(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795614
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/04 20060101AFI20201119BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20201119BHJP
H01Q 1/36 20060101ALI20201119BHJP
H01Q 9/42 20060101ALI20201119BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q1/50
H01Q1/36
H01Q9/42
H01Q13/08
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-552833(P2018-552833)
(86)(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公表番号】特表2019-514285(P2019-514285A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2017058278
(87)【国際公開番号】WO2017174736
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】102016205842.8
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016207434.2
(32)【優先日】2016年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】シューラー・マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスガーバー・ラース
(72)【発明者】
【氏名】テッシマ・メンギストゥ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンシュ・ライナー
(72)【発明者】
【氏名】シュリヒト・ミヒャエル
【審査官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0214592(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0015447(US,A1)
【文献】
特表2014−534761(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0266963(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0042513(US,A1)
【文献】
ZHU et al.,Ultra-Wideband Dual-polarized patch Antenna With Four Capacitively Coupled Feeds,IEEE Transactions on Antennas and Propagation, Vol.62, No.5,2014年 5月,p.2440-2449
【文献】
SOORYA et al.,UWB Microstrip Patch Antenna With Flower Shaped Patch and Cavity Structure,IEEE Wispnet 2016,2016年 3月23日,p.2080-2084
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置(1)であって、
電磁信号を放射および/または受信するためのエミッタ素子(4)を含み、
前記エミッタ素子(4)は、少なくとも1つの結合点(5)を含み、
前記結合点(5)は、前記エミッタ素子(4)の辺(40)に接続され、
前記結合点(5)は、電磁信号を内部および/または外部に容量結合するために実装され、
前記アンテナ装置(1)は、電磁信号を伝導するための導電性パターン(3)を含み、
前記導電性パターン(3)および前記エミッタ素子(4)は、前記結合点(5)を介して互いに容量結合され、
前記エミッタ素子(4)は、少なくとも1つのブレード素子(6)を含み、
前記エミッタ素子(4)および前記ブレード素子(6)は、互いにガルバニック結合され、
前記ブレード素子(6)は、前記エミッタ素子(4)の前記辺(40)に配置され、
前記エミッタ素子(4)および前記ブレード素子(6)は、互いに角度(14)を形成し、
前記ブレード素子(6)は前記結合点(5)を含み、
前記アンテナ装置(1)は、キャリア素子(2)を含み、
前記ブレード素子(6)は、前記エミッタ素子(4)から前記キャリア素子(2)の方向に離れるように角度付けされ、
前記結合点(5)は、前記ブレード素子(6)の自由端(60)に配置され、
前記アンテナ装置(1)は、少なくとも1つのブリッジ素子(7)を含み、
前記ブリッジ素子(7)は、前記導電性パターン(3)の給電点(8)にガルバニック結合または容量結合され、
前記ブリッジ素子(7)および前記エミッタ素子(4)は、前記結合点(5)を介して互いに容量結合される、アンテナ装置(1)。
【請求項2】
中間媒体(9)が前記結合点(5)の領域に配置され、前記中間媒体(9)を介して容量結合が行われる、請求項1に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項3】
前記エミッタ素子(4)は、前記キャリア素子(2)からある距離を置いて取り付けられる、請求項1または2に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項4】
前記エミッタ素子(4)は表面エミッタとして構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項5】
前記エミッタ素子(4)は、n角形の形態の外側輪郭を有する表面エミッタとして実装され、
nは3以上の自然数である、請求項4に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項6】
前記エミッタ素子(4)は、中央ディップを有する漏斗形状の表面エミッタとして実装される、請求項4または5に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項7】
