特許第6795566号(P6795566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6795566発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795566
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20201119BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20201119BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A24F40/465
   A24F47/00
   A61M15/06 C
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-201871(P2018-201871)
(22)【出願日】2018年10月26日
(65)【公開番号】特開2019-110895(P2019-110895A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】201721415005.6
(32)【優先日】2017年10月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】胡傑
(72)【発明者】
【氏名】李永海
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/036957(WO,A1)
【文献】 特開平9−236998(JP,A)
【文献】 特開2009−69280(JP,A)
【文献】 特開昭50−16941(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0055580(US,A1)
【文献】 特開2001−118700(JP,A)
【文献】 特開昭56−165411(JP,A)
【文献】 実開平5−53192(JP,U)
【文献】 特開平7−87747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−A24F47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱区域を調整可能なエアロゾル生成装置であって、
装置本体であって、前記装置本体内にエアロゾル生成材料を収容するための加熱空間を有するものと、
金属材料で作製される発熱体であって、前記加熱空間内に設置されるものと、
交流磁場を発生させるための誘導コイルであって、前記発熱体の周辺に囲まれて設置されるものと、
電源モジュールであって、前記誘導コイルに接続されて電気回路が形成されるものと、
調整素子であって、同一の前記誘導コイルの電気回路に接続される長さを変えることで、少なくとも該長さの誘導コイルが対応する発熱体の一部の内部に渦電流による発熱をさせるものとを含むことを特徴とする発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記調整素子がスライダーを含み、前記スライダーが前記誘導コイルに電気的に接触する摺動接点を含み,前記電源モジュールの一方の極が該摺動接点に接続され、他方の極が前記誘導コイルの一端に接続されることを特徴とする請求項1に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記スライダーが更に前記摺動接点に接続される摺動スイッチを含み、前記装置本体上に軸方向において該摺動スイッチが軸方向に摺動するためのシュートが設置されることを特徴とする請求項2に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル生成装置。
【請求項4】
前記調整素子がシフトスイッチを含み、前記誘導コイルが長手方向に沿って間隔をおいて複数の電気接続点が設置され、該電気接続点がシフトスイッチによって電源モジュールに接続され、前記シフトスイッチが誘導コイルの電気回路に接続される長さを変えるように異なる電気接続点を切り替えるために用いられることを特徴とする請求項1に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記発熱体が前記加熱空間の中心に位置し、且つ該発熱体がエアロゾル生成材料内に挿入可能な金属板又は金属棒であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記発熱体が前記加熱空間の内壁に設置され且つエアロゾル生成材料を囲むことができる金属スリーブであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記エアロゾル生成材料がタバコ材料を含むタバコであり、前記装置本体が上端に開口がある加熱スリーブを含み、該加熱スリーブの内部に前記加熱空間が形成され、前記開口がタバコを加熱空間に挿入するために用いられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記加熱スリーブの周辺に前記誘導コイルを固定するためのボビンが取り付けられ、前記ボビンが断熱材料で製造されることを特徴とする請求項7に記載の発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電子喫煙具分野に関し、具体的には発熱区域を調整可能なエアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販の低温喫煙具の加熱方式は固定の長さの発熱体を採用しているため、発熱体の動作過程中に形成される加熱面積は実質的に変わらないが、加熱されるべきエアロゾル生成材料(例えばタバコ材料)の長さが発熱体の長さに一致せず、発熱体の加熱区域がタバコ材料の全長をカバーすることができず、局部的長さ上のタバコ材料のみを加熱してエアロゾルを生成することができるために、従来の発熱体の加熱区域は、タバコ材料に対して比較的不均一であり、タバコの局所的な不均一な加熱を引き起こしやすく、それにより一部の区域のタバコは十分に加熱されず、体験効果に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願が解決しようとする技術的課題は、従来技術の不足を克服し、エアロゾル発生材料の異なる位置を十分に加熱することを実現できる発熱区域を調整可能なエアロゾル発生装置を提供することである。
