(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記停止処理は、前記所定枚数に揃うまで前記包装貨幣生成部に前記バラ貨幣を送り込み、前記所定枚数に揃った前記バラ貨幣から前記包装貨幣を生成し、生成した前記包装貨幣を前記包装貨幣収納部に収納させる処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
前記制御部は、前記自動収集処理の停止中に前記オフ操作が受け付けられたことに基づいて、前記所定枚数に揃うまで前記包装貨幣生成部に前記バラ貨幣を送り込み、前記所定枚数に揃った前記バラ貨幣から前記包装貨幣を生成し、生成した前記包装貨幣を前記包装貨幣収納部に収納させる処理を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の貨幣処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
以下の実施形態において、出納機1が特許請求の範囲に記載の「貨幣処理装置」に対応する。また、管理コンピュータ2が特許請求の範囲に記載の「管理装置」に対応する。さらに、金種別収納部200が特許請求の範囲に記載の「バラ貨幣収納部」に対応する。さらに、金種別束収納部250が特許請求の範囲に記載の「包装貨幣収納部」に対応する。さらに、機器記憶部270が特許請求の範囲に記載の「記憶部」に対応する。さらに、包装紙幣生成部280が特許請求の範囲に記載の「包装貨幣生成部」に対応する。さらに、操作表示部310が特許請求の範囲に記載の「停止操作受付部」、「オフ操作受付部」、「再開操作受付部」および「通知部」に対応する。さらに、機器制御部260および端末制御部320によって特許請求の範囲に記載の「制御部」が構成される。
【0035】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0036】
図1は、本実施形態に係る、出納機1および出納機1が含まれる貨幣処理システム4の構成を示す図である。
【0037】
出納機1は、銀行等の金融機関の店舗内に設置される。出納機1は、管理コンピュータ2に、店舗内LAN等のネットワーク回線3を介して通信可能に接続される。出納機1は、管理コンピュータ2とともに、店舗内に構築された貨幣処理システム4を構成する。貨幣処理システム4には、これら構成の他、金融業務に関係する取引に利用される他の機器、たとえば、窓口カウンタに設置され、テラーにより操作される貨幣入出金機(図示せず)および窓口端末(図示せず)が含まれ得る。
【0038】
管理コンピュータ2は、出納機1および他の機器の管理を行う。管理コンピュータ2は、これら機器から送られてきた各種データを一元管理するため、制御部2aおよび記憶部2bを備える。また、管理コンピュータ2は、タッチパネルタイプのモニタディスプレイ2cを備える。
【0039】
出納機1は、紙幣処理ユニット10と、硬貨処理ユニット20と、操作端末30と、プリンタ40とを備える。操作端末30と、紙幣処理ユニット10、硬貨処理ユニット20およびプリンタ40とは、たとえば、通信ケーブル(図示せず)で接続される。なお、このような有線方式ではなく無線方式による接続がなされてもよい。
【0040】
紙幣処理ユニット10は、外郭を構成する筐体11を備える。筐体11の正面には、中央部に入金口12および出金口13が上下に並んで設けられ、上部に束出金口14が設けられる。出金口13は、上下開きのシャッター13aによって開閉され、束出金口14は、左右開きのシャッター14aにより開閉される。入金口12にはバラの状態の紙幣(バラ紙幣)が投入され、出金口13にはバラ紙幣が払い出される。束出金口14には、包装紙幣である束紙幣が払い出される。束紙幣は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣が帯封によって結束されることにより生成される。さらに、筐体11の正面には、下部に扉15が設けられる。この下部の扉15を開放させることにより、一時保留部180、一括収納部190および金種別収納部200を筐体11の外へ引き出すことができ、これらに対する紙幣の出し入れができる。なお、筐体11には、扉15の他にも扉(図示せず)が設けられる。なお、以下、束紙幣との関係からバラ紙幣との称することが望ましい場合を除き、バラ紙幣を単に紙幣と称する。
【0041】
図2は、本実施形態に係る、紙幣処理ユニット10の内部構成を示す概要図である。
【0042】
紙幣処理ユニット10は、入金部110と、出金リジェクト部120と、出金部130と、束出金部140と、搬送部150と、識別部160と、表裏揃え部170と、一時保留部180と、一括収納部190と、3つの金種別収納部200と、2つの集積部210と、結束部220と、揚送部230と、束搬送部240と、4つの金種別束収納部250とを備える。
【0043】
入金部110は、入金口12に設けられる。入金部110は、繰出機構を備え、投入されたバラ紙幣を一枚ずつ搬送部150へ繰り出す。出金リジェクト部120は、主に、出金部130への出金時に、識別部160により属性(真偽、金種、表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。
【0044】
出金部130は、出金口13に設けられる。出金部130は、主に、一時保留部180から返却された紙幣や金種別収納部200から繰り出された紙幣を受け取る。出金部130は、入金リジェクト部としても機能し、入金部110からの入金時に、識別部160により属性(真偽、金種、表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。束出金部140は、束出金口14に設けられ、主に、金種別束収納部250から繰り出された束紙幣を受け取る。
【0045】
搬送部150は、入金部110と、出金リジェクト部120と、出金部130と、一時保留部180と、一括収納部190と、3つの金種別収納部200と、2つの集積部210との間に巡らされ、これらの間において紙幣の搬送を行う。
【0046】
識別部160は、搬送部150を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する機器制御部に出力する。識別される属性には、紙幣の真偽および金種、紙幣の表裏の向きが含まれる。また、識別部160は、紙幣の計数を行う。
【0047】
表裏揃え部170は、搬送部150の一部を構成する反転部171および非反転部172を含み、搬送部150を流れる紙幣の表裏の向きを揃える。たとえば、裏を向く紙幣が反転部171に通され、表を向く紙幣が非反転部172に通されることにより、紙幣が表向きに揃えられる。
【0048】
一時保留部180は、入金部110に投入され、識別部160により属性が識別された正常な紙幣を、一時的に保留する。一時保留部180は、繰出機構を備えており、保留された紙幣を搬送部150へ繰り出すことができる。
【0049】
