(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態) 第一実施形態における水晶デバイスは、
図1及び
図2に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の上面に実装された音叉型水晶素子120とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aと、第一枠体110b、第二枠体110c及び第三枠体110dによって構成されている。基板110aと第一枠体110bとで第一凹部K1、第二凹部K2及び第三凹部K3が形成され、第一枠体110bと第二枠体110cとで、第四凹部K4が形成されている。また、基板110aと第三枠体110dとで、第五凹部K5が形成されている。音叉型水晶素子120には、水晶基部121及び水晶振動部123が設けられている。このような水晶デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
【0010】
基板110aは、矩形状であり、上面に実装された音叉型水晶素子120及び下面に実装された集積回路素子150を実装するためのものである。
基板110aは、
上面に、音叉型水晶素子120を実装するための電極パッド111が設けられており、下面に、集積回路素子150を実装するための接続パッド115が設けられている。また、基板110aの一辺に沿って、音叉型水晶素子120を接合するための第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bが設けられている。第三枠体110dの下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、基板110aの下面の中央には、一対の測定パッド118が設けられ、その一対の測定パッド118を囲むようにして、集積回路素子150を実装するための六つの接続パッド115が設けられている。また、外部端子112は、接続パッド115の内の外側にある四つと電気的に接続されている。
【0011】
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた測定パッド118とを電気的に接続するための配線パターン113及びビア導体114が設けられている。また、基板110aの表面には、下面に設けられた接続パッド115及び測定パッド118が設けられている。
【0012】
第一枠体110bは、基板110aの上面に配置され、基板110aの上面に第一凹部K1、第二凹部K2及び第三凹部K3を形成するためのものである。また、第二枠体110cは、第一枠体110bの上面に配置され、第一枠体110bの上面に第四凹部K4を形成するためのものである。第三枠体110dは、基板110aの下面に第五凹部K5を形成するためのものである。第一枠体110b、第二枠体110c及び第三枠体110dは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。
【0013】
第一凹部K1は、一対の電極パッド111の間に設けられており、後述する音叉型水晶素子120を実装する際に、隣り合う一対の電極パッド111に設けられた導電性接着剤140の接触を抑えるためのものである。第一凹部K1は、基板110aの上面と第一枠体110bとによって形成されている。このようにすることにより、仮に隣り合う一対の電極パッド111に設けられた導電性接着剤140が、音叉型水晶素子120を実装する際に電極パッド111から溢れ出たとしても、第一凹部K1内に入り込むことで、隣り合う電極パッド111が短絡してしまうことをさらに抑えることができる。
【0014】
第二凹部K2は、後述する音叉型水晶素子120の振動腕部122と対向する位置に設けられ、振動腕部122が基板110aの上面に接触することを抑えるためのものである。第二凹部K2は、基板110aの上面と第一枠体110bとによって形成され、音叉型水晶素子120の振動腕部122と対向する位置に設けられている。このようにすることにより、音叉型水晶素子120を電極パッド111上に実装した際に、仮に音叉型水晶素子120が傾いたとしても、振動腕部122が基板110aの上面に接触することを抑えることができるので、音叉型水晶素子120の発振周波数の変動及び停止を抑えることが可能となる。
【0015】
第三凹部K3は、後述する音叉型水晶素子120の錘部128と対向する位置に設けられ、錘部128が基板110aの上面に接触することを抑えるためのものである。第三凹部K3は、基板110aの上面と第一枠体110bとによって形成されており、音叉型水晶素子120の錘部128と対向する位置に設けられている。このようにすることで、音叉型水晶素子120を電極パッド111上に実装した際に、仮に音叉型水晶素子120が傾いたとしても、錘部128が基板110aの上面に接触することを抑えることができるので、音叉型水晶素子の発振周波数の変動及び停止を低減させることが可能となる。
【0016】
第四凹部K4は、後述する音叉型水晶素子120を実装するためのものである。第四凹部K4は、第一枠体110bの上面と第二枠体110cとによって形成されている。また、第五凹部K5は、後述する集積回路素子を実装するためのものである。第五凹部K5は、基板110aの下面と第三枠体110dとによって形成されている。
