(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係る検査装置の第1実施形態の全体構成を示す図である。また、
図2は、
図1に示す検査装置の電気的構成を示すブロック図である。この検査装置100は、歯車や羽根車などのように対称軸まわりに回転対称な形状で凸部と凹部とが周期的に繰り返して設けられた外周部を有するワークWの外観を検査する装置であり、ローディングユニット1、ワーク保持ユニット2、撮像ユニット3、アンローディングユニット4および制御ユニット5を有している。なお、ここでは、ワークWは
図1に示すように軸部Waの上部に歯車Wbを設けた機械部品であり、例えば鍛造や鋳造処理によって形成される。そして、部品製造後に当該ワークWは外部搬送ロボットあるいはオペレータによってローディングユニット1に搬送される。
【0013】
ローディングユニット1には、テーブルやストッカーなどのワーク収容部(図示省略)が設けられている。そして、外部搬送ロボットなどによりワークWがワーク収容部に一時的に収容されると、ワーク収容部に設けられたワーク検出センサ11(
図2)がワークWを検出し、その旨の信号を装置全体を制御する制御ユニット5に送信する。また、ローディングユニット1には、ローダ12(
図2)が設けられており、制御ユニット5からの動作指令に応じてワーク収容部に収容されている未検査のワークWを受け取り、ワーク保持ユニット2に搬送する。
【0014】
図3はワーク保持ユニットの構成を示す斜視図である。ワーク保持ユニット2は、ローダ12により搬送されてきたワークWを保持する保持テーブル21A、21Bを装備している。これらの保持テーブル21A、21Bはともに同一構成を有し、歯車Wbが水平状態となる姿勢でワークWの軸部Waの一部を把持して保持可能となっている。以下、
図3を参照しつつ保持テーブル21Aの構成について説明する一方、保持テーブル21Bは保持テーブル21Aと同一構成であるため、保持テーブル21Bについては同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
保持テーブル21Aでは、
図3に示すように、チャック機構22、水平位置決め機構23、回転機構24および鉛直位置決め機構25が鉛直方向に積層配置されている。チャック機構22は、側面視で略L字状の可動部材221〜223と、制御ユニット5からの移動指令に応じて可動部材221〜223を放射状に連動して移動させる移動部224とを有している。各可動部材221〜223の上端面には突起部材225が突設されており、上端面と突起部材225とで軸部Waの段差部位と係合可能となっている。このため、制御ユニット5からの把持指令に応じて移動部224が可動部材221〜223を互いに近接移動させることでチャック機構22の中心軸(
図10中の符号AX2)と軸部Waの軸芯とを一致させながらワークWを保持することができる。一方、制御ユニット5からの解放指令に応じて移動部224が可動部材221〜223を互いに離間移動させることで、ローディングユニット1による未検査ワークWのローディングやアンローディングユニット4による検査済ワークWのアンローディングを行うことが可能となる。
【0016】
このように構成されたチャック機構22は水平位置決め機構23に支持されている。水平位置決め機構23は水平方向において互いに直交する方向に移動させる、いわゆるXYテーブルを有している。このため、制御ユニット5からの移動指令に応じてXYテーブルが駆動されてチャック機構22を水平面で高精度に位置決めすることが可能となっている。なお、XYテーブルとしては、モータとボールネジ機構とを組み合わせたものや、水平方向において互いに直交する2つのリニアモータを組み合わせたものなどを用いることができる。
【0017】
回転機構24はモータ241を有している。モータ241の回転シャフト(
図5中の符号242)が鉛直上方に延設されており、その上端部に水平位置決め機構23が連結されている。このため、制御ユニット5から回転指令が与えられると、モータ241が作動してモータ241の回転軸(
図10中の符号AX3)まわりに水平位置決め機構23、チャック機構22、ならびにチャック機構22により把持されたワークWを一体的に回転させる。
【0018】
ここで、本実施形態では、チャック機構22と回転機構24との間に水平位置決め機構23を設けているが、その技術的意義はチャック機構22の中心軸、チャック機構22に把持されたワークWの歯車Wbの対称軸AX4(
図1)およびモータ241の回転軸の相対的な位置関係を水平位置決め機構23によって調整可能とする点にある。すなわち、チャック機構22の中心軸とモータ241の回転軸とを一致させておくことで、チャック機構22で把持したワークWを軸部Waまわりに回転させることができる。しかしながら、歯車Wbの対称軸が軸部Waから外れている場合には、モータ241に対して芯ズレが発生しており、歯車Wbは偏心して回転してしまう。そこで、水平位置決め機構23を設け、ズレ量とズレ方向を補正するように駆動させることで歯車Wbの対称軸とモータ241の回転軸とを一致させることが可能となる。これによって、撮像ユニット3による歯車Wbの画像を高精度に撮像することが可能となり、ワークWの検査精度を向上させることができる。
【0019】
