(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795544
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】金属薄板からロール成形される車両レインフォースメントビーム
(51)【国際特許分類】
B60R 19/04 20060101AFI20201119BHJP
B21D 5/08 20060101ALI20201119BHJP
B21D 47/01 20060101ALI20201119BHJP
B21D 53/88 20060101ALI20201119BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20201119BHJP
【FI】
B60R19/04 M
B21D5/08 M
B21D47/01 C
B21D53/88 E
B23K26/21 N
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-88524(P2018-88524)
(22)【出願日】2018年5月2日
(62)【分割の表示】特願2016-146930(P2016-146930)の分割
【原出願日】2011年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-167828(P2018-167828A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】61/385,680
(32)【優先日】2010年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591187162
【氏名又は名称】シェイプ・コープ
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテ、ダグ
(72)【発明者】
【氏名】ガッティ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】オックスリー、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】マルコブスキー、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ラマムーシー、カンナン
(72)【発明者】
【氏名】ペンダグラス、エド
【審査官】
森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2001/0020609(US,A1)
【文献】
特開2004−017809(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0130166(US,A1)
【文献】
特表2013−537868(JP,A)
【文献】
特表2009−509775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/04
B21D 5/08
B21D 47/01
B21D 53/88
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板からロール成形される車両レインフォースメントビームであって、
前記車両レインフォースメントビームが、共通の中央壁部を共有する2つの隣接する筒状セクションを含むように金属薄板から形成される複筒状レインフォースメントビームを含み、
前記金属薄板の第1の外側セクション及び第2の外側セクションが、前記共通の中央壁部の対向する第1の端部及び第2の端部からそれぞれ延在し、且つ前記隣接する筒状セクションを包囲するように前記共通の中央壁部のそれぞれの第2の端部及び第1の端部に取り付けられるように形成され、
前記第1の外側セクションが、前記共通の中央壁部と共に前記隣接する筒状セクションの第1の筒状セクションを形成する第1の壁部、第2の壁部、及び第3の壁部を画成するように成形され、
前記第2の外側セクションが、前記共通の中央壁部と共に前記隣接する筒状セクションの第2の筒状セクションを形成する第5の壁部、第6の壁部、及び第7の壁部を画成するように成形され、
前記第1の壁部及び前記第5の壁部が前記レインフォースメントビームの第1の面を画成し、
前記第3の壁部及び前記第7の壁部が、前記レインフォースメントビームの対向する側に前記レインフォースメントビームの第2の面を画成し、
前記第1の壁部、前記第2の壁部、及び前記第3の壁部を形成する、前記金属薄板の前記第1の外側セクションと、前記第5の壁部、前記第6の壁部、及び前記第7の壁部を形成する、前記金属薄板の前記第2の外側セクションとが、同一の方向の回転方向で同時に形成され、前記共通の中央壁部の対向する側に、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションを形成し、
前記第1の壁セクション及び前記第7の壁セクションが、3〜9mmの曲げ半径を有するように屈曲される前記金属薄板の縁部分をそれぞれ含み、
前記縁部分が、前記第1の面に沿って前記隣接する筒状セクション間に第1の割れ目と、前記第2の面に沿って前記隣接する筒状セクション間に第2の割れ目とを形成するために、前記共通の中央壁部と当接しかつ連続接触して取り付けられ、
前記レインフォースメントビームの曲げ強度及び捩じれ強度を向上させるように、前記共通の中央壁部の前記対向する第1の端部及び第2の端部に、互いに概ね整列して、前記第1の割れ目及び前記第2の割れ目の各々に沿って延在する、第1の割れ目リブ及び第2の割れ目リブを画成するように、溶接部が、前記第1の割れ目及び前記第2の割れ目の各々に形成され、
前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションが、それぞれ前記レインフォースメントビームの前記第1の面において、前記第1の割れ目リブを挟んで対向する側に配置されたチャネルリブを含み、
前記チャネルリブは、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションをそれぞれ強化するために前記レインフォースメントビームに沿って長手方向に延在し、
前記チャネルリブは、それぞれ、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションの内部容積内へ突出する、対向する側壁部を含み、
前記チャネルリブの前記対向する側壁部は、互いに平行であり、前記中央壁とも平行であり、
前記チャネルリブが、前記第1の筒状セクション又は前記第2の筒状セクションのそれぞれの幅の約10%〜40%の、前記対向する側壁部間の幅を有する、車両レインフォースメントビーム。
【請求項2】
前記チャネルリブが、
前記第1の割れ目リブと、前記第2の壁部及び前記第6の壁部によって画成された前記レインフォースメントビームの外側壁部との間で、前記それぞれの第1の筒状セクション及び第2の筒状セクションの中央に位置付けられる、請求項1に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の割れ目リブを形成する前記溶接部が、溶接ステーションでレーザー溶接によって形成された接合材料の連続したストリップをそれぞれ含み、
前記溶接ステーションが、前記レインフォースメントビームを一貫性のある断面形状で保持し、
前記金属薄板の前記縁部分が、前記溶接部を形成するときに前記第1及び前記第2の割れ目を実質的に閉鎖するように前記共通の中央壁部に対して保持される、請求項1に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項4】
前記チャネルリブが、前記第1の割れ目リブから、略等しい間隔をあけて、配置される、請求項1に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項5】
