方向の長さLは、カムドラム23に形成されたカム溝24における、軸方向の最も基端側に位置する部分と最も先端側に位置する部分の軸方向の間隔の長さDより短く形成されているということとなる。
【0057】
このように、「案内溝27の長さL」<「カム溝24における解除部72と噛み合わせ部65の間隔D」に決められた構成とすると、カムドラム23が回転すると、クラッチボール28は、案内溝27内を自由に移動するとともに、案内溝27の長さLに対応するカム溝24における軸方向の範囲内で、自由に移動する。このようにクラッチボール28が自由に移動する間は、カムドラム23は軸方向には移動することがない。
【0058】
しかしながら、クラッチボール28が案内溝27の一端まで移動すると、例えば、カムドラム23が巻き上げ時の方向に回転している際に、クラッチボール28は、案内溝27の先端まで移動するとそこで拘束され、それ以上は移動できないので、カムドラム23が、拘束された28に対して相対的に軸方向で基端側に移動することで、クラッチボール28が噛み合わせ部65まで移動して位置することができる。
【0059】
その結果、カムドラム23と共に軸方向に移動する被伝達側噛み合い部53を、
図4(b)、
図5(b)に示すように、静止された伝達側噛み合い部33に噛み合わせ、クラッチユニット7を接続状態とする。そのまま、操作コード13を一方向に引いてカムドラム23を反時計回りの方向に回転すれば、遮蔽材3の巻き上げ動作が行われる。
【0060】
クラッチボール28は、案内溝27の基端まで移動するとそこで拘束され、カムドラム23が降下時の方向(時計方向)に回転しようとしても、それ以上は移動できないので、カムドラム23が、降下時の方向(時計方向)に回転しながら、拘束されたクラッチボール28に対して相対的に軸方向で先端側に移動することで、クラッチボール28は解除部72まで相対的に移動する。
【0061】
その結果、カムドラム23と共に軸方向に移動する被伝達側噛み合い部53を、
図4(a)、
図5(a)に示すように、静止された伝達側噛み合い部33から噛み合わせを解除し、クラッチユニット7を非接続状態とする。これにより、伝達側回転部21と被伝達側回転部22を切り離し、遮蔽材3の自重降下を可能とする。
【0062】
上記のとおり、クラッチボール28が案内溝27の先端側及び基端側に位置したそれぞれの状態で、カムドラム23が回転すると、カムドラム23は、軸方向に移動し、ラッチボールは噛み合わせ部65及び解除部72に移動可能であり、それぞれクラッチユニット7は、接続状態及び非接続状態となる。
【0063】
要するに、上記動作が生じるように、案内溝27の長さLと、カムドラム23に形成されたカム溝24の最も基端側に位置する部分と最も先端側に位置する部分の軸方向の間隔の長さDと、について寸法を設定する。
【0064】
操作コード13を一方向に操作して、クラッチボール28を巻き上げ溝61内でカムドラム23に対して相対的に移動させ、遮蔽材3の巻き上げ操作を行うが、その途中で操作コード13の操作を止めて離すと、遮蔽材3の自重降下に基づきカムドラム23が時計回りの方向へ回転する。
【0065】
すると、クラッチボール28が保持部69に移動して位置し、遮蔽材3の自重降下に基づくカムドラム23の時計回りの方向への回転が拘束され、遮蔽材3は自重降下が阻止されて、降下しないように保持される。
【0066】
このように、カムドラム23の保持部69は、遮蔽材3を降下しないように保持する保持手段として機能する。要するに、本発明のクラッチユニット7は、保持手段を備えている。
【0067】
以上の実施例1のクラッチ兼用保持装置のカムドラム23においては、カム溝24は、巻き上げ溝61における噛み合わせ部65及び直線部66から成る部分と、保持溝64と、バイパス溝63と、解除溝62と、から成るカム溝24の構成要素73が、カムドラム23の周周りに2組連続して設けられているが、カム溝24の構成要素73をさらに多く設けた構成としてもよい。
