(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
<第1実施形態>
図1は、本発明のシリンジポンプの第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図である。
図1と
図2に示すシリンジポンプ1は、例えば集中治療室等で使用され、患者に対して、例えば抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血製剤、栄養剤等の薬液の微量注入処置を、高い精度で比較的長時間行う微量持続注入ポンプである。
【0022】
図1と
図2に示すように、シリンジポンプ1は、例えば薬液を充填したシリンジ200のシリンジ本体201を、クランプ5を用いて、動かないように装着して固定することができる。
図2に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133が、送りネジ135を回転することで、シリンジ押子駆動部7のシリンジ押子押圧部材10は、シリンジ200のシリンジ押子202を、シリンジ本体201側へT方向に押圧することができる。これにより、シリンジ本体201内の薬液は、
図2に示すようにチューブ203と留置針204を介して、患者Pに対して正確に送液する。
【0023】
このシリンジ押子押圧部材10は、シリンジ押子202を把持した状態で、シリンジ押子202をシリンジ本体201側に押して移動させるための移動部材の一例であり、スライダともいう。
図2に示すように、シリンジポンプ1は、筐体2を有し、この筐体2は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されている。
図1に示すように、筐体2は、フロントカバー2Fとリアカバー2Rを接合して組み立てることにより、液密性能を有する箱体として構成されている。これにより、後で説明するように、仮に薬液や水分等がかかってもシリンジポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫および防滴(防水)処理構造を有している。
【0024】
まず、シリンジポンプ1の筐体2に配置された各要素について説明する。
図2に示すように、シリンジポンプ1は、筐体2と取手2Tを有している。筐体2の上部分2Aには、表示部3と、操作パネル部4が配置されている。筐体2の下部分2Bには、載置部6とシリンジ押子駆動部7が配置されている。
これにより、医療従事者は、筐体2の上部分2Aの表示部3にカラー表示される情報内容を目視で確認しながら、シリンジ200からの薬液の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、筐体2の表示部3にカラー表示される情報内容を確認しながら、操作パネル部4の操作ボタンを操作することができる。
【0025】
図1と
図2に示す表示部3は、カラーグラフィック表示することができるカラー液晶表示装置(LCD)である。この表示部3は、筐体2の上部分2Aの左上位置であって、載置部6とシリンジ押子駆動部7の上側に配置されている。操作パネル部4は、筐体2の上部分2Aにおいて表示部3の右側に配置され、操作パネル部4には、操作ボタンとしては、図示例では、パイロットランプ4A、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E、電源スイッチ4F等が配置されている。
【0026】
図2に示す筐体2は、上部分2Aと下部分2Bを有する。
図1と
図2に示す例では、載置部6とシリンジ押子駆動部7は、X方向(長手軸方向ともいう)に沿って並べて配置されている。載置部6は、複数種類の収容量の異なるシリンジの中から、例えば収容量の大きいシリンジ200を選択して、着脱可能にはめ込んで装着することができる。
【0027】
図1と
図2に示す載置部6は、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、本体フランジ209を着脱可能にはめ込んで把持するための本体フランジ把持部500を有している。収容部8は、凹型のシリンジ本体保持部8Dを有している。収容部8の左側の端部の壁部分には、チューブ203を着脱可能に挟み込むためのチューブ固定部9が形成されている。このチューブ固定部9は、
図2に示すようにチューブ203の一部を挟み込んで固定する溝部分である。
【0028】
図1と
図2において、医療従事者が、クランプ5を操作してシリンジ200を載置部6から取り外す際には、例えばクランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向(手前方向)に引っ張って、しかもR1方向に90度回すことで、クランプ5はシリンジ本体201の外周面から離れる。これにより、シリンジ本体201は、クランプ5による固定を解除して、収容部8のシリンジ本体保持部8Dから取り出すとともに、チューブ203はチューブ固定部9内から取り外すことができる。
【0029】
また、このクランプ5を操作してシリンジ200を載置部6の収容部8に収容して取り付ける際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向に引っ張ってR2方向に90度回して、スプリングの力によりY2方向に戻す。これにより、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により固定することができる。
【0030】
図1と
図2に示すように、シリンジ本体201が収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して装着されると、シリンジ押子202がシリンジ押子駆動部7内に配置される。このシリンジ押子駆動部7は、シリンジ押子押圧部材10を有している。制御部からの指令により
図2のモータ133が駆動して送りネジ135が回転すると、このシリンジ押子押圧部材10は、シリンジ押子202の押子フランジ205を、シリンジ本体201側へT方向に沿って少しずつ押す。この送りネジ135は、シリンジ押子押圧部材10を収容部8側に少しずつ押して案内していくための案内部材である。
【0031】
