(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バッテリ保持部(102)は、シート(12)の下方に配置されるとともに、前記バッテリ(105)の長手方向が水平方向に沿うように前記バッテリ(105)を保持する、
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電動三輪車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術の電動三輪車両では、前車体に対してパワーユニットおよび後輪が上下揺動すると、前車体とパワーユニットとをローリング可能に連結する揺動機構部には、撓み方向の力が作用して負荷がかかる。このため、従来技術の電動三輪車両では、揺動機構部にかかる負荷を低減するという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、揺動機構部にかかる負荷を低減できる電動三輪車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る電動三輪車両は、単一の前輪(2)と、左右一対の後輪(3)と、前記前輪(2)を支持する前車体(10)と、前記後輪(3)を駆動するモータ(61,261A,261B)を有し、前記一対の後輪(3)の間に配置されて前記一対の後輪(3)を支持するパワーユニット(51,251)と、車幅方向に直交する方向に延びるローリング軸線(R)回りで前記前車体(10)と前記パワーユニット(51,251)とを揺動可能に連結するとともに、前記前車体(10)に対して上下揺動可能に設けられ、前記パワーユニット(51,251)に対して前記前車体(10)を起立方向に付勢する付勢機構(92)を有する揺動機構部(53,253,353)と、を備え、
前記付勢機構(92)の少なくとも一部は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なり、前記揺動機構部(53,253,353)は、前記パワーユニット(51,251)に固定された第1部材(91,291,391)と、前記第1部材(91,291,391)を回転可能に支持する第2部材(90,290,390)と、を備え、前記第1部材(91,291,391)の少なくとも一部は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なる、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記第1部材(91,291,391)は、前記パワーユニット(51,251)に対して前記ローリング軸線(R)回りで回転不能に設けられ、前記第2部材(90,290,390)は、前記第1部材(91,291,391)に対して前記ローリング軸線(R)回りで回転可能に設けられ、前記付勢機構(92)は、前記第1部材(91,291,391)と前記第2部材(90,290,390)との間に介在
する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記パワーユニット(251)は、左側の前記後輪(3)を駆動する第1モータ(261A)と、右側の前記後輪(3)を駆動する第2モータ(261B)と、を備え、前記揺動機構部(253,353)は、前記第1モータ(261A)と前記第2モータ(261B)との間に配置されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記パワーユニット(51)は、前記モータ(61)の駆動力を前記一対の後輪(3)に分配する差動機構(71)を備え、前記一対の後輪(3)は、互いに同軸に設けられ、前記モータ(61)および前記差動機構(71)は、前記一対の後輪(3)の車軸(78)と同軸に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記揺動機構部(53)は、上下方向から見て前記パワーユニット(51)と重なる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記前車体(10)と前記揺動機構部(53,253,353)と連結するクッション(4)をさらに備え、前記揺動機構部(53,253,353)と前記クッション(4)との接続部(98,298)は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記接続部(298)は、前記一対の後輪(3)の車軸(267)の鉛直上方に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記モータ(61,261A,261B)の電源であるバッテリ(105)を保持するバッテリ保持部(102)をさらに備え、前記バッテリ保持部(102)は、前記揺動機構部(53,253,353)の前方に配置されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記バッテリ保持部(102)は、前記バッテリ(105)をシート(12)の下方から取り出し可能に形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明に係る電動三輪車両は、前記バッテリ保持部(102)は、シート(12)の下方に配置されるとともに、前記バッテリ(105)の長手方向が水平方向に沿うように前記バッテリ(105)を保持する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載した発明によれば、車幅方向から見て揺動機構部が後輪と重ならない構成と比較して、揺動機構部と後輪の接地点とを近付けることができる。これにより、後輪がパワーユニットと共に前車体に対して上下揺動する際に、揺動機構部に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部にかかる負荷を低減することができる。
