特許第6795385号(P6795385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6795385照明装置、画像読取装置および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795385
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】照明装置、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20201119BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20201119BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20201119BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20201119BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20201119BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20201119BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201119BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   H04N1/028 Z
   G03B27/54 A
   G02B6/00 331
   F21S2/00 230
   F21S2/00 433
   F21Y103:00
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-233731(P2016-233731)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2018-93319(P2018-93319A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】数藤 康裕
(72)【発明者】
【氏名】福留 正一
(72)【発明者】
【氏名】中西 健二
(72)【発明者】
【氏名】岩井 雄哉
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−140726(JP,A)
【文献】 特開2002−044378(JP,A)
【文献】 特開2007−060653(JP,A)
【文献】 特開2012−028932(JP,A)
【文献】 特開2015−154120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G02B 6/00
6/02
6/245− 6/25
6/46 − 6/54
G03B 27/52 −27/56
27/66 −27/70
F21S 2/00 −19/00
F21V 8/00
H04N 1/024− 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材によって棒状に形成される導光部材と、前記導光部材の少なくとも一方の端面に対向して配置される光源とを備え、前記光源からの光を、前記導光部材の内部で導光して当該導光部材の長手方向に沿って形成される光出射面から出射する照明装置であって、
前記導光部材の前記光出射面は、
前記光源に近い第1部分において、凹凸状に形成される第1光拡散部と、
前記第1光拡散部の前記光源と反対側の端縁に隣接する第2部分において、前記第1光拡散部よりも小さい光拡散率を有する凹凸状に形成される第2光拡散部とを有し、
前記第1光拡散部は、前記長手方向に延び、かつ前記導光部材の周方向に並ぶ、複数の第1凸部を有する、照明装置。
【請求項2】
前記第2光拡散部は、前記長手方向に延び、かつ前記導光部材の周方向に並ぶ、複数の第2凸部を有する、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記第2光拡散部は、粗面状に形成される、請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2光拡散部は、前記第1光拡散部よりも凹凸の深さが小さい、請求項1ないし3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2光拡散部は、前記第1光拡散部よりも前記長手方向の長さが小さい、請求項1ないしのいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれかに記載の照明装置、
前記照明装置によって光を照射される原稿を載置する原稿台、および
前記原稿の画像を読み取る画像読取部を備える、画像読取装置。
【請求項7】
請求項に記載の画像読取装置、および