【0004】
上記技術的課題を解決するために、 本願は発熱区域を調整可能なエアロゾル生成装置を提供し、それは、装置本体であって、該装置本体内にエアロゾル生成材料を収容するための加熱空間を有するものと、金属材料で作製される発熱体であって、前記加熱空間内に設置されるものと、交流磁場を発生させるための誘導コイルであって、前記発熱体の周辺に囲まれて設置されるものと、電源モジュールであって、前記誘導コイルに接続されて電気回路が形成されるものと、調整素子であって、前記誘導コイルの電気回路に接続される長さを変えることで、少なくとも該長さの誘導コイルが対応する発熱体の一部の内部に渦電流による発熱をさせるものとを含む。
【0005】
実施例の一つとして、前記調整素子がスライダーを含み、前記スライダーが前記誘導コイルに電気的に接触する摺動接点を含み、前記電源モジュールの一方の極が該摺動接点に接続され、他方の極が前記誘導コイルの一端に接続される。
【0006】
具体的には、前記スライダーは更に前記摺動接点に接続される摺動スイッチを含み、前記装置本体上に軸方向において該摺動スイッチが軸方向に摺動するためのシュートが設置される。
【0007】
他の実施例として、前記調整素子がシフトスイッチを含み、前記誘導コイルが長手方向に沿って間隔をおいて複数の電気接続点が設置され、該電気接続点がシフトスイッチによって電源モジュールに接続され、前記シフトスイッチが誘導コイルの電気回路に接続される長さを変えるように異なる電気接続点を切り替えるために用いられる。
【0008】
一つの実施例として、前記発熱体が前記加熱空間の中心に位置し、且つ該発熱体がエアロゾル生成材料内に挿入可能な金属板又は金属棒である。
【0009】
他の実施例として、前記発熱体が前記加熱空間の内壁に設置され且つエアロゾル生成材料を囲むことができる金属スリーブである。
【0010】
本願における特定の実施形態として、前記エアロゾル生成材料がタバコ材料を含むタバコであり、前記装置本体が上端に開口がある加熱スリーブを含み、該加熱スリーブの内部に前記加熱空間が形成され、前記開口がタバコを加熱空間に挿入するために用いられる。
【0011】
更に、前記加熱スリーブの周辺に前記誘導コイルを固定するためのボビンが取り付けられ、前記ボビンは断熱材料で製造される。
【0012】
本願の有益な効果は以下のとおりである:本願にかかわるエアロゾル生成装置は調整素子を含み、前記誘導コイルの電気回路に接続される長さを変えるために用いられ、これによって少なくとも該長さの誘導コイルが対応する発熱体の一部の内部に渦電流による熱を発生させ、発熱体の発熱区域を自在に調整し、従って段階別にエアロゾル生成材料の異なる位置を順次加熱することを実現することができ、エアロゾル生成材料の全体的区域への同時加熱も実現でき、それによりエアロゾル生成材料の異なる位置への十分な加熱を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願により提供されるエアロゾル生成装置の好ましい実施例の軸方向断面図である。
図2】好ましい実施例におけるタバコをエアロゾル生成装置に入れた状態を示す概略図である。
図3】好ましい実施例におけるスライダーの構造概略図である。
図4】他の好ましい実施例における発熱体は金属スリーブである構造概略図である。
図5】他の好ましい実施例における調整素子はシフトスイッチを採用することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願を理解しやすくするために、本願に関わる発熱区域を調整可能なエアロゾル生成装置の構造及び機能の原理を特定の実施形態により以下に更に説明する。なお、ある素子が他の素子に「固定される」と言及されている場合、その素子は他の素子の上に直接的に存在してもよく、それらの間に一つ又は複数の中央に位置する素子が存在してもよい。また、ある素子が他の素子に「接続される」と言及されている場合、その素子は他の素子の上に直接的に接続されてもよく、それらの間に一つ又は複数の中央に位置する素子が存在してもよい。
【0015】
図1に示すように、本願における一つの好ましい実施例は発熱区域を調整可能なエアロゾル生成装置100を提供し、装置本体101、装置本体101内に位置する発熱体104、誘導コイル106及び調整素子を含む。該装置本体101内にエアロゾル生成材料を収容するための加熱空間102を有し、発熱体104は金属材料で作製され、例えば鉄コバルト合金であり。発熱体104は加熱空間102内に位置し、ユーザが吸うためのエアロゾルを生成するようにエアロゾル生成材料を加熱するために用いられる。
【0016】
図2に示すように、具体的には、本実施例において、エアロゾル生成材料はタバコ材料を含むタバコ300であり、前記装置本体100は上端に開口108がある加熱スリーブ103であり、該加熱スリーブ103の内部に前記加熱空間102が形成され、前記開口108はタバコ300を加熱空間102に挿入するために用いられ、たばこ材料は加熱されるとタバコ成分を含む粒子を発揮するエアロゾルを生成でき、ユーザはタバコ300の吸い口端によってエアロゾルを吸い出す。なお、エアロゾル生成材料は吸入することができる材料、例えばタバコペースト、揮発性薬物成分含有材料、又は香料であってもよい。