【0017】
請求項2に記載した発明によれば、車幅方向から見て付勢機構が後輪と重ならない構成と比較して、付勢機構を後輪の接地点に近付けることができる。このため、後輪がパワーユニットと共に前車体に対して上下揺動する際に、第1部材を介して付勢機構に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、付勢機構にかかる負荷を低減することができる。
【0018】
請求項3に記載した発明によれば、揺動機構部が第1モータと第2モータとの間に配置されない構成と比較して、揺動機構部と後輪の接地点とを近付けることができる。これにより、後輪がパワーユニットと共に前車体に対して上下揺動する際に、揺動機構部に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部にかかる負荷を低減することができる。
【0019】
請求項4に記載した発明によれば、モータおよび差動機構が後輪の車軸と異なる軸上に設けられた構成と比較して、後輪の車軸の軸線方向から見た際のパワーユニットの外形を小さくすることができる。このため、揺動機構部をパワーユニットにより近付けて、後輪がパワーユニットと共に前車体に対して上下揺動する際に、揺動機構部に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部にかかる負荷を低減することができる。
【0020】
請求項5に記載した発明によれば、揺動機構部をパワーユニットにより近付けることが可能となる。よって、後輪がパワーユニットと共に前車体に対して上下揺動する際に、揺動機構部に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部にかかる負荷を低減することができる。
【0021】
請求項6に記載した発明によれば、接続部が車幅方向から見て後輪と重ならない構成と比較して、揺動機構部における後輪の接地点に近い位置において前車体の荷重を受けることができる。したがって、前後輪の分担荷重を適正化することができる。
【0022】
請求項7に記載した発明によれば、揺動機構部における、後輪の接地点の直上の部分において前車体の荷重を受けることができる。したがって、前後輪の分担荷重を適正化することができる。
【0023】
請求項8に記載した発明によれば、揺動機構部が車幅方向から見て後輪と重なるように配置されたことによって揺動機構部の前方に生じたスペースを、有効に利用することができる。
【0024】
請求項9に記載した発明によれば、乗員等が車両の側方に立った状態で、低い位置にバッテリを容易に取り出すことができる。また、シートの後方に荷台が設けられる場合には、荷台に搭載した物品を荷台から降ろすことなくバッテリを取り出すことができる。したがって、電動三輪車両の使い勝手を向上させることができる。
【0025】
請求項10に記載した発明によれば、バッテリ保持部の上下方向の寸法が大きくなることを抑制して、バッテリ保持部とシートとの間にスペースを設けることができる。これにより、物品を収容する収容スペース等をシート下に設けることが可能となり、電動三輪車両の使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後上下左右の向きは、車両における前後上下左右の向きと同一とする。すなわち、上下方向は鉛直方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。また、以下の説明に用いる図中において、矢印UPは上方、矢印FRは前方、矢印LHは左方をそれぞれ示している。また、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電動三輪車両の左側面図である。
図1に示すように、第1実施形態の電動三輪車両1は、単一の前輪2、および左右一対の後輪3と、前輪2を操向可能に支持する前車体10と、前車体10を覆う前車体カバー30と、一対の後輪3を支持するとともに前車体10に対して上下揺動可能に連結されたスイングユニット50と、駆動源であるモータ61(
図4参照)等に電力を供給する電力供給部100と、前車体10とスイングユニット50との間に介装されたリアクッション4(クッション)と、を主に備える。電動三輪車両1は、一対の後輪3を接地させた状態で、乗員が乗車した前車体10を左右方向に揺動(ローリング動)可能としている。
【0029】
前車体10は、前輪転舵用のバーハンドル11と、乗員着座用のシート12と、低床フロア13と、前車体10の骨格をなす車体フレーム14と、前輪2を懸架する前輪懸架装置15と、を備える。バーハンドル11とシート12との間は、跨ぎ空間16とされている。低床フロア13は、跨ぎ空間16の下方に配置されている。
【0030】