前記チャネルリブが、前記金属薄板の前記第1の外側セクション及び前記第2の外側セクションが同時に屈曲する間に、前記共通の中央壁部と平行に整列してロール成形される、請求項1に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項6】
丸みが与えられた角部が、前記共通の中央壁部と、前記第3の壁部及び前記第5の壁部と、の間に画成され、
前記丸みが与えられた角部が、それぞれ、前記金属薄板の前記縁部分において、前記曲げ半径と等しい曲げ半径を有する、請求項1に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項7】
前記第1の壁部及び前記第5の壁部が実質的に同一平面上にあり、
前記第3の壁部及び前記第7の壁部が実質的に同一平面上にあり、
前記第2の壁部及び前記第6の壁部が前記共通の中央壁部と実質的に平行である、請求項1に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項8】
金属薄板からロール成形される車両レインフォースメントビームであって、
前記車両レインフォースメントビームが、2つの隣接する筒状セクションを含む複筒状レインフォースメントビームを含み、
前記レインフォースメントビームが、共通の中央壁部を共有する前記2つの隣接する筒状セクションを含むように金属薄板から形成され、
前記金属薄板の第1の外側セクション及び第2の外側セクションが、前記共通の中央壁部の第1の端部及び第2の端部から概ね対向する方向に延在し、
前記第1の外側セクションが、前記隣接する筒状セクションの第1の筒状部を包囲するように前記共通の中央壁部の前記第2の端部に取り付けられるように形成され、
前記第2の外側セクションが、前記隣接する筒状セクションの第2の筒状部を包囲するように前記共通の中央壁部の前記第1の端部に取り付けられるように形成され、
前記第1の外側セクションが、前記共通の中央壁部と共に前記第1の筒状部を形成する第1の壁部、第2の壁部、及び第3の壁部を画成するように成形され、
前記第2の外側セクションが、前記共通の中央壁部と共に前記第2の筒状部を形成する第5の壁部、第6の壁部、及び第7の壁部を画成するように成形され、
前記第1の壁部及び前記第5の壁部が前記レインフォースメントビームの第1の面を画成し、
前記第3の壁部及び前記第7の壁部が、前記レインフォースメントビームの対向する側に前記レインフォースメントビームの第2の面を画成し、
前記第1の壁部、前記第2の壁部、及び前記第3の壁部を形成する、前記金属薄板の前記第1の外側セクションと、前記第5の壁部、前記第6の壁部、及び前記第7の壁部を形成する、前記金属薄板の前記第2の外側セクションとが、同一の方向の回転方向で同時に形成され、前記共通の中央壁部の対向する側に、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションを形成し、
前記第1の壁セクション及び前記第7の壁セクションが、前記金属薄板の縁部分であって、3〜9mmの曲げ半径を有するように屈曲され、且つ前記共通の中央壁部と当接しかつ連続接触して取り付けられる前記金属薄板の縁部分をそれぞれ含み、
割れ目が、前記第1の面及び前記第2の面に沿って前記縁部分と前記共通の中央壁部との境界面に画成され、
前記レインフォースメントビームの曲げ強度及び捩じれ強度を向上させるように、前記共通の中央壁部の前記対向する第1の端部及び第2の端部に、互いに概ね整列して、前記第1の割れ目リブ及び前記第2の割れ目リブを画成するように、接合材料の連続したストリップを有する溶接部が前記割れ目の各々に形成され
前記第1の筒状部及び前記第2の筒状部が、前記レインフォースメントビームの前記第1の面において、前記第1の割れ目リブを挟んで対向する側に配置されたチャネルリブを含み、
前記チャネルリブは、それぞれ、前記第1の筒状部及び前記第2の筒状部の内部容積内へ突出する、対向する側壁部を含み、
前記チャネルリブの前記対向する側壁部は、互いに平行であり、前記中央壁とも平行であり、
前記チャネルリブは、前記第1の筒状部及び第2の筒状部をそれぞれ強化するために前記レインフォースメントビームに沿って長手方向に延在し、
前記チャネルリブが、前記第1の筒状部又は前記第2の筒状部のそれぞれの幅の約10%〜40%の幅を有する、車両レインフォースメントビーム。
【請求項9】
前記チャネルリブが、前記第1の割れ目リブと、前記第2の壁部及び前記第6の壁部によって画成された前記レインフォースメントビームの外側壁部との間で、前記それぞれの第1の筒状部及び第2の筒状部の中央に位置付けられる、請求項8に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項10】
前記チャネルリブが、前記第1の割れ目リブから、略等しい間隔をあけて、前記第1の壁部及び前記第5の壁部に配置される、請求項8に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項11】
前記チャネルリブが、前記金属薄板の前記第1の外側セクション及び前記第2の外側セクションが同時に屈曲する間に、前記共通の中央壁部と平行に整列してロール成形される、請求項8に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項12】
丸みが与えられた角部が前記共通の中央壁部と前記第3の壁部及び前記第5の壁部との間に画成され、
前記丸みが与えられた角部が、前記金属薄板の前記縁部分での前記曲げ半径と等しい曲げ半径をそれぞれ含む、請求項8に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項13】
金属薄板からロール成形される車両レインフォースメントビームであって、前記車両レインフォースメントビームが、
2つの隣接する筒状セクションであって、それぞれ実質的に等しい長手方向の湾曲度を有し、且つそれにより互いに平行に整列している2つの隣接する筒状セクションを含む、複筒状レインフォースメントビームを含み、
前記レインフォースメントビームが、共通の中央壁部を共有する前記2つの隣接する筒状セクションを含むように金属薄板から形成され、
前記金属薄板の第1の外側セクション及び第2の外側セクションが、前記共通の中央壁部の第1の端部及び第2の端部から延在し、
前記第1の外側セクションが、第1の筒状セクションを包囲するように前記共通の中央壁部の前記第2の端部に取り付けられるように形成され、
前記第2の外側セクションが、第2の筒状セクションを包囲するように前記共通の中央壁部の前記第1の端部に取り付けられるように形成され、
前記第1の外側セクションが、前記共通の中央壁部と共に前記第1の筒状セクションを形成する第1の壁部、第2の壁部、及び第3の壁部を画成するように成形され、
前記第2の外側セクションが、前記共通の中央壁部と共に前記第2の筒状セクションを形成する第5の壁部、第6の壁部、及び第7の壁部を画成するように成形され、
前記第1の壁部、前記第2の壁部、及び前記第3の壁部を形成する、前記金属薄板の前記第1の外側セクションと、前記第5の壁部、前記第6の壁部、及び前記第7の壁部を形成する、前記金属薄板の前記第2の外側セクションとが、同一の方向の回転方向で同時に形成され、前記共通の中央壁部の対向する側に、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションを形成し、
前記第1の壁セクション及び前記第7の壁セクションが、3〜9mmの曲げ半径を有するように屈曲される前記金属薄板の縁部分をそれぞれ含み、
丸みが与えられた角部が前記共通の中央壁部と前記第3の壁部及び前記第5の壁部との間に画成され、且つ3〜9mmの曲げ半径をそれぞれ含み、