一括収納部190は、一時保留部180から繰り出された紙幣であって、識別部160により金種が識別できなかった紙幣や、2千円札など、金種別収納部200が割り当てられていない紙幣や、対応する金種別収納部200に収納しきれなかったオーバーフロー紙幣等を収納する。
【0050】
金種別収納部200には、一時保留部180から繰り出された紙幣であって、識別部160により金種が識別された紙幣が、金種ごとに振り分けて収納される。金種別収納部200は、繰出機構を備えており、収納された紙幣を搬送部150へ繰り出すことができる。各金種別収納部200は、一括収納部190に近い側から第1収納部201、第2収納部202および第3収納部203とされる。たとえば、第1収納部201に1万円の金種が割り当てられ、第2収納部202に5千円の金種が割り当てられ、第3収納部203に千円の金種が割り当てられる。
【0051】
集積部210は、搬送部150により搬送されたバラ紙幣を、帯封により結束される結束単位となる所定の結束枚数(たとえば、100枚)となるまで集積する。結束部220は、アーム機構、結束機構および搬送機構を備え、集積部210に集積されたバラ紙幣の束をアーム機構により取り出し、取り出したバラ紙幣の束に、結束機構により帯封を掛けて束紙幣を生成し、生成した束紙幣を搬送機構により揚送部230へ送り込む。なお、集積部210と結束部220によって、包装紙幣生成部280が構成される。
【0052】
揚送部230は、上下方向に搬送路が形成されるとともに搬送路内にリフト機構を備え、結束部220から送り込まれた束紙幣をリフト機構によって揚送部230の上部に配置された束搬送部240へ送る。束搬送部240は、揚送部230から送られてきた束紙幣を、4つの金種別束収納部250のうち、その束紙幣の金種に対応する金種別束収納部250へ搬送する。また、束搬送部240は、各金種別束収納部250から繰り出された束紙幣を束出金部140へ搬送する。
【0053】
4つの金種別束収納部250は、それぞれに割り当てられた金種の束紙幣を収納する。たとえば、2つの金種別束収納部250に1万円の金種が割り当てられ、残りの2つの金種別束収納部250に、千円および5千円の金種が割り当てられる。金種別束収納部250は、繰出機構を備えており、収納された束紙幣を束搬送部240へ繰り出すことができる。
【0054】
図3(a)および(b)は、本実施形態に係る、紙幣の入金処理が行われたときの紙幣処理ユニット10内での紙幣の流れを示す図である。
図4(a)は、本実施形態に係る、紙幣の出金処理が行われたときの紙幣処理ユニット10内での紙幣の流れを示す図であり、
図4(b)は、金種別収納部200内のバラ紙幣から束紙幣を生成し、金種別束収納部250に収納するときの紙幣処理ユニット10内での紙幣の流れを示す図である。
【0055】
紙幣の入金処理を行う際には、入金される紙幣が係員によって入金部110に投入される。係員による入金の開始操作が行われると、
図3(a)に示すように、入金部110に投入された紙幣が、一枚ずつ繰り出されて搬送部150で搬送され、その際に識別部160で紙幣の属性が識別される。識別部160での識別の結果、正常と見做された紙幣が、表裏揃え部170で表裏が揃えられた後に一時保留部180に保留される。
【0056】
紙幣が一時保留部180に一時的に保留された状態で、係員による入金の確定操作が行われると、
図3(b)に示すように、一時保留部180から紙幣が一枚ずつ繰り出されて搬送部150で搬送され、その際に識別部160で紙幣の金種が識別される。そして、金種が識別された紙幣は、その金種が割り当てられた一括収納部190や金種別収納部200に収納される。なお、係員により返却操作がなされた場合は、一時保留部180内の紙幣が出金部130に返却される。
【0057】
紙幣の出金処理を行う際には、係員によって、出金される紙幣の枚数や金額が指定され、開始操作が行われる。
図4(a)に示すように、出金される金種に応じた金種別収納部200内のバラ紙幣が、一枚ずつ繰り出されて搬送部150で搬送され、その際に識別部160で紙幣の属性が識別される。識別部160での識別の結果、正常と見做された紙幣が、出金部130に投出される。
【0058】
収集開始条件の成立により自動で行われる自動収集処理(後述する)、あるいは束数を指定して手動で行われる手動収集処理の際には、
図4(b)に示すように、対象となる金種別収納部200からバラ紙幣が繰り出され、繰り出されたバラ紙幣が搬送部150によって集積部210まで搬送される。搬送されたバラ紙幣は、2つの集積部210において、交互に、結束枚数に揃うまで集積される。結束枚数に揃った紙幣は、結束部220において帯封で結束(包装)される。これにより、束紙幣(包装紙幣)が生成される。生成された束紙幣は、揚送部230と束搬送部240とにより搬送され、その束紙幣の金種に対応する金種別束収納部250に収納される。
【0059】
図1に戻り、硬貨処理ユニット20は、外郭を構成する筐体20aを備える。筐体20aの上面には、入金口21が設けられる。また、筐体20aの正面には、左側に入金リジェクト口22、バラ一括箱23、返却箱24、出金箱25および袋取りシュート26が設けられ、右側に包装硬貨出金口27、包装硬貨一括箱28および機外投出口29が設けられる。バラ一括箱23、返却箱24、出金箱25、袋取りシュート26および包装硬貨一括箱28は、筐体20aから前方に引き出し自在に構成される。
【0060】
硬貨処理ユニット20の内部には、複数の金種別収納部からなるバラ硬貨収納部20Aと、各金種別収納部に対応する複数の保留部からなるバラ硬貨一時保留部20Bと、集積部と包装部とからなる包装硬貨生成部20Cと、複数の金種別収納部からなる包装硬貨収納部20Dとが設けられる。
【0061】
硬貨を入金する入金処理の際には、バラ状態の硬貨(バラ硬貨)が入金口21に投入される。投入されたバラ硬貨は、一枚ずつ繰り出されて識別され、正常な硬貨でない場合は、入金リジェクト口22に返却され、正常な硬貨である場合は、バラ硬貨一時保留部20Bに一時的に収納される。バラ硬貨一時保留部20B内のバラ硬貨は、承認操作がなされるとバラ硬貨収納部20Aに収納され、返却操作がなされると返却箱24に返却される。バラ硬貨収納部20Aにバラ硬貨が収納しきれなくなった場合、オーバーフローしたバラ硬貨がバラ一括箱23に収納される。
【0062】
硬貨を出金する出金処理の際には、バラ硬貨収納部20A内のバラ硬貨が出金箱25に払い出される。バラ硬貨を出金して袋詰めする場合には、筐体20aから引き出された袋取りシュート26に現金袋が接続され、バラ硬貨収納部20A内のバラ硬貨が袋取りシュート26を通じて現金袋に投出される。
【0063】
さらに、硬貨処理ユニット20では、包装のために入金口21に投入されたバラ硬貨が包装硬貨生成部20Cに送られる。包装硬貨生成部20Cでは、集積部において所定の包装数枚(たとえば、50枚)のバラ硬貨が棒状に重ねられ、包装部において棒状の硬貨が包装材で包装される。これにより、包装硬貨が生成される。生成された包装硬貨は、包装硬貨収納部20Dに収納される、あるいは包装硬貨出金口27に払い出される。包装硬貨が大量に払い出される場合には、機外投出口29が利用される。この場合、機外投出口29の下方に包装硬貨を受ける現金箱等が置かれる。包装硬貨収納部20Dに包装硬貨が収納しきれなくなった場合、オーバーフローした包装硬貨が包装硬貨一括箱28に収納される。