前記結合点(5)は、前記エミッタ素子(4)の前記n角形の辺の中央に配置される、請求項5に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項8】
前記エミッタ素子(4)は金属シートとして実装される、請求項4から7のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項9】
前記エミッタ素子(4)はモノポールとして実装される、請求項4から8のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項10】
前記導電性パターン(3)は、前記キャリア素子(2)に取り付けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項11】
前記キャリア素子(2)は、前記キャリア素子(2)の上に位置するグランド表面領域(10)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項12】
前記エミッタ素子(4)は、いくつかの辺(40)上に結合点(5)を含み、
前記エミッタ素子(4)は、少なくとも1つの結合点(5)を介して前記導電性パターン(3)に容量結合される、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項13】
前記エミッタ素子(4)は、2つ以上の結合点(5)を介して前記導電性パターン(3)に容量結合される、請求項12に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項14】
前記エミッタ素子(4)は4つの結合点(5)を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項15】
前記エミッタ素子(4)は、前記4つの結合点(5)を介して前記導電性パターン(3)に容量結合される、請求項14に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項16】
前記エミッタ素子(4)は、少なくとも1つの結合点(5)を介して信号源(11)に接続される、請求項12から15のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項17】
前記エミッタ素子(4)は、少なくとも1つの結合点(5)を介して開回路(12)に接続され、開放端が存在する、請求項12から16のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項18】
前記エミッタ素子(4)は、少なくとも1つの結合点(5)を介して短絡回路(13)に接続される、請求項12から16のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項19】
前記アンテナ装置(1)は、少なくとも2つのエミッタ素子(4、4’)を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項20】
前記2つのエミッタ素子(4、4’)は、特に容量的にまたはガルバニック的に互いに結合される、請求項19に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項21】
前記2つのエミッタ素子(4、4’)は、前記キャリア素子(2)から異なる距離を有する、請求項19または20に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項22】
前記2つのエミッタ素子(4、4’)のエミッタ素子(4)は凹部(21)を含み、前記2つのエミッタ素子(4、4’)の別のエミッタ素子(4’)は前記凹部(21)の領域に配置される、請求項19から21のいずれか一項に記載のアンテナ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置は、特に、電磁信号を送信および/または受信するように機能する。
【0003】
最終的に起こっている電子および電気機械システムの継続的なサイズの縮小または小型化によって、性能を損なうことなく必要な部品のサイズが相応に縮小される。逆に、前記アセンブリの性能の向上が図られている。
【0004】
さらに、無線通信部品に対する要求が高まっており、したがって、前記アセンブリの主要項目としてのアンテナのサイズの縮小に対する要求が増加している。これは、小型化システムの基本的な問題の1つを構成するが、それは、必要とされるアンテナ素子の開発および最終的に寸法が特定の物理的限界に左右されるからである。
【0005】
それらの形状、サイズおよび給電に応じて、アンテナは異なる特性を有する異なる指向特性でその表現を見いだす。用途に必要な多くの要件を正当化するために、多数のアンテナ形状がある。これに関連して、形状およびサイズに加えて、放射波の特性およびアンテナのベースインピーダンスが明らかに決定されるので、信号源のエミッタ素子への励起または結合が決定的な役割を果たす。このような特性には、例えば、放射ローブ(ビーム)の形状だけでなく、特に、偏波(線形、円形、楕円形)、偏波純度(偏波デカップリング)、および放射される自由空間波の無指向性などが含まれ得る。また、インピーダンス帯域幅および指向特性の周波数依存性は、広帯域無線通信用アンテナにおける決定的要因である。異なる空間方向に、均一かつ極めて類似した放射ローブを生成するために、例えば、グループアンテナによるビーム形成のためには、個々の素子の指向特性の高レベルの分極純度および無指向性が要求される。
【0006】
多くの用途、例えば、UHF RFID(極超短波無線識別)読み取りポートでは、円偏波アンテナが、高度に異なる空間配向の場合でも、ほとんどの場合に直線偏波された受動トランスポンダを検出するために、円偏波アンテナが通常使用される。この目的のために、マルチビームアンテナは、多数のビーム実装を使用することによって、より広い範囲の角度または空間をカバーするようにますます採用されている。これにより、頻繁に大量に配置される多数のトランスポンダを確実に識別することが可能になる。さらに、このようなマルチビームアンテナは、トランスポンダの空間的位置(局在化)を決定することを可能にする。この目的のためには、アレイアンテナの個々の素子の上述した放射特性のためにのみ、製造が可能な非常に均一で対称的なビームが必要とされる。
【0007】
