(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンカは、導線本体に取り付けられ、前記送達構成にあるとき、前記アンカが、5フレンチシースを通して送達可能である断面外形を有するように定寸されている、請求項1に記載のアンカ。
前記複数の尖叉のそれぞれは、丸みを帯びたもしくは面取りされた角および/または縁を伴う長方形形状を有し、これにより、前記角および/または縁における組織損傷を阻止する、請求項1に記載のアンカ。
前記アンカは、前記標的場所において前記患者の組織内に埋め込まれると、組織と前記複数の尖叉の係合が前記導線の軸方向移動を阻止するように、十分な剛度を伴う材料から形成されており、前記材料は、50A〜80Dの範囲内のショア硬さを有する、請求項5に記載のシステム。
前記アンカは、前記螺旋本体が、その上に結合されると、前記導線本体の遠位部分に沿って10mm〜30mmの長さに延在するように定寸されている、請求項5または請求項6に記載のシステム。
前記係留部分の縮小直径および長さは、前記アンカが前記送達構成で前記係留部分内に配置されると、前記アンカが、前記アンカの近位および遠位の前記導線の外側表面と実質的に同一平面となるように構成されている、請求項9に記載のシステム。
前記導線および前記パルス発生器の接合部に隣接する前記導線の近位部分に沿って延在する歪み緩和部材をさらに備える、請求項5〜10のいずれか一項に記載のシステム。
前記歪み緩和部材は、前記接合部に隣接する前記導線の近位部分を中心として巻着された螺旋部分を含み、前記螺旋部分は、前記導線の近位部分と比較して増加した剛度の材料を含み、随意で、前記歪み緩和部材は、前記螺旋部分の可変厚さおよび/または可変ピッチの一方もしくは両方によって、前記導線の近位部分に沿って可変剛度を提供するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
組立の間、放射線不透過性リボンを前記金型内に追加すること、および/または、前記組み立てられた金型の中に注入する前に、放射線不透過性材料を前記流動性材料に追加することと、
前記マルチ部品金型を除去するときに、前記尖叉が延在する1つ以上の軸に沿って、前記マルチ部品金型の外側部品を抜去することと、
前記螺旋本体を導線の係留部分を中心として巻着することによって、前記アンカを神経刺激導線の前記係留部分に添着することと
のうちのいずれかをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、神経刺激治療システムおよび関連付けられたデバイス、ならびにそのような治療システムの加工処理、埋込/留置、および構成の方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、過活動膀胱(「OAB」)を含む膀胱機能不全ならびに排便機能不全を治療し、それと関連付けられた症状を緩和させるように構成される、仙骨神経刺激治療システムに関する。しかしながら、本発明はまた、当業者によって理解されるように、運動または情動障害等の疼痛もしくは他の適応症の治療のために利用されてもよいことを理解されたい。
【0036】
I.神経刺激適応症
本明細書に説明されるもののいずれか等の神経刺激治療システムは、急性疼痛障害、運動障害、情動障害、ならびに膀胱関連機能不全および大腸ならびに排便機能不全等の種々の病気および関連付けられた症状を治療するために使用されることができる。神経刺激によって治療され得る疼痛障害の実施例は、脊椎手術後疼痛症候群、反射性交感神経性ジストロフィまたは複合性局所疼痛症候群、灼熱痛、クモ膜炎、および末梢神経障害を含む。運動障害は、筋麻痺、振戦、ジストニア、およびパーキンソン病を含む。情動障害は、うつ病、強迫性障害、群発頭痛、トゥレット障害、およびあるタイプの慢性疼痛を含む。膀胱関連機能不全は、限定ではないが、OAB、切迫尿失禁、尿意切迫−頻尿、および尿閉を含む。OABは、単独で、または組み合わせて、切迫尿失禁および尿意切迫−頻尿を含むことができる。切迫尿失禁は、突然の強い尿意(切迫性)と関連付けられた失禁である。尿意切迫−頻尿は、頻繁な、多くの場合、制御不能な尿意切迫感(切迫性)であって、多くの場合、非常に少量の排尿をもたらす(頻尿)。尿閉は、膀胱を空にすることができない状態である。神経刺激治療は、その状態もしくは関連付けられた症状と関連付けられた感覚および/または運動制御に関連する標的神経組織の神経刺激をもたらすことによって、特定の状態に対処するように構成されることができる。
【0037】
一側面では、本明細書に説明される方法およびシステムは、特に、排尿ならびに排便機能不全の治療のために好適である。これらの状態は、歴史的には、医学界による認識が不足しており、かつ医療サービスを十分に受けられていない。OABは、最も一般的排尿機能不全のうちの1つである。これは、尿意切迫、頻尿、夜間頻尿、および切迫尿失禁を含む、煩わしい排尿症状の存在によって特徴付けられる、複合的状態である。約4,000万人の米国人が、OABに悩まされていると推定される。成人人口のうち、全男性および女性の約16%が、OAB症状を患っていることになる。
【0038】
OAB症状は、患者の心理社会的機能および生活の質に有意な負の影響を及ぼし得る。OABを患う人々は、多くの場合、活動を制限し、および/または対処方法を立てている。さらに、OABは、個人、その家族、および医療機関に有意な財政的負担を課している。共存症状態の有病率もまた、OABを患う患者では、一般人口より有意に高い。共存症は、転倒および骨折、尿路感染症、皮膚感染症、外陰腟炎、心血管疾患、ならびに中枢神経系病理を含み得る。慢性便秘、便失禁、および重複慢性便秘が、OABを患う患者により頻繁に生じる。
【0039】
OABの従来の治療は、概して、第1の対策過程として、生活習慣の修正を含む。生活習慣の修正は、食事からの膀胱刺激物(カフェイン等)の排除、流体摂取量の管理、減量、禁煙、および排泄の規則性の管理を含む。挙動修正は、排尿習慣の変更(膀胱訓練および排尿遅延等)、尿道括約筋の強度および制御を改良するための骨盤底筋の訓練、切迫感抑制のためのバイオフィードバックおよび技法を含む。薬剤は、OABのための第2段階治療と見なされる。これらは、抗コリン作用薬薬剤(経口、経真皮的パッチ、およびゲル)ならびに経口ベータ−3アドレナリン作動薬を含む。しかしながら、抗コリン作用薬は、頻繁に、口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気、および錯乱を含む、煩わしい全身性副作用と関連付けられる。研究によって、50%を上回る患者が、利点の欠如、有害事象、またはコストに起因して、90日以内に抗コリン作用薬の使用を停止していることが見出されている。
【0040】
これらのアプローチが失敗すると、米国泌尿器科学会によって提案される第3段階治療選択肢は、ボツリヌストキシン(BTX)の膀胱壁内(膀胱平滑筋)注射、経皮的脛骨神経刺激(PTNS)、および仙骨神経刺激(SNM)を含む。BTXは、膀胱鏡誘導下における一連の膀胱壁内注射を介して投与されるが、BTXの反復注射が、効果を維持するために、概して、4〜12ヶ月毎に要求され、BTXは、望ましくなく、尿閉をもたらし得る。いくつかの無作為化対照研究は、OAB患者におけるBTX注射のある程度の有効性を示しているが、OABに対するBTXの長期安全性および有効性は、概して、未知である。
【0041】
PTNS療法は、12週間の周期にわたる毎週30分のセッションから成り、各セッションは、ハンドヘルド刺激装置から脛骨神経を介して仙骨神経叢に送達される、電気刺激を使用する。良好に応答し、治療を継続する患者に関して、典型的には、3〜4週間毎の継続的セッションが、症状軽減を維持するために必要とされる。患者が治療スケジュールに準拠することができない場合、有効性が低下する潜在性がある。PTNSの有効性は、いくつかの無作為化対照研究において実証されているが、しかしながら、3年を超えるPTNS有効性に関するデータは、限定されており、PTNSは、切迫性尿失禁(UUI)の治癒(例えば、失禁エピソードの100%減少)(EAUガイドライン)を求める患者には推奨されない。
【0042】
II.仙骨神経調節