【0017】
当業者であれば理解できるように、上記加熱空間102は閉鎖構造であってもよく、その開口位置に吸い口付きのエンドキャップを設置してもよく、ユーザはエンドキャップを開けることによって加熱空間102内にタバコ材料を添加することができる。
【0018】
更に、前記加熱スリーブ103の周辺に前記誘導コイル106を固定するためのボビン107が取り付けられ、前記ボビン107は断熱材料で製造され、発熱体104の過熱温度で熱を外へ伝達することで誘導コイル106を損傷したりハウジングが熱くなったりすることを防止する。
【0019】
上記誘導コイル106は前記発熱体104の周辺に囲まれて設置され、交流磁場を発生させるために用いられ、磁場に位置する発熱体104の内部に渦電流を発生させて発熱させ、前記誘導コイル106は電源モジュール200に接続されて電気回路が形成される。軸方向において、誘導コイル106はほぼ発熱体104の長さをカバーでき、上記調整素子は前記誘導コイル106の電気回路に接続される長さを変えるために用いられ、それにより少なくとも該長さの誘導コイル106が対応する発熱体104の一部の内部に渦電流を発生させ、発熱体104の局部的長さで発熱させ又は全体的に発熱させ、発熱体104の局部的長さの区域での発熱の自在調整を実現する。ある特定の実際に使用するシーンにおいて、本実施例により提供されるエアロゾル生成装置100はタバコのタバコ材料セグメントの異なる長さ仕様に適してもよく、汎用性を向上させる。
【0020】
図2及び図3に示すように、調整素子の一つの実施形態として、前記調整素子はスライダー105を含み、前記スライダー105は前記誘導コイル106に電気的に接触する摺動接点1052を含み、前記電源モジュール200は内部の電池201、回路基板及び電極接続部材202を含み、電極接続部材202の一方の極は該摺動接点1052に導線又は構造体によって電気的に接続され、他方の極は前記誘導コイル106の一端に接続される。スライダー105の摺動接点1052が上下摺動する時に誘導コイル106との電気的接触を常に維持し、誘導コイル106の電気回路に接続する長さを変えることができる。エアロゾル生成装置100は動作する時に、ユーザはスライダー105を移動させることで、誘導コイル106動作の長さを調整でき、対応する長さでの発熱体104の局部的温度を上昇させ、それによりタバコ材料の局部への加熱を実現する。スライダー105を誘導コイルの上端に移動させた時、誘導コイル106は発熱体104の全長をカバーし、タバコ材料全体への同時加熱を実現することができる。
【0021】
図2に示すように、スライダー105は更に前記摺動接点1052に接続される摺動スイッチ1051を含み、前記装置本体101上において軸方向に該摺動スイッチ1051を軸方向に摺動させるためのシュート109が設置される。明らかに、該摺動スイッチ1051はノブやトグルなどのスイッチを用いて摺動接点1052の位置を変えることもできる。
【0022】
本実施例において、発熱体104は前記加熱空間102の中心に位置し、且つ該発熱体104はエアロゾル生成材料内に挿入可能な金属板又は金属棒であり、金属板又は金属棒は熱を発生させ、中心から周辺に向かってエアロゾル生成材料を加熱する。
【0023】
更に図4に示すように、他の実施例として、発熱体は更に前記加熱空間102の内壁に設置され且つエアロゾル生成材料の周辺に囲まれて設置可能な金属スリーブ110であってもよく、誘導コイル106は同様に金属スリーブ110の周辺に位置し、該金属スリーブ110は周辺から中心に向かってエアロゾル生成材料を加熱する。
【0024】
図5に示すように、本願には更に上記調整素子の別の実施形態を提供し、該調整素子はシフトスイッチ203を含み、シフトスイッチ203は電源モジュール200に設置してもよく、誘導コイル106は長手方向に沿って間隔をおいて複数の電気接続点が設置され、該電気接続点はシフトスイッチ203によって電源モジュール200に接続され、前記シフトスイッチ203は誘導コイル106の電気回路に接続される長さを変えるように異なる電気接続点を切り替えるために用いられる。例えば、誘導コイル106は、長手方向に沿って両端及び中心に接続点A、B、Cが順次設置され、電気接続点A、Bはシフトスイッチ203によって電源モジュール200の一方の極に接続され、電気接続点Cはスタートスイッチ20によって電源モジュール200の他方の極に接続される。スタートスイッチ204がオンにされた時、誘導コイル106は電気を通し発熱体104は動作を開始し、シフトスイッチ203は電気接続点Bに切り替えられた時、下方の局部的誘導コイル106のみが電気を通し、シフトスイッチ203は電気接続点Aに切り替えられた時、誘導コイル106全体は電気を通す。
【0025】
上記各実施例において誘導コイル106を調整して局部的発熱体104への電磁誘導による加熱を実現する形態を採用し、タバコ300の局部的区域への加熱を実現するだけでなく、タバコ300全体を加熱し、タバコ300の長手方向での十分な加熱を実現することもでき、タバコ300の全体の利用率及びユーザの消費体験を著しく向上させることができる。
【0026】
上記実施例は、本明細書が本願を理解しやすいために実施形態の一部を示したものであって、本願の技術的解決手段を制限するものではなく、全ての実施形態を網羅するものではなく、従って本願の構造、プロセス又は手順へのいかなる軽微な改善または同等の置換は、その保護の範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5