特許第6795377号(P6795377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795377
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ヒーター装置及びエンジン
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/20 20060101AFI20201119BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20201119BHJP
   F02B 19/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F01P11/20 A
   F01P3/20 E
   F02B19/10 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-216309(P2016-216309)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-71522(P2018-71522A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大出 剛
(72)【発明者】
【氏名】川口 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 貴弘
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−075158(JP,A)
【文献】 特開2003−074450(JP,A)
【文献】 実開昭59−184376(JP,U)
【文献】 実開平01−083177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00−11/20
F02B 19/10
F02N 11/20
H05B 3/02− 3/18、 3/40− 3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンブロックの内部の内部流路と前記エンジンブロックの外部の外部流路とで冷却水が流れる冷却水流路が構成されるエンジンに適用されるヒーター装置であって、
前記エンジンブロックは、前記内部流路と前記外部流路とを連通させるフランジが接続される被接続部を有するものであり、
前記ヒーター装置は、前記外部流路の一部である中継流路を有するヒーターケースと、前記ヒーターケースに取り付けられて外部電源からの電力供給を受けて冷却水を加熱するブロックヒーターとを有し、
前記ヒーターケースは、前記中継流路を形成する筒状部と前記ブロックヒーターが取り付けられる取付部とが一体的に形成されたものであり、前記被接続部に接続されるフランジである第1接続部を前記筒状部の一端部に有し、前記外部流路の一部を形成する配管が接続される第2接続部を前記筒状部の他端部に有し、さらに、前記取付部を前記エンジンブロックに固定するための第1固定部と、前記筒状部に一体的に形成されて前記第2接続部を前記エンジンブロックに固定するための第2固定部と、を有する
ヒーター装置。
【請求項2】
ヒーター装置を備えるエンジンであって、
前記エンジンは、冷却水が流れる冷却水流路として、エンジンブロックの内部の内部流路と前記エンジンブロックの外部の外部流路とを有し、
前記エンジンブロックは、前記内部流路と前記外部流路とを連通させるフランジが接続される被接続部を有し、
前記ヒーター装置は、前記外部流路の一部である中継流路を有するヒーターケースと、前記ヒーターケースに取り付けられて外部電源からの電力供給を受けて冷却水を加熱するブロックヒーターとを有し、
前記ヒーターケースは、前記中継流路を形成する筒状部と前記ブロックヒーターが取り付けられる取付部とが一体的に形成されたものであり、前記被接続部に接続されたフランジである第1接続部を前記筒状部の一端部に有し、前記外部流路の一部を形成する配管が接続された第2接続部を前記筒状部の他端部に有し、さらに、前記取付部を前記エンジンブロックに固定するための第1固定部と、前記筒状部に一体的に形成されて前記第2接続部を前記エンジンブロックに固定するための第2固定部と、を有し、
前記内部流路は、ウォータージャケットを含み、
前記中継流路は、前記被接続部に前記第1接続部が接続されることで、前記ウォータージャケットに流入する冷却水、あるいは、前記ウォータージャケットから流出する冷却水が流れる流路に連通する
エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの停止中における冷却水の温度低下を抑えるヒーター装置、及び、該ヒーター装置を備えたエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、最低気温がマイナス数十℃となる寒冷地向けの自動車には、エンジン停止中における冷却水の過度な温度低下を防ぐことでエンジンの始動性を高めることを目的の1つとするヒーター装置として、シリンダーブロック(エンジンブロック)にブロックヒーターが取り付けられる。特許文献1のブロックヒーターは、エンジンブロック内に形成された冷却水流路に発熱体を配設し、その発熱体が外部電源からの電力供給を受けて発熱することにより冷却水の過度な温度低下を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−257299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにエンジンブロック内の冷却水流路に発熱体が配設されるブロックヒーターは、コアプラグに代えて取り付けられることが多い。そのため、エンジンブロックには、ブロックヒーターを取り付けるための特別な加工が施されていることが必要とされる。
【0005】
本発明は、ブロックヒーターを取り付けるための特別な加工が施されていないエンジンブロックにも取り付けることのできるヒーター装置、及び、該ヒーター装置を備えたエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するヒーター装置は、エンジンブロックの内部の内部流路と前記エンジンブロックの外部の外部流路とで冷却水が流れる冷却水流路が構成されるエンジンに適用されるヒーター装置であって、前記エンジンブロックは、前記内部流路と前記外部流路とを連通させるフランジが接続される被接続部を有するものであり、前記ヒーター装置は、前記外部流路の一部である中継流路を有するヒーターケースと、前記ヒーターケースに取り付けられて外部電源からの電力供給を受けて前記中継流路の冷却水を加熱するブロックヒーターとを有し、前記ヒーターケースは、前記被接続部に接続されるフランジである第1接続部と、前記外部流路の一部を形成する配管が接続される第2接続部とを有する。
【0007】
上記課題を解決するエンジンは、ヒーター装置を備えるエンジンであって、前記エンジンは、冷却水が流れる冷却水流路として、エンジンブロックの内部の内部流路と前記エンジンブロックの外部の外部流路とを有し、前記エンジンブロックは、前記内部流路と前記外部流路とを連通させるフランジが接続される被接続部を有し、前記ヒーター装置は、前記外部流路の一部である中継流路を有するヒーターケースと、前記ヒーターケースに取り付けられて外部電源からの電力供給を受けて前記中継流路の冷却水を加熱するブロックヒーターとを有し、前記ヒーターケースは、前記被接続部に接続されたフランジである第1接続部と、前記外部流路の一部を形成する配管が接続された第2接続部とを有する。
【0008】
外部流路を構成する外部配管は、通常、冷却水の漏れに対する信頼性やエンジンブロックへの接続作業の効率等の観点からフランジを用いてエンジンブロックに接続される。上記構成のヒーター装置は、第1接続部として、エンジンブロックに形成されている被接続部に接続されるフランジを有している。そのため、ブロックヒーターを取り付けるための特別な加工が施されていないエンジンブロックにも取り付けることができる。
【0009】
上記エンジンにおいて、前記中継流路は、前記第1接続部寄りの部分、あるいは、前記第2接続部寄りの部分ほど上方に位置していることが好ましい。
上記構成によれば、ブロックヒーターによって加熱された冷却水は、第1接続部寄りの部分ほど上方に位置する場合には自然対流により第1接続部に向かって流れ、第2接続部寄りの部分ほど上方に位置する場合には自然対流により第2接続部に向かって流れる。そのため、中継流路における冷却水の滞留を抑えることができる。
【0010】
上記エンジンは、前記冷却水流路に冷却水を圧送するポンプを有し、前記中継流路は、前記第2接続部寄りの部分ほど上方に位置しており、かつ、前記第2接続部寄りの部分ほど前記ポンプに対する下流に位置していることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、ブロックヒーターによって加熱された冷却水の自然対流での流れ方向は、ポンプの作動中における冷却水の流れ方向と同じであり、また、ポンプの停止後に慣性によって流れる冷却水の流れ方向と同じである。そのため、ブロックヒーターによって加熱された冷却水は、慣性による流れが消滅したとしても流れ方向が転換されることがない。その結果、冷却水流路における流れを慣性による流れから自然対流による流れへと円滑に移行させることができる。
