【実施例1】
【0018】
車両用表示操作装置が用いられる車両の例として電動補助自転車について説明する。
図1は、実施例1に係る表示操作装置が用いられる電動補助自転車の外観を示す図である。
図1に示すように、電動補助自転車は、フレーム80、ハンドル81、ステム82、サドル83、前照灯84、前輪85、後輪86およびクランク87等を有する。運転者(搭乗者)は、サドル83に座りハンドル81を握る。
【0019】
フレーム80には蓄電装置90および制御ユニット91が設けられている。前輪85にはモータ92および回転センサ93が設けられている。クランク87にはトルクセンサ94が設けられている。ハンドル81にはブレーキセンサ95が設けられている。
【0020】
蓄電装置90は、例えば二次電池である。蓄電装置90は、家庭用電力およびモータ92が発電した電力により充電され、モータ92、前照灯84および制御ユニット91に電力を供給する。
【0021】
モータ92は例えば三相直流ブラシレスモータである。モータ92は、運転者の人力をアシストするとき(アシスト動作時)に前輪85を駆動し、回生ブレーキを動作させるとき(回生動作時)に前輪85の回転から電力を回生し蓄電装置90に供給する。回転センサ93は例えばホール素子であり、モータ92の回転を検出する。
【0022】
トルクセンサ94は運転者の踏み込みによりクランク87に生じるトルクを検出する。ブレーキセンサ95は、運転者がブレーキ操作を行ったことを検出する。
【0023】
図2は、実施例1に係る表示操作装置および制御ユニットのブロック図である。
図2に示すように、制御ユニット91は、制御回路96およびモータ駆動回路97を備えている。
【0024】
制御回路96は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)および/またはRAM(Random Access Memory)等の記憶装置と、を有する。
【0025】
制御回路96は、回転センサ93、トルクセンサ94およびブレーキセンサ95から入力される信号に基づきモータ駆動回路97を制御する。例えば、制御回路96は、アシスト動作時に回転センサ93およびトルクセンサ94からの信号等に基づき運転者をアシストする量を算出しモータ92を駆動させる。制御回路96は、回生動作時に回転センサ93およびブレーキセンサ95からの信号に基づき回生ブレーキ量を算出しモータ92を制御する。制御回路96は、前照灯84の点灯および消灯を制御する。
【0026】
モータ駆動回路97は、例えば三相ブリッジインバータ回路を含む。モータ駆動回路97は、アシスト動作時は蓄電装置90からモータ92に駆動電力を供給し、回生動作時はモータ92から蓄電装置90に回生電力を供給する。
【0027】
表示操作装置10は、光センサ12、照明装置14、入力装置16、表示装置18および制御装置15を備えている。運転者は、表示操作装置10を用い制御ユニット91を制御する。また、表示操作装置10は、制御ユニット91から出力される情報を表示する。
【0028】
光センサ12は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC(Integrated Circuit)および/またはCdSセル等であり、受光することで環境の照度を検出する。光センサ12は、受けた光の強度に対応する信号を制御装置15に出力する。
【0029】
照明装置14は、LED(Light Emitting Diode)および/またはLCD(Liquid Crystal Display)のバックライト等である。照明装置14は、バックライトのように表示装置18の視認性を向上させる。照明装置14は、点灯することで運転者に情報を提供してもよい。照明装置14は、制御装置15の指示により点灯および消灯する。
【0030】
入力装置16は、操作ボタンおよび/または操作スイッチ等である。運転者は、入力装置16を操作することで、例えば前照灯84の点灯および消灯、アシスト動作における動作モード(アシスト有無等)の切り替え、および/または回生動作における動作モードの切り替えを行なう。入力装置16は、運転者の操作に対応する信号を制御装置15に出力する。
【0031】
表示装置18は、7セグメントおよび/またはLCD等であり、情報を表示する。表示装置18は、制御装置15からの信号に応じて、前照灯84の点灯および消灯の状態、現在設定されているアシスト動作の動作モード、現在設定されている回生動作の動作モード等の情報、および/または蓄電装置90の充電量を表示する。
【0032】
制御装置15は、例えばCPUまたはMPU等のプロセッサおよび記憶装置を備えている。制御装置15は、光センサ12および入力装置16から入力した信号および制御ユニット91からの信号に基づき照明装置14および表示装置18を制御する。制御装置15は、光センサ12および入力装置16から入力した信号等の情報を制御ユニット91に出力する。
【0033】
図3は、電動補助自転車のハンドルに表示操作装置が取り付けられた状態を示す図である。
図3に示すように、ステム82にハンドル81が取り付けられている。ハンドル81の先端にグリップ88およびブレーキレバー89が取り付けられている。表示操作装置10は、ハンドル81のグリップ88近くに取り付けられている。これにより、運転者はグリップ88を握った状態で表示操作装置10を操作しやすくなる。表示操作装置10の目視面は、運転者が視認しやすいように水平方向に対し傾斜して取り付けられている。