【0068】
作用:
(1)上昇(巻き上げ)動作
以上の構成から成るクラッチユニット7の作用を、以下説明する。ここでは、動作開始前は、クラッチユニット7は非接続状態、即ち、
図4(a)、
図5(a)に示すように、伝達側回転部21の伝達側噛み合い部33と被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53は、互いに離れており、噛み合いが解除された状態とする。
【0069】
このような動作開始前の非接続状態から、操作コード13を一方向に引くことによって昇降コード17を巻き上げ、遮蔽材3を上昇させる上昇動作について説明する。
【0070】
操作コード13を、
図1(c)の矢印に示すように引いてプーリ14を回転させると、クラッチユニット7における伝達側回転部21の駆動軸31が、
図2において、反時計廻りの方向に回転する。
【0071】
すると、
図5(a)に示すように、案内溝27の基端に位置し、かつ解除溝62の解除部72に位置していたクラッチボール28は、解除溝62からバイパス溝63を通過し、巻き上げ溝61へ向けて、カムドラム23に対して相対的に移動し、かつ、案内溝27内を先端側(
図5(a)中、左方向)に移動する。
【0072】
なお、クラッチボール28は、軸方向では案内溝27の範囲内でしか移動できないので、カム溝24内のクラッチボール28の移動は、あくまでも、カムドラム23に対する相対的な移動である。
【0073】
クラッチボール28が案内溝27の先端((
図5(b)中、左端))に達すると、クラッチボール28はカム溝24内で先端側への移動が拘束される。そのために、カムドラム23の回転が続くと、カムドラム23は、軸方向で基端側(
図5(b)中、右方向)に向けて移動し、クラッチボール28は巻き上げ溝61を噛み合わせ部65に向けて移動する。
【0074】
すると、被伝達側噛み合い部53は、カムドラム23と共に軸方向で基端側に向けて移動し、
図5(b)に示すように、伝達側噛み合い部33と噛み合い、クラッチユニット7は回転を伝達する接続状態となる。
【0075】
その結果、駆動軸31の反時計回りの方向への回転は、伝達側噛み合い部33及び被伝達側噛み合い部53介して、被駆動軸52に伝達され、巻き上げ回動軸8による遮蔽材3の上昇動作が開始し、操作コード13を一方向に引く操作している間は、カムドラム23は反時計回りの方向に回転を続け、クラッチボール28は巻き上げ溝61を移動し、遮蔽材3の上昇動作が続く。
【0076】
遮蔽材3を所望の高さまで巻き上げてから、操作コード13を一方向に引くことを止めて操作を停止すると、遮蔽材3の自重により、巻き上げ回動軸8は、巻き取り方向とは逆の降下方向、即ち、本実施例では時計回りの方向に回転し、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53、伝達側噛み合い部33、駆動軸31を介して、カムドラム23は、降下時の回転方向である時計回りの方向に回転する。
【0077】
この回転によって、クラッチボール28は、
図6(b)に示すように、カム溝24における巻き上げ溝61の直線部66から、その直下の保持溝64内に入り保持部69で保持される。そのために、遮蔽材3の自重降下によるカムドラム23の時計回りの方向の回転は停止する。これによって、遮蔽材3を所望の高さまで開いた状態で保持することができる。
【0078】
(2)降下(巻き降ろし)動作
上記のとおり上昇位置に保持した状態(
図6(b)参照)の遮蔽材3を降下させる際には、操作コード13を、上昇の際と同じ一方向に引くと、クラッチユニット7において、クラッチボール28は、
図6(b)に示す保持部69から、バイパス溝63に入る。
【0079】
そして、さらにそのまま操作コード13を一方向に引き続けると、クラッチボール28は、カムドラム23の周回りに無端状に形成された巻き上げ溝61内に入り、遮蔽材3の上昇動作を再開することが可能である。
【0080】