前記画像読取装置によって読み取った画像を用紙に形成する画像形成部を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は照明装置、画像読取装置および画像形成装置に関し、特にたとえば、透明材によって棒状に形成される導光部材と、導光部材の少なくとも一方の端面に対向して配置される光源とを備える、照明装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の照明装置は、透明材からなる棒状の導光体と、導光体の端面に対向して配置される光源とを備える。導光体の長手方向の一側面(周側面の一部)には、微細な反射パターンが長手方向の全長に亘って形成されており、反射パターンに対向する出光面は、出射光に指向性を持たせるようなシリンダー状の曲面とされる。そして、導光体の出光面には、光源に近い部分に光拡散用凹凸部が形成される。導光体の光源に近い部分の出射光は、導光体の光源から遠い部分よりも、導光体の短手方向(周方向)における照度分布が鋭く大きなピークを持つところ、特許文献1の技術では、出光面の光源に近い部分に光拡散用凹凸部を形成することによって、短手方向における照度分布のピークを解消し、導光体の長手方向の全長に亘って照度の均一化を図るようにしている。
【0003】
また、特許文献2には、従来の照明装置の他の一例が開示される。特許文献2の照明装置では、導光体の長手方向の全長に亘って、短手方向における照度分布が一定幅で照度を保つことができるように、導光体の出光面には、長手方向に稜線を持つ凹凸ラインが長手方向の全長に形成される。また、長手方向の位置によって短手方向の照度分布が変化してしまうことを防止するため、凹凸ラインの幅、高さまたは本数を長手方向で変化させることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−140726号公報
【特許文献2】特開2010−118154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、光源に近い部分に光拡散用凹凸部が形成されるが、光拡散用凹凸部を形成する部分と形成しない部分との境目付近に相当する位置において、読取画像にスジ(画像スジ)が発生する場合があるという問題が発見された。
【0006】
また、特許文献2の技術では、導光体の出光面の長手方向全長に亘って凹凸ライン(光拡散部)が形成されるので、被照射体に対する照度が全体的に低下してしまう。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、被照射体に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる、照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、透明材によって棒状に形成される導光部材と、導光部材の少なくとも一方の端面に対向して配置される光源とを備え、光源からの光を導光部材の内部で導光して当該導光部材の長手方向に沿って形成される光出射面から出射する照明装置であって、導光部材の光出射面は、光源に近い第1部分において、凹凸状に形成される第1光拡散部と、第1光拡散部の光源と反対側の端縁に隣接する第2部分において、第1光拡散部よりも小さい光拡散率を有する凹凸状に形成される第2光拡散部とを有し、第1光拡散部は、導光部材の長手方向に延び、かつ導光部材の周方向に並ぶ、複数の第1凸部を有する、照明装置である。
【0010】
第1の発明では、照明装置は、透明材によって棒状に形成される導光部材と、導光部材一方の端面または両端面のそれぞれに対向して配置される光源とを備える。導光部材は、その端面(光入射面)を介して入射された光源からの光を、長手方向に導光しつつ、その周側面に長手方向に沿って形成される光出射面から出射して、被照射体を照らすものである。そして、この第1の発明では、導光部材の光出射面には、光源に近い第1部分に凹凸状の第1光拡散部が形成される。この第1光拡散部は、導光部材の長手方向に延び、かつ導光部材の周方向に並ぶ、複数の第1凸部によって形成される。また、第1光拡散部の光源と反対側(つまり光源から遠い側)の端縁に隣接する第2部分に、第1光拡散部よりも小さい光拡散率を有する凹凸状の第2光拡散部が形成される。すなわち、光源に近い光出射面の長手方向端部に、第1光拡散部と第2光拡散部とが形成され、光源から遠いその他の部分は、凹凸が形成されない滑らかな曲面とされる。第1光拡散部に隣接する第2光拡散部を光出射面に形成することによって、画像スジの発生が防止される。また、光出射面の長手方向端部にのみ、第1光拡散部および第2光拡散部を形成するので、被照射体に対する全体的な照度の低下が抑制ないし防止される。
【0011】
第1の発明によれば、導光部材の光出射面の長手方向端部に対して、第1光拡散部に加えて第2光拡散部を形成するので、被照射体に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2光拡散部は、導光部材の長手方向に延びかつ導光部材の周方向に並ぶ、複数の第2凸部によって形成される。
【0013】
第2の発明によれば、照明装置が載置された原稿に対して斜めに副走査方向に移動した場合や、原稿が斜め送りされた場合などにも適切に対応でき、画像スジの発生をより確実に防止することができる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2光拡散部は、粗面状に形成される。
の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属する発明であって、第2光拡散部は、第1光拡散部よりも凹凸の深さが小さい。
【0015】
の発明では、第2光拡散部の凹凸の深さ(つまり凸部の突出高さ)は、第1光拡散部の凹凸の深さよりも小さく設定される。これによって、第2光拡散部の光拡散率が適切に抑制される。
【0016】
の発明は、第1ないし第のいずれかの発明に従属する発明であって、第2光拡散部は、第1光拡散部よりも長手方向の長さが小さい。