車体フレーム14は、前端部に設けられ上下方向に対して後傾するヘッドパイプ20と、ヘッドパイプ20の後側から斜め後下方へ延びた後に後方へ湾曲する単一の前部フレーム21と、前部フレーム21の湾曲部両側から左右に分岐して後方へ延びる左右一対の下部フレーム22と、左右それぞれの下部フレーム22の後端部から斜め後上方へ湾曲して延びる左右一対の後部フレーム23と、左右それぞれの後部フレーム23の後端部から後方へ湾曲して延びる左右一対の荷台フレーム24と、を有する。ヘッドパイプ20には、前輪懸架装置15が操向可能に枢支されている。前輪懸架装置15におけるヘッドパイプ20を貫通するステムパイプ25の上端部には、バーハンドル11が固定される。前部フレーム21の後端部は、左右の下部フレーム22間に渡るロアクロスパイプ27の中間部に結合される。
【0031】
左右それぞれの下部フレーム22の後部には、ピボットプレート28が設けられている。左右一対のピボットプレート28は、それぞれ下部フレーム22の後部から後方に向かって延出している。一対のピボットプレート28には、スイングユニット50が上下揺動可能に接続されている(詳細は後述)。
【0032】
バーハンドル11には、左右一対のグリップそれぞれに隣接して、ブレーキレバー45が設けられている。左側のブレーキレバー45には、終端部において左右一対のリアブレーキ5(
図3参照)に接続されたリアブレーキケーブル(不図示)が接続されている。左側のブレーキレバー45を操作することによって、リアブレーキケーブルを牽引し、左右一対のリアブレーキ5を作動させる。右側のブレーキレバー45には、終端部においてフロントブレーキに接続されたフロントブレーキケーブル(いずれも不図示)が接続されている。右側のブレーキレバー45を操作することによって、フロントブレーキケーブルを牽引し、フロントブレーキを作動させる。また、バーハンドル11近傍には、パーキングロックレバー46が配置されている。パーキングロックレバー46には、パーキングロックケーブル(不図示)が接続されている。パーキングロックケーブルの終端部は、リアブレーキ5に接続されている。パーキングロックレバー46を操作することによって、パーキングロックケーブルを牽引し、リアブレーキ5を作動させる。
【0033】
前車体カバー30は、ヘッドパイプ20および前部フレーム21周辺を前方から覆うフロントカバー31と、ヘッドパイプ20および前部フレーム21周辺を後方から覆うインナカバー32と、インナカバー32の下端部の後方に連なるフロアボード33と、フロアボード33の左右側縁部の下方に連なる左右のフロアサイドカバー34と、フロアボード33の左右後方に連なる左右の後部フロア35と、左右の後部フロア35間で立ち上がるシート下カバー36と、左右のフロアサイドカバー34の後端部の斜め上後方に連なり後部フレーム23および荷台フレーム24の側方を覆う左右のリアサイドカバー37と、左右のリアサイドカバー37における後部フレーム23を覆う部分から後方に延出し後述するバッテリボックス102(
図2参照)を側方から覆うバッテリボックスカバー38と、を有する。
【0034】
フロントカバー31およびインナカバー32は、乗員の脚部を前方から覆うレッグシールドを構成する。フロアボード33は、左右の下部フレーム22と共に低床フロア13を構成する。左右のリアサイドカバー37間には、物品収納ボックス6を搭載する荷台39が設けられる。荷台39の前端部からは荷台前壁部40が起立している。荷台前壁部40の上方には、左右一対の支柱41が起立している。フロントカバー31の上端部からはウインドスクリーン42が起立している。ウインドスクリーン42の上端部と左右の支柱41の上端部との間には、ルーフ43が架設される。
【0035】
シート下カバー36は、シート12の下方に配置されたバッテリボックス102からバッテリ105を取り出し可能に形成されている。例えば、シート下カバー36は、図中に2点鎖線で示すように跳ね上げ可能に形成されている。これにより、前車体カバー30は、シート下カバー36を跳ね上げることによって、シート12の下方の空間を開放することができる。
【0036】
図2は、第1実施形態の電動三輪車両の後部を示す左側面図である。
図3は、第1実施形態の電動三輪車両の後部を示す底面図である。なお、
図2では、前車体カバー30の一部や左側の後輪3等を取り外した状態を示している。
図2および
図3に示すように、スイングユニット50は、一対の後輪3の間に設けられたパワーユニット51と、左右一対のピボットプレート28に上下揺動可能に支持されたスイングアーム52と、パワーユニット51とスイングアーム52との間に介在する揺動機構部53と、を備える。
【0037】
図4は、第1実施形態のパワーユニットの概略構成を示す図である。
図4に示すように、パワーユニット51は、一対の後輪3を支持する。パワーユニット51は、ユニットケース60と、モータ61と、減速機構66と、差動機構71と、左右一対の車軸78と、を備える。パワーユニット51は、減速機構66および差動機構71を介してモータ61の出力を一対の車軸78に伝達させる。一対の車軸78は、後輪3の車軸である。左側の車軸78は、左側の後輪3に結合されている。右側の車軸78は、右側の後輪3に結合されている。一対の車軸78は、互いに同軸に設けられている。一対の車軸78は、左右方向に延び、軸端を互いに対向させて配置されている。
【0038】
ユニットケース60は、モータ61、減速機構66および差動機構71を収容する。ユニットケース60は、車軸78を左右両側に突出させるように設けられている。ユニットケース60は、一対の車軸78を回転可能に支持している。なお、以下の説明では、ユニットケース60内の左側の空間にモータ61が配置され、モータ61よりも右側の空間に差動機構71が配置される場合を例に挙げて説明する。