前記縁部分が、前記金属薄板の前記縁部分と前記共通の中央壁部の前記丸みが与えられた角部との間に割れ目を形成するように、前記共通の中央壁部と当接しかつ連続接触して取り付けられ、前記レインフォースメントビームの曲げ強度及び捩じれ強度を向上させるように、第1の割れ目リブ及び第2の割れ目リブを、前記共通の中央壁部の前記対向する第1の端部及び第2の端部の各々と概ね整列して画成するように、溶接部が前記割れ目の各々に形成され、
前記第1の壁部及び前記第5の壁部が前記レインフォースメントビームの第1の面を画成し、
前記第3の壁部及び前記第7の壁部が、前記レインフォースメントビームの対向する側に前記レインフォースメントビームの第2の面を画成し、
前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションが、前記レインフォースメントビームの前記第1の面において、前記第1の割れ目リブを挟んで対向する側に配置されたチャネルリブを含み、
前記チャネルリブは、それぞれ、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションの内部容積内へ突出する、対向する側壁部を含み、
前記チャネルリブの前記対向する側壁部は、互いに平行であり、前記中央壁とも平行であり、
前記チャネルリブは、前記第1の筒状セクション又は第2の筒状セクションをそれぞれ強化するために前記レインフォースメントビームに沿って長手方向に延在し、
前記チャネルリブが、前記第1の筒状セクション及び前記第2の筒状セクションのそれぞれの幅の約10%〜40%の幅を有する、車両レインフォースメントビーム。
【請求項14】
前記チャネルリブが、前記金属薄板の前記第1の外側セクション及び前記第2の外側セクションが同時に屈曲する間に、前記共通の中央壁部と平行に整列してロール成形される、請求項13に記載の車両レインフォースメントビーム。
【請求項15】
前記割れ目リブを形成する前記溶接部が、溶接ステーションでレーザー溶接によって形成された接合材料の連続したストリップをそれぞれ含み、前記溶接ステーションが、前記溶接部を形成するときに割れ目を実質的に閉鎖するように前記共通の中央壁部に対して保持された前記金属薄板の前記縁部分を一貫して保持し、前記隣接する筒状部が、前記共通の中央壁部に平行な面におけるそれらの長さに沿って長手方向に曲げられる、請求項13に記載の車両レインフォースメントビーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状であり1つの(単一の)中央支持脚部を有し車両バンパーシステムで用いられるバンパーレインフォースメントビームに関する。本発明はまた、ロール成形装置と、上記ビームを成形する方法とにも関する。しかしながら、本発明は、車両用のバンパーレインフォースメントビームにのみ限定されるようには想定されていない。
【背景技術】
【0002】
本願は、「TUBULAR BEAM WITH SINGLE CENTER LEG」と題した2010年9月23日付けで出願された米国特許仮出願第61/385,680号における、米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張する。この出願の内容全体は参照することにより本明細書に援用される。
【0003】
現代の車両バンパーシステムは通常、レインフォースメントビームを含み、このレインフォースメントビームは、特定の車両に対する政府機関及び保険業界の基準を満たすように強度特性及び衝撃特性に合わせて設計されているが、車両全体重量を最小限に抑え、強度対重量比を最大限にし、限られた車両のパッケージスペース内に収まり、且つ車両フロントエンド及びリアエンドにおける車両の美的要件及び機能的要件を満たすようにも設計されている。同時に、ビームを製造する加工及び方法は、望まない製品寸法の変動及び製品品質のばらつきを最小限に抑えながらもまた、製造コストを最小限に抑え、製造性を最適にし、且つ金属くずを最小限に抑えるのが好ましい。ロール成形加工及び方法は、競争力のある価格と高い寸法の一貫性とを伴ったバンパーレインフォースメントビームの大量の連続生産において特に効果的であることが分かっている。しかしながら、この産業は非常に競争が激しく、そのため僅かな改良でさえも重要となる可能性がある。
【0004】
さらに、上記の所望の特徴の多くは相反するものであり、そのため、特定のバンパーレインフォースメントビームをどのように改良すべきか、及びそのビームを作製するためのロール成形加工をどのように改良すべきかは、明らかではない。例えば、重くなったビームは、強くなるかもしれないが、車両重量に受け入れることができない増加をもたらすことになる。高強度材料は、好まれるかもしれないが、高価であり、成形し難く、且つ工作機械設備への高い摩耗を引き起こす。ロール成形加工中における薄板の縁部の位置決めに対する正確な制御は、ビームの断面形状を正確にするのを容易にすること、縁部沿いの余剰材料を低減してビーム重量を最小限に抑えることができるように縁部沿いの公差を低減すること、及び、溶接中における一貫性のある接触を容易にすることに望ましい。しかしながら、このことは、余分なロール成形工程及びロール成形ステーションの他に、追加の工作機械設備制御、ハードウェア制御及びソフトウェア制御を必要とする可能性があり、これらのそれぞれは、設備投資を増加させ、ロール成形加工をより複雑にする。上記のビームは、他の薄板材料に接触して形成された2つの薄板縁部を含み、このとき、各縁部は、ビームの筒状形状を永久的に形成するように溶接機によって溶接されている。しかしながら、溶接機は、特に溶接機がロール成形装置の全長に沿って様々なステーションに位置付けられる場合であるが、ロール成形装置に沿ってスペースを占め、それ故床面積の要求を大幅に増加させる他、設備投資も増加させる。とはいえ、ビームの2つの対向する側部で溶接することは、片方又は両方の溶接機に悪影響を与える飛散破片があるため、困難である。特に、溶接部は、バンパーレインフォースメントビーム及び関連するバンパーシステムにおいて信頼性があり且つ一貫性のある衝撃強度をもたらすために、一貫性があり且つ信頼性がなければならない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様では、レインフォースメントビームは、1つの薄板から形成されると共に、共通の壁部を共有し且つ位置合わせされた同一平面上にある前壁部及び位置合わせされた同一平面上にある後壁部を有する第1の筒状部及び第2の筒状部を含むビームを備え、各前壁部がその中にチャネルリブを含み、薄板が、第1の丸みを付けた部分及び第1の先端をもつ第1の縁部と、第2の丸みを付けた部分及び第2の先端をもつ第2の縁部と、位置合わせされた前壁部のうちの一方を共通の壁部の一方の端部と接続する第3の丸みを付けた部分と、後壁部のうちの一方を共通の壁部のもう一方の端部と接続する第4の丸みを付けた部分とを含み、第1の丸みを付けた部分及び第3の丸みを付けた部分は、第1の溶接部で共に溶接され且つ薄板の厚さの少なくとも2倍の空洞深さを有する前部割れ目リブ(crevice rib)を形成し、第2の丸みを付けた部分及び第4の丸みを付けた部分は、第2の溶接部で共に溶接され且つ薄板の厚さの少なくとも2倍の空洞深さを有する後部割れ目部を形成し、チャネルリブ及び前部割れ目リブは、ビームの前面を強化するリブを形成する。
【0006】