鉛直位置決め機構25は、モータ241を保持する保持プレート251と、モータ241の下方位置に配置されたベースプレート252と、保持プレート251およびベースプレート252を連結する4本の連結ピン253と、ベースプレート252を鉛直方向に昇降させる昇降部254とを有している。昇降部254は制御ユニット5からの昇降指令に応じてベースプレート252を昇降させることで鉛直方向において回転機構24、水平位置決め機構23およびチャック機構22を一体的に移動させ、次に説明するプリアライメント位置PAおよび検査位置PIにおいてワークWの高さ位置を適正化することができる。
【0020】
このように構成された保持テーブル21A、21Bは、
図3に示すように、支持プレート261上に一定距離だけ離間して固定されている。また、保持テーブル21A、21Bの中間位置で支持プレート261が旋回駆動部262に支持されている。この旋回駆動部262は制御ユニット5からの旋回指令に応じて鉛直方向に延びる旋回軸AX1まわりに支持プレート261を180゜旋回可能となっており、
図3に示すように保持テーブル21A、21Bがそれぞれプリアライメント位置PAおよび検査位置PIに位置する第1ポジションと、保持テーブル21A、21Bがそれぞれ検査位置PIおよびプリアライメント位置PAに位置する第2ポジションとの間で切替可能となっている。例えばプリアライメント位置PAに位置する保持テーブル21Aに保持されたワークWに対してプリアライメント処理を施すのと並行して、旋回駆動部262によって第1ポジションから第2ポジションに切り替えることで保持テーブル21Aがプリアライメント位置PAから検査位置PIにシフトし、プリアライメント処理済のワークWを検査位置PIに位置決めすることができる。また、当該ワークWの検査を終了した後、逆方向に旋回することで保持テーブル21Aが検査位置PIからプリアライメント位置PAにシフトし、検査処理済のワークWをプリアライメント位置PAに位置決めすることができる。このように本実施形態では、支持プレート261および旋回駆動部262によりワークWの位置を切り替えるポジション切替機構26が構成されている。
【0021】
プリアライメント位置PAは上記したようにプリアライメント処理を行う位置であり、プリアライメント位置PAに位置決めされた保持テーブル21A(または21B)の上方にアライメントカメラ27が配置されている。このアライメントカメラ27は
図3に示すようにワークWに対してモータ241の反対側、つまりワークWの上方側に配置されており、ワークWの対称軸AX4に対して径方向外側に延設されたラインセンサ271を有している。このため、ワークWを回転させながら当該ラインセンサ271によりワークWの上面を撮像可能となっており、ワークWを少なくとも1周回転させることで歯車Wbの外周部に形成される凸部(歯末)および凹部(歯元)の全てを含む画像が得られる。
【0022】
また、
図3への図示を省略しているが、当該保持テーブル21A(または21B)に保持されたワークWを照明してアライメント処理を良好に行うためのアライメント照明部28(
図2)が設けられている。このため、回転機構24によりワークWを回転させるとともに、アライメント照明部28によりワークWを照明しながらアライメントカメラ27によりワークWを撮像することができる。そして、ワークWの画像データが制御ユニット5に送られ、芯ズレを補正して歯車Wbの対称軸とモータ241の回転軸とを一致させる、つまりプリアライメント処理が実行される。
【0023】
一方、検査位置PIは検査処理を行う位置であり、検査位置PIに位置決めされた保持テーブル21A(または21B)の上方に撮像ユニット3が配置されている。この検査位置PIでは、歯車Wbの対称軸とモータ241の回転軸とが一致した状態でワークWを回転させながらワークWを撮像ユニット3によって撮像することができる(後で説明する
図5や
図10参照)。そして、ワークWの画像データが制御ユニット5に送られ、歯車Wbにおける傷や欠陥などの有無を検査する検査処理が実行される。
【0024】
この撮像ユニット3は、
図2に示すように、複数の検査カメラ31と複数の検査照明部32とを有している。この撮像ユニット3では、検査位置PIに位置決めされた保持テーブル21A(または21B)に保持されるワークWを種々の方向から照明するように複数の検査照明部32が配置されている。そして、回転機構24によりワークWを回転させるとともに、検査照明部32によりワークWを照明しながら複数の検査カメラ31によりワークWを種々の方向から撮像することが可能となっている。これら複数の画像データが制御ユニット5に送られ、制御ユニット5によりワークWの検査が実行される。なお、撮像ユニット3の構成および動作については後で詳述する。
【0025】
こうして検査されたワークWを保持する保持テーブル21A(または21B)は上記したようにポジション切替機構26により検査位置PIからプリアライメント位置PAにシフトされる。そして、アンローディングユニット4により保持テーブル21A(または21B)から検査済のワークWが搬出される。なお、アンローディングユニット4は基本的にローディングユニット1と同一である。つまり、アンローディングユニット4は、検査済のワークWを一時的に収容するワーク収容部(図示省略)、ワーク検出センサ41(