【0017】
また、第一凹部K1は、第二凹部K2及び第三凹部K3と空間がつながるようにして設けられている。このようにすることにより、仮に隣り合う一対の電極パッド111に設けられた導電性接着剤140が、音叉型水晶素子120を実装する際に電極パッド111から溢れ出たとしても、第一凹部K1内に入り込み、第一凹部K1から第二凹部K2を通して第三凹部K3まで流れ出てしまうことで、隣り合う電極パッド111が短絡してしまうことをさらに抑えることができる。
【0018】
また、平面視した際に、第一凹部K1の結晶軸方向であるX軸と平行な長さが、第二凹部K2の結晶軸方向であるX軸と平行な長さよりも小さくなるように設けられ、第二凹部K2の結晶軸方向であるX軸と平行な長さが、第三凹部K3の結晶軸方向であるX軸と平行な長さよりも小さくなるように設けられている。このようにすることにより、第一枠体110bの専有面積が、第一凹部K1から第三凹部K3に向かうにつれて小さくなるため、パッケージ110にかかる応力において第三凹部K3の箇所よりも第一凹部K1の近傍にある第一枠体110bの上面に設けられた電極パッド111における歪の変位量が小さくなるため、音叉型水晶素子120が電極パッド111から剥がれてしまうことを抑えることができる。
【0019】
電極パッド111は、音叉型水晶素子120を実装するためのものである。電極パッド111は、基板110aの上面に一対で設けられており、基板110aの一辺に沿うように隣接して設けられている。電極パッド111は、
図1及び
図4に示されているように基板110aの上面に設けられた配線パターン113とビア導体114を介して、第三枠体110cの下面に設けられた外部端子112と電気的に接続されている。
【0020】
電極パッド111は、
図4に示すように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。ビア導体114は、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b、第三ビア導体114c、第四ビア導体114d、第五ビア導体114e、第六ビア導体114f、第七ビア導体114g及び第八ビア導体114hによって構成されている。また、配線パターン113は、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b、第三配線パターン113c及び第四配線パターン113dによって構成されている。測定パッド118は、第一測定パッド118a及び第二測定パッド118bによって構成されている。第一電極パッド111aは、基板110aに設けられた第一配線パターン113aの一端と電気的に接続されている。
【0021】
また、第一配線パターン113aの他端は、第一ビア導体114aを介して、第三配線パターン113cの一端と電気的に接続されている。第三配線パターン113cの他端は、第七ビア導体114gを介して、第一測定パッド118aと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第一測定パッド118aと電気的に接続されることになる。第二電極パッド111bは、基板110aに設けられた第二配線パターン113bの一端と電気的に接続されている。また、第二配線パターン113bの他端は、第二ビア導体114bを介して、第四配線パターン113dの一端と電気的に接続されている。第四配線パターン113dの他端は、第八ビア導体114hを介して、第二測定パッド118bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二測定パッド118bと電気的に接続されることになる。
【0022】
また、第一測定パッド118aは、第三接続パッド115cと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第三接続パッド115cと電気的に接続されることになる。また、第二測定パッド118bは、第六接続パッド115fと電気的に接続されることになる。よって、第二電極パッド111bは、第六接続パッド115fと電気的に接続されることになる。
【0023】
外部端子112は、電子機器等の実装基板に実装するためのものである。外部端子112は、第三枠体110dの下面の四隅に設けられている。外部端子112は、基板110aの下面に設けられた六つの接続パッド115の四つと電気的に接続されている。また、第一外部端子112aは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランド電位と接続されている実装パッドと接続されている。これにより、封止用導体パターン117に接合された蓋体130がグランド電位となっている第一外部端子112aに接続される。よって、蓋体130による第四凹部K4内のシールド性が向上する。また、第一外部端子112aは、グランド端子として用いられ、第二外部端子112bは、出力端子として用いられ、第三外部端子112cは、機能端子として用いられ、第四外部端子112dは、電源電圧端子として用いられる。機能端子は、書込読込端子及び周波数制御端子として用いられる。ここで、書込読込端子は、温度補償用制御データを記憶素子部に書き込んだり、記憶素子部に書き込まれた温度補償用制御データを読み込んだりするための端子のことである。周波数制御端子は、電圧を印加すると発振回路部の可変容量ダイオードの負荷容量を変動させることによって、音叉型水晶素子120の温度特性を補正させるための端子のことである。