これにより、シリンジ本体201内の薬液は、チューブ203と留置針204を通じて、患者Pに対して高い精度で比較的長時間かけて送液することができる。なお、
図1と
図2におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交している。X方向は、シリンジポンプ1の収容部8の長手軸方向であり、Y方向は、シリンジポンプ1の前後方向であり、そしてZ方向はシリンジポンプ1の上下方向である。
【0032】
図3は、複数種類の大きさのシリンジの例を示す斜視図である。
図1と
図2では、一例として、最も薬液の収容量が大きいシリンジ200が固定されている。
図3(A)に示す最も薬液の収容量が大きいシリンジ200は、シリンジ本体201と、シリンジ押子202を有しており、シリンジ本体201は本体フランジ209を有し、シリンジ押子202は押子フランジ205を有している。シリンジ本体201には、薬液の目盛210が形成されている。シリンジ本体201の出口部211には、フレキシブルなチューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
【0033】
図3(B)に示す薬液の収容量が中くらいのシリンジ300は、シリンジ本体301と、シリンジ押子302を有しており、シリンジ本体301は本体フランジ309を有し、シリンジ押子302は押子フランジ305を有している。シリンジ本体301には、薬液の目盛310が形成されている。シリンジ本体301の出口部311には、フレキシブルなチューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
図3(A)に示すシリンジ200は、例えば薬液の収容量が50mLであり、
図3(B)に示すシリンジ300は、例えば薬液の収容量が30mLである。
【0034】
図3に示すシリンジ200,300の各シリンジ本体201,301は、それぞれ大きさが異なる。シリンジ200,300の各シリンジ本体201,301は、
図1と
図2に示すようにして、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して固定することができる。
【0035】
次に、
図4を参照して、
図1と
図2に示すシリンジポンプ1における電気
的な構成例を説明する。
図4において、シリンジポンプ1は、全体的な動作の制御を行う制御部(コンピュータ)100を有している。この制御部100は、例えばワンチップのマイクロコンピュータであり、ROM(読み出し専用メモリ)101,RAM(ランダムアクセスメモリ)102、不揮発性メモリ103、そしてクロック104を有する。クロック104は、所定の操作により現在時刻の修正ができ、現在時刻の取得や、所定の送液作業の経過時間の計測、送液の速度制御の基準時間の計測等ができる。
【0036】
図4に示す制御部100は、電源スイッチボタン4Fと、スイッチ111が接続されている。スイッチ111は、電源コンバータ部112と例えばリチウムイオン電池のような充電池113を切り換えることで、電源コンバータ部112と充電池113のいずれかから制御部100に電源供給する。電源コンバータ部112は、コンセント114を介して商用交流電源115に接続されている。
図4において、例えば収容部8内には、一対の検出スイッチ120,121が配置されている。検出スイッチ120,121は、複数種類のシリンジのシリンジ本体のいずれか、例えばシリンジ200のシリンジ本体201が、収容部8内に正しく配置されているかどうかを検知して、制御部100に通知する。
【0037】
図4に示すクランプセンサとしてのポテンションメータ122は、クランプ5に連結されている。このポテンションメータ122は、シリンジ本体201をクランプ5によりクランプした状態で、クランプ5がY2方向に関して移動する際のクランプ5の移動量を検出する。これにより、どの収容量のシリンジ本体201(301)がクランプ5によりクランプされているかどうかを、制御部100に検出信号を送って通知する。制御部100は、このポテンションメータ122からの検出信号によりクランプ5のY方向に関する移動量を得て、例えば
図3に示す複数種類のシリンジ本体201,301の内のどのシリンジが装着されているかを判別することができる。
【0038】
図4に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令によりモータドライバ134により駆動されると、送りネジ135を回転させてシリンジ押子押圧部材10をT方向に移動させる。これにより、シリンジ押子押圧部材10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、
図2に示すシリンジ本体201内の薬液を、チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液する。
【0039】
図4において、表示部ドライバ130は、制御部100の指令により表示部3を駆動して、各種情報や報知内容等を表示する。スピーカ131は、制御部100の指令により各種の報知内容を告知する。制御部100は、通信ポート140を通じて、例えばデスクトップコンピュータのような外部コンピュータ141に対して双方向に通信可能である。この外部コンピュータ141は、薬液データベース(DB)150に接続されており、薬液データベース150に格納されている薬液情報MFは、外部コンピュータ141を介して、制御部100に取得して、制御部100の不揮発性メモリ103に記憶させることができる。制御部100は、記憶した薬液情報MFを基にして、表示部3には薬液情報MF等を表示することができる。
【0040】
図4において、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4E、電源スイッチ4Fは、制御部100に電気的に接続されている。
【0041】
次に、
図5と
図6を参照して、載置部6の詳しい構造を説明する。
図5は、
図2に示す載置部6とシリンジ押子駆動部7の一部分を示す斜視図である。
図6は、
図5に示す載置部6とシリンジ押子駆動部7の一部分を、E方向から拡大して見た斜視図である。
図5に示す載置部6は、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209(