【0039】
モータ61は、一対の後輪3を駆動する。モータ61は、例えばVVVF(Variable Voltage Variavle Frequency)制御による可変速駆動がなされる。モータ61は、車軸78と同軸に設けられている。モータ61は、ユニットケース60に固定された円筒状のステータ62と、ステータ62と同軸かつステータ62の内側に配置された円筒状のロータ63と、ロータ63に結合された円筒軸64と、を備える。円筒軸64は、車軸78と同軸に配置され、左側の車軸78に相対回転可能に外挿されている。
【0040】
減速機構66は、モータ61の駆動回転を減速する。減速機構66は、円筒軸64の右端に形成されたギヤ67と、ユニットケース60に支持された大径ギヤ68および小径ギヤ69と、を備える。ギヤ67および大径ギヤ68は、互いに噛み合う。小径ギヤ69は、大径ギヤ68よりも小径に形成され、大径ギヤ68と一体的に回転する。減速機構66においては、モータ61の円筒軸64の回転がギヤ67および大径ギヤ68を介して小径ギヤ69に伝達されることで減速される。
【0041】
差動機構71は、減速機構66を介して出力されたモータ61の駆動力を左右の車軸78に分配する。差動機構71は、車軸78と同軸に設けられている。差動機構71は、差動キャリア72と、一対のサイドギヤ73と、シャフト74と、一対のピニオンギヤ75と、を備える。差動キャリア72は、一対の車軸78の互いに対向し合う軸端を囲うように配置されている。差動キャリア72は、ユニットケース60に対して車軸78の軸線回りに回転可能となるように、車軸78に外挿されている。差動キャリア72には、減速機構66の小径ギヤ69に噛み合うギヤ76が形成されている。これにより、差動キャリア72は、減速機構66の出力を受けて回転する。
【0042】
一対のサイドギヤ73は、ベベルギヤである。一対のサイドギヤ73は、差動キャリア72に収容されている。一対のサイドギヤ73は、一対の車軸78の互いに対向し合う軸端に固定されている。シャフト74は、車軸78の軸線と直交する軸線を有する。シャフト74は、一対のサイドギヤ73の間に配置され、両端を差動キャリア72に支持されている。一対のピニオンギヤ75は、それぞれ一対のサイドギヤ73に噛み合うベベルギヤである。一対のピニオンギヤ75は、それぞれ一対のサイドギヤ73に挟まれ、シャフト74に回転可能に支持されている。
【0043】
差動機構71においては、減速機構66の出力を受けて差動キャリア72が回転すると、車軸78の軸線回りをシャフト74が回転する。この際、一対のピニオンギヤ75は、車軸78の軸線回りを公転する。ここで、左右の車軸78にかかる抵抗が等しい場合には、シャフト74と共に公転する一対のピニオンギヤ75が自転することなく、一対のサイドギヤ73、および一対の車軸78が同一速度で回転する。左右の車軸78にかかる抵抗に差が生じる場合には、一対のピニオンギヤ75が適宜自転して一対のサイドギヤ73、および一対の車軸78の間に回転速度差を生じさせる。このように、差動機構71は、モータ61の駆動力を車軸78を介して一対の後輪3に分配する。
【0044】
図3に示すように、パワーユニット51と各後輪3との間には、リアブレーキ5が配置されている。例えば、リアブレーキ5は、後輪3のホイールに一体形成されたブレーキドラムと、パワーユニット51のユニットケース60に支持されたブレーキシューと、を有する。ブレーキシューは、リアブレーキケーブルおよびパーキングロックケーブル(いずれも不図示)のうち少なくともいずれか一方が牽引されることによってブレーキドラムに摺接するように構成されている。
【0045】
スイングアーム52は、パワーユニット51の前方に配置されている。スイングアーム52は、左右一対のピボットプレート28によって、左右方向に延びるピボット軸線P回りに回動可能に支持されている。スイングアーム52は、左右一対のサイドアーム80と、一対のサイドアーム80の間に架設されたバッテリ支持部81と、を備える。一対のサイドアーム80は、それぞれピボットプレート28に支持されている。サイドアーム80は、ピボット軸線Pよりも前方の位置から、ピボット軸線Pよりも後方の位置に亘って延びている。例えば、サイドアーム80は、ピボット軸線Pから前方に向かって水平に延びるとともに、ピボット軸線Pから後方に向かうに従い僅かに下方に傾斜して延びている(
図2参照)。例えば、一対のサイドアーム80は、後端部において互いの間隔が狭まるように屈曲または湾曲している。バッテリ支持部81は、水平に延びる上面を有し、電力供給部100を下方から支持する。バッテリ支持部81は、電力供給部100の少なくとも一部を下方から覆っている。
【0046】
揺動機構部53は、前部においてスイングアーム52に固定され、後部においてパワーユニット51に固定されている。これにより、揺動機構部53は、パワーユニット51およびスイングアーム52と共に、前車体10(