【0012】
上記エンジンにおいて、前記中継流路は、前記ポンプに対して前記外部流路における最も上流側に位置していることが好ましい。
停止中のポンプは、冷却水流路を流れる冷却水の抵抗として作用する。そのため、ポンプに対して外部流路における最も下流側に中継流路が位置している場合、すなわち第2接続部がポンプの吸込み側に接続されている場合には、ブロックヒーターによって加熱された冷却水がポンプの吸込み側で滞留してしまうおそれがある。この点、上記構成によれば、中継流路がポンプの吐出側に位置していることから、ブロックヒーターの加熱にともなう冷却水の自然対流に対してポンプが抵抗として作用しにくくなる。これにより、自然対流による冷却水の流通範囲が拡がることから、冷却水の温度低下をより効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ヒーター装置を備えるエンジンの一実施形態の概略構成を模式的に示す斜視図。
図2】冷却システムの概略構成の一例を模式的に示す図。
図3】ヒーター装置の一実施形態の斜視構造を示す斜視図。
図4】シリンダーブロックと第1接続部との接続部分の断面構造を示す断面図。
図5】ブロックヒーターの一例の斜視構造を示す斜視図。
図6】自然対流による冷却水の流れの一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図6を参照して、ヒーター装置、及び、ヒーター装置を備えたエンジンの一実施形態について説明する。
図1に示すように、エンジン10は、シリンダーブロック11とシリンダーヘッド12とで構成されたエンジンブロック13を有している。エンジン10は、排気ガスの一部をEGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)ガスとして吸気側へと還流する図示しないEGR装置を搭載したエンジンである。エンジン10は、エンジンブロック13のシリンダーブロック11に取り付けられたヒーター装置40を有している。ヒーター装置40は、エンジン10に搭載される冷却システム20(図2参照)において、エンジン10の停止中に外部電源から電力供給を受けることにより冷却水を加熱し、冷却水の過度な温度低下を抑える。
【0015】
図2に示すように、冷却システム20において、冷却水が流れる冷却水流路は、エンジンブロック13の内部に配設される内部流路21と、エンジンブロック13の外部に配設される外部流路22とで構成されている。冷却システム20は、内部流路21に冷却水を圧送するポンプ24を有している。ポンプ24は、エンジン10のクランクシャフトに従動する機械式のポンプであって、シリンダーブロック11に取り付けられている。
【0016】
内部流路21は、ブロック側ウォータージャケット25と、ポンプ24に対してブロック側ウォータージャケット25よりも下流側に位置してブロック側ウォータージャケット25を通過した冷却水が流入するヘッド側ウォータージャケット26とを有している。ブロック側ウォータージャケット25は、シリンダーブロック11に形成されたシリンダーの周囲に配設されている。ヘッド側ウォータージャケット26は、シリンダーヘッド12に形成された吸気ポートや排気ポートの周囲に配設されている。なお、上記ポンプ24は、ブロック側ウォータージャケット25に通じる流路に対して冷却水を吐出している。
【0017】
外部流路22は、ポンプ24とブロック側ウォータージャケット25とを繋ぐ流路から分岐する分岐流路28に連通する第1外部流路31と、ヘッド側ウォータージャケット26を通過した冷却水が流れる第2外部流路32とを有している。なお、図2においては、太い実線が第1外部流路31を示し、太い点線が第2外部流路32を示している。
【0018】
第1外部流路31は、シリンダーブロック11に取り付けられるヒーター装置40、EGRガスを冷却するEGRクーラー33、及び、冷却水を冷却するラジエーター34を通過した冷却水がポンプ24の吸込み側へと戻る構成となっている。このように、冷却システム20では、ポンプ24に対して、ヒーター装置40とブロック側ウォータージャケット25とが並列に接続されており、第1外部流路31には、ポンプ24から吐出されてブロック側ウォータージャケット25に流入するまえの冷却水が流入する。
【0019】
第2外部流路32は、エンジンオイルを冷却するオイルクーラー35と冷却水の温度が開弁温度以上であるときに開弁するサーモスタット36とを通過した冷却水がポンプ24の吸込み側へと戻る構成となっている。