本発明の別の態様では、薄板を、4つの外壁部及びこの外壁部のうちの対向する2つの外壁部の間に延在する共通の中央支持脚部を有するビームに成形する装置であり、4つの外壁部が矩形状断面を画成し、中央支持脚部が上記断面を隣接する第1の筒状部及び第2の筒状部に分割し、中央支持脚部が、中央支持脚部に対して垂直である滑り面をそれぞれが画成する丸みを付けた端部を有し、薄板が、丸みを付けた端部に当接する縁部を有する、装置が提供される。この装置は、薄板を、4つの外壁部及び共通の中央支持脚部を有するビームに成形するためのローラーを有したロール成形ステーションを含むロール成形機を備え、ロール成形機は、溶接機及び箱型溶接治具を有する溶接ステーションを含み、箱型溶接治具が、治具枠と、治具枠によって支持されると共に所望の正確な形状に4つの外壁部を支持する外部マンドレルとを含み、外部マンドレルのうちの2つの外部マンドレルは、可動であり且つ対向しており、対向する外部マンドレルを移動させて4つの外壁部のうちの関連し且つ対向する外壁部に係合させるように2つの対向する外部マンドレルに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータを含む。この装置は、隣接する第1の筒状部及び第2の筒状部それぞれの内にある内部マンドレルをさらに備え、内部マンドレルは、外部マンドレルに概ね隣接した状態を維持するように上流の固定ラインによって支持される。この構成によって、内部マンドレル及び外部マンドレルは、ばねの付勢及び2つの対向する外部マンドレルの逆向きの付勢と組み合わせて、滑り面に沿った薄板の材料の撓み及び移動によってビームの形状を制御し、これにより箱型溶接治具内にあるとき溶接機の溶接処理の間、正確な形状を能動的に維持する。
【0007】
より狭い態様では、内部マンドレルはそれぞれ、対向する半体と、外部マンドレルに抗し且つアクチュエータの力に抗して対向する半体同士を離すように付勢するばねとを含む。
【0008】
本発明の別の態様では、薄板を、4つの外壁部及びこの外壁部のうちの対向する2つの外壁部の間に延在する共通の中央支持脚部を有するビームに成形する装置であり、4つの外壁部が矩形状断面を画成し、中央支持脚部が上記断面を隣接する第1の筒状部及び第2の筒状部に分割し、中央支持脚部が、中央支持脚部に対して垂直である滑り面をそれぞれが画成する丸みを付けた端部を有し、薄板が、丸みを付けた端部に当接する縁部を有する、装置が提供される。この装置は、薄板を、4つの外壁部及び共通の中央支持脚部を有するビームに成形するためのローラーを有したロール成形ステーションを含むロール成形機を備え、ロール成形機は、溶接機及び箱型溶接治具を有する溶接ステーションを含み、箱型溶接治具が、治具枠と、治具枠によって支持されると共に所望の正確な形状に4つの外壁部を支持する外部マンドレルとを含み、外部マンドレルのうちの2つの外部マンドレルは、可動であり且つ対向しており、対向する外部マンドレルを移動させて4つの外壁部のうちの関連し且つ対向する外壁部に係合させるように2つの対向する外部マンドレルに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータを含み、外部マンドレルのうちの他の2つの外部マンドレルは、中央支持脚部が間に延在する対向する2つの外壁部の間の距離を概ね固定するように、固定され且つ対向している。この構成によって、外部マンドレルは、2つの対向する外部マンドレルの付勢と組み合わせて、滑り面に沿った薄板の材料の撓み及び移動によってビームの形状を制御し、これにより箱型溶接治具内にあるとき溶接機の溶接処理の間、正確な形状を能動的に維持する。
【0009】
本発明の別の態様では、装置は、薄板を、4つの外壁部及び共通の中央支持脚部を有する連続したビームに成形するためのローラーを有するロール成形ステーションを含むロール成形機を備える。ロール成形機は、溶接機及び箱型溶接治具を有する溶接ステーションを含み、溶接機は、連続したビームを溶接して上記断面を永久的に固定するための上向きの角度が付いたレーザー光線を発生し且つ箱型溶接治具から上流又は下流の位置で連続したビームの下に位置付けられ、それにより、レーザー光線が、丸みを付けた端部のうちの1つに当接する丸みを付けた縁部のうちの1つによって形成される下向きの割れ目部内で溶接する。この構成によって、溶接機は、連続したビームを連続したビームの下の位置から溶接するが、落下する破片を避けるように位置付けられる。
【0010】
本発明の別の態様では、装置は、薄板を、4つの外壁部及び共通の中央支持脚部を有する連続したビームに成形するためのローラーを有するロール成形ステーションを含むロール成形機を備える。ロール成形機は、頂部側溶接機、底部側溶接機及び箱型溶接治具を有した1つからなる溶接ステーションを含み、溶接機は、溶接ステーション内において連続したビームの上側位置及び下側位置で同時に溶接することによって上記断面を永久的に固定するように、連続したビームを溶接する。この構成によって、溶接は、複数の溶接ステーションでではなく、1つからなる溶接ステーションで行われる。
【0011】
本発明の別の態様では、装置は、第1のロール成形ステーションを含むロール成形機を備える。第1のロール成形ステーションは、薄板からなる中央支持脚部及び薄板からなる外翼部を成形する第1のローラーのセットを有し、外翼部は、中央支持脚部に対して垂直に延在すると共に丸みを付けた端部によって中央支持脚部に接合される、中央支持脚部に隣接した部分を有し、外翼部は、外翼部に形成される丸みを付けた縁部も有する。ロール成形機は、外翼部を第1の筒状部及び第2の筒状部に成形する追加のローラーのセットを有する追加のロール成形ステーションをさらに含み、中央支持脚部は、第1の筒状部及び第2の筒状部のそれぞれの一部を形成する共通の壁部である。ロール成形機は、丸みを付けた縁部を丸みを付けた端部に溶接する頂部側溶接機及び底部側溶接機を含む。
【0012】
関連する方法もまた、本発明の一部を形成する。
【0013】
本発明のこれらの態様、目的及び特徴並びに他の態様、目的及び特徴は、以下の明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を検討すれば当業者によって理解及び認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】筒状であり1つの中央支持脚部を含むバンパーレインフォースメントビームの上面図である。
【
図3】本発明のロール成形加工を実行するためのロール成形装置の図である。
【
図4】
図1のビームを成形するときの各成形工程での薄原板の形状を示し且つS1〜S33と付されている一連の断面図である。
【
図5】溶接ステーションの一部を形成するシームトラッキング用ディスクを含んだ
図1及び
図2のビームの断面図である。
【
図6】
図1及び
図2と同様であるが変更が加えられた断面を有する変形ビームの図である。
【
図7】ロール成形プロセスの終端付近の溶接ステーションを示す側面図である。
【
図8】
図7の溶接ステーションの断面図であり、同時ダブル溶接(double-weld)工程中にロール成形ビームの最終形状を保持するための箱型加圧治具(pressure box fixture)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
バンパーレインフォースメントビーム40(
図1)は、車両バンパーシステム用の筒状レインフォースメントビーム50と、車両のフロントバンパーシステム(
図1に図示するもの)又はリアバンパーシステムで用いるためのような車両フレームへの取り付けを容易にするためにビーム50に取り付けられたマウント41とを備えている。図示のビーム50は、特定の車両の空気力学的形状に適合するように、第1の半径R1で曲げられた長手方向中央セクション42と、より狭い第2の半径R2で曲げられた長手方向外側端部とを含む。しかしながら、本発明の概念は、直線状であろうと又は湾曲(sweep)していようと、そして、1つの半径をもって一貫して曲がる/湾曲していようと又は様々な長手方向の曲がり(「湾曲」)を有していようとも、いかなるビームに対しても用いることができると考えられる。
【0016】