多くの用途では、アンテナは低コストでなければならない。例えば、低コストで円偏波指向特性を生成するために、エミッタ素子(主にパッチアンテナの形態)が90°オフセットした給電点に結合される(例えば、Poynting Antennas(Pty.Ltd.)による「Patch Antenna(Circular),860−930MHz」を参照)。これは、通常、パッチの下のワイヤ線を用いてガルバニックな方法で行われる。ここで、供給される電力の90°の位相シフトを可能にする給電ネットワーク(主にマイクロストリップライン技術)が必要となる。しかしながら、この場合の指向特性は、偏波純度、すなわち交差偏波弁別(XPD)が悪く、ビーム形成中に非対称ビームとなる。また、この設定では、パッチの直径が波長の半分程度のオーダーであり、後方反射(交差偏波)を低く保つために大きなグランド表面領域または反射器が必要であることが要求される。そのような設定の帯域幅も非常に小さい。
【0008】
高レベルの偏波純度および無指向性を有する指向特性を生成しながら、小さな寸法を有するアンテナを開発できるようにするために、セラミックアンテナを使用することができる。しかしながら、それらは非常に高価であり、一般に非常に狭い帯域を有する。より有利な方法は、エミッタ素子をそれぞれ90°オフセットした4つの給電点で励起することである[1]。これに関連して、エミッタを、四辺で90°曲げられた接続セグメントを有する金属シート素子として使用し、それらを回路基板に直接はんだ付けすることが有利であるが、ワイヤ素子による給電も可能である[2]。これには、コンパクトでデカップリングされた給電ネットワーク[1]が必要であり、4つの位相がそれぞれ90°オフセットされている。4点給電によって、エミッタ素子の直径を半波長以下に縮小すると同時に、高帯域幅を達成することができる。帯域幅は、2点給電の場合よりもわずかに大きい。しかし、エミッタの適応と帯域幅の拡大のためには、損失のあるスタブが必要である。さらに、後方反射(交差偏波)を低く抑えるためには、エミッタ素子の寸法と比較して非常に大きなグランド表面領域が必要である。また、説明した考え方と比較して、エミッタ素子は明らかに大きな電気的設置の高さを呈する。
【0009】
パッチ素子を結合するさらなる可能性は、グランド表面領域内のスリットを介して誘導波を結合することにある([3]参照)。これは、グランド線のスリットを横切る(ほとんどの場合直交する)マイクロストリップラインを含む。波の円偏波を可能にするために、ここでは2点給電または4点給電の方法を適用することもできる。この目的のために、パッチは必須ではないが、両方の場合は後方反射を低減し、結果として利得を増加させるために反射器が必要となる。不都合な点は、対向して位置する給電点(スロット)の寸法ならびにパッチの直径が、放射および/または受信される信号の波長のおおよそ半分になることである。
【0010】
記載した方法では、エミッタ素子の寸法および/または給電点の距離は、波長の半分の大きさのオーダーである。前記寸法が縮小されれば、エミッタ素子のベースインピーダンスは明らかに量の点で増加する。すなわち、エミッタ素子が小さいほど、ベースインピーダンスの量は大きくなる。これにより、50オームまたは100オームまでのインピーダンス整合がより困難になり、一般に、整合素子によって引き起こされる大きな電力損失および帯域幅の縮小に関連する。結果として、エミッタ素子の、および/または波長の半分よりも明らかに小さい給電点距離(例えば、波長の1/4)との低損失整合がほとんど不可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Poynting Antennas(Pty.Ltd.)による「Patch Antenna(Circular),860−930MHz」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、放射特性について著しい損失を生じることなく小型化を可能にするアンテナ装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電磁信号を放射および/または受信するためのエミッタ素子を含むアンテナ装置を提供することにより、この目的を達成する。エミッタ素子は、少なくとも1つの結合点を含む。結合点は、エミッタ素子の辺に接続されている。さらに、結合点は、電磁信号を内部および/または外部に容量結合するために実装される。以下の実施態様のいくつかでは、結合点はエミッタ素子の一辺に直接配置される。実施態様に応じて、辺はエミッタ素子の外面または外縁に関係する。代替的な実施態様では、エミッタ素子は、結合点を支持する素子(ブレード素子)によって、いわば、少なくとも一辺上で延在している。したがって、実施態様に応じて、少なくとも1つの結合点は、エミッタ素子の一辺上に、特にブレード素子を介して、直接的または間接的に配置される。この文脈における結合点は、放射のための電磁信号がエミッタ素子に結合される領域、またはエミッタ素子で受信された信号がエミッタ素子の外部に結合される領域である。
【0014】
この文脈におけるアンテナ装置は、個々のアンテナであるか、またはいくつかの個々のエミッタおよび/またはアレイアンテナの一部である。
【0015】
エミッタ素子は、実際に電磁信号を放射および/または受信するように働くアンテナ装置の一部である。
【0016】
エミッタ素子がその辺に直接的に結合点を含む場合には、一実施態様では、容量結合のためのブリッジ素子はエミッタ素子の辺のレベルに開口部を有する。
【0017】
一実施態様では、アンテナ装置は、電磁信号を伝導するための導電性パターンを含む。導電性パターンおよびエミッタ素子は、結合点を介して互いに容量結合されている。導電性パターンは、実施態様に応じて、例えば半導体基板上の電気ラインまたは導電性トラックとして形成される。電磁信号を送信するためのエミッタ素子と導電性パターンとの間の接続は、容量的に、特に、ガルバニック結合がないように行われる。
【0018】
一実施態様では、エミッタ素子は、少なくとも1つのブレード素子を含む。エミッタ素子およびブレード素子は、互いにガルバニック結合される。さらに、ブレード素子はエミッタ素子の辺に配置される。さらに、エミッタ素子とブレード素子とは互いに角度を形成し、ブレード素子は結合点を含む。したがって、この実施態様では、結合点は、エミッタ素子の辺上のブレード素子の上に間接的に配置される。実施態様に応じて、エミッタ素子およびブレード素子は一体に構成されるか、またはブレード素子はエミッタ素子に接続される。