【0020】
図3に示すように、ヒーター装置40は、第1外部流路31の一部を構成する中継流路41を有するヒーターケース42と、外部電源からの電力供給を受けて冷却水を加熱するブロックヒーター43とを備えている。
【0021】
ヒーターケース42は、例えば鋳造製の基材に対して機械加工を施すことにより製造される。ヒーターケース42は、中継流路41を形成する内周面44aを有して冷却水の流れ方向が約90°旋回するように湾曲しながら上方へ延びる筒状部44と、筒状部44に対して一体的に形成され、ブロックヒーター43が取り付けられる取付部45とを有している。
【0022】
筒状部44の一端部は、シリンダーブロック11の被接続部15に接続されるフランジである第1接続部47であり、筒状部44の他端部は、第1外部流路31の一部を形成する配管であるホース52(図1参照)が差し込まれる第2接続部48である。図1に示すように、ホース52は、ヒーター装置40とEGRクーラー33とを接続しており、その内周面で第1外部流路31の一部の流路を形成する。EGRクーラー33は、例えばシェルアンドチューブ式の熱交換器であり、図示されない冷却水入口が形成されたロアタンク33Lと、図示されない冷却水出口が形成されたアッパータンク33Uと、ロアタンク33Lとアッパータンク33Uとに挟まれたコア部33Cとを有している。ロアタンク33Lは、第2接続部48よりも上方に位置しており、ホース52は、ロアタンク33L寄りの部分ほど上方に位置するように配設されている。コア部33Cにおいては、ロアタンク33Lからアッパータンク33Uへ流れる冷却水とコア部33Cの内部を流れるEGRガスとの間で熱交換が行われる。
【0023】
図4に示すように、第1接続部47は、シリンダーブロック11の被接続部15に接続されるフランジである。被接続部15は、機械加工により平坦化された接続面に複数の雌ねじが形成されている部位である。第1接続部47は、被接続部15との位置合わせを行ったのち、ボルト50を用いてシリンダーブロック11に第1接続部47を所定の締め付けトルクで締結することによりシリンダーブロック11に接続される。エンジンブロック13と第1接続部47との間の隙間は、シール部材であるガスケット51でシールされる。なお、エンジンブロック13と第1接続部47との間の隙間は、ガスケット51に限らず、Oリング等のシール部材でシールされてもよい。
【0024】
図1及び図3に示すように、第2接続部48とホース52とは、第2接続部48に弾性を有するホース52を差し込んだのち、そのホース52の差し込み部分をホースバンドで第2接続部48に締め付けることにより、第2接続部48とホース52との間の隙間がシールされた状態で接続される。
【0025】
こうしたヒーター装置40がエンジンブロック13に取り付けられると、中継流路41は、第1接続部47寄りの部分よりも第2接続部48寄りの部分が上方に位置するように配置される。すなわち、ポンプ24がブロック側ウォータージャケット25に向けて内部流路21へと圧送した冷却水の一部は、第1接続部47を通じて分岐流路28から中継流路41に流入し、第2接続部48を通じて中継流路41からホース52へ流入する。
【0026】
図3に示すように、取付部45は、筒状部44と一体的に形成されている。取付部45は、筒状部44の内周面44aに開口する連通口53と取付部45の外表面に開口する収容口54とを有する収容室55を有している。収容室55は、図3において、連通口53側の端部が紙面の手前側から中継流路41に対して重なるように配置されている。
【0027】
図5に示すように、ブロックヒーター43は、取付部45の収容口54に嵌め込まれて該収容口54を塞ぐ閉塞部57と、閉塞部57に固定されて取付部45の収容室55に収容される発熱体58と、外部電源に接続されて該外部電源の電力を発熱体58に供給する電気配線59とを有している。発熱体58は、外部電源からの電力供給を受けて発熱するものであり、例えばニクロム線で構成される。ブロックヒーター43は、発熱体58の先端部を収容口54から収容室55に差し入れたのち、閉塞部57で収容口54を閉塞することにより取付部45に取り付けられる。取付部45に取り付けられたブロックヒーター43は、発熱体58の先端部が連通口53を通じて筒状部44の内周面44aに対向する位置に配置される。また、閉塞部57と収容口54の周壁との間の隙間は、例えばOリングといったシール部材によりシールされる。
【0028】