しかし、操作コード13を一方向に若干引いてから手を離すと、クラッチボール28は、上記のとおり
図6(b)に示す保持部69から、バイパス溝63に入るが、手を離した途端に、遮蔽材3の自重により巻き上げ回動軸8は、巻き上げ方向とは逆方向の降下時の回転方向、即ち、本実施例1では時計回りの方向に回転し、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53、伝達側噛み合い部33、駆動軸31を介して、カムドラム23を時計回りの方向に回転させる。
【0081】
すると、クラッチボール28は、バイパス溝63から解除溝62内に入り解除部72へ向けて、カムドラム23に対して相対的に移動しようとするが、案内溝27の基端で軸方向の移動は拘束されるので、カムドラム23が先端側に向けて移動する。
【0082】
そのため、
図5(a)に示すように、被伝達側噛み合い部53と伝達側噛み合い部33は互いに離れ、両者の噛合いは解除される。その結果、被伝達側噛み合い部53、被駆動軸52及び巻き上げ回動軸8は、自由に回転可能となり、遮蔽材3は自重で降下して閉じた状態となる。
【0083】
この際、被伝達側噛み合い部53と伝達側噛み合い部33の噛合いは解除されているので、遮蔽材3の自重降下による被駆動軸52の時計回りの方向の回転は、駆動軸31及びカムドラム23には伝達されない。
【0084】
実施例1のクラッチ兼用保持装置のカムドラム23においては、カム溝24は、巻き上げ溝61における噛み合わせ部65及び直線部66から成る部分と、保持溝64と、バイパス溝63と、解除溝62と、が組み合わされて成るカム溝の構成要素73が、カムドラム23の周周りに2組連続して設けられている。
【0085】
そのため、操作コード13の一方向へ引くこと、及び引いている操作コード13から離すこと等の操作をすることにより、迅速にクラッチボール28を噛み合わせ部65、保持部69及び解除部72のいずれか比較的に瞬時に移動させることができるので、遮蔽材3を上昇させるための噛み合い、上昇した遮蔽材3の保持、遮蔽材3を自重降下させるための噛み合いの解除等の動作を、比較的、瞬時に行うことができ、操作の迅速性が得られる。
【0086】
なお、図示はしないが、以上説明した構成とは逆に、カム溝24をクラッチケース26の内周面に設け、案内溝27をカムドラム23の外周面に設ける構成としてもよい。
【0087】
(実施例2)
本発明に係る日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニットの実施例2を
図7〜11において説明する。実施例2のクラッチユニット7’は、実施例1のクラッチユニット7と略同じであり、共通する構成は同じ符号を使用する。ここでは、両者が相違する構成を中心に説明する。
【0088】
即ち、実施例1のクラッチユニット7は、カムドラム23の軸方向の移動により、被伝達側回転部22に設けた被伝達側噛み合い部53を軸方向に移動して伝達側回転部21の伝達側噛み合い部33との噛み合わせと解除を行う構成である。
【0089】
これに対して、実施例2のクラッチユニット7’は、被伝達側回転部22に設けた被伝達側噛み合い部53’は軸方向に移動不可能な構成とし、カムドラム23’に伝達側噛み合い部33’を一体に設け、カムドラム23’と共に伝達側噛み合い部33’を軸方向に移動させて、被伝達側回転部22に設けた被伝達側噛み合い部53’との噛み合わせと解除を行う構成である。
【0090】
以下、実施例2のクラッチユニット7’について、実施例1のクラッチユニット7と相違する構成を中心に説明する。両者が、共通する構成は同じ符号を使用する。
【0091】
クラッチユニット7’は、
図7に示すように、プーリ操作駆動装置6に連結された伝達側回転部21と、巻き上げ回動軸8に連結された被伝達側回転部22と、外周面に断面略半球状のカム溝24’の形成されたカムドラム23’と、カムドラム23’を回転可能に収容するクラッチケース26と、クラッチケース26の内面に軸方向に直線的で断面略半球状に形成された案内溝27と、案内溝27内で軸方向に所定範囲内で移動可能に保持されているとともにカム溝24’内でカムドラム23’に対して相対的に移動するクラッチボール28と、を備えている。