SNMは、切迫尿失禁、尿意切迫−頻尿、および非閉塞性尿閉の管理のための安全、効果的、可逆的、かつ長期的に継続する治療選択肢を提供する、確立された療法である。SNM療法は、下背に位置する仙骨神経を刺激するために、弱電気パルスの使用を伴う。電極は、電極導線を仙骨の対応する孔の中に挿入することによって、仙骨神経に隣接して、通常、S3レベルに留置される。電極は、皮下に挿入され、続いて、埋込可能パルス発生器(IPG)に取り付けられる。切迫尿失禁および尿意切迫−頻尿の両方の患者のために、5年の耐久性を含む、OABの治療のためのSNMの安全性および有効性が、複数の研究において支持されており、十分に証明されている。SNMはまた、より保守的治療に失敗した、またはその候補ではない患者における慢性便失禁を治療するためにも承認されている。
【0043】
A.仙骨神経調節システムの埋込
現在、SNMの資格として、試験段階を設けており、成功する場合、恒久的埋込が続く。試験段階は、試験刺激周期であって、患者は、療法が効果的であるかどうか評価される。典型的には、試験刺激を行うために利用される、2つの技法がある。1つは、経皮的神経評価(PNE)と称される通院ベースの手技であって、もう1つは、段階的試験である。
【0044】
PNEでは、孔針が、典型的には、最初に、通常、S3レベルにおける、最適刺激場所を識別し、仙骨神経の完全性を評価するために使用される。運動および感覚反応が、以下の表1に説明されるように、正しい針留置を検証するために使用される。一時的刺激導線(単極電極)が、次いで、局所麻酔下、仙骨神経の近傍に留置される。本手技は、蛍光透視法を伴わずに、診療室環境で行われることができる。一時的導線は、次いで、試験段階の間、患者の皮膚上にテープで貼付された外部パルス発生器(EPG)に接続される。刺激レベルは、特定の患者のための最適快適性レベルを提供するために調節されることができる。患者は、3〜7日間、その排尿を監視し、任意の症状改良があるかどうかを確認することになるであろう。PNEの利点は、局所麻酔を使用して診療室で行われることができる、無切開手技であることである。不利点は、一時的導線が、定位置にしっかりと係留されず、物理的活動に伴って、神経から離れるように移行する傾向を有し、それによって、療法の失敗を生じさせるということである。患者が本予備試験に失敗する場合、医師は、以下に説明されるように、段階的試験をさらに推奨してもよい。PNE試験が陽性である場合、一時的試験的導線は、除去され、恒久的四極尖叉付き導線は、全身麻酔下、IPGとともに埋め込まれる。
【0045】
段階的試験は、最初から、患者の中に恒久的四極尖叉付き刺激導線の埋込を伴う。また、神経および最適刺激場所を識別するための孔針の使用を要求する。導線は、S3仙骨神経近傍に埋め込まれ、導線延在部を介して、EPGに接続される。本手技は、手術室において蛍光透視誘導下かつ局所または全身麻酔下で行われる。EPGは、患者のための最適快適性レベルを提供するように調節され、患者は、最大2週間の間、その排尿を監視する。患者が有意義な症状改善を得る場合、典型的には、
図1および3Aに示されるように、臀部上方面積における全身麻酔下でのIPGの恒久的埋込のための好適な候補と見なされる。
【0047】
排尿機能不全のSNM治療のための転帰の測定に関して、排尿機能不全適応症(例えば、切迫尿失禁、尿意切迫−頻尿、および非閉塞性尿閉)が、一意の一次排尿日誌変数によって評価される。療法転帰は、これらの同一変数を使用して測定される。SNM療法は、最小50%の改善が、ベースラインと比較して、一次排尿日誌変数のいずれかに生じる場合、成功と見なされる。切迫尿失禁患者に関しては、これらの排尿日誌変数は、1日あたりの漏れエピソードの回数、1日あたりの大量の漏れエピソードの回数、および1日あたりの使用されるパッドの枚数を含んでもよい。尿意切迫−頻尿を患う患者に関しては、一次排尿日誌変数は、1日あたりの排尿回数、排尿あたりの排尿体積、および各排尿前に経験される尿意切迫度を含んでもよい。尿閉を患う患者に関しては、一次排尿日誌変数は、導尿あたりの導尿体積および1日あたりの導尿の回数を含んでもよい。便失禁患者に関しては、排尿日誌によって捕捉される転帰測定は、1週間あたりの漏れエピソードの回数、1週間あたりの漏れ日数、および各漏れ前に経験される便意切迫度を含む。
【0048】
SNMの作用機序は、多因子性であって、いくつかの異なるレベルで神経軸に影響を及ぼす。OABを患う患者では、陰部求心性神経は、異常排尿反射の求心脚を阻害することによって膀胱蓄尿を助長する、抑制反射を活性化することができると考えられる。これは、橋排尿中枢への入力を遮断し、それによって、正常排尿パターンに干渉せずに、不随意の排尿筋収縮を制限する。尿閉を患う患者に関しては、SNMは、骨盤臓器から始まり脊髄の中に延びる陰部神経求心性神経を活性化すると考えられる。脊髄レベルで、陰部求心性神経は、過度の防御反射を抑制し、したがって、尿閉を患う患者の症状を緩和させることによって、排尿反射を引き起こし得、したがって、正常排尿が、促進され得る。便失禁を患う患者では、SNMは、結腸推進活動を阻止し、内肛門括約筋を活性化する、陰部求心性体性線維を刺激し、ひいては、便失禁患者の症状を改善すると仮定される。
【0049】
本発明は、標的神経線維の部分的または完全活性化をもたらし、潜在的に、刺激標的と同一もしくは異なる、神経内の神経活動の増強または阻害を生じさせ、膀胱および大腸機能と関連付けられた器官および構造を制御する様式において、神経刺激を標的神経組織に送達するように適合されるシステムに関する。
【0050】
B.EMG支援神経刺激導線留置およびプログラミング
従来の仙骨神経刺激アプローチは、膀胱および大腸関連機能不全の治療において有効性を示しているが、神経刺激導線の位置付けおよび導線の試験的ならびに恒久的埋込位置間の一貫性を改良し、かつプログラム方法を改良する必要性がある。神経刺激は、治療用刺激をパルス発生器から1つまたはそれを上回る神経刺激電極を介して特定の神経もしくは標的領域に一貫して送達することに依拠する。神経刺激電極は、患者組織内に形成されるトンネルを通して前進されることができる、埋込可能導線の遠位端上に提供される。埋込可能神経刺激システムは、患者に大幅な自由度および移動性を提供するが、外科手術で埋め込まれる前に、そのようなシステムの神経刺激電極を調節することがより容易であり得る。医師は、IPGを埋め込む前に、患者が所望の運動および/または感覚反応を有することを確認することが望ましい。少なくともいくつかの治療(少なくともいくつかの形態の排尿および/または排便機能不全の治療を含む)に関して、適切な運動反応の実証は、感覚反応が要求されない、または利用不可能であり得る(例えば、患者が全身麻酔下にある)間、正確かつ客観的導線留置のために非常に有益であり得る。
【0051】
具体的神経に十分に近接した神経刺激電極および埋込可能導線の留置および較正は、治療の有効性のために有益であり得る。故に、本開示の側面および実施形態は、神経刺激電極留置の正確度および精度を支援ならびに精緻化することを対象とする。さらに、本開示の側面および実施形態は、埋込式神経刺激電極を通して実装される刺激プログラムのための治療用治療信号パラメータを設定するためのプロトコルを支援および精緻化することを対象とする。
【0052】
恒久的デバイスの埋込に先立って、患者は、治療に対する潜在的反応を推定するために、初期試験段階を受けてもよい。前述のように、PNEは、患者による主観的感覚反応に従って適切な仙骨神経を識別するために、試験針を使用して局所麻酔下で行われてもよい。他の試験手技は、2段階外科手術手技を伴うことができ、四極尖叉付き導線が、患者が症状頻度における十分な減少を示すかどうかを判定する試験段階(段階1)のために埋め込まれ、適切である場合、神経調節デバイスの恒久的外科手術埋込に進む。試験段階および恒久的埋込に関して、導線留置の場所の判定は、患者または医師の一方もしくは両方による主観的定質的分析に依存することができる。
【0053】
例示的実施形態では、埋込可能導線および神経刺激電極が所望のまたは正しい場所に位置するかどうかの判定は、表面筋電図検査としても知られる、筋電図検査(「EMG」)の使用を通して遂行されることができる。EMGは、EMGシステムまたはモジュールを使用して、筋電図と呼ばれる記録を生成する、筋肉によって生成される電気活動を評価および記録する、技法である。EMGは、筋肉細胞が電気的または神経学的に活性化されるときにそれらの細胞によって発生される電位を検出する。信号は、活性化レベルまたは動員順序を検出するために分析されることができる。EMGは、患者の皮膚表面を通して、筋肉内、または標的筋肉近傍の患者内に配置される電極を通して、もしくは外部および内部構造の組み合わせを使用して行われることができる。筋肉または神経が、電極によって刺激されると、EMGは、関連筋肉が刺激に反応して活性化されているかどうか(すなわち、筋肉が完全に収縮するか、部分的に収縮するか、または収縮しないかどうか)を判定するために使用されることができる。故に、筋肉の活性化の程度は、埋込可能導線または神経刺激電極が患者上の所望のもしくは正しい場所に位置するかどうかを示すことができる。さらに、筋肉の活性化の程度は、神経刺激電極が、患者における治療計画に影響を及ぼすために十分な強度、振幅、周波数、または持続時間の刺激を提供しているかどうかを示すことができる。したがって、EMGの使用は、埋込可能導線および神経刺激電極の留置を標準化し、患者感覚反応の主観的査定を低減させる、客観的および定量的手段を提供する。