図2)およびアンローダ42(
図2)を有しており、制御ユニット5からの動作指令に応じて検査済のワークWを保持テーブル21A(または21B)からワーク収容部に搬送する。
【0026】
制御ユニット5は、
図2に示すように、論理演算を実行する周知のCPU(Central Processing Unit)、初期設定等を記憶しているROM(Read Only Memory)、装置動作中の様々なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御ユニット5は、機能的には、演算処理部51、メモリ52、駆動制御部53、外部入出力部54、画像処理部55および照明制御部56を備えている。
【0027】
上記駆動制御部53は、装置各部に設けられた駆動機構、例えばローダ12、チャック機構22や撮像ユニット3に設けられる移動部などの駆動を制御する。外部入出力部54は、装置各部に装備されている各種センサ類からの信号を入力する一方、装置各部に装備されている各種アクチュエータ等に対して信号を出力する。画像処理部55は、アライメントカメラ27および検査カメラ31から画像データを取り込み、2値化等の画像処理を行う。照明制御部56はアライメント照明部28および検査照明部32の点灯および消灯等を制御する。
【0028】
上記演算処理部51は、演算機能を有するものであり、上記メモリ52に記憶されているプログラムに従って駆動制御部53、画像処理部55、照明制御部56などを制御することで次に説明する一連の処理を実行する。
【0029】
なお、
図2中の符号6はオペレータとのインターフェースとして機能する表示ユニットであり、制御ユニット5と接続され、検査装置100の動作状態を表示する機能のほか、タッチパネルで構成されてオペレータからの入力を受け付ける入力端末としての機能も有する。また、この構成に限定されるものではなく、動作状態を表示するための表示装置と、キーボードやマウス等の入力端末を採用しても良い。
【0030】
次に、
図1、
図4ないし
図8を参照しつつ撮像ユニット3の構成および動作について説明する。
図4は撮像ユニットを上方から見た図である。
図5は撮像ユニットの構成を示す斜視図である。
図6は先端撮像機構における歯車に対する検査カメラおよび検査照明部の配設関係を模式的に示す図である。
図7は上流撮像機構および下流撮像機構における歯車に対する検査カメラおよび検査照明部の配設関係を模式的に示す図である。
図8は歯車に対する検査カメラの撮影方向を示す図である。撮像ユニット3は、
図1に示すように、先端撮像機構3A、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cを有しており、保持テーブル21A(または21B)に保持されながら所定の回転方向Dwに回転するワークWの歯車Wbの各部位を撮像可能となっている。
【0031】
先端撮像機構3Aは、9個の検査照明部32で所定の照明領域を多方向からスポット状に照明するとともに、ワークWの歯車Wbの歯部のうち上記照明領域に位置する歯部の先端部、つまり歯末Wb1(
図8参照)を3個の検査カメラ31により多方向から撮像して歯末Wb1の画像(以下「先端画像」という)の画像データを制御ユニット5に送る。より詳しくは、
図1に示すように、先端撮像機構3Aは、複数の検査カメラ31および複数の検査照明部32を一体的に移動可能に設けられて歯末Wb1を斜め方向から撮像する可動先端撮像機構3A1と、1つの検査カメラ31を歯車Wbの鉛直上方に固定されて歯末Wb1を鉛直上方から撮像する固定先端撮像機構3A2とを備えている。なお、
図4では、固定先端撮像機構3A2を除く撮像機構3A1、3B、3Cにおける検査カメラ31および検査照明部32の配設関係を明確にするために、固定先端撮像機構3A2の図示を省略している。また、
図5では、撮像機構3A1、3B、3Cにおける検査カメラ31により撮像される方向および領域を明確にするために、撮像機構3A1、3B、3Cを移動させる移動部35A〜35C、38B、38C(
図4)および検査照明部32の図示を省略している。
【0032】
可動先端撮像機構3A1は鉛直方向Zと直交する直交面(
図4中のXY平面)内で撮像ユニット3の本体部(図示省略)に対してベース部33Aが固定配置されるとともに、当該ベース部33Aに対して支持プレート34Aが水平方向Xに移動自在に設けられている。そして、制御ユニット5からの移動指令にしたがって移動部35Aが作動することで、支持プレート34Aが第1水平方向Xに移動される。
【0033】
移動部35Aは、2本のガイドレール351、スライダ(図示省略)、ボールネジ式の駆動部352などを有している。2本のガイドレール351はベース部33Aの上面に対して第1水平方向Xに延設されるとともにガイドレールにスライダが第1水平方向Xに移動自在に取り付けられている。そして、スライダ上に支持プレート34Aが固定されている。また、支持プレート34Aには、ベース部33Aに対して支持プレート34Aを第1水平方向Xに移動させて位置決めする機能を有する駆動部352が接続されている。駆動部352は従来より周知のようにモータ、ボールネジおよびナットを構成され、制御ユニット5からの指令にしたがってモータが作動することでボールネジの回転に応じてナットが支持プレート34Aとともに第1水平方向Xに移動する。なお、本実施形態では駆動部352(および後で説明する駆動部382)の駆動方式はボールネジ式に限定されるものではなく、他の方式、例えばリニアモータ方式を用いてもよい。
