特許第6795470号(P6795470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795470
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】空調ユニット及びそれを用いた建物
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20201119BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20201119BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F24F13/02 D
   F24F3/044
   F24F13/02 F
   F24F13/20
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-162152(P2017-162152)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-39610(P2019-39610A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2019年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】吉本 忠司
(72)【発明者】
【氏名】西尾 一朗
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 耕一
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩
(72)【発明者】
【氏名】辻 正雄
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−099087(JP,A)
【文献】 特開2004−045029(JP,A)
【文献】 特開2015−227743(JP,A)
【文献】 特開2003−269739(JP,A)
【文献】 特開2001−330271(JP,A)
【文献】 米国特許第04557418(US,A)
【文献】 実開平02−085924(JP,U)
【文献】 特開2017−138061(JP,A)
【文献】 特開2017−180958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F24F 3/044
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部の複数の空間を空調するための空調ユニットであって、
床の上に設置可能に構成されたユニット本体を具え、
前記ユニット本体には、空気調和機の室内機と、前記室内機で空調された空気が供給されるチャンバーとが設けられており、
前記チャンバーは、前記床の上面よりも上方の位置に、前記複数の空間に前記空調された空気を供給するためのダクトをそれぞれ接続可能な複数の接続口が設けられており、
前記各接続口には、前記床の上面よりも上方に、前記ダクトへの風量を調節するためのダンパーがさらに設けられている、
空調ユニット。
【請求項2】
前記チャンバーは、前記床の上面よりも上方に、底面を有する箱状であり、
前記接続口が、前記底面側に設けられている、
請求項1記載の空調ユニット。
【請求項3】
前記空調された空気を、前記チャンバーに供給するための送風手段をさらに具えている、請求項1又は2記載の空調ユニット。
【請求項4】
前記ユニット本体には、前記室内機が収容される第1スペースと、
前記室内機から吐出された空調空気を浄化するためのフィルターが収容される第2スペースとが設けられており、
前記第2スペースの前側を区分する前面材は、開閉可能な扉として形成される
請求項1乃至3のいずれかに記載の空調ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の前記空調ユニットが設置された建物。
【請求項6】