【0054】
いくつかのアプローチでは、位置調整手技は、随意に、部分的に、患者からの感覚異常または疼痛ベースの主観的反応に基づいてもよい。対照的に、EMGは、測定可能および離散筋肉反応を誘起する。治療の有効性は、多くの場合、神経刺激電極の標的組織場所における精密な留置および神経刺激療法の一貫した再現可能送達に依拠するため、客観的EMG測定の使用は、SNM治療の有用性および成功を実質的に改良することができる。測定可能筋肉反応は、標的筋肉の刺激に応じて、表1に示されるもの等の観察可能運動反応の誘起下の反応を含む、部分的または完全筋肉収縮であることができる。加えて、神経刺激導線が恒久的埋込式システムにおいて使用するために埋め込まれたままであることを可能にする、試験的システムを利用することによって、恒久的埋込式システムの有効性および転帰は、試験的周期の結果とより一貫し、これはさらに、改良された患者転帰につながる。
【0055】
C.例示的システム実施形態
図1は、本発明の側面による、試験的神経刺激システム200において使用するための設定と、恒久的埋込式神経刺激システム100において使用するための設定とを含む、例示的神経刺激システム設定を図式的に図示する。EPG80およびIPG50はそれぞれ、試験的神経刺激システム200および/または試験成功後の恒久的埋込式システム100を位置付けるおよび/またはプログラムする際に使用される、臨床医用プログラム装置(CP)60および患者遠隔装置70と互換性があって、無線で通信する。前述のように、システムは、ケーブルセットおよびEMGセンサパッチを試験的システム設定100内で利用し、導線留置および神経刺激プログラミングを促進する。CPは、特殊ソフトウェア、特殊ハードウェア、および/または両方を含み、導線留置、プログラミング、再プログラミング、刺激制御、および/またはパラメータ設定を支援することができる。加えて、IPGおよびEPGはそれぞれ、患者が、患者遠隔装置を用いて、刺激の少なくとも一部を制御し(例えば、事前に設定されたプログラムを開始する、刺激を増減させる)、および/またはバッテリステータスを監視することを可能にする。本アプローチはまた、試験的システムと恒久的システムとの間のほぼシームレスな遷移を可能にする。
【0056】
一側面では、CP60は、導線が患者内に埋め込まれている間、EPGおよび/またはIPGの設定を調節するために、医師によって使用される。CPは、IPGをプログラムする、または試験的周期の間、EPGを制御するために臨床医によって使用される、タブレットコンピュータであることができる。CPはまた、刺激誘発筋電図を記録し、導線留置およびプログラミングを促進する能力を含むことができる。患者遠隔装置70は、患者が、刺激をオンもしくはオフにする、または埋め込まれている間のIPGからの、もしくは試験段階の間のEPGからの刺激を変動させることを可能にすることができる。
【0057】
別の側面では、CP60は、治療システムを展開し、治療パラメータを設定する際の医師による使用のための方法およびシステムを実装するためのマイクロプロセッサならびに特殊コンピュータコード命令を含むことができる、制御ユニットを有する。CPは、概して、グラフィカルユーザインターフェースと、EMGモジュールと、EMG出力刺激ケーブルに結合することができるEMG入力と、EMG刺激信号発生器と、刺激電源とを含む。刺激ケーブルはさらに、アクセスデバイス(例えば、孔針)、システムの治療導線、または同等物のいずれかもしくは全てに結合するように構成されることができる。EMG入力は、筋肉(例えば、標的神経によって衰弱されている筋肉)に隣接する患者の皮膚への取付のために、1つまたはそれを上回る感覚パッチ電極と結合されるように構成されてもよい。CPの他のコネクタは、電気接地もしくは接地パッチ、電気パルス発生器(例えば、EPGまたはIPG)、または同等物と結合するために構成されてもよい。前述のように、CPは、EMG分析を実行するためのハードウェアおよびコンピュータコードを伴うモジュールを含むことができ、モジュールは、制御ユニットマイクロプロセッサ、刺激および/または感覚ケーブルに結合される、もしくはそれとインラインの前処理ユニット、または同等物であり得る、構成要素であることができる。
【0058】
他の側面では、CP60は、臨床医が、導線が、EPG、IPG、またはCPに接続され、確実な接続が行われ、導線が無傷であることが確実であるときは常に、各電極接点のインピーダンスを読み取ることを可能にする。これは、導線を位置付けと、導線をプログラムする際の両方における初期ステップとして使用され、電極が適切に機能していることを確実にしてもよい。CP60はまた、患者によって使用された以前のプログラムを保存および表示し(例えば、最新の4つまで)、再プログラミングを促進することに役立つことが可能である。いくつかの実施形態では、CP60はさらに、報告をUSBドライブおよび充電ポートに保存するためのUSBポートを含む。CPは、導線を患者の体内に留置するとき、プログラミングの間のIPGと同様に、EPGと組み合わせて動作するように構成される。CPは、試験シミュレーションの間、特殊ケーブルセットを通して、または無線通信を通して、EPGに電子的に結合され、それによって、CPが、EPGに接続される導線上の電極を構成、修正、または別様にプログラムすることを可能にすることができる。CPはまた、物理的オン/オフボタンを含み、CPをオン/オフおよび/または刺激をオン/オフにしてもよい。
【0059】
EPGおよびIPGによって発生される電気パルスは、1つまたはそれを上回る導線のそれぞれの遠位端もしくはその近傍における1つまたはそれを上回る神経刺激電極を介して、1つまたはそれを上回る標的神経に送達される。導線は、種々の形状を有することができ、種々のサイズであることができ、かつ種々の材料から作製されることができ、サイズ、形状、および材料は、具体的治療用途に合わせることができる。本実施形態では、導線は、IPGから仙骨の孔のうちの1つを通して標的仙骨神経に延在するために好適なサイズおよび長さであるが、種々の他の用途では、導線は、例えば、腕または脚等の患者の身体の末梢部分内に埋め込まれてもよく、慢性疼痛を緩和するために使用され得るような末梢神経に電気パルスを送達するように構成されることができる。導線および/または刺激プログラムは、標的である神経に従って変動してもよいことを理解されたい。
【0060】
図2A−2Cは、本発明の側面による、神経刺激治療において使用され得る、患者の種々の神経構造の略図を示す。
図2Aは、脊髄の異なる区分と、各区分内の対応する神経とを示す。脊髄は、長くて細い神経の束であって、脳幹から頸髄に沿って胸髄を通して腰髄内の第1および第2の腰椎間の空間へと延在する細胞を支持する。脊髄からの退出に応じて、神経線維は、感覚のインパルスを伝送する種々の筋肉および器官を支配し、脳と器官と筋肉との間を制御する、複数の枝に分裂する。ある神経は、膀胱等のある器官を支配する枝ならびに脚および足のある筋肉を支配する枝を含み得るため、脊髄近傍の神経根またはその近傍の神経の刺激は、標的器官を支配する神経枝を刺激することができ、これはまた、他の神経枝の刺激と関連付けられた筋肉反応をもたらし得る。したがって、視覚的に、本明細書に説明されるようなEMGの使用を通して、または両方のいずれかにおいて、表1におけるもの等のある筋肉反応を監視することによって、医師は、標的神経が刺激されているかどうかを判定することができる。あるレベルにおける刺激は、裸眼で可視のロバストな筋肉反応を誘起し得るが、より低いレベルの(例えば、閾下)刺激も、対応する筋肉反応を誘起しない、またはEMGを用いてのみ可視である反応を誘起するが、依然として、標的器官と関連付けられた神経の活性化を提供し得る。いくつかの実施形態では、本低レベル刺激は、いかなる感覚異常も生じさせることもない。これは、そうでなければ生じさせる、患者不快感、疼痛、または望ましくない筋肉反応を伴うことなく、神経刺激による状態の治療を可能にするため有利である。