【0019】
一実施態様では、ブレード素子は、導電性材料、特に金属で作られる。
【0020】
一実施態様では、アンテナ装置は、キャリア素子を含む。一実施態様では、導電性パターンは、キャリア素子上に少なくとも部分的に取り付けられる。一実施態様において、導電性パターンが少なくとも部分的に導電性トラックからなる場合には、前記導電性トラックは、補足的な実施態様においてキャリア素子上に取り付けられ、かつ/または製造されている。一実施態様では、キャリア素子は、例えば導電性パターンが薄膜法または厚膜法を用いて適用された基板である。
【0021】
さらなる実施態様では、ブレード素子は、エミッタ素子からキャリア素子の方向に離れるように角度付けされる。したがって、ブレード素子は、エミッタ素子の辺からキャリア素子の方向に延在する。さらに、結合点は、ブレード素子の自由端に配置される。ここでの自由端は、エミッタ素子の辺から、したがってエミッタ素子からも離れて面するブレード素子の端部である。したがって、自由端はエミッタ素子に接続されていない端部である。
【0022】
一実施態様では、エミッタ素子は、導電性パターンまたは他のパターンに容量的にのみ接続される。代替的な実施態様では、エミッタ素子は、少なくとも1つの容量結合に加えて、少なくとも1つのガルバニック結合を含む。
【0023】
一実施態様では、中間媒体が結合点の領域に配置され、容量結合は中間媒体を介して行われる。一実施態様では、中間媒体は誘電体であり、あるいは少なくとも不導体または絶縁体である。中間媒体は、結合のタイプ、したがってアンテナ装置のさらなる電気的特性にも影響を及ぼす。さらなる実施態様では、中間媒体は、2つの導電性ユニットの間に取り付けられ、その結果、容量結合が生じる。前記2つの少なくとも部分的に導電性のユニットは、一実施態様では、ブレード素子とブリッジ素子によって形成される。
【0024】
一実施態様では、エミッタ素子は、キャリア素子から離れて取り付けられる。この実施態様では、エミッタ素子は、例えば、キャリア素子の上方に配置される。一実施態様では、この距離は、アンテナ装置の放射特性にも影響を与える。一実施態様では、エミッタ素子の機械的締結および電気的結合は、同じ構成要素(例えば、ブレード素子および/またはブリッジ素子)によって実施される。
【0025】
一実施態様では、エミッタ素子とキャリア素子との間の距離は、少なくともブレード素子に依存する。この実施態様では、エミッタ素子とキャリア素子との間の距離は、少なくともブレード素子の実施態様、特にその幾何学的設計に依存する。これに関連する実施態様では、ブレード素子は、エミッタ素子を担持し、したがって、キャリア素子から距離を置いて保持するキャリア構造の少なくとも一部である。
【0026】
一実施態様では、導電性パターンがキャリア素子上に取り付けられているので、先に示した実施態様と組み合わせた一実施態様では、エミッタ素子は、導電性パターンの少なくとも一部の上に距離を置いて配置される。この実施態様では、導電性パターンは、エミッタ素子によって少なくとも部分的に隠され、かつ/または保護される。
【0027】
さらなる実施態様では、アンテナ装置は、少なくとも1つのブリッジ素子を含む。ブリッジ素子は、導電性パターンの給電点にガルバニック結合または容量結合される。また、ブリッジ素子とエミッタ素子とは、結合点を介して互いに容量結合される。この実施態様では、導電性パターンは、電磁信号が導電性パターンの外部および/または内部に結合される給電点を含む。ブリッジ素子は、前記少なくとも1つの給電点にガルバニック結合または容量結合される。結局、ブリッジ素子とエミッタ素子とは、結合点を介して互いに容量結合される。一実施態様では、ブリッジ素子とブレード素子は、互いに容量結合される。したがって、一実施態様では、導電性パターンとエミッタ素子との間の結合は、ブリッジ素子およびブレード素子を介して間接的に行われる。
【0028】
一実施態様では、エミッタ素子とキャリア素子との間の距離は、少なくともブリッジ素子に依存する。この実施態様では、ブリッジ素子は、少なくとも部分的に、エミッタ素子用のキャリア素子としても機能する。
【0029】
一実施態様では、エミッタ素子は、ブレード素子を介して、またはブレード素子とブリッジ素子を介して、キャリア素子に対して固定されている。ブレード素子および/またはブリッジ素子は、エミッタ素子と導電性パターンとの間の電気的および特に容量性の接続を可能にする。この実施態様では、これは、ブレード素子および/またはブリッジ素子がエミッタ素子を担持し、それにより、ブレード素子および/またはブリッジ素子をキャリア素子から所定の距離に保つことを可能にする、対応する機械的特性によって拡張される。したがって、エミッタ素子と導電性パターン、または具体的にはキャリア素子と、その上に配置される可能性のある任意のさらなる構成要素との間の距離は、アンテナ装置の放射特性の特定の効果または特性を達成するように、ブレード素子もしくはブリッジ素子を介して、またはブレード素子とブリッジ素子を介して、目標通りに設定されてもよい。
【0030】
一実施態様では、エミッタ素子は表面エミッタ(バットウィング放射器)として構成される。表面エミッタは、表面領域拡張部において導波が自由空間波に変換され、その逆も同様に変換される点で、いわゆる線形エミッタ(または線形アンテナ)とは異なる。例えば、表面エミッタは、指向性アンテナとして採用されている。このように、表面エミッタは、それらが広がるかまたは覆う表面領域によって決定される。
【0031】
一変形例では、エミッタ素子は、n角形の形状の外側輪郭を有する表面エミッタとして構成される。nは3以上の自然数である。したがって、この実施態様では、表面エミッタは、三角形、四角形、または他の任意のn角形の外側輪郭を有する。ここでは、外側輪郭は、一実施態様では、エミッタ素子のキャリア素子上への突出、一実施態様では、エミッタ素子によって覆われた表面領域に関する。したがって、一実施態様では、少なくとも1つのブレード素子が、外側輪郭の辺に、それぞれの場合にコーナーの間に配置される。別の実施態様では、ブレード素子が2つのコーナーの間に位置する少なくとも1つの辺にある。少なくとも1つの結合点の配置、または実施態様に応じて、少なくとも1つのブレード素子の配置は、一実施態様では、付随する辺の中心に配置される。
【0032】
