(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ビールテイスト飲料においては、麦芽、ホップなどの原料がその品質に大きな影響を及ぼす。例えば、ホップはビールテイスト飲料に苦味を付与するだけでなく、その爽やかなホップ香やコクも付与する。苦味はホップ中のα酸など、ホップ香はテルペン類など、コクはポリフェノールなど、それぞれ種々の成分から付与されている。よって、ビールテイスト飲料の品質は、従来、用いるホップを選別することで調整されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1では、麦芽に対するホップの重量比をバランスに欠ける風味となることが想定される以上に上げることで、具体的には、エキス分の総量に対するポリフェノールの重量比を特定の範囲内に調整することによって、ノンアルコールのビールテイスト飲料において、渋みの浮いたバランスに欠けた風味とすることなく、味の締まりを付与することができることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、ホップの添加がビールの泡持ちに及ぼす影響について着目し、ホップペレットおよびホップエキスの少なくとも一方を用いて得られた、ホップ粕を固液分離し除去した後のホップ溶液(段落0037参照)を、原料の煮沸液状物に旋回分離後であって(段落0048参照)、冷却後かつ濾過前の1つまたはそれ以上の段階で添加することで、泡持ちのよいビール又はビール様飲料を得ることができることが開示されている。但し、ホップペレット1kgに対し25〜100リットルの水系溶媒という比較的薄い濃度で得られたホップ溶液を、麦汁の冷却後に添加しているので、ホップ由来のポリフェノールとタンパク質の凝固による凝固物による混濁の上昇は少ないと考えられるが、溶媒あたりのホップ含有量が多い水系溶媒を用いる場合には、添加以後の工程で上記オリを形成するプロセスがなく、製品の混濁安定性が損なわれるおそれがある。
【0005】
また、特許文献3では、ホップ処理液状物を原料液汁に添加し、熱エネルギーの消費低減を行っているが、ホップ溶液から成分が抽出された後のホップを分離していないので(段落0045参照)、原料液汁のエキス分の欠減の減少には貢献しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、ビールテイスト飲料には、ホップを種々加工して得られたホップ加工品が用いられることが知られている。ホップ加工品としては、ホップを乾燥しただけの「乾燥毬花」、乾燥毬花を粉砕しペレット状にした「Type90ホップペレット」、乾燥毬花を凍結して粉砕し、分画したルプリン画分を濃縮してペレット状にした「Type45ホップペレット」、Type90ホップペレットから苦味成分をCO
2抽出した「ホップエキス」が挙げられる。更に、精製度の高い加工品としては、香気付与には、ホップペレットから香気成分をエタノール抽出した「オイルリッチエキス」、コクの付与には、ホップエキス製造時に排出される副産物「ポリフェノールリッチペレット」や該ポリフェノールリッチペレットからポリフェノール画分のみを濃縮した「ポリフェノールリッチエキス」、ホップ毬花の外側の花びら状の組織の部分であるホップ苞を乾燥させたものや、ホップ苞を粉砕しペレット状にしたもの等を用いることができる。
【0008】
なかでも、ビールテイスト飲料にホップ由来の苦味や風味を付与するには、Type90やType45等のホップペレットを使うのが一般的であるものの、これらを使用すると煮沸工程後にホップ粕の処理が必要となり、例えば、特許文献1のように大量に使用することになると、その処理負担が増大するという課題があった。
【0009】
一方、「オイルリッチエキス」や「ポリフェノールリッチエキス」等のエキスタイプの加工品を用いると、ホップ粕の処理を要しないものの、精製度の高い加工品であるため、費用が高額であり、ビールテイスト飲料への適用には課題があった。
【0010】
