特許第6795600号(P6795600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6795600圧力容器におけるハウジングの壁部分を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795600
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】圧力容器におけるハウジングの壁部分を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20201119BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20201119BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20201119BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20201119BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20201119BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20201119BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B05D3/00 D
   B05D1/26 Z
   B05D1/36 Z
   F16J12/00 Z
   B33Y70/00
   B22F3/105
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-534556(P2018-534556)
(86)(22)【出願日】2016年6月18日
(65)【公表番号】特表2019-504925(P2019-504925A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】EP2016001042
(87)【国際公開番号】WO2017114584
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年4月11日
(31)【優先権主張番号】102015017026.0
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト バルツ
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−336304(JP,A)
【文献】 特開2015−160217(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/008669(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/160198(WO,A1)
【文献】 特表平06−502735(JP,A)
【文献】 特開2002−067171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/105
B22F 3/16
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリント方法を用いて圧力容器におけるハウジング(10)の壁部分(24)を形成する方法であって、それぞれの壁部分(24)を形成しながら層状に材料塗布が行われる、方法において、
材料塗布を阻止する歪み(44)をもたらす壁部分幾何学配置(28)において、ハウジング(10)を構築する際に、最後に塗布される層が、その内壁(30)の方向に張り出す層(32)から形成され、前記張り出す層(32)が材料塗布平面(38)に対して30°よりも小さいオーバーハング角度(a)を形成する場合、材料を塗布する場合の最後に塗布される層の層厚が、それぞれの歪み(44)が回避されるように、30°よりも大きなオーバーハング角度(a)を形成する層を塗布形成する場合よりも大きな大きさに選択され、かつ
その限りにおいて、前記材料塗布平面(38)に対して30°よりも小さいオーバーハング角度(a)を形成する前記張り出す層(32)の形成が、支持部分(40)なしで行われる、ことを特徴とする、圧力容器におけるハウジングの壁部分を形成する方法。
【請求項2】
