(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した部品実装機では、部品に照射される光の照射ムラや照射された光の反射ムラについては考慮されていない。ここで、部品のサイズや形状、素材などによっては、光源からの光の照射具合や照射された光の反射具合に部分的な差が生じて、光の照射ムラや反射ムラが発生する場合がある。その場合、一の部品の撮像画像において、明るさの傾向が大きく異なる部分が混在するため、基準ピンの撮像画像から設定した閾値を画像全体に一律に用いて二値化処理しても、適切に処理できないことがある。
【0005】
本発明は、部品の着目箇所を検出する際の画像処理を、より適切に行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像処理装置は、
部品を基板に実装する部品実装機において実装前に撮像された前記部品の撮像画像を処理する画像処理装置であって、
一の前記部品における複数の着目箇所を一ずつ含む複数の領域に関する領域情報を記憶する記憶部と、
前記領域情報に対応する複数の部分領域画像を前記撮像画像から抽出する抽出部と、
前記抽出された複数の部分領域画像のそれぞれについて、該部分領域画像に含まれる画素の階調値を取得する取得部と、
前記部品が撮像される度に、前記取得された画素の階調値に基づいて前記部分領域画像に含まれる前記着目箇所の境界を判別するための閾値を、前記部分領域画像毎に設定する設定部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の画像処理装置では、一の部品における複数の着目箇所を一ずつ含む複数の領域に関する領域情報を記憶しておき、部品が撮像される度に、領域情報に対応する複数の部分領域画像から取得された各画素の階調値に基づいて、その部分領域画像に含まれる着目箇所の境界を判別するための閾値を、部分領域画像毎に設定する。このため、着目箇所毎に適切な閾値を用いて画像処理することができる。また、部品が撮像される度に閾値を設定するから、撮像画像毎に最適な閾値を用いることができる。したがって、部品の着目箇所を検出する際の画像処理を、より適切に行うことができる。
【0009】
また、本発明の画像処理装置では、前記部品は、前記基板に設けられた複数の挿入孔にそれぞれ挿入される複数のリードを有し、前記複数の着目箇所は、前記複数のリードのそれぞれの存在箇所であり、前記記憶部は、前記領域情報として、各リードの存在箇所を一ずつ含む複数の領域に関する情報を記憶するものとしてもよい。こうすれば、リードの位置を検出する際の画像処理をより適切に行って、リードの位置を検出する精度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の画像処理装置では、前記複数の部分領域画像のそれぞれについて、前記設定部が設定した閾値を用いて該部分領域画像に含まれる各画素の階調値を二値化する二値化処理部を備えるものとしてもよい。こうすれば、二値化により部品の着目箇所の境界(エッジ)を判別する処理を精度よく行うことができる。
【0011】
本発明の部品実装機は、
上述した本発明の画像処理装置を備える部品実装機であって、
部品を供給する供給装置と、
前記供給装置により供給された前記部品を保持具によって保持し、該保持した部品を前記基板に実装する実装装置と、
前記部品を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された撮像画像が前記画像処理装置により処理されると、該処理結果に基づいて前記保持具に保持される前記部品の位置を取得し、該取得した位置に基づいて前記部品が前記基板に実装されるよう前記実装装置を制御する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の部品実装機は、上述した本発明の画像処理装置を備えるから、画像処理装置が奏する効果と同様の効果を奏するものとなる。このため、部品の着目箇所を検出する際の画像処理をより適切に行って、部品の実装精度の向上に繋げることができる。なお、撮像装置は、部品が保持具に保持されている状態で部品を撮像してもよいし、部品が保持具に保持されていない状態で部品を撮像してもよい。
【0013】