【0064】
なお、紙幣の場合と同様、自動収集処理または手動収集処理が行われたときには、バラ硬貨収納部20Aのバラ硬貨が繰り出されて、これらバラ硬貨から包装貨幣が生成され、包装硬貨収納部20Dに収納される。
【0065】
操作端末30およびプリンタ40は、硬貨処理ユニット20の上部に配置される。操作端末30には、正面に操作表示部310が設けられる。操作表示部310は、操作のための画面を表示するとともに、表示された画面への操作を受け付ける。プリンタ40は、入出金された紙幣の枚数、金額等、処理結果の情報を、ジャーナルとして用紙に印字する。なお、操作端末30は、テラー、その他の係員が所有するタブレット端末5や携帯電話端末6との間で、近距離無線による通信を行うことができる。これらタブレット端末5や携帯電話端末6が貨幣処理システム4に含まれる場合もある。
【0066】
図5は、本実施形態に係る、出納機1の主たる構成を示すブロック図である。
【0067】
紙幣処理ユニット10は、上述した各部110〜250の他、機器制御部260、機器記憶部270を備える。
【0068】
機器制御部260は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、機器記憶部270に記憶されたプログラムに従って、各部110〜250を制御する。機器記憶部270は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、機器制御部260の動作プログラムを記憶し、また、機器制御部260の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0069】
操作端末30は、上述した操作表示部310の他、端末制御部320、端末記憶部330および通信部340を備える。
【0070】
操作表示部310は、ディスプレイ311とタッチセンサ312とからなるタッチパネルで構成される。ディスプレイ311は、各種の画像(画面)を表示する。タッチセンサ312は、ディスプレイ311に重ねられディスプレイ311に対するユーザのタッチ操作を検出する。
【0071】
端末制御部320は、CPU等の演算回路を備え、端末記憶部330に記憶されたプログラムに従って、操作表示部310、通信部340、プリンタ40等を制御する。また、端末制御部320は、紙幣処理ユニット10の機器制御部260および硬貨処理ユニット20の機器制御部400との間で、各種情報(指令を含む)のやり取りを行う。なお、機器制御部400は、上述したバラ硬貨収納部20A、バラ硬貨一時保留部20B、包装硬貨生成部20C、包装硬貨収納部20D等、硬貨処理ユニット20内の各部を制御する。
【0072】
端末記憶部330は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、端末制御部320の動作プログラムを記憶し、また、端末制御部320の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0073】
端末記憶部330には、紙幣処理ユニット10の一括収納部190および各金種別収納部200内に収納されたバラ紙幣の数量データが、各収納部190、200に割り当てられた金種に対応付けられて記憶される。また、端末記憶部330には、各金種別束収納部250内に収納された束紙幣の数量データが、各金種別束収納部250に割り当てられた金種に対応付けられて記憶される。バラ紙幣や束紙幣の数量データは、新たな取引処理(入金処理、出金処理等)が行われると、その際に行われる識別部160での枚数の計数結果に応じて更新される。
【0074】
同様に、端末記憶部330には、硬貨処理ユニット20のバラ硬貨収納部20Aの各金種別収納部に収納された硬貨の数量データが、各金種別収納部に割り当てられた金種に対応付けられて記憶される。また、端末記憶部330には、包装硬貨収納部20Dの各金種別収納部に収納された包装硬貨の数量データが、各金種別収納部に割り当てられた金種に対応付けられて記憶される。
【0075】
なお、金種別収納部200等に、収納された貨幣(紙幣、硬貨)の数量を検出するための検出センサが設けられてもよい。
【0076】
出納機1には、紙幣処理ユニット10、硬貨処理ユニット20、操作端末30およびプリンタ40に電源を供給する電源ユニット50が備えられる。電源ユニット50には、出納機1の所定の部位に設けられ、係員による電源をオンするオン操作および電源をオフするオフ操作を受け付ける電源スイッチ50aが含まれる。
【0077】
さて、本実施形態の出納機1には、自動収集処理を行う機能が備えられている。自動収集処理は、紙幣処理ユニット10における金種別収納部200内のバラ紙幣や硬貨処理ユニット20におけるバラ硬貨収納部20Aの金種別収納部内のバラ硬貨の収納量が満杯や満杯に近い状態となったときに、それら金種別収納部200等内に空を作ることで新たに入金されるバラ紙幣やバラ硬貨の受入れが可能となるよう、自動的に、それら金種別収納部200等からバラ紙幣やバラ硬貨を繰り出して、束紙幣や包装硬貨を生成し、生成した束紙幣や包装硬貨を紙幣処理ユニット10における金種別束収納部250内や硬貨処理ユニット20おけるに包装硬貨収納部20Dの金種別収納部に収納させる処理である。また、金種別束収納部250等に収納された束紙幣や包装硬貨の数量が少なくなった場合にも、自動収集処理が行われる。
【0078】
自動収集処理は、出納機1が自動的に行うものであるため、その実行が係員等に望まれないタイミングで開始される場合がある。そこで、本実施形態の出納機1では、紙幣および硬貨、即ち貨幣の自動収集処理が、その実行途中において停止することを可能としている。
【0079】
貨幣の自動収集処理を行うための制御処理(以下、「自動収集制御処理」と称する)が機器制御部260、400と端末制御部320とにより行われる。
【0080】
紙幣処理ユニット10(機器制御部260)と操作端末30(端末制御部320)とで行われる紙幣の自動収集制御処理と、硬貨処理ユニット20(機器制御部400)と操作端末30(端末制御部320)とで行われる硬貨の自動収集制御処理との違いは、主として、対象となる貨幣が紙幣であるか硬貨であるかである。よって、以下では、代表例として、紙幣の自動収集制御処理について説明する。
【0081】
図6は、本実施形態に係る、紙幣処理ユニット10側で行われる自動収集制御処理のフローチャートである。
図7ないし
図9は、本実施形態に係る、操作端末30側で行われる自動収集制御処理のフローチャートである。
図10(a)は、本実施形態に係る、自動収集処理が開始される前の待機画面S1の状態を示す図であり、