本発明の課題は、ポリフェノール含有量が高い糖含有液が得られる製造方法、該製造方法により得られる糖含有液、及び該糖含有液を用いたビールテイスト飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、予めホップから抽出したものを、従来の原料液に別途添加することで、ホップ粕の処理負担を増大させずに、糖含有液中のホップ由来成分の含有量を多くすることが可能となり、ひいては、所望のビール品質を精度良く製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、下記〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕 原料液とホップ抽出水を混合する工程を含む、糖含有液の製造方法。
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法によって製造された糖含有液。
〔3〕 前記〔1〕記載の製造方法によって得られた糖含有液を原料として用いた、ビールテイスト飲料。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法により得られる糖含有液は、ポリフェノール含有量が高いという優れた効果を奏する。また、本発明の製造方法は、ホップ粕の産生量が抑制されるため、得られる糖含有液の欠減が抑制されることになって、ひいては、生産性に優れるという効果が奏される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の糖含有液の製造方法は、原料液とホップ抽出水を混合する工程を含むことに特徴を有する。即ち、本発明は、糖含有液の風味付与に必要な量のホップを添加して煮沸を行うのではなく、別途、ホップ抽出水を調製したものを原料液に混合することで、糖含有液の欠減を減らしつつ、ポリフェノール含有量の高い糖含有液となることを本発明者らが初めて見出したことである。本発明では、ポリフェノール含有量が多くなるよう所定量のホップを用いる際に、ホップ抽出水を添加することに大きな特徴を有する。
【0015】
本発明におけるビールテイスト飲料とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料をいう。つまり、本発明におけるビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、酵母による発酵工程の有無に拘わらず、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。具体的には、ビール、発泡酒、その他雑酒、リキュール類、ノンアルコール飲料などが挙げられる。
【0016】
本発明における原料液は、公知のビールテイスト飲料の製造方法において用いられる原料を用いていれば特に制限はなく、例えば、糖化工程及び煮沸工程を経て調製することができる。
【0017】
原料としては、例えば、澱粉質原料、ホップ、及び水が挙げられる。
【0018】
澱粉質原料としては、麦、米、大豆、エンドウ豆、トウモロコシ、こうりゃん、馬鈴薯、スターチ、糖類といった原料が挙げられる。また、麦は、通常のビールや発泡酒の原料として用いることができるものを用いることができ、例えば、麦芽、大麦、精白大麦、大麦エキス、大麦フレーク、小麦、ハト麦、ライ麦、エン麦などをあげることができる。そのなかでも、麦芽を好適に用いることができ、糖含有液の麦芽比率は、例えば、50%未満、25%未満とすることができる。なお、本明細書における麦芽比率とは、澱粉質原料中に占める麦芽の重量の比率であり、比率を示す「%」は、「重量%」を意味する。本発明においては、澱粉質原料として、既に糖化が行なわれた糖化スターチも用いることができ、この場合は、前記糖化工程を省略することができる。
【0019】
ホップとは、学名:Humulus lupulusである、アサ科のつる性多年草をいう。原料液に用いられるホップとしては、ビール等の製造に使用される通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスなどのホップ加工品を、所望の香味に応じて適宜選択して使用することができる。また、イソ化ホップ、還元ホップなどのホップ加工品を用いてもよい。ここでのホップ使用量は、特に限定はされず、例えば、ペレットホップ、粉末ホップを用いる場合、ビールや発泡酒に適切な苦味を付与する観点から、通常のビールや発泡酒の製造に用いられる全体のホップ量のうち、0.01重量%以上程度であればよい。
【0020】
本発明においては、前記成分以外に他の原料を用いることができる。他の原料としては、香料、酸味料、甘味料、食物繊維、苦味料、色素などが挙げられる。必要に応じて、アミラーゼなどの酵素を添加してもよい。これらの使用量は、公知技術に従って適宜設定することができる。
