特許第6795539号(P6795539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795539
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20201119BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20201119BHJP
   A23L 27/21 20160101ALI20201119BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20201119BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20201119BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A23L27/00 Z
   A23L27/20 E
   A23L27/20 F
   A23L27/21 Z
   A23L33/105
   A23L33/175
   A23L2/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-72079(P2018-72079)
(22)【出願日】2018年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-191634(P2018-191634A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年5月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-98623(P2017-98623)
(32)【優先日】2017年5月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大里 直樹
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】白幡 登
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/024470(WO,A1)
【文献】 特開平04−281742(JP,A)
【文献】 特開2004−049200(JP,A)
【文献】 特開2012−095647(JP,A)
【文献】 特開2010−075183(JP,A)
【文献】 特開2010−148453(JP,A)
【文献】 特開2003−274896(JP,A)
【文献】 特開2006−333806(JP,A)
【文献】 特開2014−039478(JP,A)
【文献】 J. Agric. Food Chem., 2009, Vol. 57, No. 4, pp. 1253-1259
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.03〜90質量%、及び
(B)L−トリプトファン
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0001〜0.01である、食品組成物。
【請求項2】
成分(B)の含有量が0.0000040〜1.0質量%である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項3】
食品組成物が固形状食品組成物であって、成分(A)の含有量が5〜90質量%である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項4】
成分(B)の含有量が0.001〜1.0質量%である、請求項3記載の食品組成物。
【請求項5】
食品組成物が飲料であって、成分(A)の含有量が0.03〜3.0質量%である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項6】
成分(B)の含有量が0.01〜100質量ppmである、請求項記載の食品組成物。
【請求項7】
pHが2.0〜8.0である、請求項5又は6記載の食品組成物。
【請求項8】
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.03〜90質量%、及び
(B)L−トリプトファン
を、両者の質量比[(B)/(A)]が0.0001〜0.01となる範囲内で含有させる、クロロゲン酸類の収斂味及びL−トリプトファンの苦味の抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロゲン酸は、キナ酸の3位の水酸基にカフェ酸が結合した化合物であり、抗酸化作用や血圧降下作用といった生理作用を有することが知られている。このように、クロロゲン酸は有用な物質であるが、苦味や収斂味といった異味を有するため継続して摂食するうえで障害となりやすい。従来、クロロゲン酸の苦味をマスキングする技術として、(a)20〜150mg/100mLのクロロゲン酸に対し、(b)500mg/100mL以下のL−オルニチン塩酸塩、83mg/100mL以下のD,L−アラニン、及び500mg/100mL以下のグリシンから選択される1種以上のアミノ酸を、両者の質量比[(b)/(a)]が1.0以上となるように添加することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
一方、L−トリプトファンは、ヒトにおける必須アミノ酸の一つであって、生体内においてセロトニンやメラトニンに代謝されることが知られている。このように、L−トリプトファンは、ヒトの健康維持に欠かせない物質であるものの、生体内で合成することができない。そのため、飲食品から摂取する必要があるが、苦味が強く、その苦味強度は苦味物質として知られるキニーネに極めて近いとの報告がある(非特許文献1)。また、0.056〜0.0084質量%のクロロゲン酸に対して0.021〜0.5質量%のL−トリプトファンを添加しても、苦味が強く感じられ、クロロゲン酸の苦味のマスキング効果が不十分であるとの報告もある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−148453号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】静電気学会誌,Vol.26,No.3,p.108-113 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、異味が抑制されたクロロゲン酸類含有食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、収斂味を有するクロロゲン酸類に対し、苦味を有するL−トリプトファンを特定の量比で含有させることで、意外にも、L−トリプトファンの苦味を抑制しつつ、クロロゲン酸類の収斂味を抑制できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.001質量%以上、及び