1つの変形例では、エミッタ素子は、中央ディップを有する漏斗形状の表面エミッタとして構成される。したがって、この実施態様では、エミッタ素子は平坦ではなく、漏斗形状を与えるディップを含む。一実施態様では、エミッタ素子は、ホーンアンテナのために構成されている。さらなる実施態様では、エミッタ素子は、その外側輪郭内に少なくとも1つの凹部を有する。
【0033】
エミッタ素子が、コーナーの間にn個の辺を有するn角形として構成されている場合には、一実施態様では、少なくとも1つの結合点がエミッタ素子のn角形の辺の領域に配置されている。一実施態様では、結合点はn角形の辺の中心に配置される。さらなる実施態様では、表面エミッタの一辺に各々が配置されたn個の結合点が、n角形のエミッタ素子に一致するように存在する。
【0034】
一実施態様では、エミッタ素子は金属シートとして構成される。ここでの金属シートは、高さに関するその延長よりも明らかに大きい、表面積に関する延長を有する。さらに、金属シートは、好ましくは、導電性金属または金属混合物からなる。
【0035】
一変形例では、エミッタ素子はモノポールとして構成される。モノポールまたはモノポールアンテナは、線形アンテナとしてのダイポールアンテナ(または半波長ダイポールアンテナ)の一部である。前記アンテナは、アンテナ構造内で線形電流分布を示す。実際には、例えば、金属線または金属棒からなり、波長に比べて薄い導電体が用いられる。モノポールアンテナ(4分の1波長エミッタまたはグランドプレーンアンテナとも呼ばれる)は、例えば導電性表面によって後方反射されて半波長ダイポールとなるアンテナロッドである。別の実施態様では、モノポールは平面金属シートによって形成され、その場合、結合点はモノポールの面の上または下に位置する。
【0036】
一実施態様では、エミッタ素子は棒状モノポールとして構成される。この文脈では、結合点は棒状モノポールの長手方向軸に沿って配置される。
【0037】
一実施態様では、アンテナ装置は、さらなる実施態様では、キャリア素子上に配置されるグランド表面領域を含む。グランド表面領域は、電気的接地に接続されている。
【0038】
一実施態様では、エミッタ素子は、いくつかの辺に結合点を有する。この文脈では、エミッタ素子は、少なくとも1つの結合点を介して導電性パターンに容量結合される。さらなる実施態様では、エミッタ素子は、2つ以上の結合点を介して導電性パターンに容量結合される。一実施態様では、結合点および/または結合点を含むブレード素子は、それぞれ、n角形の外側輪郭を含むエミッタ素子の辺に配置される。
【0039】
一実施態様では、エミッタ素子は4つの結合点を含む。これに関連する実施態様では、エミッタ素子は、4つの結合点のすべてを介して導電性パターンに容量結合される。
【0040】
さらなる実施態様では、結合点はエミッタ素子の周りに対称的に配置される。
【0041】
一実施態様では、エミッタ素子は、少なくとも1つの結合点を介して(例えば、電圧源の形態で)信号源に接続される。一実施態様では、信号源は、エミッタ素子を介して放射される電磁信号の信号源として機能する。
【0042】
代替的または補足的な実施態様では、エミッタ素子は、少なくとも1つの結合点を介して開回路に結合される。結合点を介した結合は、それぞれの場合に容量性の方法で行われる。したがって、開回路の場合には、結合点を介して負荷または電気抵抗器への結合が提供されない。したがって、開放端が存在する。
【0043】
さらなる代替的または補足的な実施態様では、エミッタ素子は、少なくとも1つの結合点を介して短絡回路に接続される。
【0044】
一実施態様では、少なくとも2つのエミッタ素子が存在する。さらなる実施態様では、前記少なくとも2つのエミッタ素子は、特に容量性の方法で、または短絡回路を介して、すなわちガルバニック方式で、互いに結合される。
【0045】
一実施態様では、2つのエミッタ素子がキャリア素子から異なる距離を有する。エミッタ素子は、異なる高さに取り付けられている。一実施態様では、例えば、エミッタ素子は、キャリア素子に垂直に突き出て、重なり合い、代替的な実施態様では重なり合わない。
【0046】
一実施態様では、2つのエミッタ素子のうちの1つは、例えば表面エミッタとして構成されたエミッタ素子内の中心に配置された凹部を含む。さらなる実施態様では、他のエミッタ素子は、凹部の領域に配置される。一実施態様では、エミッタ素子は、他のエミッタ素子の凹部に対応し、一実施態様では、前者への補充として、対応する関連する凹部とは異なる高さに配置される。したがって、後者の実施態様では、エミッタ素子の一部は、いわば高さに関して変位されている。好ましくは、2つのエミッタ素子は、互いに容量結合される。
【0047】
さらなる実施態様では、エミッタ素子は、少なくとも1つの角度偏向を有する。この実施態様では、エミッタ素子は、例えば、むしろ棒状であるか、またはむしろ平面素子として構成され、少なくとも1つの点で角張ったまたは曲がった形状を有する。
【0048】
したがって、本発明のアンテナ装置は、アンテナ装置の寸法が低減され、一方、性能の点で損失がないか、またはわずかであるという利点をもたらし、例えば、同時インピーダンス整合による放射挙動が伴う。特に、放射特性およびインピーダンス整合は、容量性結合のタイプおよび関与する構成要素を介して、目標とする方法で予め定義および/または設定することができる。
【0049】
特に、本発明のアンテナ装置を実施し、さらに発展させる可能性は非常に多い。この点に関して、あるものについては請求項を参照し、別のものについては図面と併せて以下の実施形態の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】アンテナ装置の第1の実施態様の空間的かつ部分的に透明な表現を示す図である。
【
図2】
図1のアンテナ装置の拡大した切り欠き図である。
【
図4】アンテナ装置の第1の実施態様のさらなる空間的かつ部分的に透明な表現を示す図である。
【
図5】アンテナ装置の制御を説明するためのいくつかの概略図である。
【
図6】エミッタ素子の幾何学的形状を説明するためのいくつかの概略図である。
【
図7】エミッタ素子の容量結合を説明するためのいくつかの概略図である。
【
図8】ブレード素子の幾何学的形状を説明するためのいくつかの概略図である。
【
図9】アンテナ装置の第2の実施態様の断面図である。
【
図10】アンテナ装置の第3の実施態様の断面図である。
【
図11】アンテナ装置の第4の実施態様の空間的かつ部分的に透明な表現を示す図である。
【
