特許第6795384号(P6795384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795384
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】消臭積層シート及び消臭樹脂製マット
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20201119BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20201119BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20201119BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B32B27/18 F
   C08J7/04 ZCER
   C09D201/00
   C09D133/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-228162(P2016-228162)
(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2018-83902(P2018-83902A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】503048338
【氏名又は名称】ダイヤプラスフィルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】寺井 智彦
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−192869(JP,A)
【文献】 特開2013−180459(JP,A)
【文献】 特開2011−202035(JP,A)
【文献】 特開2015−189022(JP,A)
【文献】 特開平11−198294(JP,A)
【文献】 特開2013−082199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/00− 7/06
B32B 1/00− 43/00
C09D 1/00− 10/00
C09D101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも消臭剤および樹脂成分を含有する組成物からなる塗膜層を有する積層シートであって、
前記組成物は、前記樹脂成分100質量部に対する前記消臭剤の添加部数S(質量部)、前記塗膜層の厚さT(μm)が、下記式(1)を満たし、且つ、塗膜層の表面側の負荷長さ率(Rmr(c)、C=50%)が20%以下である、消臭積層シート。
T ≦ 0.3×S ・・・式(1)
【請求項2】
前記塗膜層の厚さT(μm)が15μm以下である、請求項1に記載の消臭積層シート。
【請求項3】
前記樹脂成分が硬化性を有するアクリレート系樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の消臭積層シート。
【請求項4】
前記消臭剤が無機系消臭剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の消臭積層シート。
【請求項5】
前記無機消臭剤が多孔質物質である、請求項1〜のいずれか1項に記載の消臭積層シート。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の消臭積層シートを少なくとも有する消臭樹脂製マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、消臭積層シートおよび消臭樹脂製マットに関する。より詳しくは、透明性を有し、かつ表面に優れた消臭機能を有する消臭積層シート、及び消臭樹脂製マットに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製マットは、床などに敷き、机や椅子の足による床の傷付きを防止したり、汚れの付着を防止したり、あるいは、適度な硬さと弾性とを有し、変形した場合でも形状が回復する性質を有することから、立ち仕事をする床面やトイレなどに敷いて用いられることが多い。また、机の上に敷き、書き心地を良くしたり、汚れの付着を防止するなどの用途としても使用されている。
【0003】
一方、近年では、住空間に清潔感や清涼感を求める傾向があり、トイレやペットなどの排せつ臭や、ペットを飼う場合のにおいが気になる等の要望があり、床に敷いているマット等に、消臭機能を設けた製品の要望が高まっている。これらの要望から、消臭機能をもったマット・シートの使用例として、トイレマット・カバー、テーブルマット・カバー、デスクマット・カバー、フロアマット・カバー、おねしょシート、スポーツバック、衣類カバーなどの製品が開発されている。たとえば、特許文献1には、基材シートに消臭性能を有する複合水酸化物縮合珪酸塩、アミン化合物、酸化チタンを含有する塗膜を設けたシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−65101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、樹脂成分に対して消臭機能をもつ化合物の添加部数が多いため、得られるシートの透明性が悪くなり視認性に劣るという問題がある。
【0006】
また、透明性を上げるためには消臭機能をもつ化合物の添加部数を減らす組成物とする方法があるが、この場合、消臭機能をもつ化合物が、樹脂層に埋没してしまい、消臭機能をもつ化合物が樹脂成分の表面に現れず、消臭性能が低下するという問題がある。
【0007】
本願は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、透明性を有し、かつ優れた消臭機能を有する消臭積層シート、及び消臭樹脂製マットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、樹脂成分に対する消臭剤の配合比と塗膜厚さとの関係式を所定の範囲とすることで、上記目的が達成されることを見出した。