【0034】
この支持プレート34Aの上面には、複数のアーム36Aが立設され、検査カメラ31や検査照明部32が取り付けられている。このため、上記したように駆動部352による支持プレート34Aの移動に伴って検査カメラ31および検査照明部32が一体的に第1水平方向Xに移動し、先端撮像機構3Aでの照明位置および撮像位置をワークWの種類に応じて調整可能となっている。
【0035】
先端撮像機構3Aでは、歯車Wbの歯末Wb1を径方向外側の多方向から撮像するために、1つの固定式検査カメラ31と2つの可動式検査カメラ31、31が回転機構24の回転軸AX3の軸方向(鉛直方向Z)において互いに異なる位置に配置され、
図8に示すように撮像方向Da〜Dcがそれぞれ相違している。なお、先端撮像機構3Aでの検査カメラ31を区別して説明するために、以下においては適宜、
図6および
図8に示すように、撮像方向Daが水平方向Haに対し、角度θa(例えば5゜)だけ傾斜している検査カメラ31を「検査カメラ31a」と称し、角度θb(例えば45゜)だけ傾斜している検査カメラ31を「検査カメラ31b」と称し、ほぼ直交している検査カメラ31を「検査カメラ31c」と称する。
【0036】
検査カメラ31a、31bは互いに異なる撮像方向Da、Dbを有するが、焦点位置FAは一致しており、しかも先端駆動部35により歯車Wbのピッチ円PC上に位置するように第1水平方向Xにおいて位置決めされる。したがって、歯車Wbの歯末Wb1を側方および斜方の2方向から高精度に撮像可能となっている。なお、本実施形態では、先端撮像機構3Aを構成する1つの検査カメラ31cを固定配置しているが、連結部材によって検査カメラ31cを支持プレート34Aに連結して検査カメラ31a〜31cの焦点位置Faを一致させながら検査カメラ31a〜31cを一体的に移動させるように構成してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、上記焦点位置FAに位置する歯末Wb1を径方向外側より撮像するために、歯車Wbの歯末Wb1を径方向外側の多方向から照明している。より具体的には、検査照明部32を3つのグループ(側方照明グループ、斜方照明グループおよび上方照明グループ)に分けるとともに、各グループにおいて検査照明部32を回転方向Dwに沿って所定の角度間隔だけ離間して配置している。なお、先端撮像機構3Aでの検査照明部32を区別して説明するために、以下においては適宜、側方照明グループに属する3つの検査照明部32をそれぞれ「検査照明部32a」、「検査照明部32b」、「検査照明部32c」と称し、斜方照明グループに属する3つの検査照明部32をそれぞれ「検査照明部32d」、「検査照明部32e」、「検査照明部32f」と称し、上方照明グループに属する3つの検査照明部32をそれぞれ「検査照明部32g」、「検査照明部32h」、「検査照明部32i」と称する。
【0038】
検査照明部32a〜32iは制御ユニット5の照明制御部56によってそれぞれ独立して点灯および消灯可能となっているが、いずれの検査照明部32a〜32iも
図6の上欄に示すように、検査カメラ31a〜31cの焦点位置FAの近傍をスポット状に照明する。なお、本実施形態では、いずれの検査照明部32a〜32iも検査カメラ31a〜31cの光軸から外れて照明光を歯車Wbに照射しているが、一部の照明光が検査カメラ31a〜31cの光軸と同軸で歯車Wbを照射されるように構成してもよい。この点については、次に説明する上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cにおいても同様である。
【0039】
上流撮像機構3Bは回転方向Dwにおいて歯末Wb1の上流側に隣接する歯元Wb2(
図8参照)の底部から当該歯末Wb1の先端(歯先)に繋がる上流壁面、つまり上流歯面Wb3(
図8参照)を撮像可能となっている。さらに、下流撮像機構3Cは回転方向Dwにおいて歯末Wb1の下流側に隣接する歯元Wb4(
図8参照)の底部から当該歯末Wb1の先端(歯先)に繋がる下流壁面、つまり下流歯面Wb5(
図8参照)を撮像可能となっている。上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cは、撮像対象が相違しているが、基本構成は同一であるため、以下において上流撮像機構3Bの構成および動作について図面を参照しつつ詳述する一方、下流撮像機構3Cについては同一または相当符号を付して構成の説明を省略する。
【0040】
上流撮像機構3Bは
図1に示すようにワークWを挟んで先端撮像機構3Aの反対側に配置されている。上流撮像機構3Bでは、6個の検査照明部32が設けられるとともに2個の検査カメラ31が設けられている。そして、検査照明部32で所定の照明領域を多方向からスポット状に照明するとともに、ワークWの歯車Wbの歯部のうち上記照明領域に位置する歯部の上流歯面Wb3(
図8参照)を2個の検査カメラ31により多方向から撮像して上流歯面Wb3の画像(以下「上流歯面画像」という)の画像データを制御ユニット5に送る。
【0041】
より詳しくは、