図3を参照)を押さえて把持する本体フランジ把持部500を有している。
【0042】
図1と
図2に示すように、一例として、シリンジ200のシリンジ本体201が載置部6に設定され、シリンジ200のシリンジ本体201が、クランプ5を用いて固定されている。
図5と
図6に示すように、載置部6の収容部8は、シリンジ本体201を収容することができる凹部であり、収容部8の長手軸方向であるX方向に沿っている。シリンジ本体201の外周面の一部分が収容部8のシリンジ本体保持部8Dの内面に対して密接され、シリンジ本体201の外周面の残り部分は、外側に露出されている。
【0043】
図5と
図6を参照して、本体フランジ把持部500の形状を説明する。この本体フランジ把持部500の形状はあくまでも一例であり、本体フランジ把持部500はこの形状に限定されない。この本体フランジ把持部500は、Y方向とZ方向で形成される面に沿って配置されている。
【0044】
図5と
図6に示すように、本体フランジ把持部500は、先端部501を有している。
図6に示すように、この先端部501は、好ましくは2つの導入部502,503と、これらの導入部502,503の間に形成されている凹部504を有している。これにより、医療従事者は、
図1と
図2に示すように、シリンジ200の本体フランジ209を、2つの導入部502,503を用いて、本体フランジ把持部500の内面とシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vとの間に、Y2方向(
図1を参照)に沿って容易に挿入できる。従って、本体フランジ把持部500は、本体フランジ209を確実に把持して固定することができる。
【0045】
図6に戻ると、シリンジポンプ1が使用される状態では、この導入部502は、Z方向に関して上側に位置し、導入部503は下側に位置している。凹部504の中央位置には、好ましくはさらに小さい凹部505が形成されている。この小さい凹部505は、シリンジ200が装着された状態で、
図2に示すシリンジ押子202の羽根部分の一部分を入れ込むための溝部分である。これにより、シリンジ押子202の羽根部分が本体フランジ把持部500の凹部504の面に乗り上げてしまうことが無い。このため、シリンジ200を所定に位置に確実に固定できる。このことは、シリンジ200だけでなく、
図3に示すシリンジ300の場合も同様である。
【0046】
図5と
図6に示す覆い部材としてのブーツ800は、
図2に示すシリンジ押子202をシリンジ本体201側に押してシリンジ本体201内の薬液を送る際に、弾性変形して収縮可能な部材である。
図5に示すように、ブーツ800は、収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、シリンジ押子押圧部材10の把持機構部80の間に配置されている。ブーツ800は、弾性変形により伸縮可能な例えばゴムやプラスチックにより作られており、シリンジ押子押圧部材10がX1方向とX2方向に移動するのに伴って、伸張と収縮ができる。
【0047】
ブーツ800は、例えば、
図4に示すガイドバーやシャフト136等の機械要素を覆うために防沫構造になっている。これにより、例えばシリンジ本体201内の薬液がこぼれたり、上方に配置されている点滴液がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液や水分等が飛散しても、機械要素に対して付着するのを防ぐ。
【0048】
図6に示すように、左側の連結部分830は、本体フランジ把持部500の穴部599を通って、シリンジ本体保持部8Dの右側側面部8V側に固定されている。
図5に示す把持機構部80は、延長部2Nに沿ってX1方向とX2方向(T方向)に沿って移動可能である。医療従事者は、指により、この操作レバー83を、初期位置からP1方向にスプリングの付勢力に抗して押し下げたり、PR方向にスプリングの付勢力により持ち上げて初期位置に復帰させることができる。
【0049】
医療従事者が操作レバー83を、初期位置からP1方向に押し下げることにより、把持部材81,82は、開いて間隔を開けて、医療従事者が操作レバー83をさらに押すと、把持部材81,82は互いに遠ざかるように開く。
医療従事者がシリンジ押子202の押子フランジ205を、把持部材81,82の間にはめ込んだ後に、医療従事者が操作レバー83を放すと、操作レバー83はスプリングの力により復帰する。これにより、把持部材81,82は、図示しないスプリングの力により、X1方向に移動して押子フランジ205を把持機構部80との間に押し付けて保持する。しかも、把持部材81,82が閉じることで、把持部材81,82はシリンジ押子202を両側から挟んで保持できる。
【0050】
次に、
図7と
図8を参照して、本体フランジ209の形状例と、この本体フランジ209が装着される本体フランジ把持部500の構造例を、さらに説明する。
図7(A)は、本体フランジ209が本体フランジ把持部500により、正しい回転方向の位置に把持される前の状態を示し、
図7(B)は、本体フランジ209が本体フランジ把持部500により、正しい回転方向の位置に把持された状態を示す斜視図である。
図8は、
図7(B)において、X1方向から見た本体フランジ209等を示す一部断面を有する側面図である。
まず、
図7と
図8では、図面の簡単化のために、
図3に示すシリンジのシリンジ本体201とシリンジ押子202の図示は省略して、本体フランジ209だけを図示している。なお、本体フランジ209を例に挙げているが、
図2に示すシリンジ本体301の本体フランジ309の場合も同様である。
【0051】
図7と
図8に示すように、本体フランジ209は、好ましくはプラスチック製であり、第1延長部209Sと、第2延長部209Tを有する。第1延長部209Sと第2延長部209Tは、シリンジの軸(シリンジの中心をとおる仮想の中心軸CL)に関して反対方向に形成されている。第1延長部209Sと第2延長部209Tは、同じ形状を有しており、例えばほぼ台形状である。第1延長部209Sには、RFタグTGが配置されている。このRFタグTGには、シリンジに関する情報が予め記憶されている。
【0052】