【0092】
伝達側回転部21は、駆動軸31を備えている。駆動軸31は、プーリ操作駆動装置6の出力軸15に連結され、操作コード13を一方向に引く操作により所定の回転方向(本実施例では、「反時計回りの方向」とする)に回転するものであり、スプライン部36と円環部37を備えている。
【0093】
クラッチケース26は、ヘッドボックス2に固定されて設けられており、クラッチケース26本体と、クラッチケース本体41に装着されるクラッチケース蓋体42を備えている。
【0094】
駆動軸31は、その先端側はカムドラム23’内に装入されており、その基端側に設けられた円環部37がクラッチケース蓋体42の開口部に回転可能に嵌合されている。
【0095】
カムドラム23’は、その内面にスプライン孔25が形成されており、駆動軸31とスプライン結合し、駆動軸31と共に回転し、かつ駆動軸31に対して相対的に軸方向に移動可能である。
【0096】
なお、カムドラム23’の内面にスプライン孔25を形成せず、図示はしないが、駆動軸31とスプライン結合したスプライン筒をカムドラム23’の内面に嵌合固定し、このスプライン筒を介して、カムドラム23’を駆動軸31に間接的にスプライン結合して、駆動軸31と共に回転し、かつ駆動軸31に対して相対的に軸方向に移動可能な構成としてもよい。
【0097】
カムドラム23’は、クラッチケース本体41及びクラッチケース蓋体42の内周壁面内に回転可能になるように装入されている。カムドラム23’の内周面の先端側には、伝達側噛み合い部33’が形成されている。
【0098】
前記したとおり、カムドラム23’の外周面には、カム溝24’が形成されており、そして、カム溝24’と案内溝27に、クラッチボール28が転動可能に嵌合されている。なお、参考までに、案内溝27について、動作時におけるカムドラム23’との軸方向の相対的な位置関係を示すために、
図9〜
図11に模式的に示す。
【0099】
被伝達側回転部22は、
図7、
図8に示すように、被駆動軸52を備え、被駆動軸52の基端側は、クラッチケース26内に、カムドラム23’に対して相対的に回転可能であるが、軸方向には移動できないように装入されている。被駆動軸52の先端側は、連結具56で巻き上げ回動軸8と連結されており、共に回転可能となる。
【0100】
被駆動軸52の基端には、被伝達側噛み合い部53’が形成されており、カムドラム23’が軸方向で先端側に移動することによって、カムドラム23’の伝達側噛み合い部33’と噛み合って、接続状態となり、カムドラム23’を介して駆動軸31の回転が被駆動軸52に伝達される。また、カムドラム23’が軸方向で基端側に移動することによって、カムドラム23’の伝達側噛み合い部33’との噛み合いが解除され、非接続状態となる。
【0101】
図9〜
図11において、クラッチユニット7’のカムドラム23’の外周面に形成されたカム溝24’の展開図を示す。伝達側噛み合い部33’は、カムドラム23’と一体で軸方向に移動する構成であるので、作用を説明する都合上、
図9〜
図11において、カムドラム23’の先端に位置させて、模式的に示した。さらに、軸方向には移動しない被伝達側噛み合い部53’を、伝達側噛み合い部33’に対向して模式的に示した。
【0102】
カム溝24’は、
図9、
図10、
図11に示すが、周回りに無端状に連続して形成されている巻き上げ溝61’(
図9(a)の一点鎖線の経路参照)と、バイパス溝63’(
図3(a)の二点鎖線の経路参照)と、保持溝64’(
図9(a)の実線の経路参照)と、解除溝62’(
図9(a)の点線の経路参照)と、を備えている。
【0103】
カム溝24’は、実施例1におけるカムドラム23のカム溝24と比較して、軸方向において線対称に形成されている点は異なるが、それ以外は、同じ構成である。