図4に示すように、上流撮像機構3Bでは撮像ユニット3の本体部(図示省略)に対して固定ベース部37Bが固定配置されるとともに、当該固定ベース部37Bに対して可動ベース部33Bが第1水平方向Xおよび鉛直方向Zの両方に直交する第2水平方向Yに移動自在に設けられている。そして、制御ユニット5からの移動指令にしたがって移動部38Bが作動することで、可動ベース部33Bが第2水平方向Yに移動される。
【0042】
移動部38Bは、2本のガイドレール381、スライダ(図示省略)、ボールネジ式の駆動部382などを有している。2本のガイドレール381は固定ベース部37Bの上面に対して第2水平方向Yに延設されるとともにガイドレールにスライダが第2水平方向Yに移動自在に取り付けられている。そして、スライダ上に可動ベース部33Bが固定されている。また、可動ベース部33Bには、固定ベース部37Bに対して可動ベース部33Bを第2水平方向Yに移動させて位置決めする機能を有する駆動部382が接続されている。駆動部382は従来より周知のようにモータ、ボールネジおよびナットを構成され、制御ユニット5からの指令にしたがってモータが作動することでボールネジの回転に応じてナットが可動ベース部33Bとともに第2水平方向Yに移動する。
【0043】
この可動ベース部33Bに対して支持プレート34Bが第1水平方向Xに移動自在に設けられている。そして、制御ユニット5からの移動指令にしたがって移動部35Bが作動することで、支持プレート34Bが第1水平方向Xに移動される。なお、移動部35Bは移動部35Aと同一構成であるため、ここでは同一構成に同一または相当符号を付して説明を省略する。
【0044】
この支持プレート34Bの上面には、複数のアーム36Bが立設され、検査カメラ31や検査照明部32が取り付けられている。このため、上記したように駆動部352による支持プレート34Bの第1水平方向Xへの移動および/または駆動部358による可動ベース部33Bの第2水平方向Yへの移動に伴って検査カメラ31および検査照明部32が一体的に水平面(XY平面)内を移動し、先端撮像機構3Bでの照明位置および撮像位置をワークWの種類に応じて調整可能となっている。なお、具体的な調整態様については後で詳述する。
【0045】
上流撮像機構3Bでは、
図7に示すように、歯車Wbの上流歯面Wb3をピッチ円PCの接線方向外側の多方向から撮像するために、2つの検査カメラ31が回転機構24の回転軸(
図5、
図10中の符号AX3)の軸方向において互いに異なる位置に配置され、撮像方向Dd、Deはそれぞれ相違している。なお、上流撮像機構3Bでの検査カメラ31を区別して説明するために、以下においては適宜、
図8に示すように、撮像方向Ddが水平方向Hbに対し、角度(例えば5゜)だけ傾斜している検査カメラ31を「検査カメラ31d」と称し、角度(例えば45゜)だけ傾斜している検査カメラ31を「検査カメラ31e」と称する。
【0046】
このように検査カメラ31d、31eは互いに異なる撮像方向Dd、Deを有するが、焦点位置FBは一致しており、しかも2つの駆動部352、358により歯車Wbのピッチ円PC上に位置するように水平面(XY平面)内において位置決めされる(本発明の「位置決め工程」の一例に相当)。したがって、ピッチ円PCの接線方向外側から上流歯面Wb3を側方および斜方の2方向から高精度に撮像可能となっている。
【0047】
また、本実施形態では、上記焦点位置FBに位置する上流歯面Wb3を接線方向外側より撮像するために、歯車Wbの上流歯面Wb3を接線方向外側の多方向から照明している。より具体的には、検査照明部32を2つのグループ(側方照明グループおよび斜方照明グループ)に分けるとともに、各グループにおいて検査照明部32を回転方向Dwに沿って所定の角度間隔だけ離間して配置している。なお、上流撮像機構3Bでの検査照明部32を区別して説明するために、以下においては適宜、側方照明グループに属する3つの検査照明部32をそれぞれ「検査照明部32j」、「検査照明部32k」、「検査照明部32l」と称し、斜方照明グループに属する3つの検査照明部32をそれぞれ「検査照明部32m」、「検査照明部32n」、「検査照明部32o」と称する。
【0048】
検査照明部32j〜32oは制御ユニット5の照明制御部56によってそれぞれ独立して点灯および消灯可能となっているが、いずれの検査照明部32j〜32も
図7の上欄に示すように、検査カメラ31d、31eの焦点位置FBの近傍をスポット状に照明する。なお、本実施形態では、いずれの検査照明部32j〜32oも検査カメラ31d、31eの光軸から外れて照明光を上流歯面Wb3に照射しているが、一部の照明光が検査カメラ31d、31eの光軸と同軸で上流歯面Wb3を照射されるように構成してもよい。
【0049】
図9は
図1に示す検査装置によるワークの検査動作を示すフローチャートである。また、
図10は検査動作を模式的に示す図である。なお、
図10においては、保持テーブル21A、21Bの動作を明確に区別するために、保持テーブル21Bおよび当該保持テーブル21Bにより保持されるワークWに対してドットを付している。
【0050】
この検査装置100では、制御ユニット5のメモリ52に予め記憶された検査プログラムにしたがって演算処理部51が装置各部を制御して以下の動作を実行する。ここでは、1つのワークWに着目して当該ワークWに対して実行される各種動作について