図12】アンテナ装置の第4の実施態様のさらなる空間的かつ部分的に透明な表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、本質的に、アンテナ装置1の一部としてのアンテナ素子、具体的にはエミッタ素子を含み、このアンテナ素子は、新規な容量性の結合形態を介して給電される。したがって、直径は、放射されるおよび/または受信される電磁信号の波長の半分よりも明らかに小さくなるように縮小されるが、一方、無損失、または低損失のインピーダンス整合を100オーム未満、例えば50オームに明らかに下げることを可能にする。実施態様に応じて、これは波長の4分の1以下まで成功する。この文脈では、半波長未満のエミッタを整合させるために従来技術で必要とされていた損失のある整合素子を不要にすることも可能である。さらに、後方反射を抑制するための、大きなグランド表面領域および反射器が不要である。その結果、従来技術では、エミッタ素子4全体の効率が明らかに低下する。
【0052】
アンテナ装置1は、一例として、910MHzでの動作のために実装される。例示的な寸法(エッジ長175mmの正方形のキャリア素子、およびエッジ長75mmの正方形のエミッタ素子)および高さ30mmの場合には、純粋にガルバニック結合の場合のベースインピーダンスの実数部は約200オームである。
【0053】
図1は、キャリア素子2およびエミッタ素子4を含むアンテナ装置1の空間的表現を示す。グランド表面領域10もまた、ここでキャリア素子2上に配置される。エミッタ素子4は、四角形の外側輪郭を有し、漏斗形状のディップを呈することが分かる。全体で、エミッタ素子4は、キャリア素子2から離間しており、ここでは4つの結合点および/または4つのブレード素子6によって保持または担持されている。
【0054】
図1に丸で囲まれた領域は、
図2により大きいスケールで示されている。エミッタ素子4の辺40に配置された4つのブレード素子6が示されており、ここではエミッタ素子4は四角形であり、自由端60に容量結合のための結合点5を有する。4つのブリッジ素子7は、4つの給電点8でキャリア素子2から発する。ブリッジ素子7およびブレード素子6は、結合点5で接合し、そこで容量結合が行われる。
【0055】
図3の断面はまた、エミッタ素子4ではキャリア素子2に向かって中央ディップがどのようになっているかを示している。さらに、ブレード素子6およびしたがって結合点5は、ここでは四角形であるエミッタ素子4の辺40に配置されていることが分かる。エミッタ素子4と同様に、ブレード素子6は金属シートとして実装され、特にガルバニックにエミッタ素子4に結合される。ブレード素子6とブリッジ素子7との間には、中間媒体9がそれぞれの場合に結合領域5に配置され、前記中間媒体9はここでは誘電体として構成されているので、容量結合にも影響を与え、ブレード素子6とブリッジ素子7との間に、規定された距離で、エミッタ素子4の固定を可能にする。さらに、ブリッジ素子7は、ここでは給電点8において、キャリア素子2上の導電性パターンにガルバニック結合されている。ブレード素子6およびエミッタ素子4、またはその外側境界は、角度14を形成し、それはここでは90°の角度である。ここで、ブレード素子6は、キャリア素子2に向いているが、エミッタ素子4の上側からは離れて面している。
【0056】
キャリア素子2上の導電性トラックの形態の導電性パターン3が
図4に示されている。導電性パターン3は、エミッタ素子4の下にあり、グランド表面領域10の反対側、すなわちキャリア素子2の下に配置されている。代替的な実施態様では、グランド表面領域10は、キャリア素子2の下に配置され、導電性パターン3はキャリア素子2の上に配置されている。多層構造では、グランド表面領域10または導電性パターン3は、任意の数の層状キャリア素子2内に配置される。したがって、ブリッジ素子7またはブリッジ素子7に導電性パターン3を接続するおそらく既存の素子は、実施態様に応じて、キャリア素子2を通って突き出ている。
【0057】
したがって、
図1〜
図4は、4つの給電点を有するパッチの例を使用することによる、エミッタ素子4の新規な容量結合を示している。エミッタ素子4の4つの適切に選択された点で容量結合と給電を組み合わせることにより、エミッタ素子4を、大きなグランド表面領域10および/または反射器を伴わずに、所望のインピーダンス、しばしば50オームに容易に整合させることができる。
【0058】
結合点5は、エミッタ素子4の辺40に配置されている。この目的のために、ブレード(またはブレード素子6)はエミッタ素子4の辺に取り付けられ、下方に曲げられる。4つのブリッジ、給電点8ごとに1つのブリッジ(例えば、ブリッジ素子7)は、キャリア回路基板2から突き出て、中間媒体9を介してブレード7に容量結合される。その結果、ブリッジ7とブレード6との間の結合ギャップの幅を減少させ、ブリッジ7とブレード6との間の規定された距離をさらに可能にすることができる。ブリッジ7とブレード6との間に存在する誘電材料の代替として、エアギャップを設けることもできる。エミッタ素子4および/またはブレード素子6は、補足的にブリッジ7に固定されてもよく、例えば、ブリッジ7とブレード6との間に位置する中間媒体にねじ込まれるか、差し込まれるか、接着されるか、またははんだ付けされてもよい。結合点5の幅、高さ、および距離のために、ほとんどあらゆる種類のインピーダンス整合が可能であり、損失のある整合ネットワークが必要でないため、アンテナ素子1の開発が明らかに簡素化される。
【0059】
エミッタ素子4および容量結合点5の形状は、供給されるエネルギーの大部分が集中する結合点5で高い電界強度を生成する。これにより、エミッタ4は広い電気的開口部を有するようになり、その結果、エミッタ4の横方向の寸法が明らかに縮小される。
【0060】
それぞれのエミッタ素子4の辺上の結合点5を介した結合は、異なるように構成されてもよい。
図5は、例としていくつかの変形例を示す。
【0061】
図示するものは、構成のさまざまな実施態様であり、左から右へ説明する。
【0062】
a)異なる数の給電および/または結合点5。
【0063】
ただ1つの結合点5、いくつかの結合点5、またはここでは例として最大4つの結合点5が存在してもよい。結合点5の数もまた4を超えてもよい。これはエミッタ素子4の幾何学的形状に依存する。ここに示す実施態様では、すべての結合点5にわたって容量結合が行われる。
【0064】
b)対向して配置された開回路(LL、12)または短絡回路(KK、13)および電圧源11への接続で、ここでは放射される電磁信号のための信号源としても働く。
【0065】