【0034】
図4(a)および
図4(b)は、実施例1に係る表示操作装置の斜視図である。
図4(a)は、上方からの斜視図であり、
図4(b)は、下方からの斜視図である。
図4(a)および
図4(b)に示すように、表示操作装置10は、シート40、ケース30および固定具32を備えている。
【0035】
ケース30は上ケース30aと下ケース30bを有している。上ケース30aと下ケース30bとは溶着等により接合されている。ケース30は、対候性樹脂であり、例えばASA(acrylate styrene acrylonitrile)樹脂である。ケース30の上面(前面)に目視面21が設けられている。運転者が視認する目視面21には、ボタン22aおよび22b、表示部24aおよび24b並びに窓26が設けられている。ボタン22aおよび22bは、入力装置16である。ボタン22aは、前照灯84の点灯および消灯を切り替えるスイッチである。ボタン22bは、アシスト動作および回生動作等のモードを切り替えるスイッチである。表示部24aは蓄電装置90のバッテリ残量をパーセント表示する。表示部24bはアシストの状態を表示する。
【0036】
ケース30の下面には固定具32が取り付けられている。固定具32は表示操作装置10をハンドル81に固定する部材である。ねじ36を締めることで固定具32はハンドル81に固定される。
【0037】
図5は、実施例1に係る表示操作装置の断面図である。
図5に示すように、上ケース30aの上面にはシート40が貼り付けられている。シート40の表面が目視面21となる。ケース30内には回路基板50が収納されている。回路基板50の上面および下面には電子部品(不図示)が実装されている。回路基板50は、ねじ59により上ケース30aに固定されている。上ケース30aと下ケース30bとが接合されることにより、回路基板50はケース30内に密封される。固定具32は、ハンドル81の直径と同程度の内径を有するリング状である。固定具32の空洞部35にハンドル81を挿入し、ねじ36により固定具32を締める。これにより、表示操作装置10はハンドル81に固定される。
【0038】
図6は、実施例1に係る表示操作装置の解体斜視図である。表示操作装置10は、シート40、上ケース30a、回路基板50および下ケース30bに分解される。シート40の表面が目視面21となる。目視面21は
図4と同じであり説明を省略する。
【0039】
上ケース30aには、開口34aから34cが設けられている。開口34aおよび34bは表示部24aおよび24bに対応する位置に設けられている。開口34cは窓26に対応する位置に設けられている。開口34aから34c内には透明部材がはめ込まれている。上ケース30aのボタン22aおよび22bに対応する位置にゴム材60が嵌め込まれている。
【0040】
回路基板50の上面には、7セグメント52、LED54、光センサ56およびスイッチ58(例えばタクトスイッチ)が設けられている。表示部24aには、7セグメント52の表示(数字)が表示される。表示部24bは、LED54の光により点灯する。LED54は照明装置14に相当する。光センサ56は、
図2の光センサ12に相当し、窓26から入射した光を検出する。スイッチ58は、板材62を介しゴム材60の下面に当接する。ボタン22aおよび22bが押されるとスイッチ58が駆動する。下ケース30bには回路基板50の下面に実装された電子部品を収納する窪みが設けられている。
【0041】
図7は、実施例1における光センサ付近の回路基板の平面図である。
図7に示すように、回路基板50の実装面53にLED54、光センサ56および電子部品55が実装されている。電子部品55は、例えばチップ抵抗、チップコンデンサ、チップインダクタおよび/または集積回路である。実装面53に配線70aおよび70bが設けられている。配線70aおよび70bは、例えばグランド電位が供給されるグランド配線および電源電圧が供給される電源配線である。上ケース30aと一体に壁38が設けられている。平面視において壁38と配線70aおよび70bと重なる領域が領域72aおよび72bである。壁38はLED54および光センサ56を囲むように設けられている。配線70aおよび70bは光センサ56を囲むように設けられている。
【0042】
図8は、比較例1に係る光センサ付近の回路基板の平面図である。
図8に示すように、比較例1では、壁38は光センサ56を完全に囲むようには設けられていない。配線70aおよび70bと壁38とが重なる領域72aおよび72bは断片的にしか設けられていない。
【0043】
図9は、実施例1における上ケースおよび回路基板の断面図である。上ケース30aの内面のうち目視面21に対向する面に上ケース30aと一体に壁38が設けられている。例えば、壁38は上ケース30aと一体成型されている。上ケース30aおよび壁38は例えば熱可塑性樹脂等の樹脂である。回路基板50に配線70が設けられている。回路基板50は例えばガラスエポキシ樹脂であり、配線70は例えば銅層である。回路基板50に配線70を覆うようにソルダーレジスト71が設けられている。ソルダーレジスト71は樹脂膜等の絶縁体膜である。配線70およびソルダーレジスト71の厚さは、例えば