前記ダクトが、前記空調ユニットが設置された床の下方の空間に配置されている請求項5記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の内部の複数の空間を空調するための空調ユニット及びそれを用いた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、空調機で温度調整された空気を、建物の各部屋に送風するための空調ユニットを提案している。この空調ユニットは、温度調節された空気を、各居室に供給するための複数のダクトが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−099087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の空調ユニットでは、温度調節された空気が供給される吸入部に、複数のダクトを接続可能な排出部が設けられている。この排出部は、建物の床に面して配置されているため、メンテナンス性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、メンテナンス性の向上しうる空調ユニット及びそれを用いた建物を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の内部の複数の空間を空調するための空調ユニットであって、床の上に設置可能に構成されたユニット本体を具え、前記ユニット本体には、空気調和機の室内機と、前記室内機で空調された空気が供給されるチャンバーとが設けられており、前記チャンバーは、前記床の上面よりも上方の位置に、前記複数の空間に前記空調された空気を供給するためのダクトをそれぞれ接続可能な複数の接続口が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る前記空調ユニットにおいて、前記チャンバーは、前記床の上面よりも上方に、底面を有する箱状であり、前記接続口が、前記底面側に設けられていてもよい。
【0008】
本発明に係る前記空調ユニットにおいて、前記空調された空気を、前記チャンバーに供給するための送風手段をさらに具えていてもよい。
【0009】
本発明に係る前記空調ユニットにおいて、前記各接続口には、前記床の上面よりも上方に、前記ダクトへの風量を調節するためのダンパーがさらに設けられていてもよい。
【0010】
本発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の前記空調ユニットが設置された建物である。
【0011】
本発明に係る前記建物において、前記ダクトが、前記空調ユニットが設置された床の下方の空間に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空調ユニットは、室内機で空調された空気が供給されるチャンバーにおいて、床の上面よりも上方の位置に、複数の空間に空調された空気を供給するためのダクトをそれぞれ接続可能な複数の接続口が設けられている。これにより、本発明の空調ユニットでは、ダクトを接続口に容易に着脱することができる。従って、本発明の空調ユニットは、メンテンス性を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】空調ユニットが設置された建物を概念的に示した断面図である。
図2】空調ユニットの配置状態の一例を示す斜視図である。
図3】空調ユニットの内部の一例を示す斜視図である。
図4】空調ユニットを側方から見た断面図である。
図5】ユニット本体の防振材の一例を示す側面図である。
図6】吸音材の一例を示す断面図である。
図7】送風手段の防振材の一例を示す断面図である。
図8】間仕切り壁の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を高めるためのものであり、誇張された表示が含まれる他、各図面間において、縮尺等は厳密に一致していない点が予め指摘される。
【0015】
図1は、空調ユニット1が設置された建物2を概念的に示した断面図である。図2は、空調ユニット1の配置状態の一例を示す斜視図である。本実施形態の空調ユニット1は、建物2の内部に設けられた複数の空間3を空調するためのものである。空調ユニット1が設置される建物2は、例えば、住宅やビル等である場合が例示される。空調ユニット1による空調効果を高めるために、建物2は、優れた断熱性能、遮光(遮熱)性能、及び、気密性能を有しているのが望ましい。
【0016】
本実施形態の空間3は、床下空間4と、床上空間5とを含んでいる。本実施形態では、空調ユニット1によって、床上空間5が空調される。
【0017】
床下空間4は、基礎6と地面7と1階の床8とで囲まれた空間である。基礎6には、外気17を取り入れるための開口部9が設けられている。開口部9から取り入れられた外気17は、地面7を介して、1年を通じて温度変化の少ない地中の熱と熱交換される。これにより、床下空間4は、外気に比べて、夏期は比較的涼しく、冬期は比較的暖かい空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)10を蓄えることができる。
【0018】
