特許第6795393号(P6795393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795393
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】揮散容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20201119BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20201119BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B65D83/00 F
   A61L9/12
   B65D85/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-254482(P2016-254482)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-104060(P2018-104060A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−171680(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/092750(WO,A1)
【文献】 実開平07−008274(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3093417(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D83/00
A61L 9/12
B65D85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し内容物として揮散剤を収容する内部空間を有する容器と、該容器の口部に装着され、該内部空間の揮散剤を吸い上げる吸い上げ芯を保持するホルダーと、該吸い上げ芯に接触する揮散部材を保持して該容器に装着される蓋体とを備える揮散容器であって、
前記ホルダーは、前記吸い上げ芯を取り囲む環状壁を有するとともに、該吸い上げ芯と該環状壁との間に設けられ入口が前記内部空間に通じる一方、出口が該吸い上げ芯又は前記揮散部材に通じる空気通路を有し、
前記ホルダーは、前記内部空間と外界とを連通する開口を有するものであって、
更に、前記内部空間の加圧時においては前記開口を閉鎖して該内部空間から外界への空気の流れを遮断する一方、該内部空間の減圧時においては該開口を解放して外界から該内部空間への空気の流れを許容する逆止弁を有する揮散容器。
【請求項2】
前記容器、前記揮散部材を経由せずに前記開口と外界との間を連通させる連通口を有する請求項に記載の揮散容器。
【請求項3】
前記揮散部材は、前記吸い上げ芯とともに前記環状壁を収容する凹所を有する請求項1又は2に記載の揮散容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤や芳香剤等の内容物を揮散させることが可能な揮散容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香剤や消臭剤等の内容物を揮散させる容器として、例えば特許文献1には、容器本体の口部に保持されて内容物を吸い上げる吸い上げ芯と、吸い上げ芯の上部においてこの吸い上げ芯の先端に接触した状態で保持されるブロック状の揮散部材とを備える揮散容器が示されている。このような容器によれば、吸い上げ芯によって吸い上がった内容物が揮散部材に浸透するため、揮散部材の広い表面積でもって高い揮散効果を得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの種の揮散容器は、部屋の中に常時載置してほぼ一定の揮散効果が長く続くことを想定して構成されており、急速に揮散させる機能を備えるものではない。また一部の揮散容器では、例えば蓋体に設けた窓穴の開口面積を可変できるように構成して、揮散効果を変えることができるようにしているものの、このような揮散容器であっても内容物の揮散量を急速に変えることはできなかった。
【0005】
本発明はこのような点を改良することを課題とし、従来のように一定の揮散効果が長く続くように使用できるとともに、揮散効果を急速に発揮させることも可能な、新たな揮散容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、可撓性を有し内容物として揮散剤を収容する内部空間を有する容器と、該容器の口部に装着され、該内部空間の揮散剤を吸い上げる吸い上げ芯を保持するホルダーと、該吸い上げ芯に接触する揮散部材を保持して該容器に装着される蓋体とを備える揮散容器であって、