【0021】
原料液は、前記原料を仕込釜又は仕込槽に投入し、糊化、糖化を行なわせた後、穀皮等を濾過により取り除き、ホップを加えて煮沸することで得られる。糖化工程、煮沸工程における条件は、一般に知られている条件を用いればよい。なお、本明細書において、原料液は、煮沸が完了したもの(煮沸後の原料煮沸液)に限らず、煮沸途中の液も原料液という。
【0022】
本発明における原料液としては、ポリフェノール含有量を高めつつ、渋味の原因となるタンニンを過度に増やさない観点から、例えば、一番麦汁などが好ましい。
【0023】
原料液のポリフェノール濃度は、原料液に供されるホップ量によって一概には決定されないが、0ppmでも差し支えなく、350ppm以上が好ましく、400ppm以上がより好ましく、450ppm以上が更に好ましい。また、650ppm以下が好ましく、600ppm以下がより好ましく、550ppm以下が更に好ましい。なお、本明細書においてポリフェノール濃度とは、総ポリフェノール(T−PP)濃度を意味し、ビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「BCOJビール分析法(2004年11月1日改訂版) 7.11 総ポリフェノール」に記載されている方法に従って測定することができる。
【0024】
得られた原料液は、ホップ抽出水との混合工程に供する。
【0025】
ホップ抽出水は、水にホップを添加して抽出し、残渣を除去することにより得られる。
【0026】
抽出用のホップとしては、原料液で用いられるホップを同様に用いることができる。種類は同一であっても異なるものであってもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、加工品を用いる場合は、その形状も特に限定されない。
【0027】
抽出用の水は温水が好ましく、温度としては、好ましくは60〜100℃であり、より好ましくは80〜100℃である。また、pHは特に限定されず、例えば、4.5〜9.5である。
【0028】
抽出用のホップの使用量は、所望する風味によって一概には決定されないが、糖含有液の欠減を減らしつつ、ポリフェノール含有量を高める観点から、通常のビールや発泡酒の製造に用いられる全体のホップ量のうち、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上が更に好ましい。また、上限は特に設定されないが、99.8重量%以下が好ましい。
【0029】
抽出に供されるホップと原料液に用いられるホップの重量比(抽出用ホップ/原料液用ホップ)は0.5/1〜45/1が好ましく、0.6/1〜40/1がより好ましい。
【0030】
また、抽出に供されるホップ(ホップ固形分)と水の重量比(ホップ固形分/水)は、抽出率とホップ粕の分離の観点から、22.2/500〜66.6/500が好ましく、30/500〜60/500がより好ましく、35/500〜55/500が更に好ましい。
【0031】
これらの抽出材料は、公知の抽出装置、例えば、ステンレスのタンク等に充填して、抽出に供する。
【0032】
抽出温度は、抽出効率の観点から、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。また、蒸発を抑える観点から、100℃以下が好ましく、99℃以下がより好ましく、98℃以下が更に好ましい。
【0033】
抽出時間は、ホップの量、種類や抽出装置、条件によって一概には決定されないが、抽出と苦味成分の異性化の観点から、50分〜100分が好ましい。
【0034】
抽出後は、抽出残渣を取り除く事により、本発明におけるホップ抽出水が得られる。抽出残渣を取り除く工程としては、遠心分離、濾過、限外濾過が例示されるが、大規模生産に適した濾過法を好適に使用できる。なお、濾過後は、公知技術に従って濃縮してもよい。
【0035】
かくして、ホップ抽出水が得られる。ホップ抽出水のポリフェノール濃度は、1000ppm以上が好ましく、1200ppm以上がより好ましく、1500ppm以上が更に好ましい。また、上限は特に設定されず、例えば、5000ppm程度である。なお、ホップ抽出水のポリフェノール濃度は、所定の濃度まで希釈した上で、前記した測定方法によって測定する。
【0036】
得られたホップ抽出水は、前記の原料液と混合する。
