(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1液晶セルは、互いに対向する画素電極及び共通電極を含む第1TFT基板と、前記第1TFT基板に対向し、カラーフィルタ及び当該カラーフィルタを取り囲むブラックマトリックスを含む第1対向基板と、前記第1TFT基板と前記第1対向基板との間に配置された第1液晶層と、を有し、
前記第2液晶セルは、互いに対向する画素電極及び共通電極を含む第2TFT基板と、前記第2TFT基板に対向し、ブラックマトリックスを含む第2対向基板と、前記第2TFT基板と前記第2対向基板との間に配置された第2液晶層と、を有する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。なお、本明細書において、「略」又は「約」とは、製造誤差や寸法公差等を含むという意味である。
【0015】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る液晶表示装置1について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置1の概略構成を示す図である。
【0016】
液晶表示装置1は、液晶セルを含む表示パネルを複数重ね合わせて構成された画像表示装置の一例であって、静止画像又は動画像の画像(映像)を表示する。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態における液晶表示装置1は、複数の表示パネルとして、観察者に近い位置(前側)に配置された第1表示パネル100と、第1表示パネル100より観察者から遠い位置(後側)に配置された第2表示パネル200とを備える。
【0018】
さらに、液晶表示装置1は、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の後側に配置されたバックライト300を備える。具体的に、バックライト300は、第2表示パネル200の後側に配置されている。
【0019】
第1表示パネル100は、メインパネルであって、ユーザが視認する画像を表示する。本実施の形態において、第1表示パネル100は、カラー画像を表示する。第1表示パネル100には、入力映像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域110に表示するために、第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130が設けられている。
【0020】
第2表示パネル200は、第1表示パネル100の背面側に配置されるサブパネルである。本実施の形態において、第2表示パネル200は、第1表示パネル100に表示されるカラー画像に対応した画像のモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。第2表示パネル200には、入力映像信号に応じたモノクロ画像を第2画像表示領域210に表示するために、第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230が設けられている。
【0021】
第1画像表示領域110及び第2画像表示領域210は、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。第1画像表示領域110の画素数と第2画像表示領域210の画素数とは同じであってもよいし異なっていてもよいが、メインパネルである第1表示パネル100における第1画像表示領域110の画素数を、サブパネルである第2表示パネル200における第2画像表示領域210画素数よりも多くするとよい。
【0022】
また、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の駆動方式は、例えばIPS(In Plane Switching)方式であるが、これに限るものではなく、VA(Vertical Alignment)方式又はTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。
【0023】
バックライト300は、第1表示パネル100及び第2表示パネル200に向けて光を照射する。バックライト300は、散乱光(拡散光)をむらなく照射する面光源である。バックライト300は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。また、本実施の形態において、バックライト300は、直下型であるが、エッジ型であってもよい。なお、バックライト300は、光源からの光を拡散させるために拡散板(拡散シート)等の光学部材を有していてもよい。
【0024】
液晶表示装置1は、さらに、第1表示パネル100の第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130を制御する第1タイミングコントローラ140と、第2表示パネル200の第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230を制御する第2タイミングコントローラ240と、第1タイミングコントローラ140及び第2タイミングコントローラ240に画像データを出力する画像処理部400とを備える。
【0025】
画像処理部400は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ140に第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラ240に第2画像データDAT2を出力する。また画像処理部400は、第1タイミングコントローラ140及び第2タイミングコントローラ240に同期信号等の制御信号(