【0061】
図2Bは、神経束が脊髄から退出し、仙骨の仙骨孔を通して進行する、下部腰髄領域内の下背区分と関連付けられた神経を示す。いくつかの実施形態では、神経刺激導線は、神経刺激電極が前方仙骨神経根に位置付けられるまで、孔を通して前進される一方、刺激電極の近位の導線の係留部分は、導線を定位置に係留するように、概して、導線が通過する仙骨孔の背側に配置される。
図2Cは、腰仙骨神経幹および仙骨神経叢の神経、特に、下部仙骨のS1−S5神経の詳細図を示す。S3仙骨神経は、膀胱関連機能不全、特に、OABの治療のために特に着目される。
【0062】
図3Aは、仙骨神経刺激のために適合される完全埋込式神経刺激システム100の実施例を図式的に図示する。神経刺激システム100は、下背領域内に埋め込まれ、S3仙骨神経の刺激のためにS3孔を通して延在する神経刺激導線に接続される、IPGを含む。導線は、種々の膀胱関連機能不全のための療法を提供するように、本実施例では、膀胱を衰弱させる前方仙骨神経根S3である、標的神経に沿って神経刺激電極40のセットの位置を維持する、尖叉付きアンカ部分30によって係留される。本実施形態は、仙骨神経刺激のために適合されるが、類似システムは、例えば、末梢神経から生じる慢性、重症性、難治性神経障害性疼痛、または種々の排尿機能不全、もしくはなおもさらなる他の適応症を患う患者を治療する際に使用されることができることを理解されたい。埋込可能神経刺激システムは、標的末梢神経または脊椎の後方硬膜外腔のいずれかを刺激するために使用されることができる。
【0063】
電気パルスの特性は、埋込式パルス発生器のコントローラを介して制御されることができる。いくつかの実施形態では、これらの特性は、例えば、電気パルスの周波数、振幅、パターン、持続時間、または他の側面を含むことができる。これらの特性は、例えば、電圧、電流、または同等物を含むことができる。電気パルスの本制御は、1つまたはそれを上回る電気パルスプログラム、計画、またはパターンの作成を含むことができ、いくつかの実施形態では、これは、1つまたはそれを上回る既存の電気パルスプログラム、計画、またはパターンの選択を含むことができる。
図3Aに描写される実施形態では、埋込可能神経刺激システム100は、前述のように、事前にプログラムまたは作成され得る、1つまたはそれを上回るパルスプログラム、計画、またはパターンを有する、IPG内のコントローラを含む。いくつかの実施形態では、IPGと関連付けられたこれらの同一特性は、恒久的神経刺激システム100の埋込前に使用される部分的埋込式試験的システムのEPGにおいて使用されてもよい。
【0064】
図3Bは、患者の皮膚、特に、患者の腹部に接着されるEPGパッチ81を利用する、試験的神経刺激システム200の略図を示し、EPG80は、パッチ内に封入される。一側面では、導線は、EPGに有線接続される一方、別の側面では、導線は、可撓性パッチ81の上部表面内のポートまたは開口を通して、EPGに可撤性に結合される。過剰導線は、付加的接着パッチによって固着されることができる。一側面では、EPGパッチは、導線が、切断され、導線の遠位端を標的場所から除去せずに、恒久的埋込式システム内で使用され得るように使い捨てである。代替として、システム全体が、使い捨てであって、恒久的導線およびIPGと交換されることができる。試験的システムの導線が、埋め込まれると、1つまたはそれを上回るセンサパッチを使用してCPを介して得られたEMGは、前述のように、導線が標的神経または筋肉に近接する場所に留置されることを確実にするために使用されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、試験的神経刺激システムは、患者の皮膚に接着され、コネクタ21を通して導線20と結合される、導線延在部22を通して埋込式神経刺激導線20に結合される、EPGパッチ81内のEPG80を利用する。本延在部およびコネクタ構造は、EPGパッチが、腹部上に留置され得、試験が成功したと証明される場合、恒久的埋込のために好適な長さを有する導線の使用を可能にするように、導線が延在されることを可能にする。本アプローチは、2つの経皮的切開を利用してもよく、コネクタは、第1の切開内に提供され、導線延在部は、第2の経皮的切開を通して延在し、それらの間には短いトンネル距離(例えば、約10cm)がある。本技法はまた、試験的システムから恒久的埋込式システムへの変換の間の埋込式導線の移動を最小限にし得る。
【0066】
一側面では、EPGユニットは、恒久的埋込式システムのIPGと類似または同じ様式で患者遠隔装置および/またはCPによって無線で制御される。医師または患者は、そのようなポータブル遠隔装置もしくはプログラム装置の使用を通してEPGによって提供される治療を改変してもよく、送達される治療は、恒久的埋込式システムにおいて使用するために好適な治療を判定する際に使用するために、プログラム装置のメモリ上に記録される。CPは、試験的および恒久的神経刺激システムのそれぞれにおける、導線留置、プログラミング、および/または刺激制御において使用されることができる。加えて、各神経刺激システムは、患者が、患者遠隔装置を用いて、制御刺激を制御する、またはバッテリステータスを監視することを可能にする。本構成は、試験的システムと恒久的システムとの間のほぼシームレスな遷移を可能にするため有利である。患者の視点から、システムは、試験的システムを使用する際の患者の主観的経験が恒久的埋込式システムを使用する際に経験されるであろうものにより近接して合致するように、同一様式で動作し、同一様式で制御されるであろう。したがって、本構成は、患者が試験的システムまたは恒久的システムを受け入れる可能性がより高くなるであろうようにシステムの動作および制御方法に関して患者が有し得るいかなる不確実性も低減させる。
【0067】
図3Bの詳細図に示されるように、EPG80は、EPG80が導線延在部22に接続される開口またはポートを含む、可撓性のラミネートされたパッチ81内に封入される。パッチはさらに、患者が接着パッチ81の外側表面を通してEPGをオンおよび/またはオフにすることを可能にする成形された触知性の細部を伴う、「オン/オフ」ボタン83を有してもよい。パッチ81の下面は、試験周期の持続時間の間の患者への連続接着のために、皮膚適合性接着剤82で被覆される。例えば、皮膚適合性接着剤82を有する通気性細片は、EPG80が、1週間、典型的には、2週間〜4週間、またはさらにより長い期間にわたって持続し得る、試験の間、継続的に患者に取り付けられたままであることを可能にするであろう。
【0068】
前述のシステムは、導線の最適位置を特定し、導線留置を微調整する際に著しい改良をもたらし、最適神経刺激プログラムが判定されるが、導線の留置が成功した後、導線位置が療法の過程にわたって維持されることを確実にすることが必須である。神経刺激導線が移行する場合、わずかな軸方向距離であっても、電極は、神経刺激治療が、導線を再プログラムまたは再位置付けせずには、一貫した結果を送達し得ない、もしくはもはや治療上の効果をもたらし得ないほど標的神経組織から偏移し得る。
【0069】
完全埋込可能システムでは、パルス発生器が、パルス発生器を快適に含有するために適正なサイズを有する面積において、典型的には、下背領域または下腹領域において、患者内に埋め込まれる。電極は、送達される治療または療法に応じて、埋込可能パルス発生器から相当な距離に位置する必要があり得るため、神経刺激導線が、電気パルスを埋込式パルス発生器から電極に送達するために使用される。多くのそのようなシステムは、効果的であることが証明されているが、研究によって、経時的に、神経刺激導線は、特に、導線が移動を被る面積を通して延在するとき、移動し得ることが示されている。そのような移動は、神経刺激治療が非効果的となるほど電極を標的場所から転位させ、導線の調節または置換を要求し得る。したがって、そのようなシステム内の刺激導線上に係留デバイスを提供し、導線の移動および電極の転位を阻止することが望ましい。従来の神経刺激は、種々のアンカ機構を開発しているが、そのような機構は、多くの場合、埋込手技を複雑にする、望ましくなく、導線の送達外形を増加させる、交換もしくは除去が困難である、または非効果的であることが証明されている。
【0070】
