(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、各図は、実施形態の構造ないし構成を示す模式図であり、図示された各部材の寸法は必ずしも現実のものを反映するものではない。
【0011】
(車両および車内空間のレイアウト)
図1は、実施形態に係る車両1の車体左側からの外観図である。車両1は、フロントドア11およびリアドア12を備える。ここでは、車体左側のフロントドア11およびリアドア12を図示したが、これらは車体右側にも設けられる。なお、本実施形態では、車両1は四輪の乗用車であるが、この車種に限られるものではない。また、ドア11及び12は、回動式のドアでもよいしスライド式のドアでもよい。
【0012】
図2は、車両1の車内空間2の上面図である。ここではフロントドア11およびリアドア12を不図示とする。車両1は、車内空間2において、前列シートと、その後方の後列シートとを含む。本実施形態では、車両1は座席21〜24を備える。座席21は第1列目右側席の運転席であり、座席22は第1列目左側席である助手席であり、座席23は第2列目右側席であり、及び、座席24は第2列目左側席である。図中には、運転席21の位置を分かりやすくするため、その前方に、車両1の操舵を行うためのステアリングホイール21Aが示される。
【0013】
前列シートの側方には、フロントドア11に対応するドア開口11Hが形成されており、また、後列シートの側方には、リアドア12に対応するドア開口12Hが形成されている。ユーザは、例えば、ドア開口11Hから助手席22にアクセス可能であるし、ドア開口12Hから座席24にアクセス可能である。なお、本実施形態では、第1列目から第2列目までの2列分の座席が配置された構成とするが、列の数は3以上であってもよい。
【0014】
(車両用シートの構成)
以下では、助手席22に好適な車両用シート3の構造について述べるが、車両用シート3は、他の座席21及び23〜24にも適用可能である。
図3及び
図4は、車両用シート3の斜視図である。車両用シート3の構造の理解を容易にするため、図中には、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」の方向を示し、これらの方向は、以下の説明において相対的な位置関係を表現するのにも用いられる。また、これらの方向は、車両用シート3を車両1に搭載したときの車両1の方向に対応し、例えば、車両用シート3の前方向と車両1の前方向とは同方向を示す。
【0015】
図3は、車両用シート3の左前方側からの斜視図であり、
図4は、車両用シート3の左後方側からの斜視図である。車両用シート3は、シート本体30、操作部31〜34、及び、レール35を備える。シート本体30は、シートクッション301、シートバック302、及び、ヘッドレスト303を有する。シートクッション301は座面を形成する。シートバック302は背もたれを形成する。ヘッドレスト303は、シートバック302の上方に配され、ユーザの頭部を支持する枕部を形成する。また、シート本体30は、その前後方向の位置調整を可能にするスライド機能、及び、シートクッション301とシートバック302との角度調整を可能にするリクライニング機能を有する。
【0016】
操作部31及び33は、スライド操作用の操作部であり、シート本体30の前後方向のスライド操作を受け付ける。詳細は後述とするが、ユーザは、操作部31及び33のいずれを用いても、シート本体30のスライド操作を行うことができる。レール35は、車両1に対して固定され、シート本体30の前後方向のスライドを可能にするガイドとして作用する。また、操作部32及び34は、リクライニング操作用の操作部であり、シート本体30のリクライニング操作を受け付ける。詳細は後述とするが、ユーザは、操作部32及び34のいずれを用いても、シート本体30のリクライニング操作を行うことができる。
【0017】
操作部31及び32は、シート本体30の背面側、本実施形態ではシートバック302の後方側の面に並んで配置され、比較的簡便な構成で、操作部31及び32のいずれにも容易にアクセスできるようになっている。本実施形態では、操作部31及び32は、ヘッドレスト303より下方においてシート本体30の幅方向に並んでおり、いずれもユーザにとって使いやすい位置に配置される。また、シートバック302の後方側の下部には雑誌等を収容可能なポケット304が設けられており、操作部31及び32はポケット304より上方に配置される。これにより、操作部31及び32、並びに、ポケット304は、いずれもユーザにとって使いやすい位置に配置される。
【0018】