床上空間5は、床下空間4の上方に設けられた空間である。本実施形態の床上空間5は、複数の居室11と、洗面室やトイレ等の非居室(図示省略)とに区分されている。居室11は、1階の居室13と、2階の居室14とを含んでいる。床上空間5には、例えば、床上空間5の空気(以下、単に「床上空気」ということがある。)15の少なくとも一部を、屋外に強制的に排出する排気用ファン(図示省略)が設けられてもよい。
【0019】
空調ユニット1は、床8の上に設置可能に構成されたユニット本体21を具えている。さらに、本実施形態の空調ユニット1は、ユニット本体21の内部に収容された空気調和機22の室内機23を含んで構成されている。
【0020】
図3は、空調ユニット1の内部の一例を示す斜視図である。図4は、空調ユニット1の側面から見た断面図である。図4に示されるように、空気調和機22は、例えば、一般的な家庭用のセパレート型エアコンである。空気調和機22は、室内機23と、建物2の外部に設置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。室内機23は、吸込口24と吹出口25とを有している。吸込口24は、室内機23の内部の熱交換器(図示省略)に空気を取り込むためのものである。吹出口25は、熱交換器で空調された空気(以下、単に「空調空気」ということがある。)18(図1に示す)を吐出するためのものである。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態のユニット本体21は、2階の床8の上に設置されているが、このような態様に限定されない。ユニット本体21は、例えば、1階の床8の上に設置されても良いし、2階よりも上階の床8の上に設置されても良い。
【0022】
図2に示されるように、本実施形態のユニット本体21は、その前側を除いた後面21a、及び、左右面(左面21b、右面21c)が、隣接した間仕切り壁31で囲まれている。ここで、本明細書において、「隣接した間仕切り壁31」とは、ユニット本体21の各面21a〜21cからの距離L1が、1〜100mmの範囲内で設置された間仕切り壁31を意味している。本実施形態のユニット本体21の前側には、開閉可能な扉32が設けられている。扉32には、床上空気15を、空間34内に取り入れるための開口部35が設けられている。
【0023】
このように、本実施形態のユニット本体21は、建物2(図1に示す)において、間仕切り壁31と、扉32と、天井33(図1に示す)で囲まれた空間34の中に配置されている。これにより、ユニット本体21の騒音が、居室11などの空間3に伝わるのを抑えることができる。
【0024】
図3及び図4に示されるように、ユニット本体21は、その内部に複数のスペース(空間)40を有する箱状に形成されている。スペース40は、第1スペース41、第2スペース42、第3スペース43、第4スペース44、及び、第5スペース45を含んで構成されている。さらに、ユニット本体21は、チャンバー50を含んで構成されている。これらの第1スペース41〜第5スペース45、及び、チャンバー50は、例えば、枠材51、及び、枠材51に支持される面材52等によって区分されている。
【0025】
本実施形態のユニット本体21には、その下部と床8との間に、防振材54が設けられている。本実施形態の防振材54は、枠材51によって形成されたユニット本体21の各脚部26に、それぞれ設けられている。図5は、ユニット本体21の防振材54の一例を示す側面図である。
【0026】
防振材54は、第1固着部56、第2固着部57、及び、振動吸収材58を含んで構成されている。第1固着部56には、ネジ軸56aが設けられている。このネジ軸56aは、脚部26の孔部26aに挿入された後に、ナット59等で締結されている。これにより、防振材54は、脚部26に固定される。一方、第2固着部57は、床8の上面に、ボルト60等で固定されている。振動吸収材58は、第1固着部56と第2固着部57との間に配置されている。
【0027】
このような防振材54は、図3に示した室内機23や、後述の送風手段77の運転中に生じるユニット本体21の振動を、振動吸収材58で吸収することができる。従って、防振材54は、ユニット本体21の振動が、床8に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。
【0028】
振動吸収材58としては、適宜選択することができる。本実施形態の振動吸収材58は、例えば、シリコーンを主原料とするゲル状のものが採用されている。このような振動吸収材58は、図3に示した室内機23や、送風手段77等の運転中に生じるユニット本体21の低周波数帯の振動(例えば、25Hz〜63Hz)に対して、制振性能を効果的に発揮することができる。
【0029】