できあがったハウジング(10)の内側(30)の壁部分(24)が、スフェロイドを形成する、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、上方の3分の1内で、スフェロイドを閉鎖する前に適用される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ハウジング(10)の内壁側(30)上にスフェロイドを形成しながら、隣接する壁部分(24)と接触して、層状に材料を除去するのを開始する時に壁部分(24)を形成しながら前記オーバーハング角度(a)に基づいて選択されるような層厚で層塗布が行われる、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力容器は、場合によっては設けられる少なくとも1つの媒体接続箇所(14)の領域、及び/又は、前記ハウジング(10)の外壁上において場合によっては設けられる少なくとも1つの媒体接続箇所補強箇所(18)の領域を有し、
前記場合によっては設けられる少なくとも1つの媒体接続箇所(14)の領域、及び/又は、前記ハウジング(10)の外壁上において場合によっては設けられる少なくとも1つの媒体接続箇所補強箇所(18)の領域を除いて、前記ハウジング(10)の材料厚が材料塗布によって変化せずに実現される、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
3Dプリント方法として、選択的なレーザー焼結、あるいは、電子ビーム溶融が使用され、かつ、
前記3Dプリント方法に使用される金属粉末が、鋼、特殊鋼、アルミニウム、チタン、ニッケル、及び、その混合物などの材料から選択されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリント方法を用いて圧力容器におけるハウジングの壁部分を形成する方法に関するものであって、同方法においてそれぞれの壁を形成しながら層状に材料塗布が行われる。
【背景技術】
【0002】
一般的な理解によれば、圧力容器は閉成された容器であり、その内部の圧力は周囲圧を上回る。圧力容器に数えられるのは、大体において、ガス用の貯蔵容器と圧縮空気容器及び圧縮空気供給を有するサイロ並びに油圧アキュムレータのような圧力蓄積容器、メンブレン伸張容器、送風タンク、ヘルムホルツ共振器などである。欧州の自由な商品取引法によれば、指針2009/105/EGに記載の単純な圧力容器と圧力容器指針97/23/EGに記載のいわゆる圧力器具の間で区別がなされる。
【0003】
専門用語ではハイドロアキュムレータとも称される。油圧アキュムレータは、原則的に、圧力エネルギを蓄えるために用いられる。これは、重量及び弾性的に負荷をかけた、機械的なハイドロアキュムレータの場合には、潜在的エネルギの変化によって行われ、それに対してガスで負荷をかけた蓄積器は、作業ガスの内的エネルギを変化させる。それぞれその、蓄積器ハウジングの内部で異なる流体を互いに分離させる、分離部材の形態に応じて、メンブレン蓄積器、ピストン蓄積器、気胞型蓄積器及びベローズ蓄積器の間で区別がなされる。原則的に、これらの蓄積器の作用方法は、液体を貯蔵するためにガスの圧縮可能性が利用されることに基づいている。その場合に、大体において、エネルギ媒体として窒素が用いられる。ハイドロアキュムレータが分離部材を有していない場合には、それは、大体において、既知の送風タンク構造である。初期の時代においては、この種の圧力貯蔵器とそのハウジングは、ヘルムホルツ共振器としても使用され、それによって特にハイドローリック回路内で発生する、ハイドローリック回路に接続されている、例えば弁アッセンブリ、ハイドローリック作業シリンダ、圧力監視器具及び制御装置などのような、コンポーネントへ有害な影響を与えることがある、脈動する流体振動が緩衝され、もしくは平滑化される。その限りにおいて、場合によってはハイドローリック回路の駆動において発生する、煩わしく感じられる騒音も音響的に緩衝される。
【0004】
上述した圧力容器とその分離部材は、ヘルムホルツ共振器と場合によっては設けられるその分離部材を含めて、多様に形成される。それぞれの蓄積器ハウジングを切削加工して形状を付与する他に、それは鋳造技術でも得られる。いわゆるコンポジット構造で形成される圧力容器も使用され、それによって材料投入コストを抑えながら、同時に、蓄積器のための高い構造強度に加えて低い組立て重量も達成される。すなわち、ある特許文献は、好ましくは気胞型蓄積器の形態で、この種の圧力容器を形成する方法を開示しており(例えば、特許文献1参照。)、この方法において、まず、特にライナーの形態の支持構造が準備されて、その支持構造上にベース構造を形成しながらファイバー材料が設けられ、そのベース構造が加熱可能な成形装置内へ挿入され、成形装置とベース構造の間に母型の挿入を可能にし、その母型が繊維材料内へ少なくとも部分的に進入して、しかるべく硬化され、離型後に気胞型蓄積器の蓄積器ハウジングをもたらす。