操作部33は、シート本体30の前方側、本実施形態ではシートクッション301の前方側の下部に配置され、操作部31とは独立してスライド操作を受け付ける。操作部34は、シート本体30の側方側、本実施形態ではシートクッション301の左側方側に配置され、操作部32とは独立してリクライニング操作を受け付ける。即ち、ユーザは、操作部31及び33のいずれを用いてもスライド操作を行うことができ、また、操作部32及び34のいずれを用いてもリクライニング操作を行うことができる。
【0019】
本実施形態では、操作部31はシート本体30の背面側に配置され、操作部31と同機能を実現するための操作部33はシート本体30の前方側に配置される。よって、ユーザは、使いやすい方の操作部31又は33を用いてスライド操作を行えばよい。例えば、ユーザは、シート本体30に対する立ち位置によって操作部31及び33の一方にアクセスできない場合には他方にアクセスすればよい。具体的には、ユーザは、例えばシート本体30の背面側に居る場合には操作部31を用い、そうでない場合には操作部33を用いればよい。
【0020】
また、操作部32は、操作部31に対して、操作部32と同機能を実現するための操作部34の側とは反対側に配置され、本実施形態では、操作部31の右側に配置される。よって、ユーザは、使いやすい方の操作部32又は34を用いてリクライニング操作を行えばよい。例えば、ユーザは、シート本体30に対する立ち位置によって操作部32及び34の一方にアクセスできない場合には他方にアクセスすればよい。
【0021】
なお、ユーザは、一般には、車両1の運転者および乗員であるが、例えば車両1の出発準備を手伝う者等、実際には車両1に搭乗しない関係者であってもよい。
【0022】
図8(A)及び
図8(B)は、車両用シート3の内部構造の一部、特にシート本体30のスライド機能およびリクライニング機能を実現する構成を模式的に示す。まず、
図8(A)を参照しながらシート本体30のスライド機能を述べる。
【0023】
前述のとおり、操作部31はシート本体30の背面に配置され、操作部33はシート本体30の前方側に配置される。シート本体30には、その底部においてレール35と摺動可能なスライド機構371が配置され、また、スライド機構371のロックまたはロック解除を行うロック解除機構372が内蔵される。操作部31及び33は、それぞれ、ワイヤ31W及び33Wを介してロック解除機構372に接続される。詳細については後述とするが、例えば、ユーザが操作部31を回動させると、それに伴う引張力がワイヤ31Wを介してロック解除機構372に伝達され、スライド機構371のロックが解除される。これにより、スライド機構371がレール35に沿って図中の矢印の方向に摺動可能になる。そして、ユーザが操作部31を元の状態に戻すと(収容凹部361内に収容すると)、スライド機構371は再びロックされる。ユーザが操作部33を操作した場合も同様である。
【0024】
次に、
図8(B)を参照しながらシート本体30のリクライニング機能を述べる。前述のとおり、操作部32はシート本体30の背面に配置され、操作部34はシート本体30の側方側に配置される。シート本体30には、リクライニング機構381、及び、そのロックまたはロック解除を行うロック解除機構382が内蔵される。操作部32及び34は、それぞれ、ワイヤ32W及び34Wを介してロック解除機構382に接続される。詳細については後述とするが、例えば、ユーザが操作部32を回動させると、それに伴う引張力がワイヤ32Wを介してロック解除機構382に伝達され、リクライニング機構381のロックが解除される。これにより、シート本体30のシートバック302が図中の矢印の方向に回動可能になる。そして、ユーザが操作部32を元の状態に戻すと(収容凹部362内に収容すると)、リクライニング機構381は再びロックされる。ユーザが操作部34を操作した場合も同様である。
【0025】
リクライニング機構381は、シート本体30が折り畳まれた状態にすること(リクライニングの角度を実質的に0度にしてシートクッション301とシートバック302とが接触した状態にすること)が可能に構成される。そして、ユーザは、シート本体30を、上記折り畳まれた状態のまま、操作部31によりスライド操作を行うことも可能である。
【0026】
スライド機能およびリクライニング機能を実現する構成には、公知のものが用いられればよい。本実施形態では、機械的構成の一例として、スライド機構371、リクライニング機構381、並びに、それらのロック解除機構371及び382を例示したが、これに限られない。例えば、スライド機能およびリクライニング機能は、モータ等を用いた電動式の構成によって実現されてもよい。この場合、シート本体30は、操作部31等が操作されたことに応答してモータ駆動によりスライド又はリクライニングが実現されるように構成されればよい。