図3及び図4に示されるように、第1スペース41は、第2スペース42の上側に区分されている。本実施形態の第1スペース41は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。第1スペース41には、空気調和機22の室内機23が収容されている。
【0030】
図2及び図4に示されるように、第1スペース41の前側を区分する前面材61は、開閉可能な扉として形成されるのが望ましい。これにより、ユニット本体21は、室内機23のメンテナンス性を向上しうる。
【0031】
第1スペース41の上側を区分する上面材62には、給気口63と、外気取込口64とが設けられている。給気口63及び外気取込口64は、室内機23の吸込口24側(本実施形態では、吸込口24の上方)に設けられている。
【0032】
図2に示されるように、給気口63は、ユニット本体21の上部かつ前側に設けられている。本実施形態の給気口63は、平面視において、横長矩形状に形成されている。図4に示されるように、給気口63は、空間34(図2に示す)と、第1スペース41との間を連通している。これにより、給気口63は、扉32の開口部35(図2に示す)から空間34内に取り入れられた床上空気15(図1に示す)を、室内機23の吸込口24に供給することができる。
【0033】
給気口63には、吸音材66が配されている。吸音材66は、空気の振動を吸収するためのものであり、グラスウールやロックウール等、公知のものが種々用いられる。本実施形態の吸音材66としては、ポリエステル繊維をボード状に形成したものが用いられている。
【0034】
図6は、吸音材66の一例を示す断面図である。本実施形態の吸音材66は、第1吸音材67、及び、第2吸音材68を含んで構成されている。
【0035】
第1吸音材67は、第1スペース41内に配置されている。本実施形態の第1吸音材67は、第1片71及び第2片72を含んで構成されている。
【0036】
第1片71は、給気口63の後側において、第1スペース41の上面材62から下方にのびている。第2片72は、第1片71の下端からユニット本体21の前側にのびている。本実施形態の第2片72は、室内機23の吸込口24の上方の少なくとも一部、及び、給気口63の下方の少なくとも一部を遮っている。
【0037】
これらの第1片71及び第2片72により、第1吸音材67は、断面L字状に形成されている。このような第1吸音材67は、室内機23から第1スペース41の給気口63までの経路69を延長することができる。また、第1吸音材67には、第1片71及び第2片72の両側を覆う側片70、70が設けられている。
【0038】
第2吸音材68は、空間34内に配置されている。本実施形態の第2吸音材68は、第1片73及び第2片74を含んで構成されている。
【0039】
第1片73は、給気口63の前側において、第1スペース41の上面材62から上方にのびている。本実施形態の第1片73は、ユニット本体21の前後方向において、扉32の開口部35の後側の少なくとも一部を遮っている。第2片74は、第1片73の上端からユニット本体21の後側にのびている。本実施形態の第2片74は、給気口63の上方の少なくとも一部を遮っている。
【0040】
これらの第1片73及び第2片74により、第2吸音材68は、断面L字状に形成されている。このような第2吸音材68は、第1スペース41の給気口63から扉32の開口部35までの経路69を延長することができる。また、第2吸音材68には、第1片73及び第2片74の両側を覆う側片75、75が設けられている。
【0041】
これらの第1吸音材67及び第2吸音材68により、本実施形態の吸音材66は、室内機23から扉32の開口部35までの経路69を、S字状に屈曲させて延長させることができる。これにより、吸音材66は、給気口63からユニット本体21の外部(居室11)に漏れやすい室内機23の騒音(空気の振動)を、効果的に吸収することができるため、居室11内の静粛性の向上に役立つ。
【0042】
本実施形態の第1吸音材67は、室内機23が収容されている第1スペース41内に配置されているため、室内機23の騒音を効果的に吸収することができる。一方、第2吸音材68の第1片73は、給気口63の前側において、第1スペース41の上面材62から上方にのびているため、室内機23の騒音の漏れを効果的に防ぐことができる。
【0043】
第1吸音材67には、その形状を維持するための第1芯材53が固定されてもよい。本実施形態の第1芯材53は、金属や樹脂等の板材で形成されている。本実施形態の第1吸音材67は、第1芯材53に対して室内機23側に配置されている。これにより、第1吸音材67は、室内機23の騒音を効果的に吸収することができる。
【0044】
第2吸音材68には、第1吸音材67と同様に、第2芯材55が固定されてもよい。本実施形態の第2吸音材68は、第2芯材55に対して、給気口63側に配置されている。これにより、第2吸音材68は、給気口63から漏れる室内機23の騒音を効果的に吸収することができる。