図4は、完全に埋込可能であって、仙骨神経刺激治療のために適合される、例示的神経刺激システム100を図示する。埋込可能システム100は、導線の遠位端に神経刺激電極40の群を含む神経刺激導線20に結合される、IPG90を含む。導線は、導線を係留し、埋込後、神経刺激導線20の位置を維持するように、半径方向外向きに延在する一連の尖叉を伴う、導線アンカ部分30を含む。導線20はさらに、1つまたはそれを上回る放射線不透過性マーカ(例えば、シリコンマーカ)25を含み、蛍光透視法等の可視化技法を使用して導線の特定および位置付けを支援してもよい。いくつかの実施形態では、IPGは、1つまたはそれを上回る神経刺激電極を通して標的神経に送達される、単極または双極電気パルスを提供する。仙骨神経刺激では、導線は、典型的には、本明細書に説明されるように、S3孔を通して埋め込まれる。
【0071】
図4から分かるように、神経刺激導線20は、複数の神経刺激電極30を導線の遠位端に含み、アンカ10は、電極30のすぐ近位に配置される。典型的には、アンカは、電極に比較的に近接して導線の係留を提供するように、複数の電極の近傍および近位に配置される。本構成はまた、アンカの展開(以下に説明されるように)前の埋込の間、神経刺激電極の試験を可能にし、導線が定位置に係留される前に神経刺激電極の最適場所が判定されることを可能にするため有利である。示されるように、アンカ10は、導線本体を中心として螺旋状に掃引されたアンカ本体12と、螺旋本体12から側方外向きに延在する複数の尖叉14とを含む。本構成は、共通アンカ本体から延在しながら、導線を中心として円周方向および軸方向の両方に分布された複数の尖叉を提供し、それによって、係留尖叉の取付および置換を簡略するため、従来の係留デバイスより有利である。加えて、アンカ本体は、導線本体を中心として螺旋状に延在するため、これは、尖叉付き面積内に保定される導線本体の可撓性を可能にする。一側面では、アンカは、生体適合性であって、導線本体が形成される材料と互換性があって、かつ組織に損傷を及ぼさずに、係留力を組織に対して提供するために十分に可撓性である、好適な材料から構築される。
【0072】
一側面では、IPGは、再充電可能バッテリによって給電され、充電の間、患者移動性を可能にする、ポータブルデバイスである、充電デバイス50(CD)の使用によって、伝導性結合を通して無線で再充電可能である。CDは、RF誘導を通してIPGの経表皮的充電のために使用される。CDは、接着剤を使用して患者の皮膚にパッチ留めされることができるか、または
図1の概略に示されるように、ベルト53を使用して、もしくは接着剤パッチ52によって、定位置に保持されることができるかのいずれかである。CDは、CDをコンセントに直接差すことによって、またはAC壁コンセントもしくは他の電源に接続する、CDを充電ドックもしくはステーション51内に載置することによって充電されてもよい。
【0073】
図5A−5Cは、IPGと、その内部構成要素との詳細な図を示す。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、神経に送達され、疼痛を制御する、またはある他の所望の効果を生じさせる、例えば、OABまたは膀胱関連機能不全の治療のために、神経活動を阻害、防止、妨害させる、1つまたはそれを上回る非切除性電気パルスを発生させることができる。いくつかの用途では、パルスは、0mA〜1,000mA、0mA〜100mA、0mA〜50mA、0mA〜25mAの範囲内のパルス振幅を有し、および/または任意の他のもしくは中間範囲の振幅が、使用されてもよい。パルス発生器のうちの1つまたはそれを上回るものは、命令を埋込可能神経刺激システムの他の構成要素に提供し、そこから情報を受信するように適合される、プロセッサおよび/またはメモリを含むことができる。プロセッサは、Intel(登録商標)またはAdvanced Micro Devices, Inc.(登録商標)からの市販のマイクロプロセッサもしくは同等物等のマイクロプロセッサを含むことができる。IPGは、1つまたはそれを上回るコンデンサもしくはバッテリ、1つまたはそれを上回るバッテリ等のエネルギー貯蔵特徴を含んでもよく、典型的には、無線充電ユニットを含む。
【0074】
電気パルスの1つまたはそれを上回る特性は、IPGもしくはEPGのコントローラを介して制御されることができる。いくつかの実施形態では、これらの特性は、例えば、電気パルスの周波数、振幅、パターン、持続時間、またはタイミングおよび大きさの他の側面を含むことができる。これらの特性はさらに、例えば、電圧、電流、または同等物を含むことができる。電気パルスの本制御は、1つまたはそれを上回る電気パルスプログラム、計画、もしくはパターンの作成を含むことができ、いくつかの実施形態では、これは、1つまたはそれを上回る既存の電気パルスプログラム、計画、またはパターンの選択を含むことができる。一側面では、IPG90は、作成および/または事前にプログラムされ得る、1つまたはそれを上回るパルスプログラム、計画、もしくはパターンを有する、コントローラを含む。いくつかの実施形態では、IPGは、0mA〜10mAの範囲内のパルス振幅、50μs〜500μsの範囲内のパルス幅、5Hz〜250Hzの範囲内のパルス周波数、刺激モード(例えば、連続またはサイクル)、および電極構成(例えば、アノード、カソード、またはオフ)を含む、刺激パラメータを変動させ、患者に特異的最適治療用転帰を達成するようにプログラムされることができる。特に、これは、各パラメータが個人毎に変動し得る場合でも、最適設定が患者毎に判定されることを可能にする。
【0075】
図5A−5Bに示されるように、IPGは、ヘッダ部分11を一端に、セラミック部分14を反対端に含んでもよい。ヘッダ部分11は、フィードスルーアセンブリ12およびコネクタスタック13を格納する一方、セラミックケース部分14は、アンテナアセンブリ16を格納し、臨床医用プログラム装置、患者遠隔装置、および/または充電コイルとの無線通信を促進し、CDを用いた無線充電を促進する。IPGの残りは、チタンケース部分17で被覆され、印刷回路基板、メモリ、およびコントローラ構成要素を封入し、前述の電気パルスプログラムを促進する。
図5Cに示される実施例では、IPGのヘッダ部分は、コネクタスタック13と結合し、その中に、導線の近位端が結合される、4ピンフィードスルーアセンブリ12を含む。4つのピンは、神経刺激導線の4つの電極に対応する。いくつかの実施形態では、Balseal(登録商標)コネクタブロックが、チタン合金フランジとともにアルミナセラミック絶縁体プレートにろう接される、4つの白金/イリジウム合金フィードスルーピンに電気的に接続される。本フィードスルーアセンブリは、チタン−セラミックろう接ケースにレーザシーム溶接され、電子機器のための完全密閉筐体を形成する。
【0076】
図5Aに示されるIPGでは、セラミックおよびチタン鑞接ケースが、フェライトコイルおよびPCBアンテナアセンブリが位置付けられる、IPGの一端で利用される。確実な密閉シールが、セラミック/金属ろう接技法を介して提供される。ジルコニアセラミックは、3Y−TZP(3mol%イットリア安定化正方晶ジルコニア多結晶体)セラミックを含んでもよく、これは、高曲げ強さおよび衝撃抵抗を有し、いくつかの埋込可能医療技術において商業上利用されている。しかしながら、他のセラミックまたは他の好適な材料が、IPGの構築のために使用されてもよいことを理解されたい。
【0077】
セラミック材料の利用は、通信アンテナが密閉セラミックケースの内側に格納されるため、外部患者遠隔装置および臨床医のプログラム装置との無線通信のための効率的無線周波数透過窓を提供する。本セラミック窓は、IPGと患者遠隔装置およびCP等の外部コントローラとの間の長期および確実な無線通信のための効率的無線周波数透過窓を維持しながら、インプラントの小型化をさらに促進する。IPGの無線通信は、概して、通信アンテナが密閉ケース外側のヘッダ内に留置される先行技術製品と異なり、デバイスの寿命にわたって安定する。そのような先行技術デバイスの通信信頼性は、経時的に人体内のヘッダ材料の誘電定数の変化に起因して劣化する傾向にあり得る。フェライトコアは、
図5Bに示される、セラミックケース94の内側に位置付けられる、充電コイルアセンブリ95の一部である。フェライトコアは、金属ケース部分97とは対照的に、セラミックケースを通して磁束を集中させる。本構成は、結合効率を最大限にし、要求される磁場を低減させ、ひいては、充電の間のデバイス加熱を低減させる。特に、磁束は、最小金属断面積に垂直方向に配向されるため、充電の間の加熱は、最小限にされる。これらのIPG構造および神経刺激導線は、例証目的のために説明され、本明細書に説明される係留構造は、本発明の原理による種々の他の神経刺激導線およびIPGと併用されてもよいことを理解されたい。
