特許第6795589号(P6795589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795589
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ガスセンサの組立装置および組立方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20201119BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   G01N27/416 331
   G01N27/409 100
【請求項の数】25
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2018-519608(P2018-519608)
(86)(22)【出願日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】JP2017019537
(87)【国際公開番号】WO2017204296
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-104278(P2016-104278)
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】志知 晋一郎
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−171879(JP,A)
【文献】 特開2013−083539(JP,A)
【文献】 特開2010−256100(JP,A)
【文献】 特開2004−009200(JP,A)
【文献】 特開2014−220213(JP,A)
【文献】 特開2010−237043(JP,A)
【文献】 特開2009−166134(JP,A)
【文献】 特開2015−172533(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125476(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/005491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/416
G01N 27/409
B23Q 7/00
H01R 43/20
H01B 13/012
G01R 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガスセンサ構成部材に備わる挿入口に第2のガスセンサ構成部材に備わりかつ前記第2のガスセンサ構成部材から部分的に突出するセンサ素子を挿入することによって前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材を一体化させる、ガスセンサの組立装置であって、
前記第1のガスセンサ構成部材を搬送する搬送機構と、
前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における姿勢を調整する姿勢調整部を有する姿勢調整ステーションと、
前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる一体化ステーションと、
を備え、
前記搬送機構と前記姿勢調整部とは、前記第1のガスセンサ構成部材を互いに受け渡し可能であり、
前記姿勢調整部は、前記搬送機構から受け渡された前記第1のガスセンサ構成部材をあらかじめ固定的に定められた姿勢調整位置において保持した状態で、前記第1のガスセンサ構成部材の姿勢をあらかじめ定められた挿入可能姿勢に調整し、かつ、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置に保ったままで前記搬送機構へと受け渡し、
前記搬送機構は、前記姿勢調整部から受け渡された、前記姿勢調整部において前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材を、前記挿入可能姿勢を保ちつつ前記一体化ステーションのあらかじめ定められた一体化位置に搬送し、
前記一体化位置においては、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対し前記第2のガスセンサ構成部材の前記センサ素子を挿入することによって前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記搬送機構が、前記第1のガスセンサ構成部材に備わる前記挿入口の開口を確保する開口確保処理を行う開口確保手段を備えており、
前記開口確保手段は、前記挿入可能姿勢とされたうえで前記姿勢調整位置を保って前記姿勢調整部から前記搬送機構へと受け渡された前記第1のガスセンサ構成部材に対し、前記姿勢調整位置に保持させたままで前記開口確保処理を行い、
前記第1のガスセンサ構成部材は、前記開口確保手段によって前記挿入口の開口が確保された状態を保ちながら前記搬送機構によって前記一体化位置に搬送され、
前記一体化位置においては、前記開口が確保された状態の前記挿入口に前記センサ素子が挿入される、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記第1のガスセンサ構成部材が、同一の断面形状を有する一対のハウジング部材を対向させてなるハウジングを有するとともに、前記ハウジングをその外側から所定の拘束部材にて拘束した構成を有してなり、
前記ハウジングにおいて前記一対のハウジング部材の間に形成される断面視矩形状の空間が前記挿入口であり、
前記開口確保手段が一対の爪部を有してなり、
前記開口確保手段による前記開口確保処理は、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときに、前記ハウジング部材の端部にて前記一対のハウジング部材の間に形成される2つの隙間に前記一対の爪部を挿入することで前記挿入口の開口状態を確保する処理である、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項4】
請求項3に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときの水平面内における前記挿入口の延在方向を第1の方向とするときに、
前記搬送機構においては、前記一対の爪部のそれぞれが前記第1の方向に沿って進退自在に設けられてなり、
前記開口確保処理においては、前記一対の爪部を前記第1の方向に沿って移動させることによって前記2つの隙間に挿入させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項5】
請求項4に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記搬送機構においては、前記一対の爪部が前記第1の方向において前記ハウジングを把持する一対のハウジングチャックに付設されてなり、
前記開口確保処理においては、前記一対のハウジングチャックによって前記ハウジングを把持しつつ前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のガスセンサの組立装置であって、
前記開口確保手段が、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対して進退自在に設けられた開口ピンをさらに備え、
前記開口確保処理においては、前記挿入口に前記開口ピンを挿入したうえで前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入し、前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入した後に、前記開口ピンを前記挿入口から抜き出し、
前記搬送機構は、前記開口ピンが前記挿入口から抜き出された後に、前記第1のガスセンサ構成部材を前記一体化ステーションに搬送する、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のガスセンサの組立装置であって、
前記姿勢調整部が、前記第1のガスセンサ構成部材を水平面内において回転させることにより前記第1のガスセンサ構成部材の姿勢を調整する回転機構を備え、
前記回転機構の回転中心位置が、前記姿勢調整位置として定められてなり、
前記回転機構が、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置に保持された状態において、あらかじめ特定された前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における前記挿入可能姿勢からの傾斜角を打ち消すように水平面内で回転することによって、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢とされる、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項8】
請求項7に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記回転機構が、前記第1のガスセンサ構成部材の軸中心位置を前記姿勢調整位置である前記回転中心位置に一致させる態様にて前記第1のガスセンサ構成部材を把持した状態で前記回転中心周りを回転する一対の把持手段を備え、
前記姿勢調整部においては、前記一対の把持手段によって前記搬送機構との間で前記第1のガスセンサ構成部材が受け渡される、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記姿勢調整ステーションが前記第1のガスセンサ構成部材を撮像する撮像手段をさらに備え、
前記撮像手段における撮像結果に基づいて前記傾斜角が特定される、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項10】
請求項ないし請求項のいずれかに記載のガスセンサの組立装置であって、
前記搬送機構の搬送方向が、前記姿勢調整ステーションと前記一体化ステーションの配列方向である、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項11】
請求項10に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に前記センサ素子を挿入する際の前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材の向きの関係があらかじめ定められてなる場合に、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを確認するための方向確認処理が行われる方向確認ステーション、
を前記姿勢調整ステーションと前記一体化ステーションとの間に備えるとともに、
前記方向確認処理の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きが互いに180°異なる正方向と逆方向のいずれであるかを判定する方向判定処理手段、
をさらに備え、
前記方向判定処理手段における判定結果に基づいて、前記一体化ステーションにおける前記第2のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対する挿入の向きを特定する、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項12】
請求項11に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記第のガスセンサ構成部材が、前記一対のハウジング部材のそれぞれに設けられた複数の接点部材を有してなるとともに、
一方端部が前記複数の接点部材のそれぞれと電気的に接続された複数のリード線を内包するワイヤーハーネスと、
それぞれが前記複数のリード線のそれぞれの他方端部と電気的に接続されてなる複数のコネクタピンを有するコネクタと、
を付設してなるものであり、
前記方向確認ステーションが、前記複数の接点部材の少なくとも1つと、前記複数のコネクタピンの少なくとも1つとの間の導通を確認する導通確認手段を備えており、
前記方向確認処理が、前記導通確認手段による導通確認処理であり、
前記方向判定処理手段は、前記導通確認処理の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを判定する、
ことを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項13】
請求項12に記載のガスセンサの組立装置であって、
前記搬送機構が、前記ワイヤーハーネスの一部をあらかじめ設けた拘束領域内に拘束するハーネス拘束手段をさらに備えることを特徴とするガスセンサの組立装置。
【請求項14】
第1のガスセンサ構成部材に備わる挿入口に、第2のガスセンサ構成部材に備わりかつ前記第2のガスセンサ構成部材から部分的に突出するセンサ素子を挿入することによって、前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材を一体化させるガスセンサの組立方法であって、
前記第1のガスセンサ構成部材を所定の搬送機構によって所定の姿勢調整手段に搬送する第1搬送工程と、
前記第1のガスセンサ構成部材を前記搬送機構から前記姿勢調整手段に受け渡すことによって前記第1のガスセンサ構成部材をあらかじめ固定的に定められた姿勢調整位置に配置する第1受け渡し工程と、
前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置において保持した状態で、前記姿勢調整手段により前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における姿勢をあらかじめ定められた挿入可能姿勢に調整する姿勢調整工程と、
前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材を、前記姿勢調整位置に保ったままで前記姿勢調整手段から前記搬送機構に受け渡す第2受け渡し工程と、
前記挿入可能姿勢を保ちつつ前記搬送機構によって前記第1のガスセンサ構成部材を所定の一体化位置に搬送する第2搬送工程と、
前記一体化位置において前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる一体化工程と、
を備え、
前記一体化工程においては、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対し前記第2のガスセンサ構成部材の前記センサ素子を挿入することによって前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項15】
請求項14に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記第2受け渡し工程によって前記姿勢調整手段から前記搬送機構へと受け渡された前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置に保ったまま、前記搬送機構に設けた所定の開口確保手段によって前記第1のガスセンサ構成部材に備わる前記挿入口の開口を確保する開口確保工程、
をさらに備え、
前記第2搬送工程においては、前記挿入可能姿勢と前記挿入口の開口が確保された状態とを保ちつつ前記搬送機構によって前記第1のガスセンサ構成部材を前記一体化位置に搬送し、
前記一体化工程においては、前記開口確保手段によって前記開口が確保された状態の前記挿入口に前記センサ素子を挿入させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項16】
請求項15に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記第1のガスセンサ構成部材が、同一の断面形状を有する一対のハウジング部材を対向させてなるハウジングを有するとともに、前記ハウジングをその外側から所定の拘束部材にて拘束した構成を有してなり、
前記ハウジングにおいて前記一対のハウジング部材の間に形成される断面視矩形状の空間が前記挿入口であり、
前記開口確保手段が一対の爪部を有してなり、
前記開口確保工程においては、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときに、前記ハウジング部材の端部にて前記一対のハウジング部材の間に形成される2つの隙間に前記一対の爪部を挿入することで前記挿入口の開口状態を確保する、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項17】
請求項16に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときの水平面内における前記挿入口の延在方向を第1の方向とするときに、
前記搬送機構においては、前記一対の爪部のそれぞれを前記第1の方向に沿って進退自在に設けてなり、
前記開口確保工程においては、前記一対の爪部を前記第1の方向に沿って移動させることによって前記2つの隙間に挿入させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項18】
請求項17に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記搬送機構においては、前記一対の爪部を前記第1の方向において前記ハウジングを把持する一対のハウジングチャックに付設させてなり、
前記開口確保工程においては、前記一対のハウジングチャックによって前記ハウジングを把持しつつ前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項19】
請求項16ないし請求項18のいずれかに記載のガスセンサの組立方法であって、
前記開口確保手段が、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対して進退自在に設けられた開口ピンをさらに備え、