代替的に接触点は、隣接する辺40に存在する。ここに示す開回路12および/または短絡回路13への接続は、容量結合および/またはキャパシタ(集中定数部品)によって代替的に行われる。
【0067】
変形例は以下の通りである(左から右へ)。
【0068】
互いに対向する2つの容量結合点5を横切るエミッタ素子4の直線偏波および信号源11への接続。4つの結合点5および2つの信号源11による二重直線偏波。
【0069】
信号源11に結合するために結合点5の反対側に位置するエミッタ素子4の辺に短絡回路13による二重直線偏波。
【0070】
あるいは、容量結合および/またはキャパシタ(集中定数部品)も使用される。
【0072】
d)4つの結合点5および4つの信号源11による円偏波。
【0073】
e)4つの結合点5および各々が2つの給電点8を含む2つの信号源11による二重円偏波。信号源11の給電点8は、隣接する結合点5にそれぞれ接触される。
【0074】
f)3つの容量結合点5および3つの信号源11による楕円偏波。
【0075】
エミッタ素子4は、異なる形状に形成されてもよく、異なるように構成されてもよい。一例として、
図6はいくつかの変形例を示す。図示するのは、それぞれ、n角形エミッタ素子4であり、その外側輪郭は、n角形によって形成され、 nは3より大きい自然数である。
【0076】
図7は、エミッタ素子4の実施態様としてモノポールを含む変形例を示す。さらに、ブリッジ素子7への結合のための異なる変形例が示されている。いくつかの実施態様では、ブレード素子が存在しないので、エミッタ素子4が少なくとも1つの辺40に直接的に結合点を含む。
図7a)から
図7e)および
図7l)の変形例は、エミッタ素子4およびブリッジ素子7のみを含む。
図7f)から
図7k)の変形例は、エミッタ素子4、少なくとも1つのブレード素子5、および少なくとも1つのブリッジ素子7を含む。
【0078】
a)給電基板に結合を有する単純モノポール4。
【0079】
b)左からのブリッジ素子7への容量結合を含むモノポール4。
【0080】
c)右からの容量結合を含むモノポール4。
【0081】
d)ダイポールを形成し、容量的に二重に結合された2つのモノポール4。
【0082】
e)モノポール端で互いに容量結合され、結合点5を介してブリッジ素子6に容量結合された2つのモノポール4。
【0083】
f)ダイポールまたはパッチが生じる、2つの容量結合されたモノポール4の短絡回路。側方に取り付けられたブレード素子6は、ブリッジ素子7の方向に90°の角度14で角度付けされている。
【0084】
g)右からのブリッジ素子6への容量結合を含む角度付きモノポール4(角度14も含む)。
【0085】
h)左からの容量結合を含む角度付きモノポール4。
【0086】
i)容量的に二重結合されたモノポール4(=ダイポール)。
【0087】
j)エミッタ素子の容量結合を含む二重容量結合モノポール4(=ダイポール)。
【0088】
k)エミッタ素子4の間にキャパシタ(集中定数部品)を含む二重容量結合モノポール4(=ダイポール)。
【0089】
ワイヤまたは例えば同軸ケーブルの形態のモノポールの代わりに、エミッタ素子4は、代替的な実施態様では、例えば、広い金属シート素子の形態の表面エミッタである。これは、
図7b)の実施態様の90°ねじれた図を可能にする
図7l)によって示される。ここでエミッタ素子4の辺40はフロア空間によって画定される。ここでストリップとして構成されたブリッジ素子7は、この辺40において、結合点5を介してエミッタ素子4に容量的に接続されている。
【0090】
エミッタ素子4上のブレード素子6は、異なるように実装されてもよい。
図8は、いくつかの変形例を例として示している(左から右に説明する)。
【0091】
a)任意の内角<180°を含む三角形ブレード素子6。
【0092】
b)n≧3のn角形から円形または楕円形のブレード素子6まで、またはTピース(最右側)に類似する形状。
【0093】
c)ここには示していないエミッタ素子への接続部が各場合に右端にある、任意の種類の角度のブレード素子6。自由端60はそれぞれ結合点を有し、実施態様に応じて自由端の反対側に位置する端部はそれぞれのエミッタ素子に接続されたブレード素子6を有する。
【0094】
エミッタ素子4上のブレード6と同様に、ブリッジ7も異なるように構成することができる。それらは、幅、高さ、厚さおよび形状が異なってもよい。加えて、それらはまっすぐであっても角度が付けられてもよい。エミッタ素子4と給電回路基板2との間には、空気に加えて、例えば誘電体、フェライト、強誘電体などの中間媒体9を挿入することができる。キャリア素子2の一例としての給電回路基板上へのブリッジ素子7の固定は、エミッタ素子4のブリッジ素子7への固定と同様に、異なるように実施することができ、例えば、ブリッジ素子7をねじ込むか、差し込むか、接着するか、またははんだ付けしてもよい。
【0095】
図9および
図10は、キャリア素子2上の導電性パターンとエミッタ素子4との間の容量結合のための4つの点を含む2つのさらなる実施形態を示す。
【0096】
給電点8では、それぞれ、キャリア素子2上の導電性パターンとブリッジ素子7との間で容量結合が生じる。ブレード素子6は、n角形のエミッタ素子4の辺に配置され、キャリア素子2の方向に曲げられている。
【0097】
図9の実施態様では、円と矢印で区切られた領域におけるブリッジ素子7とブレード素子6との間にガルバニック結合が存在する。したがって、この変形例では、容量結合のための結合点5は、給電点8の領域に配置される。ブレード素子6およびブリッジ素子7は、実施態様に応じて、互いにガルバニック結合されるか、または一体的に設計される。したがって、後者の変形例では、ブレード素子6は、キャリア素子2上の自由端60上の結合点5で終わる。
【0098】
図10の実施態様では、ブリッジ素子7とブレード素子6との間に、ここでは、特にエアギャップを介して、容量結合が存在し、その結果、両者の間には容量結合点5も存在する。ブリッジ素子7と給電点8との間に容量結合が存在し続ける。これは、ブレード素子6とエミッタ素子4との間のガルバニック結合とは対照的である。ここで、ブレード素子6は、エミッタ素子4の辺に取り付けられ、下方に曲げられたシート金属ストリップと見なすこともできる。また、ブレード素子6およびブリッジ素子7の実施態様にわたって、エミッタ素子6とキャリア素子2との間の距離、または例えばキャリア素子2上のグランド表面領域は、調整可能であることが分かる。
【0099】