【0024】
配線パターン113は、基板110aの上面に設けられ、電極パッド111から近傍の基板110aのビア導体114に向けて引き出されている。また、配線パターン113は、
図4に示すように、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b、第三配線パターン113c及び第四配線パターン113dによって構成されている。
【0025】
ビア導体114は、基板110aの内部に設けられ、その両端は、配線パターン113及び測定パッド118と電気的に接続されている。ビア導体114は、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。ビア導体114は、第一ビア導体114a、第二ビア導体114b、第三ビア導体114c、第四ビア導体114d、第五ビア導体114e、第六ビア導体114f、第七ビア導体114g及び第八ビア導体114hによって構成されている。
【0026】
第七ビア導体114g及び第八ビア導体114hは、平面視した際に、一対の水晶振動部123の間に位置するように設けられている。このようにすることにより、水晶振動部123に設けられた励振電極125、126と、第七ビア導体114g及び第八ビア導体114hとの間で付加容量が発生することを抑えるため、音叉型水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
【0027】
接続パッド115は、集積回路素子150を実装するために用いられている。また、接続パッド115は、
図6に示すように、第一接続パッド115a、第二接続パッド115b、第三接続パッド115c、第四接続パッド115d、第五接続パッド115e及び第六接続パッド115fによって構成されている。第一接続パッド115aは、第一外部端子112aと電気的に接続されており、第二接続パッド115bは、第二外部端子112bと電気的に接続されている。第三接続パッド115cは、第一測定パッド118aと電気的に接続されており、第六接続パッド115fは、第二測定パッド118bと電気的に接続されている。第四接続パッド115dは、第三外部端子112cと電気的に接続されており、第五接続パッド115eは、第四外部端子112dと電気的に接続されている。
【0028】
封止用導体パターン117は、蓋体130と接合部材131を介して接合する際に、接合部材131の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターン117は、
図4〜
図6に示すように、第三ビア導体114cを介して、第一外部端子112aと電気的に接続されている。封止用導体パターン117は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、第二枠体110cの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
【0029】
測定パッド118は、コンタクトピン等を接触させることによって、音叉型水晶素子120の特性を測定するためのものである。測定パッド118は、平面視して、集積回路素子150と重なる位置に設けられている。このようにすることで、電子機器等の実装基板上の実装パターンと測定パッド118との間で発生する浮遊容量を低減させることで、音叉型水晶素子120に浮遊容量が付加されないので、音叉型水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
【0030】
ここでパッケージ110を平面視したときの一辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、測定パッド118の大きさを説明する。測定パッド118の長辺の長さは、0.5〜0.8mmとなり、短辺の長さは、0.45〜0.75mmとなる。
【0031】
また、音叉型水晶素子120の特性を測定する際に使用される電気特性測定器としては、音叉型水晶素子120の共振周波数、クリスタルインピーダンスの他、インダクタンス、容量等の等価パラメータを測定することができるネットワークアナライザ又はインピーダンスアナライザ等が用いられる。そのコンタクトピンは、銅、銀等の合金の表面に金メッキを施した高導電性のピンと、接触時の衝撃を抑制するばね性をもったリセクタブルソケットとで構成され、これを測定パッド118に押し付けつつ接触させることで測定が行われる。
【0032】
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、ビア導体114、接続パッド115、封止用導体パターン117及び測定パッド118となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