図10(b)は、本実施形態に係る、自動収集処理が行われているときの待機画面S1の状態を示す図である。
図10(c)は、本実施形態に係る、自動収集処理が一時停止されているときの待機画面S1の状態を示す図であり、
図10(d)は、本実施形態に係る、待機画面S1上に再開確認ウィンドウW1がポップアップ表示された状態を示す図である。
図11(a)は、本実施形態に係る、待機画面S1上に収集時確認ウィンドウW2がポップアップ表示された状態を示す図であり、
図11(b)は、本実施形態に係る、待機画面S1上に停止時確認ウィンドウW3がポップアップ表示された状態を示す図である。
【0082】
出納機1が待機状態にあるとき、操作端末30の操作表示部310には、待機画面S1が表示される。
図10(a)に示すように、待機画面S1には、バラ紙幣の数量(在高)が金種別に示されたバラ紙幣数量表示部D1と、束紙幣の数量(在高)が金種別に示された束紙幣数量表示部D2と、バラ硬貨の数量(在高)が金種別に示されたバラ硬貨数量表示部D3と、包装硬貨の数量(在高)が金種別に示された包装硬貨数量表示部D4とが含まれる。また、待機画面S1には、バラ紙幣数量表示部D1と束紙幣数量表示部D2との間の位置に、グレーアウト表示された一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2が含まれる。この状態では、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2への操作が無効化されている。
【0083】
図6を参照し、紙幣処理ユニット10側では、機器制御部260が、何れかの金種別収納部200または金種別束収納部250において、収集開始条件が成立したか否かを監視する(S101)。収集開始条件は、自動収集処理を開始するための条件であり、たとえば、以下の開始条件1および開始条件2のうち、少なくとも何れか1つの開始条件が収集開始条件とされ得る。
【0084】
開始条件1:金種別収納部200内のバラ紙幣の数量が第1開始数量を超えており、且つ、第1開始数量を超えている金種別収納部200と同じ金種に割り当てられた金種別束収納部250内の束紙幣の数量が空き保障数量を割っている
開始条件2:金種別束収納部250内の束紙幣の数量が第2開始数量を割っており、且つ、第2開始数量を割っている金種別束収納部250と同じ金種に割り当てられた金種別収納部200内のバラ紙幣の数量が出金保障数量を超えている
ここで、第1開始数量は、たとえば、金種別収納部200が満杯状態(フル状態)または満杯状態に近い状態(ニアフル状態)のときのバラ紙幣の数量に設定され得る。また、空き保障数量は、金種別収納部200に十分な空ができるまでに生成される数量の束紙幣が収納可能となるような数量に設定され得る。さらに、第2開始数量は、たとえば、金種別束収納部250が空に近い状態の束紙幣の数量に設定され得る。さらに、出金保障数量は、金種別束収納部250に必要な数量分の束紙幣を生成するためにバラ紙幣が使われても、ある程度の回数の出金処理が可能となるような数量に設定され得る。
【0085】
バラ紙幣の入金処理や束紙幣の出金処理が行われた結果、何れかの金種別収納部200または金種別束収納部250において、収集開始条件が成立すると(S101:YES)、機器制御部260は、端末制御部320へ収集開始の通知を行った後に(S102)、収集開始条件が成立した金種別収納部200とそれに対応する金種別束収納部250または収集開始条件が成立した金種別束収納部250とそれに対応する金種別収納部200に対して自動収集処理を開始する(S103)。
図4(b)にて説明した通り、金種別収納部200からがらバラ紙幣が繰り出されて、繰り出されたバラ紙幣から束紙幣が生成され、生成された束紙幣が金種別束収納部250に収納される。自動収集処理中に変化する金種別収納部200内のバラ紙幣の数量データおよび金種別束収納部250内の束紙幣の数量データは、リアルタイムに機器制御部260から端末制御部320へ送られる。
【0086】
自動収集処理が行われている間、機器制御部260は、端末制御部320から一時停止指令または強制終了指令が発せられたか否かを監視する(S104、S105)。また、機器制御部260は、収集終了条件が成立したか否かを監視する(S106)。収集終了条件は、自動収集処理を終了するための条件であり、たとえば、以下の終了条件1ないし終了条件3のうち、少なくとも何れか1つの終了条件が収集終了条件とされ得る。
【0087】
終了条件1:予め設定された数量の束紙幣が生成された
終了条件2:金種別収納部200内のバラ紙幣の数量が第1終了数量を割った
終了条件3:金種別束収納部250内の束紙幣の数量が第2終了数量に達した
なお、終了条件1は、開始条件1および開始条件2のどちらによって自動収集処理が開始されたときにも使用され得る。一方、終了条件2は、開始条件1により自動収集処理が開始されたときに使用され、終了条件3は、開始条件2により自動収集処理が開始されたときに使用され得る。
【0088】
ここで、第1終了数量は、自動収集処理の後、入金処理がある程度集中しても第1開始数量を超えず、出金処理がある程度集中しても出金保障数量を割らない値、たとえば、出金保障数量と第1開始数量との中間程度の数量に設定され得る。また、第2終了数量は、たとえば、金種別束収納部250が満杯状態(フル状態)または満杯状態に近い状態(ニアフル状態)のときの束紙幣の数量に設定され得る。
【0089】
端末制御部320から一時停止指令または強制終了指令が発せられることなく、収集終了条件が成立すると(S106:YES)、機器制御部260は、自動収集処理を終了し、端末制御部320へ収集完了の通知を行う(S107)。ここで、収集終了条件の成立の有無は、金種別収納部200から結束枚数分のバラ紙幣が繰り出される毎に判定され、収集終了条件が成立した場合、新たなバラ紙幣の繰り出しは行われない。よって、最後に繰り出されたバラ紙幣から生成された束紙幣が金種別束収納部250に収納されたときに自動収集処理が終了することとなる。
【0090】
なお、バラ紙幣の入金処理や束紙幣の出金処理が行われた結果、複数の金種別収納部200または金種別束収納部250において収集開始条件が成立した場合、収集開始条件が成立した全ての金種別収納部200または金種別束収納部250に対して順次自動収集処理が行われる。
【0091】
収集完了の通知が行われると、紙幣処理ユニット10側の自動収集制御処理が一旦終了されて最初から開始される。
【0092】
図7を参照し、操作端末30側では、端末制御部320が、操作表示部310に待機画面S1(
図10(a)参照)を表示させた状態で、機器制御部260から収集開始の通知がなされたか否かを監視する(S201)。紙幣処理ユニット10側で自動収集処理が開始されることにより、収集開始の通知がなされると(S201:YES)、端末制御部320は、待機画面S1に含まれる一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2への操作を有効にする(S202)。