【0005】
特に少ない組み立て重量において高い圧力強度を有する蓄積器ハウジングをもたらす、それ自体きわめて好ましいこの方法は、各蓄積器タイプのために自立した形成装置が形成されなければならないという、欠点があり、それがこの範囲において、製造コストを著しく増大させる。加熱可能な成形装置内での母型の硬化は、型加熱のためのエネルギ消費の他に、反応性樹脂システムの反応時間は比較的短いにもかかわらず、母型のための形成時間も必要とする。さらに、成形装置を操作するための手動の手間も軽視できない。
【0006】
本願の出願人によって優先権を主張する特許出願の特許文献によって、上述した形成方法に対する圧力容器用の代替的な形成方法として、圧力容器と場合によってはその部分を少なくとも部分的に3Dプリント方法を用いて形成することが、すでに提案されているので(例えば、特許文献2参照。)、切削加工あるいは、加熱すべき型工具のような、成形装置は、完全に省くことができる。むしろ、圧力容器の蓄積器ハウジング及びその部分あるいはこのような圧力容器の、分離部材のような構成部分は、型工具なしで形成され、そのことも、形成する場合の手動の手間の著しい削減を支援する。ここで、圧力容器という技術的概念は、広く考えるべきであって、例えばライナー構造あるいは、ヘルムホルツ共振器として使用される解決を共に含んでおり、そのライナー構造は次に、好ましくは不織布(コンポジット)によって強化される。
【0007】
言及された3Dプリント方法によって、ほぼ全ての形状の圧力容器と圧力蓄積器が、特に自由に成形するやり方で、実現されるので、多数の成形可能性が実現可能であり、その場合にこのようにして蓄積器ハウジングを比較的自由に現場の特殊な組み込み状況にも直接適合させることができるので、必ずしも圧力容器の対称の貯蔵器構造を利用する必要はない。
【0008】
しかし、それぞれの壁部分を形成しながら材料塗布が層状に行われる、3Dプリント方法を用いて、圧力容器におけるハウジングの壁部分を形成する方法を実際に具現化する場合に、特に、3Dプリンタによるそれぞれの材料塗布平面に対していわゆるオーバーハング角度が急峻過ぎるものになる、特に複雑な印象の壁部分幾何学配置においては、プリンタの材料塗布を阻止する材料歪みがもたらされることが、明らかにされている。
【0009】
知られているように、3Dプリンタは、「空中へ」プリントすることはできないので、大体において部材が、特に大きいオーバーハング角度をもって、片持ちされ、前へ張り出し、あるいは懸架される場合に、支持部分材料が使用され、その支持部分材料に3Dプリンタが、ここでは圧力容器におけるハウジングの形態の、本来の工作物を形成するためのプリントプロセスの間に、別の塗布ノズルによって、好ましくは同様に、共に塗布する。しかしまた、可溶性の支持材料も存在し、その支持材料は別体の構成部品として形成すべき3Dプリント構造を共に支持することができ、かつ溶けた状態において構造から再び外される。ここで、これ以上強調する必要のないことであるが、3Dプリント方法の枠内で上述したように支持材料を取り付けて、取り外すことは、それに応じた時間及びコスト増と結びついており、それが3Dプリント方法における形成時間長さにマイナスの影響を与える。また、溶解された支持部分は、それを廃棄する際に環境問題となり得る。
【0010】
しかし、オーバーハング角度がそれなりに大きい場合に、この種の支持部分又は支持構造が省かれる場合に、特にプリント材料としてプラスチック材料を使用する場合には、このプリント材料がオーバーハングの方向に下方へしたたり落ちて、目指すプリント構造を破壊してしまうことがあり得る。これは、材料塗布の上側に、例えば泡形成又はバリ形成のような、歪みが生じる場合にも言えることである。金属材料を塗布する場合には、それぞれ最後に塗布された層の自由端部の領域内に、硬化する際の材料張力に基づいて、オーバーハングの方向へ中実に形成された、張り出す、リング形状の歪みがもたらされることがあり、その歪みはその後、硬化した状態において、3Dプリンタの移動すべき塗布ノズルと衝突する可能性があり、その塗布ノズルは後から層塗布する場合に壁部分幾何学配置の歪みと直接接触する。壁部分幾何学配置の破壊の他に、さらに、3Dプリンタの塗布ノズルの破壊も考慮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014008649号明細書