【0078】
導線の近位端は、神経刺激療法の送達のために、ヘッダ部分91内のコネクタスタック93内の対応する接点と電気的に結合し、それによって、IPG接点と導線20の神経刺激電極40を電気的に接続する、複数の電極に対応する複数の導体を遠位端に含む。IPGが位置する下背領域内の移動は、制限されるが、導線は、依然として、種々の理由から、例えば、組織体積の変化、システムが埋め込まれる組織領域への外傷、または日常の筋肉運動に起因して、力および若干の移動に曝され得る。これらの力および移動が、経時的に繰り返されると、導線の近位部分とIPGとの間の接続は、可撓性導線とIPGヘッダ部分91の接合部に存在する剛度不整合点において、繰り返される応力および歪みによって生じる疲労に起因して損なわれ得る。いくつかの実施形態では、導線がヘッダ部分91から退出する導線の近位部分に沿って延在する、歪み緩和要素が、電気接続の完全性を維持し、導線の有用寿命を延長させるように、導線の近位部分とIPGの接合部に歪み緩和を提供するために含まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、システムは、IPGのヘッダ部分に隣接する導線の近位部分に沿って延在する、歪み緩和要素を含む。歪み緩和要素は、導線の近位部分を中心として配置される、または導線自体の中に統合されてもよい。歪み緩和要素は、IPGのヘッダ部分に取り付けられる、またはそれと界面接触する、近位基部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、歪み緩和要素は、導線の近位部分を中心として延在する、螺旋要素である。歪み緩和要素は、金属(例えば、ステンレス鋼)、ポリマー、または任意の他の好適な材料から形成されてもよい。導線の近位部分は、歪み緩和要素の外側表面が導線の外側表面と実質的に同一平面またはほぼ同一平面となるように、歪み緩和要素が常駐する、陥凹部分を含んでもよい。代替として、歪み緩和要素は、必要に応じて、導線本体に沿った任意の場所の非陥凹または標準的サイズの部分に適用されてもよい。典型的には、歪み緩和要素は、電気接続を経時的に損なわせ得る、IPG近傍の導線の近位部分の撓曲または屈曲を低減させるように、約1インチ〜6インチの範囲内の長さである。一側面では、歪み緩和要素は、縦軸に沿って増加した剛度を有し、導線の近位部分の側方屈曲を阻止するように形成される。螺旋アンカ本体の構造および設計に関する、本明細書に説明される側面のいずれかは、歪み緩和要素に適用可能であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、歪み緩和要素27は、導線20が
図6Cに示されるようにIPG90のヘッダ部分91の中に挿入される場所に隣接して導線20の近位部分に沿って延在する、螺旋構造を備える。歪み緩和要素27は、ヘッダ部分91にしっかりと取り付けられるように構成される、近位基部28と、導線の近位部分を包囲する、螺旋部分29とを含んでもよい。典型的には、螺旋部分29は、螺旋部分29が近位領域内の導線に適用される任意の応力または力に耐えるように、導線と比較して増加した剛度を呈する。さらに、螺旋構造は、領域内の最小屈曲半径を制限し、潜在的に、歪み緩和場所において導線に損傷を及ぼし得る、鋭的屈曲を防止する。歪み緩和要素は、ポリマーまたは種々の金属(例えば、ステンレス鋼、ニチノール)を含む、任意の好適な生体適合性材料から形成されてもよい。歪み緩和部材は、製造時に導線に取り付けられる、または代替として、埋込およびIPGコネクタへの取付時に導線上に装填されることができる。
【0081】
一側面では、歪み緩和要素は、その薄型外形がシースを通る導線の最大断面または交差外形を実質的に増加させないように十分に薄い。いくつかの実施形態では、導線の近位部分は、歪み緩和部材が歪み緩和部材の遠位の導線の外側表面と実質的に同一平面となるように、歪み緩和部材をぴったりと受容するように、縮小直径および寸法を有してもよい。
【0082】
図6A−6Bは、それぞれ、IPGヘッダ部分に固着するための近位基部28と、導線20の近位部分を中心として巻着するための螺旋歪み緩和部分29とを含む、それぞれ、例示的歪み緩和部材27および27’の詳細図を図示する。近位基部部分28は、特定のIPGヘッダ部分に従ってサイズおよび寸法調整されてもよい。一側面では、螺旋部分29は、導線の近位部分の長さに沿って可変剛度を提供するように構成されることができる。例えば、螺旋部分29は、歪み緩和の長さに沿って可変厚さであって、領域内に段階的剛度遷移を提供することができる、および/または螺旋部分は、歪み緩和の長さに沿ってピッチならびに/または幅を変動させ、段階的剛度を提供し、領域内の屈曲半径を制限することができる。別の側面では、歪み緩和要素27は、歪み緩和部分への組織固定を提供し、さらに、導線の近位部分の移動または移行を阻止するように、本明細書に説明されるアンカに類似する、1つまたはそれを上回る尖叉(図示せず)を含むことができる。
【0083】
III.螺旋アンカによる導線添着
図7は、展開構成に示される、導線の係留部分22上に搭載される係留本体10を伴う、
図4におけるものと類似する神経刺激導線20の詳細図を図示する。図から分かるように、螺旋本体12は、導線本体上への留置のために、中心縦軸を中心として螺旋状に掃引され、複数の尖叉14は、螺旋本体12に沿って分布され、中心軸から側方外向きに延在し、近位方向に角度付けられる。
図8の10の詳細図に示されるように、係留本体の複数の尖叉14は、複数の尖叉が中心軸を中心として円周方向に異なる方向に外向きに延在するように、10°〜90°等の間隔の範囲内において、規則的間隔(例えば、30°、45°、90°)で相互から半径方向にオフセットされるように分布される。これは、導線の係留を改善するように、任意の係留力を導線本体を中心として分布させる。
【0084】
一側面では、アンカ10は、螺旋本体12内に埋設され、可視化技法を通してアンカ10の位置特定を可能にする、放射線不透過性細片16を含む。放射線不透過性細片は、標準的可視化技法を使用して可視となるように、白金合金(例えば、Pt/lr)等の任意の放射線不透過性材料から加工されてもよい。そのような細片は、標的場所における導線の位置付けを促進するため有利である。他の実施形態では、螺旋本体は、放射線不透過性である材料から形成されてもよく、例えば、放射線不透過性材料が、アンカが形成されるポリマー材料の中に混成されてもよい。
【0085】
図9A−9Bは、それぞれ、送達構成および展開構成で取り付けられたアンカを有する、神経刺激導線を図示する。
図9Aでは、複数の尖叉14が、相互または螺旋本体の隣接する区分に重複せずに、導線20の本体に対して折畳される。典型的には、尖叉は、送達構成では、導線が組織内のトンネルを通して標的場所に前進される間、外側シース(図示せず)によって拘束される。螺旋本体は、螺旋本体の隣接する巻間に、タブが導線本体に対して内向きに折畳し、縮小された送達外形を可能にするために十分な空間を可能にするようなピッチで掃引される。一側面では、アンカの断面は、2.0mm未満であって、5フレンチシースを通して送達されるために十分に小さい。一側面では、導線本体は、螺旋本体12が取り付けられる縮小外径を有する、陥凹部分22を含む。本特徴は、アンカの近位および遠位端が陥凹部分の近位ならびに遠位端に対して当接し、導線のアンカ部分の縮小断面または交差外形を可能にするため、アンカ10と導線本体20との間の結合を促進する。いったん標的場所への電極の送達が確認されると、シースは、近位に抜去され、それによって、
図9Bに示されるように、複数の尖叉がそれに向かって付勢される展開構成に弾性的に戻ることを可能にしてもよい。
【0086】
図10A−10Bは、展開構成における、
図9Bに示されるアンカ10の詳細図を図示する。本実施形態では、尖叉14は全て、近位に傾けられる。しかしながら、他の実施形態では、アンカ10は、特定の用途のために、所望に応じて、尖叉が、遠位にまたは近位に角度付けられる、螺旋本体の縦軸に垂直に延在する、または複数の異なる方向に延在するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0087】