前記開口確保工程においては、前記挿入口に前記開口ピンを挿入したうえで前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入し、前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入した後に、前記開口ピンを前記挿入口から抜き出し、
前記開口ピンを前記挿入口から抜き出した後に、前記第2搬送工程によって前記第1のガスセンサ構成部材を前記一体化位置に搬送する、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項20】
請求項14ないし請求項19のいずれかに記載のガスセンサの組立方法であって、
前記姿勢調整手段が、前記第1のガスセンサ構成部材を水平面内において回転させることにより前記第1のガスセンサ構成部材の姿勢を調整する回転機構を備え、
前記回転機構の回転中心位置が、前記姿勢調整位置として定められてなり、
前記姿勢調整工程においては、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置に保持された状態において、前記回転機構を、あらかじめ特定された前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における前記挿入可能姿勢からの傾斜角を打ち消すように水平面内で回転させることによって、前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢とする、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項21】
請求項20に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記回転機構が、前記第1のガスセンサ構成部材の軸中心位置を前記姿勢調整位置である前記回転中心位置に一致させる態様にて前記第1のガスセンサ構成部材を把持した状態で前記回転中心周りを回転する一対の把持手段を備え、
前記第1および第2受け渡し工程においては、前記一対の把持手段と前記搬送機構との間で前記第1のガスセンサ構成部材を受け渡す、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項22】
請求項20または請求項21に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記姿勢調整工程においては、前記第1のガスセンサ構成部材を所定の撮像手段によって撮像することで得られる撮像結果に基づいて前記傾斜角を特定する、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項23】
請求項16ないし請求項19のいずれかに記載のガスセンサの組立方法であって、
前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に前記センサ素子を挿入する際の前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材の向きの関係があらかじめ定められてなる場合に、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを確認するための方向確認工程と、
前記方向確認工程の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きが互いに180°異なる正方向と逆方向のいずれであるかを判定する方向判定工程、
をさらに備え、
前記方向判定工程における判定結果に基づいて、前記一体化位置における前記第2のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対する挿入の向きを特定する、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項24】
請求項23に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記第のガスセンサ構成部材が、前記一対のハウジング部材のそれぞれに設けられた複数の接点部材を有してなるとともに、
一方端部が前記複数の接点部材のそれぞれと電気的に接続された複数のリード線を内包するワイヤーハーネスと、
それぞれが前記複数のリード線のそれぞれの他方端部と電気的に接続されてなる複数のコネクタピンを有するコネクタと、
を付設してなるものであり、
前記方向確認工程が、前記複数の接点部材の少なくとも1つと、前記複数のコネクタピンの少なくとも1つとの間の導通を確認する導通確認工程であり、
前記方向判定工程においては、前記導通確認工程の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを判定する、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【請求項25】
請求項24に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記第1搬送工程に先立って前記第1のガスセンサ構成部材を前記搬送機構に保持させる保持工程、
をさらに備え、
前記保持工程においては、前記ワイヤーハーネスの一部を前記搬送機構にあらかじめ設けてなる拘束領域内に拘束させる、
ことを特徴とするガスセンサの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサを組み立てる組立装置に関し、特に、ガスセンサのセンサ素子をコンタクト部材に挿入するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定ガス中の所望のガス成分の濃度を知るために、各種の測定装置が用いられている。例えば、燃焼ガス等の被測定ガス中のNOx濃度を測定する装置として、ジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性を有するガスセンサ(NOxセンサ)が公知である(例えば、特許文献1参照)。このようなガスセンサのセンサ素子は、電圧の印加、検出信号の取り出し、およびヒーター部への電力の供給等のために、通常、表面に複数の電極端子を有している。
【0003】
一方で、ガスセンサは、センサ素子を挿嵌保持するコンタクト部材を備える。例えば、互いに対向配置された一対のハウジング部材によってセンサ素子が挿入される挿入口を形成してなるセラミックス製のハウジング(セラミックハウジング)と、ハウジング部材に付設され、金属端子から成る複数の接点部材と、接点部材に接続され、センサ素子と外部との電気的導通を図る複数のリード線とを備えるコンタクト部材を有するガスセンサが、すでに公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2に開示のガスセンサにおいては、接点部材と電極端子とを接触させる態様にて、挿入口に挿入されたセンサ素子をコンタクト部材が保持することで、センサ素子と外部との電気的導通を得ている。
【0005】
センサ素子をコンタクト部材に挿入する際には、両者の干渉や衝突が生じないように両者の位置および姿勢を定めたうえで挿入動作を行う必要がある。
【0006】
さらには、挿入を確実にする目的で、センサ素子を挿入する時点まで、あらかじめハウジングの挿入口を広く開口させておくことが好ましい。係る開口は、例えば、まず挿入口にセンサ素子と同じ厚みかあるいはわずかに厚みの大きな開口ピンを挿入し、次いで係るピンの挿入によってハウジングの両側面に形成された隙間に開口爪を挿入した後、挿入口に挿入していた開口ピンを抜くことなどによって実現される。
【0007】
ただし、係る開口を行う場合もやはり、コンタクト部材と開口ピンおよび開口爪とが干渉や衝突をすることがないよう、両者の位置及び姿勢を定める必要がある。コンタクト部材の配置位置と開口ピンおよび開口爪の配置位置との間に並進ずれが生じている場合や、コンタクト部材が本来の姿勢から傾いている場合、開口ピンおよび開口爪がハウジングに干渉あるいは衝突して本来の位置に挿入されず、挿入口を好適に広く開口させることができないことになる。このような不具合を避けるにはまず、開口を行う際のコンタクト部材の配置位置および姿勢を、一定のものとする必要がある。
【0008】
また、センサ素子の挿入に先立って、あるいは挿入口の開口に先立って、コンタクト部材の配置位置および姿勢を正しく調整したとしても、その後の搬送等の際に生じる振動等によってコンタクト部材の姿勢にずれが生じてしまえば、センサ素子、あるいは開口ピンや開口爪はハウジングに衝突してしまうことになるため、そのような搬送に伴う姿勢のずれを生じさせないようにすることが好ましい。
【0009】
ガスセンサの量産工程において上述のような干渉あるいは衝突が生じると、センサ素子の挿入が行えなくなるため、工程の稼働率を低下させてしまうことになり好ましくない。
【0010】
さらには、センサ素子をコンタクト部材に挿入する際の向きに規定がある場合、係る向きを違えることなく挿入を行えるようにすることも重要である。例えば、誤った向きに挿入した場合、センサ素子とガスセンサ外部との電気的接続が正しく実現されないなどの不具合が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−284223号公報
【特許文献2】特許第5082013号公報
【発明の概要】
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ガスセンサの製造プロセスにおいて、センサ素子をコンタクト部材に挿入する処理が確実にかつ効率的に行える装置を提供することを目的とする。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、第1のガスセンサ構成部材に備わる挿入口に第2のガスセンサ構成部材に備わりかつ前記第2のガスセンサ構成部材から部分的に突出するセンサ素子を挿入することによって前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材を一体化させる、ガスセンサの組立装置が、前記第1のガスセンサ構成部材を搬送する搬送機構と、前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における姿勢を調整する姿勢調整部を有する姿勢調整ステーションと、前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる一体化ステーションと、を備え、前記搬送機構と前記姿勢調整部とは、前記第1のガスセンサ構成部材を互いに受け渡し可能であり、前記姿勢調整部は、前記搬送機構から受け渡された前記第1のガスセンサ構成部材をあらかじめ固定的に定められた姿勢調整位置において保持した状態で、前記第1のガスセンサ構成部材の姿勢をあらかじめ定められた挿入可能姿勢に調整し、かつ、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置に保ったままで前記搬送機構へと受け渡し、前記搬送機構は、前記姿勢調整部から受け渡された、前記姿勢調整部において前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材を、前記挿入可能姿勢を保ちつつ前記一体化ステーションのあらかじめ定められた一体化位置に搬送し、前記一体化位置においては、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対し前記第2のガスセンサ構成部材の前記センサ素子を挿入することによって前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる、ようにした。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記搬送機構が、前記第1のガスセンサ構成部材に備わる前記挿入口の開口を確保する開口確保処理を行う開口確保手段を備えており、前記開口確保手段は、前記挿入可能姿勢とされたうえで前記姿勢調整位置を保って前記姿勢調整部から前記搬送機構へと受け渡された前記第1のガスセンサ構成部材に対し、前記姿勢調整位置に保持させたままで前記開口確保処理を行い、前記第1のガスセンサ構成部材は、前記開口確保手段によって前記挿入口の開口が確保された状態を保ちながら前記搬送機構によって前記一体化位置に搬送され、前記一体化位置においては、前記開口が確保された状態の前記挿入口に前記センサ素子が挿入される、ようにした。
【0015】
本発明の第3の態様は、第2の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記第1のガスセンサ構成部材が、同一の断面形状を有する一対のハウジング部材を対向させてなるハウジングを有するとともに、前記ハウジングをその外側から所定の拘束部材にて拘束した構成を有してなり、前記ハウジングにおいて前記一対のハウジング部材の間に形成される断面視矩形状の空間が前記挿入口であり、前記開口確保手段が一対の爪部を有してなり、前記開口確保手段による前記開口確保処理は、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときに、前記ハウジング部材の端部にて前記一対のハウジング部材の間に形成される2つの隙間に前記一対の爪部を挿入することで前記挿入口の開口状態を確保する処理である、ようにした。
【0016】
本発明の第4の態様は、第3の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときの水平面内における前記挿入口の延在方向を第1の方向とするときに、前記搬送機構においては、前記一対の爪部のそれぞれが前記第1の方向に沿って進退自在に設けられてなり、前記開口確保処理においては、前記一対の爪部を前記第1の方向に沿って移動させることによって前記2つの隙間に挿入させる、ようにした。
【0017】
本発明の第5の態様は、第4の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記搬送機構においては、前記一対の爪部が前記第1の方向において前記ハウジングを把持する一対のハウジングチャックに付設されてなり、前記開口確保処理においては、前記一対のハウジングチャックによって前記ハウジングを把持しつつ前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入させる、ようにした。
【0018】
本発明の第6の態様は、第3ないし第5の態様のいずれかに係るガスセンサの組立装置において、前記開口確保手段が、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対して進退自在に設けられた開口ピンをさらに備え、前記開口確保処理においては、前記挿入口に前記開口ピンを挿入したうえで前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入し、前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入した後に、前記開口ピンを前記挿入口から抜き出し、前記搬送機構は、前記開口ピンが前記挿入口から抜き出された後に、前記第1のガスセンサ構成部材を前記一体化ステーションに搬送する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第7の態様は、第1ないし第6の態様のいずれかに係るガスセンサの組立装置において、前記姿勢調整部が、前記第1のガスセンサ構成部材を水平面内において回転させることにより前記第1のガスセンサ構成部材の姿勢を調整する回転機構を備え、前記回転機構の回転中心位置が、前記姿勢調整位置として定められてなり、前記回転機構が、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置に保持された状態において、あらかじめ特定された前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における前記挿入可能姿勢からの傾斜角を打ち消すように水平面内で回転することによって、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢とされる、ようにした。
【0020】
本発明の第8の態様は、第7の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記回転機構が、前記第1のガスセンサ構成部材の軸中心位置を前記姿勢調整位置である前記回転中心位置に一致させる態様にて前記第1のガスセンサ構成部材を把持した状態で前記回転中心周りを回転する一対の把持手段を備え、前記姿勢調整部においては、前記一対の把持手段によって前記搬送機構との間で前記第1のガスセンサ構成部材が受け渡される、ようにした。
【0021】
本発明の第9の態様は、第7または第8の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記姿勢調整ステーションが前記第1のガスセンサ構成部材を撮像する撮像手段をさらに備え、前記撮像手段における撮像結果に基づいて前記傾斜角が特定される、ようにした。
【0022】
本発明の第10の態様は、第ないし第の態様のいずれかに係るガスセンサの組立装置において、前記搬送機構の搬送方向が、前記姿勢調整ステーションと前記一体化ステーションの配列方向である、ようにした。
【0023】
本発明の第11の態様は、第10の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に前記センサ素子を挿入する際の前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材の向きの関係があらかじめ定められてなる場合に、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを確認するための方向確認処理が行われる方向確認ステーション、を前記姿勢調整ステーションと前記一体化ステーションとの間に備えるとともに、前記方向確認処理の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きが互いに180°異なる正方向と逆方向のいずれであるかを判定する方向判定処理手段、をさらに備え、前記方向判定処理手段における判定結果に基づいて、前記一体化ステーションにおける前記第2のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対する挿入の向きを特定する、ようにした。