一方、RF受信部610が、シリンジポンプ1において、シリンジポンプ1の本体フランジ把持部500の付近に、配置されている。このRF受信部610とシリンジ認識用のRFタグTGは、RFID600を構成している。このRFID600のRF受信部610は、無線または電磁誘導を使用して、RFタグTGに記憶されているシリンジ200に関する情報を、きわめて近距離の範囲において非接触で読み取る。
すなわち、通信距離が長いとノイズの原因となり、他のシリンジのデータを読み取ってしまうと事故の原因になるので、例えば、2mm以上7.5mm以下の範囲における近接無線通信技術を用いている。距離の下限を下回ると、必要なデータ取得に支障が出るおそれがある。距離の上限を上回ると、近くに他のシリンジが存在したときに、誤ったデータを取得してしまう恐れがある。したがって、後述する
図7(A)に示すように、シリンジ認識用のRFタグTGは、RF受信部610とほぼ重なる位置に位置決めされた距離において、通信可能となるようにすると好ましい。なお、この場合には、後述する第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、RF受信部610がRFタグTGに記憶されているシリンジ200に関する情報を確実に受信できるように、本体フランジ209の中心軸CL方向を中心とする回転が10°以下の範囲に収まるよう設定することが好ましい。
RF受信部610は、
図8に示すように、本体フランジ209がシリンジ201の中心軸CLを中心とする所定の回転方向(例えば
図7に示すRH方向)に関する正しい位置に位置決めして把持された状態で、RFタグTGに記憶されているシリンジ200に関する情報を受け取る情報受信部である。
【0053】
図7(B)に示すRFタグTGのメモリは、例えば、シリンジの収容量の情報、シリンジ内に収容されている薬液の種類情報、薬液の送液量の情報等の情報群IFを記憶している。
図7(B)に示すように、RF受信部610は、このRFタグTGのメモリに記憶されているシリンジに関する情報群IFを、例えば無線通信で受け取って、このシリンジに関する情報群IFを制御部100に送る。
これにより、制御部100は、このシリンジに関する情報群IFに従ってシリンジポンプ1を動作させる。このため、シリンジポンプ1は、例えばシリンジ200内の薬液を、患者に対して正確に送液するようになっている。RF受信部610がシリンジポンプ1に配置される位置は、RFタグTGのシリンジに関する情報群IFを、例えば無線通信で受信可能な位置である。
【0054】
図7(A)に示すように、本体フランジ209が本体フランジ把持部500により、回転方向RHに関する正しい位置に把持される(セットされる)前の状態では、第1延長部209Sと第2延長部209TはZ方向(上下方向)に向いている。
これに対して、
図7(B)と
図8示すように、本体フランジ209が本体フランジ把持部500により、回転方向RHに関する正しい位置に正しく把持された(セットされた)状態では、第1延長部209Sと第2延長部209Tは、Y方向(前後方向)に向いている。
図7(A)に示すように、本体フランジ209が中心軸CL方向(X方向)を中心とする回転方向RHに関して回転される。そして、
図7(B)と
図8に示すように、本体フランジ209が中心軸CL方向(X方向)を中心とする回転方向RHに関して正しい位置に把持された状態では、第1延長部209Sは、
図6に示す右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟んで把持される。第2延長部209Tは、クランプ5側に位置されている。
【0055】
この本体フランジ把持部500の構造を、
図9から
図12を参照して、さらに詳しく説明する。
図9は、本体フランジ把持部500の斜視図であり、
図10は、
図9に示す本体フランジ把持部500の分解斜視図である。
図11は、樹脂バネに金属板バネを配置した状態を示す斜視図であり、
図12は、樹脂バネに対して金属板バネを固定した状態を示す別の角度から見た斜視図である。
図9では、本体フランジ209が、本体フランジ把持部500により、回転方向RHに関する正しい位置に正しくセットされている状態を示している。
【0056】
図10に示すように、本体フランジ把持部500は、本体550と、脚部560と、1枚の金属製の金属板バネ570を有する。本体550と脚部560は、プラスチック製の成形品である。
本体550は、上述した先端部501と、先端部501に連続して形成されている基部555を有する。先端部501は、好ましくは2つの導入部502,503と、これらの導入部502,503の間に形成されている凹部504を有する。
図10に示すように、本体550の基部555は、凹部556と、樹脂バネ557を有する。この凹部556は、一方の縁部556Aと他方の内部556Bと底面556Cにより囲まれた領域である。一方の縁部556Aは、ほぼW字型に形成され、他方の内部556Bは、ほぼ半円形状に形成されている。
【0057】
図10に示すように、樹脂バネ557は、凹部556の底面556Cに一体成形されており、一方の樹脂バネ部分557Aと他方の樹脂バネ部分557Bと中心部557Cを有する。一方の樹脂バネ部分557Aと他方の樹脂バネ部分557Bは、それぞれ中心部557Cを固定部分として、互いに反対方向に向けて形成されている片持ち型のバネである。
これにより、本体フランジ209が本体フランジ把持部500により、回転方向RHに関する正しい位置に正しく把持された状態において、本体フランジ209を強制的に回転させようとした際に、樹脂バネ557が破損しにくくなっている。
図10に示す金属板バネ570は、金属材料、例えばSUS等により作られている。金属板バネ570は、一方の金属バネ部分570Aと他方の金属バネ部分570Bと固定部570Cを有する。
【0058】
図11に示すように、金属板バネ570の固定部570Cは、樹脂バネ557の中心部557Cに固定されている。一方の金属バネ部分570Aと他方の金属バネ部分570Bは、一方の樹脂バネ部分557Aと他方の樹脂バネ部分557Bに対して、それぞれ重なっている。
これにより、一方の金属バネ部分570Aと一方の樹脂バネ部分557Aは、積層型のハイブリッドバネとして一体的にバネとして機能し、同様に他方の金属バネ部分570Bと他方の樹脂バネ部分557Bも、積層型のハイブリッドバネとして一体的にバネとして機能する。