図1参照)に対して上下揺動可能に設けられている。揺動機構部53は、スイングアーム52を介して前車体10とパワーユニット51とをローリング軸線R回りで揺動可能に連結している。ローリング軸線Rは、左右方向における車体中央において、左右方向に直交する方向に延びている。例えば、ローリング軸線Rは、ピボット軸線Pに直交している。揺動機構部53は、スイングアーム52に固定されたジョイントケース90(第2部材)と、ジョイントケース90に回転可能に支持されるとともにパワーユニット51に固定されたジョイント軸91(第1部材)と、ジョイントケース90およびジョイント軸91の相対回転にダンパ効果を付与する付勢機構92と、ジョイントケース90およびジョイント軸91の相対回転を制止可能なロック機構93と、を備える。ここで、付勢機構とは、具体的にはナイトハルトゴムばねや、ねじりコイルばね、トーションバー等を指し、揺動機構部を起立方向に付勢する手段であれば種々の手段を用いることが出来る。また、本実施形態ではナイトハルトゴムばねを用いる場合を例示し、以後簡略化のためナイトハルトと記載する。
【0047】
図2に示すように、揺動機構部53の少なくとも一部は、左右方向から見て後輪3と重なっている。具体的に、揺動機構部53のうち、ローリング軸線Rに直交する方向から見てジョイントケース90とジョイント軸91とが重なる部分の少なくとも一部は、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0048】
ジョイントケース90は、揺動機構部53の前部を構成している。ジョイントケース90の前端部は、スイングアーム52の一対のサイドアーム80の後端部の間に配置され、各サイドアーム80に締結されている(
図3参照)。ジョイントケース90の上部には、リアクッション4が接続されるクッション接続部98(接続部)が設けられている。クッション接続部98は、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0049】
ジョイント軸91は、ローリング軸線Rを中心軸線とする円柱状に形成されている。ジョイント軸91の前部は、ジョイントケース90に挿入されている。ジョイント軸91は、適宜配置された軸受を介して、ジョイントケース90にローリング軸線R回りで回転可能に支持されている。ジョイント軸91の後端部は、パワーユニット51のユニットケース60に結合されている。これにより、ジョイント軸91は、パワーユニット51に対してローリング軸線R回りで回転不能に設けられている。例えば、ジョイント軸91の後端部は、ユニットケース60の下面に結合されている。
【0050】
ナイトハルト92は、ジョイントケース90とジョイント軸91の前端部との間に介在している。ナイトハルト92は、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0051】
図5は、
図3のV−V線における断面図である。
図5に示すように、ナイトハルト92は、ジョイント軸91に固定されたナイトハルトカム95と、ナイトハルトカム95とジョイントケース90の内面との間に介在するナイトハルトラバー96と、を備える。ナイトハルトラバー96は、複数設けられ、それぞれジョイントケース90の内面に係合している。ナイトハルトカム95は、ローリング軸線R回りの周方向の両側からナイトハルトラバー96に対向するカム面95aを有する。ナイトハルトカム95は、ジョイントケース90に対してローリング軸線R回りに回転しようとすると、ジョイントケース90の内面に係合したナイトハルトラバー96を押圧して、ナイトハルトラバー96を弾性変形させる。ナイトハルトラバー96は、弾性変形した際の復元力によって、ナイトハルトカム95を初期位置に向けて付勢する。これにより、ナイトハルト92は、ジョイント軸91に結合されたパワーユニット51に対し、ジョイントケース90に固定されたスイングアーム52を介して前車体10を起立方向に付勢する(
図2参照)。
【0052】
図2に示すように、ロック機構93は、パーキングロックレバー46(
図1参照)の操作に応じて、ジョイントケース90に対するジョイント軸91の回転を制止する。ロック機構93は、ジョイントケース90内に設けられている。ロック機構93には、パーキングロックケーブル(不図示)の中間部分が連係されている。これにより、ロック機構93は、パーキングロックレバー46が操作されることで、リアブレーキ5と共に作動する。ロック機構93は、ジョイントケース90およびジョイント軸91の相対回転を制止することで、ジョイントケース90に固定されたスイングアーム52を介して、前車体10のパーキング姿勢を安定させる。
【0053】
電力供給部100は、前車体10とスイングユニット50との間に設けられている。電力供給部100は、PCU(Power Control Unit)101と、バッテリボックス102(バッテリ保持部)と、ジャンクションボックス103と、ダウンレギュレータ104と、を備える。
【0054】
PCU101は、モータドライバであるPDU(Power Drive Unit)や、PDUを制御するECU(Electric Control Unit)等を含む制御ユニットである。PCU101は、揺動機構部53の前方に配置されている。PCU101は、スイングアーム52によって下方から支持されている。PCU101は、スイングアーム52のバッテリ支持部81に載置され、バッテリ支持部81に固定されている。これにより、PCU101は、バッテリ支持部81によって下方から覆われている。
【0055】
バッテリボックス102は、モータ61(