(B)L−トリプトファン
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.00005〜0.03である、食品組成物を提供するものである。
【0009】
本発明はまた、次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.001質量%以上、及び
(B)L−トリプトファン
を、両者の質量比[(B)/(A)]が0.00005〜0.03となる範囲内で含有させる、クロロゲン酸類の収斂味及びL−トリプトファンの苦味の抑制方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、L−トリプトファンの苦味を抑制しつつ、クロロゲン酸類の収斂味も抑制された飲品組成物を提供することができる。したがって、本発明の飲品組成物は、クロロゲン酸類を継続して摂取するのに有効であり、クロロゲン酸類による生理効果を十分に期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<食品組成物>
本発明の食品組成物は、例えば、固形状でも、液状(飲料)でもよく、適宜の形態を採り得る。例えば、本発明の食品組成物が固形状食品組成物である場合、常温(20℃±15℃)において固体であればその形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。また、本発明の固形状食品組成物の大きさは、咀嚼摂取が可能であれば、食品組成物の形態に応じて適宜選択することができる。本発明の固形状食品組成物中の固形分量は通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。
また、本発明の食品組成物が飲料である場合、利便性の観点から、シングルストレングスが好ましい。ここで、本明細書において「シングルストレングス」とは、希釈せずにそのまま飲用できる飲料をいう。飲料のpH(20℃)は、安定性及び風味の観点から、好ましくは2.0〜8.0、より好ましくは2.5〜7.0、更に好ましくは2.6〜6.5、より更好ましくは3.0〜5.5、殊更好ましくは3.0〜5.0である。
【0012】
本発明の食品組成物は、成分(A)としてクロロゲン酸類を含有する。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。本発明においては上記9種のうち少なくとも1種を含有すればよいが、植物由来の抽出物を使用できる点から、上記9種すべてを含有することが好ましい。
クロロゲン酸類は、塩や水和物の形態であってもよい。塩としては生理学的に許容されるものであれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等を挙げることができる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等を挙げることができる。有機アミン塩としては、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等が挙げられる。中でも、塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましい。
【0013】
成分(A)としては、市販の試薬を用いてもよいが、成分(A)を豊富に含む植物の抽出物やその精製物を使用することもできる。
植物としては、成分(A)が含まれていれば特に限定されないが、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ、南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも、クロロゲン酸類含量等の観点から、コーヒー豆の抽出物が好ましい。
コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種、アラブスタ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。本発明においては、豆種や産地の異なるコーヒー豆を2種以上混合して使用することができる。
【0014】
抽出に使用するコーヒー豆は、生コーヒー豆でも、焙煎コーヒー豆でもよく、これらを併用することもできる。焙煎コーヒー豆は、クロロゲン酸類含量の観点から、浅焙煎コーヒー豆であることが好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値は適宜選択可能であるが、好ましくは27以上62未満、より好ましくは29〜60、更に好ましくは35〜55である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。焙煎方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することが可能であり、また焙煎条件も所望のL値の焙煎コーヒー豆が得られるように適宜選択することができる。抽出に使用するコーヒー豆は、未粉砕でも、粉砕したものでも構わない。
抽出方法及び抽出条件は特に限定されないが、例えば、特開昭58−138347号公報、特開昭59−51763号公報、特開昭62−111671号公報、特開平5−236918号公報等に記載の方法を採用することができる。また、精製方法は特に限定されず、公知の方法を採用することが可能であるが、例えば、イオンクロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー等を単独で又は任意の順序で組み合わせて行うことができる。
【0015】