【0059】
次に、
図10に示す脚部560は、プラスチック製の成形品のカバー部材561と、脚部本体562,563を有する。脚部本体562,563は、全体としてはほぼC字型に形成されており、金属製板材、例えばSUS板等により作られている。カバー部材561は、中間部561Aと、脚カバー561B、561Cを有する。中間部561Aは、脚部本体562,563の中間部分と、金属板バネ570を挟んだ状態で、凹部556にはめ込むことにより、本体550と脚部560が一体化されている。そして、
図10と
図9に示すように、本体550と脚部560は、金属板バネ570を間に挟んで、2本のネジ550Nにより固定されている。
図10に示す脚カバー561B、561Cは、脚部本体562,563を覆っている。脚部本体562,563の取付け部562A,563Aは、シリンジポンプ1の固定部分1M側にネジ560Nにより固定されている。
【0060】
図10に示すように、本体550と脚部560が、金属板バネ570を間に挟んで、2本のネジ550Nにより固定されていると、
図12に示すように、金属板バネ570は、樹脂バネ557の内側であって、カバー部材561の中間部561Aの内側に位置される。
【0061】
図13は、
図12において樹脂バネ557と金属板バネ570の付近を矢印J1方向から見た図である。
図12と
図13に示すように、樹脂バネ557の内側には、金属板バネ570が密接されている。樹脂バネ557は、両端部において、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652を有する。第1ストッパ部651は、樹脂バネ557の一方の樹脂バネ部分557Aの端部において、X2方向に突出して形成されている。第1ストッパ部651は、本体フランジ209の一方の回転方向の回転を阻止する回転阻止部である。
同様にして、第2ストッパ部652は、樹脂バネ557の他方の樹脂バネ部分557Bの端部において、X2方向に突出して形成されている。第2ストッパ部652は、本体フランジ209の他方の回転方向の回転を阻止する回転阻止部である。第1ストッパ部651と第2ストッパ部652の突出高さH1は、中心部557Cの突出高さH2に比べて大きい。
また、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652には、Y2方向に向かうに連れて突出高さが漸増するテーパ面が形成されている。従って、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、本体フランジ209を、中心軸CL方向(X方向)を中心とする回転方向に関して正しい位置に案内することができる。
【0062】
図7(A)から
図7(B)に示すように、医療従事者が、本体フランジ209をRH方向に回転すると、本体フランジ209の第1延長部209Sが、
図12に示す第2ストッパ部652のテーパ面を押圧することにより、
図13に示す第2ストッパ部652と金属板バネ570の他方の金属バネ部分570Bの両方のバネ力に抗して第2ストッパ部652をX1方向に弾性変形させて押す。
これにより、本体フランジ209の第1延長部209Sの一方の縁部分209Mと他方の縁部分209Nは、
図13に示すように、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652の間にはまり込む。このため、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、第1延長部209Sが、
図13に示すRH方向とRI方向のどちらの回転方向にも回転しないように、第1延長部209Sの回転を規制する。従って、本体フランジ209は、中心軸CL方向(X方向)を中心とする回転方向RHに関して正しい位置に把持された状態に維持できる。
【0063】
一方、
図7(A)の第1延長部209Sと第2延長部209Tが反転している状態において、医療従事者が、本体フランジ209をRI方向に回転する場合にも、同様である。本体フランジ209の第1延長部209Sが、
図12に示す第1ストッパ部651のテーパ面を押圧することにより、
図13に示す第1ストッパ部651と金属板バネ570の一方の金属バネ部分570Aの両方のバネ力に抗して、第1ストッパ部651を弾性変形させてX1方向に押す。
これにより、本体フランジ209の第1延長部209Sの一方の縁部分209Mと他方の縁部分209Nは、
図8と
図9と
図13に示すように、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652の間にはまり込む。このため、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、第1延長部209Sが、
図13に示すRH方向とRI方向のどちらの回転方向にも回転しないように、第1延長部209Sの回転を規制する。従って、本体フランジ209は、中心軸CL方向(X方向)を中心とする回転方向RHに関して正しい位置に把持された状態に維持できる。
【0064】
このように、
図8と
図9に示すように、本体フランジ209の第1延長部209Sが、中心軸CL方向を中心とする回転方向に関して、正しい位置PPに位置決めされた場合には、本体フランジ209が、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652により、RH方向あるいはRI方向のいずれの方向に関しても回転阻止される。すなわち、
図9に示すように、本体フランジ209の第1延長部209Sが正しい位置に位置決めされた場合には、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652が、本体フランジ209の第1延長部209Sの両側の縁部分209N、209Mに対してそれぞれ突き当たる。このため、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、本体フランジ209の回転を阻止する。
【0065】
これにより、本体フランジ209が、本体フランジ把持部500において、正しい位置PPから回転しないので、本体フランジ209の回転方向に関する位置決め操作を、容易にしかも確実に行うことができる。しかも、第1延長部209Sに配置されているシリンジ認識用のRFタグTGは、