前記ホルダーは、前記吸い上げ芯を取り囲む環状壁を有するとともに、該吸い上げ芯と該環状壁との間に設けられ入口が前記内部空間に通じる一方、出口が該吸い上げ芯又は前記揮散部材に通じる空気通路を有し、
前記ホルダーは、前記内部空間と外界とを連通する開口を有するものであって、
更に、前記内部空間の加圧時においては前記開口を閉鎖して該内部空間から外界への空気の流れを遮断する一方、該内部空間の減圧時においては該開口を解放して外界から該内部空間への空気の流れを許容する逆止弁を有する揮散容器である。
【0008】
前記容器、前記揮散部材を経由せずに前記開口と外界との間を連通させる連通口を有することが好ましい。
【0009】
前記揮散部材は、前記吸い上げ芯とともに前記環状壁を収容する凹所を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の揮散容器は、吸い上げ芯とこの吸い上げ芯に接触する揮散部材を備えていて、吸い上げ芯を保持するホルダーには、吸い上げ芯と吸い上げ芯を取り囲む環状壁との間において、入口が容器の内部空間に通じる一方、出口が吸い上げ芯又は揮散部材に通じる空気通路を設けている。これにより、容器を押圧して内部空間を加圧すれば、内部空間の空気は内部通路を通って吸い上げ芯又は揮散部材に至り、吸い上がった揮散剤と混ざり合って揮散剤を発泡させることができるため、外界へ急速に揮散させることができる。また、本発明の揮散容器は揮散部材を吸い上げ芯に接触させているので、従来のものと同様に一定の揮散効果が長く続くように使用することもできる。
【0011】
ホルダーに、内部空間と外界とを連通する開口を設け、また、内部空間の加圧時においては開口を閉鎖して内部空間から外界への空気の流れを遮断する一方、内部空間の減圧時においては開口を解放して外界から内部空間への空気の流れを許容する逆止弁を設ける場合は、容器を押圧する際は逆止弁によって開口が閉鎖されているため、空気通路を通して内部空間の空気を押し出して揮散剤を発泡させることができる。また、容器が復元して内部空間が減圧状態になると、揮散剤を発泡させるための空気通路とは別異になる開口が解放されるため、発泡した揮散剤を極力残したまま外気を内部空間に導入することができる。
【0012】
また、容器及び蓋体の少なくとも一方に、揮散部材を経由せずに開口と外界との間を連通させる連通口を設ける場合は、内部空間に外気を導入するにあたって、揮散部材に浸透した揮散剤が外気とともに戻されてしまう現象が起きにくくなるため、急速に発揮させたい揮散効果を維持することができる。
【0013】
揮散部材に吸い上げ芯とともに環状壁を収容する凹所を設ける場合は、吸い上げ芯と環状壁との間に形成される空気通路は揮散部材に取り囲まれることになるため、内部空間の減圧時に外気が内部空間へ導入されるにあたって、外気は空気通路に侵入しにくくなる。このため、発泡した揮散剤をより有効に残しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従う揮散容器の一実施形態を未使用状態で示した断面図である。
図2】(a)は図1に示す揮散容器の平面図であり、(b)は空気通路周辺の部分拡大図であり、(c)は図1の矢印Aに沿う矢視図であり、(d)は逆止弁周辺の部分拡大図である。
図3図1に示す揮散容器につき、一定の揮散効果を得たい場合の使用状態を示した断面図である。
図4図1に示す揮散容器につき、急速に揮散効果を発揮させたい場合の使用状態を示した断面図である。
図5図1に示す揮散容器につき、外気が内部空間に導入される状態を示した断面図である。
図6】本発明に従う揮散容器の他の実施形態を未使用状態で示した断面図である。
図7図6に示す揮散容器につき、一定の揮散効果を得たい場合の使用状態を示した断面図である。
図8図6に示す揮散容器につき、急速に揮散効果を発揮させたい場合の使用状態を示した断面図である。
図9図6に示す揮散容器につき、外気が内部空間に導入される状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図5を用いて、本発明に従う粉体塗布容器の一実施形態について説明する。なお、本明細書等における「上」、「下」は、図1に示すように、容器を正立姿勢にした状態での向きをいう。
【0016】
本実施形態の揮散容器Aは、容器1(ここでは容器本体2と肩カバー3で構成される)、吸い上げ芯4、ホルダー5、逆止弁6、キャップ7、揮散部材8、及び蓋体9で構成されている。