【0037】
原料液にホップ抽出水を混合する方法としては、一括添加して攪拌混合する方法であっても、分割添加して攪拌混合する方法であってもよい。例えば、原料液の煮沸が終了した時点で一括して混合しても、原料液の煮沸中に分割して混合してもよい。
【0038】
混合温度は、タンパク質との熱凝固の観点から、75℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、85℃以上が更に好ましい。また、上限は特に設定されず、例えば、100℃程度である。混合時間は、液量や温度、装置によって一概には決定できないが、例えば、10分〜60分が好ましい。
【0039】
得られた混合液のことを、本発明では糖含有液と言う。糖含有液のポリフェノール濃度は、500ppm以上が好ましく、800ppm以上がより好ましく、1200ppm以上が更に好ましい。また、2200ppm以下が好ましく、2100ppm以下がより好ましく、2050ppm以下が更に好ましい。
【0040】
糖含有液中のエキス分の総量としては、ホップの総使用量の観点から、3.5重量%以上が好ましく、5.0重量%以上がより好ましく、6.5重量%以上が更に好ましい。また、糖含有液調製の観点から、17.0重量%未満が好ましく、16.0重量%未満がより好ましい。本明細書において、エキス分とは、麦芽、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、麦芽以外の麦、糖類、高甘味度甘味料、酸味料、苦味料、着色料及び香料などの原料に由来して増減する、不揮発性の成分をいう。
【0041】
糖含有液中のポリフェノール総量とエキス分総量との重量比(ポリフェノール総量/エキス分総量)は、味に締まりを与える観点から、2.1×10
-2/1〜0.25×10
-2/1が好ましく、2.0×10
-2/1〜0.3×10
-2/1がより好ましく、1.9×10
-2/1〜0.4×10
-2/1が更に好ましい。
【0042】
また、ホップ抽出水のポリフェノール総量と原料液のポリフェノール総量との重量比(ホップ抽出水のポリフェノール総量/原料液のポリフェノール総量)は、糖含有液の欠減をより抑制する観点から、10000/1〜0.20/1が好ましく、12.10/1〜0.20/1がより好ましく、10/1〜0.50/1が更に好ましく、8.10/1〜0.9/1が更に好ましい。
【0043】
ホップ抽出水のポリフェノール総量と用いた全ホップに由来するポリフェノール総量との重量比(ホップ抽出水由来ポリフェノール総量/全ホップ由来ポリフェノール総量)は、糖含有液の欠減をより抑制する観点から、1/1〜0.17/1が好ましく、0.91/1〜0.17/1がより好ましく、0.90/1〜0.32/1が更に好ましく、0.89/1〜0.47/1が更に好ましい。なお、用いた全ホップに由来するポリフェノール総量とは、糖含有液、ホップ抽出液のそれぞれのポリフェノール濃度を測定して、各々の液量と掛け合わせて重量を算出した値のことを言う。
【0044】
混合後の糖含有液は、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除き、ビールテイスト飲料を製造することができる。また、混合後の糖含有液に酵母を添加して発酵を行なわせ、必要に応じ濾過機などで酵母などを取り除くことにより、ビールテイスト飲料を製造することができる。よって、本発明はまた、本発明の製造方法により得られた糖含有液を提供する。
【0045】
本発明の製造方法により得られた糖含有液は、ポリフェノール濃度が高く、また、使用原料に対する欠減が抑制されているため、生産性が高いものであり、そのままビールテイスト飲料の製造に供してもよく、また、タンクに充填して保管又は運搬してもよい。なお、酵母をそのまま含有させている場合には、得られた糖含有液はチルド保管もしくは冷暗所に保管を行なう方が良い。
【0046】
また更に、本発明は、本発明の製造方法により得られた糖含有液を原料として用いた、ビールテイスト飲料を提供する。
【0047】
具体的には、本発明の糖含有液を、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除くことにより、また、次いで、酵母を添加して発酵を行なわせ、必要に応じ濾過機などで酵母などを取り除くことにより、ビールテイスト飲料を製造することができる。なお、貯蔵(貯酒)、濾過・容器詰め、必要により殺菌の工程を経ることができる。これらの固形分除去工程、発酵工程などにおける条件は、一般に知られている条件を用いればよい。