【0033】
音叉型水晶素子120は、
図1〜
図3に示すように、水晶基部121及び水晶振動部123からなる。音叉型水晶素子120の表面には、励振電極125a、125b、126a及び126bと、引き出し電極127a及び127bと、錘部128及び周波数調整電極129とにより構成されている。
【0034】
水晶基部121は、後述する水晶振動部123を支持し、音叉型水晶素子120をパッケージ110上に保持固定するためのものである。水晶基部121は、結晶の軸方向として電気軸がX軸、機械軸がY軸、及び光軸がZ軸となる直交座標系としたとき、X軸回りに−5°〜+5°の範囲内で回転させたZ′軸の方向が厚み方向となる平面視略四角形の平板である。
【0035】
水晶振動部123は、例えば、その表面に所望のパターンの励振電極125、126を形成し、その励振電極125、126に電位を印加することにより、所望の周波数の振動を励起するためのものである。水晶振動部123は、振動腕部122と錘部128によって構成されている。振動腕部122の先端部、つまり、水晶基部121と反対側の振動腕部122の端部に、ハンマーヘッド形状の錘部128が設けられている。また、水晶振動部123は、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bとからなる。第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bは、水晶基部121の一辺からY′軸の方向に平行に延設されている。また、振動腕部122は、第一振動腕部122a及び第二振動腕部122bによって構成されている。このような音叉型水晶素子120は、水晶基部121及び各水晶振動部123と一体となって音叉形状を成しており、フォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術により製造される。
【0036】
励振電極125aは、
図3に示すように、第一水晶振動部123aの第一振動腕部122aの表裏主面に設けられている。また、励振電極126bは、第一水晶振動部123aの第一振動腕部122aの対向する両側面に設けられている。また、一方の引き出し電極127aは、平面視して、水晶基部121に設けられている。他方の引き出し電極127bは、励振電極125a、126aと電気的に接続されており、水晶基部121の境界付近の表裏主面に設けられている。
【0037】
また、励振電極125bは、
図3に示すように、第二水晶振動部123bの第二振動腕部122bの表裏主面に設けられている。また、励振電極126aは、第二水晶振動部123bの第二振動腕部122bの対向する両側面に設けられている。他方の引き出し電極127bは、励振電極125b、126bと電気的に接続されており、水晶基部121の表裏主面に設けられている。また、他方の引き出し電極127bは、水晶基部121に設けている。
【0038】
錘部128は、水晶基部121と反対側の水晶振動部123の端部に、ハンマーヘッド形状で設けられている。錘部128は、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を調整するためのものである。具体的には、錘部128を設けることで、水晶振動部123の先端側へ錘を設けた状態に近づけることができるため、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を、錘部128がない場合と比較して低くなるようにすることができ、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を所望の周波数となるように調整している。また、錘部128は、第一水晶振動部123aの先端部に設けられている第一錘部128aと、第二水晶振動部123bの先端部に設けられている第二錘部128bとで構成されている。
【0039】
周波数調整電極129は、レーザ等で削ることにより、水晶振動部123で生じる屈曲振動の周波数を所望の周波数となるように調整するためのものである。周波数調整電極129は、第一周波数調整電極129a及び第二周波数調整電極129bによって構成されている。第一周波数調整電極129aは、第一錘部128aの表主面及び側面の先端部に設けられ、第二周波数調整電極129bは、第二錘部128bの表主面及び両側面の先端部に設けられている。
【0040】
なお、音叉型水晶素子120は、周波数調整電極129を構成する金属の量を増減させることにより、その周波数値を所望する値に調整することができる。励振電極125b及び126bと、第一周波数調整電極129aとは、
図3に示すように、水晶片の表面に設けられた引き出し電極127bにより電気的に接続している。また、励振電極125a及び126aと、第二周波数調整電極129bとは、水晶基部121の表面に設けられた引き出し電極127aにより電気的に接続している。
【0041】