本発明のビーム50は、0.8mm〜1.4mmの厚さ、及び約800MPa〜2000MPa(すなわち約120ksi[重量キロポンド毎平方インチ]〜290ksi)の引張強度を有する薄鋼板材料で作製される。図示されるビームは、(車両搭載位置において)約80mmの高さ及び約40mmの奥行きがあり、このとき、2つのチャネルリブ(各筒状部に1つ)がビームの前面に形成された状態となっている。図示の各チャネルリブは、約8mm〜10mmの深さ及び約8mm〜10mmの幅であり、丸みを帯びた底部を含む。しかしながら、本発明のビームがAHSS(先進高強度鋼)を含む様々な材料で作製することができるということが考えられ、そして、本発明のビームが、約0.8mm厚〜3.0mm厚(又は0.8mm厚〜1.4mm厚等)の厚さをもつ薄板から作製することができ、且つ約80mm〜150mmの高さ及び約30mm〜60mmの奥行きのような様々なビーム断面サイズで作製することができ、且つ車両のマウント同士の間/バンパーフレームレールの先端同士の間の距離に対して等しい又は僅かに大きい長さを有することができるということが考えられる。
【0017】
本発明のビーム50(
図3)は、ロール成形装置上において、ロール成形ステーションの一連の対になったロールを介して、1枚の金属鋼板から成形され、このとき、各ステーションは、
図4における工程1〜33のロール成形フラワーのパターン(roll-formed flower pattern)によって示されるような、成形動作を実行する。加工中、1枚の薄板は、(本明細書において「単一の」壁部又は「中央支持脚部」と呼ばれる場合がある)1つの中央壁部の両側に形成される隣り合った筒状部を有するように成形される。ロール成形機は、ステーションS1〜S7に第1の領域の成形ロールを含み、ステーションS1〜S7は、中央セクション(すなわち中央壁部)を、薄板の外側セクションが中央壁部に対して外側方向に且つ概ね垂直方向に延在する状態で、形成することを含む。丸みが与えられた(radiused)薄板縁部もまた、工程S1〜S7で形成される。ロール成形機はさらに、中央支持脚部の各側部に第1の筒状部及び第2の筒状部を形成し且つ中央支持脚部を共通の壁部として共有するステーションS8〜S33に、第2の領域の成形ロールを含む。チャネルリブは、工程S8〜S12で実質的に形成され、薄板がロール成形装置に沿って横切るときに薄板の側方位置を制御するのに有用である。レーザー溶接は、ステーションS33で又はステーションS33の後に行われる。或いは、溶接は、例えば第1の筒状部が(最後の成形ステーションよりもかなり前である)加工の途中で形成されるロール成形加工では、2つの分かれた工程で行われることができる。
【0018】
具体的には、図示されるように、薄板の「半分」よりも僅かに少ない部分が、(
図4で時計回りに示される)第1の方向に変形されて第1の筒状部となり、このとき、薄板の第1の丸みが与えられた縁部が中央壁部の丸みが与えられた端部に対して当接した(そして溶接された)状態である。薄板の反対側の「半分」が、(反時計回りのような)逆の第2の方向に変形されて第2の筒状部となり、このとき、第2の丸みが与えられた縁部が中央壁部の他方の丸みが与えられた端部に対して当接した(そして溶接された)状態である。第1の丸みが与えられた縁部に溶接するための接触ラインは、薄板の末端が「平坦」になる丸み部分の端部にある。同様に、中央壁部の丸みが与えられた端部の接触ラインは、中央壁部が「平坦」になる中央壁部の端部にある。しかしながら、溶接処理のレーザー光線が一貫性のある溶接部をつくるのに最適な状況を有するように、丸み部分を主要な接触部にすることが望ましい。特に、溶接処理は、レーザー光線が、丸みが与えられた端部及び丸みが与えられた縁部によって形成される当接線接触部(abutting line contact)で割れ目部に入り材料を加熱することを含む。この理由から、薄板縁部の末端が、加工の変動にかかわらず、そのサイズに応じて溶接に悪影響を与えることになる(与える可能性がある)間隙を割れ目部の底部に生じさせないように形成されることは、望ましい。
【0019】
特に、箱型溶接治具は、当接線接触部を設定することと、当接線接触部での溶接処理のための所望の当接圧力を設定することとを補助する。互いに合わさる材料は、以下で説明するように、
図8に示される溶接治具によって互いに対して当接状態で保持され、それにより良好な溶接を容易にする。縁部の丸みが与えられた形状は、良好な接触を可能にするが、それにもかかわらず縁部が、特に滑り面P1及びP2に沿って、撓む、滑る及び屈曲する(箱型溶接治具内で生成される力によって引き起こされる)ことを可能にし、治具が溶接ステーションで所望の断面形状を「設定」し且つ維持することを可能にする。この構成は、良好な溶接を容易にし、縁部が完璧な寸法であることの重要度を低減する可能性がある。同時に、薄板の縁部は、溶接ラインから離れるように延在する、ビームの内側の材料の先端セクションを含む。上述のように、先端セクションの自由端は、縁部に沿った材料の変化及び加工の変化にかかわらず溶接に十分な材料があるということを確実にするのに必要である。しかしながら、先端セクションの自由端における余剰材料は、結果的に廃棄物及びバンパービームへの付加重量をもたらす。縁部及び当接材料の接触及び係合を正確に制御することによって、「自由端」の長さを最小限にすることができ、それ故ビームの全体重量を最小限に低減することができる。低減した重量が数オンスであっても自動車エンジニア及び車両設計者にとっては重要であり得るということがわかる。図示の「自由端」は約4mm未満であるように想定されているが、特定のプロセスパラメータ及びビームの機能的要件に応じて、場合によっては2mm等まで低減することができるということが考えられる。
【0020】
上述のように、薄板の丸みが与えられた縁部は有利なことに、それら縁部がビームの中央支持脚部上における丸みが与えられた(屈曲した)合わせられる角部と接触するまで延在しその角部に溶接されるため、一貫性があり且つ目立たない(forgiving)当接係合を促進及び可能にする。縁部の2つの丸み部分及び中央支持脚部端部の2つの丸み部分は、材料の2つのセクションが線接触で確実に係合し且つ所望の範囲内の当接力で係合することを可能にし、それ故製造プロセス中の寸法の変動により良好に適応する。この構成は、当接する材料セクションの良好な線接触を促進し、それ故寸法の変動及び加工の変動にかかわらず良好な溶接を促進する。同時に、丸みが与えられた縁部及びそれらの縁部の「自由端」は、ビームの前面及び後面により画成される鉛直面が薄板のいかなる外方突出する縁部によっても妨げられないように、ビームの前面及び後面内へと窪まされており、このことは車両製造業者の仕様を満たすのに重要となる可能性がある。また、中央支持脚部は、(薄板の側縁部からではなく)薄板の中央から形成されている。中央支持脚部を最初に形成することによって、そして中央支持脚部を薄板の中央から形成することによって、ロール成形加工は、よりいっそうバランスがとられ(balance)且つコントロールされ、薄板の側方位置の制御を容易にする。言い換えれば、ロール成形機における薄板の「ワンダリング(wandering)」は中央支持脚部を最初に形成することによって低減される。この理由は、中央支持脚部がこの場合、後に続く薄板の成形中に「中央留め具(anchor)」として作用するためである。薄板のこの向上した正確な位置制御は結果として、縁部の「自由端」の公差をさらに低減することを可能にする、それは、広い公差が必要なくなるためである。縁部の「自由端」が、薄板及びロール成形加工の加工制御及び特徴に応じて、4mm以下、そして2mm以下の小ささにまで低減することができるということが考えられる。
【0021】
中央支持脚部を有する筒状レインフォースメントビーム50は、高い強度対重量比と、その端部の内側への衝撃による長手方向の屈曲に対する抵抗と、中心から鉛直方向にずれた衝撃からのような回転力に対する捩れ抵抗とのため、車両バンパーシステムにおけるレインフォースメントビームとしての使用に特に適している。
【0022】
上述のように、ビーム50(