【0024】
本発明の第12の態様は、第11の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記第のガスセンサ構成部材が、前記一対のハウジング部材のそれぞれに設けられた複数の接点部材を有してなるとともに、一方端部が前記複数の接点部材のそれぞれと電気的に接続された複数のリード線を内包するワイヤーハーネスと、それぞれが前記複数のリード線のそれぞれの他方端部と電気的に接続されてなる複数のコネクタピンを有するコネクタと、を付設してなるものであり、前記方向確認ステーションが、前記複数の接点部材の少なくとも1つと、前記複数のコネクタピンの少なくとも1つとの間の導通を確認する導通確認手段を備えており、前記方向確認処理が、前記導通確認手段による導通確認処理であり、前記方向判定処理手段は、前記導通確認処理の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを判定する、ようにした。
【0025】
本発明の第13の態様は、第12の態様に係るガスセンサの組立装置において、前記搬送機構が、前記ワイヤーハーネスの一部をあらかじめ設けた領域内に拘束するハーネス拘束手段をさらに備えるようにした。
【0026】
本発明の第14の態様は、第1のガスセンサ構成部材に備わる挿入口に、第2のガスセンサ構成部材に備わりかつ前記第2のガスセンサ構成部材から部分的に突出するセンサ素子を挿入することによって、前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材を一体化させるガスセンサの組立方法が、前記第1のガスセンサ構成部材を所定の搬送機構によって所定の姿勢調整手段に搬送する第1搬送工程と、前記第1のガスセンサ構成部材を前記搬送機構から前記姿勢調整手段に受け渡すことによって前記第1のガスセンサ構成部材をあらかじめ固定的に定められた姿勢調整位置に配置する第1受け渡し工程と、前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置において保持した状態で、前記姿勢調整手段により前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における姿勢をあらかじめ定められた挿入可能姿勢に調整する姿勢調整工程と、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材を、前記姿勢調整位置に保ったままで前記姿勢調整手段から前記搬送機構に受け渡す第2受け渡し工程と、前記挿入可能姿勢を保ちつつ前記搬送機構によって前記第1のガスセンサ構成部材を所定の一体化位置に搬送する第2搬送工程と、前記一体化位置において前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる一体化工程と、を備え、前記一体化工程においては、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対し前記第2のガスセンサ構成部材の前記センサ素子を挿入することによって前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材とを一体化させる、ようにした。
【0027】
本発明の第15の態様は、第14の態様に係るガスセンサの組立方法が、前記第2受け渡し工程によって前記姿勢調整手段から前記搬送機構へと受け渡された前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置に保ったまま、前記搬送機構に設けた所定の開口確保手段によって前記第1のガスセンサ構成部材に備わる前記挿入口の開口を確保する開口確保工程、をさらに備え、前記第2搬送工程においては、前記挿入可能姿勢と前記挿入口の開口が確保された状態とを保ちつつ前記搬送機構によって前記第1のガスセンサ構成部材を前記一体化位置に搬送し、前記一体化工程においては、前記開口確保手段によって前記開口が確保された状態の前記挿入口に前記センサ素子を挿入させる、ようにした。
【0028】
本発明の第16の態様は、第15の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記第1のガスセンサ構成部材が、同一の断面形状を有する一対のハウジング部材を対向させてなるハウジングを有するとともに、前記ハウジングをその外側から所定の拘束部材にて拘束した構成を有してなり、前記ハウジングにおいて前記一対のハウジング部材の間に形成される断面視矩形状の空間が前記挿入口であり、前記開口確保手段が一対の爪部を有してなり、前記開口確保工程においては、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときに、前記ハウジング部材の端部にて前記一対のハウジング部材の間に形成される2つの隙間に前記一対の爪部を挿入することで前記挿入口の開口状態を確保する、ようにした。
【0029】
本発明の第17の態様は、第16の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢にあるときの水平面内における前記挿入口の延在方向を第1の方向とするときに、前記搬送機構においては、前記一対の爪部のそれぞれを前記第1の方向に沿って進退自在に設けてなり、前記開口確保工程においては、前記一対の爪部を前記第1の方向に沿って移動させることによって前記2つの隙間に挿入させる、ようにした。
【0030】
本発明の第18の態様は、第17の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記搬送機構においては、前記一対の爪部を前記第1の方向において前記ハウジングを把持する一対のハウジングチャックに付設させてなり、前記開口確保工程においては、前記一対のハウジングチャックによって前記ハウジングを把持しつつ前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入させる、ようにした。
【0031】
本発明の第19の態様は、第16ないし第18の態様のいずれかに係るガスセンサの組立方法において、前記開口確保手段が、前記挿入可能姿勢とされた前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対して進退自在に設けられた開口ピンをさらに備え、前記開口確保工程においては、前記挿入口に前記開口ピンを挿入したうえで前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入し、前記一対の爪部を前記2つの隙間に挿入した後に、前記開口ピンを前記挿入口から抜き出し、前記開口ピンを前記挿入口から抜き出した後に、前記第2搬送工程によって前記第1のガスセンサ構成部材を前記一体化位置に搬送する、ようにした。
【0032】
本発明の第20の態様は、第14ないし第19の態様のいずれかに係るガスセンサの組立方法において、前記姿勢調整手段が、前記第1のガスセンサ構成部材を水平面内において回転させることにより前記第1のガスセンサ構成部材の姿勢を調整する回転機構を備え、前記回転機構の回転中心位置が、前記姿勢調整位置として定められてなり、前記姿勢調整工程においては、前記第1のガスセンサ構成部材が前記姿勢調整位置に保持された状態において、前記回転機構を、あらかじめ特定された前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における前記挿入可能姿勢からの傾斜角を打ち消すように水平面内で回転させることによって、前記第1のガスセンサ構成部材を前記姿勢調整位置において前記挿入可能姿勢とする、ようにした。
【0033】
本発明の第21の態様は、第20の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記回転機構が、前記第1のガスセンサ構成部材の軸中心位置を前記姿勢調整位置である前記回転中心位置に一致させる態様にて前記第1のガスセンサ構成部材を把持した状態で前記回転中心周りを回転する一対の把持手段を備え、前記第1および第2受け渡し工程においては、前記一対の把持手段と前記搬送機構との間で前記第1のガスセンサ構成部材を受け渡す、ようにした。
【0034】
本発明の第22の態様は、第20または第21の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記姿勢調整工程においては、前記第1のガスセンサ構成部材を所定の撮像手段によって撮像することで得られる撮像結果に基づいて前記傾斜角を特定する、ようにした。
【0035】
本発明の第23の態様は、第16ないし第19の態様のいずれかに係るガスセンサの組立方法においては、前記第1のガスセンサ構成部材の前記挿入口に前記センサ素子を挿入する際の前記第1のガスセンサ構成部材と前記第2のガスセンサ構成部材の向きの関係があらかじめ定められてなる場合に、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを確認するための方向確認工程と、前記方向確認工程の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きが互いに180°異なる正方向と逆方向のいずれであるかを判定する方向判定工程、をさらに備え、前記方向判定工程における判定結果に基づいて、前記一体化位置における前記第2のガスセンサ構成部材の前記挿入口に対する挿入の向きを特定する、ようにした。
【0036】
本発明の第24の態様は、第23の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記第のガスセンサ構成部材が、前記一対のハウジング部材のそれぞれに設けられた複数の接点部材を有してなるとともに、一方端部が前記複数の接点部材のそれぞれと電気的に接続された複数のリード線を内包するワイヤーハーネスと、それぞれが前記複数のリード線のそれぞれの他方端部と電気的に接続されてなる複数のコネクタピンを有するコネクタと、を付設してなるものであり、前記方向確認工程が、前記複数の接点部材の少なくとも1つと、前記複数のコネクタピンの少なくとも1つとの間の導通を確認する導通確認工程であり、前記方向判定工程においては、前記導通確認工程の結果に基づいて、前記挿入可能姿勢にある前記第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きを判定する、ようにした。
【0037】
本発明の第25の態様は、第24の態様に係るガスセンサの組立方法において、前記第1搬送工程に先立って前記第1のガスセンサ構成部材を前記搬送機構に保持させる保持工程、をさらに備え、前記保持工程においては、前記ワイヤーハーネスの一部を前記搬送機構にあらかじめ設けてなる領域内に拘束させる、ようにした。
【発明の効果】
【0038】
本発明の第1ないし第25の態様によれば、第1のガスセンサ構成部材と第2のガスセンサ構成部材を一体化させるにあたって、搬送機構に第1のガスセンサ構成部材を保持させる際に、第1のガスセンサ構成部材の姿勢を厳密に調整せずとも、第1のガスセンサ構成部材は、第2のガスセンサ構成部材との一体化に先立ち、その位置および姿勢が、あらかじめ定められた姿勢調整位置においてあらかじめ定められた挿入可能姿勢となるように調整される。これにより、ガスセンサの組立処理における処理の確実化および効率化が実現される。
【0039】
特に、本発明の第2ないし第6、第10ないし第13、第15ないし第19、および第23ないし第25の態様によれば、あらかじめ定められた姿勢調整位置においてあらかじめ定められた挿入可能姿勢に調整された第1のガスセンサ構成部材において、第2のガスセンサ構成部材に備わるセンサ素子を挿入するための挿入口の開口状態が確実に確保される。これにより、開口確保手段が第1のガスセンサ構成部材と干渉したり衝突したりすることによる不具合の発生が解消されるので、ガスセンサの組立処理における処理のさらなる確実化および効率化が実現される。
【0040】
また、本発明の第11、第12、第23、および第24の態様によれば、挿入可能姿勢にある第1のガスセンサ構成部材の水平面内における配置の向きが正方向であるか逆方向であるかによらず、センサ素子を正しい向きにて挿入口に挿入することができるので、搬送機構に第1のガスセンサ構成部材を保持させる際に第1のガスセンサ構成部材の向きを確認したり所定の向きを揃えたりする必要がなくなる。これにより、ガスセンサの組立処理における処理の確実化および効率化が実現される。
【0041】
また、本発明の第13および第25の態様によれば、ワイヤーハーネスを拘束領域にて拘束しておくことで、第1のガスセンサ構成部材と第2のガスセンサ構成部材の一体化に際し、ワイヤーハーネスが邪魔になることや、ワイヤーハーネスの自重が第1のガスセンサ構成部材に作用してその位置や姿勢を変化させることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ガスセンサ100の組み立て時の様子を示す図である。
図2】配線側組立品30を示す図である。
図3】センサ素子1の外形を示す斜視図である。
図4】コンタクト部材20のより詳細な構成を説明するための図である。
図5】コンタクト部材20の挿入口23側の端部20Aの正面図である。
図6】組立装置1000の概略的な構成を示す図である。
図7】組立装置1000のより詳細な構成要素について示すブロック図である。
図8】組立装置1000において行われる組立処理について、その手順を示す図である。
図9】投入ステーションST1において配線側組立品30が配置された後の状態における搬送パレットPTの保持部PTaの正面要部図である。
図10】姿勢調整部1100と撮像部1200との概略構成を示す図である。
図11】姿勢調整処理の主な手順を示す図である。
図12】姿勢調整が行われる前のコンタクト部材20の一例としての、コンタクト部材20の挿入口23側の端部20Aの正面図である。
図13】姿勢調整の途中における姿勢調整ステーションST2の変化の様子を段階的に示す上面図である。
図14】姿勢調整の途中における姿勢調整ステーションST2の変化の様子を段階的に示す上面図である。
図15】姿勢調整の途中における姿勢調整ステーションST2の変化の様子を段階的に示す上面図である。
図16】姿勢調整の途中における姿勢調整ステーションST2の変化の様子を段階的に示す上面図である。
図17】開口確保処理の手順を示す図である。
図18】開口確保処理に用いられる開口ピン1031の先端部近傍の形状を例示する図である。
図19】開口確保処理の途中の様子を段階的に示す図である。
図20】開口確保処理の途中の様子を段階的に示す図である。
図21】開口確保処理の途中の様子を段階的に示す図である。
図22】方向確認ステーションST3において行われる導通チェックを概念的に示す図である。
図23】一体化ステーションST4において行われる一体化処理の具体的な手順を示す図である。
図24】一体化処理の途中の様子を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
<ガスセンサの概略構造>
はじめに、本実施の形態において組み立ての対象とされるガスセンサ100の概略構造について説明する。ガスセンサ100は、測定対象とするガス(被測定ガス)中の所定のガス成分(対象ガス成分)を検出し、さらにはその濃度を測定するためのものである。図1は、ガスセンサ100の組み立て時の様子を示す図である。図1(a)が組み立て前の様子を示し、図1(b)が、組み立て後の様子を示している。図2は、組み立て後にガスセンサ100の一部を構成することになる配線側組立品30を示す図である。ガスセンサ100は概略、ガスセンサ本体(一次組みとも称する)10(第2のガスセンサ構成部材)と、配線側組立品(予備組みとも称する)30の一部であるコンタクト部材20(第1のガスセンサ構成部材)とが一体化された構造を有する。
【0044】
ガスセンサ本体10は、ガス検出部であるセンサ素子1と、センサ素子1を収容する収容部材2と、収容部材2の外周に設けられてなり、ガスセンサ100を所定の測定箇所に取り付ける際に使用されるボルト部3とを備える。
【0045】
一方、コンタクト部材20は、複数の接点部材21と、該接点部材21に接続された図示しない複数のリード線が収容されてなるワイヤーハーネス22と、セラミックからなり、接点部材21を介してセンサ素子1を挿入口23に挿嵌保持するハウジング24と、センサ素子1が挿入されたハウジング24を外周から固定するために設けられてなるカシメリング27と、内部にリード線が気密に挿通されてなるグロメット(ゴム栓)28とを主として備える。
【0046】
図1(b)に示すように、コンタクト部材20に備わるハウジング24の挿入口23に対し、ガスセンサ本体10に備わるセンサ素子1の電極端子1aを含む先端部分(収容部材2からの突出部分)が挿入され、かつ、ハウジング24において接点部材21を介してセンサ素子1が保持されることで、ガスセンサ100は一体化されてなる。
【0047】
加えて、ワイヤーハーネス22のコンタクト部材20とは反対側の端部には、図2に示すように、ガスセンサ100を外部の制御部と電気的に接続するためのコネクタ29が備わる。コネクタ29は、その先端部に複数のコネクタピン29aを備える。好ましくは、コネクタ29はその向きを識別容易とするために、先端部の形状やコネクタピン29aの配置が異方性を有するように構成されてなるか、あるいは場所によって異なる彩色が施されてなる。
【0048】
本実施の形態においては、ワイヤーハーネス22の一方端部にコンタクト部材20が設けられなり、他方端部にコネクタ29が設けられてなる構成のものを、配線側組立品30と称する。
【0049】
なお、図1においては図示を省略しているが、より詳細には、図1(b)に示す組み立て後の状態のガスセンサ100において、コンタクト部材20と、ガスセンサ本体10のうち図1(b)においてボルト部3よりも右側の部分は、図2に示す外筒4で覆われる。ただし、係る外筒4による被覆は、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化の後に行われるので、外筒4には、配線側組立品30が用意される段階であらかじめ、図2に示すようにワイヤーハーネス22が挿通されてなる。本実施の形態においては、外筒4による被覆がなされていない状態のガスセンサ100を特に、未被覆品100αと称する。