図10(b)に示すように、待機画面S1では、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2のグレーアウト表示が解除される。これにより、一時停止ボタンB1の押下による一時停止操作および強制終了ボタンB2の押下による強制終了操作が、操作表示部310によって受け付け可能となる。また、待機画面S1には、強制終了ボタンB2の下方位置に、バラ紙幣が束紙幣に変換されていることを示す矢印マークD5が表示される。さらに、自動収集処理の進行に応じて、バラ紙幣数量表示部D1では、自動収集処理の対象となる金種のバラ紙幣量が減少し、束紙幣数量表示部D2では、自動収集処理の対象となる金種の束紙幣量が増加する。
【0093】
端末制御部320は、一時停止操作または強制終了操作がなされたか否かを監視する(S203、S204)。また、端末制御部320は、電源スイッチ50aに対する電源のオフ操作がなされたか否かを監視する(S205)。さらに、端末制御部320は、機器制御部260から収集完了の通知がなされたか否かを監視する(S206)。
【0094】
一時停止操作、強制終了操作または電源のオフ操作がなされることなく、自動収集処理が完了し、機器制御部260から収集完了の通知を受けると(S206:YES)、端末制御部320は、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2への操作を無効化する(S207)。一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2は、再び、
図10(a)のようなグレーアウト表示の状態となる。また、待機画面S1上から矢印マークD5が消去される。操作端末30側の自動収集制御処理が一旦終了されて最初から開始される。
【0095】
自動収集処理が行われている最中において、係員等は、自動収集処理を一時的に停止させようする場合には一時停止操作を行い、自動収集処理を強制的に終了させようとする場合には強制終了操作を行う。何れの操作も自動収集処理を停止させる操作であるが、一時停止操作の場合には、自動収集処理は中断した状態となるので、後述する収集再開操作によって自動収集処理を再開させることができる。一方、強制終了操作の場合には、自動収集処理が強制的に終了されるので再開はできず、その後、再び、収集開始条件が成立するのを待つことになる。
【0096】
まず、自動収集処理の最中に係員等が一時停止操作を行った場合について説明する。
【0097】
一時停止操作がなされた場合(S203:YES)、端末制御部320は、一時停止指令を機器制御部260へ出力する(S208)。
【0098】
図6に戻り、紙幣処理ユニット10側では、端末制御部320から一時停止指令が発せられると(S104:YES)、機器制御部260が、一時停止処理を行った後に自動収集処理を停止させる(S108)。即ち、機器制御部260は、金種別収納部200からのバラ紙幣の繰出しを停止する。また、機器制御部260は、金種別束収納部250へ搬送中の束紙幣を金種別束収納部250内に収納させる。また、機器制御部260は、結束部220にあるバラ紙幣から束紙幣を生成し、生成した束紙幣を金種別束収納部250内に収納させる。さらに、機器制御部260は、搬送部150上に残留するバラ紙幣を2つの集積部210に送り込む。2つの集積部210のバラ紙幣が結束枚数になっても搬送部150上にバラ紙幣が残る場合、機器制御部260は、その残ったバラ紙幣を金種別収納部200に戻す。さらに、機器制御部260は、自動収集処理の進行状況に係る情報として、停止時点までに金種別束収納部250に送り込んだ束紙幣の数量、再開後に金種別束収納部250に送り込まれる予定の束紙幣の数量、集積部210に保持されているバラ紙幣の数量などの情報を、機器記憶部270に記憶させる。なお、一時停止処理は、特許請求の範囲の「停止処理」に対応する。
【0099】
自動収集処理が停止した状態において、揚送部230および束搬送部240には束紙幣が残留せず、搬送部150にはバラ紙幣が残留しない。
【0100】
このような一時停止処理が行われた後に、自動収集処理が停止されると、機器制御部260は、端末制御部320へ停止完了の通知を行う(S109)。
【0101】
図7に戻り、操作端末30側では、一時停止指令の出力後(S208)、機器制御部260から停止完了の通知がなされると(S209:YES)、端末制御部320が、
図10(c)のように、操作表示部310に通知アイコンC1を表示させ、自動収集処理が停止中であることを通知させる(S210)。さらに、端末制御部320は、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2への操作を無効化する(S211)。
図10(c)のように、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2が、再び、グレーアウト表示の状態となるとともに、待機画面S1上から矢印マークD5が消去される。
【0102】
通知アイコンC1は、自動収集処理の再開のためにも利用される。即ち、
図8を参照し、端末制御部320は、自動収集処理が停止(中断)している間、通知アイコンC1が押下されたか否かを監視する(S212)。そして、通知アイコンC1が押下されると(S213)、端末制御部320は、操作表示部310に表示された待機画面S1上に再開確認ウィンドウW1をポップアップ表示させる(S213)。
図10(d)に示すように、再開確認ウィンドウW1には、再開ボタンB3および戻しボタンB4が含まれる。再開ボタンB3の押下による再開操作および戻しボタンB4の押下による戻し操作が操作表示部310で受け付けられる。
【0103】
端末制御部320は、再開操作または戻し操作がなされたか否かを判定する(S214、S215)。係員等は、自動収集処理を再開させる場合には再開ボタンB3を押下し、自動収集処理の再開を止める場合には戻しボタンB4を押下する。
【0104】
再開操作がなされると(S214:YES)、端末制御部320は、再開確認ウィンドウW1を消去し(S216)、機器制御部260へ再開指令を出力する(S217)。そして、S202の処理に戻り、端末制御部320は、待機画面S1に含まれる一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2への操作を有効化する。
図10(b)のように、待機画面S1では、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2のグレーアウト表示が解除され、また、矢印マークD5が表示される。さらに、通知アイコンC1が消去される。一方、戻し操作がなされると(S215:YES)、端末制御部320は、再開確認ウィンドウW1を消去し(S218)、S212の処理に戻って、再び通知アイコンC1の押下を監視する。
【0105】
再び