また、本発明の部品実装機では、前記供給装置は前記部品として前記基板に設けられた複数の挿入孔にそれぞれ挿入される複数のリードを有する部品を供給し、前記複数のリードのうち少なくとも一のリードを部分的に切断する切断装置を備え、前記画像処理装置として前記記憶部が前記複数のリードの存在箇所を一ずつ含む複数の領域に関する領域情報を記憶する装置を備え、前記撮像装置は前記切断装置により少なくとも一のリードが部分的に切断された状態で前記保持具に保持されている前記部品を撮像し、前記制御装置は前記画像処理装置による処理結果に基づいて前記保持具に保持されている前記部品の前記複数のリードの位置を取得し該取得した位置に基づいて前記リードが前記挿入孔に挿入されるよう前記実装装置を制御するものとすることもできる。こうすれば、リードの位置を検出する際の画像処理をより適切に行って、リードの位置を検出する精度を向上させることができる。また、取得したリードの位置に基づいて基板の挿入孔にリードを精度よく挿入することができるから、実装精度を向上させることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は部品実装機10の構成の概略を示す構成図であり、
図2は部品実装機10の制御に関する構成を示すブロック図である。なお、
図1の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0016】
部品実装機10は、
図1に示すように、部品Pを供給する部品供給装置12と、平板状の基板Sを搬送する基板搬送装置16と、搬送された基板Sを保持する基板保持装置18と、部品Pを把持する部品チャック装置22が取り付けられたヘッド20と、ヘッド20をXY方向に移動させる移動機構24とを備える。また、部品実装機10は、基板Sに付されたマークを撮像するマークカメラ26と、部品チャック装置22に把持された部品Pを撮像するパーツカメラ30と、各種画像の画像処理を行う画像処理装置40(
図2参照)と、部品実装機10の全体を制御する制御装置50(
図2参照)とを備える。部品チャック装置22は、開閉可能なチャック爪を用いて部品Pを把持するものであり、ヘッド20に着脱可能に取り付けられる。ヘッド20は、部品チャック装置22以外に、ノズルにより部品Pを吸着する部品吸着装置が取り付け可能である。
【0017】
部品供給装置12は、リード付きの部品P(
図1に示すラジアル部品や図示しないアキシャル部品など)が貼り付けられたテープを送り出すことで部品Pを供給するテープフィーダ13などを備える。テープフィーダ13は、部品PのリードLを所定長さに切断するリードカッタ14やアキシャル部品のリードLを下向きに折り曲げる図示しない曲げ機構などを備える。リードカッタ14は、
図1中の拡大図に示すように、固定刃14aと、図示しないエアシリンダの駆動により作動可能な可動刃14bとが対向して配置されている。そして、リードカッタ14は、例えばラジアル部品のリードLを挟んだ状態で、可動刃14bの先端が固定刃14aに重なる位置まで進出することにより、リードLを剪断する。部品Pは基板Sに装着される際に、基板Sに形成された挿入孔にリードLが挿入される。なお、挿入孔に挿入されたリードLは、基板Sの下面側から図示しないリード加工装置により曲げなどの加工が行われる。
【0018】
ヘッド20は、図示しない昇降機構および回転機構を備え、取り付けられた部品チャック装置22や部品吸着装置をZ軸方向に昇降させたり、軸回りに回転(自転)させたりする。ヘッド20内には、図示しない真空ポンプなどの負圧源に接続されたエア流路が設けられている。ヘッド20は、負圧源からのエア流路を介して負圧を供給することで、部品チャック装置22に部品Pを把持させたり、部品吸着装置に部品Pを吸着させたりする。
【0019】
パーツカメラ30は、部品チャック装置22に把持された部品Pがパーツカメラ30の上方を通過する際に部品Pを下方から撮像し、得られた撮像画像を画像処理装置40へ出力する。
図3はパーツカメラ30の構成の概略を示す構成図である。パーツカメラ30は、
図3に示すように、例えばCCDなど複数の受光素子が二次元配列された矩形状の撮像領域をもつ撮像素子32と、撮像素子32の上方に設けられたレンズ34と、部品Pを撮像する際にリードLの側方から光を照射する照明装置36とを備える。照明装置36がリードLの側方から光を照射することで、リードLの下方から光を照射するものに比べて、部品Pの下面(撮像画像の背景部分)とリードLの先端面とにおける照射光の反射具合を適度なものとし、画像処理装置40が撮像画像内のリードLの境界(エッジ)を検出し易いものとしている。ここで、前述したように、リードLはリードカッタ14により剪断されるから、固定刃14aや可動刃14bの摩耗状態や部品Pの姿勢(傾き具合)などによって、リードLの先端部(切断部)の形状や撮像される面の角度が部品P毎に異なるものとなる。このため、部品P毎(リードL毎)に光の反射具合が異なって撮像画像における明るさが部分的に変化することがある。
【0020】