図8と
図9に示すように、所定の正しい位置PPに正しく位置決めすることができる。このため、
図8に示すように、シリンジ認識用のRFタグTGが記憶している情報群IFは、
図8に示すRF受信部610に確実に受信させることができる。
【0066】
しかも、
図12と
図13では、金属製の金属板バネ570は、樹脂バネ557により被覆されている。これにより、樹脂製の本体フランジ209が樹脂バネ557には接するが、樹脂製の本体フランジ209が金属板バネ570に直接接することがない。このため、樹脂製の本体フランジ209が、金属製の金属板バネ570に直接触れて傷がつくようなことを防止できる。
【0067】
また、
図12に例示する樹脂バネ557は、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652を有する比較的複雑な形状であっても、樹脂成型品であるので形状の自由度が大であり、安価に作ることができる。
ただし、樹脂バネ557は、樹脂成型品であるので、例えば高温環境下にて樹脂製の本体フランジ209が長時間または繰り返して接触すると、熱等による変形(へたり)を生
じる可能性がある。
【0068】
金属板バネ570は、安定したバネ性能を発揮でき、耐久性に優れる。樹脂バネ557が金属製の金属板バネ570により裏側から支えられているので、樹脂製の本体フランジ把持部550が変形を生じやすい性質を補うことができ、樹脂バネ557と金属板バネ570のハイブリッド構造は、耐久性に優れたバネ性を発揮できる。
さらに、
図12と
図13では、金属製の金属板バネ570は、樹脂バネ557により被覆されている。このため、本体フランジ209を着脱する際に、金属製の金属板バネ570が、シリンジポンプ1のプラスチック製の右側側面部8Vに接触することが無いので、右側側面部8Vに傷が付きにくい。
【0069】
次に、本発明の実施形態のシリンジポンプ1の使用例を、説明する。
医療従事者は、
図3に示す複数種類のシリンジ200,300の中から、例えばシリンジ200を選択して、
図1と
図2に示すように、シリンジ200をシリンジポンプ1に対して装着する。医療従事者は、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により固定する。
これにより、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に固定できる。しかも、本体フランジ209の一部分は、右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟んで把持する。
【0070】
ここで、本体フランジ209の一部分は、右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟んで把持する操作について、さらに詳しく説明する。
図7(A)から
図7(B)に示すように、医療従事者が、例えば、RH方向にシリンジの回転とともに本体フランジ209が回転すると、本体フランジ209の第1延長部209Sが、
図13に示す第2ストッパ部652と金属板バネ570の他方の金属バネ部分570Bの両方のバネ力に抗して、第2ストッパ部652を弾性変形させてX1方向に押す。
【0071】
これにより、本体フランジ209の第1延長部209Sは、
図13に示すように、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652の間にはまり込むことで、第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、第1延長部209Sが、
図13に示すRH方向とRI方向のどちらの方向にも回転しないようにして、本体フランジ209の回転阻止をする。
【0072】
このようにして、本体フランジ把持部500に対して回転するのを阻止して、本体フランジ209の回転方向に関する位置決めを、容易にしかも確実に行うことができる。しかも、
図8と
図9に示すように、第1延長部209Sに配置されているシリンジ認識用のRFタグTGが、所定の正しい位置PPに位置決めすることができる。このため、シリンジ認識用のRFタグTGが記憶している情報IFは、
図7(B)と
図8に示すRF受信部610に対して確実に送ることができる。
【0073】
図5に示すように、医療従事者は、指で操作レバー83をP1方向へ押したままの状態で、シリンジ押子押圧部材10をT(X2方向)方向に押すことにより、シリンジ押子押圧部材10の把持機構部80を押子フランジ205に接近して、シリンジ押子202を把持させる。
【0074】
その後、
図4に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令により駆動されると、送りネジ135の回転によりシリンジ押子押圧部材10を、T方向に移動させる。これにより、シリンジ押子押圧部材10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、
図2に示すシリンジ本体201内の薬液を、チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液することができる。
【0075】
次に、本発明の別の実施形態を説明するが、本発明の第1実施形態と同様の箇所には同じ符号を記してその説明を省略する。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を、
図14を参照して説明する。
図14に示す第2実施形態の本体フランジ把持部500Aが、
図9と
図10に示す第1実施形態の本体フランジ把持部500と異なるのは、金属製の金属板バネ570が省略されていることである。
上述した本発明の第1実施形態の本体フランジ把持部500は、樹脂製の本体550と脚部560、金属製の金属板バネ570の合計3部材を用いた樹脂と金属部材から成るハイブリッド構造を採用している。
【0076】
これに対して、本発明の第2実施形態の本体フランジ把持部500Aは、金属板バネ自体は無く、樹脂バネ557だけを採用していることで、部品点数を減らして簡単な構造にすることができる。しかも、樹脂バネの第1ストッパ部651と第2ストッパ部652が、本体フランジ209(309)に直接当たり、金属バネは本体フランジには当たることは全くないので、本体フランジ209(309)に傷が付きにくい。