図4参照)の電源であるバッテリ105を収容して保持する。また、バッテリボックス102は、バッテリ105の充放電等を管理する図示しないBMU(Battery Managing Unit)を内部に備えている。バッテリボックス102は、一対設けられ、シート12の下方において左右に並んで配置されている。一対のバッテリボックス102は、PCU101に載置され、揺動機構部53の前方に配置されている。一対のバッテリボックス102は、PCU101を介してスイングアーム52によって下方から支持されている。バッテリボックス102は、シート下カバー36、リアサイドカバー37およびバッテリボックスカバー38によって前方および側方から覆われている。
【0056】
バッテリボックス102は、直方体状を呈し、内部に直方体状のバッテリ105を収容する。バッテリボックス102は、バッテリ105の長手方向が前後方向に沿うようにバッテリ105を保持する。バッテリボックス102は、前方に向かって開口するバッテリ挿脱口を有する。バッテリボックス102は、バッテリ105を前後方向(水平方向)に移動させて挿脱させるように配置されている。バッテリボックス102に収容されたバッテリ105は、例えばシート下カバー36を跳ね上げることにより、シート12の下方から前方に取り出し可能とされている。
【0057】
ジャンクションボックス103は、バッテリボックス102から延びる配線を集約する。ジャンクションボックス103からは、PCU101やダウンレギュレータ104等に接続される配線が延びている。ジャンクションボックス103は、バッテリボックス102の後部に取り付けられている。
【0058】
ダウンレギュレータ104は、バッテリ105から供給される直流電流の電圧を降圧する。ダウンレギュレータ104は、ジャンクションボックス103の後部に取り付けられている。ダウンレギュレータ104の後部には、複数の放熱フィンが立設されている。
【0059】
リアクッション4は、前車体10と揺動機構部53とを連結している。リアクッション4は、圧縮コイルばねを有する緩衝器およびダンパを一体に備えたものである。リアクッション4の下端部は、揺動機構部53におけるジョイントケース90のクッション接続部98に連結されている。リアクッション4の上端部は、前車体10の荷台フレーム24に連結されている。
【0060】
以上に詳述したように、本実施形態の電動三輪車両1は、後輪3を駆動するモータ61を有し、一対の後輪3の間に配置されて一対の後輪3を支持するパワーユニット51と、左右方向に直交する方向に延びるローリング軸線R回りで前車体10とパワーユニット51とを揺動可能に連結するとともに、前車体10に対して上下揺動可能に設けられ、パワーユニット51に対して前車体10を起立方向に付勢するナイトハルト92を有し、少なくとも一部が左右方向から見て後輪3と重なる揺動機構部53と、を備える。
【0061】
ここで、揺動機構部53によって前車体10に連結された後輪3が前車体10に対して上下揺動すると、前車体10と後輪3とを連結する揺動機構部53には、撓み方向の力が作用する。揺動機構部53に作用する撓み方向の力は、揺動機構部53が後輪3からピボット軸線Pに近付くにしたがって増加する。
本実施形態によれば、左右方向から見て揺動機構部が後輪と重ならない構成と比較して、揺動機構部53と後輪3の接地点とを近付けることができる。これにより、後輪3がパワーユニット51と共に前車体10に対して上下揺動する際に、揺動機構部53に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部53にかかる負荷を低減することができる。
【0062】
また、ナイトハルト92は、ジョイントケース90とジョイント軸91との間に介在し、左右方向から見て後輪3と重なっている。ここで、揺動機構部53に撓み方向の力が作用すると、ジョイントケース90とジョイント軸91とが互いに直接接触する箇所、およびジョイントケース90とジョイント軸91との間に他の部材を介在する箇所に力がかかる。すなわち、揺動機構部53に撓み方向の力が作用すると、ジョイントケース90とジョイント軸91との間に介在するナイトハルト92に力がかかる。ナイトハルト92にかかる力は、揺動機構部53に撓み方向の力を作用させる後輪3からピボット軸線Pに近付くに従って増加する。
本実施形態によれば、左右方向から見てナイトハルトが後輪と重ならない構成と比較して、ナイトハルト92を後輪3の接地点に近付けることができる。このため、後輪3がパワーユニット51と共に前車体10に対して上下揺動する際に、ジョイント軸91を介してナイトハルト92に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、ナイトハルト92にかかる負荷を低減することができる。
【0063】
また、パワーユニット51は、モータ61の駆動力を一対の後輪3に分配する差動機構71を備える。モータ61および差動機構71は、一対の後輪3の車軸78と同軸に設けられている。この構成によれば、モータおよび差動機構が後輪の車軸と異なる軸上に設けられた構成と比較して、後輪3の車軸78の軸線方向から見た際のパワーユニット51の外形を小さくすることができる。このため、揺動機構部53をパワーユニット51により近付けて、後輪3がパワーユニット51と共に前車体10に対して上下揺動する際に、揺動機構部53に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部53およびナイトハルト92にかかる負荷を低減することができる。
【0064】