【特許文献2】独国特許出願第102015017026号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これを前提として、本発明の課題は、コスト的に好ましいやり方で時間を短縮して、上述したように材料を使用する場合に歪みをもたらす傾向のある、各種類の圧力容器における、複雑な壁部分幾何学配置の形成も可能である、改良された3Dプリント方法を提供することである。この課題は、その全体において特許請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
特許請求項1の特徴部分に示すように、材料塗布を阻止する歪みをもたらす、ハウジングの壁部分幾何学配置において、材料塗布する際の層厚が、それぞれの歪みが回避されるような大きさに選択され、かつ、その限りにおいてクリティカルな壁部分幾何学配置の形成が、支持部分なしで行われることによって、3Dプリント方法の分野の平均的当業者にとって驚くべきことに、層厚に関して所望に層状に、硬化すべき材料を塗布することによって、3Dプリント方法の順序を、材料が硬化する際に、塗布ノズルによる3D材料塗布を阻止する歪みが、全く生じることがないように構成することが可能である。特に好ましくは、これが支持部分なしで行われるので、支持部分を手間をかけて形成して、次にさらに除去する必要がない。特に、スフェロイド(spheroid、回転楕円体)のような中空空間を含む壁部分を形成する場合に、支持材料を完全かつ残らず除去することは、必ずしも保証できないので、本発明に係る形成方法は、それを適用する場合に、ここに重点を有している。
【0014】
歪みを回避するために、材料塗布する際の層厚が、先行する薄い層の塗布の例えば2倍から5倍の大きさに選択されることによって、厚くなった層内の材料挙動は均質化されて、応力が少なく、あるいは応力なしであって、かつ、特に冷却プロセス又は硬化プロセスの際の、それぞれの歪みを発生させる材料張力の発生が、支持部分なしのやり方で回避される。
【0015】
形成すべき複雑な壁部分幾何学配置に従って、多数回層を重ねることにおいて、クリティカルな歪みゾーン内の最初の薄い層塗布の他に、厚い層塗布を選択し、その層塗布をまた、クリティカルでなく形成される壁部分幾何学配置の方向へ移行する場合に、再び減少させることが可能であって、そのことが全体として形成すべき圧力容器ハウジングのコンパクトで圧力安定の構造を支援する。
【0016】
本発明に係る方法の他の好ましい実施形態とこの方法に従って形成可能な圧力容器が、その他の下位請求項の対象である。
【0017】
以下、特にヘルムホルツ共振器の形態の、圧力容器の形成を用いて、本発明に係る方法を詳細に説明する。図は、原理的かつ縮尺を離れた表示である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】送風タンク又はヘルムホルツ共振器の形態の圧力容器の実施例を示す断面図である。
図2】送風タンク又はヘルムホルツ共振器の形態の圧力容器の実施例を示す上面図である。
図3図1に符号Xで示す円部分を拡大して示すものであって、従来技術に基づく方法解決を示している。
図4図1に符号Xで示す円部分を拡大して示すものであって、従来技術に基づく方法解決を示している。
図5図1に符号Xで示す円部分を拡大して示すものであって、本発明に係る方法解決に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
圧力容器とその部分を形成するための3Dプリント方法として、原則的に、焼結及び粉末プリント方法、ステレオリソグラフィ及び液体コンポーネントによるプリントが適している。上述した全ての3Dプリント方法は、いわゆるラピッドプロトタイピングで使用されることも多い。
【0020】
蓄積器ハウジングのような対象を金属だけから構築しようとする場合に、3Dプリント方法として、いわゆる電子ビーム溶融が適していることが明らかにされている。電子ビーム溶融(electron beam melting)においては、金属粉末が層状に溶融されて、ハウジング壁として除去される。同様に選択的レーザー溶融も適しており、それにおいて金属粉末は局所的にだけ溶融される。同様に、選択的レーザー焼結の使用も可能であって、それにおいて金属粉末はレーザーによって短時間、それが溶融するように加熱され、その場合に金属粉末は次に再び金属の蓄積器ハウジングを形成しながら固化する。上述した全ての3Dプリント方法は、焼結及び粉末プリント方法のジャンルに属する。
【0021】