樹脂バネ557に設けられた回転阻止部の第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、本体フランジが双方向に回転するのを阻止でき、本体フランジ209(309)は、常に本体フランジ把持部に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができる。しかも、
図8に示すのと同様に、第1延長部209Sに配置されているシリンジ認識用のRFタグTGを、所定の正しい位置PPに位置決めすることができる。このため、シリンジ認識用のRFタグTGが記憶している情報は、
図8に示すRF受信部610に対して確実に送ることができる。
また、本体フランジ209を着脱する際に、金属製の金属板バネが無いことから、シリンジポンプ1のプラスチック製の右側側面部8Vに傷が付きにくい。
【0077】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を、
図15を参照して説明する。
図15(A)は、第3実施形態の本体フランジ把持部500Bを示す斜視図であるが、
図15(B)は、本体フランジ把持部500Bの金属製の金属板バネ870を特に示す斜視図である。
図15に示す本体フランジ把持部500Bが、
図9と
図10に示す第1実施形態の本体フランジ把持部500と異なるのは、1枚の金属製の金属板バネ870はあるが、樹脂バネ受け部が省かれている。
金属製の金属板バネ870は、第1金属バネ部分870Aと第2金属バネ部分870Bと固定部870Cと、そして第1ストッパ部870Dと第2ストッパ部870Eを有する。
第1ストッパ部870Dと第2ストッパ部870Eには、Y2方向に向かうに連れて突出高さが漸増するテーパ面が形成されている。
第1金属バネ部分870Aと第2金属バネ部分870Bは、それぞれ固定部870Cを固定部分として、互いに反対方向に向けて形成されている。これにより、本体フランジ209が本体フランジ把持部500により、回転方向RHに関する正しい位置PPに正しく把持された状態において、本体フランジ209を強制的に回転させようとした際に、金属板バネ870が破損しにくくなっている。
【0078】
図9に示す本体フランジ209の第1延長部209Sが回転される時には、一方の金属バネ部分870Aまたは他方の金属バネ部分870Bが、固定部870Cに対して、第1延長部209Sにより押されて弾性変形する。そして、第1ストッパ部870Dと第2ストッパ部870Eは、
図9に示す本体フランジ209の第1延長部209Sが、回転方向に関して正しい位置PPに位置決めされた場合に、本体フランジ209が回転するのを阻止する。
これにより、第1ストッパ部870Dと第2ストッパ部870Eは、本体フランジ209が本体フランジ把持部500Bに対して回転するのを阻止して、回転方向に関する位置決めを、容易にしかも確実に行うことができる。しかも、
図8に示すのと同様に、第1延長部209Sに配置されているシリンジ認識用のRFタグTGが、所定の正しい位置PPに位置決めすることができる。このため、シリンジ認識用のRFタグTGが記憶している情報は、
図8に示すRF受信部610に対して確実に送ることができる。
【0079】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を、
図16と
図17を参照して説明する。
図16は、本発明の第4実施形態を示す斜視図であり、
図17は、本発明の第4実施形態を示す側面図である。
本発明の第4実施形態の本体フランジ把持部500Cは、第1ストッパ部911と、第2ストッパ部912を有する。この第1ストッパ部911と第2ストッパ部912は、金属製であり、舌片状の部材である。第1ストッパ部911と第2ストッパ部912は、それぞれ本体550と脚部560に設けられた開口部921,922から突出して設けられている。
【0080】
これにより、
図9に示す本体フランジ209の第1延長部209Sが回転される時には、第1延長部209Sに押されて第1ストッパ部911あるいは第2ストッパ部912が弾性変形する。そして、第1ストッパ部911と第2ストッパ部912は、
図9に示す本体フランジ209の第1延長部209Sが正しい位置に位置決めされた場合に、本体フランジ209が回転するのを阻止する。
これにより、簡単な構造でありながら、本体フランジ209が本体フランジ把持部500Cに対して回転するのを阻止して、回転方向に関する位置決めを、容易にしかも確実に行うことができる。しかも、
図8に示すのと同様に、第1延長部209Sに配置されているシリンジ認識用のRFタグTGが、所定の正しい位置PPに位置決めすることができる。このため、シリンジ認識用のRFタグTGが記憶している情報は、
図8に示すRF受信部610に対して確実に送ることができる。
【0081】
上述したように、本発明の実施形態のシリンジポンプ1は、シリンジ200(300)のシリンジ本体201(301)を載置可能な載置部6と、シリンジ本体201(301)の本体フランジ209(309)を着脱可能に把持する本体フランジ把持部500と、本体フランジ209(309)が、本体フランジ把持部500において、シリンジ200(300)の軸を中心とする所定の回転方向の位置に位置決めして把持された状態で、本体フランジ209(309)に設けられたシリンジに関する情報を受け取る情報受信部としての例えばRF受信部610を備える。
そして、この本体フランジ把持部500は、本体フランジ209(309)が所定の回転方向の位置に位置決めして把持された状態で、本体フランジ209(309)が回転するのを阻止する回転阻止部(第1ストッパ部651、第2ストッパ部652)を備える。
【0082】
これにより、本体フランジ把持部500の回転阻止部は、本体フランジ209(309)が所定の回転方向の位置に位置決めして把持された状態で、本体フランジ209(309)が回転するのを阻止することができる。