この音叉型水晶素子120を振動させる場合、引き出し電極127a及び127bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第二水晶振動部123bの励振電極126bは+(プラス)電位となり、励振電極126aは−(マイナス)電位となり、+から−に電界が生じる。一方、このときの第一水晶振動部123aの励振電極126は、第二水晶振動部123bの励振電極126に生じた極性とは反対の極性となる。これらの印加された電界により、第一水晶振動部123a及び第二水晶振動部123bに伸縮現象が生じ、各水晶振動部123に設定した共振周波数の屈曲振動を得る。
【0042】
水晶片を平面視したときの長辺寸法が0.8〜1.2mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.2〜0.7mmである場合を例にして、水晶基部121、水晶振動部123を説明する。水晶基部121を平面視したときの長辺寸法が0.2〜0.4mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.2〜0.4mmである。水晶振動部123を平面視したときの長辺寸法が0.6〜0.9mmであり、平面視したときの短辺寸法が0.03〜0.2mmである。
【0043】
ここで、音叉型水晶素子120の動作について説明する。音叉型水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極127から励振電極125、126を介して水晶振動部123に印加されると、水晶振動部123が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
【0044】
ここで、音叉型水晶素子120の作製方法について説明する。まず、音叉型水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶片の両主面にフォトリソグラフィー技術によって、水晶基部121、水晶振動部123及び水晶支持部124を形成する。その後、フォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振電極125、126及び引き出し電極127を形成することにより作製される。
【0045】
また、平面視した際に、第一凹部K1の結晶軸方向であるX軸と平行な長さが、第二凹部K2の結晶軸方向であるX軸と平行な長さよりも小さくなるように設けられ、第二凹部K2の結晶軸方向であるX軸と平行な長さが、第三凹部K3の結晶軸方向であるX軸と平行な長さよりも小さくなるように設けられている。このようにすることにより、第一枠体110bの専有面積が、第一凹部K1から第三凹部K3に向かうにつれて小さくなるため、パッケージ110にかかる応力において第三凹部K3の箇所よりも第一凹部K1の近傍にある第一枠体110bの上面に設けられた電極パッド111における歪の変位量が小さくなるため、音叉型水晶素子120が電極パッド111から剥がれてしまうことを抑えることができる。
【0046】
音叉型水晶素子120の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に塗布される。音叉型水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子120は、電極パッド111に実装される。
【0047】
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
【0048】
集積回路素子150は、例えば、複数個の接続端子151を有した矩形状のフリップチップ型集積回路素子が用いられ、その回路形成面(上面)には、周囲の温度状態を検知する温度センサー、音叉型水晶素子120の温度特性を補償する温度補償データを格納するための記憶素子部、温度補償データに基づいて音叉型水晶素子120の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路部、その温度補償回路部に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路部が設けられている。この発振回路部で生成された出力信号は、第二外部端子112bを介して圧電発振器の外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
【0049】
記憶素子部は、PROMやEEPROMにより構成されている。温度補償関数である下記に示す三次関数のもととなるパラメータ、例えば三次成分調整値α、一次成分調整値β、0次成分調整値γの各値の温度補償用制御データが第三外部端子112cである書込読込端子から入力され保存される。記憶素子部には、レジスタマップが記憶されている。レジスタマップとは、各アドレスデータに制御データを入力した場合、制御部がそのデータを読み取り、信号を出力し、どのような動作を行なうかを示したものである。
【0050】
温度補償回路部は、三次関数発生回路や五次関数発生回路等によって構成されている。例えば、三次関数発生回路の場合は、その記憶素子部に入力された温度補償用制御データを読出して、温度補償用制御データから各温度に対して三次関数で導き出された電圧を発生させる。尚、この時の外部の周囲温度は、集積回路素子150内の温度センサーより得られる。温度補償回路部は、可変容量ダイオードのカソードと接続されており、温度補償回路部からの電圧が印加される。このように、可変容量ダイオードに温度補償回路部からの電圧を印加することよって、音叉型水晶素子120の周波数温度特性を補正することにより、周波数温度特性が平坦化される。