【0027】
(シート本体の背面側の操作部について)
図5は、車両用シート3の右後方側からの斜視図、特に操作部31及び32の拡大図である。シート本体30の背面側(シートバック302の後方側の面)には取付枠部36が設けられており、操作部31及び32は、非操作時の状態(ユーザにより操作されていない状態)では、この取付枠部36に収容される。本実施形態では、取付枠部36には収容凹部361及び362が設けられており、操作部31及び32は非操作時の状態では収容凹部361及び362にそれぞれ収容される。
【0028】
操作部31及び32の露出面(具体的には、操作部31及び32が収容凹部361及び362にそれぞれ収容された状態でユーザが目視可能な位置)には、マークがそれぞれ付される。これらのマークは、操作部31及び32のいずれがスライド操作用またはリクライニング操作用なのか、ユーザにとって区別しやすいものが用いられればよい。
【0029】
図6(A)は、操作部31及び32の非操作時の状態の斜視図であり、また、
図6(B)は、操作部31及び32の操作時の状態の斜視図である。これらの状態の比較を容易にするため、
図6(A)及び
図6(B)には同視点からの斜視図を示す。また、
図7は、操作時の状態の操作部31及び32の下方側からの斜視図を示す。
【0030】
操作部31および操作部32は互いに異なる形状を有する。これにより、ユーザは、いずれがスライド操作用またはリクライニング操作用なのか区別可能である。本実施形態では、操作部31および操作部32は、軸AX1を中心に同軸上で回動可能に構成されたレバーである。これにより、ユーザは、スライド操作およびリクライニング操作のいずれを行う場合においても、いずれの操作部なのか区別しながら、同様の動作でその操作を行うことでき、ユーザにとって使用しやすい構成になっている。
【0031】
具体的には、操作部31は、指を挿入可能な開口部31Hを有するレバーである。ユーザは、開口部31Hに指を入れて操作部31をシート本体30の背面から起立する方向に軸AX1を中心に回動させることで、シート本体30をスライド可能な状態にすることができる。ユーザは開口部31Hに指を入れて操作部31を把持することができ、その状態で操作部31を回動させて起立させることができる。そして、ユーザは、この起立させた操作部31を把持しながらシート本体30をスライドさせることができ、それにより、スライド操作を容易に行うことができる。操作部31が開口部31Hを有する形状であるため、ユーザは順手および逆手のいずれによっても容易に操作部31を把持することができる。
【0032】
また、操作部32は、指を挿入可能な凹部32Hを下端部に有するレバーである。ユーザは、凹部32Hに指を入れて操作部32をシート本体30の背面から起立する方向に軸AX1を中心に回動させることで、シート本体30をリクライニング可能な状態にすることができる。操作部32が下端部に凹部32Hを有する形状であるため、ユーザは、一般にリクライニング操作を行いやすい逆手によって操作部32を把持することができる。なお、ユーザが開口部31Hおよび凹部32Hに指を挿入してスライド操作およびリクライニング操作をそれぞれ容易に行えるように、操作部32の回動可能な角度は、操作部31の回動可能な角度よりも小さく設定されている。
【0033】
開口部31Hおよび凹部32Hは、いずれもユーザの指が挿入可能なサイズで設けられればよく、一般的な大きさの手の第1関節ないし第2関節まで挿入可能に設けられればよい。例えば、開口部31Hおよび凹部32Hは、それぞれ、2cm以上かつ4cm以下の範囲内の幅、及び、2cm以上かつ4cm以下の範囲内の深さで設けられればよい。
【0034】
また、本実施形態では、回動軸AX1と交差する方向(即ち、シート本体30の上下方向)における収容凹部361及び362の長さは互いに等しい。そして、同方向における操作部31及び32の長さは互いに異なる。このような構造によれば、シート本体30の背面側の意匠性を向上させながら操作部31及び32を区別可能にすることもできる。
【0035】
(実施形態に係る車両用シートの効果について)
再び