図2)は、連続したロール成形加工において1枚の単一の(unitary)薄板から成形される(
図6)。ビーム50は、第1の縁部51及び第2の縁部52と、それらの間に連続して延在する7つの壁セクション53〜59とを含む。第1の壁セクション53〜第4の壁セクション56が第1の筒状部を形成し、第4の壁セクション56〜第7の壁セクション59が隣接する第2の筒状部を形成し、このとき壁セクション56は共通の共有壁部となっている。壁セクション53〜55と壁セクション57〜59とは、組み合わさって1つの筒状形状を形成し、このとき、中央支持脚部が、(車両搭載位置にあるときに)水平方向に延在する壁セクション56によって形成され、壁セクション55及び59が同一平面上にある鉛直な前面を形成し、壁セクション53及び57が同一平面上にある鉛直な後面を形成する。第1の縁部51は約3mm〜4mmのアール部(radius)CR1を形成するように変形され、このとき、その先端51’(すなわち、約4mmの長さ又は場合によっては2mmの小ささの長さを有する「自由端」)が、第1の縁部51の内側表面61が中央壁セクション56に対して平行に位置するように延在している。アール部CR1と、丸みが与えられた結合角部62(ビームの前面で第4の壁セクション56及び第5の壁セクション57によって形成されたもの)とが係合し、第1の筒状部を永久的に設定固定するように溶接される。
【0023】
ビーム50では、第2の縁部52もまた、(図示のビームでは約3mm〜4mmであるような)アール部CR1と同様のアール部を形成するように内側に向かって変形されるが、このとき、その末端52’が中央壁セクション56に対して平行に延在している。アール部CR1は、第4の壁セクション56及び第3の壁セクション55によって形成される丸みが与えられた結合角部64に係合して溶接される。図示のビーム50は、概ね矩形である断面を有し、このとき、中央支持脚部がその矩形を、隣り合う同等サイズの第1の筒状部及び第2の筒状部に分割する。この断面は、優れた曲げ剛性、捩れ剛性、及び比較的高い強度対重量比をもたらすことが分かった。
【0024】
図示の第1の壁セクション53は、チャネルリブ65(すなわち内側に向かって形成された陥凹部であり、また「パワーリブ(power rib)」とも呼ばれる場合がある)を含み、このリブ65は、壁セクション53をさらに強化し、それによってビームの前面を強化すると共に第1の筒状セクションを強化する。図示のチャネルリブ65は、壁セクション53に沿って概ね中央に位置しており、壁セクション53の幅の約10%〜40%(又はより好ましくは幅の約20%〜30%)の幅径を有し、その幅径にほぼ等しい深さを有している。第5の壁セクション57もまた、チャネルリブ66(サイズ、形状及び位置でリブ65と同様である)を含み、このリブ66は、壁セクション57を強化し、それによってビームの前面及び第2の筒状セクションを強化する。第1の縁部51及び先端51Aによって形成されるアール部CR1、並びに第2の縁部52及び先端52Aによって形成されるアール部CR1は、それらアール部によって形成されるそれぞれの筒状部の内側に位置する中心点を有している。図示のチャネルリブの底部は半円状の形状である。とはいえ、チャネルリブの深さ及びサイズは、浅く、より深く、より広く、より狭く、平底で、又は、ビームの特定の機能的要件を満たすように別の方法で変形が加えられて、形成されてもよいということが考えられる。
【0025】
特に、縁部51及び52並びにこれらに合わさる角部における丸みが与えられた形状は、それらに割れ目リブを形成させ、この割れ目リブもまた、ビーム50を強化し、それ故チャネルリブ65及び66とは完全には違わない方法でビーム50の前壁部/前面及び後壁部/後面を安定化する。ビームの前面では、前面の縁部51及びこの結合角部の丸みが与えられた形状によって形成される割れ目リブが、2つのチャネルリブ65と組み合わさってビーム50の前部に3つのリブを効果的に形成し、この3つのリブそれぞれが、ビームの曲げ強度及び捩れ強度を強化する。試験をすることによって、ビームの剛性は、チャネルリブがビームの製造により広い薄板を必要とするせいで増えるいかなる付加材料の重量を相殺するのに十分なだけ高めることができるということが示されている。割れ目リブは中央壁部と概ね一列に並び、割れ目リブが画成する空洞部(cavity)は、薄板の材料断面厚の約3倍〜4倍の深さである。具体的には、図示の割れ目リブの空洞部は、約0.8mm〜1.2mmの薄板材料厚に基づいた約3mm〜4mmの深さである。レーザー溶接部は、材料が最初に当接接触する状態となる割れ目部の底部に位置する。
【0026】
溶接部70及び71は、レーザー溶接機72及び73(
図3)を用いて形成されるということが意図されている。本溶接機72及び73は1つのステーションS33内に位置しており、このことは、スペースの利用、配線、及びプロセス制御に関して大きな利点をもたらす。溶接部70及び71(
図2)は、例えば約4mm又は場合によっては約2mm程度にまで小さくなった第1の縁部及び第2の縁部における末端(すなわち「自由端」)から僅かに間隔をあけて位置するように、割れ目部内における外側で当接する材料に形成される。図示の曲げられて当接している薄板材料の相互係合部は、目立たなく見えるようになってしまい、線接触及び溶接作業に悪影響を与えることなく、溶接治具内で幾分の寸法の変動及び寸法の制御を許容する。本溶接機72及び73は1つのステーションS33内に配置されているが、これらの溶接機は、所望の場合に又は特定の用途によって必要とされる場合には、ロール成形機装置に沿った別のステーション内に配置されることもできるということが考えられる。
【0027】
特に、断面プロファイル並びに溶接部70及び71を含め、ビームは対称である。このことは、ロール成形作業及び製造作業の間において、ビームを均一に且つ直線的に保つのに大いに役立つ(そして、バランスの取れていない溶接の熱及び材料の収縮/移動のせいで蛇行及び非線形な屈曲が生じるのを回避するのに役立つ)。ロール成形における当業者は、ロール成形加工が工程S1〜S33(
図4)のそれぞれにおいてどのようにバランスが取られているかを認識するであろう。具体的には、ロール成形による製造及び設計における当業者は、工程S7で中央壁部の垂直度(perpendicularity)の価値を認識し、工程S21で外壁部の垂直度の価値も認識し、それによって促進されるロール成形工程の最小化を認識するであろう。
【0028】
バンパーレインフォースメントビーム40のための中央壁セクション56を備えた筒状レインフォースメントビーム50の製造の関連した方法(
図3のロール成形機と
図1及び
図2のビームとを参照)は、第1の縁部51及び第2の縁部52(
図2)並びにこれらの間に連続して延在する7つの壁セクション53〜59を含む薄板49(
図3参照)を供給する工程と、中央壁部を残りの材料に対して垂直な配向に屈曲する工程(工程S2〜S7を参照)と、縁部先端を屈曲する(工程S3〜S7)と共にチャネルリブ65,66を形成する工程(工程S3〜S9で開始して工程S10〜S12でチャネルリブを完成させる)と、第1の壁セクション53〜第4の壁セクション56を屈曲して第1の筒状部を形成すると共に第4の壁セクション56〜第7の壁セクション59を屈曲して隣接した第2の筒状部を形成する工程(工程S3〜S21で半分が形成され工程S22〜S33で同じものを完成させる)と、溶接治具(
図7及び
図8を参照)において連続したビームの正確な断面形状を維持しつつ、第1の縁部51を丸みが与えられた結合角部62に溶接すると共に第2の縁部52を丸みが与えられた結合角部64に溶接する工程と、スイープステーション(sweeping station)において連続したビームを長手方向に曲がった(「湾曲した」)形状に変形する工程と、切断ステーションにおいてビームセグメントを或る長さで切りとって個別のバンパーレインフォースメントビームを形成する工程とを含む。