図3に示すように、ヒーターケース42には、上述した筒状部44、取付部45の他にエンジンブロック13に対してヒーター装置40を固定するための固定部が一体的に形成されている。例えば、取付部45には、ボルトによって取付部45をエンジンブロック13に固定する第1固定部61が形成されている。第1固定部61によって取付部45がエンジンブロック13に固定されることにより、第1接続部47に対する取付部45の振動が抑えられる。また、筒状部44には、第2接続部48の近傍に、ボルトによってエンジンブロック13に対して第2接続部48を固定する第2固定部63が形成されている。第2固定部63によって第2接続部48がエンジンブロック13に固定されることにより第1接続部47に対する第2接続部48の振動が抑えられる。なお、これらの第1固定部61及び第2固定部63は、エンジンブロック13に形成されている予備の雌ねじに対応するように形成される。
【0029】
すなわち、ヒーターケース42は、第1接続部47に加えて、第2接続部48及び取付部45の各々においてエンジンブロック13に固定されている。これにより、第1接続部47に対する第2接続部48及び取付部45の振動が抑えられる。その結果、該振動に起因するヒーターケース42へ機械的な負荷、特に第1接続部47に対する機械的な負荷を軽減することができる。
【0030】
上記実施形態のヒーター装置、及び、該ヒーター装置を備えたエンジンによれば、以下に列挙する作用効果が得られる。
(1)エンジンブロック13に接続される外部配管は、通常、エンジンブロック13との接続部分からの冷却水の漏れに対する信頼性やエンジンブロック13への接続作業の効率等の観点からエンジンブロック13との接続部分にフランジが用いられる。そのため、ヒーター装置40の第1接続部47が被接続部15に接続されるフランジで構成されることにより、ブロックヒーター43を取り付けるための特別な加工が施されていないエンジンブロック13にもヒーター装置40を取り付けることができる。これにより、寒冷地向けに設計されたエンジンでなくとも寒冷地向けのエンジンへと仕様を変更することが可能となり、エンジンの汎用性を高めることができる。
【0031】
また、ブロックヒーター43の作動中は、冷却水の自然対流や冷却水における熱伝導によって、中継流路41における冷却水のみならず、内部流路21内の冷却水の温度低下を抑えることもできる。そのため、ヒーター装置40は、シリンダーブロックに取り付けられて内部流路21に発熱体が配設されたブロックヒーターと同等の性能を具備することができる。
【0032】
(2)図6に示すように、中継流路41は、第2接続部48寄りの部分ほど上方に位置している。そのため、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水は、自然対流によって、収容室55から中継流路41へ流出したのちに収容室55よりも上方に位置する第2接続部48に向かって流れる。そして収容室55には、収容室55よりも下方に位置する第1接続部47側から新たな冷却水が供給される。すなわち、第2接続部48寄りの部分ほど上方に位置することによって、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水が中継流路41に滞留することが抑えられる。その結果、自然対流による熱伝達が促されることから、冷却水流路全体について、冷却水の温度低下を効果的に抑えることができる。
【0033】
(3)第1外部流路31のうちでヒーター装置40からEGRクーラー33までの範囲においては、下流側の部分ほど上方に位置するように構成されている。これにより、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水がEGRクーラー33に流入しやすくなることから、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水が中継流路41に滞留することがさらに抑えられる。その結果、上記(2)に記載した効果がより顕著なものとなる。
【0034】
(4)上記自然対流の流れ方向は、ポンプ24の作動中における冷却水の流れ方向と同じであり、また、エンジン10の停止後に慣性によって流れる冷却水の流れ方向と同じである。そのため、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水は、慣性による流れが消滅しても流れ方向を転換することなく円滑に自然対流による流れへと移行することができる。
【0035】