【0017】
の発明では、第2光拡散部の長手方向の長さは、第1光拡散部の長手方向の長さよりも小さく設定される。すなわち、第2光拡散部の形成範囲は狭いものであるので、第2光拡散部が導光部材の全体的な照度に与える影響は小さい。
【0018】
の発明は、第1ないし第のいずれかの発明に係る照明装置、照明装置によって光を照射される原稿を載置する原稿台、および原稿の画像を読み取る画像読取部を備える、画像読取装置である。
【0019】
の発明は、第の発明に係る画像読取装置、および画像読取装置によって読み取った画像を用紙に形成する画像形成部を備える、画像形成装置である。
【0020】
または第の発明によれば、第1ないし第のいずれかの発明と同様の作用効果を奏し、被照射体に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、導光部材の光出射面の長手方向端部に対して、第1光拡散部に加えて第2光拡散部を形成するので、被照射体に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の第1実施例である照明装置および画像読取装置を備える画像形成装置の概略構成を示す図解図である。
図2図1の画像読取装置の概略構成を示す図解図である。
図3図1の照明装置の概略構成を示す断面図である。
図4図3の照明装置が備える導光部材を示す斜視図である。
図5図4の導光部材の端部を拡大して示す部分拡大斜視図である。
図6図4の導光部材を示す平面図である。
図7図6の導光部材の端部を拡大して示す部分拡大平面図である。
図8図7のVIII-VIII線における導光部材の断面を示す断面図である。
図9】光拡散部を有さない第1比較例の導光部材の長手方向における照度分布を示すグラフである。
図10】第1光拡散部のみを有する第2比較例の導光部材の長手方向における照度分布を示すグラフである。
図11】この発明の第1実施例の導光部材の長手方向における照度分布を示すグラフである。
図12】この発明の第2実施例の導光部材の端部を拡大して示す部分拡大平面図である。
図13】この発明の第3実施例の導光部材の端部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の第1実施例である照明装置10は、棒状の導光部材80およびその端面に対向して配置される光源82を備え、電子写真方式によって用紙に画像を形成する画像形成装置100に用いられる。詳細は後述するように、照明装置10は、画像読取装置14内に設けられる。そして、光源82から導光部材80内に入射された光を、導光部材80内で導光し、導光部材80の周側面に長手方向に沿って形成される光出射面114から画像読取位置22に向けて出射して、原稿(被照射体)を照らす。
【0024】
先ず、画像形成装置100の基本構成について概略的に説明する。この実施例では、画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置100は、装置本体12と、その上方に配置される画像読取装置14とを含む。
【0026】
装置本体12には、CPUおよびメモリ等を含む制御部28および画像形成部30などが内蔵される。制御部28は、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置100の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置100に種々の動作を実行させる。
【0027】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、後述する画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0028】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0029】
また、装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0030】
図1と共に図2を参照して、画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部が設けられる。
【0031】
また、画像読取装置14には、導光部材80および光源82を含む照明装置10、複数のミラーを含むミラーユニット70、結像レンズ72およびラインセンサ74等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を照明装置10によって露光し、原稿表面から反射した反射光をミラーユニット70等によって結像レンズ72に導く。そして、結像レンズ72によって反射光をラインセンサ74の受光素子に結像させる。ラインセンサ74では、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0032】
なお、画像読取部26は、画像読取位置22と対向する位置がホームポジションとされ、原稿載置台16に載置された原稿の画像を読み取る場合には、ADF24によって搬送される原稿が画像読取位置22を通過するときに、当該原稿表面の画像を読み取り、その画像データを取得する。また、原稿載置台16に載置された原稿の画像を読み取る場合には、照明装置10およびミラーユニット70等が原稿載置台16の下方を副走査方向に移動することによって、当該原稿表面の画像を読み取り、その画像データを取得する。
【0033】