【0051】
集積回路素子150は、
図2に示すように、基板110aの下面に設けられた接続パッド115に半田等の導電性接合材170を介して実装されている。また、集積回路素子150の接続端子151は、接続パッド115に接続されている。接続パッド115は、外部端子112と電気的に接続されている。この第一外部端子112aは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランドと接続されている実装パッドと接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。よって、集積回路素子150の接続端子151の内の一つは、基準電位であるグランドに接続されることになる。
【0052】
集積回路素子150の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接合材170は、例えばディスペンサによって接続パッド115に塗布される。集積回路素子150は、導電性接合材170上に載置される。そして導電性接合材170は、加熱させることによって溶融接合される。よって、集積回路素子150は、接続パッド115に接合される。
【0053】
また、集積回路素子150は、
図1に示すように、矩形状であり、その下面に六つの接続端子151が設けられている。接続端子151は、一辺に沿って三つ設けられており、その一辺と向かい合う一辺に沿って三つ設けられている。集積回路素子150の長辺の長さは、0.5〜1.2mmであり、短辺の長さは、0.3〜1.0mmとなっている。集積回路素子150の厚み方向の長さは、0.1〜0.3mmとなっている。
【0054】
導電性接合材170は、例えば、銀ペースト又は鉛フリー半田により構成されている。また、導電性接合材170には、塗布し易い粘度に調整するための添加した溶剤が含有されている。鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜97.5%、銀が2〜4%、銅が0.5〜1.0%のものが使用されている。
【0055】
絶縁性樹脂180は、
図2に示されているように、集積回路素子150の接続端子151が設けられている面と接続パッド115との間に設けられている。このようにすることにより、絶縁性樹脂180は、集積回路素子150と基板110aの下面との接着強度を高めることができる。また、仮に、水晶デバイスを電子機器等の実装基板の実装パッド上に実装させた際に、半田等の異物が第五凹部K5内に入り込んだとしても、絶縁性樹脂180によって、その異物が集積回路素子150の接続端子151間に付着することを抑えることになるので、集積回路素子150の接続端子151間の短絡を低減することができる。また、絶縁性樹脂180は、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂を主成分とするコンポジットレジン等の樹脂材料からなる。
【0056】
また、絶縁性樹脂180は、測定パッド118を覆うように設けられている。このようにすることによって、測定パッド118に異物が付着することを抑えることになるので、音叉型水晶素子120にその異物の付加抵抗が加わることを抑制することができる。従って、音叉型水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することが可能となる。
【0057】
絶縁性樹脂180の基板110aへの形成方法について説明する。コンタクトピンを測定パッド118に接触させ、基板210aに接合された音叉型水晶素子120の特性を測定した後、その樹脂ディスペンサの先端を、第三枠体110d内に挿入し、絶縁性樹脂180の注入を行なう。次に絶縁性樹脂180を加熱し、硬化させる。よって、絶縁性樹脂180は、集積回路素子150と接続パッド115との間に設けられる。
【0058】
蓋体130は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋体130は、真空状態にある第一凹部K1、第二凹部K2、第三凹部K3及び第四凹部K4又は窒素ガスなどが充填された第一凹部K1、第二凹部K2、第三凹部K3及び第四凹部K4を気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定雰囲気で、パッケージ110の第二枠体110c上に載置され、第二枠体110cの封止用導体パターン117と蓋体130の接合部材131とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、第二枠体110cに接合される。また、蓋体130は、封止用導体パターン117及び第三ビア導体114cを介して第三枠体110dの下面の第一外部端子112aに電気的に接続されている。
【0059】