本発明の食品組成物中の成分(A)の含有量は0.001質量%以上であるが、生理活性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上が更に好ましく、また収斂味抑制の観点から、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が殊更好ましい。かかる成分(A)の範囲としては、食品組成物中に、好ましくは0.001〜90質量%、より好ましくは0.01〜70質量%、更に好ましくは0.03〜60質量%、殊更好ましくは0.03〜50質量%である。ここで、本明細書において、成分(A)の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。また、成分(A)が塩又は水和物である場合、成分(A)の含有量は、遊離酸であるクロロゲン酸類に換算した値とする。成分(A)の分析は、例えば、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の分析法を挙げることができる。
【0016】
また、本発明の食品組成物中の成分(A)の含有量は、食品組成物の形態により適宜選択可能である。
例えば、飲品組成物が固形状食品組成物である場合には、固形状食品組成物中の成分(A)の含有量は、生理活性の観点から、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、また収斂味抑制の観点から、90質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、35質量%以下が殊更好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、固形状食品組成物中に、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは7〜75質量%、更に好ましくは10〜50質量%、殊更好ましくは10〜35質量%である。
本発明の食品組成物が飲料である場合には、飲料中の成分(A)の含有量は、生理活性の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましく、0.039質量%以上が殊更好ましく、また収斂味抑制の観点から、3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.15質量%以下がより更に好ましく、0.1質量%以下が殊更好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、飲料中に、好ましくは0.001〜3.0質量%、より好ましくは0.01〜1.0質量%、更に好ましくは0.03〜0.5質量%、更に好ましくは0.03〜0.15質量%、より更に好ましくは0.03〜0.1質量%、殊更好ましくは0.039〜0.1質量%である。
【0017】
本発明の食品組成物は、クロロゲン酸類の収斂味を抑制するために、成分(B)としてL−トリプトファンを含有する。成分(B)は、天然由来品でも、化学合成品でもよく、更に市販品であってもよい。天然由来品としては、成分(B)を豊富に含む植物の抽出物やその精製物を挙げられる。植物としては、成分(B)が含まれていれば特に限定されないが、例えば、アズキ、インゲン豆等の豆、サトイモ等のイモを挙げることができる。抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法を採用することが可能であり、また精製方法も特に限定されず、例えば、前述した方法を採用することができる。
【0018】
本発明の食品組成物中の成分(B)の含有量は、苦味抑制の観点から、0.00000001質量%以上が好ましく、0.0000001質量%以上がより好ましく、0.0000005質量%以上が更に好ましく、0.0000015質量%以上が殊更好ましく、また収斂味抑制の観点から、1.0質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が更に好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、食品組成物中に、好ましくは0.00000001〜1.0質量%、より好ましくは0.0000001〜0.25質量%、更に好ましくは0.0000005〜0.15質量%、殊更好ましくは0.0000015〜0.15質量%である。
【0019】
また、本発明の食品組成物中の成分(B)の含有量は、食品組成物の形態により適宜選択可能である。
例えば、飲品組成物が固形状食品組成物である場合には、固形状食品組成物中の成分(B)の含有量は、苦味抑制の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、また収斂味抑制の観点から、1.0質量%以下が好ましく、0.35質量%以下がより好ましく、0.20質量%以下が更に好ましく、0.12質量%以下が殊更好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、固形状食品組成物中に、好ましくは0.001〜1.0質量%、より好ましくは0.003〜0.35質量%、更に好ましくは0.01〜0.20質量%、殊更好ましくは0.01〜0.12質量%である。
本発明の飲品組成物が飲料である場合には、飲料中の成分(B)の含有量は、苦味抑制の観点から、0.01質量ppm以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましく、0.5質量ppm以上が更に好ましく、2.0質量ppm以上が殊更好ましく、また収斂味抑制の観点から、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以下が更に好ましく、25質量ppm以下が殊更好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、飲料中に、好ましくは0.01〜100質量ppm、より好ましくは0.1〜50質量ppm、更に好ましくは0.5〜30質量ppm、殊更好ましくは2.0〜25質量ppmである。なお、成分(B)の分析は、例えば、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の分析法を挙げることができる。
なお、本発明の食品組成物は濃縮飲料であっても構わないが、濃縮飲料である場合、規定の用法にしたがって希釈し還元飲料を調製したときに、還元飲料中の成分(A)及び成分(B)の各含有量、並びにpHが上記要件を満たせばよい。
【0020】
本発明の食品組成物中の成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]は0.00005〜0.03であるが、苦味抑制の観点から、0.0001以上が好ましく、0.0005以上がより好ましく、0.0009以上が更に好ましく、また収斂味抑制の観点から、0.01以下が好ましく、0.007以下が更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.0001〜0.01、より好ましくは0.0005〜0.007、更に好ましくは0.0015〜0.007である。