【0050】
図3は、センサ素子1の外形を示す斜視図である。センサ素子1は、それぞれがジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性の固体電解質からなる複数の層が積層された構造を有する。また、センサ素子1の表裏面には、電圧の印加、検出信号の取り出しおよびヒーター部への電力の供給等のために、複数の電極端子1aを備える。なお、図3においては片面に4つの電極端子1aが設けられたセンサ素子1を図示しているが、図示を省略するセンサ素子1の裏面にも同様に4つの電極端子1aが設けられている。また、センサ素子1は、電極端子1aが設けられた側の先端面1sに、基準ガスを導入するガス導入口1bを有し、他方端部には、図示しない被測定ガス導入口を備える。
【0051】
係るセンサ素子1は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに、所定の加工や、電極および配線パターン印刷などを行った後に、それらを積層して所定の大きさにカットし、得られた積層体を焼成することによって製造される。ガスセンサ100においては、センサ素子1に被測定ガスが導入された際に、内部に設けられた所定の電極間に被測定ガス中の対象ガス成分の存在量に応じた電流が流れることを利用して、対象ガス成分が検出される。
【0052】
図4は、コンタクト部材20のより詳細な構成を説明するための図である。図4(a)はコンタクト部材20の斜視図であり、図4(b)および(c)はそれぞれ、コンタクト部材20を構成する接点部材21とハウジング24の斜視図である。図5は、コンタクト部材20の挿入口23側の端部20Aの正面図である。係る端部20Aは、配線側組立品30が搬送パレットPTに配置・保持されている状態におけるコンタクト部材20の最下端部である。なお、図5に付しているxyz座標は、後述する組立装置1000のxyz座標(図6等参照)に対応させたものである。
【0053】
コンタクト部材20は、ハウジング24を構成する、互いに対向配置された一対のハウジング部材24aのそれぞれに、グロメット28に挿通されたリード線と接続されてなる複数の接点部材21を掛着させてなるとともに、ハウジング24の外周に、押圧ばね26を備える固定金具25と、カシメリング27とを組み付けた構成を有する。
【0054】
なお、配線側組立品30においては、コンタクト部材20の接点部材21のそれぞれが、ワイヤーハーネス22内に収納されている図示しないリード線にて、コネクタ29の相異なるコネクタピン29aと電気的に接続されている。そして、ガスセンサ本体と10コンタクト部材20とが一体化された際には、センサ素子1の電極端子1aのそれぞれが相異なる接点部材21に接続され、結果として、センサ素子1の電極端子1aのそれぞれとコネクタ29の相異なるコネクタピン29aとの間に電気的接続が実現される。
【0055】
図5に示すように、コンタクト部材20の端部20Aは点対称な構成を有してなる。なお、図5においては、図2に例示したコネクタ29のコネクタピン29aの個数、さらには、図3に例示したセンサ素子1における電極端子1aの配置および個数に対応して、8個の接点部材21(211〜218)がそれぞれのハウジング部材24aに対して4つずつ設けられた場合を例示している。
【0056】
それぞれの接点部材21は、図4(b)に示すように、リード線の先端部が接続される圧着部21aと、ハウジング部材24aの所定位置に掛着される第1掛着部21bおよび第2掛着部21cと、センサ素子1が挿入口に挿入された状態においてセンサ素子1を付勢するとともにセンサ素子1の電極端子1aと接触する接点としても機能する突起部21dとを備える。
【0057】
リード線と接点部材21との接続は、圧着部21aにリード線の先端部を挟み込んだ状態で、圧着部21aを外側から加締めることで実現される。
【0058】
また、接点部材21の第1掛着部21bは、ハウジング部材24aの一方端部に備わる第1被掛着部241に掛着される。それゆえ、第1掛着部21bと第1被掛着部241とは、係る掛着状態が良好に保持されるよう、互いの形状が定められてなる。すなわち、第1掛着部21bは、第1被掛着部241の側断面形状に沿った形状を有するように加工されてなる。一方、第2掛着部21cは、ハウジング部材24aの中央部分に設けられた図示を省略する第2被掛着部に挿嵌されることよってハウジング部材24aに掛着される。
【0059】
なお、それぞれのハウジング部材24aは、略同一の断面形状を有しており、組み付けにあたっては、両者の間に挿入口23となる断面視矩形状の空間が形成されるように、互いに離間した状態とされる。そのために、図5に示すように、2つのハウジング部材24aの端部に隙間24bが設けられる。換言すれば、それぞれのハウジング部材24aは、内部に空間を有する、断面視矩形状のハウジングを、2分割した形状を有するものであるともいえる。以上のような態様にて組み付けられた、それぞれのハウジング部材24aは、挿入口23の内部側から図5の図面視上下方向へと向かう外力を受けることにより、その先端部近傍(挿入口23の端部近傍)が所定範囲内で上方もしくは下方に偏位することが可能となっている。そして、これら1対のハウジング部材24aが外力を受けて挿入口23においてセンサ素子1を挟持することで、センサ素子1がコンタクト部材20に固定されることになる。
【0060】
押圧ばね26は、上底部分のない断面視台形形状の板バネ部材であり、その自由端部261に外力が作用すると、その復元力として弾性力を生じさせるものである。
【0061】
固定金具25は、押圧ばね26を固定する役割を有するほか、センサ素子1が挟持固定されるまでの間、ハウジング24の組み付け状態、より具体的には、挿入口23が形成された状態を、維持する役割を有する。換言すれば、固定金具25は、挿入口23の形成状態が保たれるように1対のハウジング部材24aを所定の配置範囲内に拘束する拘束部材である。係る固定金具25をハウジング24ともども組み付けておくことによって、センサ素子1が固定される際に、センサ素子1のそれぞれの接点部材21と(より詳細にはその突起部21dと)対応する電極端子1aとの間に位置ずれが生じることが防止される。すなわち、固定金具25は、挟持固定に際してセンサ素子1の配置範囲を拘束する役割も有しているといえる。
【0062】
カシメリング27は、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20とを一体化させる際に、センサ素子1がハウジング24の挿入口23に挿入された状態で加締められる。すなわち、外力によって縮小変形される。これにより、ハウジング24の挿入口23の間隔が狭められ、センサ素子1は、それぞれのハウジング部材24aに備わる接点部材21によって上下2方向から付勢される。すなわち、センサ素子1が1対のハウジング部材24aに挟持固定された状態が実現される。このとき、それぞれの接点部材21の突起部21dが対応する電極端子1aと接触するので、ガスセンサ100においては、接点部材21に接続されたリード線さらには該リード線と接続されてなるコネクタ29を介して、センサ素子1と外部との電気的導通が図られることになる。
【0063】
<組立装置の概略構成>
次に、本実施の形態においてガスセンサ100の組み立てを担う、より具体的には、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化を担う、組立装置1000について説明する。図6は、組立装置1000の概略的な構成を示す図である。図7は、組立装置1000のより詳細な構成要素について示すブロック図である。
【0064】
組立装置1000は、搬送パレットPTと、投入ステーションST1と、姿勢調整ステーションST2と、方向確認ステーションST3と、一体化ステーションST4とを主として備える。
【0065】
投入ステーションST1と、姿勢調整ステーションST2と、方向確認ステーションST3と、一体化ステーションST4とは、水平面内のある一の方向においてこの順に連接して設けられてなる。そして、搬送パレットPTは、配線側組立品30を保持した状態で、投入ステーションST1と、姿勢調整ステーションST2と、方向確認ステーションST3と、一体化ステーションST4との間を、往来できるようになっている。
【0066】
図6においては、投入ステーションST1から一体化ステーションST4までが連接される方向(ステーション連接方向)をx軸方向とし、投入ステーションST1から一体化ステーションST4に向かう向きをx軸方向の正の向きとし、水平面内においてx軸方向に直交する方向をy軸方向とし、鉛直方向をz軸方向とする、右手系のxyz座標を付している。組立装置1000においては、各部の動作が、係るxyz座標によって定まる座標系を基準に行われる。すなわち、係る座標系は、本実施の形態に係る組立装置1000における基準座標系となっている。
【0067】
本実施の形態に係る組立装置1000においては、それぞれのステーションに備わる各部の動作が、ステーション連接方向を基準方向として、換言すれば、上述のxyz座標系を基準座標系として、行われるようになっている。
【0068】
ただし、図6における各部の配置は、あくまで概念的なものであって、上述した投入ステーションST1、姿勢調整ステーションST2、方向確認ステーションST3、および一体化ステーションST4がこの順に連接し、搬送パレットPTが各ステーション間を往来するという点を除いては、必ずしも実際の配置位置を表したものではない。
【0069】
搬送パレットPTは、コンタクト部材20を含む配線側組立品30を搬送するべく設けられてなる。搬送パレットPTは、概略、配線側組立品30が配置され保持される保持部PTaが基台PTbの上に立設された構成を有してなるとともに、基台PTbがx軸方向に沿って設けられたガイドGによって案内されるようになっている。これにより搬送パレットPTは、図6において矢印AR1、AR2、およびAR3にて示すように、投入ステーションST1から姿勢調整ステーションST2、方向確認ステーションST3、一体化ステーションST4へと順次に移動できるようになっている。一体化ステーションST4に到達した搬送パレットPTは、矢印AR4にて示すように再度、投入ステーションST1へと戻される。なお、図6においては一の搬送パレットPTが移動するようになっているが、複数の搬送パレットPTが同時にあるいは独立して移動できるようになっていてもよい。
【0070】
投入ステーションST1は、搬送パレットPTが配置された状態において、該搬送パレットPTの保持部PTaに対し配線側組立品30を配置・保持させる処理がなされる部位である。
【0071】
姿勢調整ステーションST2は、後段の一体化ステーションST4におけるハウジング24の挿入口23に対するセンサ素子1の挿入が、確実に行われるようにすることを目的として、姿勢調整処理と、開口確保処理とがなされる部位である。姿勢調整ステーションST2は、姿勢調整部1100と、撮像部1200とを主として備える。
【0072】
姿勢調整処理とは、投入ステーションST1において搬送パレットPTに保持されてなる配線側組立品30におけるコンタクト部材20の姿勢を調整して水平面内における傾きを解消し、所定の挿入可能姿勢に調整する処理である。
【0073】
より詳細には、姿勢調整処理においては、ハウジング24を構成する一対のハウジング部材24aが図5に示すように組立装置1000のy軸方向において対向配置され、かつ、それら一対のハウジング部材24aの間に形成される、センサ素子1が挿入される挿入口23が、組立装置1000のx軸方向に沿って配置されるように、コンタクト部材20の水平面内(xy平面内)における姿勢が調整される。係る調整後の姿勢が挿入可能姿勢である。挿入可能姿勢とはすなわち、挿入口23がx軸方向に沿って延在し、かつ、一対のハウジング部材24aの端部がy軸方向に離隔することでx軸方向に沿った2つの隙間24bが形成されてなる状態における、コンタクト部材20の姿勢である。
【0074】
なお、図5に示すようにコンタクト部材20の端部20Aは点対称な構成を有しているところ、図5において挿入口23の上方に備わる接点部材21(211〜214)と挿入口23の下方に備わる接点部材21(215〜218)とでは、電気的に接続されるべきセンサ素子1の電極端子1aが異なるため、コンタクト部材20の挿入可能姿勢には、図5に示す場合と、これを180°反転させた場合との2通りがある。ガスセンサ本体10との一体化に際しては、接点部材21とセンサ素子1の電極端子1aとが正しい組み合わせで電気的に接続されるように、センサ素子1を挿入する必要があるが、本実施の形態においては、2通りの姿勢を区別せず、いずれについても挿入可能姿勢と称する。また、便宜上、コンタクト部材20が図5に示す姿勢である場合にコンタクト部材20が正方向を向いていると称し、これを180°反転させた姿勢である場合にコンタクト部材20が逆方向を向いていると称することとする。
【0075】
一方、開口確保処理とは、係る挿入可能姿勢が実現されたコンタクト部材20におけるハウジング24の挿入口23の開口を、実際にセンサ素子1が挿入口23に挿入されるまでの間維持するための処理である。
【0076】
本実施の形態に係る組立装置1000においては、ガスセンサ本体10のセンサ素子1をコンタクト部材20の挿入口23に挿入することによってガスセンサ本体10とコンタクト部材20とを一体化させるに先立ち、コンタクト部材20をあらかじめ挿入可能姿勢としておき、さらには、開口確保処理によって、挿入可能姿勢にあるコンタクト部材20についてその挿入口23の開口状態が保たれるようにすることで、センサ素子1を挿入口23に挿入する際にセンサ素子1がハウジング部材24aに接触するなどの不具合が生じることが好適に抑制されてなる。
【0077】
また、姿勢調整位置において挿入可能姿勢としたコンタクト部材20に対し、開口確保処理を行うことで、開口確保処理の確実性が高められてなる。
【0078】
方向確認ステーションST3は、コンタクト部材20の配置方向を確認するための処理がなされる部位である。方向確認ステーションST3は、導通チェッカー1300を主として備える。
【0079】
一体化ステーションST4は、ガスセンサ本体10のセンサ素子1をコンタクト部材20の挿入口23に挿入することによってガスセンサ本体10と配線側組立品30のコンタクト部材20とが一体化される部位である。
【0080】
一体化ステーションST4は、ガスセンサ本体10を搬送する本体搬送機構1400と、センサ素子1が挿入口23に挿入された状態でカシメリング27をその外側から押圧することにより加締めるカシメ処理部1500と、を主として備える。
【0081】
また、組立装置1000は、配線側組立品待機部W1と、本体待機部W2と、未被覆品待機部W3とをさらに備える。
【0082】
配線側組立品待機部W1は、新たに組立装置1000における組み立てに供される配線側組立品30が用意(ストック)される部位である。図6において矢印AR5にて示すように、係る配線側組立品待機部W1から取得された配線側組立品30(図6において丸印(○)として示す)が、搬送パレットPTに配置・保持されるべく投入ステーションST1へと投入される。
【0083】
本体待機部W2は、コンタクト部材20と一体化されるガスセンサ本体10が用意(ストック)される部位である。本体待機部W2に用意されたガスセンサ本体10(図6において四角印(□)として示す)は、図6において矢印AR6にて示すように本体搬送機構1400によって取得され、さらには、コンタクト部材20と一体化させるべく、該本体搬送機構1400によって矢印AR7にて示すように一体化ステーションST4へと投入される。
【0084】
未被覆品待機部W3は、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化によって得られた、外筒4による被覆のなされていないガスセンサ100である未被覆品100αが載置される部位である。未被覆品100α(図6において星印(☆)として示す)は、図6において矢印AR8にて示すように、係る未被覆品待機部W3から取得されて組立装置1000外における後段の処理に供される。
【0085】
図7に示すように、組立装置1000は、上述した各構成要素に加えて、CPU1001a、ROM1001b、RAM1001c等から構成され組立装置1000全体の動作を制御する制御部1001と、組立装置1000の動作プログラム1002pや図示しない動作条件データなどが格納される記憶部1002と、組立装置1000の種々の動作メニューや動作状態などを表示するディスプレイや計器類などの表示部1003と、組立装置1000に対して種々の実行指示などを与えるためのスイッチやボタン、タッチパネルなどからなる入力インタフェースである操作部1004と、を備える。組立装置1000においては、動作プログラム1002pが制御部1001にて実行されることにより、後述する組立動作が自動処理にて行われる。加えて、機能的構成要素として、傾斜角算出部1005と方向判定部1006とが、制御部1001において仮想的に実現される。
【0086】
傾斜角算出部1005は、姿勢調整ステーションST2において行われる、コンタクト部材20の姿勢調整に際して、撮像部1200によって撮像された算出用画像に基づいてコンタクト部材20の傾斜角を算出する処理を担う。
【0087】
方向判定部1006は、方向確認ステーションST3において導通チェッカー1300により行われる接点部材21とコネクタ29との間の導通チェックの結果に基づいて、搬送パレットPTに保持されている配線側組立品30におけるコンタクト部材20の(より具体的にはそのハウジング24の)配置方向が正方向であるか逆方向であるかを判定する処理を担う。
【0088】
<組立装置の詳細構成と組立処理>
以下、組立装置1000のより詳細な構成について、組立装置1000において行われるガスセンサ100の組立処理の手順、具体的には、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20とを一体化させる処理の手順とともに、説明する。図8は、組立装置1000において行われる組立処理について、その手順を示す図である。