【0104】
具体的には、巻き上げ溝61’、バイパス溝63’、保持溝64’及び解除溝62’についても、それぞれ実施例1における巻き上げ溝61、バイパス溝63、保持溝64及び解除溝62と比較して、軸方向において線対称に形成されている点は異なるが、それ以外は、同じ構成である。
【0105】
よって、ここでは、巻き上げ溝61’、バイパス溝63’、保持溝64’及び解除溝62’の構成の説明は省略する。なお、
図9〜10において、実施例2のカム溝24’の各部については、実施例1のカム溝24の各部に対して符号は、数字は同じであるが、 ’(ダッシュ)を付して対応を明確にした。
【0106】
なお、案内溝27の軸方向の長さLは、カム溝24’における先端側に位置する解除部72’とカム溝24’における基端側に位置する噛み合わせ部65’との軸方向の間隔Dより小さく形成されている(
図9(a)参照)。
【0107】
作用:
(1)上昇(巻き上げ)動作
以上の構成から成るクラッチユニット7’の作用を、以下説明する。ここでは、動作開始前は、クラッチユニット7’は解除された状態、即ち、
図8(a)、
図9(b)に示すように、カムドラム23’の伝達側噛み合い部33’と被伝達側回転部22の被伝達側噛み合い部53’は互いに離れ、噛み合いが解除された非接続状態とする。
【0108】
このような動作開始前の状態から、遮蔽材3を上昇させる上昇動作(昇降コードを巻き上げる巻き上げ動作)をさせるために、操作コード13を一方向に引く操作をしてプーリを回転して、クラッチユニット7’における伝達側回転部21の駆動軸31を、
図7において、反時計廻りの方向に回転する。
【0109】
駆動軸31が反時計回りの方向に回転すると、カムドラム23’が反時計回りの方向に回転する。すると、クラッチボール28は、案内溝27の先端(
図9(b)参照)から基端側に向けて(
図10(a)の右方向)に移動するとともに、かつ解除溝62’の解除部72’の位置から、バイパス溝63’を通過し、巻き上げ溝61’へ向けて、カムドラム23’に対して相対的に移動する。
【0110】
なお、クラッチボール28は、軸方向では案内溝27の範囲内でしか移動できないので、カム溝24’内の移動は、あくまでも、カムドラム23’に対する相対的な移動である。
【0111】
クラッチボール28が案内溝27の基端(
図10(a)中、右端)に達すると、カムドラム23’が反時計回りの方向に回転する場合は、クラッチボール28は、カム溝24’内で基端側へのさらなる移動が拘束されるために、カムドラム23’が、軸方向で先端側に向けて移動する。
【0112】
すると、カムドラム23’と共にその伝達側噛み合い部33’は、先端側に向けて移動し、
図10(a)に示すように、被伝達側噛み合い部53’と噛み合い、クラッチユニット7’は伝達状態となる(
図10(a)参照)。
【0113】
その結果、駆動軸31の反時計回りの方向への回転は、カムドラム23’、伝達側噛み合い部33’及び被伝達側噛み合い部53’介して、被駆動軸52に伝達され、巻き上げ回動軸8が回転し、遮蔽材3の上昇動作が開始する。
【0114】
さらに、操作コード13を一方向に引き続けると、カムドラム23’は反時計回りの方向に回転を続け、クラッチボール28は、
図10(b)に示すように、巻き上げ溝61’内をカムドラム23’に対して相対的に周回して遮蔽材3の上昇動作が続く。
【0115】
遮蔽材3を所望の高さまで巻き上げてから、操作コード13を一方向に引くことを止めて離すと、遮蔽材3の自重により、巻き上げ回動軸8は、巻き取り方向とは逆方向、即ち、本実施例2では時計回りの方向に回転し、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53’、伝達側噛み合い部33’を介して、カムドラム23’は、時計回りの方向に回転する。
【0116】
この回転によって、クラッチボール28は、