【0021】
また、本発明の食品組成物の質量比[(B)/(A)]は、食品組成物の形態により適宜選択可能である。
例えば、食品組成物が固形状食品組成物である場合には、質量比[(B)/(A)]は、苦味抑制の観点から、0.0001以上が好ましく、0.0005以上がより好ましく、0.0009以上が更に好ましい。また、質量比[(B)/(A)]は0.03以下であるが、収斂味抑制の観点から、0.015以下が好ましく、0.010以下がより好ましく、0.007以下が更に好ましく、0.005以下がより更に好ましく、0.004以下が殊更好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.0001〜0.03、より好ましくは0.0005〜0.015、更に好ましくは0.0005〜0.010、更に好ましくは0.0005〜0.007、より更に好ましくは0.0009〜0.005、殊更好ましくは0.0009〜0.004である。
本発明の食品組成物が飲料である場合には、質量比[(B)/(A)]は、苦味抑制の観点から、0.0001以上が好ましく、0.0005以上がより好ましく、0.001以上が更に好ましく、0.0015以上がより更に好ましく、0.003以上が殊更好ましい。また、質量比[(B)/(A)]は0.03以下であるが、収斂味抑制の観点から、0.009以下が好ましく、0.007以下がより好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.0001〜0.03、より好ましくは0.0005〜0.009、更に好ましくは0.001〜0.009、より更に好ましくは0.0015〜0.007、殊更好ましくは0.003〜0.007である。
【0022】
更に、本発明の食品組成物は、以下の態様も好適である。
本発明の食品組成物が固形状食品組成物である場合には、苦味及び収斂味の抑制の観点から、成分(A)の含有量が10〜50質量%であり、成分(B)の含有量が0.01〜0.35質量%であり、かつ前記質量比[(B)/(A)]が0.0005〜0.007であることが好ましく、成分(A)の含有量が10〜35質量%であり、成分(B)の含有量が0.01〜0.20質量%であり、かつ前記質量比[(B)/(A)]が0.0009〜0.005であることがより好ましい。
また、本発明の食品組成物が飲料である場合には、苦味及び収斂味の抑制の観点から、成分(A)の含有量が0.01〜0.1質量%であり、成分(B)の含有量が0.1〜30質量ppmであり、かつ前記質量比[(B)/(A)]が0.001〜0.009であることが好ましく、成分(A)の含有量が0.039〜0.5質量%、成分(B)の含有量が2.0〜25質量ppmであり、かつ前記質量比[(B)/(A)]が0.0015〜0.007であることがより好ましい。
【0023】
本発明の食品組成物は、嗜好性等を高めるために、所望により、酸味料、甘味料、アミノ酸(L−トリプトファンを除く)、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、香料、果汁、植物エキス、エステル、色素、乳成分、ココアパウダー、調味料、植物油脂、酸化防止剤、保存料、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。なお、添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することが可能である。
【0024】
更に、本発明の食品組成物が固形状である場合、必要に応じて許容される担体を含有することができる。例えば、賦形剤(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等の二糖類、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール、デキストリン、粉飴等の澱粉分解物);結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等);崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等);滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等);嬌味剤(例えば、ステビア等);オリゴ糖、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、酸化防止剤、保存剤、品質安定剤、希釈剤等の担体が挙げられる。なお、担体の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することが可能である。
【0025】
本発明の食品組成物は、常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得るが、例えば、特定量の成分(A)と成分(B)、必要に応じて担体及び/又は添加剤を、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が上記範囲内となるように混合して製造することができる。成分(A)と成分(B)との混合順序は特に限定されず、一方を他方に添加しても、両者を同時に添加してもよい。混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することができるが、混合装置を使用しても構わない。また、本発明の食品組成物が固形状である場合には、所望の形状とするために圧縮成形しても、公知の造粒法により造粒してもよい。
【0026】
本発明の食品組成物が飲料である場合、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。また、飲料は、加熱殺菌済でもよく、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。
【0027】
<クロロゲン酸類の収斂味及びL−トリプトファンの苦味の抑制方法>
本発明のクロロゲン酸類の収斂味及びL−トリプトファンの苦味の抑制方法は、次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.001質量%以上、及び
(B)L−トリプトファン