一側面では、アンカは、導線を定位置に維持するために適正な係留力を付与するために十分に堅いが、導線に対して内向きに折畳し、導線が組織から除去される場合に組織に損傷を及ぼすことを回避するために十分に可撓性である、材料から加工される。いくつかの実施形態では、アンカは、50A〜80Dの範囲内、好ましくは、約70Dのショア硬さを有する、成形ポリウレタンから加工される。螺旋本体は、1.0mm〜3.0mm、好ましくは、約2.0mmの幅と、10mm〜30mm、好ましくは、約20mmの全長とを有してもよい。アンカは、そこにアンカが取り付けられた導線が5フレンチシース等の標準的シースを通して送達され得るように、交差外形が、2.0mm未満、好ましくは、1.7mmまたはそれ未満であるように構成される。ある実施形態では、尖叉は、1mm〜3mm、好ましくは、約1.8mmの長さと、0.5〜2.0mm、好ましくは、約0.8mmの幅と、0.2mm〜0.5mm、好ましくは、約0.3mmの厚さとを有する。ある実施形態では、アンカは、導線を中心として円周方向に異なる方向に延在するように螺旋本体の長さに沿って離間される、10〜20個の尖叉、好ましくは、約12〜16個の尖叉を含む。いくつかの実施形態では、尖叉は全て、同一長さであって、同一方向に角度付けられる一方、他の実施形態では、尖叉は、可変長さ、幅であってもよく、近位および遠位方向の両方に角度付けられてもよい。5フレンチシースを通してアンカの送達を促進するために、本明細書に説明されるアンカのいずれかを前述の構成に従って定寸することは有利であるが、アンカは、特定の用途または神経刺激導線のために、所望に応じて、種々の他の寸法(尖叉の長さ、数等)に従って構成されてもよいことを理解されたい。
【0088】
図10A−10Bおよび11A−11Bは、
図8に示されるものに類似するが、尖叉14が異なる形状で形成される、例示的アンカを図示する。例えば、一側面では、尖叉は、
図8に示されるように、端面が角度付けられる、または先鋭化されるように形成されてもよい。別の側面では、尖叉は、
図10A−10Bに示されるように、略長方形形状に形成されることができる。別の側面では、尖叉は、
図11A−11Bに示されるように、角および/または縁が、湾曲される、丸みを帯びる、または面取りされるように形成されることができる。本特徴は、導線の係留の間に組織に係合するにつれた尖叉の角または縁による隣接する組織への外傷の可能性を低減させることに役立ち得る。
【0089】
図12A−12Bは、
図8のものに類似するが、複数の尖叉が近位および遠位の両方向において角度付けられる、例示的アンカを図示する。図から分かるように、最近位尖叉は、遠位方向に角度付けられる一方、残りの尖叉は、近位方向に角度付けられる。本側面は、導線が近位および遠位の両方向において力を被る傾向にある用途において有用である。例えば、研究によって、仙骨孔を通して埋め込まれる神経刺激導線は、主に、近位方向に指向される力を被ることが示されているが、腕または脚内の末梢埋込式導線等の種々の他の用途は、近位および遠位の両方向に有意な力を被り得る。
【0090】
図13A−13Bは、複数のアンカ区分10’から成る、アンカ10を図示する。示されるように、アンカは、ともに継合された2つの区分から成る。アンカ区分10’は、モジュール式であって、1つまたはそれを上回るアンカ区分が、特定の導線または用途のために、必要に応じて、導線上で使用されることを可能にしてもよい。アンカ区分は、区分を相互に取り付ける、もしくは結合する手段を含んでもよい、または接着剤、機械もしくは化学的結合、もしくは酸化接合方法の使用等、当業者に公知の種々の方法によってともに接合されてもよい。本特徴は、ユーザが、尖叉の異なる長さならびに異なる寸法および/または方向に従って、所望に応じて、係留部分をカスタマイズすることを可能にし得る。
【0091】
図14A−14Bは、コルクスクリュー型形状を有する、アンカ10を図示する。アンカは、相互に重複せずに導線本体に向かって折畳することができる、螺旋フラップの中への切り込みによって複数の区分に画定された複数の区分を有する、連続螺旋フラップを含む。一側面では、アンカ10は、単一一体型構成要素からモノリシックに形成される。例えば、アンカ10は、螺旋フラップが、螺旋フラップの中に切り込まれた楔形状切り欠き15によって尖叉に分離され、拘束挿入シースを通したアンカの送達のために導線に対して折畳され得る、複数の尖叉14を画定する、コルクスクリュー型構造から形成されてもよい。
【0092】
別の側面では、本明細書に説明されるアンカのいずれかは、生体分解性尖叉、薬物溶出尖叉、およびある屈曲角度に到達後、開放または圧潰し、容易な挿入または後退を可能にする、可撓性皿状尖叉を含む、1つまたはそれを上回る種々の他の特徴を含んでもよい。別の側面では、アンカは、MRI誘発加熱を遮蔽または妨害する、細片もしくは埋設材料を含んでもよい。
【0093】
一側面では、アンカ10は、埋込後、ある時間周期にわたって、1つまたはそれを上回る治療用化合物を放出する、1つまたはそれを上回る薬物溶出構成要素を含む。そのような薬物溶出構成要素は、アンカの一部、アンカの長さに沿って交絡された細片、アンカが形成される材料、またはアンカもしくはその一部上に堆積されるコーティングを含んでもよい。例えば、薬物または治療用化合物は、アンカ上に噴霧されることができる、アンカは、薬物もしくは化合物中に浸漬されることができる、または薬物もしくは化合物は、アンカが形成されるポリマーの中に混合されることができる。いくつかの実施形態では、アンカは、生体吸収性または非吸収性ポリマー材料もしくは薬物溶出ポリマーの層でコーティングされた非吸収性基部の組み合わせから形成されてもよい。一側面では、薬物または治療用化合物は、薬物の放出を助長するために、特定の方向に適用されてもよく、例えば、薬物または化合物は、尖叉の軸に沿って薬物の等方性または異方性放出を助長するように適用されてもよい。溶出薬物は、導線移行のリスクを最小限にするために、治癒時間を助長および短縮するように選択されてもよい。代替として、またはそれに加え、アンカは、種々の他の薬物を溶出し、種々の他の治療上の利点を提供するように構成されてもよい。例えば、アンカ10は、導線移行のリスクをさらに最小限にするために、埋込後、組織形成を助長するための生物学的接着剤または化合物等の化合物を溶出し、組織内の固定を助長するように形成されてもよい。
【0094】
示される実施形態の多くでは、尖叉は、螺旋部分が延在する縦軸と平行な軸に沿って突出および折畳するように構成されるが、いくつかの実施形態では、アンカは、尖叉が螺旋または傾斜軸に沿って内向きに折畳するように設計されることができる。そのような構成は、導線を導線の除去を促進するためのある方向に捻転させることによって、尖叉が後退されることを可能にし、および/または導線を反対方向に捻転させることによって、尖叉がさらに展開されることを可能にすることができる。尖叉が縦軸と平行な軸に沿って折畳するもの等の他の実施形態では、尖叉は、単に、十分な力で導線を後退させることによって導線の除去を可能にするために十分に可撓性および/または脆弱であってもよい。
【0095】
一側面では、アンカは、パターンを材料、例えば、ニチノール等の形状記憶金属の一体型部品に切り込むことによって形成されてもよい。例えば、アンカは、螺旋パターンを管類の部品または材料の円筒形部品にレーザ切断することによって形成されることができ、パターンは、
図15Bの実施例に示されるような拘束構成におけるアンカに対応する。尖叉は、次いで、材料は、アンカが、
図15Aに示されるように、拡張構成にある間に、熱硬化され得るように、金型上に支持される、または種々の他の手段によって支えられることができる。典型的には、パターンは、尖叉が螺旋本体の長さに沿って均等に分布されるように画定され、尖叉は、渦間の掃引に沿って多半径方向に延在し、
図15Cに示されるように、全方向に均等に分布された組織固定を提供する。
【0096】
一側面では、螺旋基部は、次いで、捻転され開放し、次いで、導線本体上に装填され得る、締まり嵌めを提供するように、導線本体より小さい内径に熱硬化されることができる。解放に応じて、螺旋基部は、自動的に、導線本体上に緊締され、導線へのしっかりとした取付をもたらす。渦巻設計は、尖叉が折畳されても、尖叉が相互またはアンカの螺旋本体に重複しないように構成される。
【0097】
別の側面では、