プラスチック材料を使用して圧力容器をプリント形成しようとする限りにおいて、液状のプラスチック材料によるプリントが提供される。ここでは特に、マルチジェットモデリングが実証されており、それは、原理的な構造から従来のインクジェットプリントを強く想起させる。このような3Dプリント方法においては、液状のプラスチック材料がノズルから出て塗布され、そのノズルは好ましくは複数の方向に移動することができ、かつ材料がノズルから成形するように流出するとすぐに、例えばUV光の形態の、エネルギ源のもとでしかるべく硬化される。
【0022】
マルチジェットモデリングによって、プラスチック材料が数ピコリットルの範囲内の小滴形状で放出され、その場合に小滴が、例えば2kHzの高いクロック周波数でコンピュータ制御してスプレイされる。特に適したプラスチック材料として明らかにされているのが、液化されたアクリレートであって、その粘性は反応性シンナーの添加によって所望に調節することができる。好ましくはフォトイニシエータの添加によってUV放射による硬化性が支援される。ハウジング材料のための例において、プラスチック材料は、アクリレート材料として、UCB社によって形成されたプレポリマーである、90%のEpecryl4835、粘性調節するための反応性シンナーとして8%のHDDA(UCB社)及び、フォトイニシエータとして、Ciba−Geigy社の、2%のDarocur1173を有している。
【0023】
他の例においては、ハウジング材料のアクリレート材料として、UCB社の90%のEpecryl4835と4%のEpecryl230が設けられている。反応性シンナーとしては、UCB社の4%のHDDA、フォトイニシエータとしてはCiba−Geigy社の、2%のDarocur1173が、材料除去又は材料塗布のための材料内に含まれている。
【0024】
上で詳細に説明したプラスチック材料又は他の適切なプラスチック材料によって、3Dプリント方法において、例えば図1と2の表示に基づくガスを含む流体の脈動を緩衝するための送風タンク又はヘルムホルツ共振器の形態の圧力容器12の例に示すような、蓄積器ハウジング10が構築される。蓄積器ハウジング10の下方の端部に、圧力容器12を通常のように流体供給回路、特にガス供給回路に接続するための、特殊な接続幾何学配置をもって、流体接続箇所14が一体的に取り付けられている。蓄積器ハウジング10は、内部に実質的に球形の横断面を形成し、その中へ流体接続箇所14が中央の通路16を介して媒体を案内するように入り込んでいる。蓄積器ハウジング10は、実質的に変化しない壁直径を有しているが、中央の赤道領域20内に適切なリング形状の補強部18を有している。
【0025】
このような圧力容器12は、金属粉末によってもプリント形成され、その場合にはこの形態において、通常は40℃から150℃の使用又は作業温度において、35MPa(350bar)までの圧力に耐える。ここで提示される圧力容器は、好ましくは金属材料、すなわちチタンTi5Al64Vから構築されている。この種の圧力容器は、専門用語で、すでに挙げた概念の他に、サイレンサーとも称される。
【0026】
図1と2を見る視線方向において、金属の3Dプリント材料構造は、下方の端部から始まり、したがって流体接続箇所14の自由端部で始まる。1つ又は複数の塗布ノズル22(図3から5を参照)を有する1台の3Dプリント形成装置のみによって、この種の圧力容器12が全ての大きさにおいて、可変の内部横断面形状ももって、例えば長円形又は多角形のスフェロイドとして、かつ様々な接続箇所(図示せず)に形成される。
【0027】
特許文献2に示されるように、さらに、この種の3Dプリント方法によって他の種類の蓄積器も形成され、それらは蓄積器内部に、メンブレン、気胞、ピストンなどのような、しかるべき分離部材を有しており、それらは、好ましくは蓄積器ハウジングと共に1つの作業工程において共にプリント形成される(図示せず)。
【0028】
以下、図3から5を用いて、どのようにして3Dプリント方法によって図1と2に示す蓄積器ハウジング構造に達するか、を詳細に説明する。図1と2に示す圧力容器12は、もはや流体又はその他の媒体を「貯蔵する」ためだけに用いられるわけではないので、本出願の枠内で、蓄積器ハウジング10とハウジング10は同義で使用される。
【0029】
ハウジング10のためのそれぞれの壁部分24を形成するために、層26内で、そのほかにおいて詳しく図示されない3Dプリント装置の材料塗布ノズル22を用いて均一な材料塗布が行われる。塗布される材料は、特に3Dプリントに適したチタン材料である。層状に材料を除去するために、ノズル22は図示される水平の双方向矢印の方向に走行する。しかしそれぞれのノズル22は、その他の任意の平面内でも走行し、特にノズルは軸方向に層厚だけ層状に材料を構築するために、ハウジング10が完全に形成されるまで、連続して垂直上方へ移動される。