を、両者の質量比[(B)/(A)]が0.00005〜0.03となる範囲内で含有させるものである。
本発明の抑制方法は、特定量の成分(A)と成分(B)とが最終的に食品組成物中に特定の量比で共存した状態にあればよく、共存させるタイミングや配合順序は特に限定されない。また、食品組成物の形態は、経口摂取可能なものであれば特に限定されず、固形状でも、液状でもよい。なお、食品組成物の具体的構成、並びに成分(A)及び(B)の具体的構成(例えば、各含有量、量比等)については、上記において説明したとおりである。
【0028】
上記実施形態に関し、本発明は更に以下の食品組成物を開示する。
<1a−1>
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 10〜50質量%、及び
(B)L−トリプトファン 0.01〜0.35質量%
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0005〜0.007である、固形状食品組成物。
【0029】
<1b−1>
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 10〜35質量%、及び
(B)L−トリプトファン 0.01〜0.20質量%
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0009〜0.005である、固形状食品組成物。
【0030】
<1−2>
成分(A)の含有量が、好ましくは10〜35質量%である、前記<1a−1>記載の固形状食品組成物。
<1−3>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.01〜0.20質量%である、前記<1a−1>又は<1−2>記載の固形状食品組成物。
<1−4>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.01〜0.12質量%である、前記<1a−1>又は<1−2>記載の固形状食品組成物。
<1−5>
質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.0005〜0.007である、前記<1a−1>及び<1−2>〜<1−4>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<1−6>
質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.0009〜0.005である、前記<1a−1>及び<1−2>〜<1−4>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<1−7>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.01〜0.12質量%である、前記<1b−1>記載の固形状食品組成物。
<1−8>
形態が、好ましくは粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、又はブロック状である、前記<1a−1>、<1b−1>及び<1−2>〜<1−7>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<1−9>
成分(A)が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは前記9種すべてである、前記<1a−1>、<1b−1>及び<1−2>〜<1−8>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
【0031】
<2a−1>
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.01〜0.1質量%、及び
(B)L−トリプトファン 0.1〜30質量ppm
含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.001〜0.009である、液状食品組成物。
【0032】
<2b−1>
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.039〜0.5質量%、及び
(B)L−トリプトファン 2.0〜25質量ppm
含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0015〜0.007である、液状食品組成物。
【0033】
<2−2>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.03〜0.1質量%である、前記<2a−1>記載の液状食品組成物。
<2−3>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.039〜0.1質量%である、前記<2a−1>記載の液状食品組成物。
<2−4>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.5〜30質量ppmである、前記<2a−1>、<2−2>及び<2−3>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−5>
成分(B)の含有量が、好ましくは2.0〜25質量ppmである、前記<2a−1>、<2−2>及び<2−3>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−6>
質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.0005〜0.007である、前記<2a−1>及び<2−2>〜<2−5>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−7>
質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.0015〜0.007である、前記<2a−1>及び<2−2>〜<2−5>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−8>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.039〜0.15質量%である、前記<2b−1>記載の液状食品組成物。
<2−9>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.039〜0.1質量%である、前記<2b−1>記載の液状食品組成物。