【0048】
本発明のビールテイスト飲料は、ポリフェノール含有量が多く、コク味が付与されるといった優れた効果が奏される。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0050】
実施例(水準4、6、7、
8)、比較例(水準1〜2、5)、参考例(水準3、9
、10)
先ず、麦芽37.5kgを適当な粒度に粉砕し、これを仕込槽に入れた後、112.5Lの温水を加えて、約50℃のマッシュを作った。糖化が完了したマッシュを76℃まで昇温後、麦汁濾過槽に移し、濾過を行って濾液を得た。得られた濾液を100℃で80分煮沸してホップを300g投入した後、麦汁を静置して上澄み液を得た。
【0051】
次いで、水準2は上澄み液100mLにホップ6.92gを添加して、また、水準6は上澄み液50mLに水50mLを添加したものに、水準10は糖化スターチを希釈してエキス分の総量が18重量%の液を100mL調製したものに、それぞれ表1に示すホップを添加混合して原料液を得た。なお、エキス分の総量は、希釈した後の糖化スターチを、エキスメーター(機種:Anton Paar社製、DMA4500M)を用いて測定した値である。
【0052】
その後、後述して得られたホップ抽出水を、水準3、水準4、水準5、水準6、水準7、水準8、水準9、水準10にそれぞれ表1に示す量添加してサンプルとした。但し、水準5についてはホップ抽出水から残渣の除去を行ず十分に拡散させたものを添加した。なお、ホップ抽出水と原料液の混合は90℃で行った。
【0053】
ホップ抽出水は、ホップ700gと7Lの水(温度97℃)を加熱槽に入れ、97℃、80分加熱を行った後、ホップ抽出残渣を除いて、ホップ抽出水とした(ポリフェノール濃度4528ppm)。
【0054】
得られた水準1〜10のサンプルについて、欠減の程度を以下の様に計算した。結果を表1に示す。
【0055】
まず、別途、所定量の乾燥ホップを温水に投入した場合の固形分濃度を種々の乾燥ホップ重量に対応させて測定して、予め乾燥ホップ量と固形分濃度の関係式を求める。固形分濃度の測定方法は後述する。次に、別途、所定量の乾燥ホップを温水に投入した場合の欠減量を種々の乾燥ホップ重量に対応させて測定して、予め乾燥ホップ量と欠減の関係式を求める。欠減の測定方法は後述する。その後、水準1〜10のサンプルの固形分濃度を求めて、そこから上記により求めた関係式に基づいて、乾燥ホップ量へ換算した上で、欠減を求めた。
<固形分濃度>
乾燥ホップを熱水で抽出した後、抽出液を均一にして、50g採取する。サンプルの場合は糖含有液そのものを50g採取する。その後、10000rpmで10分間攪拌して、攪拌後の上澄み液量を測定した。そして、(50g−上澄み液量)/50×100により固形分濃度(重量%)を求めた。固形分濃度を求めれば、乾燥ホップの投入量を算出することができる。
<欠減>
所定量の乾燥ホップを熱水に分散してホップ成分を抽出した後、80μmのメッシュで固液分離を行い、回収した液量を測って欠減量(g)を計算し、欠減量(g)/使用した熱水重量(g)×100により欠減(%)を算出した。乾燥ホップの投入量が求まれば、欠減(%)を算出することができる。
【0056】
なお、エキス分の総量は、ビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「ビール分析法(2004年11月1日改訂版) 7.2 エキス」に従い測定した。また、ポリフェノール含有量の測定は、一般に知られているいずれの方法によって行うことができるが、ビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「BCOJビール分析法(2004年11月1日改訂版) 7.11 総ポリフェノール」に従い測定した。
【0057】
【表1】
【0058】
結果、実施例である水準3、4、6、7、8、9、10については、従来製法による比較例である水準1と同等の欠減であって、本発明の製法による欠減の抑制が確認された。
また、サンプル中のエキス分辺りのポリフェノール含有量(糖含有液における、ポリフェノール総量/エキス分総量)を確認しても、水準1と比べて高ポリフェノール含有量となっていることが確認できた。