【0030】
図3に示す材料塗布は、いわゆるクリティカルな壁部分幾何学配置28を有しており、それは、ハウジング10を構築する場合にその内壁30の方向に尖った壁状又は薄い壁状に張り出す層32から形成される。この種のクリティカルな壁部分幾何学配置28は、特に、図1にXの円で示すように、蓄積器10が上方の極冠領域34の方向に完成される場合に、生じる。その場合にクリティカルな壁部分幾何学配置28のそれぞれ尖った壁状又は薄い壁状に張り出す層36が、張り出し36の領域内で、材料塗布平面38に対して約8°の仮想のオーバーハング角度aを形成する。図3の表示に示すように、張り出し36の層構造とそれに伴って内壁30のクリティカルな壁部分幾何学配置28が、通常のように支持部分ボディ40によって支持される場合には、塗布ノズル22によって一番上の層32のためにも、均一な層構造が生じる。
【0031】
図3図1と比べると明らかなように、本来の3Dプリント方法の間に形成機械によって専用の塗布ノズル(図示せず)を用いて形成される、この種の支持体ボディ40は、通路16が狭いことに基づいてすでに、蓄積器10のスフェロイドとしての球状の内部空間から容易には除去されない。支持体ボディ40を化学的に溶解する場合でも、残留物がハウジング10の内壁30に残留し、そのことが、特にヘルムホルツ共振器として使用する枠内で、後の使用に有害な影響を与える。また、その残留物によって圧力蓄積器又はハウジング10の有効容積も減少される。それに対してハウジング10の外周の、したがってハウジング10の下方の極冠領域42内の外壁における、比較可能な支持部分又は支持部分ボディ(図示せず)の除去は、問題とならない。というのは、それらは外壁から容易に除去できるからである。しかしそれとは関係なく、この種の支持部分又は支持部分ボディを設けることは、もちろんある程度の形成の手間と結びついており、それは省きたいものである。
【0032】
そこで、図4の表示に示す支持部分ボディ40を省いた場合には、規則的に、特に冷却する際の材料張力に基づいて、特に金属の材料塗布が行われる場合に、ハウジング10の内壁側に上方へ張り出す材料の歪み44が生じ、かつ、張り出し36から形成される、このような回避すべき歪み44が硬化するとすぐに、それは、ノズル22の塗布側46に張り出して、このような材料塗布工具22のための衝突の危険を形成し、そのことは、衝突の場合にはその破壊及び求められる壁部分幾何学配置28の破壊をもたらすことがあり得る。
【0033】
3Dプリント方法においてハウジングと蓄積器ハウジングを形成する分野における平均的当業者にとって驚くべきことに、図5の原理的な表示に示すように最後に塗布される層の層厚を増大させて、もはや歪み44が発生しないようにする場合に、材料塗布の塗布側46におけるこのように張り出す歪み44を回避することができ、そのことは、その場合にはほぼ応力のない金属の塗布材料の材料冷却挙動に関係している。その場合に好ましくは、クリティカルな壁部分幾何学配置28の領域内の材料塗布は、従来の層厚に比較してファクター1.5から5だけ大きく選択されており、その場合に拡大された層厚は、それぞれ形成すべきクリティカルな壁部分幾何学配置28に応じて、プリントする際に大体において閉成された張り出しリングの形状の歪み44が発生しないように、選択される。このようにして、下方の極冠領域42内に増加して発生するクリティカルな壁部分幾何学配置も、外壁側から歪みなしかつ支持部分なしで形成される。
【0034】
このように形成された蓄積器又は圧力ハウジング10において、特に層厚の増大に基づいてクリティカルな壁部分幾何学配置28を有する上方の極冠領域34内で、ハウジング10の内壁30上にある程度の材料粗さが発生することが、明らかにされている。蓄積器10の言及される内壁側における材料荒さをそのままにする限りにおいて、それが、振動緩衝の改良を達成するのに好ましいことが明らかにされている。というのは、材料荒さの張り出す材料部分が、音反射の回避を支援し、その音反射をハウジング10の壁構造内へ逃がすからである。
【0035】
3Dプリント方法において形成されるハウジング10は、ライナーの形態で形成することもでき、そのライナーは、完全にし、かつ補強するために不織布(図示せず)を巻き付けることができる。また分離部材が、例えば金属のベローズメンブレンの形態で形成され、その分離部材は蓄積器ハウジング10の形成と共に3Dプリント方法で形成される。
図1
図2
図3
図4
図5