このため、本体フランジ209(309)は、常に本体フランジ把持部500に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができるので、本体フランジ209(309)に設けられているシリンジに関する情報を、シリンジ200(300)をシリンジポンプ1に装着した時に正しく認識することができる。従って、シリンジポンプ1は、シリンジ200(300)内の薬液の種類等の情報を認識して、シリンジポンプ1は薬液を送液できる。
【0083】
回転阻止部は、本体フランジが回転するのを阻止する第1ストッパ部651と、本体フランジが反対方向に回転するのを阻止する第2ストッパ部652とを有する。
これにより、回転阻止部の第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、本体フランジ209(309)が双方向に回転するのを阻止でき、本体フランジ209(309)は、常に本体フランジ把持部500に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができる。
【0084】
図10から
図12に示すように、本体フランジ把持部500は、金属バネ570と、金属バネ570を覆っている樹脂バネ557とを有し、樹脂バネ557の一端部には、本体フランジ209(309)の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が回転するのを阻止する第1ストッパ部651が設けられている。また、樹脂バネ557の他端部には、本体フランジ209(309)の反対側の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が反対方向に回転するのを阻止する第2ストッパ部652が設けられている。
【0085】
これにより、樹脂バネ557に設けられた回転阻止部の第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、本体フランジ209(309)が双方向に回転するのを阻止でき、本体フランジ209(309)は、常に本体フランジ把持部500に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができる。
耐久性のある金属バネは、樹脂バネを支えることができるので、樹脂バネの第1ストッパ部と第2ストッパ部は、本体フランが双方向に回転するのを確実に阻止できる。しかも、樹脂バネの第1ストッパ部と第2ストッパ部が、本体フランジ209(309)に直接当たり、金属バネは本体フランジ209(309)には当たらないので、本体フランジ209(309)に傷が付きにくい。
【0086】
図14に示すように、本体フランジ把持部500は、樹脂バネ557を有する。樹脂バネの一端部には、本体フランジ209(309)の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が回転するのを阻止する第1ストッパ部651が設けられている。また、樹脂バネ557の他端部には、本体フランジ209(309)の反対側の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が反対方向に回転するのを阻止する第2ストッパ部652が設けられている。
これにより、樹脂バネ557に設けられた回転阻止部の第1ストッパ部651と第2ストッパ部652は、本体フランジが双方向に回転するのを阻止でき、本体フランジ209(309)は、常に本体フランジ把持部に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができる。
しかも、樹脂バネの第1ストッパ部と第2ストッパ部が、本体フランジ209(309)に直接当たり、金属バネは本体フランジには当たることは全くないので、本体フランジ209(309)に傷が付きにくい。
【0087】
図15に示すように、本体フランジ把持部500は、金属バネ870を有する。金属バネ870の一端部には、本体フランジ209(309)の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が回転するのを阻止する第1ストッパ部870Dが設けられている。また、金属バネの他端部には、本体フランジ209(309)の反対側の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が反対方向に回転するのを阻止する第2ストッパ部870Eが設けられている。
これにより、金属バネに設けられた回転阻止部の第1ストッパ部870Dと第2ストッパ部870Eは、本体フランジが双方向に回転するのを阻止でき、簡単な構造でありながら、本体フランジは、常に本体フランジ把持部500に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができる。
【0088】
図16に示すように、本体フランジ把持部500Cは、一方の金属バネ911と他方の金属バネ912を有し、一方の金属バネ911は、本体フランジ209(309)の縁部分に当たることで本体フランジ209(309)が回転するのを阻止する第1ストッパ部である。また、他方の金属バネ912は、本体フランジ209(309)の反対側の縁部分に当たることで本体フランジが反対方向に回転するのを阻止する第2ストッパ部である。
これにより、簡単な構造でありながら、金属製の第1ストッパ部911と第2ストッパ部912は、本体フランジ209(309)が双方向に回転するのを阻止でき、本体フランジ209(309)は、常に本体フランジ把持部500に把持された状態で正しい回転方向の位置に位置決めすることができる。
【0089】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
把持部材81,82を回動してスラスト方向に移動するための操作部としては、手動操作型の動力入力部として、操作レバー83を用いているが、これに限らずモータ等を用いて操作する自動操作型の動力入力部を採用しても良い。
また、上記実施形態では、RF受信部610は、シリンジポンプ1の本体フランジ把持部500の付近に配置されているが、これに限らずシリンジ本体201(301)を収容する収容部8の付近に配置されていても良い。なお、この場合には、シリンジ認識用のRFタグTGは、シリンジ200(300)における収容部8に収容される部分の付近に配置されていることが好ましい。