【0045】
室内機23の騒音の漏れを効果的に防ぐために、ユニット本体21の前後方向において、第1吸音材67の前端67t(第2片72の前端)は、第2吸音材68の後端68t(第2片74の後端)よりも前側に位置していてもよい。これにより、室内機23の吸込口24から扉32の開口部35までの経路69を、効果的に延長することができるため、室内機23の騒音を、効果的に吸収することができる。
【0046】
室内機23の騒音の漏れを効果的に防ぐために、ユニット本体21が配置される空間34には、吸音部材76が配置されるのが望ましい。本実施形態の吸音部材76は、図2及び図6に示されるように、間仕切り壁31及び天井33に配置されている。吸音部材76としては、吸音材66と同一のものを採用することができる。これにより、吸音部材76は、空間34内での室内機23の騒音の反射を抑制しつつ、室内機23の騒音を吸収できるため、居室11内の静粛性をさらに向上することができる。
【0047】
図4に示されるように、外気取込口64は、給気口63の後側に設けられている。外気取込口64には、図1及び図4に示されるように、第1スペース41と、床下空間4とを連通するダクト80が接続されている。ダクト80の床下空間4側の端部には、床下空気10(外気17)を、外気取込口64側に送るための外気供給ファン81(図1に示す)が接続されている。この外気供給ファン81の運転により、外気取込口64は、床下空気10(外気17)を、室内機23の吸込口24に供給することができる。
【0048】
図3及び図4に示されるように、第1スペース41の下側を区分する下面材83には、第1スペース41と第2スペース42とを連通する開口部84が設けられている。この開口部84は、室内機23の吹出口25の下方に設けられている。これにより、ユニット本体21は、吹出口25から吐出された空調空気18を、開口部84を介して、第2スペース42に供給することができる。
【0049】
第2スペース42は、第3スペース43の上側に区分されている。本実施形態の第2スペース42は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。この第2スペース42には、フィルター85が収容されている。
【0050】
フィルター85は、第1スペース41から供給される空調空気18を浄化するためのものである。図3に示されるように、本実施形態のフィルター85は、板状に形成されており、上下方向でジグザグ状に折り曲げられている。このようなフィルター85は、第2スペース42を上下方向に通過する空調空気18に対して、濾過面積を効果的に増やすことができる。フィルター85としては、適宜選択されうる。フィルター85は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター、光触媒フィルター、活性炭脱臭フィルター、又は、電気集塵フィルター等が単独、又は、組み合わせて配置されるのが望ましい。
【0051】
図2及び図4に示されるように、第2スペース42の前側を区分する前面材87は、開閉可能な扉として形成されるのが望ましい。これにより、ユニット本体21は、フィルター85の設置や交換を容易にできるため、メンテナンス性を向上しうる。
【0052】
図3及び図4に示されるように、第2スペース42の下側を区分する下面材88には、第2スペース42と第3スペース43とを連通する開口部89が設けられている。この開口部89は、フィルター85の下方に設けられている。これにより、ユニット本体21は、フィルター85で浄化された空調空気18を、開口部89を介して、第3スペース43に供給することができる。
【0053】
第3スペース43は、チャンバー50の上側、かつ、第4スペース44の前側に区分されている。本実施形態の第3スペース43は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。
【0054】
図3に示されるように、本実施形態の第3スペース43は、ユニット本体21の幅方向において、2つのスペースに区分されている。第3スペース43は、一方の第3スペース43A、及び、他方の第3スペース43Bを含んで構成されている。これらの第3スペース43A、43Bには、フィルター85で浄化された空調空気18がそれぞれ供給される。
【0055】
第3スペース43の後側を区分する後面材90には、一方の第3スペース43Aと第4スペース44との間を連通する開口部91(図4に示す)、及び、他方の第3スペース43Bと第4スペース44との間を連通する開口部92(図4に示す)が設けられている。
【0056】