図9および
図10を参照しつつ説明する。制御ユニット5は、
図10の(a)欄に示すようにプリアライメント位置PAに位置している保持テーブル21AにワークWが存在せず、しかもワーク検出センサ11により未検査のワークWがローディングユニット1のワーク収容部に収容されていることを確認すると、保持テーブル21AへのワークWのローディングを開始する(ステップS1)。このローディング工程では、ローダ12がワーク収容部の未検査ワークWを把持し、ローディングユニット1から保持テーブル21Aに搬送する。なお、本実施形態では、ローディング工程および後の芯ズレの検出工程を円滑に行うために、保持テーブル21AへのワークWの搬送前に、
図10の(a)欄に示すように水平位置決め機構23によりチャック機構22の中心軸AX2とモータ241の回転軸AX3とを一致させるとともに、3本の可動部材221〜223を互いに離間させてワークWの受け入れ準備を行っている。
【0051】
ローダ12によりワークWが保持テーブル21Aに搬送されてくると、チャック機構22が上記したように3本の可動部材221〜223を互いに近接移動させてワークWの軸部Waの一部を挟み込んでワークWを把持する。より詳しくは、ローディング動作中に、可動部材221〜223は互いに近接移動し、可動部材221〜223の各上端面と突起部材225とが軸部Waの段差部位に係合してチャック機構22の中心軸AX2と軸部Waの軸芯とを一致させながらワークWを保持する(
図10の(b)欄参照)。こうして、ローディング工程が完了し、この完了時点では、モータ241の回転軸AX3、チャック機構22の中心軸AX2および軸部Waの軸芯は一致している。しかしながら、鍛造や鋳造処理によって製造されたワークWでは、例えば
図10の(b)欄に示すように歯車Wbの対称軸AX4が軸部Waの軸芯から外れ、モータ241に対するワークWの芯ズレが発生していることがある。
【0052】
そこで、本実施形態では、アライメント照明部28(
図2)により未検査ワークWを照明するとともに、保持テーブル21Aのモータ241により未検査ワークWを回転させながらアライメントカメラ27により歯車Wbを撮像し、その画像データをメモリ52に記憶する(ステップS2)。
【0053】
この撮像完了後に、旋回駆動部262により第1ポジションから第2ポジションへの切替を行う。すなわち、旋回駆動部262が支持プレート261を旋回軸AX1まわりに180゜旋回させ、これによって
図10の(c)欄に示すように未検査のワークWを保持する保持テーブル21Aがプリアライメント位置PAから検査位置PIに移動するとともに昇降部254によってワークWを撮像ユニット3により撮像可能な高さ位置に移動させる(ステップS3)。
【0054】
また、本実施形態では、上記移動と並行して、メモリ52からワークWの画像データを読み出し、回転機構24(モータ241)に対するワークWの芯ズレ(本実施形態では、ズレ量Δとズレ方向とを含む情報に相当)を検出し(ステップS4)、それに続いて保持テーブル21Aにおける芯ズレ補正を行う(ステップS5)。この芯ズレ補正は上記ステップS4で検出された芯ズレを解消するように水平位置決め機構23によりチャック機構22を移動させる。これによって、
図10の(c)欄に示すように、保持テーブル21Aが検査位置PIに到達した時点あるいは到達前後で歯車Wbの対称軸とモータ241の回転軸とが一致し、直ちにワーク撮像工程(ステップS6)を開始することができる。
【0055】
このステップS6では、検査位置PIに位置決めされた保持テーブル21Aの回転機構24が作動し、ワーク回転を開始する(本発明の「回転工程」の一例に相当)。このとき、保持テーブル21Aに保持されたワークWは上記芯ズレ補正を受けた、いわゆる芯出し状態であり、対称軸AX4まわりに回転する。また、その回転に対応して複数の検査照明部32が点灯して回転中のワークWを複数の方向から照明する。なお、ここではワーク回転後に検査照明部32を点灯させているが、点灯タイミングはこれに限定されるものではなく、回転開始と同時、あるいは回転開始前に検査照明部32の点灯を開始してもよい。
【0056】
こうしてワークWの回転と照明とを行っている間に、複数の検査カメラ31がワークWを種々の方向から撮像し、複数方向からのワークWの画像の画像データを制御ユニット5に送信する(本発明の「画像取得工程」の一例に相当)。すなわち、先端撮像機構3Aの検査カメラ31a〜31cが歯車Wbの歯末Wb1を径方向外側の側方、斜方および上方の3方向から撮像する。また、上流撮像機構3Bの検査カメラ31d、31eがピッチ円PCの接線方向外側から側方および斜方の2方向から上流歯面Wb3を撮像する。さらに、下流撮像機構3Cの検査カメラ31f、31gがピッチ円PCの接線方向外側から側方および斜方の2方向から下流歯面Wb5を撮像する。こうして、ワークWの画像として、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像が多角的に取得され、それらの画像データが制御ユニット6に送られる。一方、制御ユニット5では上記画像データをメモリ52に記憶し、以下のタイミングで当該画像データに基づいてワークWの検査を行う(本発明の「検査工程」の一例に相当)。
【0057】