図6に戻り、紙幣処理ユニット10側では、端末制御部320へ停止完了の通知を行った後(S109)、端末制御部320から再開指令が発せられると(S110:YES)、S102の処理に戻り、機器制御部260が、端末制御部320へ収集開始(再開)の通知を行った後、再び、自動収集処理を開始させる(S103)。このとき、機器制御部260は、機器記憶部270に記憶した進行状況に係る情報に基づいて自動収集処理を再開させる。たとえば、金種別束収納部250に送り込んだ束紙幣の数量は、停止時に機器記憶部270に記憶された束紙幣の数量から計数が開始され、集積部210内のバラ紙幣の数量も、停止時に機器記憶部270に記憶された集積部210内のバラ紙幣の数量から計数が再開される。
【0106】
次に、自動収集処理の最中に係員等が強制終了操作を行った場合について説明する。
【0107】
図7のように、操作端末30側では、強制終了操作がなされた場合(S204:YES)、端末制御部320が、強制終了指令を機器制御部260へ出力する(S219)。
【0108】
図6のように、紙幣処理ユニット10側では、端末制御部320から強制終了指令が発せられると(S105:YES)、機器制御部260が、強制終了処理を行った後に自動収集処理を停止させる(S111)。即ち、機器制御部260は、金種別束収納部250へ搬送中の束紙幣を金種別束収納部250内に収納させる。また、機器制御部260は、2つの集積部210内の紙幣の枚数が結束枚数になるまで、バラ紙幣を2つの集積部210に送り込み、結束部220および集積部210にあるバラ紙幣から束紙幣を生成し、生成した束紙幣を金種別束収納部250内に収納させる。強制終了処理が開始されたときに搬送部150上に残留する紙幣のみによって集積部210のバラ紙幣が結束枚数に達し、その上で搬送部150上にバラ紙幣が残った場合、機器制御部260は、その残ったバラ紙幣を金種別収納部200に戻す。なお、強制終了処理は、特許請求の範囲の「停止処理」に対応する。
【0109】
自動収集処理が停止した状態において、揚送部230および束搬送部240には、束紙幣が残留せず、包装紙幣生成部280(集積部210、結束部220)および搬送部150には、バラ紙幣が残留しない。即ち、一時停止操作が行われた場合には、その後の再開を前提としているので、金種別収納部200から繰り出されたが束紙幣に変換されていないバラ紙幣、即ち仕掛のバラ紙幣が集積部210に残ることがあるが、強制終了操作が行われた場合には、その後の再開を前提としないので、仕掛のバラ紙幣が、全て束紙幣に変換されて金種別束収納部250に収納される。
【0110】
このような強制終了処理が行われた後に、自動収集処理が停止されると、機器制御部260は、端末制御部320へ停止完了の通知を行う(S112)。こうして、紙幣処理ユニット10側の自動収集制御処理が終了する。
【0111】
図7のように、操作端末30側では、強制終了指令の出力後(S219)、機器制御部260から停止完了の通知がなされると(S220:YES)、端末制御部320は、自動収集処理が完了したときと同様、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2への操作を無効化する(S207)。こうして、操作端末30側の自動収集制御処理が終了する。
【0112】
次に、自動収集処理の最中に係員等が電源のオフ操作を行った場合について説明する。
【0113】
図7および
図9を参照し、操作端末30側において、電源のオフ操作がなされたと判定された場合(S205:YES)、端末制御部320は、操作表示部310に表示された待機画面S1上に収集時確認ウィンドウW2をポップアップ表示させる(S221)。
図11(a)に示すように、収集時確認ウィンドウW2には、収集継続ボタンB5および収集終了ボタンB6が含まれる。収集継続ボタンB5の押下による収集継続操作および収集終了ボタンB6の押下による収集終了操作が操作表示部310で受け付けられる。
【0114】
端末制御部320は、収集継続操作または収集終了操作がなされたか否かを判定する(S222、S223)。係員等は、出納機1の電源をオフせず自動収集処理を継続させる場合に収集継続ボタンB5を押下し、自動収集処理を強制的に終了させて電源をオフする場合に収集終了ボタンB6を押下する。
【0115】
収集継続操作がなされると(S222:YES)、端末制御部320は、収集時確認ウィンドウW2を消去する(S224)。そして、S203の処理に戻り、収集完了の通知を受けるまで、一時停止操作、強制終了操作および電源のオフ操作の監視を続ける(S203ないしS206)。一方、収集終了操作がなされると(S223:YES)、端末制御部320は、機器制御部260に強制終了指令を出力する(S225)。これにより、紙幣処理ユニット10側では、強制終了操作がなされたときと同様に、強制終了指令に基づいて強制終了処理の後に、自動収集処理が停止され、停止完了の通知が行われる(S111、S112)。機器制御部260から停止完了の通知がなされると(S226:YES)、端末制御部320は、収集時確認ウィンドウW2を消去し(S227)、電源ユニット50に対して電源オフ指令を出力する(S228)。こうして、操作端末30側の自動収集制御処理が終了される。
【0116】
電源ユニット50は、電源オフ指令に従って所定の電源オフ処理を行う。これによって、出納機1の電源がオフされる。
【0117】
一時停止操作に基づいて自動収集処理が一時停止している間に、係員等によって電源のオフ操作なされる場合がある。以下この場合について説明する。
【0118】
図8を参照して、操作端末30側において、端末制御部320は、自動収集処理が一時停止している間、通知アイコンC1の押下の有無だけでなく、電源のオフ操作がなされたか否かも監視する(S229)。そして、電源のオフ操作がなされると(S229:YES)、端末制御部320は、操作表示部310に表示された待機画面S1上に停止時確認ウィンドウW3をポップアップ表示させる(S230)。
図11(b)に示すように、停止時確認ウィンドウW3には、収集再開ボタンB7および収集終了ボタンB8が含まれる。収集再開ボタンB7の押下による収集再開操作および収集終了ボタンB8の押下による収集終了操作が操作表示部310で受け付けられる。
【0119】
収集再開操作がなされると(S231:YES)、端末制御部320は、停止時確認ウィンドウW3を消去し(S233)、機器制御部260へ再開指令を出力する(S217)。この再開指令に基づいて、紙幣処理ユニット10側では、自動収集処理が再び開始される(S110:YES→S102→S103)。一方、収集終了操作がなされると(S232:YES)、端末制御部320は、機器制御部260へ終了指令を出力する(S234)。
【0120】