制御装置50は、CPU,ROM,RAMおよびHDDなどにより構成され装置全体の制御を司る。制御装置50は、
図2に示すように、部品供給装置12や基板搬送装置16、基板保持装置18などの各装置への駆動信号、ヘッド20(部品チャック装置22)への駆動信号、移動機構24への駆動信号、マークカメラ26やパーツカメラ30への駆動信号などを出力する。また、制御装置50は、画像処理装置40と通信可能に接続されており、画像処理装置40に画像処理の実行に関する情報を出力したり、画像処理装置40から画像処理の結果に関する情報を入力したりする。
【0021】
画像処理装置40は、CPU,ROMおよびRAMなどにより構成され、マークカメラ26やパーツカメラ30により撮像された撮像画像を入力して画像処理を行う。画像処理装置40は、ROMなどの記憶部42に画像処理プログラムや各種情報を記憶している。記憶部42は、リード付きの部品Pに関する部品情報を記憶している。その部品情報は、部品Pの種類を表す部品種と、部品Pが有するリードLの数と、各リードLが存在する位置を含むリード存在領域を特定可能な情報などを含む。リード存在領域は、撮像画像においてリードLの先端位置を含む矩形状の領域であり、左上隅と右下隅の位置座標が定められた領域である。その位置座標は、撮像画像の中心(パーツカメラ30で撮像される部品Pの中心)の位置を基準とするXY座標で表される。例えば、部品種「PA01」の2本のリードのうち、左側のリードL(L)のリード存在領域は、左上隅の位置座標(XL1s,YL1s)と右下隅の位置座標(XL1e,YL1e)とが定められている。
【0022】
以下は、こうして構成された部品実装機10の実装動作の説明である。
図4は部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、制御装置50により実行される。
【0023】
部品実装処理が実行されると、制御装置50は、まず、部品供給装置12から供給された部品Pを部品チャック装置22に把持させる(S100)。制御装置50は、S100で、部品Pを送り出すよう部品供給装置12を制御し、部品供給位置上にヘッド20が移動するよう移動機構24を制御し、部品チャック装置22が部品Pを把持可能な高さ位置および向きとなるようヘッド20を制御し、負圧源からの負圧を供給して部品チャック装置22に把持動作をさせる。続いて、制御装置50は、部品チャック装置22が把持した部品Pがパーツカメラ30の上方を経由して基板S上へ移動するよう移動機構24を制御し(S110)、部品Pがパーツカメラ30上にあるときに部品Pを撮像するようパーツカメラ30を制御する(S120)。なお、制御装置50は、画像処理装置40に対し画像処理の実行指示も行う。次に、制御装置50は、S120の撮像で得られた撮像画像に対し画像処理装置40により行われる画像処理の結果を取得する(S130)。画像処理の詳細は後述するが、画像処理装置40は撮像画像からリードLの位置(先端位置)を検出する処理を行うため、制御装置50はS130でリードLの位置を取得する。
【0024】
そして、制御装置50は、取得したリードLの位置に基づいて部品Pの実装位置に関する補正値を設定し(S140)、その補正値を反映させた基板S上の位置に部品Pを実装して(S150)、部品実装処理を終了する。ここで、部品チャック装置22が把持している部品Pは、正常な状態から傾いたり位置ずれしたりして姿勢不良となっている場合がある。このため、制御装置50は、部品Pが姿勢不良となっていてもリードLを挿入孔に正しく挿入できるように、S140でリードLの位置(先端位置)に基づいてXY方向の実装位置や軸回りの実装向きの補正値を設定する。また、制御装置50は、S150で、部品チャック装置22が把持している部品PのリードLの先端が基板Sの挿入孔の真上に来るよう移動機構24およびヘッド20を制御し、リードLが挿入孔に挿入されるまで部品チャック装置22が下降するようヘッド20を制御してから、負圧源からの負圧の供給を解除して部品チャック装置22に把持解除動作をさせることにより部品Pを実装する。
【0025】
次に、画像処理装置40が実行する画像処理について説明する。
図5は、画像処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、制御装置50からの画像処理の実行指示が入力された後、撮像画像が入力されたときに実行される。なお、画像処理の実行指示は、処理対象の部品種を含む。また、撮像画像は、各画素の階調値が8ビットのグレースケール画像として入力される。
【0026】