一実施態様では、少なくとも1つのエミッタ素子4はシート金属で作られ、ブレード素子6およびブリッジ素子7もまたシート金属からなる。
【0100】
図11〜
図14は、2つのエミッタ素子4、4’を含むアンテナ装置1のさらなる実施態様を示す。これは、例えば、二重帯域設計または拡張された広帯域設計のための「スタックされたパッチ」である。
【0101】
図11は、2つのエミッタ素子4、4’を示しており、これらは、異なって実装され、両方ともキャリア素子2から離間されている。より高いレベルに位置するエミッタ素子4(また、第1のエミッタ素子)は、四角形の外側輪郭と中央の四角形の凹部21とを含む。他の外側輪郭も可能である。第2のエミッタ素子4’は、凹部21の内側に位置し、キャリア素子2により近い。図示する実施態様では、第2のエミッタ素子4’も四角形に構成されている。両方のエミッタ素子4、4’は、ここでは平面状に実装されており、キャリア素子2と本質的に平行に配置されている。ブリッジ素子7がそれぞれ接続された4つの給電点8を有するキャリア素子2上の導電性トラックの形態の導電性パターン3を認識することができる。これは、上部エミッタ素子4の4つの外側の辺40上のブレード素子6における4つの結合点5と並んでいる。
【0102】
図12では、2つのエミッタ素子4、4’の異なる実施態様およびそれらの相互配置を見ることができる。ブレード素子6は、上部または第1の四角形のエミッタ素子4の辺40に配置され、そこからキャリア素子2の方向に突出していることも分かる。したがって、容量結合点5もその辺に位置する。上部エミッタ素子4の辺から始まり、ここではキャリア素子2の方向に角度が付けられたブレード素子の平面的な進行を見ることもできる。
【0103】
図13は、
図12のアンテナ装置1の一部の拡大した切り欠きを示す。タング素子15は、結合点5から、キャリア素子2の方向にさらに配置されたエミッタ素子4’まで突出し、したがって、また前記第2のエミッタ素子4’への電気的結合、ここでは、特に容量結合を生成する。したがって、全体で、2つのエミッタ素子4、4’は互いに容量結合されており、2つのエミッタ素子4の一方はブレード素子6を介して導電性パターン3に容量結合されている。
【0104】
図14の断面図は、上部第1のエミッタ素子4が、横方向に配置されたブレード素子6とブリッジ素子7との接続を介してキャリア素子2上に載置され、結合点5を介して給電点8に容量結合されている。ブリッジ素子7とブレード素子6との間には、中間媒体9として誘電体が介在している。タング素子15は、電気的に、ここでは容量性接触をも引き起こし、下部第2のエミッタ素子4’の方向に延在する。
【0105】
さらに、
図14は、キャリア素子2の幅が175mmであり、上部エミッタ素子4の一辺の長さが75mmであることもプロットしている。特にここでは四角形である上部エミッタ素子4の外側輪郭は、キャリア素子2の約25mm上方に位置する。
【0106】
少なくとも1つのエミッタ素子の、好ましくは4つの点での容量結合は、以下の利点を提供する。
【0107】
a)エミッタ素子の横方向の寸法は、動作周波数における半波長よりも明らかに小さくてもよい。したがって、波長の4分の1以下の寸法が可能である。
【0108】
b)エミッタの形状および結合点の関連する位置が、結合点におけるエネルギーまたは電界強度の高い集中を引き起こすので、エミッタ素子の有効開口部は横方向の拡張よりも大きい。
【0109】
c)シンプルで低損失のインピーダンス整合が可能である。
【0110】
d)体積寸法が小さいにもかかわらず、インピーダンス整合と指向特性の両方のために、大きな相対的な帯域幅が可能になる。
【0111】
e)後方反射を低減するための、大きなグランド領域表面および/または反射器は不要である。グランド表面領域の直径は、例えば、半波長以下であってもよい。
【0112】
f)エミッタ素子は、セラミックなどの高価な基板を必要としないので、コストが非常に低くなるように設計することができる。最も単純な場合には、シート金属(例えば、アルミニウム)で作られたスタンピングおよび曲げ部品で十分である。
【0113】
g)設計上の高さが非常に小さく、例えばUHF RFIDアプリケーション用の平面アンテナの利用を促進する。
【0114】
用途の1つの技術分野は、例えば、物流、生産または自動化に利用するためのUHF RFIDアンテナによって可能になる。これには、例えばゲート通路や、バルクリーディング(短時間で多くのトランスポンダを検知する)、自動在庫管理または身元確認(例えば、ヘルスケア)などの他のものが含まれる。用途のさらなる可能性は、衛星または地上移動通信のための移動端末によって提供される。さらなる用途は、自動車の分野および/または車両または道路利用者間のネットワーク(いわゆるCar2X)の分野にある。
【0115】
上述した実施形態は、本発明の原理の例示を単に表しているに過ぎない。本明細書に記載された構成および詳細の変更および変形は、当業者によって理解されることが理解される。これは、本発明が、実施形態の説明および図示によって本明細書に提示された特定の詳細ではなく、単に特許請求の範囲によって限定されることを意図している理由である。
【0117】
[1]A.E.Popugaev and R.Wansch,「A novel miniaturization technique in microstrip feed network design」,in Proc.of the 3rd European Conference on Antennas and Propagation,EuCAP 2009,Berlin,Mar.2009,pp.2309−2313
【0118】
[2]A.E.Popugaev,R.Wansch,S.Urquijo,「A NOVEL HIGH PERFORMANCE ANTENNA FOR GNSS APPLICATIONS」,in Proc.of the 2nd Second European Conference on Antennas and Propagation(EuCAP),Edinburgh,UK,Nov.11−16,2007
【0119】
[3]L.Weisgerber and A.E.Popugaev,「Multibeam antenna array for RFID applications」,in Proc.of the 2013 European Microwave Conference(EuMC),Nuremberg,Oct.2013,pp.84−87.