図11(a)に示すように、カム溝24’における巻き上げ溝61’の直線部66’から、その直下の保持溝64’に入り保持部69’で保持される。そのために、遮蔽材3の自重降下によるカムドラム23’の時計回りの方向の回転は停止する。これによって、遮蔽材3を所望の高さまで開いた状態で保持することができる。
【0117】
(2)降下(巻き降ろし)動作
上昇位置に保持した状態(
図11(a)参照)の遮蔽材3を降下させる際には、操作コード13を、上昇の際と同じ一方向に引くと、クラッチユニット7’において、クラッチボール28は、保持部69’から保持溝64’を通過し、
図11(b)に示すように、バイパス溝63’に入り、さらにそのまま操作コード13を一方向に引き続けると、クラッチボール28は、巻き上げ溝61’内に入り、遮蔽材3の上昇動作を再開することが可能である。
【0118】
しかし、上昇位置に保持した状態(
図11(a)参照)から、操作コード13を、上昇の際と同じ一方向に若干引いてから操作コード13を離して引くことを止めると、クラッチボール28が保持溝64’からバイパス溝63’に入る(
図11(b)参照)が、遮蔽材3の自重により巻き上げ回動軸8は、巻き上げ方向とは逆方向、即ち、本実施例2では時計回りの方向に回転し、被駆動軸52、被伝達側噛み合い部53’及び伝達側噛み合い部33’を介してカムドラム23’を時計回りの方向に回転する。
【0119】
すると、クラッチボール28は、バイパス溝63’から解除溝62’内に入り、解除部72’へと移動しようとするが、案内溝27の先端で軸方向の移動は拘束されるので、カムドラム23’が基端側に向けて移動する。
【0120】
そのため、
図9(b)に示すように、伝達側噛み合い部33’は、被伝達側噛み合い部部53’から離れ、両者の噛合いは解除され、非接続状態となる。その結果、被伝達側噛み合い部53’、被駆動軸52及び巻き上げ回動軸8は、自由に回転可能となり、遮蔽材3は自重で降下する。
【0121】
この際、被伝達側噛み合い部53’と伝達側噛み合い部33’の噛合いは解除されているので、遮蔽材3の自重降下による被駆動軸52の時計回りの方向の回転は、カムドラム23’及び駆動軸31には伝達されない。
【0122】
(実施例3)
上記実施例1及び実施例2では、ヘッドボックスから吊り下げられた1枚の遮蔽材3を、ループ状の昇降操作コード13によって昇降動作させる日射遮蔽装置1における保持手段を備えたクラッチユニット7について説明したが、本発明に係る保持手段を備えたクラッチユニットは、2枚の遮蔽材をそれぞれ昇降動作させるツインタイプの日射遮蔽装置に適用することも可能である。
【0123】
2枚の遮蔽材を備えたツインタイプの日射遮蔽装置としては、単一のループ状の昇降操作コードによって、中間レールを介して上下方向に配設された上部遮蔽材及び下部遮蔽材をそれぞれ独立に昇降動作させるタイプと、ヘッドボックスから吊り下げられた室内側の遮蔽材及び室外側の遮蔽材をそれぞれ独立に昇降動作させるタイプがある。
【0124】
以下、本発明に係るクラッチユニットの実施例3として、室内側の遮蔽材(たくし上げカーテン)及び室外側の遮蔽材(たくし上げカーテン)の前後二重の遮蔽材を備えたツインタイプの日射遮蔽装置において、室内側遮蔽材及び室外側の遮蔽材にそれぞれ対応して設けられ、プーリ操作駆動装置の回転を、それぞれ独立して、巻き上げ回転軸に伝達する状態と非伝達のいずれかに切り替えるクラッチユニットを説明する。
【0125】
まず、
図12において、実施例3のクラッチユニットを適用するツインタイプの日射遮蔽装置の全体構成の概要を説明する。日射遮蔽装置101は、ヘッドボックス102と、ヘッドボックス102から室外側に吊り下げられた第1遮蔽材103と、ヘッドボックス102から室内側に吊り下げられた第2遮蔽材104と、を備えている。本実施例では、第1遮蔽材103及び第2遮蔽材104として、それぞれたくし上げカーテンが設けられている。
【0126】
ヘッドボックス102には、その一端(
図12中の右端)に、