画像処理が実行されると、画像処理装置40は、まず、今回の処理対象の部品種が前回の処理対象から変更されたか否かを判定する(S200)。画像処理装置40は、部品種が変更されたと判定すると、記憶部42に記憶している部品情報から該当する部品種のリード存在領域の情報を読み出す(S210)。そして、画像処理装置40は、読み出したリード存在領域の情報に対応する部分領域画像の範囲を設定する(S220)。画像処理装置40は、例えば、リード存在領域として2つの領域の情報が記憶されている場合、2つのリード存在領域の情報を読み出して各リード存在領域に対応する2つの部分領域画像の範囲を設定する。一方、画像処理装置40は、部品種が変更されてないと判定すると、S210,S220の処理をスキップする。
【0027】
図6は部分領域画像の一例を示す説明図である。
図6は部品種PA01の部品Pの撮像画像内に設定される部分領域画像を例示する。部品種PA01の部品Pは、
図2の部品情報に示すように左右2つのリードLを備える。画像処理装置40は、図示するように、左側のリードL(L)のリード存在領域である左上隅の位置座標(XL1s,YL1s)と右下隅の位置座標(XL1e,YL1e)とに基づいてリードL(L)を含む部分領域画像Aを設定する。また、画像処理装置40は、右側のリードL(R)のリード存在領域である左上隅の位置座標(XR1s,YR1s)と右下隅の位置座標(XR1e,YR1e)とに基づいて右側のリードL(R)を含む部分領域画像Bを設定する。このように、部分領域画像は、各リードLの存在領域に対応する領域として一の撮像画像内に複数設定される。なお、リード存在領域は、リードLに位置ずれなどが生じていても、リードLが含まれる(リードLの撮像画像を取得できる)領域として定められている。また、画像処理装置40がリードLの存在領域の座標をそのまま用いて部分領域画像を設定するものに限られず、座標変換処理を行って部分領域画像を設定するものとしてもよい。
【0028】
次に、画像処理装置40は、S220で設定した部分領域画像(画像を構成する各画素)を撮像画像から抽出し(S230)、処理対象の一の部分領域画像の各画素の階調値を取得して(S240)、各画素の階調値に基づいて部分領域画像内でリードLの境界(エッジ)を検出するための二値化閾値を設定する(S250)。二値化閾値は、各画素の階調値の分布(ヒストグラム)などに基づいて、P−タイル法やモード法、判別分析法などの公知の手法を用いて処理対象の部分領域画像に適した値に設定することができる。
【0029】
二値化閾値を設定すると、画像処理装置40は、その二値化閾値を用いて部分領域画像の各画素を二値化する二値化処理を行う(S260)。続いて、画像処理装置40は、二値化画像からリードLのエッジ(リードLと背景部分との境界)を検出し(S270)、検出したエッジに基づいてリード位置を取得する(S280)。そして、画像処理装置40は、未処理の部分領域画像があるか否かを判定し(S290)、未処理の部分領域画像があると判定すると、S240に戻り、未処理の部分領域画像を対象としてS240〜S280の処理を行う。一方、画像処理装置40は、未処理の部分領域画像がないと判定すると画像処理を終了する。このように、本実施形態では、部分領域画像毎に二値化閾値を設定し二値化処理を行ってリードLのエッジを検出するのである。
【0030】
図7は部分領域画像毎に二値化閾値が設定される様子の一例を示す説明図である。ここで、リードLは部品Pのボディ部に比べて照射光を反射し易いものとなっている。このため、部品Pを撮像して得られる撮像画像(部分領域画像)は、リードLの部分が白く写り、それ以外の背景部分(部品Pのボディ部)が黒く写った画像となる。したがって、通常はリードLの部分の画素が背景部分の画素に比べて明るさの高い階調値となる。このため、一の部分領域画像における各画素の階調値のヒストグラムは、部分領域画像Aのヒストグラムで例示するように、通常は明暗の差がはっきりと分かれたものとなる。一方で、前述したように、部品P毎(リードL毎)に光の反射具合が異なって撮像画像における明るさが変化することがある。このため、撮像画像が全体的に暗くなったり明るくなったり、また、リードLと背景部分との明暗の差がはっきりと表れなかったりすることがある。例えば、部分領域画像Bのヒストグラムで例示するように、各画素の階調値が小さくなる側に偏って明暗の差がはっきりと表れないことがある。このように、各リードLの存在箇所において各画素の階調値の傾向が大きく異なる場合がある。本実施形態では、部分領域画像毎に二値化閾値を設定するから、各部分領域画像の各画素の階調値の傾向に応じて適切な二値化閾値を設定することができる。このため、各部分領域画像における二値化処理を適切に行って、リードLのエッジを精度よく検出することが可能となる。