図6を参照して、紙幣処理ユニット10側では、自動収集処理が一時停止している間、再開指令が発せられたか否かとともに(S110)、終了指令が発せられたか否かも監視している(S113)。端末制御部320から終了指令が発せられると(S113:YES)、機器制御部260は、収集終了処理を行う(S114)。即ち、機器制御部260は、2つの集積部210内の紙幣の枚数が結束枚数になるまで金種別収納部200からバラ紙幣を2つの集積部210に送り込み、その後、結束枚数に揃ったバラ紙幣を結束部220へ搬送して束紙幣を生成し、生成した束紙幣を金種別束収納部250内に収納させる。これにより、強制終了処理の後に自動収集処理が停止したときと同じように、仕掛のバラ紙幣が、全て束紙幣に変換されて金種別束収納部250に収納されることになる。
【0121】
このような収集終了処理が行われると、機器制御部260は、端末制御部320へ収集終了処理の完了を通知する(S115)。こうして、紙幣処理ユニット10側の自動収集制御処理が終了する。
【0122】
図8に戻り、操作端末30側では、機器制御部260から収集終了処理の完了が通知されると(S235:YES)、端末制御部320が、停止時確認ウィンドウW3を消去し(S236)、電源ユニット50に対して電源オフ指令を出力する(S237)。こうして、操作端末30側の自動収集制御処理が終了される。また、出納機1の電源がオフされる。
【0123】
硬貨処理ユニット20(機器制御部400)と操作端末30(端末制御部320)とにより行われる硬貨の自動収集制御処理については、これまでに説明した紙幣の自動収集制御処理と同様である。硬貨の自動取集制御処理では、
図12(a)および(b)に示すように、操作表示部310に表示された待機画面S1のバラ硬貨数量表示部D3と包装硬貨数量表示部D4との間に一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2が配置される。自動収集処理が開始される前には、
図12(a)のように、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2がグレーアウト表示され、自動収集処理が行われている間は、
図12(b)のように、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2のグレーアウト表示が解除される。また、自動収集処理が行われている間は、強制終了ボタンB2の下方位置に矢印マークD5が表示される。なお、実際には、待機画面S1において、バラ紙幣数量表示部D1と束紙幣数量表示部D2との間の位置とバラ硬貨数量表示部D3と包装硬貨数量表示部D4との間の位置のそれぞれに、一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2が配置される。
【0124】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0125】
(1)一時停止操作または強制終了操作を行うことによって、実行途中の自動収集処理を停止させることができる。
【0126】
(2)自動収集処理を停止する前に、一時停止処理または強制終了処理が行われ、搬送部150からバラ紙幣(バラ硬貨)が除去される。このため、自動収集処理の停止中に入金処理や出金処理が行われることが生じても、搬送部150にバラ紙幣が残留していないので、エラーに繋がってしまうことが防止される。
【0127】
(3)強制終了操作に基づいて行われる強制終了処理では、結束枚数に揃うまでバラ紙幣(バラ貨幣)を包装紙幣生成部280に送り込み、包装紙幣生成部280内の全てのバラ紙幣を束紙幣(包装貨幣)に変換して金種別束収納部250に収納するようにしているので、自動収集処理を停止したときに、包装紙幣生成部280内にバラ紙幣を残さないようにすることができる。よって、自動収集処理を再開させずにそのまま終了させても、その後、包装紙幣生成部280を用いた取引処理を行うことが可能となる。
【0128】
(4)一時停止操作に基づいて自動収集処理が停止されたとき、通知アイコンC1によって自動収集処理が停止中であることが通知されるようにしているので、自動収集処理が停止中であることを係員等が認識できる。
【0129】
(5)一時停止操作に基づいて自動収集処理が停止されたとき、係員等は、再開確認ウィンドウW1上での再開操作を行うことで、停止している自動収集処理を再開させることができる。しかも、その後に自動収集処理の再開が見込まれる一時停止処理では、包装紙幣生成部280内にバラ紙幣を残したままとするため、強制終了処理に比べて処理に要する時間を短くでき、自動収集処理を早く停止させることが可能となる。
【0130】
(6)一時停止操作に基づいて自動収集処理が停止されたときに進行状況に係る情報が機器記憶部270に記憶され、再開操作がなされたときに、進行状況に係る情報に基づいて自動収集処理が再開される。これにより、自動収集処理を停止前の続きから適正に再開させることが可能となる。
【0131】
(7)自動収集処理中に出納機1の電源をオフするオフ操作がなされた場合は、強制終了処理が行われ、搬送部150からバラ紙幣(バラ硬貨)が除去された後に、自動収集処理が停止されるので、搬送部150にバラ紙幣が残留した状態で出納機1の電源がオフされることが防止できる。これにより、次に出納機1の電源がオンされ、入金処理や出金処理が行われたときのバラ紙幣の残留エラーが防止される。しかも、包装紙幣生成部280内にバラ紙幣が残らないので、次に出納機1の電源がオンされたときに、自動収集処理が再開されなくても、包装紙幣生成部280を用いた取引処理を行うことが可能となる。
【0132】
(8)一時停止操作に基づく自動収集処理の停止中に電源のオフ操作がなされた場合は、収集終了処理が行われ、包装紙幣生成部280に残っているバラ紙幣(バラ貨幣)が結束枚数となるまで包装紙幣生成部280にバラ紙幣が送り込まれ、包装紙幣生成部280内の全てのバラ紙幣が束紙幣(包装貨幣)に変換されて金種別束収納部250に収納されるので、包装紙幣生成部280にバラ紙幣が残留した状態で電源がオフされることが防止できる。これにより、次に出納機1の電源がオンされたときに、自動収集処理が再開されなくても、包装紙幣生成部280を用いた取引処理を行うことが可能となる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
【0134】
<変更例1>
図13は、変更例1に係る、操作端末30側で行われる自動収集制御処理のフローチャートであり、
図7に対応するフローチャートである。なお、本変更例の自動収集制御処理では、上記実施形態の自動収集制御処理に比較して、S240およびS241の処理が追加されている。また、
図13のフローチャートでは、S232、S234ないしS237の処理が省略されている。
【0135】
本変更例では、操作端末30側において、通知アイコンC1を表示し(S210)、待機画面S1上の一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2を無効すると(S211)、さらに、端末制御部320は、制限時間のカウントを開始する(S240)。制限時間は、たとえば、10分であり、予め設定される。なお、制限時間は、自動収集処理が一時停止されたときに、係員等が自由に設定できるようにしてもよい。
【0136】