図15Aに示されるように、アンカ設計は、それぞれ、1つまたはそれを上回る保定特徴11、13を近位および遠位端に含み、デバイス上へのアンカの精密な装填を可能にすることができる。本実施形態では、近位および遠位保定特徴11、13は、アンカ10を導線20の本体に添着させ、導線の送達およびアンカ10の展開前、その間、および/またはその後に、導線に沿ったアンカ10の軸方向移動を防止するように、アンカ10が受容される導線の縮小直径係留部分22の対応する近位および遠位端に対して当接するように設計される。別の側面では、近位および遠位保定特徴11、13は、係留部分22の近位および遠位端において導線に沿って対応する形状と相互係止するように、近位および遠位対面縁に沿って種々の形状(例えば、ジグザグ、湾曲、角度付き)で設計されてもよい。本構成は、導線本体20に対するアンカ10の自由回転移動を防止する、または導線の回転に応じてアンカに対する平行移動回転移動を支援するために有用である。
【0098】
一側面では、アンカ10は、任意のタイプの埋込可能生体適合性ポリマーから形成されてもよい。硫酸バリウム、ビスマス、およびタングステン等の放射線不透過性充填材が、ポリマーに添加され、尖叉をX線下で放射線不透過性にすることができる。代替として、またはそれに加え、金もしくは白金等の放射線不透過性金属のリボンが、放射線不透過性を尖叉に追加するために、螺旋本体の中に埋入されることができる。別のアプローチでは、アンカは、アンカの位置特定のための可視化技法と併用されることができる、または尖叉が展開されるときを判定するために使用されることができる、1つまたはそれを上回る離散放射線不透過性マーカを含んでもよい。例えば、一対のマーカのうちの一方を尖叉の端部に、他方を尖叉の端部に直接隣接する螺旋本体上に留置することによって、アンカが拘束構成にあるとき、対のマーカの分離は、尖叉が展開されたとき、ならびに組織内のその展開の範囲を示すことができる。
【0099】
図16Aは、アンカ10が形成され得る、別のアプローチを図示する。
図16Aに示されるように、アンカは、例えば、レーザ切断によって、押出成形ポリマー管類のある長さから切り出されてもよい。尖叉が、続いて、熱硬化またはリフロープロセスを通して、外向きに突出する付勢力を有するように成形されることができる。例えば、アンカ10は、展開されたアンカ構成に対応する外向きに突出する構成で尖叉を支える、内部金型(図示せず)上に搭載されることができ、ポリマーは、加熱され、硬化させられる。硬化後、アンカ10の尖叉14は、
図16Bに示されるように、展開構成に向かって付勢される。一側面では、本加熱およびリフロープロセスはまた、螺旋と同一ピッチで巻着されるPt/Irワイヤまたはリボン等の1つまたはそれを上回る放射線不透過性マーカを組み込むためにも使用されることができる。別の側面では、ポリマー管類押出成形は、リボンまたはコイル(例えば、ニチノールまたは金)リボンを組み込み、自己拡張または自己閉鎖形状記憶要素をアンカ尖叉に提供することができる。レーザ切断は、埋設されたリボンワイヤの周囲で切断し、ワイヤを螺旋本体の中に含むようにプログラムされることができる。
【0100】
図17A−17Bは、アンカ10が形成され得る、さらに別のアプローチを図示する。本明細書に説明されるもののいずれか等の螺旋アンカは、マルチ部品金型設計を使用して、射出成形によって形成されることができる。例えば、2つ、3つ、または4つの部品金型設計が、アンカを単一一体型構成要素として成形するために使用されることができる。一側面では、金型は、アンカの設計に特有の角度でアンカを離型させるように構成されることができる。
図17Aに示されるように、3部品金型17は、射出成形プロセスによってアンカ10を形成するように使用される。コアピン18は、アンカの開放管腔を形成するために、金型とともに使用される。
図17Bは、同様に、コアピン18と併用され、射出成形プロセスを通してアンカ10の形成を可能にするために構成される、4部品金型設計17’を示す。射出成形プロセスを使用してアンカを形成する利点の1つは、成形されたアンカが構成要素の長さに沿って可変厚さを有することができることである。例えば、そのようなアンカは、基部が、交差外形を改良するためにより薄く、突出する尖叉が、埋込後、保定強度を提供するためにより厚くなるように、形成されることができる。別の側面では、金属要素は、放射線不透過性のために、全長に沿って、尖叉の場所に、または遠位および近位端に組み込まれることができる。
【0101】
前述の本発明の側面によるアンカを形成する方法が、
図18−19の実施例に示される。
図18の例示的方法は、螺旋パターンを材料の管状区分の中にレーザ切断するステップであって、パターンは、拘束構成における複数の尖叉を有する神経刺激導線アンカに対応する、ステップ180と、管状区分の尖叉をアンカの展開構成に対応する外向きに突出する位置に支持するステップ182と、尖叉が支持されている間、管状区分を熱硬化させ、それによって、アンカが展開構成の間に材料を硬化させるステップ184との方法ステップを含む。一側面では、材料は、ニチノールであって、好ましくは、アンカが本体の加熱に応じて、展開構成に戻るであろうように、超弾性相にあって、約15℃〜約35℃のオーステナイト最終温度を有する。別の側面では、材料は、加熱およびリフローによって展開構成において硬化され得る、ポリマー材料から形成されてもよい。本方法は、導線に適用するためにユーザに提供されてもよい、またはアンカを係留部分186を中心として巻着することによって、ユーザに発送前に、導線に添着されてもよい。
図19の例示的方法は、複数の外向きに延在する尖叉を有する螺旋アンカの外側表面を画定するマルチ部品金型を、アンカの中心管腔を画定する中心コアピンとともに組み立てるステップ190と、流動性材料を組み立てられた金型の中に注入し、材料を少なくとも部分的に硬化させるステップ194と、金型を除去し、アンカを離型させるステップ196とを含む。いくつかの実施形態では、金型は、金型の外側部品が尖叉が延在する方向に沿って除去されるように構成され、これは、除去の間、尖叉に印加される応力および力を低減させる。いくつかの実施形態では、放射線不透過性リボンを組立の間に金型内に添加する、および/または放射線不透過性材料をアンカを形成するための流動性材料に添加する192。再び、アンカは、導線との組立のためにユーザに提供される、または導線に適用され、導線と組み立てられてユーザに供給されてもよい198。別の側面では、アンカは、本明細書に説明される埋込方法に従って患者の中に挿入の準備ができた拘束シース内に導線とともに提供されてもよい。
【0102】
本発明の側面によるアンカを使用する埋込式神経刺激導線を添着する方法は、
図20−21の実施例に示される。
図20の例示的方法は、1つまたはそれを上回る神経刺激電極と、1つまたはそれを上回る電極の近位のアンカとを有する、神経刺激導線を提供するステップであって、アンカは、導線の長さに沿って巻着される螺旋本体と、導線本体に対して内向きに折畳されて螺旋本体に取り付けられる、1つまたはそれを上回る尖叉とを含み、螺旋本体は、シースによって拘束される、ステップ210と、1つまたはそれを上回る尖叉がシースによって拘束されて導線本体に対して内向きに折畳される間、導線を患者の組織を通して標的場所に前進させるステップ212と、シースを抜去することによって、1つまたはそれを上回る尖叉を螺旋本体から側方外向きに延在された展開構成に弾性的に展開するステップ214と、展開構成における1つまたはそれを上回る尖叉を隣接する組織に対して係合することによって、神経刺激導線を標的場所に係留し、それによって、導線の軸方向移動を阻止するステップ216とを含む。導線除去は、可撓性尖叉によって提供される係留力が克服されるまで導線を近位に抜去することによってもたらされ得る。したがって、尖叉は、所望の係留力を提供するために十分な剛度を有するが、抜去されるときに組織損傷を回避するために十分に可撓性である、材料から加工される。
【0103】
前述の明細書では、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されるが、当業者は、本発明がそれらに限定されないことを認識するであろう。前述の発明の種々の特徴および側面は、個々に、または併せて、使用されることができる。さらに、本発明は、明細書のより広範な精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明されるもの以外にも、任意の数の環境および用途において利用されることができる。明細書および図面は、故に、制限ではなく、例証と見なされるべきである。用語「comprising(〜を備える)」、「including(〜を含む)」、および「having(〜を有する)」は、本明細書で使用されるように、当該技術分野の開放型専門用語として読み取られることが具体的に意図されることが認識されるであろう。