次に、図3を参照して、照明装置10の構成について説明する。この第1実施例では、照明装置10は2つの導光部材80を備えており、導光部材80の両端面のそれぞれに対向するように、2つの光源82(図6参照)が設けられる。ただし、照明装置10は、1または3以上の導光部材80を備えたものとして構成することができる。また、光源82は、導光部材80の一方端面側のみに配置することもできる。
【0034】
具体的には、照明装置10は、導光部材80、光源82、ホルダ部材84および第1ミラー86等を備える。なお、図示は省略するが、照明装置10には、光源82を駆動制御するための光源駆動回路、および光源82に生じた熱を外部に放散するための金属製の放熱板なども適宜設けられる。
【0035】
導光部材80は、アクリル樹脂などの透明材によって形成される長尺の棒状部材であって、射出成形などを用いて製造される。導光部材80は、主走査方向に延びるように配置され、その端面(光入射面112)を介して入射された光源82からの光を、長手方向(主走査方向)に導光しつつ、その周側面に長手方向に沿って形成される光出射面114から出射する。導光部材80の具体的構成については、後述する。
【0036】
光源82は、プリント配線基板などの表面上に発光素子を搭載した部材であって、導光部材80の両端面のそれぞれに対向するように配置される(図6参照)。発光素子としては、装置を小型化でき、また、点光源としての特性を有することから、LED(Light Emitting Diode)が最も適している。ただし、LEDの代わりに、他の種類の半導体素子や電球等を適用しても構わない。また、光源82には、導光部材80の端面に向けて光を出射するための光学系を設けてもよい。
【0037】
ホルダ部材84は、2つの導光部材80を並列させて保持する部材であり、主走査方向に長尺な略矩形枠状の壁部90と、導光部材80が位置決めされて固定される略半円筒状の2つの載置部92とを有している。2つの載置部92の間には、原稿から反射してきた読取光が通過するスリット94が設けられる。また、壁部90の内側面の所定位置には、後述する導光部材80のゲート120および突起122のそれぞれと個別に係合する係合部96が形成される。
【0038】
第1ミラー86は、ガラスの一面に銀蒸着で反射膜を形成したものであり、反射膜が形成された反射面を有している。第1ミラー86は、原稿によって反射された読取光が最初に入射されるミラーであり、読取光をミラーユニット70に導くように、ホルダ部材84のスリット94の下方において所定角度で配置される。
【0039】
続いて、図4図8を参照して、導光部材80の構成について説明する。導光部材80は、透明材によって形成される長尺の棒状部材であって、略円柱状の透光性本体110を備える。透光性本体110の直径は、たとえば3mmであり、その長手方向の長さは、たとえば320mmである。
【0040】
透光性本体110(導光部材80)の両端面のそれぞれは、光源82からの光が入射される光入射面112として利用される。また、透光性本体110の周側面には、画像読取位置22と対向する周方向位置において、長手方向に沿って延びる帯状の光出射面114が形成される。また、透光性本体110の周側面には、光出射面114と反対側の周方向位置において、長手方向に沿って延びる帯状の光反射面116が形成される。
【0041】
導光部材80の光反射面116は、平面状に形成されており、この光反射面116には、図示は省略するが、光反射面116の短手方向に延び、かつ長手方向に所定間隔で並ぶ、複数の断面三角形状の凹部(反射プリズム)が形成される。光反射面116に形成する凹部の間隔は、導光部材80の長手方向の中央に行くに従い次第に小さくされる。これは、導光部材80の中央部分における光の反射量を上げることによって、導光部材80の長手方向の全長に亘って照度(照射光量)を略均一化させるためである。
【0042】
また、透光性本体110の周側面には、光出射面114と光反射面116との間の周方向位置において、長手方向の全長に亘って延びる断面略矩形状の突条118が形成されている。このような突条118を導光部材80に形成することによって、導光部材80の長手方向における機械的強度が増加して撓みの発生が抑制され、照度が不均一になる可能性が低減される。
【0043】
また、突条118の側面(突出方向の端面)には、長手方向における略中央位置において、長手方向に所定幅を有するゲート120が形成されている。また、突条118の側面には、長手方向における中央から一方の端部に向けて偏った位置において、断面略半円形状の突起122が形成されており、導光部材80は、長手方向において非対称となっている。これらゲート120および突起122は、ホルダ部材84に形成される各係合部96と係合され、これによって、照明装置10において導光部材80が正確かつ容易に位置合わせされる。また、導光部材80は、長手方向に対しても上下方向に対しても規制されるため、振動等による撓みまたは反りも抑制され、照度が不均一になる可能性が低減される。
【0044】
このような照明装置10では、上述のように、光反射面116に形成される凹部によって、導光部材80の長手方向における照度の均一化が図られる。しかし、これだけでは不十分であり、光源82に近い導光部材80の端部における出射光は、光源82から遠い導光部材80の中央部分における出射光よりも原稿に対する照度(照射光量)が大きくなる。ここで、導光部材80の長手方向における照度をより均一に近づけるためには、上述の特許文献1に開示された従来技術のように、光出射面114の光源82に近い部分に光拡散用の凹凸部(光拡散部)を形成して、光源82に近い部分における出射光を拡散させることが考えられる。しかしながら、光出射面114の光源82に近い部分に対して、光拡散用の凹凸部を単に形成するだけでは、凹凸部を形成する部分と形成しない部分との境目付近に相当する位置において、読取画像にスジ(画像スジ)が発生してしまう場合がある。
