【実施例】
【0024】
以下の本発明を実施例により説明する。
【0025】
(実施例1)
硝酸銀の濃度が10mMとなり、アスコルビン酸の濃度が20Mとなるように、硝酸銀およびアスコルビン酸を、水を溶媒として混合した混合液を作製した。アスコルビン酸は、銀を還元する還元剤である。アスコルビン酸の標準電極電位は、0.06Vである。
【0026】
次に、ポリビニルピロリドン(PVP)の濃度が20mM(単位ユニット分子量換算)となるように、混合液にポリビニルピロリドンさらに混合した。ポリビニルピロリドンは、還元された銀に吸着する高分子吸着剤である。なお、ポリビニルピロリドンは、グラフト重合により、重量平均分子量を10000にしたもの(東京化成工業(株)製)である。
【0027】
得られた混合液に、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、130℃で10分間混合液を加熱した。これにより、銀ナノ粒子を作製した。この際、銀の還元の反応速度を確認すべく、混合液の温度が130℃到達してから10秒後および20秒後の銀の還元率(原子%)を、発光分光分析(IPC)により測定した。この結果を、
図2に示す。
【0028】
(実施例2)
実施例1と同じように、銀ナノ粒子を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、グラフト重合により、重量平均分子量が40000のポリビニルピロリドン(PVP:東京化成工業(株)製)を用いた点である。
【0029】
(実施例3)
実施例1と同じように、銀ナノ粒子を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、アスコルビン酸の代わりに、クエン酸ナトリウムを用い、混合液に対するクエン酸ナトリウムの濃度を20mMにした点である。クエン酸の標準電極電位は、0.03Vである。
【0030】
(実施例4)
実施例1と同じように、銀ナノ粒子を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、アスコルビン酸の代わりに、シュウ酸を用い、混合液に対するシュウ酸の濃度を20mMにした点である。シュウ酸の標準電極電位は、0.49Vである。
【0031】
(比較例1)
エチレングリコールを溶媒として、硝酸銀10mM、ポリビニルピロリドン20mMを溶解させ、実施例1と同じようにマイクロ波を照射することによりこれらを加熱し、銀ナノ粒子を作製した。エチレングリコールの標準電極電位は、−0.1Vである。
【0032】
(比較例2)
実施例1と同じように、銀ナノ粒子を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、アスコルビン酸およびポリビニルピロリドン(PVP)の代わりに、クエン酸ナトリウムを用い、混合液に対するクエン酸ナトリウムの濃度を20mMにした点である。なお、クエン酸ナトリウムの重量平均分子量は、258である。
【0033】
(比較例3)
実施例1と同じように、銀ナノ粒子を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、ポリビニルピロリドン(PVP)の代わりに、クエン酸ナトリウムを用い、混合液に対するクエン酸ナトリウムの濃度を6mMにした点である。なお、クエン酸ナトリウムの重量平均分子量は、258である。
【0034】
(比較例4)
実施例1と同じように、銀ナノ粒子を作製した。実施例1と相違する点は、表1に示すように、グラフト重合により、重量平均分子量が360000のポリビニルピロリドン(PVP)を用いた点である。
【0035】
【表1】
【0036】
〔銀ナノ粒子の外観の観察〕
実施例1〜4および比較例1〜4において、生成された銀ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。これらの結果を、
図3A〜
図3Dおよび
図4A〜4Dに示す。
図3A〜
図3Dは、順に実施例1〜4に係る銀ナノ粒子の写真であり、
図4A〜
図4Dは、順に比較例1〜4に係る銀ナノ粒子の写真である。
【0037】
<結果1および考察1>
図2に示すように、実施例1では、マイクロ波の照射により、混合液の温度が130℃到達してから10秒後程度で、銀の還元反応が略完了していた。また、他の実施例2〜4および比較例1〜4に対しても、同様の測定を行ったところ、10秒〜1分程度で、銀の還元反応が略完了していた。これは、マイクロ波を用いたことにより、銀イオンに局所的にエネルギーが付与され、還元反応が促進されたからであると考えられる。
【0038】
<結果2および考察2>
図3A〜
図3Dに示すように、実施例1〜4では、プレート状の銀ナノ粒子が作製されたが、
図4A〜
図4Dに示すように、比較例1〜4では、球状または多面体状の銀ナノ粒子が作製された。
【0039】
実施例1〜4では、標準電極電位が低い還元剤(0.06〜0.49V)を用いたため、銀が析出する前に、高分子吸着剤であるPVP(重量平均分子量1万〜4万)が銀の特定の方位に吸着し、その方向における銀の成長が阻害されたからであると考えられる。これにより、実施例1〜4では、銀が異方性をもって成長し、この成長が促進され、プレート状の銀ナノ粒子が生成したと考えられる(
図3A〜
図3D参照)。
【0040】
しかしながら、比較例1では、ポリーオール還元法で一般的に利用されるエチレングリコールを用いたので、実施例1〜4よりも、銀の還元力が高まる。このため、たとえば、高分子吸着剤であるPVPを混合液に混合したとしても、高分子吸着剤が銀に吸着する前に、銀の析出が進行し、結果として、球状の銀ナノ粒子(
図4A参照)が生成されたと考えられる。これにより、比較例1のエチレングリコールの如く、還元力の強すぎる還元剤を用いた場合には、プレート状の銀ナノ粒子が得られないと考えられる。
【0041】
また、比較例2および3では、PVPの代わりに、クエン酸が高分子吸着剤として作用するが、PVPに比べて、クエン酸の分子量は、PVPの重量平均分子量に比べて、小さいため、クエン酸が銀の特定の方位に吸着して、銀の周囲を保護するに至らないと考えられる。このような結果、比較例2および3では、球状または多面体状の銀ナノ粒子が生成されたと考えられる(
図4B、
図4C参照)。
【0042】
また、比較例4では、高分子吸着剤であるPVPの重量平均分子量は、実施例1〜4のものよりも大きいため、適切な方位において銀粒子の周囲を高分子吸着剤で吸着できないと考えられる。このような結果、比較例4では、高分子吸着剤が凝集するとともに、球状または多面体状の銀ナノ粒子が生成されたと考えられる(
図4D参照)。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。