図2を参照すると、車両1を使用する際、ユーザは、図中に矢印で示されるように、座席24に一旦アクセス(Act1)した後、車内空間2を通って直接的に運転席21にアクセス(Act2)することが考えられる。例えば、座席24に子供を座らせ又は荷物を載置した後、そのまま運転席21に移動するケースが考えられる。これにより、運転席21にアクセスするのに車外を回り込む必要がなくなる。特に、車両1が路上駐車の場合には車両1の右側を他の車両が走行する可能性が高いため、車内空間2を通って運転席21に移動することが求められることも多い。このような場合、車内空間2の模様替えを行う必要があり、上述の例では座席24と運転席21との間の移動を可能にするため、ユーザは、助手席22を座席24側(即ち、助手席22の背面側)から折り畳んで前方側に移動させる必要がある。
【0036】
本実施形態に係る車両用シート3によれば、車両用シート3の操作部31及び32に背面側からアクセス可能である。そのため、ユーザは、助手席22の車両用シート3を、座席24側から操作部31及び32を操作することで折り畳んで前方に移動させた後、車内空間2を通って運転席21に移動することができる。
【0037】
更に、ユーザは、運転席21に移動した後、この助手席22の車両用シート3を再び操作部31及び32を操作することで元の状態(位置や姿勢)にすることも可能である。操作部31及び32は、シート本体30の背面において並んで配置されているため、ユーザは、運転席21、即ちシート本体30の側方側からも、操作部31及び32にアクセスが容易である。本実施形態では、操作部33は、シート本体30の操作部34が配置された側とは反対側の近くに配置され、即ち、シート本体30の前方右側下部に配置されている。そのため、ユーザは、操作部31を操作する代わりに操作部33を操作することも可能である。
【0038】
以上では、助手席22の車両用シート3についての模様替えを行って座席24から運転席21に移動する場合を考えた。しかしながら、車両用シート3の構成は、その背面側および側方側等、多方向からスライド操作およびリクライニング操作のいずれにもアクセスが容易であるため、車内空間2における互いに異なる2列間の座席の移動を可能にする。即ち、車両用シート3は、所定のシートの位置および姿勢の変更を多方向から操作可能にする場合に好適に用いられ、助手席22ではない他の席にも適用可能である。
【0039】
例えば、実施形態では、第1列目から第2列目までの2列分の席が配置された構成を例示したが(
図2参照)、3列分の席が配列された構成においては、実施形態の内容は第2列目の席にも好適に適用されうる。本実施形態では、操作部31及び33が互いに離れた位置になるように配置され、かつ、操作部32及び34が互いに離れた位置になるように配置されている。そのため、ユーザは、シート本体30周囲の任意の位置からスライド操作およびリクライニング操作のいずれも容易に行うことが可能であり、よって、複数列のシートが配列された車内空間2において、任意の位置から自在に模様替えを行うことができる。
【0040】
(実施形態のまとめ)
第1の態様は、車両用シート(例えば3)であって、シート本体(例えば30)と、前記シート本体の前後方向のスライド操作を受け付ける第1の操作部(例えば31)と、前記シート本体のリクライニング操作を受け付ける第2の操作部(例えば32)と、を備え、前記第1の操作部と前記第2の操作部とは前記シート本体の背面において並んで配置されている。
【0041】
第1の態様によれば、ユーザ(運転者、乗員等)は、スライド操作用の第1の操作部およびリクライニング操作用の第2の操作部のいずれにも多方向から容易にアクセス可能となり、例えば車両用シートの背面側からの車内の模様替えが可能となる。また、これらの操作部が並んで配置されているため、これらの操作部を比較的簡便な構成で実現可能となる。
【0042】
第2の態様では、前記第1の操作部と前記第2の操作部とは前記シート本体の幅方向に並んで配置されている。
【0043】
第2の態様によれば、ユーザにとって操作性の高い構成になっており、上記第1の態様同様の効果を、より効果的に得ることができる。
【0044】
第3の態様では、前記第1の操作部は、指を挿入可能な開口部(例えば31H)を有する第1のレバー(例えば31)であり、前記第1のレバーが前記背面から起立する方向に回動されることで、前記シート本体が前記前後方向にスライド可能に構成されている。
【0045】
第3の態様によれば、ユーザは開口部に指を入れて第1のレバーを把持することができ、その状態で第1のレバーを起立させることが可能となる。また、この起立させた第1のレバーを把持しながらシート本体をスライドさせることができるため、ユーザはスライド操作を容易に行うことができる。また、第1のレバーは開口部を有する形状であるため、ユーザは順手および逆手のいずれによっても容易に第1のレバーを把持することができる。
【0046】
第4の態様では、前記第2の操作部は、指を挿入可能な凹部(例えば32H)を下端部に有する第2のレバー(例えば32)であり、前記第2のレバーが前記背面から起立する方向に回動されることで、前記シート本体がリクライニング可能に構成されている。