【0045】
そこで、この第1実施例では、光源82に近い導光部材80の両端部において、光出射面114に対して凹凸状の第1光拡散部124を形成すると共に、第1光拡散部124よりも小さい光拡散率を有する凹凸状の第2光拡散部126を第1光拡散部124に隣接させて形成することによって、原稿に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止するようにしている。以下、具体的に説明する。
【0046】
光出射面114には、光源82に近い第1部分に第1光拡散部124が形成されると共に、第1光拡散部124の光源82と反対側(つまり導光部材80の長手方向における中央側)の端縁に隣接する第2部分に第2光拡散部126が形成される。また、光出射面114の長手方向における中央部分(つまり光源82から遠い部分)は、凹凸が形成されない滑らかな曲面とされる。
【0047】
この第1実施例では、第1光拡散部124は、導光部材80の長手方向に沿って延び、かつ導光部材80の周方向に並ぶ、複数の断面円弧状(所謂、かまぼこ型)の凸部(第1凸部)を有する。同様に、第2光拡散部126は、導光部材80の長手方向に沿って延び、かつ導光部材80の周方向に並ぶ、複数の断面円弧状の凸部(第2凸部)を有する。ただし、第1凸部および第2凸部の断面形状は適宜変更可能であり、第1光拡散部124および第2光拡散部126の表面形状が波形状または折れ線形状となるように、第1凸部および第2凸部を形成しても構わない。
【0048】
ここで、第2光拡散部126は、第1光拡散部124よりも小さな光拡散率となるように形成される。すなわち、この第1実施例では、第2光拡散部126の凹凸の深さ(第2凸部の突出高さ)は、第1光拡散部124の凹凸の深さ(第1凸部の突出高さ)よりも小さく設定される。たとえば、第2光拡散部126の凹凸の深さは、第1光拡散部124の凹凸の深さの半分程度(40%〜60%)の大きさに設定されることが好ましい。また、第2光拡散部126の凹凸のピッチ(隣り合う第2凸部の頂部間の距離)は、第1光拡散部124の凹凸のピッチ(隣り合う第1凸部の頂部間の距離)よりも小さく設定される。たとえば、第2光拡散部126の凹凸のピッチは、第1光拡散部124の凹凸のピッチの半分程度(40%〜60%)の大きさに設定されることが好ましい。
【0049】
さらに、第2光拡散部126は、第1光拡散部124よりも、導光部材80の長手方向における長さが小さく設定される。この際、第2光拡散部126の長さR2は、第1光拡散部124の長さR1の10%〜40%の大きさとすることが好ましい。この第1実施例では、第1光拡散部124の長さR1は、たとえば55mmであり、第2光拡散部126の長さR2は、たとえば10mmである。このように、第2光拡散部126は、光拡散率が小さく、また、その形成範囲も狭いものとされるので、第2光拡散部126が導光部材80の全体的な照度に与える影響は小さい。
【0050】
また、第1光拡散部124と第2光拡散部126とは、導光部材80の周方向における長さ(幅)が略同じ大きさに設定される。この第1実施例では、第1光拡散部124および第2光拡散部126の幅Wはそれぞれ、導光部材80の中心角85度に相当する大きさに設定されている。また、第1光拡散部124および第2光拡散部126は、画像読取位置22に向かって斜め上方向に延びる光軸Xを基準として、光軸Xの上側部分(図8では左上側)の幅が、光軸Xの下側部分(図8では右下側)の幅よりも大きく設定される。
【0051】
図9図11には、光線シミュレーションソフトを用いて、第1比較例、第2比較例および第1実施例の各導光部材の長手方向における照度分布をシミュレーションした結果を示す。第1比較例の導光部材は、光出射面114に対して第1光拡散部124および第2光拡散部126を形成しない点以外は、第1実施例の導光部材80と同じ構成を有するものである。第2比較例の導光部材は、光出射面114に対して第1光拡散部124のみを形成したものであり、第2光拡散部126を形成しない点以外は、第1実施例の導光部材80と同じ構成を有するものである。また、図9図11のグラフでは、画像形成装置100の前面側に位置する導光部材の端面位置を0mmとし、背面側の端面位置を320mmとしている。
【0052】
図9に示すように、第1比較例の導光部材では、0mmから55mmまでの主走査範囲、および260mmから320mmまでの主走査範囲において、照度のピークが見られた。したがって、このピーク位置を概ねカバーするように、光出射面114に対して第1光拡散部124を形成し、この部分の照度を55mmから260mmの主走査範囲の照度に合わせれば、照度が長手方向(主走査方向)に略均一化されることが分かる。
【0053】
図10に示すように、第2比較例の導光部材では、0mmから55mmまでの主走査範囲、および260mmから320mmまでの主走査範囲の照度のピークは解消されたものの、60mm付近および240mm付近に小幅のピークが新たに見られた。これは、第1光拡散部124を形成した影響であると考えられ、このピーク位置は、画像スジが発生する位置に概ね一致する。
【0054】