【0089】
(搬送パレットの構成と投入ステーションにおける配線側組立品の配置)
組立処理に際しては、まず、制御部1001によって動作制御されることで搬送パレットPTが投入ステーションST1に配置され(ステップS1)、係る搬送パレットPTに対し(より具体的にはその保持部PTaに対し)、組立対象たる配線側組立品30が配置され保持される(ステップS2)。これは、組立装置1000の作業者が、配線側組立品待機部W1から配線側組立品30を取得し、その各部を搬送パレットPTの所定位置に保持固定させることでなされる。
【0090】
図9は、投入ステーションST1において配線側組立品30が配置された後の状態における搬送パレットPTの保持部PTaの正面要部図である。なお、搬送パレットPTの正面は、図6においてはy軸方向負側を向いており、図9においても図6と同様のxyz座標系を付している。
【0091】
搬送パレットPTは、図9に示すように、その保持部PTaに、係る配線側組立品30の各部の保持固定を担う部位として、外筒保持部1010、グロメットチャック1020、ハウジング開口機構1030、ハーネス保持部1040、ハーネス収容部1050、およびコネクタ保持部1060を備える。加えて、搬送パレットPTの保持部PTaにはさらに、配線側組立品30のコンタクト部材20に対しガスセンサ本体10を一体化させるための処理(一体化処理)を担う本体組込機構1070も備わっている。ただし、本体組込機構1070の詳細については後述する。
【0092】
外筒保持部1010は、搬送パレットPTにおいて外筒4の保持を担う。外筒保持部1010は、配線側組立品30においてワイヤーハーネス22を挿通してなる外筒4が鉛直方向に長手方向を有する姿勢にて鉛直上方から下方に向けて挿嵌される挿嵌部1011と、係る挿嵌部1011に挿嵌された外筒4を、グロメット28からハウジング24の挿入口23に至る部分を下方に突出させつつ下方から支持する支持部1012とを備える。
【0093】
外筒保持部1010が係る態様にて外筒4を保持することにより、搬送パレットPTにおいて、コンタクト部材20は、ハウジング24の端部20Aを最下端部とする態様にて配置され保持される。
【0094】
グロメットチャック1020は、外筒保持部1010の下方に設けられてなる、グロメット28を保持可能な機構である。グロメットチャック1020は、グロメット28を一対の把持部1021にて側方から把持する(チャックする)ことにより保持する。図9においては、グロメットチャック1020がグロメット28を保持している状態が示されている。グロメットチャック1020としては、グロメット28の把持およびその解放が制御部1001の制御に従ってなされる限りにおいて、公知の種々の構成を採用することができる。なお、本実施の形態に係る組立装置1000において、グロメットチャック1020は、把持したグロメット28を移動させたり姿勢変化させたりするようにはなっておらず、単に把持と把持状態からの解放とが行えるのみとなっている。
【0095】
ハウジング開口機構1030は、搬送パレットPTにおいてグロメットチャック1020の下方に設けられてなり、コンタクト部材20とガスセンサ本体10との一体化に先立って、ハウジング24の端部20Aに形成されてなる挿入口23の開口状態を確保するための部位である。
【0096】
ハウジング開口機構1030は、開口ピン1031と、該開口ピン1031の移動を担う開口ピン駆動部1032と、一対のハウジングチャック1033と、該ハウジングチャック1033の移動を担うチャック駆動部1034とを備える。
【0097】
開口ピン1031は、開口ピン駆動部1032が作動することによってz軸方向に進退自在とされてなり、z軸正方向に移動させられた場合には当該先端部がハウジング24の挿入口23に侵入可能であるように、設けられてなる。
【0098】
一対のハウジングチャック1033は、搬送パレットPTにコンタクト部材20が配置される際のハウジング24の配置位置に関して対称な位置に、x軸方向に沿って対向配置されてなるとともに、チャック駆動部1034が作動することによって、x軸方向に進退自在とされてなる部材であり、互いに接近する方向に移動することでハウジング24を把持する(チャックする)ことができるようになっている。図9においては、ハウジング開口機構1030がハウジング24を保持していない状態が示されている。
【0099】
より詳細には、一対のハウジングチャック1033はそれぞれ、その進行方向先端に爪部1033aを備える。それぞれの爪部1033aは、ハウジング24の挿入口23にセンサ素子1もしくは開口ピン1031が挿入されている状態において、それぞれのy軸方向における配置位置が一対のハウジング部材24aの2つの隙間24b(図5)の位置と一致するように、設けられてなる。爪部1033aは、センサ素子1が挿入口23に挿入されるに先立って、係る隙間24bに挿入される。なお、爪部1033aの厚みは隙間24bの最大値と同程度とされてなる。また、図5に示すように、2つの隙間24bの形成位置はy軸方向において異なるので、これに対応してそれぞれのハウジングチャック1033における爪部1033aの存在位置も、y軸方向において異なっている。
【0100】
ハウジング開口機構1030においては、開口ピン駆動部1032およびチャック駆動部1034はサーボ機構によって構成され、開口ピン1031および一対のハウジングチャック1033の進退動作は、制御部1001による開口ピン駆動部1032およびチャック駆動部1034の制御に従ってなされる。
【0101】
なお、図9においては図示を省略しているが、実際の搬送パレットPTにおいては、後述するガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化に際し、ガスセンサ本体10が鉛直下方からコンタクト部材20に接近することができるよう、ハウジングチャック1033の下方には十分な空間が確保されてなる。
【0102】
ハーネス保持部1040およびハーネス収容部1050は、外筒4からコネクタ29にかけて延在するワイヤーハーネス22を(主に両端部以外の部分を)、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化に際して邪魔にならないように、あるいはまた、その自重によってコンタクト部材20の位置や姿勢を変化させることのないように、所定の領域内にて拘束する(保持または収容する)ために設けられてなる部位である。
【0103】
ハーネス保持部1040は、外筒保持部1010の上方に設けられてなり、一対の腕部1041と該腕部1041の基端部1041aの間に設けられたローラー1042とを備える。
【0104】
一対の腕部1041は、基端部1041aから上方に向けて、該基端部1041aを固定端とする板バネ状に設けられてなるともに、自由端となるそれぞれの上端部近傍に曲線状にもしくは多角形状に突出するガイド部1041bを備える。一対の腕部1041は、それぞれのガイド部1041bをワイヤーハーネス22の断面径と同程度もしくは僅かに小さい距離にて離間する態様にて、対向配置されてなる。これにより、それぞれの腕部1041は、基端部1041aを支点として、x軸方向を含む一の面内にて外力に応じ変位するようになっている。
【0105】
ハーネス保持部1040においては、ワイヤーハーネス22が、一対の腕部1041とローラー1042とによって囲繞されたハーネス保持領域1043に拘束されるようになっている。具体的には、組立装置1000の作業者がハーネス保持領域1043の外側から(図9においては図面視上方から)2つのガイド部1041bの間を通過させようと、ワイヤーハーネス22を2つのガイド部1041bに当接させながら該ワイヤーハーネス22を介して2つのガイド部1041bに外力を作用させると、2つのガイド部1041bの隙間がワイヤーハーネス22によって広げられる。その結果、ワイヤーハーネス22はハーネス保持領域1043へと入り込む。ひとたびワイヤーハーネス22がハーネス保持領域1043に入り込んでワイヤーハーネス22と2つのガイド部1041bとが離隔すると、外力を受けなくなった2つのガイド部1041bは元の位置に復帰する。これにより、ワイヤーハーネス22は、ハーネス保持領域1043内に拘束される。すなわち、作業者が意図的にワイヤーハーネス22を介してハーネス保持領域1043内から2つのガイド部1041bに対し力を加えない限りは、ワイヤーハーネス22はハーネス保持領域1043から容易に離脱することはなくなる。
【0106】
ただし、係るハーネス保持部1040におけるワイヤーハーネス22の保持は、ワイヤーハーネス22を完全に固定してその動きを封じ込めるものではなく、ワイヤーハーネス22は、ハーネス保持領域1043内において可能な態様にて動き得るものとなっている。
【0107】
また、ローラー1042は、x軸方向に延在する回転軸周りに回転自在に設けられてなる。ローラー1042は、ワイヤーハーネス22がハーネス保持領域1043内に存在する際のワイヤーハーネス22の動きをスムーズにするために設けられてなる。
【0108】
ハーネス収容部1050は、ハーネス保持部1040とコネクタ保持部1060との間においてワイヤーハーネス22の余剰部分を収容するべく、ハーネス保持部1040の側方に設けられてなる。
【0109】
ハーネス収容部1050は、一対の腕部1051と、枠体1052とを備える。一対の腕部1051のそれぞれは、枠体1052に対し、基端部1051aを固定端とする板バネ状に付設されてなる弾性体である。一対の腕部1051は、それぞれをワイヤーハーネス22の断面径と同程度もしくは僅かに小さい距離にて離間する態様にて、zx平面内においてx軸方向に沿って対向配置されてなる。これにより、それぞれの腕部1051は、基端部1051aを支点としてy軸方向において外力に応じ変位するようになっている。
【0110】
ハーネス収容部1050においては、ワイヤーハーネス22が、一対の腕部1051と枠体1052とによって囲繞されたハーネス収容領域1053に収容されるようになっている。具体的には、組立装置1000の作業者がハーネス収容領域1053の外側から(図9においては図面視手前から)2つの腕部1051の間を通過させようと、ワイヤーハーネス22を2つの腕部1051に当接させながら該ワイヤーハーネス22を介して2つの腕部1051に外力を作用させると、2つの腕部1051はワイヤーハーネス22によって基端部1051aを支点とした状態で枠体1052側へ(図9においては図面視奥側へ)と湾曲させられる。その結果、ワイヤーハーネス22はハーネス収容領域1053へと入り込む。ひとたびワイヤーハーネス22がハーネス保持領域1043に入り込んでワイヤーハーネス22と2つの腕部1051とが離隔すると、外力を受けなくなった2つの腕部1051は元の位置に復帰する。これにより、ワイヤーハーネス22は、ハーネス収容領域1053内に収容される。すなわち、作業者が意図的にワイヤーハーネス22を介してハーネス収容領域1053内から2つの腕部1051に対し力を加えない限りは、ワイヤーハーネス22はハーネス収容領域1053から容易に離脱することはなくなる。
【0111】
ただし、係るハーネス収容部1050におけるワイヤーハーネス22の収容は、ワイヤーハーネス22を完全に固定してその動きを封じ込めるものではなく、ワイヤーハーネス22は、ハーネス収容領域1053内において可能な態様にて動き得るものとなっている。
【0112】
なお、ハーネス保持部1040からコネクタ保持部1060に至るまでの範囲においてワイヤーハーネス22は適宜にたるみを持たせて配置されてよく、少なくとも、張力が作用するように張設されている必要はない。それゆえ、ワイヤーハーネス22が短く、ハーネス保持部1040による保持のみによってワイヤーハーネス22が好適に保持される場合には、ハーネス収容部1050が使用されなくともよい。
【0113】
一方、ワイヤーハーネス22が長い場合には、ハーネス収容部1050への収容に際し、ワイヤーハーネス22は部分的に巻回されているかあるいは結束されているなどしてもよい。ハーネス収容部1050はそのような巻回もしくは結束等がなされた状態のワイヤーハーネス22が好適に収容できるように構成されているのが好ましい。
【0114】
コネクタ保持部1060は、ハーネス収容部1050の下方に設けられてなる、コネクタ29が保持固定される部位である。コネクタ保持部1060は、コネクタ29が鉛直上方から下方に向けて挿嵌される挿嵌部1061と、係る挿嵌部1061に挿嵌されたコネクタ29のコネクタピン29a(図2参照)の少なくともいくつかを露出させつつ下方支持する支持部1062とを備える。なお、コネクタピン29aの少なくともいくつかが露出させられるのは、後述する方向確認ステーションST3において導通チェッカー1300が係る露出したコネクタピン29aに対しアクセスすることを可能にするためである。図2においては、コネクタ29が8個のコネクタピン29aを備える場合を例示している。なお、コネクタ29が、先端部の形状やコネクタピン29aの配置において異方性を有するものとなっている場合は、コネクタ保持部1060の挿嵌部1061は、特定の向きにのみコネクタ29を挿嵌可能に構成されていることが好ましい。
【0115】
組立装置1000の作業者が、投入ステーションST1において、上述のような構成を有する搬送パレットPTの保持部PTaに対し配線側組立品30を配置・保持させるにあたっては、まず、グロメットチャック1020の把持部1021およびハウジング開口機構1030のハウジングチャック1033をいずれも開放状態としておく。そして、外筒保持部1010に外筒4を保持させるとともに、コネクタ保持部1060に対しコネクタ29を保持させ、続いてハーネス保持部1040およびハーネス収容部1050にワイヤーハーネス22を保持および収容する。そのうえで、グロメットチャック1020にグロメット28を把持させる。ただし、投入ステーションST1においては、ハウジングチャック1033によるハウジング24の把持(チャック)は行われず、姿勢調整ステーションST2において後述する開口確保処理がなされるまでは、ハウジングチャック1033は開放状態とされたままである。
【0116】
なお、組立装置1000の作業者が搬送パレットPTに配線側組立品30を配置する際には、特に、グロメットチャック1020にグロメット28を把持させる際には、目視にて、ハウジング24の挿入口23がおおよそx軸方向に沿って配置される姿勢にて、グロメット28を配置すれば十分である。しかも、コンタクト部材20の中心軸をグロメットチャック1020の対称軸L3(図10(b)参照)と一致させる必要もない。つまりは、グロメットチャック1020にグロメット28を保持させる際、厳密な位置決めは不要である。本実施の形態に係る組立装置1000においては、配線側組立品30のコンタクト部材20とガスセンサ本体10との一体化に先立ち、詳細を後述する姿勢調整処理にてコンタクト部材20の位置および姿勢が調整されるからである。なお、上述のように外筒4が外筒保持部1010によって拘束される関係上、コンタクト部材20の(グロメット28の)配置範囲には自ずから限りがあり、グロメットチャック1020は、グロメット28が当該範囲内に存在する限りにおいては、該グロメット28を把持可能とされてなる。
【0117】
また、コンタクト部材20およびワイヤーハーネス22はその中心軸周りにおいて対称な形状を有しており、コンタクト部材20の端部20Aも点対称な構成を有しているものの、実際には上述したようにコンタクト部材20には正方向と逆方向が存在する。しかしながら、組立装置1000の作業者がその識別を肉眼で行うことは困難である。そこで、本実施の形態に係る組立装置1000においては、後述するように、コンタクト部材20とガスセンサ本体10との一体化に先立ち、方向確認ステーションST3における導通チェックの結果に基づいて搬送パレットPTにおけるコンタクト部材20の配置方向が正方向であるか逆方向であるかを確認し、その結果に応じてガスセンサ本体10の向きを定めたうえでコンタクト部材20と一体化させるようになっている。それゆえ、投入ステーションST1における搬送パレットPTへの配置時に作業者が必ずしもコンタクト部材20の姿勢を気にする必要はない。
【0118】
投入ステーションST1において配線側組立品30が搬送パレットPTの保持部PTaに対し配置され保持されると、搬送パレットPTはその基台PTbに設けられたパレット駆動機構1080(図9においては図示省略)によって、ガイドGに沿って姿勢調整ステーションST2に向けて移動させられる。
【0119】
組立装置1000における搬送パレットPTの移動は、パレット駆動機構1080が制御部1001による制御に従って作動することによって、実現されてなる。パレット駆動機構1080としては、例えばリニアスライダーやボールねじなど、公知の機構を採用可能である。搬送パレットPT、パレット駆動機構1080、およびガイドGが組立装置1000において搬送機構を構成する。
【0120】
(姿勢調整ステーションの構成)
姿勢調整ステーションST2は、上述のように姿勢調整部1100と撮像部1200とを備える。姿勢調整部1100は、コンタクト部材20を保持してその姿勢を調整する部位である。撮像部1200は、姿勢調整部1100における姿勢調整を行うに先立ってコンタクト部材20の傾斜角を算出するための算出用画像を撮像する部位である。
【0121】
図10は、姿勢調整部1100と撮像部1200との概略構成を示す図である。より具体的には、図10(a)は姿勢調整の開始時の姿勢調整部1100と撮像部1200との配置関係を示す上面図(z軸方向正側から見た図)であり、図10(b)はy軸方向負側からみた側面図である。
【0122】
配置関係の理解の容易のため、図10(a)においては、コンタクト部材20の図示を省略している。また、図10(b)に示す場合においては、グロメットチャック1020はグロメット28を把持していない。なお、後述するように、姿勢調整部1100と撮像部1200との実際の配置位置や、グロメット28の把持状況は、姿勢調整部1100および撮像部1200の処理状況に応じて変化する。
【0123】
姿勢調整部1100は、搬送パレットPTが姿勢調整ステーションST2に配置された状態においてコンタクト部材20のグロメット28を把持可能な一対の姿勢調整ハンド1101と、これを動作させる調整ハンド駆動部1102とを備えるほか、姿勢調整部1100全体のy軸方向における進退動作を担う姿勢調整部進退機構1103(図10においては図示省略)とを備えている。