図3及び図4に示されるように、第4スペース44は、第1スペース41、第2スペース42及び第3スペース43の後側、かつ、チャンバー50の上側に区分されている。本実施形態の第4スペース44は、正面視において、縦長矩形の箱状に形成されている。
【0057】
第4スペース44の下側を区分する下面材93には、第4スペース44とチャンバー50との間を連通する開口部94が設けられている。さらに、第4スペース44には、浄化された空調空気18を、ユニット本体21の外部(図1に示した床上空間5)に供給するための送風手段77が配されている。
【0058】
図1及び図3に示されるように、本実施形態の送風手段77は、第1送風手段78、及び、第2送風手段79を含んで構成されている。本実施形態の第1送風手段78、及び、第2送風手段79としては、シロッコファン等が採用されているが、このような態様に限定されない。
【0059】
第1送風手段78は、一方の第3スペース43Aに供給された空調空気18を、チャンバー50に供給するためのものである。第1送風手段78の吸込口は、一方の第3スペース43Aの開口部91(図4に示す)に接続されている。第1送風手段78の吹出口は、第4スペース44の開口部94(図3及び図4に示す)に接続されている。これにより、第1送風手段78は、一方の第3スペース43Aに供給された空調空気18を、チャンバー50に供給することができる。
【0060】
第2送風手段79は、他方の第3スペース43Bに供給された空調空気18を、ユニット本体21の外部(例えば、小屋裏96等)に設けられた分岐部97(図1に示す)に供給するためのものである。本実施形態の分岐部97は、複数の空間(本実施形態では、2階の各居室14)3に、空調空気18を分岐させて供給するためのチャンバーである。この分岐部97と各空間3との間には、ダクト98がそれぞれ接続されている。
【0061】
第2送風手段79の吸込口は、他方の第3スペース43Bの開口部92(図4に示す)に接続されている。第2送風手段79の吹出口は、第4スペース44内に形成された空気流路(角ダクト)82を介して、第2送風手段79と分岐部97との間を連通するダクト99に接続されている。これにより、第2送風手段79は、他方の第3スペース43Bに供給された空調空気18を、分岐部97に供給することができる。
【0062】
本実施形態の送風手段77は、防振材110(図3に示す)を介して、ユニット本体21に固定されている。防振材110は、例えば、各送風手段77(第1送風手段78、及び、第2送風手段79)の四隅に固定されている。図7は、送風手段77の防振材110の一例を示す断面図である。
【0063】
本実施形態の防振材110は、上述のユニット本体21の下部に設けられた防振材54と同様に、第1固着部111、第2固着部112、及び、振動吸収材113を含んで構成されている。第1固着部111には、ネジ軸115が設けられている。このネジ軸115は、送風手段77を支持するためのブラケット116の孔部117に挿入された後に、ナット118等で締結される。これにより、防振材110と送風手段77とが固定される。第2固着部112には、ネジ軸119が設けられている。このネジ軸119は、第4スペース44の下面材93に設けられた孔部120に挿入された後に、ナット121等で締結される。これにより、防振材110と下面材93とが固定される。振動吸収材113は、第1固着部111と、第2固着部112との間に配置されている。振動吸収材113としては、防振材54の振動吸収材58(図5に示す)と同様のものが採用されるのが望ましい。
【0064】
このような防振材110は、送風手段77の運転中に生じる低周波数帯の振動を、振動吸収材113が吸収することができる。従って、防振材110は、送風手段77の振動が、ユニット本体21に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。
【0065】
図3に示されるように、第5スペース45は、第1スペース41の下側、かつ、第2スペース42及び第3スペース43の側方(ユニット本体21の幅方向の一方側)に区分されている。本実施形態の第5スペース45は、正面視において、縦長矩形の箱状に形成されている。
【0066】
本実施形態の第5スペース45には、空気調和機22や送風手段77を制御するための制御装置(図示省略)等が収容されている。さらに、第5スペース45の前側を区分する前面材101(図2に示す)には、空気調和機22や送風手段77などの運転及び停止を切り替えるスイッチ102(図2に示す)等が設けられている。このように、空調ユニット1は、第5スペース45に、制御装置等が収容されるため、ユニット本体21の大型化や、構造の複雑化を防ぐことができる。従って、空調ユニット1は、メンテナンス性を向上させることができる。