図12〜
図14に示すようなプーリ操作駆動装置109が設けられている。ヘッドボックス102内の上部及び下部には、それぞれ
図12、
図13に示すような保持手段を備えた第1クラッチユニット111及び保持手段を備えた第2クラッチユニット112と、第1巻き上げ回動軸113及び第2巻き上げ回動軸114と、第1巻き上げローラ115及び第2巻き上げローラ116と、を備えている。
【0127】
第1クラッチユニット111及び第2クラッチユニット112は、プーリ操作駆動装置109により生じる回転力を、それぞれ第1巻き上げ回動軸113及び第2巻き上げ回動軸114を介して、第1巻き上げローラ115及び第2巻き上げローラ116に伝達する。
【0128】
第1巻き上げローラ115及び第2巻き上げローラ116は、それぞれ第1遮蔽材103及び第2遮蔽材104を上昇させる第1昇降コード及び第2昇降コード119を上方に巻き上げるものである。なお、第1昇降コードは、室外側に位置するので、
図12においては図示されていないが、第2昇降コード119と同じ符号を明細書中では使用する。
【0129】
第1昇降コード119及び第2昇降コード119は、それぞれその下端は、第1遮蔽材103及び第2遮蔽材104の下端のボトムレール120に取り付けられている。なお、第1遮蔽材103の下端に設けられたボトムレール120は、室外側に位置するので、
図12においては図示されていないが、第2遮蔽材104の下端に設けられたボトムレール120と同じ符号を明細書中では使用する。
【0130】
プーリ操作駆動装置109は、ループ状(無端状)のボールチェーンから成る操作コード121(
図12参照)を一方又は他方に引いて、一方への回転又は他方への回転を発生させ、その回転を、第1クラッチユニット111又は第2クラッチユニット112に伝達する。
【0131】
このプーリ操作駆動装置109は、
図14に示すように、プーリ124と、プーリ操作コード121と共に回転する中間歯車125と、中間歯車125と噛み合う第1原動歯車126及び第2原動歯車127と、第1一方向クラッチ128及び第2一方向クラッチ129と、を備えている。
【0132】
第1一方向クラッチ128は、第1原動歯車126の出力を受けて、第1の回転方向(本実施例3では反時計回りの方向)のみの回転を第1クラッチユニット111に伝達する。第2一方向クラッチ129は、第2原動歯車127の出力を受けて、第2の回転方向(本実施例3では時計回りの方向)のみの回転を第2クラッチユニット112に伝達する。なお、第1一方向クラッチ128及び第2一方向クラッチ129は、それぞれ周知の一方向クラッチを使用する。
【0133】
このようなプーリ操作駆動装置109において、操作コード121を一方向に引いて、
図14において、プーリ124及び中間歯車125を、例えば、第2の回転方向(時計回りの方向)に回転させると、中間歯車125を介して第1原動歯車126を反時計回りの方向(第1の回転方向)に回転し、さらに、第1一方向クラッチ128を介して、第1クラッチユニット111へ第1の回転方向(反時計回りの方向)の回転を伝達する。
【0134】
また、操作コード121を逆方向に引いて、プーリ124及び中間歯車125を、第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転させると、中間歯車125を介して第2原動歯車127を第2の回転方向(時計回りの方向)に回転し、さらに第2一方向クラッチ129を介して第2クラッチユニット112へ第2の回転方向(時計回りの方向)の回転を伝達する。
【0135】
実施例3の第1クラッチユニット111及び第2クラッチユニット112は、それぞれ実施例1及び実施例2の保持手段を備えたクラッチユニット7、7’と同様の構成を使用するので、ここではその詳細に説明は省略する。
【0136】
特に、実施例3の第1クラッチユニット111のカムドラム132及び第2クラッチユニット112のカムドラム134における、カム溝133及びカム溝135を、