【0124】
一対の姿勢調整ハンド1101は、互いに対向するそれぞれの一方端部にグロメット28の側面形状に応じた凹面状の把持面1101aを備える。姿勢調整部1100は、制御部1001による制御指示に従って調整ハンド駆動部1102が駆動されることにより、一対の姿勢調整ハンド1101のそれぞれの把持面1101aがグロメット28に当接してこれを把持し、さらには係る把持状態を維持しつつコンタクト部材20を水平面内(xy平面内)で回転させることができるように、構成されている。
【0125】
調整ハンド駆動部1102は、より詳細には、姿勢調整部進退機構1103に付設された基部1102aと、回転駆動部1102bと、一対のハンド進退駆動部1102cとを有する。そして、係る一対のハンド進退駆動部1102cのそれぞれに、一対の姿勢調整ハンド1101のそれぞれが付設されてなる。回転駆動部1102bと、一対のハンド進退駆動部1102cと、姿勢調整部進退機構1103とはそれぞれ、制御部1001による制御指示に従って、サーボ機構によって駆動される。
【0126】
基部1102aは、姿勢調整部進退機構1103によってy軸方向に進退自在に設けられてなり、姿勢調整部1100の全体を、つまりは、基部1102aのほか、その上部に備わる回転駆動部1102b、ハンド進退駆動部1102c、支持部1102d、および姿勢調整ハンド1101をy軸方向に移動させる。
【0127】
回転駆動部1102bは、基部1102aの上に、水平面内(xy平面内)において回転自在に設けられてなる。回転駆動部1102bは、その回転中心Cの周りにおいて、上部に備わるハンド進退駆動部1102c、支持部1102dおよび姿勢調整ハンド1101を回転させる。
【0128】
一対のハンド進退駆動部1102cは、それぞれが回転駆動部1102b上に付設された支持部1102dによって下方支持されてなるとともに、水平面内(xy平面内)において回転駆動部1102bの回転中心Cを通る一の直線上に、当該一の直線の延在方向において互いに近接および離隔するように設けられてなる。係る一対のハンド進退駆動部1102cの近接及び離隔は、一対の姿勢調整ハンド1101が常に回転駆動部1102bの回転中心Cに対して対称な位置を保ちつつ行われる。すなわち、一対の姿勢調整ハンド1101は常に、回転中心Cに対して対称に進退動作する。図10(a)においては、一対のハンド進退駆動部1102cが回転中心Cを通りx軸に平行な直線L1上に位置する場合を示している。なお、一対の姿勢調整ハンド1101が係る直線L1上に対向配置されるときに、回転駆動部1102bは原点位置にあるとする。
【0129】
なお、姿勢調整が行われる際の搬送パレットPTと姿勢調整部1100の配置位置はともに、あらかじめ定められてなる。このときの搬送パレットPTと姿勢調整部1100の配置位置を、それぞれについての姿勢調整実施位置と称する。より詳細には、搬送パレットPTと姿勢調整部1100の姿勢調整実施位置は、回転駆動部1102bの回転中心Cが、グロメットチャック1020の(より具体的には一対の把持部1021の)対称軸の水平面内における位置と一致するように、定められてなる。図10(b)においては、グロメットチャック1020の(一対の把持部1021の)対称軸L3を一点鎖線にて示している。
【0130】
姿勢調整実施位置に配置された姿勢調整部1100においては、それぞれがグロメット28に関して相反する位置に配置された一対のハンド進退駆動部1102cが互いに近接および離隔することによって、一対の姿勢調整ハンド1101によるグロメット28の把持およびその解除が実現される。なお、上述したように、一対の姿勢調整ハンド1101は常に、回転中心Cに対して対称に進退動作することから、一対の姿勢調整ハンド1101がグロメット28を把持している状態においては必ず、コンタクト部材20の軸中心の水平面内における位置は、回転駆動部1102bの回転中心Cの位置と一致する。本実施の形態においては、コンタクト部材20の軸中心の水平面内における位置が回転駆動部1102bの回転中心Cと一致するように、コンタクト部材20が配置されているときの、コンタクト部材20の当該配置位置を特に、姿勢調整位置と称する。
【0131】
それゆえ、一対の姿勢調整ハンド1101がコンタクト部材20のグロメット28を把持した状態で回転駆動部1102bを回転する場合には、グロメット28を含むコンタクト部材20は姿勢調整位置を保って回転中心Cの周りに回転することになる。
【0132】
搬送パレットPTと姿勢調整部1100とがそれぞれの姿勢調整実施位置に配置された状態においては、図10(b)に示すように、一対の姿勢調整ハンド1101はグロメットチャック1020よりも下方においてグロメット28を把持できるようになっている。なお、図10においては姿勢調整ハンド1101がグロメット28を把持しているものの、姿勢調整部1100がy軸方向負側に後退することによって待避する際には、係る把持状態はあらかじめ解消される。加えて、支持部1102dは、回転駆動部1102bの径方向においてハウジング開口機構1030の配置位置よりも外側となる位置に設けられてなる。それゆえ、一対の姿勢調整ハンド1101とグロメット28(コンタクト部材20)とが干渉することはない。
【0133】
撮像部1200は、鉛直上方(z軸方向正の向き)を撮像方向とするカメラ1201と、該カメラ1201を当該撮像位置にて支持する支持部1202とを備えている。
【0134】
カメラ1201は、図10(b)に示すように、搬送パレットPTに保持されている配線側組立品30において鉛直方向最下端部に位置しているハウジング24のさらに下方であって、回転駆動部1102bよりも下方の高さ位置に配置され、係る位置から鉛直上方に位置するコンタクト部材20の挿入口23側の端部20Aを撮像する。なお、姿勢調整部1100の基部1102aと回転駆動部1102bとには、係る撮像を可能とするべくカメラ1201の上方の位置に貫通孔1102hが形成されており、カメラ1201は、係る貫通孔1102hを通じてコンタクト部材20の端部20Aを撮像する。
【0135】
より詳細には、姿勢調整ステーションST2において、カメラ1201は、水平面内(xy平面内)におけるその撮像中心位置が、姿勢調整部1100が姿勢調整実施位置に配置された状態における回転駆動部1102bの回転中心Cと一致するように、配置されている。
【0136】
(姿勢調整ステーションにおけるコンタクト部材の姿勢調整)
以上のような構成を備える姿勢調整ステーションST2に搬送パレットPTが配置されると、コンタクト部材20を挿入可能姿勢とするべく、制御部1001の制御のもと、一対の姿勢調整ハンド1101を用いたコンタクト部材20の姿勢調整処理が行われる(図8のステップS4)。
【0137】
図11は、係る姿勢調整処理の主な手順を示す図である。また、図12は、姿勢調整が行われる前のコンタクト部材20の一例としての、コンタクト部材20の挿入口23側の端部20Aの正面図である。なお、係る図12は、姿勢調整が行われる前のタイミングでカメラ1201によって撮像された端部20Aについての撮像画像に相当する。また、図13ないし図16は、姿勢調整の途中における姿勢調整ステーションST2の変化の様子を段階的に示す上面図である。
【0138】
まず、図13(a)において矢印AR9にて示すように、搬送パレットPTが投入ステーションST1からx軸方向正の向きに移動し、図13(b)に示すように、姿勢調整ステーションST2のあらかじめ定められた姿勢調整実施位置に配置される(図8のステップS3)。このとき、図13(a)に示すように、コンタクト部材20のグロメット28がグロメットチャック1020によって(より詳細にはその把持部1021によって)把持(チャック)されてなる。この時点では、姿勢調整ステーションST2においては支持部1202によって支持されたカメラ1201のみが姿勢調整実施位置の下方に固定的に配置されており、矢印AR10にて示すようにy軸方向に進退自在に設けられた調整ハンド駆動部1102は、所定の原点位置に待避している。それゆえ、搬送パレットPTが姿勢調整実施位置に配置された状態とは、換言すれば、コンタクト部材20のグロメット28がカメラ1201の上方に配置された状態であるともいえる。
【0139】
なお、図示の都合上、図13ないし図16においては全て、グロメットチャック1020の配置位置がグロメット28に対して対称となっているが、上述したように、投入ステーションST1においてグロメット28をグロメットチャック1020にて把持させる際に厳密な位置決めを行っているわけではないので、この時点では必ずしも、グロメット28はそのような対称性を満たしつつグロメットチャック1020に把持されているわけではない。例えば、グロメット28が、図13(a)に例示した位置よりもy軸負方向にわずかにずれた状態でグロメットチャック1020に把持されるような場合もあり得る。
【0140】
搬送パレットPTが姿勢調整実施位置に配置されると、姿勢調整部進退機構1103が駆動されることにより、所定の待避位置に待避していた姿勢調整部1100が、図13(b)において矢印AR11にて示すようにy軸方向正の向きへと移動し、姿勢調整実施位置に配置される。具体的には、回転駆動部1102bの回転中心Cの水平面内位置が、グロメットチャック1020の対称軸の水平面内位置と一致するように、姿勢調整部1100が配置される。図14(a)は係る配置状態を示している。このとき、回転駆動部1102bは原点位置にあり、また、一対の姿勢調整ハンド1101は互いに十分に離隔しているので、コンタクト部材20(グロメット28)と干渉することはない。
【0141】
係る態様にて姿勢調整部1100が配置されると、一対のハンド進退駆動部1102cが駆動されることにより、図14(a)において矢印AR12にて示すように一対の姿勢調整ハンド1101は互いに近接する方向に移動し、図14(b)に示すようにグロメット28を把持(チャック)する(ステップS41)。
【0142】
そして、係る把持がなされると直ちに、図14(b)において矢印AR13にて示すように、今度はグロメットチャック1020が互いに離隔するように移動して、把持していたグロメット28を解放する(ステップS42)。一対の姿勢調整ハンド1101は、常に回転中心Cに対して対称に進退動作するように設けられてなるので、たとえグロメットチャック1020によるグロメット28の把持が、その対称軸からずれた位置にてなされていた場合であっても、一対の姿勢調整ハンド1101は、図14(c)に示すように、グロメット28の軸中心線が回転駆動部1102bの回転中心Cと一致するように、つまりは姿勢調整位置にて、グロメット28を把持する。これは換言すれば、コンタクト部材20が、姿勢調整位置においてグロメットチャック1020から姿勢調整ハンド1101に受け渡されたともいえる。
【0143】
係る受け渡しがなされると、カメラ1201は、貫通孔1102hを通じて、鉛直上方に位置するコンタクト部材20の挿入口23側の端部20Aを撮像する(ステップS43)。係る撮像によって生成された撮像画像(撮像画像データ)は直ちに制御部1001によって取得され、傾斜角算出部1005が、当該撮像画像に基づいて、コンタクト部材20の水平面内(xy平面内)における傾斜角θを算出する(ステップS44)。
【0144】
いま、図12に示した像が端部20Aの撮像画像の例であるとする。図12に示した撮像画像からは、コンタクト部材20が全体として図面視で水平面内(xy平面内)において反時計回りに傾いていることがわかる。なお、図12には組立装置1000におけるコンタクト部材20の配置位置との対応を把握できるよう、図6に対応するxyz座標を付している。そして、本実施の形態においては、係る撮像画像における、破線L4にて示すハウジング24のエッジ部24cの延在方向が組立装置1000のx軸方向となす角をコンタクト部材20の傾斜角θと定義する。
【0145】
傾斜角算出部1005は、図12に例示されるような撮像画像に対して公知の画像処理技術を適用することによって、ハウジング24のエッジ部24cを抽出し、該エッジ部24cが延在する方向の傾きから傾斜角θを算出する。
【0146】
傾斜角θが算出されると、係る傾斜角θでの傾きを打ち消すように、姿勢調整ハンド1101がグロメット28を回転させる(ステップS45)。
【0147】
より詳細には、上述したように姿勢調整ハンド1101およびこれを水平面内にて移動させるハンド進退駆動部1102cは回転駆動部1102b上に付設された支持部1102dによって支持されており、かつ、姿勢調整ハンド1101は、グロメット28を、その軸中心線が回転駆動部1102bの回転中心Cと一致してなる状態で把持しているので、回転駆動部1102bが回転中心C周りに原点位置から回転することにより、グロメット28を含むコンタクト部材20が水平面内(xy平面内)にて回転中心C周りに回転する。これにより、水平面内におけるコンタクト部材20の傾斜は打ち消され、コンタクト部材20は姿勢調整位置にて挿入可能姿勢となる。
【0148】
いま、図12に示す鉛直下方からの撮像画像においてコンタクト部材20の端部20Aが反時計回りに傾いているということは、図15(a)に示す、コンタクト部材20を鉛直上方から見ている上面図においては、コンタクト部材20は水平面内(xy平面内)において時計回りに傾いているということである。それゆえ、回転駆動部1102bは、係る傾きを打ち消すために、矢印AR14にて示す反時計回りに角度θだけ原点位置から回転する。
【0149】
なお、図2に示したようにコンタクト部材20にはワイヤーハーネス22が接続されており、しかもワイヤーハーネス22は投入ステーションST1において図9に示したようにコンタクト部材20ともども搬送パレットPTの保持部PTaに保持されているので、一見すると、グロメット28を回転させることによってコンタクト部材20を回転させたとした場合、ワイヤーハーネス22が係る回転を阻害するようにも思われる。
【0150】
しかしながら、上述したように、保持部PTaのハーネス保持部1040におけるワイヤーハーネス22の保持およびハーネス収容部1050におけるワイヤーハーネス22の収容はあくまで、ワイヤーハーネス22をハーネス保持領域1043またはハーネス収容領域1053の範囲内に拘束する程度に留まり、ワイヤーハーネス22を完全に固定してその動きを封じ込めるものではない。実際には、グロメット28を上述のように回転させた場合、ワイヤーハーネス22は係る回転に追随するべくねじられる(ねじりモーメントが作用する)が、ワイヤーハーネス22は外筒4には固定されておらず、また、ハーネス保持部1040においても固定されてはいないので、係るねじりは、結果的にワイヤーハーネス22自身の変位や変形として吸収され、コンタクト部材20の回転を阻害することはない。なお、上述したようにハーネス保持部1040にはローラー1042が備わっており、ワイヤーハーネス22は係るローラー1042に当接している場合、ワイヤーハーネス22の変位に伴ってローラー1042が回転することで、ワイヤーハーネス22の変位はよりスムーズなものとなる。
【0151】
回転駆動部1102bが角度θだけ回転した後の様子を示すのが図15(b)である。このとき、回転前は図12に示すように傾いていたコンタクト部材20の端部20Aは、図5に示すような傾きのない状態となっている。また、当然ながら、回転前はx軸方向に沿っていた一対の姿勢調整ハンド1101の配置方向は、図15(b)において一点鎖線L5にて示すようにx軸に対して角度θだけ傾斜している。
【0152】
このように回転駆動部1102bが回転することでコンタクト部材20の傾きが解消されると、続いて、図15(b)において矢印AR15にて示すようにグロメットチャック1020がグロメット28に接近して、図15(c)に示すように再びグロメット28を側方から把持(チャック)する(ステップS46)。
【0153】
グロメット28がグロメットチャック1020により再び把持されるとただちに、一対のハンド進退駆動部1102cが駆動されることによって、一対の姿勢調整ハンド1101が図15(c)において矢印AR16にて示すように互いに離隔する向きに移動する。これにより、図16(a)に示すように、グロメット28は姿勢調整ハンド1101による把持(チャック)から解放される(ステップS47)。すなわち、グロメット28はグロメットチャック1020のみによって把持された状態となる。
【0154】
このとき、コンタクト部材20は姿勢調整位置に保たれたままである。なぜならば、一対の姿勢調整ハンド1101によって把持されてなるコンタクト部材20は姿勢調整位置、つまりはコンタクト部材20の軸中心が回転駆動部1102bの回転中心Cと一致する位置にある一方で、グロメットチャック1020はその対称軸の水平面内における位置が回転駆動部1102bの回転中心Cと一致するように設けられてなるからである。
【0155】
これは換言すれば、コンタクト部材20が、その位置(姿勢調整位置)および姿勢(挿入可能姿勢)を保ちつつ姿勢調整ハンド1101からグロメットチャック1020に受け渡されたともいえる。あるいはさらに、コンタクト部材20が水平面内において傾きを有さない挿入可能姿勢にて配線側組立品30が搬送パレットPTに保持されるようになったともいえる。
【0156】
係る受け渡しがなされると、図16(a)において矢印AR17にて示すように、回転駆動部1102bが回転中心C周りに角度θだけ反時計回りに回転する。これにより、一対の姿勢調整ハンド1101の配置方向は、再びx軸方向に一致させられる。続いて、図16(b)において矢印AR18にて示すように姿勢調整部1100は姿勢調整部進退機構1103によって待避させられ、図16(c)に示すように、原点位置へと復帰する。
【0157】
以上の手順により、姿勢調整処理は終了する。係る姿勢調整処理においては、上述のように、コンタクト部材20のグロメット28が姿勢調整位置にて一対の姿勢調整ハンド1101にて把持される。そして、コンタクト部材20の端部20Aが撮像され、係る撮像結果に基づいて、コンタクト部材20の傾きを打ち消すように回転駆動部1102bが回転中心Cの周りにて回転させられることで、グロメット28を一対の姿勢調整ハンド1101にて把持されてなるコンタクト部材20が姿勢調整位置にて挿入可能姿勢とされる。これにより、本実施の形態に係る組立装置1000においては、作業者によって搬送パレットPTに配置された配線側組立品30のコンタクト部材20が必ず、同一の位置(姿勢調整位置)にて挿入可能姿勢とされるようになっている。