【0029】
特に、第1の壁セクション53のチャネルリブ65及び第5の壁セクションのチャネルリブ66は、(中央壁部を跨ぐ)ビーム前部の中央の割れ目部と組み合わさって、ビームの面に3チャネルリブ形成部をもたらす。このことによって、上述のように、ビームにおける優れた捩れ強度及び曲げ強度がもたらされる。具体的には、試験をすることによって、ビームの面に安定性をもたらすチャネル及びリブが、衝撃強度を著しく向上させ、ビーム重量を増加させずに衝撃強度の一貫性(及びエネルギー吸収能力の一貫性)の増大をもたらすことができるということが示されており、このことは想定外の驚くべき結果である。衝撃強度の向上は幾つかの要因によるものである。例えば、本発明のビームの重量は、本発明のビームがより薄くなった薄板材料を用いながらも依然として同様の衝撃試験結果又は向上した衝撃試験結果をもたらすため、チャネルリブを有しない同様のサイズのビームを超えて増加していない。特に、より薄くなった材料は、薄い薄板材料への衝撃中に生じる物理的エネルギー(dynamics)のため予測不可能に/早過ぎる時期によれて破滅的な状態に圧壊する傾向となる可能性があり、場合によっては試験中の衝撃強度の変動及び不均一性を増大させる可能性がある。しかしながら、本発明のビームの前部におけるチャネルリブ及び割れ目リブは、ビームの筒状構造を安定化させるのに役立ち、それ故、より薄くなった薄板材料が用いられる場合であっても向上した試験結果をもたらす。チャネルリブ及び割れ目リブがビームの前部にあるということを考えたとき、この向上は予期されなかった。この向上が予期されなかった理由の一部は、前部に位置するチャネルリブ及び割れ目リブによって、薄板材料において、(曲げモーメントの中心線からより遠くにではなく)曲げモーメントの中心線により接近して内側へと位置するものが生じるためである。特に、曲げモーメントの中心線により接近して位置する材料は、ビームの曲げモーメントにより寄与しないようになり、それ故ビームに対する曲げの慣性モーメントを減少させる可能性がある。しかしながら、衝撃の物理的エネルギーのため、ビーム壁部の安定性が、ビームの衝撃性能にとって非常に重要となり得る。また、バンパー試験によっては、(衝突試験装置[test impactor device]がビームにその中心線よりも高くで打ち付ける場合のように)鉛直方向にバランスの取れていない捩り力を引き起こすものもある。
【0030】
バンパーレインフォースメントビーム40のための中央壁セクション56を備えた筒状レインフォースメントビーム50の製造の関連した装置88(
図3)が、インラインの(in-line)スイープステーション90及び切断器91を有するロールミル89を備えている。ロールミル89は、第1の縁部51、第2の縁部52及びこれらの間に連続して延在する7つの壁セクション53〜59を含む薄板49を成形するように構成された複数のロールを含んでいる。これらのロールは、ロール成形ステーションの第1の領域92を含んでおり、この領域92は、中央支持脚部から概ね垂直に延在する薄板の外翼部を伴って中央支持脚部を形成するように位置付けられた複数のセットのロールを有している。ロール成形ステーションの第1の領域92はまた、薄板の丸みが与えられた縁部を形成する。ロール成形ステーションの第2の領域92’は、複数のセットのロールを含んでおり、これらのロールは、第1の壁セクション53〜第4の壁セクション56を屈曲して第1の筒状部を形成し且つ第4の壁セクション56〜第7の壁セクション59を屈曲して隣接する第2の筒状部を、1つの中央支持脚部が両方の筒状部に共通となる状態で形成するように、位置付けられ且つ構成されている。第1の溶接機72及び第2の溶接機73は、第1の縁部51を丸みが与えられた角部62の結合される内側表面に溶接するように位置付けられると共に、第2の縁部52を結合される丸みが与えられた角部64に溶接するように位置付けられている。第1の溶接機72はビームの上方に位置付けられ、第2の溶接機73は、以下で説明されるように、この溶接機のレーザー光線が角度を有して方向付けられる状態で、ビームの下方に位置付けられている。
【0031】
本願の装置は、水平方向軸が成形ロールを支持する状態のロールミルを利用することができ、又は代わりに鉛直方向軸が成形ロールを支持する状態のロールミルを利用することができるということがわかる。鉛直方向軸のミルでは、レーザー溶接機は、ビームの対向する側部から動作する又はビームの部分的な上方で動作する可能性がある。鉛直方向軸のロールミルの利点は、溶接機が溶接箇所の側部及び/又は上へと位置付けられるため、重力を用いて、破片及びかすを溶接箇所から取り除いて落とすことができることである。水平方向軸のロールミルでは、レーザーは、ビームに対する頂部位置及び底部位置から作用する。溶接機のうちの一方である底部位置は、落下する破片に関連する問題を引き起こす可能性があるが、この問題は以下で説明されるように本発明のイノベーションによって解決される。
【0032】
図3及び
図4での図示される形態によって示されるように、同時に溶接が行われる状態で両方の溶接部が1つのステーションで形成されるようになった装置が構成されるのが好ましい。一方の溶接機72が溶接位置の上方に位置付けられ、別の溶接機73が、溶接位置の下方であるがこの溶接位置のかなり上流(又は下流)に位置付けられている。底部側の溶接機は、飛散及び落下する破片によって有害な影響を受けないように位置付けられ且つ遮蔽保護される。例えば、図示の底部側の溶接機は、鉛直線から15度だけ実際の溶接箇所の上流に位置している。また、(溶接位置からのレーザー光線発生装置の距離に応じて)必要な場合、遮蔽材が、レーザー発生装置を溶接部から物理的に遮蔽するのに用いられてもよい。図示の遮蔽材は、(ラインを画成する)レーザー光線と干渉しないように位置するがレーザー発生装置が落下する破片(落下破片は、最初に側方に動き、次いで重力によってその落下経路の終端に向かって落下すると弧を描く傾向がある)から防護されるように配置される物理的な防護壁である。遮蔽材は、向きがつけられた気流によってもたらされるエアシールドも含むということが考えられる。特に、レーザー溶接機のレーザー光線の焦点距離は最大36インチ(約91.4cm)までとすることができ、レーザー光線は、気体(CO2)タイプ、固体タイプ、ファイバータイプ、又はディスクタイプのような幾つかある様々タイプのうちの任意のものとすることができる。
【0033】
図4に示される工程では、中央支持脚部はまず、最初の数工程S1〜S7において、薄板の中央から、(ロール成形機のラインレベルに沿って延在する)水平面に対して垂直な向きへと形成されることがわかる。このことは、ロール成形加工において薄板を固定し且つ中央に位置付けるように保ち、それ故、成形加工中における側方にワンダリングする又はスライドする薄板の傾向を排除する(又は大きく低減する)。本薄板の高い強度特性と薄板の厚さ及び幅とのため、大きな側方力がロール成形加工中に生みだされることがわかる。最初に中央支持脚部を垂直状態に形成することによって、薄板の側方位置の制御が、はるかに容易になり、且つより本質的に制御される/制御可能となる。また、丸み部分も、工程S1〜S7において薄板の複数の縁部内に形成される。その後、隣り合う筒状部が、共通の中央支持脚部の対向する両側に形成される。その結果、
図4の本願加工では、ロール成形工程の数が、290ksi(290重量キロポンド毎平方インチ,約2000MPa,約20389.9kgf/cm
2)超の引張強度を有する薄板を成形する場合でさえも、33の工程(
図4参照)程度の数に減らすことができ、このことは、既知の方法から劇的で、驚くべき且つ予期されない向上であると見なされるものである。特に、成形工程数を少なくすることは非常に有益となり得、それは、工程数の低減が工作機械器具設備のコストを低減し(すなわち必要な成形ロールの数が少なくなる)、ロール成形装置の長さを低減し(すなわちロール成形ステーションの数が少なくなる)、且つ全体的な加工時間を削減する(すなわち、初めの平坦な薄板からダブルチューブのビーム形状になるまでのサイクル時間がより短くなる)ことができるためである。