図9において、配線70が約20μm、配線70の上のソルダーレジスト71が約10μmである。配線70が形成された領域のソルダーレジスト71の表面51は、配線70が形成されていない領域の表面51に比べ高さがH大きくなる。高さHは例えば配線70の厚さに相当する。壁38の高さが同じとすると、配線70が設けられていない領域ではソルダーレジスト71の表面51と壁38との間に高さHの隙間73ができる。
【0044】
図10(a)および
図10(b)は、それぞれ比較例1および実施例1の回路基板の断面図である。
図10(a)は、
図8の点線の経路74の断面模式図である。
図10(a)に示すように、回路基板50にLED54および光センサ56が実装されている。壁38と配線70とは重なっていない。このため、LED54と光センサ56との間の壁38とソルダーレジスト71の表面51との間に隙間73が形成される。これにより、LED54が発した光は矢印75のように光センサ56に至る。よって、光センサ56はLED54の光を検出してしまう。このため、光センサ56における窓26を通過した光の検出精度が低下してしまう。
【0045】
光センサ56は、周囲が暗くなると前照灯84を自動的に点灯するためのセンサである。例えば、制御回路96(
図2参照)は、光センサ56の出力が閾値以下の場合、前照灯84を点灯し、閾値以上の場合、前照灯84を消灯する
。
【0046】
実施例1の
図7では、壁38は、領域72aおよび72bが光センサ56を囲むように設けられている。
図10(b)に示すように、LED54と光センサ56との間に配線70と壁38とが重なる領域72が設けられている。領域72では、ソルダーレジスト71の表面51が高くなるため、壁38がソルダーレジスト71の表面51に当接する。これにより、LED54が発した光が遮断される。よって、LED54の光が光センサ56に回り込むことを抑制できる。光センサ56における窓26を通過した光の検出精度が向上する。
【0047】
ケース30の目視面21に表示部24a、24bおよび窓26が設けられている。回路基板50は、ケース30に収納され、目視面21側の実装面53に配線70aおよび70bと配線70aおよび70bを覆うソルダーレジスト71(保護膜)を有する。7セグメント52およびLED54等の発光素子は、実装面53に実装され、表示部24aおよび24bに光を照射する。光センサ56は、実装面53に実装され、窓26を通過する光を受光する。壁38は、実装面53のうち配線70aおよび70bが設けられた領域におけるソルダーレジスト71の表面51に当接し、配線が設けられていない領域の表面51に当接しない。平面視においてLED54等の発光素子と光センサ56との間に壁38と配線70aとが重なる領域72a(第1領域)が配置されている。これにより、
図10(b)のように、LED54から光センサ56への光の回り込みを抑制できる。よって。光センサ56の検出感度を向上できる。
【0048】
図11(a)および
図11(b)は、実施例1における回路基板の平面模式図であり、
図7におけるLED54、光センサ56、壁38、領域72aおよび72bを簡略化して示した図である。
図11(c)は、実施例1における回路基板の断面模式図であり、
図11(b)のA−A断面模式図である。
【0049】
図11(a)および
図11(b)に示すように、壁38は光センサ56を囲むように設けられている。このように、壁38が光センサ56およびLED54の少なくとも一方の素子を完全に囲む。これにより、LED54から光センサ56への光の回り込みを抑制できる。
【0050】
しかし、比較例1のようにLED54と光センサ56との間において壁38と配線70aとが重なっていないと、隙間73を介しLED54の光が光センサ56に回り込んでしまう。そこで、
図11(a)に示すように、領域72aおよび72bを光センサ56およびLED54の少なくとも一方の素子を囲むように設ける。領域72aおよび72bは、光センサ56とLED54とを直線で結ぶ範囲77を遮るように設ける。これにより、LED54から光センサ56への光の回り込みを抑制できる。領域72aおよび72bは、光センサ56およびLED54の少なくとも一方の素子を70%以上囲むことが好ましく90%以上囲むことがより好ましい。
【0051】
図11(a)に示すように、壁38は光センサ56を囲むように設けられている。領域72aは、LED54と光センサ56の間を通過し、上方の角で光センサ56側(領域72aを光センサ56およびLED54の少なくとも一方の素子)に湾曲して設けられている。これにより、LED54から光センサ56への光の回り込みを抑制できる。
【0052】
図11(b)に示すように、領域72aと72bの間に壁38に配線が重ならない領域76(第2領域)が配置されている。領域76と光センサ56とを結ぶ直線上に電子部品55が設けられている。
図11(c)に示すように、電子部品55の高さH1は配線70の厚さより大きい。これにより、領域76から漏れたLED54の光は電子部品55により遮蔽される。よって、LED54から光センサ56への光の回り込みを抑制できる。電子部品55の高さH1は、配線70の厚さの2倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましい。
【0053】
図11(b)のように、電子部品55と領域72aとの間の幅W2は領域72aの幅W1より小さい。これにより、LED54から光センサ56への光の回り込みを抑制できる。幅W2は幅W1の1/2以下が好ましく、1/3以下がより好ましい。