【0067】
図3及び図4に示されるように、チャンバー50は、第3スペース43及び第4スペース44の下側に区分されている。本実施形態のチャンバー50は、正面視において、横長矩形の箱状に形成されている。チャンバー50は、床8の上面よりも上方の位置に、その底面103を有している。
【0068】
チャンバー50は、床8の上面よりも上方の位置に、複数の接続口49が設けられている。各接続口49は、底面103側に設けられている。各接続口49は、図1に示した複数の空間3(本実施形態では、1階の各居室13)に空調空気18を供給するためのダクト48がそれぞれ接続可能に形成されている。ダクト48の一端は、接続口49に接続されている。ダクト48の他端は、空間3に接続されている。本実施形態のダクト48の少なくとも一部は、空調ユニット1が設置された床8の下方の空間107(図1に示す)に配置されている。
【0069】
このような複数の接続口49が設けられたチャンバー50は、第1送風手段78から供給された空調空気18を、複数の空間3に分配して供給することができる。このため、本実施形態の空調ユニット1は、上記特許文献1のように、接続口49毎に送風手段77を設ける必要がなく、チャンバー50に接続された一つの送風手段77(本実施形態では、図3に示した第1送風手段78)で足りる。従って、本実施形態の空調ユニット1は、ユニット本体21の大型化を防ぎつつ、ランニングコストを低減しうる。
【0070】
本実施形態の空調ユニット1は、床8の上面よりも上方の位置に、接続口49が設けられているため、床上空間5において、空間107(図1に示す)に配置されているダクト48を、接続口49に容易に着脱することができる。従って、本発明の空調ユニット1は、上記特許文献1のような床8に面して設けられた接続口(図示省略)にダクト48を着脱するために、例えば、床8の下方の空間107(図1に示す)内で作業する必要がない。このため、空調ユニット1は、メンテナンス性、及び、施工性を向上することができる。
【0071】
このような作用を効果的に発揮させるために、床8の上面からの接続口49までの高さH1は、300〜600mmが望ましい。なお、高さH1が300mm未満であると、上記作用を十分に発揮できないおそれがある。また、高さH1が600mmを超えると、ユニット本体21が必要以上に大きくなるおそれがある。
【0072】
本実施形態の接続口49には、ダクト48(空間3)への風量を調節するためのダンパー108が設けられている。ダンパー108の開閉は、例えば、制御手段(図示省略)によって制御される。これにより、空調ユニット1は、空間3への空調空気18の供給量を調節することができる。本実施形態のダンパー108は、床8の上面よりも上方に設けられている。これにより、本実施形態の空調ユニット1は、ダンパー108を容易にメンテナンスすることができる。
【0073】
次に、本実施形態の空調ユニット1の作用について説明する。図1及び図4に示されるように、ユニット本体21の第1スペース41には、扉32の開口部35(図2及び図6に示す)を介して、床上空気15が供給される。さらに、第1スペース41には、外気供給ファン81(図1に示す)の運転により、床下空気10(外気17)が、外気取込口64を介して供給される。これにより、床上空気15及び外気17の混合気が、室内機23の吸込口24に供給され、かつ、空調される。室内機23の吹出口25から吐出された空調空気18は、第1スペース41の下面材83の開口部84を介して、第2スペース42に供給される。
【0074】
第2スペース42及び第3スペース43A、43Bは、送風手段77(図1及び図3に示した第1送風手段78、及び、第2送風手段79)の運転によって負圧に保たれる。これにより、空調ユニット1は、第2スペース42に供給された空調空気18を、フィルター85、及び、第2スペース42の下面材88の開口部89を介して、第3スペース43A、43B(図3に示す)にそれぞれ供給することができる。これにより、各第3スペース43A、43Bに供給された空調空気18は、フィルター85によって浄化される。
【0075】
一方の第3スペース43A(図3に示す)に供給された空調空気18は、第1送風手段78を介して、チャンバー50に供給される。チャンバー50に供給された空調空気18は、各接続口49に接続されたダクト48を介して、図1に示されるように、複数の空間3(本実施形態では、1階の各居室13)に供給される。
【0076】
他方の第3スペース43B(図3に示す)に供給された空調空気18は、第2送風手段79、空気流路(角ダクト)82、及び、ダクト99を介して、分岐部97(図1に示す)に供給される。分岐部97に供給された空調空気18は、図1に示されるように、ダクト98を介して、複数の空間3(本実施形態では、2階の各居室14)に供給される。