(5)停止中のポンプ24は、冷却水流路を流れる冷却水の抵抗として作用する。そのため、ポンプ24に対して中継流路41が第1外部流路31における最も下流側に位置している場合、すなわち第2接続部48がポンプ24の吸込み側に接続されている場合には、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水がポンプ24の吸込み側で滞留してしまうおそれがある。この点、上述した構成において、中継流路41は、第1接続部47寄りの部分がポンプ24に対する上流側に位置しており、かつ、第1接続部47側の端部においてポンプ24の吐出側である分岐流路28に連通している。すなわち、中継流路41は、第1外部流路31においてポンプ24に対して最も上流側に位置している。そのため、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水が冷却水流路を流れる際にポンプ24が抵抗として作用しにくくなる。これにより、ブロックヒーター43の加熱にともなう自然対流によって冷却水が流通可能な範囲が拡がることから、冷却水流路全体について、冷却水の温度低下をより効果的に抑えることができる。
【0036】
(6)ブロックヒーター43の発熱体58は、連通口53を通じて中継流路41に連通する収容室55に収容されている。そのため、ブロックヒーター43の発熱体58は、エンジン10の運転中に中継流路41を流れる冷却水の抵抗として作用しにくい。これにより、ヒーター装置40における冷却水の圧力損失が低減されることから、ヒーター装置40を搭載したことによるポンプ24の負荷の増大を抑えることができる。
【0037】
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・ヒーター装置40は、エンジンブロック13の被接続部15に第1接続部47が接続されることで中継流路41が内部流路21に連通する構成であればよい。そのため、ヒーター装置40は、分岐流路28ではなく、例えばブロック側ウォータージャケット25を通過した冷却水が流れる流路に中継流路41が連通する構成であってもよい。また、ヒーター装置40は、中継流路41が第1外部流路31の最も下流側に位置するように、第2接続部48がポンプ24の吸込み側に接続される構成であってもよい。
【0038】
・中継流路41は、第1接続部47寄りの部分ほど、ポンプ24に対して下流側に位置していてもよい。
・ヒーター装置40においては、ブロックヒーター43に加熱された冷却水の自然対流による流れ方向がポンプ24による冷却水の流れ方向と異なっていてもよい。すなわち、例えば、中継流路41は、第1接続部47寄りの部分ほどポンプ24に対して下流側に位置し、かつ、第2接続部48寄りの部分ほど上方に位置する構成であってもよい。
【0039】
・中継流路41は、第1接続部47寄りの部分ほど上方に位置する構成であってもよい。こうした構成においては、ブロックヒーター43によって加熱された冷却水が自然対流によってブロック側ウォータージャケット25に流入することから、内部流路21の冷却水、及び、エンジンブロック13の温度低下を効果的に抑えることができる。
【0040】
・第2接続部48は、フランジで構成されてもよい。
・ヒーターケース42は、鋳造製の基材に対して機械加工が施されることにより作製されるものに限らず、配管や継手を溶接等によって接合することによって作製されてもよい。また、ヒーターケース42の形状は、エンジンブロック13の被接続部15周辺の配管等に応じて適宜変更可能である。
【0041】
・ブロックヒーター43の発熱体58は、少なくとも一部が中継流路41に位置していてもよく、その形状も収容室55の形状に応じて適宜変更してもよい。
・エンジンブロック13は、シリンダーブロック11とシリンダーヘッド12とが一体的に形成されたモノブロックであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…エンジン、11…シリンダーブロック、12…シリンダーヘッド、13…エンジンブロック、15…被接続部、20…冷却システム、21…内部流路、22…外部流路、24…ポンプ、25…ブロック側ウォータージャケット、26…ヘッド側ウォータージャケット、28…分岐流路、31…第1外部流路、32…第2外部流路、33…EGRクーラー、33C…コア部、33L…ロアタンク、33U…アッパータンク、34…ラジエーター、35…オイルクーラー、36…サーモスタット、40…ヒーター装置、41…中継流路、42…ヒーターケース、43…ブロックヒーター、44…筒状部、44a…内周面、45…取付部、47…第1接続部、48…第2接続部、50…ボルト、51…ガスケット、52…ホース、53…連通口、54…収容口、55…収容室、57…閉塞部、58…発熱体、59…電気配線、61…第1固定部、63…第2固定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6