【0017】
容器本体2は、使用時において載置面に接触する底部2aと、底部2aの外縁から上方に向けて立ち上がる胴部2bと、胴部2bの上端部から容器本体2の中心軸線Oに向かってなだらかに湾曲しながら延在する肩部2cと、肩部2cの内縁部から上方に向けて立ち上がる円筒状の口部2dと、口部2dの外周面に設けられるネックリング2eと、ネックリング2eの上方に設けられる雄ねじ部2fとを備えている。また、容器本体2の内側には、内容物として揮散剤を収容する内部空間Nが形成されている。また、容器本体2は合成樹脂製であって、胴部2bは可撓性を有している。
【0018】
肩カバー3は、胴部2bの上端部から上方に向けて湾曲しながら延在する外壁3aと、外壁3aの上端部に段部をもって連結するとともに中心軸線Oに向かって水平方向に延在する内向きフランジ3bと、内向きフランジ3bの内縁部から下向きに延在してネックリング2eに係合する係合壁3cとを備えている。また、外壁3aと内向きフランジ3bとが連結する段部には、蓋体9を揺動可能に支持するための揺動穴3dが設けられている。
【0019】
吸い上げ芯4は、例えばフェルト材やパルプ材、合成樹脂製の多孔質体、繊維束体にて棒状に形成されていて、内部空間Nに収容した揮散剤をその上端部まで吸い上げることができる。なお図示は省略するが、吸い上げ芯4の下端部は底部2a付近まで延びている。
【0020】
ホルダー5は、口部2dに装着されて吸い上げ芯4を保持するものである。ホルダー5は、環状をなすとともにその上端に外向きのフランジを設けた形状をなし、口部2dに嵌合保持される嵌合壁5aと、嵌合壁5aから中心軸線Oに向かって水平方向に延在して口部2dを閉塞する隔壁5bと、隔壁5bの内縁部から吸い上げ芯4を取り囲んで上方に向けて立ち上がる環状壁5cとを備えている。ここで、図2(b)に示すように環状壁5cの内周面には、中心軸線Oに沿って縦向きに延在する溝5dが設けられていて、溝5dの上部には、中心軸線Oに向けて吸い上げ芯4まで延在する上部壁5eが設けられている。このような構成によって、吸い上げ芯4と溝5dとの間には、下端部(入口)が内部空間Nに通じる一方、上端部(出口)が吸い上げ芯4に通じる通路(空気通路K1)が形成されている。
【0021】
また隔壁5bには、貫通穴(開口)5fが設けられていて、開口5fの外側における隔壁5bの下面には、図2(c)に示すように、環状をなすとともにその一部が嵌合壁5aに連結する第2嵌合壁5gが設けられている。
【0022】
逆止弁6は、図2(d)に示すように環状をなし、第2嵌合壁5gの内周面に嵌合保持される基部6aと、基部6aの内側に設けられ、隔壁5bの下面に当接して開口5fを塞ぐ板状の弁体6bと、基部6aと弁体6bとを一体につなぐ連結片6cとを備えていて、一点弁の如き形態をなすものである。なお、例えば三点弁のように複数の連結片を備える逆止弁を採用してもよい。逆止弁6は、例えばゴム、エラストマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、或いは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等の比較的軟質な材料によって形成されていて、弁体6bは通常時、或いは内部空間Nの加圧時には開口5fを閉鎖する一方、内部空間Nの減圧時には隔壁5bから離反して開口5fを解放する。
【0023】
キャップ7は、全体的に有蓋筒状をなすキャップ本体7aを備えている。キャップ本体7aの内周面には、雄ねじ部2fに対応する雌ねじ部7bが設けられている。なおキャップ7は、流通時等において吸い上げ芯4から外界に向けて揮散剤が揮発するのを防止するために用いるものであって、使用時には口部2dから取り外されるものである。
【0024】
揮散部材8は、濾紙の他、フェルト材やパルプ材、合成樹脂製の多孔質体、繊維束体によってブロック状に形成されている。なお揮散部材8は、後述するように使用時においては吸い上げ芯4の上端部に接触するものであり、吸い上げ芯4で吸い上げられた揮散剤を浸透させて揮散させることができる。
【0025】
蓋体9は、全体的にドーム状をなす蓋体本体9aを備えている。蓋体本体9aの一端部には、肩カバー3に設けた揺動穴3dに対応する揺動軸9bが設けられていて、蓋体9は肩カバー3に揺動可能に取り付けられている。なお、肩カバー3に揺動軸を設け、蓋体9に揺動穴を設けてもよい。また蓋体本体9aの他端部には、蓋体9を揺動させる際に指掛かりとなる指掛け部9cが設けられている。また蓋体本体9aは、下方に向けて延在するとともに揮散部材8を抜け止め保持する爪部9dと、揮散部材8の上方において蓋体本体9aを貫通する複数の窓穴9eとを備えている。なお、本実施形態の窓穴9eは、図2(a)に示すように矩形状をなしているが、その形状や数、位置等は図示のものに限られず、適宜変更してもよい。