【0009】
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
少なくとも消臭剤および樹脂成分を含有する組成物からなる塗膜層を有する積層シートであって、前記組成物は、前記樹脂成分100質量部に対する前記消臭剤の添加部数S(質量部)、前記塗膜層の厚さT(μm)が、下記式(1)を満たす、消臭積層シート、
を開示する。
T ≦ 0.3×S ・・・式(1)
「塗膜層の厚さT(μm)」は、塗布した組成物を乾燥・硬化させた後の厚さをいう。
【0010】
本開示の消臭積層シートにおいて、前記塗膜層の表面側の負荷長さ率(Rmr(c)、C=50%)が20%以下であることが好ましい。
【0011】
本開示の消臭積層シートにおいて、前記塗膜層の厚さT(μm)が15μm以下であることが好ましい。
【0012】
本開示の消臭積層シートにおいて、前記樹脂成分が硬化性を有するアクリレート系樹脂を含有することが好ましい。
【0013】
本開示の消臭積層シートにおいて、前記消臭剤が無機系消臭剤であることが好ましい。
【0014】
本開示の消臭積層シートにおいて、前記無機消臭剤が多孔質物質であることが好ましい。
【0015】
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
本開示の消臭積層シートを少なくとも有する消臭樹脂製マット、
を開示する。
【0016】
消臭樹脂製マットの形態は特に限定されないが、例えば、消臭積層シートの塗膜層とは反対側に、滑り止め加工を施した形態、エア溜りを防ぐための凹凸を付与した形態、あるいは、マットにクッション性を付与するための基材シートを張り付けた形態が挙げられる。基材シートとしては、たとえば、積層シートにおける基材よりも厚みが厚い樹脂シート、例えば、厚み0.05〜10mmの樹脂シートが使用できる。また、発泡樹脂シートを使用してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、透明性を有し、かつ優れた消臭機能を有する消臭積層シート、及び消臭樹脂製マットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、特に断らない限り、数値AおよびBについて「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
【0019】
1.消臭積層シート
本開示の消臭積層シートは、少なくとも消臭剤および樹脂成分を含有する組成物からなる塗膜層を有する。
【0020】
1−1.塗膜層
本開示の消臭積層シートにおける塗膜層は、少なくとも消臭剤および樹脂成分を含有する組成物からなり、該組成物は、樹脂成分100質量部に対する消臭剤の添加部数S(質量部)と該塗膜層の厚さT(μm)が、下記式(1)を満たすことが重要である。下記式(1)を満たすことにより、塗膜層内に含有する消臭剤が、樹脂成分の中に埋没してしまい、消臭剤が樹脂成分の表面に現れず、消臭性能が低下することを抑制することができる。
T ≦ 0.3×S ・・・式(1)
【0021】
消臭積層シートにおける塗膜層の表面側は、負荷長さ率(Rmr(c)、C=50%)が、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好まく、13%以下であることが更に好ましい。また、負荷長さ率の下限値は特に規定することはないが0.5%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、3%以上であることが更に好ましい。負荷長さ率(Rmr(c))の範囲を上記とすることで、塗膜層の表面形状の凸部と凹部のバランスが好ましくなり、含有する消臭剤が表面に露出部する部分が多くなり消臭性能を高めることができる。
【0022】
1−1−1.消臭剤
塗膜層に含まれる消臭剤は、特に限定することはなく、たとえば無機系消臭剤や有機系消臭剤を使用することができ、これらの消臭剤を単独で使用してもよく、これらを組み合わせて使用してもよい。
【0023】
無機系消臭剤としては、臭気を吸着させる多孔質物質、臭気を分解する金属酸化物、およびそれらを組み合わせたものが例示される。
【0024】
前記多孔質物質としては、たとえば、多孔質シリカ、シリカゲル、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、活性炭及び活性白土などが挙げられる。なかでも、アンモニアガスに対して優れた吸着能を有するゼオライト、及び/または多孔質シリカを用いるのが好ましい。ゼオライトは、ケイ素とアルミニウムが酸素を介して三次元的に結合した骨格構造をしている。また、多孔質シリカは、二酸化ケイ素を材質として、均一で規則的な細孔を持つ構造をしている。これらの骨格中には分子レベルの穴(細孔)が開いており、水や有機分子など様々な分子を骨格中に取り込むことから、吸着剤として非常に有用なものである。
【0025】
前記金属酸化物としては、たとえば、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、二酸化チタン、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらの金属酸化物は、酢酸、メチルメルカプタン、硫化水素等の悪臭ガスを消臭する性質を有する。
【0026】
有機系消臭剤としては、アミン系、ヒドラジン系などの有機窒素系化合物、金属キレート化合部などが挙げられる。中でも、アミンを分子内にもつポリアミン化合物が好ましい。ポリアミン化合物は、分子内に第一級アミノ基を一個以上有している化合物であれば脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミンのいずれも使用でき、たとえばジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0027】