こうした画像取得後、保持テーブル21Aではワーク回転が停止され、撮像ユニット3では検査照明部32が消灯される。また、旋回駆動部262が支持プレート261を旋回軸AX1まわりに180゜反転旋回させ、これによって保持テーブル21Aが検査済のワークWを保持したまま検査位置PIからプリアライメント位置PAに移動するとともに昇降部254によってワークWが元の高さ位置に移動する(ステップS7)。このワークWの移動と並行して、制御ユニット5はメモリ52から画像データを読み出し、ワーク画像(=先端画像+上流歯面画像+下流歯面画像)に基づいて歯車Wbに傷や欠陥などが存在しているか否かを判定して保持テーブル21Aに保持されたワークWについてワーク検査を行う(ステップS8)。
【0058】
プリアライメント位置PAに戻ってきたワークWはアンローダ42によって把持された後、可動部材221〜223による把持の解除により保持テーブル21Aからアンローダ42に受け渡される。それに続いて、アンローダ42がワークWをアンローディングユニット4に搬送し、ワーク収容部(図示省略)に搬送する(ステップS9)。上記した一連の工程(ステップS1〜S9)が保持テーブル21A、21Bにより交互に繰り返される。
【0059】
以上のように、本実施形態では、ワークWの歯末Wb1の先端(歯先)、上流歯面Wb3および下流歯面Wb5を撮像するために専用の先端撮像機構3A、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cをそれぞれ設け、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像を個別に取得している。したがって、上流歯面画像および下流歯面画像を単一のカメラで撮像していた従来技術では困難であったワークWについても上流歯面画像および下流歯面画像を確実に取得することが可能となっている。また、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像を一括して単一のカメラで撮像していた従来技術に比べ、各画像を鮮明に撮像することが可能となっている。そして、これらの画像に基づいてワークWを検査しているため、種々のワークWを高精度に検査することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、撮像対象物ごとに撮像方向を相違させている。つまり、先端撮像機構3AについてはワークWの径方向外側より歯末Wb1の先端を撮像するように配置する一方、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cについてはピッチ円PCの接線方向外側より歯面Wb3、Wb5をそれぞれ撮像するように配置している。このため、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像を確実に撮像することができ、検査精度を高めることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、先端撮像機構3A、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cのいずれにおいても検査カメラ31の焦点位置をピッチ円PC上に位置させている。このため、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像を合焦状態で撮像することができ、検査精度を高めることができる。
【0062】
また、先端撮像機構3A、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cのいずれにおいても複数の検査カメラ31を回転機構24の回転軸AX3の軸方向において互いに異なる位置に配置し、互いに異なる撮像方向からワークWを撮像している。このように多方向からワークWを撮像することで種々のワークWに対応することができ、検査装置100の汎用性を高めることができる。
【0063】
また、
図6に示すように、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3CがワークWを挟んで先端撮像機構3Aの反対側に配置されているため、多数の検査カメラ31および検査照明部32を設置することができ、種々のワークWを高精度に検査することが可能となっている。
【0064】
また、上記実施形態では、検査カメラ31a〜31gはいずれも鉛直方向においてピッチ円PCよりも高い位置に配置され、しかも撮像方向Da〜Dgはいずれも下方を向いている。つまり、検査カメラ31a〜31gはいずれも受光面(図示省略)が下方を向いた状態で設置されている。このため、ほこりやゴミなどが受光面に付着するのを効果的に抑制することができ、ワークWの撮像を良好に行うことができるとともに高いメンテナンス性が得られる。
【0065】
さらに、上流撮像機構3Bは、駆動部352、358によって、検査カメラ31および検査照明部32を一体的に水平面(XY平面)内で平行移動可能となっており、上流撮像機構3Bを平行移動させることでワークWの種類や撮像条件に応じた位置に位置決めする(本発明の「位置決め工程」の一例に相当)。そして、当該位置決め後に、ワークWの撮像が行われる。したがって、ワークWの種類や撮像条件の変更が生じたとしても、上流撮像機構3Bにより上流歯面画像を常に適正な方向より撮像することができ、上流歯面画像を良好に撮像することができる。例えば径が異なるワークWを検査する場合には、移動部38Bの駆動部382を作動すればよい。例えば