【0158】
(ハウジングの挿入口の開口確保)
姿勢調整処理によってコンタクト部材20が挿入可能姿勢とされると、引き続き、姿勢調整ステーションST2において、開口確保処理がなされる(図8のステップ5)。係る開口確保処理は、ハウジング24の挿入口23における開口状態を確保するための処理であり、制御部1001の制御のもと、搬送パレットPTに備わるハウジング開口機構1030が作動することによって実現される。
【0159】
図17は、係る開口確保処理の手順を示す図である。図18は、開口確保処理に用いられる開口ピン1031の先端部近傍の形状を例示する図である。また、図19ないし図21は、開口確保処理の途中の様子を段階的に示す図である。このうち、図19(a)、図20(a)、図21(a)および図21(c)は搬送パレットPTのハウジング24近傍の様子を概略的に示すzx平面図(正面図)であり、図19(b)、図19(c)、図20(b)、図20(c)、および図21(b)は、コンタクト部材20の端部20Aにおける要部の様子を概略的に示すxy平面図(ハウジング24を鉛直下方から見た図)である。
【0160】
姿勢調整処理が終了した後、開口確保処理を開始する前の時点では、図19(a)に示すように、ハウジング開口機構1030に備わるハウジングチャック1033はハウジング24を把持してはいない。それゆえ、ハウジング24は完全には固定されておらず、固定金具25の範囲内で変位し得るものとなっている。そのため、挿入口23の開口幅は必ずしも一定ではない。
【0161】
それゆえ、姿勢調整処理が施された時点のコンタクト部材20においては、例えば、図19(b)に示すように、ハウジング部材24aと固定金具25との間に隙間25aが形成されてなるとともに、挿入口23の開口幅がセンサ素子1の厚みに比して小さくなっていることがある。このような状態のまま、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化のためにセンサ素子1を挿入口23に挿入しようとすると、たとえコンタクト部材20が挿入可能姿勢とされていたとしても、センサ素子1がハウジング部材24aあるいは接点部材21に衝突してしまって挿入が行えず、さらにはセンサ素子1に割れや欠けを生じさせてしまうことになり好ましくない。
【0162】
このような不具合の発生を防ぐべく、組立装置1000においては、センサ素子1の挿入に先立ってあらかじめ、挿入可能姿勢とされたコンタクト部材20に対し開口確保処理を行う。
【0163】
開口確保処理においてはまず、開口ピン駆動部1032を作動させることによって、図19(a)において矢印AR19にて示すように、ハウジング24の下方に配置されている開口ピン1031を鉛直上方へと上昇させて、ハウジング24の挿入口23へと挿入させる(ステップS51)。
【0164】
開口ピン1031は、センサ素子1と同程度の幅および同程度もしくはわずかに大きな厚みを有する長尺状の基部1031aを有する一方で、図18に示すように、その先端部1031bは基部1031aよりも幅および厚みの小さい先細の形状とされてなる。また、開口ピン1031は、開口ピン駆動部1032によってz軸方向に進退自在であるように、設けられてなるが、より詳細には、その軸中心位置が、コンタクト部材20が姿勢調整位置にあるときの、該コンタクト部材20の中心軸の水平面内位置と一致するように、設けられてなる。
【0165】
より詳細には、開口ピン1031は、その軸中心線が搬送パレットPTにおいて挿入可能姿勢にて保持されてなるコンタクト部材20の中心軸と一致し、かつ、断面長手方向がx軸と一致する姿勢にて、z軸方向に進退自在とされてなる。
【0166】
先端部1031bの挿入口23への入り込みは、先端部1031bがハウジング24に備わる接点部材21に案内されつつ行われる。なお、ハウジング24においては、挿入口23に関し対応配置されてなる接点部材21がそれぞれに突起部21dを有している関係で、開口ピン1031の挿入の際に挿入口23が完全に閉じていることはない。
【0167】
従って、開口ピン1031を鉛直上方へと上昇させる過程においては、たとえ図19(b)に示すように挿入口23が狭まっていたとしても、ひとたび先端部1031bが挿入口23に入り込みさえすれば、その後は開口ピン1031の上昇とともに、図19(c)において矢印AR20にて示すように該先端部1031bが挿入口23を徐々に押し広げていくようになるので、開口ピン1031の挿入は、確実になされる。最終的には、基部1031aの所定位置までが挿入口23内に挿入されるようになっている。
【0168】
以上のような態様にて開口ピン1031が挿入口23に挿入されると、続いて、チャック駆動部1034を作動することによって、図20(a)において矢印AR21にて示すように、一対のハウジングチャック1033をx軸方向において互いに近接させ、図20(b)において矢印AR22にて示すように爪部1033aをハウジング24の隙間24bに挿入しつつ、一対のハウジングチャック1033がハウジング24を(より詳細にはその外側の固定金具25の一部を含めて)把持する(ステップS52)。図20(c)および図21(a)に係る爪部1033aの挿入および一対のハウジングチャック1033による把持の様子を例示している。
【0169】
コンタクト部材20が姿勢調整位置において挿入可能姿勢にあり、かつ、挿入口23に開口ピン1031が挿入されてなる状態であるときに、ハウジング24の隙間24bは、挿入口23と同様、x軸方向に沿って延在してなる。そして、一対のハウジングチャック1033において、爪部1033aは、そのy軸方向における配置位置が、当該状態におけるハウジング24の隙間24bのy軸方向における配置位置と同じになるように設けられてなる。それゆえ、当該状態においては、隙間24bへの爪部1033aの挿入は、ハウジング部材24aとの干渉や衝突の問題もなくスムーズに行われる。
【0170】
そして、係る一対のハウジングチャック1033による把持がなされると、開口ピン駆動部1032を再び作動させることによって、図21(a)において矢印AR23にて示すように、開口ピン1031が挿入口23から抜き出される(ステップS53)。係る開口ピン1031の抜き出し後の様子を、図21(b)に示す。このとき、一対のハウジングチャック1033の爪部1033aは依然として隙間24bに挿入されたままである。爪部1033aの厚みは隙間24bの最大値と同程度であるので、ハウジング24の挿入口23の開口幅は、センサ素子1の厚みとほぼ同程度に保持される。しかも、係るハウジング24の挿入口23の開口状態は、爪部1033aが隙間24bから抜き出されない限りは維持される。
【0171】
以上の手順にて開口確保処理は終了する。係る開口確保処理によって、ハウジング24の挿入口23においては、センサ素子1の厚みと同程度の開口幅での開口が、確保されることになる。
【0172】
また、上述したように、開口確保処理は、姿勢調整ステーションST2において姿勢調整処理に引き続いて行われるので、開口確保処理に際し姿勢調整処理後のコンタクト部材20を移動させることはない。それゆえ、開口確保処理の際のコンタクト部材20に対する開口ピン1031の挿入動作と隙間24bへの爪部1033aの挿入を含めた一対のハウジングチャック1033による該コンタクト部材20の把持動作とは、挿入可能姿勢にて姿勢調整位置に配置されてなるコンタクト部材20を対象に行われることになる。開口ピン1031およびハウジングチャック1033の動作位置は係る態様のコンタクト部材20に対応させて定められていることから、本実施の形態に係る組立装置1000においては、開口ピン1031やハウジングチャック1033の爪部1033aとハウジング24との間において干渉や衝突が生じることがなく、挿入口23の開口は確実に実現される。
【0173】
すなわち、本実施の形態に係る組立装置1000においては、姿勢調整位置において挿入可能姿勢としたコンタクト部材20に対し、該姿勢調整位置および挿入可能姿勢に対応させて動作位置が定められた開口ピン1031やハウジングチャック1033を用いて開口確保処理を行うようにすることで、開口ピン1031やハウジングチャック1033の爪部1033aがハウジング24と干渉したり衝突したりすることが抑制されてなり、それゆえ、開口確保処理の確実性が高められてなる。
【0174】
図21(c)において矢印AR24にて示すように、搬送パレットPTは再びx軸正方向へと移動させられ、方向確認ステーションST3へと配置される(図8のステップS6)。
【0175】
(方向確認ステーションの構成とコンタクト部材の方向確認)
方向確認ステーションST3は、コンタクト部材20の配置方向(水平面内における向き)が正方向であるか逆方向であるかを確認するための処理がなされる部位である。本実施の形態に係る組立装置1000においては、コンタクト部材20の接点部材21とコネクタ29との間の導通の有無に基づいて、挿入可能姿勢にあるコンタクト部材20の方向が確認される(図8のステップS7)。そして、係る確認の結果に従って、後述する一体化ステーションST4における一体化の際に、ガスセンサ本体10を挿入する向きが定められる。
【0176】
方向確認ステーションST3は、コンタクト部材20の接点部材21とコネクタ29との間での導通チェックを担う導通チェッカー1300を、主として備える。図22は、方向確認ステーションST3において行われる導通チェックを概念的に示す図である。なお、図22においては、図示の簡単のため、搬送パレットPTに保持されてなる配線側組立品30についてはその要部たるコンタクト部材20の一部およびコネクタ29のみを示している。
【0177】
図22に示すように、導通チェッカー1300は、導通チェックに際してコンタクト部材20の接点部材21に当接させられる第1プローブ1301と、コネクタ29のコネクタピン29aに当接(もしくは嵌合)させられる第2プローブ1302と、第1プローブ1301と第2プローブ1302との間の抵抗値を測定する本体部1303とを主として備える。第1プローブ1301と第2プローブ1302とはそれぞれ、あらかじめ固定的に定められてなる測定ポイントP1、P2に配置される接点部材21およびコネクタピン29aに当接されるようになっている。また、本体部1303からの出力値は、制御部1001に送られ、方向判定部1006におけるコンタクト部材20の配置方向の判定に利用される。
【0178】
一方、配線側組立品30においては、コンタクト部材20に備わるそれぞれの接点部材21が、ワイヤーハーネス22に収容されてなる図示しないリード線にてコネクタ29の対応するコネクタピン29aと電気的に接続されてなる。図22に示す場合においては、図5の場合と同様、コンタクト部材20は正方向であるとし、また、接点部材211〜218がそれぞれ、コネクタ29のコネクタピン29a1〜29a8と接続されているものとする。
【0179】
搬送パレットPTが姿勢調整ステーションST2から移動して方向確認ステーションST3の所定位置に配置されると、それまでは所定の位置に待避していた第1プローブ1301が、図示しない移動機構にて矢印AR25にて示すように移動させられることで、測定ポイントP1に位置する接点部材21に対し当接させられる。図22に示す、コンタクト部材20が正方向に配置されてなる場合においては、測定ポイントP1には接点部材211が位置しているので、第1プローブ1301は係る接点部材211に対し当接させられてなる。
【0180】
同様に、第2プローブ1302についても、図示しない移動機構にて矢印AR26にて示すように移動させられることで、測定ポイントP2に位置するコネクタピン29aに対し当接させられる。図22に示す場合においては、測定ポイントP2にはコネクタピン29a1が位置しているので、第2プローブ1302は係るコネクタピン29a1に対し当接させられてなる。
【0181】
なお、図22においては図示を省略しているが、図9に示したように、コネクタ29は、搬送パレットPTにおいてコネクタ保持部1060によって保持されている。より具体的には、コネクタ保持部1060に備わる支持部1062にてコネクタ29を下方支持してなる。ただし、支持部1062は測定ポイントP2に位置するコネクタピン29aに対し第2プローブ1302がアクセス可能に設けられてなるので、支持部1062の存在が導通チェックの支障となることはない。
【0182】
両プローブがこのような態様にてそれぞれ測定ポイントP1、P2において接点部材21またはコネクタピン29aに当接させられることで、導通チェッカー1300による導通チェックがなされる。
【0183】
上述したように、接点部材211とコネクタピン29a1とは互いにリード線にて電気的に接続されてなるので、図22に示す場合のように第1プローブ1301および第2プローブ1302をそれぞれ接点部材211およびコネクタピン29a1に当接させた場合、本体部1303からの出力値(両プローブ間の抵抗値)は実質的に0となる。
【0184】
一方、仮に、コンタクト部材20が図22に示す正方向の場合とは180°回転した姿勢である逆方向に配置されていた場合、測定ポイントP1に配置されるのは接点部材218となる。この場合に、測定ポイントP1において第1プローブ1301と当接するのは接点部材211ではなく接点部材218となるので、第2プローブ1302は図22に示す場合と同様にコネクタピン29a1に当接させられていたとしても、当然ながら、本体部1303における出力値は無限大(あるいは測定上限値)となる。すなわち、図22に示す場合に得られる出力値とは明らかに異なる出力値が得られる。
【0185】
なお、測定ポイントP2に対しては常に同じコネクタピン29a(図22に示す場合においてはコネクタピン29a1)が配置されるようにしておく。これは、上述のようにコネクタ29に異方性を与えるとともにコネクタ保持部1060の挿嵌部1061におけるコネクタ29の挿嵌の向きを一義的なものに制限するか、あるいはコネクタ29に彩色を施し、挿嵌部1061に挿嵌する向きを、当該彩色に応じて定めることによって実現可能である。
【0186】
本体部1303における出力値は、その値の多少によらず制御部1001の方向判定部1006に与えられる。方向判定部1006においては、該出力値が実質的に0とみなせる値(0に近い所定のしきい値以下の値)である場合には、コンタクト部材20は正方向であると判定し、該出力値が実質的に0とみなせる値よりも大きい場合には、コンタクト部材20は逆方向であると判定し、それぞれに応じた判定信号を出力する。係る判定信号は、後述する本体搬送機構1400によるガスセンサ本体10の取得に利用される。なお、導通チェックの終了後、第1プローブ1301および第2プローブ1302は速やかに所定の待避位置へと待避させられる。
【0187】
以上の態様によるコンタクト部材20の配置方向の確認が終了すると、搬送パレットPTは再びx軸正方向へと移動させられ、搬送パレットPTは一体化ステーションST4に配置される(図8のステップS8)。
【0188】
(一体化ステーションの構成とガスセンサの一体化)
一体化ステーションST4においては、搬送パレットPTによって搬送されてきた配線側組立品30のコンタクト部材20に対し、ガスセンサ本体10を一体化させるための処理(一体化処理)がなされる(図8のステップS9)。図23は、一体化ステーションST4において行われる一体化処理の具体的な手順を示す図である。図24は、一体化処理の途中の様子を示す要部側面図である。なお、図24においては、図示の簡単のため、搬送パレットPTの構成要素としてはグロメットチャック1020およびその把持部1021のみを示している。
【0189】
一体化処理は概略、搬送パレットPTにおいて鉛直下向きとなっている、コンタクト部材20に備わるハウジング24に形成されてなる挿入口23に対し、ガスセンサ本体10に備わるセンサ素子1を、ガスセンサ本体10を下方から上昇させることによって挿入し、これに続いて、カシメリング27を外側から加締めて縮径させることによって、実現される。
【0190】
なお、図示は省略しているが、一体化ステーションST4に配置された搬送パレットPTにおいては、コンタクト部材20は挿入可能姿勢を保っており、かつ、ハウジング24はハウジングチャック1033によって挿入口23の開口が確保された状態となっている。
【0191】
本実施の形態における一体化処理は、搬送パレットPTに備わる本体組込機構1070と、一体化ステーションST4に備わる本体搬送機構1400およびカシメ処理部1500によって実現される。
【0192】
本体組込機構1070は、図9に示すように、搬送パレットPTの保持部PTaにおいてハウジング開口機構1030よりも下方に設けられてなる。本体組込機構1070は、ガスセンサ本体10を把持する本体保持チャック1071と、これを駆動するチャック駆動部1072、本体保持チャック1071およびチャック駆動部1072をガイド1073gに沿って鉛直方向に昇降させるチャック昇降機構1073とを備えている。チャック昇降機構1073としてはエアーシリンダが例示される。
【0193】
チャック駆動部1072およびチャック昇降機構1073は、制御部1001による制御指示に従って駆動される。本体組込機構1070は、搬送パレットPTが一体化ステーションST4に配置された状態において係る駆動がなされることにより、本体保持チャック1071がガスセンサ本体10を把持し、さらには係る把持状態を維持しつつガスセンサ本体10を鉛直方向に移動させることができるように、構成されている。
【0194】
カシメ処理部1500は、カシメリング27を加締めるカシメ治具1501と、これを駆動するカシメ治具駆動機構1502とを備える。カシメ治具1501は、ガスセンサ本体10のセンサ素子1がコンタクト部材20の挿入口23に挿入された状態において、カシメ治具駆動機構1502によって駆動されることにより、カシメリング27に対しその外側から当接してさらにこれを押圧し、該カシメリング27を縮径させる。
【0195】
上述したように、コンタクト部材20を含む配線側組立品30を保持してなる搬送パレットPTが一体化ステーションST4に移動し、コンタクト部材20をあらかじめ定められた配置位置(一体化位置)に配置させると、一体化処理が開始される。まず、本体搬送機構1400があらかじめ定められた向きにて本体待機部W2に用意されてなるガスセンサ本体10を取得する(ステップS91)。