また、揺動機構部53は、上下方向から見てパワーユニット51と重なっている。この構成によれば、揺動機構部53をパワーユニット51により近付けることが可能となる。よって、後輪3がパワーユニット51と共に前車体10に対して上下揺動する際に、揺動機構部53に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部53およびナイトハルト92にかかる負荷を低減することができる。
【0065】
また、揺動機構部53におけるクッション接続部98は、左右方向から見て後輪3と重なっている。この構成によれば、クッション接続部が左右方向から見て後輪と重ならない構成と比較して、揺動機構部53における後輪3の接地点に近い位置において前車体10の荷重を受けることができる。したがって、前後輪の分担荷重を適正化することができる。
【0066】
また、バッテリボックス102は、揺動機構部53の前方に配置されている。この構成によれば、揺動機構部53が左右方向から見て後輪3と重なるように配置されたことによって揺動機構部53の前方に生じたスペースを有効に利用することができる。
【0067】
また、バッテリボックス102は、バッテリ105をシート12の下方から取り出し可能に形成されている。この構成によれば、乗員等が車両の側方に立った状態で、低い位置にバッテリ105を容易に取り出すことができる。また、荷台39に搭載した物品収納ボックス6を荷台39から降ろすことなくバッテリ105を取り出すことができる。したがって、電動三輪車両1の使い勝手を向上させることができる。
【0068】
また、バッテリボックス102は、シート12の下方に配置されるとともに、バッテリ105の長手方向が水平方向に沿うようにバッテリ105を保持する。この構成によれば、バッテリボックス102の上下方向の寸法が大きくなることを抑制して、バッテリボックス102とシート12との間にスペースを設けることができる。これにより、物品を収容する収容スペース等をシート12の下に設けることが可能となり、電動三輪車両1の使い勝手を向上させることができる。
【0069】
また、PCU101は、バッテリ支持部81によって下方から覆われている。このため、バッテリ支持部81によって、路面の段差等がPCU101に接触することを防止できる。したがって、PCU101を保護してPCU101の損傷を抑制することができる。
【0070】
なお、上記第1実施形態では、ジョイント軸91の後端部がユニットケース60の下面に結合されているが、これに限定されず、例えばユニットケース60の上面または前面に結合されていてもよい。
【0071】
また、上記第1実施形態では、パーキングロックケーブルの終端は、リアブレーキ5に接続されているが、これに限定されない。パーキングロックケーブルの終端は、例えばパワーユニット内でギヤをロックして後輪3の回転を制止する機構に接続されていてもよい。
【0072】
また、上記第1実施形態では、ナイトハルト92の全体が左右方向から見て後輪3と重なっているが、ナイトハルト92の少なくとも一部が左右方向から見て後輪3と重なっていれば、上述した作用効果を奏することができる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、
図6から
図8を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、一対の後輪3を各別に駆動する一対のモータ261A,261Bを備える点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0074】
図6は、第2実施形態の電動三輪車両の後部を示す左側面図である。
図7は、第2実施形態の電動三輪車両の後部を示す底面図である。
図6および
図7に示すように、第2実施形態の電動三輪車両201は、一対の後輪3を支持するとともに前車体10に対して上下揺動可能に連結されたスイングユニット250を備える。スイングユニット250は、一対の後輪3の間に設けられたパワーユニット251と、スイングアーム52と、パワーユニット251とスイングアーム52との間に介在する揺動機構部253と、を備える。
【0075】
図7に示すように、パワーユニット251は、一対の後輪3を支持する。パワーユニット251は、左の後輪3を支持するとともに左の後輪3を駆動する第1モータ261Aと、右の後輪3を支持するとともに右の後輪3を駆動する第2モータ262Bと、を備える。
【0076】
第1モータ261Aおよび第2モータ261Bは、それぞれ後輪3のホイール内に設けられたインホイール式のモータである。第1モータ261Aおよび第2モータ261Bは、例えばVVVF制御による可変速駆動がなされる。第1モータ261Aおよび第2モータ261Bは、それぞれモータハウジング263と、モータハウジング263内に配置されたステータおよびロータ(いずれも不図示)と、ロータに結合された出力軸(不図示)と、後輪3に結合されるとともに出力軸の回転を受けて回転する後輪3の車軸267と、を備える。例えば、出力軸と車軸267との間には減速歯車が介在し、ロータから出力軸に出力された駆動回転が減速して車軸267に伝達される。第1モータ261Aと左側の後輪3との間、および第2モータ261Bと右側の後輪3との間、のそれぞれには、リアブレーキ5が配置されている。
【0077】
図6および