図11の(a)欄に示すように、ワークWの撮像半径が元の半径R1(同図の(b)欄参照)から半径R2となった場合、
x
2+y
2=R2
2
x=0
が満足されるように上流撮像機構3Bを第2水平方向Yに平行移動させればよい。また、ワークWの種類を変更することなく、異なる撮像条件で撮像して検査する場合には、移動部35Bの駆動部352と移動部38Bの駆動部382を作動すればよい。例えば
図11の(b)欄に示すように、ワークWの撮像半角度径が元の撮像角度φ1(同図の(a)欄参照)から撮像角度φ2となった場合、
x
2+y
2=R1
2
tanφ2=−Δx/Δy
が満足されるように上流撮像機構3Bを水平方向X、Yに平行移動させればよい。さらに、上記変更がともに発生した場合についても、移動部35Bの駆動部352と移動部38Bの駆動部382を作動すればよい。例えば
図11の(c)欄に示すように、
x
2+y
2=R2
2
tanφ2=−Δx/Δy
が満足されるように上流撮像機構3Bを水平方向X、Yに平行移動させればよい。なお、これらの点については、下流撮像機構3Cについても同様である。
【0066】
上記したように、本実施形態では、歯車Wbの歯末Wb1、歯元Wb2、上流歯面Wb3、歯元Wb4および下流歯面Wb5がそれぞれ本発明の「凸部」、「凸部の上流側に隣接する凹部」、「上流壁面」、「凸部の下流側に隣接する凹部」および「下流壁面」の一例に相当し、上流歯面画像および下流歯面画像がそれぞれ本発明の「上流壁面画像」および「下流壁面画像」の一例に相当している。また、検査カメラ31a〜31cが本発明の「先端撮像部」の一例に相当し、検査カメラ31d、31eが本発明の「上流撮像部」の一例に相当し、検査カメラ31f、31gが本発明の「下流撮像部」の一例に相当している。また、制御ユニット5の演算処理部51が本発明の「検査部」として機能している。また、ピッチ円PCが本発明の「上流側軌跡」および「下流側軌跡」の一例に相当し、焦点位置FB、FCがそれぞれ本発明の「上流焦点位置」および「下流焦点位置」の一例に相当している。
【0067】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、ワークWの回転により上流歯面Wb3が描く上流側軌跡としてピッチ円PCを用いているが、上流側軌跡についてはこれに限定されるものではなく、例えば上流歯面Wb3の任意の1点が描く軌跡を用いてもよい。この点については、下流側軌跡においても同様である。また、上記実施形態では、本発明の「上流側軌跡」および「下流側軌跡」としてピッチ円PCを共通して使用しているが、相互に異なるものを用いてもよいことは言うまでもない。
【0068】
また、上記実施形態では、歯車Wbを有するワークWを検査対象としているが、ワークWの種類はこれに限定されるものではなく、本発明の「ワーク」には、対称軸まわりに回転対称な形状で凸部と凹部とが周期的に繰り返して設けられた外周部を有するワーク全般が含まれる。
【0069】
また、上記実施形態では、3本の可動部材221〜223によりワークWを保持するように構成しているが、ワークWの保持態様や保持方式は任意である。また、上記実施形態では、2つの保持テーブル21A、21Bを交互にプリアライメント位置PAに位置させて芯ズレを検出する検査装置100に本発明を適用しているが、単一あるいは3つ以上の保持テーブルを有する検査装置に対しても本発明を適用することができる。また、例えば検査カメラ31cをアライメントカメラとして兼用して検査位置で芯ズレを検出する装置に対しても本発明を適用することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、先端撮像機構3A、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cにおける検査カメラ31の設置台数は、それぞれ「3台」、「2台」および「2台」となっているが、各設置台数はこれに限定されるものではなく、それぞれ少なくとも1台以上設ければよい。また、この点については、検査照明部32の設置台数も検査カメラ31と同様に、先端撮像機構3A、上流撮像機構3Bおよび下流撮像機構3Cの各々に少なくとも1台以上設ければよい。
【0071】
また、上記実施形態では、複数の検査照明部32を一括して点灯しているが、ワークWを複数回回転させるとともに1回転毎に点灯する検査照明部32を切り替えて撮像してもよく、これによって種々の照明条件で先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像を取得することができ、様々な外観上の欠陥を強調して撮影することができる。
【0072】
さらに、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像に基づく検査手法は従来より多用されているもの、例えば良品の画像を予めメモリ52に登録しておき、良品画像との比較により検査してもよい。また、先端画像、上流歯面画像および下流歯面画像に含まれる特徴量に基づく検査を行ったり、機械学習を用いたりしてもよい。