【0196】
ガスセンサ本体10を取得した本体搬送機構1400は引き続き、コンタクト部材20の下方に配置されている本体保持チャック1071にガスセンサ本体10を受け渡す(ステップS92)。具体的には、チャック昇降機構1073が本体保持チャック1071およびチャック駆動部1072をコンタクト部材20の配置位置よりも十分に鉛直下方の(つまりはガスセンサ本体10とコンタクト部材20とが干渉しない)受渡位置に配置させた状態で、本体搬送機構1400によって該受渡位置に搬送されたガスセンサ本体10が、チャック駆動部1072によって駆動された本体保持チャック1071によって把持される。図24(a)は係る受け渡しがなされた状態を示している。ガスセンサ本体10は、センサ素子1を鉛直上方に向けた姿勢にて、かつ、センサ素子1の軸中心位置がコンタクト部材20の挿入口23の軸中心位置と一致する態様にて、本体保持チャック1071によって把持される。
【0197】
なお、より詳細には、本体待機部W2に用意される際のガスセンサ本体10の向きは一定とされる一方で、本体搬送機構1400がガスセンサ本体10を本体保持チャック1071に受け渡す向きは、上述した方向判定部1006における方向判定の結果に従って、つまりは、コンタクト部材20の水平面内における配置方向が正方向であるか逆方向であるかによって、180°異なるものとなる。
【0198】
すなわち、本実施の形態に係る組立装置1000においては、作業者が配線側組立品30を搬送パレットPTに配置・保持するに際して、コンタクト部材20の配置方向を意識せずとも、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20とが、常に正しい向きの組み合わせにて一体化されるようになっている。
【0199】
このように、ガスセンサ本体10がコンタクト部材20の配置方向に応じた向きにてコンタクト部材20の下方にて本体保持チャック1071に受け渡されると、続いて、制御部1001によるチャック昇降機構1073の駆動によって、図24(a)において矢印AR27にて示すようにガスセンサ本体10を把持している本体保持チャック1071が鉛直方向上方へと上昇させられる。これにより、矢印AR28にて示すように、センサ素子1はハウジング24の挿入口23へと接近し、さらには挿入口23に挿入される(ステップS93)。図24(b)は、係る挿入がなされた後の状態を示す。係るセンサ素子1の挿入は、センサ素子1のそれぞれの電極端子1aが、ハウジング24に備わるそれぞれの接点部材21の、第2掛着部21cに近い側の突起部21dと接触するところまでなされる。
【0200】
係る挿入がなされると、続いて、制御部1001の制御指示に従いチャック駆動部1034が駆動されることによって、爪部1033aをハウジング24の隙間24bに挿入させつつハウジング24を把持していたハウジングチャック1033が、互いに離隔する向きに移動させられる。これにより、爪部1033aは隙間24bから抜き出され、ハウジング24はハウジングチャック1033による把持から解放される(ステップS94)。
【0201】
そして、ハウジングチャック1033がハウジング24を解放すると、制御部1001によって制御されたカシメ治具駆動機構1502がカシメ治具1501をカシメリング27の側方に配置させたうえで、該カシメ治具1501をカシメリング27に対しその外周側から当接してさらにこれを押圧することで、該カシメリング27を加締める(ステップS95)。
【0202】
具体的には、カシメ治具1501による外周側からの押圧によってカシメリング27が縮径することによって、カシメリング27の内側に存在する一対の押圧ばね26(図5参照)によってハウジング24を構成する一対のハウジング部材24aが互いに近接する方向に付勢されることで、それら一対のハウジング部材24aによるセンサ素子1の挟持固定が実現される。より詳細には、センサ素子1は、それぞれのハウジング部材24aに備わる接点部材21の突起部21dによって相反する2方向から付勢される。なお、カシメリング27を加締めたカシメ治具1501は、直ちに待避位置へと待避される。
【0203】
なお、図24(b)においては組立装置1000が一対のカシメ治具1501を備わる場合を例示しているが、組立装置1000におけるカシメ治具1501の具備態様はこれに限られるものではなく、一のカシメ治具1501が備わる態様であってもよいし、3以上のカシメ治具1501が備わる態様であってもよい。
【0204】
以上のような態様にてカシメリング27が加締められ、センサ素子1が挟持固定されることで、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20とが一体化されたことになる。
【0205】
係る一体化がなされると、本体保持チャック1071は、それまで保持していたガスセンサ本体10を解放し、さらにはチャック昇降機構1073によって受渡位置へと待避させられる(ステップS96)。これで、一体化ステーションST4における一体化処理は終了する。
【0206】
このとき、搬送パレットPTには、コンタクト部材20がガスセンサ本体10と一体化された配線側組立品30、つまりは、外筒4による被覆がなされていない状態のガスセンサ100である未被覆品100αが、保持された状態となっている。組立装置1000の作業者は、係る未被覆品100αを搬送パレットPTから取り外して、未被覆品待機部W3へと載置する。具体的には、グロメットチャック1020、外筒保持部1010、ハーネス保持部1040、ハーネス収容部1050、およびコネクタ保持部1060によるグロメット28、外筒4、ワイヤーハーネス22、およびコネクタ29の保持あるいは収容状態を全て解除する。
【0207】
未被覆品待機部W3に載置された未被覆品100αは、適宜のタイミングで、後段の処理に供される。また、未被覆品100αが取り除かれた搬送パレットPTは、新たな組立処理に使用するために投入ステーションST1に戻される。
【0208】
<組立装置の構成および動作に基づく組立処理の確実化および効率化>
最後に、本実施の形態に係る組立装置1000が上述のような構成および動作を採用することで実現される、組立処理の確実化および効率化について、組立装置1000の動作内容を整理しつつ説明する。
【0209】
上述したように、本実施の形態に係る組立装置1000においては、投入ステーションST1と、姿勢調整ステーションST2と、方向確認ステーションST3と、一体化ステーションST4とがx軸方向においてこの順に連接して設けられてなるとともに、配線側組立品30を保持して各ステーション間を移動する搬送パレットPTの搬送方向もx軸方向に一致させてなる。すなわち、搬送パレットPTによる配線側組立品30の移動動作は、各ステーションが連接する方向であるx軸方向への一軸動作のみに単純化されてなる。
【0210】
また、配線側組立品30のうち、ガスセンサ本体10と一体化される部位であるコンタクト部材20は、搬送パレットPTにおいて、グロメットチャック1020とハウジングチャック1033とによって側方から(x軸方向に沿って)把持されるのみである。これらグロメットチャック1020とハウジングチャック1033はいずれも、グロメット28またはハウジング24を把持するための動作と把持していたグロメット28またはハウジング24を解放するための動作(開閉動作)とを行うに過ぎない。組立装置1000においては、搬送パレットPTにおいてコンタクト部材20を保持する機構がコンタクト部材20の姿勢を調整したり、コンタクト部材20を移動させたりすることはない。すなわち、組立装置1000においては、搬送パレットPTにおけるコンタクト部材20の保持機構も、単純化されてなる。
【0211】
このような、搬送パレットPTの移動動作の単純化および保持機構の単純化は、搬送パレットPTの動作精度の向上に資するものであり、ひいては、組立装置1000の動作の確実化や組立処理の確実化に資するものでもある。
【0212】
また、組立装置1000においては、搬送パレットPTに保持されているコンタクト部材20の水平面内における姿勢が傾いている場合、その傾斜角θを解消してコンタクト部材20を挿入可能姿勢(ハウジング24の挿入口23がx軸方向に延在する姿勢)に調整する姿勢調整処理を、一対の姿勢調整ハンド1101によってコンタクト部材20をあらかじめ定められた姿勢調整位置に配置されるように把持した状態で、該コンタクト部材20を、姿勢調整位置を回転中心位置として傾斜角θが打ち消されるように回転させることによって行う。そして、挿入可能姿勢とされたコンタクト部材20は、姿勢調整位置においてそのグロメット28を再びグロメットチャック1020に把持されることによって、挿入可能姿勢を維持して搬送パレットPTに保持される。
【0213】
それゆえ、組立装置1000がガスセンサ100の量産工程において使用される場合であっても、組立対象として順次に投入されるコンタクト部材20は全て確実に、同一の姿勢調整位置にて、同一の挿入可能姿勢(ハウジング24の挿入口23がx軸方向に延在する姿勢)に調整され、再び搬送パレットPTにて保持されることになる。このことは、組立装置1000の作業者が搬送パレットPTに配線側組立品30を配置・保持する都度、コンタクト部材20の姿勢を厳密に調整せずとも、コンタクト部材20は、ガスセンサ本体10との一体化に先立ち、同一の位置において同一の挿入可能姿勢に調整されたうえで、搬送パレットPTに受け渡されることを意味する。これは、組立装置1000における処理の確実化および効率化に資するものである。また、係る態様にて姿勢調整を行う以上、当然ながら、上述のように搬送パレットPTにおいてはコンタクト部材20の姿勢を調整する機構が不要となる。
【0214】
さらに、挿入可能姿勢とされたうえで再び搬送パレットPTに保持されたコンタクト部材20は、その場で直ちに、つまりは、その配置位置である姿勢調整位置にて挿入可能姿勢のままで、挿入口23の開口状態を確保する開口確保処理へと供される。
【0215】
開口確保処理は、概略、挿入口23に対し鉛直下方から開口ピン1031を挿入したうえで、隙間24bに対し爪部1033aを挿入させつつ一対のハウジングチャック1033によってハウジング24を把持し、その後、開口ピン1031を抜き出すことによって、爪部1033aによって挿入口23の開口状態を確保するという処理である。
【0216】
姿勢調整処理後のコンタクト部材20は、その時点における配置位置である姿勢調整位置にて、挿入可能姿勢を維持したままで開口確保処理に供されるところ、本実施の形態に係る組立装置1000においては、搬送パレットPTにおける開口ピン1031と爪部1033aを有する一対のハウジングチャック1033の動作位置がそれら姿勢調整位置および挿入可能姿勢に応じてあらかじめ定められてなる。
【0217】
すなわち、組立装置1000においては、コンタクト部材20の配置位置と開口ピン1031およびハウジングチャック1033の爪部1033aの配置位置との間に並進ずれが生じていることや、コンタクト部材20が本来の姿勢から傾いていることが原因となって生じる、開口ピン1031および爪部1033aがハウジング24に干渉あるいは衝突して本来の位置に挿入されず、挿入口23の開口状態を適切に確保できないといった不具合が、生じることはなく、開口確保処理における挿入口23に対する開口ピン1031の挿入と、一対のハウジングチャック1033にてハウジング24を把持する際の隙間24bに対する爪部1033aの挿入とは、確実に実現される。それゆえ、組立装置1000が量産工程において使用された場合において、それらの不具合が原因となった稼働率の低下が生じることはない。このことは、本実施の形態に係る組立装置1000において行われる姿勢調整処理および開口確保処理が、ガスセンサの組立処理の確実化および効率化に資するものであることを意味している。
【0218】
なお、本実施の形態において、姿勢調整処理によって実現されるコンタクト部材20の挿入可能姿勢とは、理想的には、コンタクト部材20に水平面内において生じていた傾斜角θが完全に打ち消された、挿入口23がx軸方向に沿って延在する状態でのコンタクト部材20の姿勢である。ただし、実際に組立装置1000を動作させた場合においては、カメラ1201による撮像画像に基づく傾斜角θの算出に誤差が生じ得ることや、挿入可能姿勢とされたコンタクト部材20を姿勢調整ハンド1101からグロメットチャック1020に受け渡す際にわずかではあるが位置ずれが生じることなどが理由で、挿入口23が完全にはx軸方向に沿わないことも考えられる。
【0219】
しかしながら、本発明の発明者が確認したところ、本実施の形態に係る組立装置1000においては、姿勢調整処理において姿勢調整ハンド1101を回転させた直後のコンタクト部材20の傾斜角は最大でも0.03(deg.)程度と極めて小さく、その後、グロメットチャック1020に受け渡された状態においても最大0.37(deg.)程度に留まるという知見が得られた。それゆえ、組立装置1000においては、事実上、理想的な挿入可能姿勢が実現されるものと判断される。
【0220】
なお、この点に関し、本発明の発明者は、コンタクト部材20の水平面内での傾斜角が3(deg.)以内である場合には、開口確保処理および一体化処理が確実に行われるという知見を事前に得ているが、当然ながら、0.37(deg.)という値は、これに比べても十分小さい。このことも、本実施の形態に係る組立装置1000における組立処理の確実性の高さを指し示している。
【0221】
さらには、本実施の形態に係る組立装置1000においては、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20との一体化を、コンタクト部材20を一体化ステーションST4においてあらかじめ定められた一体化位置に配置させたうえで行う。その際の姿勢調整ステーションST2から一体化ステーションST4への搬送パレットPTの移動は上述のようにx軸方向における一軸動作(つまりは並進動作)であり、係る移動の間も、挿入口23の開口状態は、搬送パレットPTに備わるハウジングチャック1033によって維持されている。すなわち、コンタクト部材20は、その挿入可能姿勢および開口確保状態を好適に保ったままで、一体化ステーションST4における一体化処理へと供される。
【0222】
一体化処理は、概略、コンタクト部材20の下方からガスセンサ本体10を上昇させて、鉛直下向きとなっている挿入口23にガスセンサ本体10に備わるセンサ素子1を挿入し、その後、カシメリング27を加締めることによって実現される。係る場合において、コンタクト部材20の配置位置である一体化位置はあらかじめ定められてなり、また、コンタクト部材20の姿勢は挿入可能姿勢のままである。よって、挿入の際のセンサ素子1の配置位置および姿勢をコンタクト部材20の配置位置および姿勢に応じてあらかじめ定めておくことで、組立装置1000がガスセンサ100の量産工程において使用される場合であっても、全てのコンタクト部材20について、挿入口23に対するセンサ素子1の挿入を確実に行うことができる。結果として、ガスセンサ本体10とコンタクト部材20とを確実に一体化させることができる。
【0223】
係る一体化処理の点からも、本実施の形態に係る組立装置1000において行われる姿勢調整処理および開口確保処理は、ガスセンサの組立処理の確実化および効率化に資するものであるといえる。
【0224】
加えて、本実施の形態に係る組立装置1000においては、搬送パレットPTを姿勢調整ステーションST2から一体化ステーションST4に移動させる途中、搬送パレットPTが方向確認ステーションST3にいったん配置され、該方向確認ステーションST3における導通チェックの結果に従って搬送パレットPTにおいて挿入可能姿勢にあるコンタクト部材20の配置方向が正方向であるか逆方向であるかが特定される。そして、一体化ステーションST4においてコンタクト部材20との一体化に供するガスセンサ本体10を取得する際には、コンタクト部材20の配置方向に応じた向きにて、ガスセンサ本体10が取得され、さらにはコンタクト部材20の下方に配置されて、センサ素子1を挿入口23に挿入することによるコンタクト部材20との一体化が行われる。
【0225】
これにより、本実施の形態に係る組立装置1000においては、作業者が投入ステーションST1において配線側組立品30を搬送パレットPTに配置・保持させる際に、コンタクト部材20の配置方向を気にせずとも、センサ素子1を適切な向きとされたうえでガスセンサ本体10がコンタクト部材20と一体化される。すなわち、組立装置1000においては、センサ素子1が本来の向きとは異なる向きにて挿入口23に挿入されることはない。このことも、組立装置1000における処理の確実化および効率化に資するものとなっている。
【0226】
<変形例>
上述の実施の形態においては、センサ素子1が表裏面に4つずつの電極端子1aを備え、ハウジング24における接点部材21の配置および個数と、コネクタ29におけるコネクタピン29aの個数もこれに準じたものとなっているが、これはあくまで例示であって、電極端子1aの配置および個数は、センサ素子1の構造に応じて適宜に定められてよく、係る場合、ハウジング24における接点部材21の配置および個数と、コネクタ29におけるコネクタピン29aの個数についても、電極端子1aに応じたものとされていればよい。
【0227】
また、上述の実施の形態における姿勢調整ハンド1101や本体保持チャック1071の形状はあくまで例示である。姿勢調整ハンド1101については、コンタクト部材20を姿勢調整位置に保ちつつ回転中心Cの周りに回転させることができる限りにおいて、上述の実施の形態とは異なる形状を有していてもよく、本体保持チャック1071についても、方向判定部1006による判定結果に応じた適切な向きにてガスセンサ本体10を本体搬送機構1400から取得し、かつコンタクト部材20の下方に配置することができる限りにおいて、上述の実施の形態とは異なる形状を有していてもよい。係る場合、調整ハンド駆動部1102やチャック駆動部1072の構成及び配置についても、適宜に定められてよい。
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