【0031】
一方、
図8は比較例の対象画像から二値化閾値が設定される様子の一例を示す説明図である。
図8は、部分領域画像A,Bを含む一の矩形状の領域を処理の対象画像として一の二値化閾値を設定する例を示す。この場合、画像処理装置は、
図7に示した部分領域画像A,Bのヒストグラムを足し合わせたようなヒストグラムを作成し、それに基づいて閾値を設定する。撮像画像内のリードL(L),(R)の明るさが大きく異なる場合、その閾値が少なくともいずれかのリードLに対して適切な閾値とならないことがある。例えば、
図7のヒストグラムを考慮すると、少なくともリードL(R)に対して適切な閾値とならないものといえる。このため、画像処理装置40が撮像画像(撮像画像の一部の対象画像)から一の閾値を設定して二値化処理を行う場合、適切な二値化処理が行われず複数のリードLのエッジを適切に検出できないことがある。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の部品実装機10が本発明の部品実装機に相当し、画像処理装置40が画像処理装置に相当する。また、記憶部42が記憶部に相当し、
図5の画像処理のS230を実行する画像処理装置40が抽出部に相当し、画像処理のS240を実行する画像処理装置40が取得部に相当し、画像処理のS250を実行する画像処理装置40が設定部に相当する。また、画像処理のS260を実行する画像処理装置40が二値化処理部に相当する。また、部品供給装置12(テープフィーダ13)が供給装置に相当し、部品チャック装置22が取り付けられるヘッド20と移動機構24とが実装装置に相当し、パーツカメラ30が撮像装置に相当し、
図4の部品実装処理のS130〜S150を実行する制御装置50が制御装置に相当する。また、リードカッタ14が切断装置に相当する。
【0033】
以上説明した画像処理装置40は、一の部品Pにおける複数のリードLの存在箇所を一ずつ含む複数のリード存在領域に関する情報を記憶部42に記憶している。そして、画像処理装置40は、部品Pが撮像される度に、リード存在領域に対応する複数の部分領域画像から取得された各画素の階調値に基づいて部分領域画像毎に閾値を設定する。このため、画像処理装置40は、リードLの存在箇所毎に適切な閾値を用いて画像処理することができ、また、撮像画像毎に最適な閾値を用いることができる。したがって、画像処理装置40は、リードLの存在箇所を検出する際の画像処理をより適切に行って、リードLの位置を精度よく検出することができる。
【0034】
また、画像処理装置40は、部分領域画像毎に設定した閾値を用いて各部分領域画像に含まれる各画素の階調値を二値化するから、二値化処理の精度を向上させることができる。部品実装機10は、画像処理装置40を備えるから、画像処理装置40が有する効果を奏するものとなる。また、部品実装機10は、画像処理装置40がリードLの位置を精度よく検出するから、部品PのリードLを基板Sの挿入孔にスムーズに挿入して、部品Pの実装精度を向上させることができる。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、画像処理装置40がラジアル部品の撮像画像を画像処理したが、これに限られず、アキシャル部品の撮像画像を画像処理してもよい。なお、アキシャル部品のリードLは、リードカッタ14で切断された後に先端が下向きになるよう折り曲げられる。このため、記憶部42は、リード存在領域の情報として、少なくともリードLの先端位置を含む情報を記憶すればよい。
【0037】
上述した実施形態では、画像処理装置40がパーツカメラ30により部品Pの下方から撮像された撮像画像を画像処理したが、これに限られず、マークカメラ26により部品Pの上方から撮像された撮像画像を画像処理してもよい。この場合、部品Pの供給位置にある部品Pを撮像してもよいし、供給位置とは別の位置にある部品Pを撮像してもよい。
【0038】
上述した実施形態では、画像処理装置40がリードLの位置を検出する際の二値化処理用の閾値を設定したが、これに限られず、画像処理装置40が部品Pの複数の着目箇所の境界(背景部分との境界)を判別するための閾値を設定するものであればよい。この閾値は、例えば、部品Pと背景部分との境界を判別する閾値としたり、異なる部材で形成された部品Pにおいて部材同士の境界を判別する閾値としたりすることができる。
【0039】
このように、一の部品Pにおける複数の着目箇所の境界を判別するための画像処理に本発明を適用することができる。以下は、変形例の画像処理の説明である。