図15(a)及び(b)でそれぞれ示すが、それぞれ実施例1のクラッチユニット7のカムドラム23におけるカム溝24と同じであり、その各部について同じ符号を付して図示し、具体的な説明は省略する。
【0137】
図15(a)及び(b)でも明らかなように、第1クラッチユニット111と第2クラッチユニット112は、プーリ操作駆動装置109から伝達される回転方向が互いに逆である点に基づく構成、作用は互いに異なる。しかし、それ以外の構成、作用は同じである。
【0138】
即ち、プーリ操作駆動装置109から第1クラッチユニット111と第2クラッチユニット112へ伝達される回転の向きが互いに逆であることに伴い、第1クラッチユニット111の第1カムドラム132のカム溝133(
図15(a)参照)と、第2クラッチユニット112の第2カムドラム134のカム溝135(
図15(b)参照)は、カムドラムの回転方向に対して、互いに逆方向(線対称)の構成とする。
【0139】
以上の構成からなる実施例3のクラッチユニットにおいては、操作コード121を一方向に引いて、第1クラッチユニット111に第1の回転方向(反時計回りの方向)の回転を伝達すると、第1クラッチユニット111が動作して、ヘッドボックス102から室外側に吊り下げられた第1遮蔽材103の昇降を操作することができる。そして、第1遮蔽材103の保持、降下のための第1クラッチユニット111の保持状態、非接続状態となる動作は、実施例1のクラッチユニット7と同じである。
【0140】
また、操作コード121を他方向に引いて、第2クラッチユニット112に第2の回転方向(時計回りの方向)の回転を伝達すると、第2クラッチユニット112が動作して、ヘッドボックス102から室内側に吊り下げられた第2遮蔽材104の昇降を操作することができる。そして、第2遮蔽材104の保持、降下のための第2クラッチユニット112の保持状態、非接続状態となる動作は、実施例1のクラッチユニット7と同じである。
【0141】
以上の実施例1〜実施例3の記載では、本発明は、遮蔽材が自重降下する日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニットについて説明したが、自重降下の代わりにスプリングによる付勢力で遮蔽材を上昇させ、スプリングによる付勢力に抗して遮蔽材を降下させる日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニットとしても適用可能である。
【0142】
より詳細には、操作コード、プーリ等を備えたプーリ操作駆動装置を操作することで、スプリングの弾力に抗して遮蔽材を降下させるとともに付勢力を蓄積させ、プーリ操作駆動装置を操作することで、蓄積したスプリングの付勢力により巻き上げ回動軸及び昇降コードの巻き上げローラを回転させて遮蔽材を上昇させる日射遮蔽装置において、プーリ操作駆動装置と巻き上げ回動軸の接続及び非接続を行うとともに、遮蔽材をプリングの付勢力を拘束して、所望の下降状態に保持する保持機能を備えたクラッチ手段として、本発明のクラッチユニットを適用することが可能である。
【0143】
このクラッチユニットの構成は、遮蔽材の自重降下の代わりにスプリングによる付勢力で遮蔽材を上昇させ、スプリングによる付勢力に抗して遮蔽材を降下させ、その途中で上昇することを拘束して保持する点を除いて、遮蔽材が自重降下する日射遮蔽装置におけるクラッチユニット7、7’、111、112の構成と同じである。
【0144】
自重降下の代わりにスプリングによる付勢力で遮蔽材を上昇させる日射遮蔽装置では、クラッチユニットのカムドラムのカム溝は、実施例1〜実施例3のクラッチユニットにおけるカム溝に対して、カムドラムの回転方向に対して線対称の構成とする。
【0145】
以上、本発明に係る日射遮蔽装置における保持手段を備えたクラッチユニットを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。