【0026】
このような形態になる揮散容器Aは、図1に示す状態から蓋体9を揺動させて開いた後にキャップ7を取り外して使用される。ところで、キャップ7を取り外した後に図3に示すように再び蓋体9を閉じれば、揮散部材8を吸い上げ芯4の上端部に接触させることができる。これにより、内部空間Nの揮散剤は吸い上げ芯4によって徐々に吸い上げられ、更に揮散部材8に浸透した後、揮散部材8の広い表面積でもって効果的に揮散されて、窓穴9eから外界へ放出される。すなわち図3に示す状態では、一定の揮散効果が長く続くように使用することができる。
【0027】
一方、揮散効果を急速に発揮させたい場合は、図4に示すように蓋体9を開いた後、胴部2bを押圧して内部空間Nを加圧する。これにより内部空間Nの空気は、図2(b)に示すように空気通路K1を通って吸い上げ芯4に至り、吸い上がった揮散剤と混ざり合うことによって揮散剤を発泡させることができるため、外界へ急速に揮散させることができる。なお、蓋体9を閉めたまま胴部2bを押圧してもよいが、吸い上げ芯4で発泡した揮散剤が揮散部材8に浸透するのに時間がかかり、ホルダー5の縁から溢れてしまうおそれがあるため、本実施形態において急速な揮散効果を得るには、蓋体9を開いておくことが好ましい。
【0028】
なお、胴部2bは可撓性を有していて、押圧を解除すると初期の形状に復元する。これにより内部空間Nは減圧され、図5に示すように弁体6bが隔壁5bから離反して開口5fが解放されるため、内部空間Nに外気を導入することができる。なお発泡した揮散剤は、外気とともに内部空間Nに取り込まれるが、開口5fは隔壁5bに1ヶ所設けられているだけなので、大部分の揮散剤は隔壁5bに残ったままになる。このため、押圧を解除して胴部2bが復元しても、急速な揮散効果を維持することができる。
【0029】
次に、本発明に従う揮散容器の他の実施形態について、図6図9を参照しながら説明する。本実施形態の揮散容器Bは、先に説明した肩カバー3、ホルダー5、逆止弁6、キャップ7、揮散部材8に換えて、肩カバー10、ホルダー11、逆止弁12、キャップ13、揮散部材14を備えるものである。なお、その他の部材は先に説明したものと同一であるため、図面に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0030】
肩カバー10は、先に説明した外壁3a、内向きフランジ3b、係合壁3c、揺動穴3dと同様の形態になる外壁10a、内向きフランジ10b、係合壁10c、揺動穴10dを備えている。また係合壁10cには、その一部を切り欠いて形成される連通口10eが設けられている。
【0031】
ホルダー11は、先に説明した嵌合壁5a、隔壁5b、環状壁5cと同様の形態になる嵌合壁11a、隔壁11b、環状壁11cを備えている。なお環状壁11cは、前述の環状壁5cよりも長くなっている。ここで環状壁11cの内周面には、図8の拡大図に示すように中心軸線Oに沿って縦向きに延在する溝11dが設けられている。なお、先に説明した上部壁5eは本実施形態では設けておらず、吸い上げ芯4と溝11dとの間には、内部空間Nに通じる下端部(入口)から上端部(出口)に向けて上下方向に延在する通路(空気通路K2)が形成されている。そして、図6に示すように隔壁11bには、この隔壁11bを貫く穴(開口)11eが設けられていて、開口11eの縁部には、上方に向けて立ち上がるとともにその先端を縮径させた筒状部11fが設けられている。
【0032】
逆止弁12は球体をなすものであって、筒状部11fの内側において上下動可能に配置されている。なお、逆止弁12は下方に移動した状態で筒状部11fに抜け止め保持されるものであるが、この状態においても、筒状部11fと逆止弁12との間には隙間が形成されるため、内部空間Nと外界とは連通している。一方逆止弁12は、上部が縮径する筒状部11fによって上方への抜け出しが阻止されるものであるが、この状態では筒状部11fと逆止弁12とは気密に当接し、内部空間Nと外界とは非連通になる。
【0033】
キャップ13は、先に説明したキャップ本体7aよりも上方へ向けて突出した形態になるキャップ本体13aを備えている。また、キャップ本体13aの内周面には、雄ねじ部2fに対応する雌ねじ部13bが設けられていて、キャップ本体13aを口部2dに装着することによって、揮散剤の揮散を防止することができる。
【0034】