【0077】
このように、本実施形態の空調ユニット1によれば、床上空気15及び外気17の混合気を空調した空調空気18を、フィルター85で浄化して、複数の空間3(本実施形態では、1階の居室13及び2階の居室14)に供給することができる。このため、本実施形態の空調ユニット1が設置された建物2は、床上空気15を循環させながら空調できるため、空気調和機22の負荷を小さくすることができる。
【0078】
また、空気調和機22の停止時においては、床上空気15及び外気17の混合気を、フィルター85で浄化して、複数の空間3(本実施形態では、1階の居室13及び2階の居室14)に供給することができる。これにより、本実施形態の空調ユニット1が設置された建物2は、床上空間5の空気を循環させることができるため、床上空間5の温度変化を最小限に抑えることができる。さらに、本実施形態の外気17は、床下空間4で地中の熱と熱交換された床下空気10である。従って、本実施形態では、外気17が直接供給される場合に比べて、空間3を快適に換気することができる。
【0079】
上述したように、本実施形態の空調ユニット1は、図6に示した吸音材66により、給気口63から漏れやすい室内機23の騒音を吸収することができる。また、本実施形態の空調ユニット1は、ユニット本体21の下部の防振材54(図5に示す)により、図3に示した室内機23や送風手段77の運転中に生じるユニット本体21の振動が、床8に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。さらに、ユニット本体21を囲む間仕切り壁31(図2に示す)により、ユニット本体21の騒音が、居室11などの空間3に伝わるのを防ぐことができる。従って、空調ユニット1が配置された建物2は、吸音材66、防振材54、及び、間仕切り壁31の相乗効果により、居室11内の静粛性を効果的に向上することができる。
【0080】
さらに、本実施形態の空調ユニット1は、図7に示した防振材110により、送風手段77の振動が、ユニット本体21に伝達(固体伝播)されるのを防ぐことができる。これにより、ユニット本体21の振動を小さくできるため、居室11内の静粛性をさらに向上させることができる。
【0081】
居室11内の静粛性をさらに向上させるために、ユニット本体21を囲む間仕切り壁31(図2に示す)は、遮音壁として構成されてもよい。図8は、間仕切り壁31の一例を示す断面図である。
【0082】
本実施形態の間仕切り壁(遮音壁)31の内部には、吸音材36と制振材37とが配置されている。これらの吸音材36及び制振材37は、間仕切り壁31の厚さ方向に重ねて配置されており、例えば、石膏ボード等の一対の化粧材38、38で覆われている。本実施形態の吸音材36は、制振材37に対して、空調ユニット1側に配されている。
【0083】
吸音材36としては、従来と同様に、グラスウールやロックウールなどが適宜選択される。本実施形態の吸音材36としては、ロックウールが採用される。制振材37としては、従来と同様に、アスファルト系制振シートやゴム系制振シートなどが適宜選択される。本実施形態の制振材37には、アスファルト系制振シートが採用されている。このような制振材37は、石膏ボード(化粧材38)の2〜6倍程度(本実施形態では、3倍)の比重を有している。このような比重が大きな制振材37を保持するために、間仕切り壁31には、制振材37を固定するための補強材(例えば、木質の合板)39が、化粧材38の内側に配置されるのが望ましい。
【0084】
間仕切り壁31は、ユニット本体21から伝達される中高周波数帯の騒音(例えば、500Hz〜8KHz)を、吸音材36で吸収することができる。さらに、間仕切り壁31は、低周波数帯の騒音を受けて発生する振動を、制振材37で吸収することができる。従って、本実施形態の間仕切り壁31は、居室11内の静粛性をさらに向上させるのに役立つ。
【0085】
間仕切り壁31の振動を効果的に吸収するために、吸音材36と化粧材38との間には、例えば、木質の合板で構成された補強材47が配置されるのが望ましい。このような補強材47は、低周波数帯の騒音を受けて発生した空調ユニット1側の化粧材38の振動を、吸収することができるため、居室11内の静粛性をさらに向上させるのに役立つ。
【0086】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0087】
1 空調ユニット
8 床
21 ユニット本体
22 空気調和機
23 室内機
48 ダクト
49 接続口
50 チャンバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8