<2−10>
pHが、好ましくは3.0〜5.5である、前記<2a−1>、<2b−1>及び<2−2>〜<2−9>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−11>
pHが、好ましくは3.0〜5.0である、前記<2a−1>、<2b−1>及び<2−2>〜<2−9>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−12>
好ましくは飲料(シングルストレングス)である、前記<2a−1>、<2b−1>及び<2−2>〜<2−11>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<2−13>
成分(A)が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは前記9種すべてである、前記<2a−1>、<2b−1>及び<2−2>〜<2−12>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
【0034】
<3−1>
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 5質量%以上、及び
(B)L−トリプトファン
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0005〜0.007である、固形状食品組成物。
【0035】
<3−2>
成分(A)の含有量が、好ましくは10〜50質量%である、前記<3−1>記載の固形状食品組成物。
<3−3>
成分(A)の含有量が、好ましくは10〜35質量%である、前記<3−1>記載の固形状食品組成物。
<3−4>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.01〜0.20質量%である、前記<3−1>〜<3−3>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<3−5>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.01〜0.12質量%である、前記<3−1>〜<3−3>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<3−6>
質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.0009〜0.005である、前記<3−1>〜<3−5>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<3−7>
固形分量が、好ましくは95質量%以上、更に好ましくは97質量%以上である、前記<3−1>〜<3−6>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<3−8>
形態が、好ましくは粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、又はブロック状である、前記<3−1>〜<3−7>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
<3−9>
成分(A)が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは前記9種すべてである、前記<3−1>〜<3−8>のいずれか一に記載の固形状食品組成物。
【0036】
<4−1>
次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類 0.001質量%以上、及び
(B)L−トリプトファン
含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0015〜0.007である、液状食品組成物。
【0037】
<4−2>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.03〜0.1質量%である、前記<4−1>記載の液状食品組成物。
<4−3>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.039〜0.1質量%である、前記<4−1>記載の液状食品組成物。
<4−4>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.5〜30質量ppmである、前記<4−1>〜<4−3>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<4−5>
成分(B)の含有量が、好ましくは2.0〜25質量ppmである、前記<4−1>〜<4−3>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<4−6>
質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.003〜0.007である、前記<4−1>〜<4−5>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<4−7>
pHが、好ましくは3.0〜5.5である、前記<4−1>〜<4−6>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<4−8>
pHが、好ましくは3.0〜5.0である、前記<4−1>〜<4−7>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<4−9>
好ましくは飲料(シングルストレングス)である、前記<4−1>〜<4−8>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
<4−10>
成分(A)が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは前記9種すべてである、前記<4−1>〜<4−9>のいずれか一に記載の液状食品組成物。
【実施例】
【0038】
1.クロロゲン酸類の分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
【0039】
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
【0040】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