揮散部材14は、揮散部材8と同様の材料で全体的にブロック状に形成されるものであって、下方には、吸い上げ芯4と環状壁11cとを収容できるサイズとなる凹所14aを備えている。すなわち、図8の拡大図に示すように空気通路K2の上端部(出口)は、揮散部材14に通じている。
【0035】
このような形態になる揮散容器Bにあっては、図6に示す状態から蓋体9を揺動させて開いた後にキャップ13を取り外して使用される。なお、先に説明した実施形態と同様に、揮散容器Bにおいても再び蓋体9を閉じれば、図7に示すように凹所14aに吸い上げ芯4と環状壁11cとが収容されて、吸い上げ芯4の上端部が揮散部材14に接触する。このため、吸い上げ芯4によって徐々に吸い上げられた内部空間Nの揮散剤は、更に揮散部材14に浸透した後、揮散部材14の広い表面積でもって効果的に揮散されて、窓穴9eから外界へ放出される。すなわち本実施形態でも、図7に示す状態にすることによって、一定の揮散効果を長く続かせるように使用することができる。
【0036】
そして揮散効果を急速に発揮させたい場合は、胴部2bを押圧して内部空間Nを加圧する。なお、この状態において逆止弁12は、図8に示すように上方へ移動して筒状部11fと気密に当接するため、内部空間Nの空気が筒状部11fから漏れることはない。これにより内部空間Nの空気は、図8の拡大図に示すように空気通路K2を通って揮散部材14に至り、揮散部材14に浸透した揮散剤と混ざり合うことによって揮散剤を発泡させることができるため、外界へ急速に揮散させることができる。なお、発泡した揮散剤はしばらくすると元の液状に戻るため、一般には液だれによって周囲を汚してしまう懸念があるものの、本実施形態では揮散部材14上で発泡させていて、液状になった揮散剤は揮散部材14に染みこむため、このような不具合につながることがない。また、揮散部材14に染みこんだ揮散剤はそのまま揮散し続けるため、一定の揮散効果を発揮させ続けることができる。
【0037】
なお、押圧を解除して胴部2bが復元すると内部空間Nは減圧され、逆止弁12は図9に示すように下方へ移動する。なお、この状態において筒状部11fと逆止弁12との間には隙間が形成されるため、外気を内部空間Nに導入することができる。なお、内部空間Nに導入される外気は、図9に矢印で示すように、容器本体2と肩カバー10との隙間を通り、連通口10eを経由して開口11eに至るものである。すなわち、揮散部材14を経由せずに外気が導入されるため、胴部2bが復元する場合でも発泡した揮散剤を有効に残しておくことができる。また、本実施形態における空気通路K2は揮散部材14に取り囲まれているため、内部空間Nが減圧される場合でも外気は空気通路K2に侵入しにくくなる。このため、発泡した揮散剤をより有効に残しておくことができる。
【0038】
本発明に従う揮散容器は、これまでに述べた実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に従う範囲で種々の変更を行ったものでもよいし、他の構成を付加したものでもよいし、上述した実施形態間の構成を相互に置き換えてもよい。例えば、揮散部材14を経由せずに外気を導入するために設けた連通口10eは、図9に示す実施形態では肩カバー10に設けていたが、同じ目的となるものを蓋体9に設けてもよい。また、上述したキャップを用いる換わりに蓋体の窓穴を塞ぐシートを使用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:容器
2:容器本体
2a:底部
2b:胴部
2c:肩部
2d:口部
2e:ネックリング
2f:雄ねじ部
3:肩カバー
3a:外壁
3b:内向きフランジ
3c:係合壁
3d:揺動穴
4:吸い上げ芯
5:ホルダー
5a:嵌合壁
5b:隔壁
5c:環状壁
5d:溝
5e:上部壁
5f:開口
5g:第2嵌合壁
6:逆止弁
6a:基部
6b:弁体
6c:連結片
7:キャップ
7a:キャップ本体
7b:雌ねじ部
8:揮散部材
9:蓋体
9a:蓋体本体
9b:揺動軸
9c:指掛け部
9d:爪部
9e:窓穴
10:肩カバー
10a:外壁
10b:内向きフランジ
10c:係合壁
10d:揺動穴
10e:連通口
11:ホルダー
11a:嵌合壁
11b:隔壁
11c:環状壁
11d:溝
11e:開口
11f:筒状部
12:逆止弁
13:キャップ
13a:キャップ本体
13b:雌ねじ部
14:揮散部材
14a:凹所
A:揮散容器
B:揮散容器
K1:空気通路
K2:空気通路
N:内部空間
O:中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9