【0034】
図5は、割れ目部80を倣い制御するのに用いられるシームトラッキング用ディスク90’を示している。(
図5では、ディスク90’は、離されて展開されているが、このディスクはビーム50に物理的に係合し且つ割れ目部に沿って倣うということが意図されている。)ディスク90’は、溶接処理を促進するように割れ目部80の谷間を倣う。具体的には、ディスク90’は、連続する溶接シームのためのエリアの内側に載り且つピザカッターに似た回転ディスクである。レーザー溶接機は、溶接谷部にあるこのディスクから離れて位置している。図示のように、ディスク90’は、ビーム50の頂部及び底部の両方で割れ目部を倣うように用いることができる。
【0035】
図6は、
図2と同様はであるが異なった幅の筒状部を有する、変更が加えられたビーム50Aの断面である。具体的には、ビーム50Aの一方の筒状部は、他方の筒状部の幅の約2倍である。しかしながら、これらの筒状部は共通の中央壁部を共有している。さらに、これらの筒状部はいずれも、同様のサイズ及び形状のチャネルリブを有しており、そして、中央支持脚部を跨いで形成された割れ目リブもまた存在する。ビーム50Aにおいて、同様及び同一の特徴部、特性部及び構成要素は、同一の符号を用いて識別されるが(「A」のような)文字を伴っている。このことは冗長な説明を減らすためになされている。ビーム50Aがビーム50の多くの特徴を組み込むことができ且つ組み込んでおり、それによりビーム50Aにおける符号の個々の説明は必要ではないと考えられることは、バンパーレインフォースメントビーム及び関連する製造プロセスの当業者によって理解されるであろう。
【0036】
図3、
図7及び
図8は、ロール成形機の終端での且つロール成形機を出るときの溶接ステーション100を示している。
図7では、薄板は、既にロール成形機内で成形されたとして示されており、進行方向D1に進んでいる。箱型溶接治具102が、部分的に成形されたビーム50とインラインで位置付けられている。頂部側のレーザー溶接機103及び底部側のレーザー溶接機103は、溶接ステーションにおいて、ビーム50の対象とする当接材料に当たる溶接機それぞれのレーザー光線に箱型溶接治具が干渉することにならない位置に、位置付けられている。底部側のレーザー溶接機103は箱型溶接治具102の僅かに上流に位置付けられており、その溶接レーザー104は下流への角度を有して方向付けられ、それにより、溶接レーザー光線104が所望の位置でビーム101に当たりビーム101の当接材料を加熱及び溶接する。レーザーは、そのレーザーのタイプに応じて最大36インチ(約91.4cm)までの焦点距離を有する。ビーム101の溶接位置からのレーザーの最小距離は存在しない。例えば、レーザーのタイプは、気体(CO2等)であってもよく、又は、固体の状態のレーザータイプ、ファイバーのレーザータイプ若しくはディスクのレーザータイプであってもよいということが考えられる。レインフォースメントビーム101に対するレーザー104の最大角度A1は、鉛直線から(すなわちビーム50の側部に対する垂直面から)約15度である。必要な場合又は望ましい場合、物理的な遮蔽材105が、レーザー源106を溶接処理からの破片から遮蔽保護するのに用いられる。物理的な遮蔽材105は、下流にあるエアナイフ又はエアジェットであってよく、又は物理的なパネルを含んでもよい。
【0037】
調節可能な箱型溶接治具102(
図8)は、溶接ステーションに位置しており、溶接工程中に、ロール成形ビームの最終形状を設定し且つ保持するように設計されている。図示の調節可能な治具102は、外部の鋼製箱型枠110と、頂部側外部マンドレル111及び底部側外部マンドレル112と、アクチュエータ115,116によって内側に向かって押圧される調節可能な側部側外部マンドレル113,114とを含んでいる。アクチュエータは動力によるもの若しくは能動的なもの(油圧シリンダー等)とすることができる、又は、アクチュエータは調節可能であり且つ受動的なもの(所望の大きさの内側への圧力を供給して箱型溶接治具102内における外部マンドレルの所望の形状を維持するように調節することができる、ねじ付きボルト等)とすることができるということが考えられる。2つのロッドが示されており、これらは、アクチュエータ115から枠110を貫通して、外部マンドレル111に取り付けられる位置まで延在している。しかしながら、代わりの接続構成及び移動(motivating)構成を構成することもできるということが意図されている。
【0038】
内部マンドレル117,118が、ダブルチューブのビーム120の筒状部121,122内のそれぞれに位置し、そして、内部マンドレル117,118は、ロール成形機上に位置する上流の固定支柱125まで延在するケーブル123,124によって留められており、このときロール成形機では、薄板は、ケーブル123,124(
図8)を保持するために固定支柱125(
図3)を位置付けるのに十分に側方に開いている。ビーム50が図示されているが、ビームは類似したビーム50A又は別の変更が加えられたビームとすることもできるということが考えられる。図示の内部マンドレル117,118はそれぞれ、ばね128(例えば、流体圧ばね、機械ばね、又は他のばね)によって離れるように付勢される対向マンドレル半体126,127を備えた分割式マンドレルである。内部マンドレル118はまた、流体圧ばね132によって離れるように付勢される対向マンドレル半体130,131を含む。しかしながら、状況次第で、ワンピースの中実な内部マンドレルを各サイドに用いることができるということが考えられる。レーザーのアクセス開口部が箱型治具枠110及び外部マンドレル111,112に設けられており、このとき、図示のレーザーアクセス開口部129は、箱型枠110の底部及び頂部を貫通し且つ頂部側外部マンドレル111及び底部側外部マンドレル112を貫通するレーザー光線のためのアクセスをもたらす。
【0039】
内部ばね128及び132並びに分割式内部マンドレル117,118は、内向き付勢するアクチュエータ115,116及び外部マンドレル113,114と組み合わされることによって、治具に対して、ビーム101が溶接ステーション100を通過して溶接されるときにビーム101の所望の外形を維持させるようにする。特に、頂部側外部マンドレル111と側部側外部マンドレル113,114の頂部との間に画成される滑り面P1が存在する。また、底部側外部マンドレル112と側部側外部マンドレル113,114の底部との間に画成される滑り面P2も存在する。滑り面P1は、ビーム101の前面と位置が合い、且つ中央支持脚部の丸みが与えられた前端部の先端の外側表面によって一部分が画成されている。そして、滑り面P2は、ビーム101の後面と位置が合い、且つ中央支持脚部の丸みが与えられた後端部の先端の外側表面によって一部分が画成されている。溶接ステーション内では、溶接治具の内部マンドレル及び外部マンドレルからの圧力によって、薄板材料は、滑り面P1及びP2に沿って正確な既知の位置にまで移動し変形するようにされる。このことは、溶接処理の前(及び溶接処理の間)におけるビームの断面形状の寸法的な一貫性及び寸法的な正確さを向上させる。また、この構成によって、溶接が行われることになる当接表面に対する圧力を、最適な溶接条件のためにより正確に且つ一貫して制御することができる。
【0040】
本発明の概念から逸脱することなく上述の構成に変形及び変更を加えることができるということは理解されるべきであり、さらに、そのような概念は添付の特許請求の範囲においてその文言によって別段に明記されない限り特許請求の範囲によってカバーされるように意図されていることは理解されるべきである。