また、前記ポリアミン化合物は、無機ケイ素化合物に担持させてもよい。たとえば、多孔質二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム等にポリアミン化合物を担持したものが挙げられる。ポリアミン化合物を担持する方法としては、例えばポリアミン化合物の水溶液を作成し、この水溶液中に多孔質二酸化ケイ素を浸漬し、これを加熱焼成することによってポリアミン化合物を担持した二酸化ケイ素化合物を得ることができる。
【0028】
また、塗膜層に含有する消臭剤の添加部数は、塗膜層の樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが更に好ましく、25質量部以上であることが特に好ましい。また、45質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、35質量部以下であることが更に好ましい。消臭剤の添加部数を上記とすることで、消臭性能を好ましいものとすることができ、かつ塗膜層が白濁し透明性が損なわれることを抑制することができる。
【0029】
1−1−2.塗膜層の樹脂成分
塗膜層の組成物を構成する樹脂成分は、硬化型の樹脂であることが好ましい。硬化型の樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどのオリゴマー成分を含む樹脂組成物を硬化させてなるアクリレート系樹脂が挙げられる。また、上記樹脂組成物中にはアクリレート系樹脂を構成するモノマー成分を添加することもできる。また、上記オリゴマー成分やモノマー成分を変性させることができ、帯電防止機能をもった変性オリゴマーやシリコーンなどの防汚機能をもった変性オリゴマーを添加してもよい。
【0030】
上記アクリレート系樹脂のモノマー成分としては、単官能モノマーや多官能モノマーがあり、単官能モノマーとしては2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、イソボロニルアクリレート(IBXA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、スチレン(St)などが挙げられ、多官能モノマーとしては、2官能モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(PPGDA)、3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、トリメチロールメラミントリアクリレート(TMMTA)、4官能モノマーとして、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、5官能モノマーとして、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、6官能モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられる。
【0031】
また、塗膜層を形成する際に硬化の工程を必要とする場合、上記樹脂組成物には開始剤が添加される。開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロオキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどを使用することができ、これらの開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
また、塗膜層の厚みは、乾燥後の厚みで15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。また、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。塗膜層の厚みを上記とすることで消臭性能を十分に発揮することができる。
【0033】
1−2.基材層
本願の消臭積層シートは、例えば、基材層上に塗膜層を形成することにより作製される。この場合、本願の消臭積層シートは、基材層、および、該基材層上の塗膜層を有する。
【0034】
本開示の消臭積層シートの基材層に使用する樹脂は、特に限定することはなく公知の樹脂を使用することができる。たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等を使用することができる。中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を好ましく使用することができ、とりわけ、ポリ塩化ビニル系樹脂を好ましく使用することができる。以下、基材層に使用できるポリ塩化ビニル系樹脂、及び、ポリオレフィン系樹脂について説明する。
【0035】
1−2−1.ポリ塩化ビニル系樹脂
基材層に使用できる、ポリ塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルとこれに共重合可能なコモノマーとの重合体、及びこれらの重合体の混合物のことをいう。ポリ塩化ビニル系樹脂は、懸濁重合法、塊状重合法、微細懸濁重合法又は乳化重合法等の公知の製造方法のうち、いずれの方法により製造されたものであってもよい。
コモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、ジブチルマレエート、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、エチレン、プロピレン、スチレン等のα−オレフィン類、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の塩化ビニル以外のハロゲン化ビニル類又はハロゲン化ビニリデン類、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体があげられる。勿論、コモノマーは、上述のものに限定されるものではない。コモノマーは、塩化ビニル系樹脂の構成成分中、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲にするのがよい。
【0036】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、700〜2500の範囲であることが好ましく、800〜1300であることがより好ましい。また、異なる平均重合度のものを2種以上混合して用いてもよい。混合方法としては、基材層となるフィルムの製膜加工時に2種類以上の樹脂を混合する方法が一般的であるが、ポリ塩化ビニル系樹脂の重合時に重合条件をコントロールすることによって、見掛け上2種類以上の平均重合度の異なるポリ塩化ビニル系樹脂が混合されたことになる方法であってもよい。
【0037】
1−2−2.可塑剤
基材層にポリ塩化ビニル系樹脂を使用する場合、ポリ塩化ビニル系樹脂は可塑剤を含有することが好ましい。上記可塑剤は、可塑剤の種類によりその含有量も相違するが、一般的には、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、5〜100質量部含有することが好ましく、10〜80質量部含有することがより好ましい。可塑剤を5質量部以上含有することにより、基材層を製造する際の成形性や加工性を改善することができ、また、100質量部以下とすることにより、基材層から可塑剤がブリードアウトすることなく、十分な成形性や加工性を改善することができる。
【0038】
本開示において、ポリ塩化ビニル系樹脂に使用できる可塑剤は、特に限定することは無く公知の可塑剤を使用することができる。例えば、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジオチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤;アジピン酸−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−デシル、セバチン酸ジブチル、セバチン酸−2−エチルヘキシルなどの脂肪酸エステル可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸−2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチルなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;アジピン酸系ポリエステル可塑剤;フタル酸系ポリエステル可塑剤などのポリエステル系可塑剤;テレフタル酸系可塑剤が使用することができる。
【0039】
ポリ塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、成型用の合成樹脂に通常配合される公知の樹脂添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、耐候助剤、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、防菌防黴剤及び着色剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0040】
1−2−3.ポリオレフィン系樹脂
基材層に使用できるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0041】
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(メタロセン系ポリエチレン)等)及びこれらの混合物等が例示できる。
【0042】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物等が例示できる。
【0043】
上記プロピレンの共重合体としては、プロピレンとエチレン若しくは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、又はブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。上記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種又は2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合はプロピレンに対して1〜10質量%程度である。
【0044】
2.消臭積層シートの製造方法
本開示の消臭積層シートを製造する方法としては、たとえば、以下に示す方法により、まず基材層を作製し、その後、基材層に塗膜層を積層する方法が挙げられる。
【0045】
2−1.基材層の作製
本開示の消臭積層シートの基材層を作製する方法としては、たとえば、上記のポリ塩化ビニル系樹脂を使用する場合、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して、上記の各成分を所定量添加してポリ塩化ビニル系樹脂組成物を作製し、該ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。
【0046】
より詳しくは、まず、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の原料(上記各成分)を撹拌機でブレンドし、バンバリーミキサー、1軸押し出し機、ロール、ニーダー等の公知の混練機を用いて加熱溶融状態で混練することによってポリ塩化ビニル系樹脂組成物を得る。このようにして得られるポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ペレット状、粒子状、フレーク状、粉末状等の形状で得ることができる。次に、得られたポリ塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダーロールや、Tダイ成形機でシートに成形することによって消臭積層シートの基材層を得ることができる。