図7に示すように、揺動機構部253は、前部においてスイングアーム52に固定され、後部においてパワーユニット251に固定されている。これにより、揺動機構部253は、パワーユニット251およびスイングアーム52と共に、前車体10に対して上下揺動可能に設けられている。揺動機構部253は、スイングアーム52を介して前車体10とパワーユニット251とをローリング軸線R回りで揺動可能に連結している。
【0078】
揺動機構部253は、スイングアーム52に固定されたジョイントケース290(第2部材)と、ジョイントケース290に回転可能に支持されるとともにパワーユニット251に固定されたジョイント軸291(第1部材)と、ジョイントケース290およびジョイント軸291の相対回転にダンパ効果を付与するナイトハルト92と、ジョイントケース290およびジョイント軸291の相対回転を制止可能なロック機構93と、を備える。揺動機構部253の少なくとも一部は、第1モータ261Aと第2モータ261Bとの間に配置され、左右方向から見て後輪3と重なっている。具体的に、揺動機構部253のうち、ローリング軸線Rに直交する方向から見てジョイントケース290とジョイント軸291とが重なる部分の少なくとも一部は、第1モータ261Aと第2モータ261Bとの間に配置され、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0079】
ジョイントケース290は、揺動機構部253の前部を構成している。ジョイントケース290の前端部は、スイングアーム52の一対のサイドアーム80の後端部の間に配置され、スイングアーム52に締結されている。ジョイントケース290の上部には、リアクッション4が接続されるクッション接続部298(接続部)が設けられている。クッション接続部298は、左右方向から見て車軸267の鉛直上方において後輪3と重なっている。
【0080】
図8は、
図6のVIII−VIII線における断面図である。
図6から
図8に示すように、ジョイントケース290の後部には、ジョイント軸291の後述する第2軸291bが挿通される挿通部290aが形成されている。挿通部290aは、ローリング軸線R回りに揺動する第2軸291bを避けるように形成されている。
【0081】
図7に示すように、ジョイント軸291は、ローリング軸線Rを中心軸線とする円柱状に形成された第1軸291aと、第1軸291aの中間部から左右両側に延びる第2軸291bと、を有する。第1軸291aは、適宜配置された軸受を介して、ジョイントケース290にローリング軸線R回りで回転可能に支持されている。図示の例では、第1軸291aは、第1軸291aと第2軸291bとの接続部を挟んだ前後両側で、ジョイントケース290に支持されている。第1軸291aの前端部とジョイントケース290との間には、ナイトハルト92が介在している。
【0082】
第2軸291bは、ジョイントケース290の挿通部290aを通って、ジョイントケース290から左右両側に突出している。第2軸291bの左側の端部は、第1モータ261Aのモータハウジング263に固定されている。第2軸291bの右側の端部は、第2モータ261Bのモータハウジング263に固定されている。
【0083】
以上に詳述したように、本実施形態では、揺動機構部253は、左側の後輪3を駆動する第1モータ261Aと、右側の後輪3を駆動する第2モータ261Bと、の間に配置されている。この構成によれば、揺動機構部が第1モータと第2モータとの間に配置されない構成と比較して、揺動機構部253と後輪3の接地点とを近付けることができる。これにより、後輪3がパワーユニット251と共に前車体10に対して上下揺動する際に、揺動機構部253に作用する撓み方向の力を小さくすることができる。したがって、揺動機構部253にかかる負荷を低減することができる。
【0084】
また、揺動機構部253におけるクッション接続部298は、車軸267の鉛直上方に設けられている。この構成によれば、揺動機構部253における、後輪3の接地点の直上の部分において前車体10の荷重を受けることができる。したがって、前後輪の分担荷重を適正化することができる。
【0085】
なお、上記第2実施形態では、ジョイント軸291の第2軸291bが第1軸291aの中間部から延びているが、これに限定されない。例えば、
図9に示すように、揺動機構部353において、ジョイント軸391の第2軸391bは、ローリング軸線Rに沿って延びる第1軸391aの後端部から、ジョイントケース390を避けるように迂回して延び、第1モータ261Aおよび第2モータ261Bそれぞれのモータハウジング263に固定されていてもよい。
【0086】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、揺動機構部53,253,353のジョイントケース90,290,390がスイングアーム52に固定され、ジョイント軸91,291,391がパワーユニット51,251に固定されているが、これに限定されない。すなわち、ジョイント軸がスイングアームに固定され、ジョイントケースがパワーユニットに固定されてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、PCU101がスイングアーム52上に載置されているが、これに限定されず、PCUがパワーユニットと一体に設けられていてもよい。この場合、バッテリボックスをスイングアーム52によって下方から直接支持することが望ましい。
【0088】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。