【0047】
第4の態様によれば、ユーザは凹部に指を入れて第2のレバーを起立させることで、リクライニングの角度を容易に変更することができる。
【0048】
第5の態様では、前記第1の操作部と前記第2の操作部とは、互いに異なる形状を有する。
【0049】
第5の態様によれば、ユーザは、第1の操作部および第2の操作部が、それぞれスライド操作およびリクライニング操作のいずれを行うものなのか区別可能となる。
【0050】
第6の態様では、前記第1の操作部および前記第2の操作部は、同軸(例えばAX1)上で回動可能に構成されたレバーである。
【0051】
第6の態様によれば、第1の操作部および第2の操作部の上記区別を可能にすると共に、スライド操作およびリクライニング操作のいずれを行う場合においても、ユーザは同様の動作でその操作を行うことできるため、使用面において有利である。
【0052】
第7の態様では、前記背面には、前記第1の操作部および前記第2の操作部をそれぞれ収容するための第1の収容凹部(例えば361)および第2の収容凹部(例えば362)が設けられており、前記第1の操作部および前記第2の操作部の回動軸(例えばAX1)と交差する方向における前記第1の収容凹部および前記第2の収容凹部の長さは互いに等しく、かつ、該方向における前記第1の操作部および前記第2の操作部の長さは互いに異なる。
【0053】
第7の態様によれば、シート本体の背面の意匠性を向上させると共に第1の操作部および第2の操作部の上記区別を可能にする。
【0054】
第8の態様では、前記シートの前方側に配置され、前記第1の操作部とは独立して前記スライド操作を受け付ける第3の操作部(例えば33)と、前記シートの側方側に配置され、前記第2の操作部とは独立して前記リクライニング操作を受け付ける第4の操作部(例えば34)と、を更に備え、前記第2の操作部は、前記第1の操作部に対して前記第4の操作部の側とは反対側に配置されている。
【0055】
第8の態様によれば、スライド操作用の第1の操作部および第3の操作部が互いに離れた位置になるように配置され、且つ、リクライニング操作用の第2の操作部および第4の操作部が互いに離れた位置になるように配置されることにより、ユーザは、シート本体周囲の任意の位置からスライド操作およびリクライニング操作のいずれも容易に行うことが可能となる。
【0056】
第9の態様では、前記第3の操作部は、前記第4の操作部が配置された前記シート本体の前記側方側よりも、その反対側の側方側の近くに配置されている。
【0057】
第9の態様によれば、ユーザは、シート本体周囲の任意の位置からスライド操作およびリクライニング操作のいずれもより容易に行うことが可能となる。
【0058】
第10の態様では、前記背面にはポケット(例えば304)が更に設けられており、前記第1の操作部および前記第2の操作部は前記ポケットより上方に配置されている。
【0059】
第10の態様によれば、第1の操作部および第2の操作部がユーザにとって適切な高さに位置するため、第1の操作部および第2の操作部の操作性が向上する。
【0060】
第11の態様では、前記第1の操作部および前記第2の操作部は前記シート本体のヘッドレスト(例えば303)より下方に配置されている。
【0061】
第11の態様によれば、第1の操作部および第2の操作部がユーザにとって適切な高さに位置するため、第1の操作部および第2の操作部の操作性がより向上する。
【0062】
第12の態様は、上述のいずれかの態様の車両用シート(例えば3)を備える車両(例えば1)である。
【0063】
第12の態様によれば、上述の車両用シートは典型的な車両に適用可能である。
【0064】
第13の態様では、前記車両は、運転席および助手席を含む前列シートと、その後方の後列シートとを含む車両であり、前記車両用シートは、助手席(例えば22)のシートである。
【0065】
第13の態様によれば、上述の車両用シートを助手席のシートに適用することにより、運転席からの第1の操作部および第2の操作部のいずれにもアクセスが容易となる。また、例えば、後部座席に子供等を座らせた後に、その後部座席から車内空間を通って運転席に移動することも可能になり、車外に出る必要がなくなる。
【0066】
(その他)
以上、いくつかの好適な態様を例示したが、本発明はこれらの例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その一部が変更されてもよい。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。