【0047】
本開示の消臭積層シートは、上記方法により得られる基材層を少なくとも1層有していればよく、消臭積層シートが有する基材層は単層であってもよく、また多層であってもよい。また、基材層の厚み(多層である場合には、多層の合計厚み)は、特に限定されるものではないが、シートの透明性や緩衝性を好ましくする観点からは、0.03〜5mmが好ましく、0.05〜4mmがより好ましく、0.08〜3mmが更に好ましい。
【0048】
2−2.塗膜層の積層
上記により作製した基材層に塗膜層を積層する方法としては、特に制限はなく、まず、塗膜層を形成する硬化型の樹脂の原料(上記各成分)を撹拌機でブレンドして樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物を基材層表面に、ローラー塗膜、刷毛塗り、エアスプレー、エアレススプレーなどの塗布方法により塗布し、その後硬化させることにより、積層することができる。基材層表面に塗布した樹脂組成物を硬化させる方法は特に限定されず、硬化型の樹脂が熱硬化型樹脂である場合には、公知の方法により加熱することにより硬化させることができる。また、硬化型の樹脂が光硬化型樹脂である場合には、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を公知の方法により照射することにより硬化させることができる。
【0049】
3.消臭樹脂製マット
本開示の消臭積層シートは、該消臭積層シートを少なくとも1層有する消臭樹脂製マットとして種々のマットに使用することができる。たとえば、テーブルマットやデスクマットやフロアーマットに使用することもできる。
【0050】
本開示の消臭樹脂製マットは、消臭積層シートにおける塗膜層とは反対側(たとえば基材層側)を、例えば、基材シートに、接着剤または粘着剤により張り合わせることにより作製することができる。接着剤および粘着剤は特に限定されず、公知のものを使用することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例によりさらに詳しく説明する。本開示の消臭積層シートおよび消臭樹脂製マットは、以下の実施例に限定さない。なお、実施例及び比較例中の測定評価は以下に示す方法で行った。また、実施例及び比較例で使用した原料は、下記の通りである。
【0052】
[表面粗さ]
キーエンス社製レーザ顕微鏡VK−X100を使用し、得られた消臭積層シートの塗膜層の表面観察画像を撮影し、得られた画像を解析して、粗さ曲線の負荷粗さ率(Rmr(c)、c=50%)を測定した。
【0053】
[透明性]
基材層の塗膜層とは反対側の面に、花の模様つきの印刷シートを置き、得られた消臭積層シートを印刷シートの上面に置き、塗膜層側から目視にて印刷シートの模様を観察し、下記の評価基準で評価した。
○:模様がはっきりみえる。
△:模様が確認できる程度にみえる。
×:模様がぼやけて判別できない。
【0054】
[消臭性]
得られた消臭積層シートを下記の試験条件で、アンモニアの初期濃度と20min経過後の濃度を測定し、下記計算式にて消臭性能を計算して消臭性能とした。
【0055】
<試験条件>
試料サイズ:256cm
初期濃度:アンモニア200ppm
ガス充てん量:500mL
測定時間:20min
試験温度:28℃
<計算式>
消臭性能 =(初期濃度―測定濃度)÷初期濃度 ×100 (%)
※数字が高いほど、消臭効果が高いことを示している。
【0056】
[基材層に使用した材料]
熱可塑性樹脂:ポリ塩化ビニル系樹脂(カネカ社製「カネビニールS1001」、平均重合度:1050)
可塑剤:フタル酸系可塑剤(ジェイ・プラス社製「DOP」)
安定化補助剤:エポキシ大豆油(DIC社製「M−6」)
安定剤:Ba−Zn系安定剤(勝田化工社製「BZ−34C」)
[塗膜層に使用した材料]
樹脂成分:ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物
開始剤:1−ヒドロオキシシクロヘキシルフェニルケトン
希釈剤:IPA(イソプロピルアルコール)(三協化学社製「IPA」)
消臭剤:トリプルフレッシュ(住江織物株式会社:多孔質シリカ系消臭剤)
【0057】
[基材層の作製]
ポリ塩化ビニル系樹脂を100質量部、フタル酸系可塑剤を40質量部、エポキシ大豆油を10質量部、Ba−Zn系安定剤を2質量部とし、ヘンシェルミキサー機を使用して混合し、Tダイ成形機にて、シリンダー温度:140〜160℃、ダイス温度:175〜180℃に設定し、厚み1.5mmの基材層を成形した。
【0058】
[実施例1]
上記 紫外線硬化樹脂組成物を100質量部、消臭剤トリプルフレッシュを22質量部となるように配合し、更に開始剤を含有した組成物をIPAにて希釈し、上記基材層へロールコートし、60℃の条件で60秒間乾燥し、積算照射量400mJで紫外線硬化させた。
【0059】
上記の条件で、基材層の厚み1.5mm、乾燥後の塗膜層の厚み2μmの消臭積層シートを作製し評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0060】
[実施例2〜5、比較例1〜3]
消臭剤トリプルフレッシュの質量部数、および塗膜層の厚みを表1に示す質量部及び厚みに変更した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2〜5及び比較例1〜3に係る消臭積層シートを作製し評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1より、実施例1〜5は、消臭性能に優れ、かつ透明性にも優れている結果が得られた。一方、比較例1〜3は、本願に規定する消臭剤の添加部数と塗膜層厚みの関係を満たさず、消臭性能に劣ることが分かる。
【0063】
従って、本開示の消臭積層シートは、透明性と消臭性に非常に優れた消臭積層シートを提供できることが確認できた。