接合部材131は、パッケージ110の第二枠体110c上面に設けられた封止用導体パターン117に相対する蓋体130の箇所に設けられている。接合部材131は、例えば、銀ロウ又は金錫によって設けられている。銀ロウの場合は、その厚みは、10〜20μmである。例えば、成分比率は、銀が72〜85%、銅が15〜28%のものが使用されている。金錫の場合は、その厚みは、10〜40μmである。例えば、成分比率が、金が78〜82%、錫が18〜22%のものが使用されている。
【0060】
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、ビア導体114、封止用導体パターン117及び測定パッド118となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
【0061】
本実施形態に係る水晶デバイスは、基板110aと、基板110aの上面の外周縁に沿って設けられた第一枠体110bと、第一枠体110bの上面の外周縁に沿って設けられた第二枠体110cと、基板110aの下面の外周縁に沿って設けられた第三枠体110dと、基板110a上の短辺方向に沿って設けられた一対の電極パッド111と、矩形状の水晶基部121と、水晶基部121の側面より延出した水晶振動部123と、水晶振動部123の上面及び下面に設けられた励振電極125、126と、励振電極125、126と電気的に接続された引き出し電極127と、を有する音叉型水晶素子120と、基板110aの下面に設けられた接続パッド115に実装された集積回路素子150と、基板110aと第一枠体110bとで形成され、電極パッド111間に設けられた第一凹部K1と、基板110aと第一枠体110bとで形成され、水晶振動部123の中間と対向する位置に設けられた第二凹部K2と、基板110aと第一枠体110bとで形成され、水晶振動部123の先端と対向する位置に設けられた第三凹部K3と、を備えている。
【0062】
このようにすることで、音叉型水晶素子120を電極パッド111上に実装した際に、仮に音叉型水晶素子120が傾いたとしても、第二凹部K2及び第三凹部K3によって、振動腕部122が基板110aの上面に接触することを抑えることができるので、水晶デバイスは、音叉型水晶素子120の発振周波数の変動及び停止を抑えることが可能となる。また、水晶デバイスは、第一凹部K1によって、仮に隣り合う一対の電極パッド111に設けられた導電性接着剤140が、音叉型水晶素子120を実装する際に電極パッド111から溢れ出たとしても、第一凹部K1内に入り込むことで、隣り合う電極パッド111が短絡してしまうことをさらに抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、第一凹部K1と第二凹部K2と第三凹部K3とがつながるようにして設けられている。このようにすることで、仮に隣り合う一対の電極パッド111に設けられた導電性接着剤140が、音叉型水晶素子120を実装する際に電極パッド111から溢れ出たとしても、第一凹部K1内に入り込み、第一凹部K1から第二凹部K2を通して第三凹部K3まで流れ出てしまうことで、隣り合う電極パッド111が短絡してしまうことをさらに抑えることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、基板110aの下面に電極パッド111と電気的に接続された測定パッド118と、を備え、測定パッド118が、集積回路素子150によって覆われている。このようにすることで、電子機器等の実装基板の上面に設けられた実装パターンと測定パッド118との間に浮遊容量が発生することを低減することができるため、音叉型水晶素子120の発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、電極パッド111と測定パッド118とを電気的に接続するビア導体114g、114hを備え、ビア導体114g、114hが、平面視した際に、一対の水晶振動部123の間に位置するように設けられている。このようにすることにより、水晶振動部123に設けられた励振電極125、126とビア導体114g、114hとの間で浮遊容量が発生することを抑えることができるので、音叉型水晶素子120の発振周波数の変動を低減することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、集積回路素子150と基板110aとの間に設けられた絶縁性樹脂180とを備えている。このようにすることにより、絶縁性樹脂180は、集積回路素子150と基板110aの下面との接着強度を高めることができる。また、仮に、水晶デバイスを電子機器等の実装基板の実装パッド上に実装させた際に、半田等の異物が第五凹部K5内に入り込んだとしても、絶縁性樹脂180によって、その異物が集積回路素子150の接続端子151間に付着することを抑えることになるので、集積回路素子150の接続端子151間の短絡を低減することができる。
【0067】
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記実施形態では、第二枠体110cが基板110a及び第一枠体110bと同様にセラミック材で一体的に形成した場合を説明したが、第二枠体110cが金属製であっても構わない。この場合、枠体は、銀−銅等のロウ材を介して基板の導体膜に接合されている。