【0041】
・3−カフェオイルキナ酸 : 5.3min
・5−カフェオイルキナ酸 : 8.8min
・4−カフェオイルキナ酸 :11.6min
・3−フェルラキナ酸 :13.0min
・5−フェルラキナ酸 :19.9min
・4−フェルラキナ酸 :21.0min
・3,4−ジカフェオイルキナ酸:36.6min
・3,5−ジカフェオイルキナ酸:37.4min
・4,5−ジカフェオイルキナ酸:44.2min
ここで求めたarea%から5−カフェオイルキナ酸(東京化成工業社)を標準物質とし、クロロゲン酸類の含有量(質量%)を求めた。
【0042】
2.L−トリプトファンの分析
分析機器はUPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
【0043】
分析条件は次のとおりである。
・機種 :Waters ACQUITY UPLC H-Class TUVシステム
・カラム:AccQ/Tagtm Ultea Column
・カラム温度:60℃
・移動相:C:AccQ/Tag Ultra EluentA2
D:AccQ/Tag Ultra EluentB
・流量 :0.7mL/min
・注入量:1μL
【0044】
3.pHの測定
pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、試料を20℃に温度調整をして測定した。
【0045】
4.官能試験
各粉末食品、容器詰飲料の「収斂味の強度」及び「苦味の強度」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、各パネリストが下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。その後、専門パネルが協議により最終評点を決定した。
【0046】
(1)収斂味の強度の評価基準
粉末食品については、実施例3の粉末食品の収斂味の強度を評点「5」とし、実施例5の粉末食品の収斂味の強度を評点「3」とし、比較例5の粉末食品の収斂味の強度を評点「1」として評価する。
容器詰飲料については、実施例16の容器詰飲料の収斂味の強度を評点「5」とし、実施例13の容器詰飲料の収斂味の強度を評点「3」とし、比較例10の容器詰飲料の収斂味の強度を評点「1」とする。
具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:収斂味がない(実施例3又は実施例16と同等、又はそれ以上である。)
4:収斂味が弱い(実施例5又は実施例13と比べて優れるが、実施例3又は実施例16と比べて劣る。)
3:収斂味がやや弱い(実施例5又は実施例13と同等である。)
2:収斂味がやや強い(比較例5又は比較例10と比べて優れるが、実施例5又は実施例13と比べて劣る。)
1:収斂味が強い(比較例1又は比較例10と同等、又はそれ以下である。)
【0047】
(2)苦味の強度の評価基準
粉末食品については、実施例3の粉末食品の苦味の強度を評点「5」とし、実施例1の粉末食品の苦味の強度を評点「3」とし、比較例2の粉末食品の苦味の強度を評点「1」として評価する。
容器詰飲料については、実施例16の容器詰飲料の苦味の強度を評点「5」とし、実施例10の容器詰飲料の苦味の強度を評点「3」とし、比較例8の容器詰飲料の苦味の強度を評点「1」とする。
具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:苦味がない(実施例3又は実施例16と同等、又はそれ以上である。)
4:苦味が弱い(実施例1又は実施例10と比べて優れるが、実施例3又は実施例16と比べて劣る。)
3:苦味がやや弱い(実施例1又は実施例10と同等である。)
2:苦味がやや強い(比較例2又は比較例8と比べて優れるが、実施例1又は実施例10と比べて劣る。)
1:苦味が強い(比較例1又は比較例8と同等、又はそれ以下である。)
【0048】
実施例1〜9、22及び23、並びに比較例1〜6
表1に示す割合で各成分を混合して粉末食品を得た。得られた粉末食品の分析結果及び官能評価の結果を表1に併せて示す。なお、実施例26の粉末食品の固形分量は、96質量%であり、他の実施例と比較例の粉末食品の固形分量は98質量%であった。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例10〜21、24及び25、並びに比較例7〜10
表2に示す各成分を配合して飲料(シングルストレングス)を調製した後、容量200mLのPETボトルに充填し加熱殺菌した(ポストミックス方式)。殺菌条件は、65℃、20分で行った。得られた容器詰飲料の分析結果及び官能評価の結果を表2に併せて示す。
【0051】
【表2】
【0052】
製造例1
クロロゲン酸類製剤の製造
L29の焙煎コーヒー豆(産地:ベトナム)を粉砕し、円筒状抽出搭(内径160mm×高さ660mm)6本に、1搭当たりの充填量が4.2kgとなるように充填した。次いで95℃の熱水を1段目の抽出搭の下部から上部へ送液した。次いで1段目の抽出搭上部から排出されたコーヒー抽出液を、2段目の抽出搭下部から上部へ送液した。この操作を3段目以降の抽出塔についても繰り返し行い、6段目の抽出搭の上部から排出されたコーヒー抽出液を、速やかに冷却するとともに回収した。得られた抽出液をロータリーエバポレーター(N−1100V型、東京理科器械(株)社製)を用い30torr、50℃にて減圧加熱濃縮し、Brix10の濃縮組成物を得た。得られた濃縮組成物を、スプレードライヤーを用いて、固形のクロロゲン酸類製剤を得た。
【0053】
実施例26、並びに比較例11及び12
表3に示す割合で各成分を混合して粉末食品を得た。得られた粉末食品の分析結果及び官能評価の結果を表3に併せて示す。なお、実施例26の粉末食品の固形分量は、98質量%であった。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例27、並びに比較例13及び14
表4に示す各成分を配合して飲料(シングルストレングス)を調製した後、容量200mLのPETボトルに充填し加熱殺菌した(ポストミックス方式)。殺菌条件は、65℃、20分で行った。得られた容器詰飲料の分析結果及び官能評価の結果を表4に併せて示す。
【0056】
【表4】
【0057】
表1〜4から、特定量のクロロゲン酸類に対してL−トリプトファンを特定の量比で含有させることにより、L−トリプトファンの苦味を抑制しつつ、クロロゲン酸類の収斂味を抑制できることがわかる。