図9は変形例の部品Pの斜視図である。変形例の部品Pは、セラミックス素材で形成されLEDを内蔵したボディ部Pbと、LEDを覆う透明の樹脂素材で形成されたカバー部Pcとを備えるLEDチップ部品である。この変形例では、部品供給装置12が、部品Pをトレーなどに載せた状態で供給し、ヘッド20が部品Pを部品チャック装置22によって保持して基板Sに実装する。また、マークカメラ26が部品Pの上面を撮像し、その撮像画像を画像処理装置40が画像処理する。なお、部品実装機20が図示しない仮置き台を備えるものとし、部品チャック装置22が部品供給位置で保持した部品Pを仮置き台に一旦置いた状態で、マークカメラ26が部品Pの上面を撮像するものなどとしてもよい。
【0040】
この変形例では、カバー部Pcおよびボディ部Pbの境界(異なる素材の境界)となる箇所と、ボディ部Pbおよび背景部分の境界となる箇所とを着目箇所とする。このため、記憶部42は、各着目箇所を一ずつ含む領域A1,A2(
図9参照)に関する領域情報を記憶する。また、画像処理装置40は、部品Pの撮像画像から領域A1,A2に対応する部分領域画像を抽出する。そして、画像処理装置40は、領域A1に対応する部分領域画像の各画素の階調値に基づいて、カバー部Pcとボディ部Pbの境界を二値化処理により判別するための閾値を設定し、領域A2に対応する部分領域画像の各画素の階調値に基づいて、ボディ部Pbと背景部分の境界を二値化処理により判別するための閾値を設定する。この変形例でも、画像処理装置40は着目箇所をそれぞれ含む部分領域画像毎に閾値を設定するから、上述した実施例と同様に適切な閾値を用いて画像処理することができる。
【0041】
また、画像処理装置40が二値化処理を行うものに限られず、着目箇所の境界を判別するための次のような処理を行うものとしてもよい。
図10は変形例の部品Pにおいて複数の着目箇所の境界を判別する様子の説明図であり、カバー部Pcを着目箇所として、複数箇所(例えば4箇所)で境界を判別するものを例示する。
図10の画像処理では、画像処理装置40は、カバー部Pcの外縁を挟んで所定距離ずつ離れた2つの判定点を一組とする複数組(T,U,V,Wの4組)の画素の階調値を用いて境界を判別する。各組の判定点は、カバー部Pcの外縁よりも内側(カバー部Pc上)の点(例えばTin)と、カバー部Pcの外縁よりも外側(ボディ部Pb上)の点(例えばTout)とからなる。また、記憶部42は、各組の2つの判定点をそれぞれ含む複数(4つ)の領域(線分)に関する領域情報を記憶する。画像処理装置40は、部品Pの撮像画像から各領域にそれぞれ対応する4つの部分領域画像を抽出し、各部分領域画像に含まれる2つの判定点における各画素の階調値の差分ΔGを算出する。また、画像処理装置40は、部分領域画像毎に差分ΔGの閾値を設定し、差分ΔGと閾値とを比較して着目箇所の境界(境界の有無)を判別する。
図10は、判定点Uin,Uoutと、判定点Vin,Voutとにおける、画素の階調値とその差分を例示している。
【0042】
ここで、変形例の部品Pにおいても、表面状態(汚れや疵など)や姿勢不良、光の反射具合などによって、撮像画像が部分的に暗くなったり明るくなったりし、また、カバー部Pcとボディ部Pbとの明暗の差がはっきりと表れなかったりすることがある。
図10では、判定点Vinの階調値が所定値Grefを超えるために判定点Vを有する部分領域画像は明るさが正常であり、判定点Uinの階調値が所定値Grefを超えないために判定点Uを有する部分領域画像は明るさが正常でないものとする。画像処理装置40は、内側の判定点の階調値が所定値Grefを超える場合に閾値G1を設定し、所定値Grefを超えない場合に閾値G1よりも小さな閾値G2を設定する。そして、画像処理装置40は、階調値の差分ΔGが閾値を超えれば、両判定点の間にカバー部Pcの境界(ボディ部Pbとの境界)があると判定し、階調値の差分ΔGが閾値を超えなければ、両判定点の間にカバー部Pcの境界がない(部品Pに位置ズレなどが生じている)と判定する。
図10では、画像処理装置40は、判定点Vinと判定点Voutの差分ΔGvが閾値G1を超えるため、両判定点の間にカバー部Pcの境界があると判定する。また、画像処理装置40は、判定点Uinと判定点Uoutの差分ΔGuが閾値G2を超えるため、両判定点の間にカバー部Pcの境界があると判定する。判定点T,Wの各部分領域画像においても同様の処理が行われる。このように、この変形例でも部分領域画像毎に閾値を設定するから、着目箇所の境界を適切に判別することができる。
【0043】
上述した実施形態では、画像処理装置40が部品実装機10に含まれるものとしたが、これに限られず、画像処理装置40が部品実装機10に含まれないものとしてもよい。例えば、部品実装機10を管理する管理装置が画像処理装置の機能を有してもよい。