これに対して、図11に示すように、第1実施例の導光部材80では、導光部材80の長手方向の全長に亘って、照度が略均一化されていることが分かる。これは、第1光拡散部124の中央部側に隣接させて第2光拡散部126を形成することによって、第1光拡散部124に起因すると考えられる照度ピークが解消され、また、第2光拡散部126が第1光拡散部124よりも小さな光拡散率を有することから、第2光拡散部126に起因する照度ピークは新たに発生しないためと考えられる。また、実際に、第1実施例の導光部材80を用いれば、画像スジの発生が防止されることが確認された。
【0055】
以上のように、この第1実施例では、光出射面114に対して第1光拡散部124を形成すると共に、第1光拡散部124よりも小さい光拡散率を有する第2光拡散部126を第1光拡散部124に隣接させて形成することによって、画像スジの発生を防止することができる。また、光源82に近い光出射面114の長手方向端部において第1光拡散部124および第2光拡散部126を形成し、光源82から遠い光出射面114の長手方向中央部分には凹凸状の光拡散部を形成しないので、原稿に対する全体的な照度の低下が抑制ないし防止される。したがって、この第1実施例によれば、原稿に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる。
【0056】
また、この第1実施例によれば、第2光拡散部126が導光部材80の長手方向に延びる複数の凸部によって形成されるので、照明装置10が載置された原稿に対して斜めに副走査方向に移動した場合や、原稿が斜め送りされた場合などにも適切に対応でき、画像スジの発生をより確実に防止することができる。
【0057】
なお、上述の第1実施例では、第2光拡散部126の凸部が導光部材80の長手方向に沿って延びるように形成したが、第2光拡散部126の凸部は、導光部材80の長手方向に対して斜め方向に延びるように形成されてもよい。これによっても、原稿が斜め送りされた場合などにも適切に対応でき、画像スジの発生をより確実に防止することができる。
【0058】
[第2実施例]
次に、図12を参照して、この発明の第2実施例である照明装置10について説明する。この第2実施例では、第2光拡散部126の凹凸の形状が上述の第1実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0059】
図12に示すように、この第2実施例の照明装置10が備える導光部材80の光出射面114の端部には、光源82に近い第1部分に第1光拡散部124が形成され、第1光拡散部124の光源82と反対側の端縁に隣接する第2部分に第2光拡散部126が形成される。そして、この第2実施例では、第2光拡散部126は、第1光拡散部124よりも小さい光拡散率を有する粗面状に形成される。
【0060】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様に、原稿に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる。
【0061】
[第3実施例]
続いて、図13を参照して、この発明の第3実施例である照明装置10について説明する。この第3実施例では、第2光拡散部126の凹凸の形状が上述の第1実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0062】
図13に示すように、この第3実施例の照明装置10が備える導光部材80の光出射面114の端部には、光源82に近い第1部分に第1光拡散部124が形成され、第1光拡散部124の光源82と反対側の端縁に隣接する第2部分に第2光拡散部126が形成される。そして、この第3実施例では、第2光拡散部126は、第1光拡散部124よりも小さい光拡散率を有するドット状の凹凸によって形成される。なお、これらドットの配列は、整列されていてもよいし、ランダムであってもよい。
【0063】
この第3実施例によれば、第1実施例と同様に、第1実施例と同様に、原稿に対する照度を低下させることなく、画像スジの発生を防止できる。
【0064】
なお、上述の各実施例では、第1光拡散部124を導光部材80の長手方向に延びる複数の凸部によって構成したが、これに限定されない。たとえば、第1光拡散部124は、粗面状またはドット状に形成されてもよい。
【0065】
また、第1光拡散部124および第2光拡散部126は、基本的には、射出成形によって光出射面114に対して一体成形されるが、後加工したり、フィルムを貼り付けたりして形成することもできる。
【0066】
また、上述の各実施例では、画像形成装置100として、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等を組み合わせた複合機を例示したが、画像形成装置100は、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。
【0067】
さらに、上で挙げた具体的な数値、材質および形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 …照明装置
14 …画像読取装置
26 …画像読取部
30 …画像形成部
80 …導光部材
82 …光源
100 …画像形成装置
112 …光入射面
114 …光出射面
116 …光反射面
124 …第1光拡散部
126 …第2光拡散部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13