通知アイコンC1の押下または電源のオフ操作が無いまま制限時間が経過すると(S241:YES)、端末制御部320は、機器制御部260に再開指令を出力する(S217)。これにより、紙幣処理ユニット10側では、自動収集処理が再開される。
【0137】
本変更例によれば、一時停止された自動収集処理が再開されないまま放置されることを防止できる。これにより、自動収集処理の対象となった金種別収納部200が、空きの少ない状態のまま放置されることが防止され、以降の入金処理に支障を来しにくい。
【0138】
<変更例2>
図14(a)は、変更例2に係る、自動収集処理が開始される前の待機画面S1の状態を示す図であり、
図14(b)は、変更例2に係る、自動収集処理が行われているときの待機画面S1の状態を示す図である。
【0139】
本変更例では、
図14(a)に示すように、待機画面S1上に一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2に加えて、収集開始条件の成立前に自動収集処理を開始させるための収集開始ボタンB9が配置される。出納機1が待機状態にあるとき、収集開始ボタンB9が有効化され、収集開始ボタンB9による収集開始操作が操作表示部310で受け付けられる。
【0140】
収集開始操作がなされると、端末制御部320から機器制御部260へ開始指令が出力され、機器制御部260が、全ての金種について自動収集処理を開始する。この自動収集処理の終了も収集終了条件が成立したときとなる。よって、最初から収集終了条件が成立するような金種については、自動収集処理が行われない。
【0141】
収集開始操作に基づいて自動収集処理が開始されると、収集開始ボタンB9が無効化され、
図14(b)に示すように、収集開始ボタンB9がグレーアウト表示に替わる。同様に、収集開始条件の成立によって自動収集処理が開始されたときも、収集開始ボタンB9が無効化される。
【0142】
なお、収集開始操作がなされたときに、収集開始条件の成立に一番近い金種について自動収集処理が開始されるようにしてもよい。あるいは、待機画面S1のバラ紙幣数量表示部D1上において、係員等が所望の金種をタッチすることで自動収集処理を行う金種を指定できるようにし、指定された金種について自動収集処理が開始されるようにしてもよい。また、自動収集処理が開始される前に全ての金種について収集終了条件が成立しているときには、収集開始ボタンB9が無効化され、グレーアウト表示にされるようにしてもよい。
【0143】
本変更例の構成によれば、係員等が都合のよいタイミングで、自動収集処理を開始させることができる。
【0144】
なお、収集開始ボタンB9による場合は、開始のタイミングは自動ではないが、終了は収集終了条件の成立によるものであるので、本変更例においても、自動収集処理と称している。
【0145】
<その他の変更例>
上記実施形態では、自動収集処理が行われていないときに、待機画面S1上で一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2がグレーアウト表示されたが、待機画面S1上から一時停止ボタンB1および強制終了ボタンB2が消されてもよい。これにより、一時停止操作および強制終了操作が操作表示部310で受け付けられなくなる。同様に、上記変更例2において、自動収集処理が行われているとき、収集開始ボタンB9が消されてもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、一時停止処理において、集積部210、即ち包装紙幣生成部280に搬送部150に残るバラ紙幣が送り込まれた。しかしながら、搬送部150に残るバラ紙幣が、包装紙幣生成部280に送り込まれることなく、全て、金種別収納部200に戻されてもよい。また、集積部210内のバラ紙幣を搬送部150に繰り出す繰出機構が設けられるようにし、一時停止処理や強制終了処理において、集積部210内に残るバラ紙幣が全て金種別収納部200に戻されるようにしてもよい。さらに、一時停止処理や強制終了処理において、結束部220内にあるバラ紙幣を束紙幣にせず、そのままにしておいてもよい。
【0147】
さらに、上記実施形態において、通知アイコンC1が押下されないまま、所定時間が経過すると、操作表示部310上での表示、あるいはスピーカ(図示せず)からのアラームや音声により、自動収集処理の再開が促されてもよい。これにより、自動収集処理が停止したまま放置されることが防止される。
【0148】
さらに、自動収集処理が停止し、通知アイコンC1が表示された状態において、包装紙幣生成部280を含む部位が開閉され、集積部210からバラ紙幣が抜き出せるような状態となった場合には、通知アイコンC1がグレーアウト表示または消去されることにより、自動収集処理が再開されないようにしてもよい。これにより、集積部210内のバラ紙幣の数量が機器記憶部270に記憶された数量(進行状況に係る情報の一つ)と同じであるか保証できない状態で自動収集処理が再開されてしまうことが防止される。
【0149】
さらに、上記実施形態では、係員等は、動収集処理を停止した後、再開を可能とする一時停止操作と、自動収集処理を停止した後、そのまま自動収集処理を終了させる強制終了操作の双方を行うことができた。しかしながら、一時停止操作と強制終了操作の何れか一方のみが行える構成とされてもよい。
【0150】
さらに、上記実施形態では、進行状況に係る情報が、機器記憶部270に記憶された。しかしながら、進行状況に係る情報が機器記憶部270以外の記憶部、たとえば、端末記憶部330に記憶されてもよい。
【0151】
さらに、上記実施形態では、操作端末30(端末制御部320)と紙幣処理ユニット10(機器制御部260)または硬貨処理ユニット20(機器制御部400)とで自動収集制御処理が実行された。操作端末30(端末制御部320)側の自動収集制御処理が、管理コンピュータ2(制御部2a)側やタブレット端末5側、携帯電話端末6側で実行されてもよい。この場合、管理コンピュータ2のモニタディスプレイ2c、タブレット端末5のディスプレイまたは携帯電話端末6のディスプレイに、自動収集制御処理に関係する画面等(待機画面S1、再開確認ウィンドウW1、収集時確認ウィンドウW2、停止時確認ウィンドウW3)が表示される。
【0152】
さらに、上記実施形態において、操作端末30側の自動収集制御処理の中の電源のオフ操作に係る処理、即ち、S205、S221ないしS237の処理が行われないようにされてもよい。
【0153】
さらに、本発明は、バラ紙幣を処理する処理ユニットと束紙幣(包装紙幣)を処理する処理ユニットが別体に設けられ、バラ硬貨を処理する処理ユニットと包装硬貨を処理する処理ユニットが別体に設けられた、出納機1よりも大型の出納機に適用されてもよい。さらに、本発明は、出納機1と管理コンピュータ2を含む貨幣処理システム4以外の貨幣処理システムに適用されてもよい。
【0154】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。