図1では省略)を出力する。第1画像データDAT1は、カラー表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は、モノクロ表示用の画像データである。
【0026】
また、本実施の形態において、カラー画像を表示する第1表示パネル100の画像データのγ値の関数をG
1(x)とし、モノクロ画像を表示する第2表示パネル200の画像データのγ値の関数をG
2(x)とすると、画像処理部400は、少なくとも1つの階調xにおいて、G
1(x)>G
2(x)の関係を満たすように画像処理を実行するとよい。具体的には、全階調において、G
1(x)>G
2(x)の関係を満たしているとよい。つまり、各階調において、比透過率が第1表示パネル100よりも第2表示パネル200の方が大きくなるように画像処理を行い、第2表示パネル200(サブパネル)を第1表示パネル100(メインパネル)よりも高い階調となるように制御するとよい。このような画像処理によれば、斜め方向からの色づきを解消することができる。
【0027】
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置1では、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の2つの表示パネルを重ね合わせて画像を表示しているので、黒を引き締めることができる。これにより、高コントラスト比の画像を表示することができる。また、液晶表示装置1は、例えばHDR(High Dynamic Range)対応テレビであり、バックライト300として、ローカルディミング対応の直下型LEDバックライトを用いてもよい。この場合、高コントラスト比かつ高画質のカラー画像を表示することができる。
【0028】
なお、図示しないが、第1表示パネル100及び第2表示パネル200は互いに貼り合わされて、バックライト300とともに、金属製又は樹脂製の保持部材(フレーム又はシャーシ)に保持される。
【0029】
次に、
図2を用いて、液晶表示装置1の詳細な構成を説明する。
図2は、実施の形態に係る液晶表示装置1の部分拡大断面図である。
【0030】
図2に示すように、液晶表示装置1は、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、第1光学シート30と、第2光学シート40と、第3光学シート50と、第4光学シート60とを備える。
【0031】
第1表示パネル100は、第1液晶セル10と、第1光学シート30と、第3光学シート50とによって構成されている。また、第2表示パネル200は、第2液晶セル20と、第2光学シート40と、第4光学シート60とによって構成されている。
【0032】
第1表示パネル100の第1液晶セル10は、観察者に近い位置(前側)に配置される。一方、第2表示パネル200の第2液晶セル20は、第1液晶セル10よりも観察者から遠い位置(後側)に配置される。第1液晶セル10及び第2液晶セル20の各々は、観察者側の面である前面と、前面に背向する背面(後面)とを有する。
【0033】
第1液晶セル10は、第1TFT(Thin Film Transistor)基板11と、第1TFT基板11に対向する第1対向基板12と、第1TFT基板11と第1対向基板12との間に配置された第1液晶層13とを備える。本実施の形態において、第1対向基板12は、第1TFT基板11よりも第1液晶セル10の前面寄りに配置されている。
【0034】
第1TFT基板11は、ガラス基板等の透明基板にTFT層(不図示)が形成された基板である。TFT層には、TFT及びTFTを駆動する配線等が形成されている。TFT層の平坦化層上には、第1液晶層13に電圧を印加するための画素電極が形成されている。本実施の形態では第1表示パネル100がIPS方式により駆動されるので、第1TFT基板11には、画素電極だけではなく、対向電極も形成されている。つまり、第1TFT基板11は、互いに対向する画素電極及び共通電極を含む。TFT、画素電極及び対向電極は、画素ごとに形成されている。また、画素電極及び対向電極を覆うように配向膜が形成されている。
【0035】
第1対向基板12は、ガラス基板等の透明基板に第1画素形成層12aとしてカラーフィルタ層が形成されたCF基板である。第1画素形成層12aは、ブラックマトリクス(黒色部)及びカラーフィルタ(着色部)を有する。ブラックマトリクスは、例えば格子状又はストライプ状に形成されており、ブラックマトリクスには、画素を構成するマトリクス状の複数の開口部が形成されている。ブラックマトリクスの各開口部内にはカラーフィルタが形成されている。つまり、ブラックマトリックスは、カラーフィルタを囲んでいる。各カラーフィルタは、例えば、赤色用のカラーフィルタ、緑色用のカラーフィルタ、又は、青色用のカラーフィルタである。各色のカラーフィルタは、各画素に対応している。なお、第1画素形成層12aを覆うようにオーバーコート層が形成されている。さらに、オーバーコート層の表面には配向膜が形成されている。
【0036】
第1液晶層13は、第1TFT基板11と第1対向基板12との間に封止されている。第1液晶層13の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。この場合、第1液晶層13の液晶材料としては、正の誘電異方性を有するポジ型液晶を用いてもよいし、負の誘電異方性を有するネガ型液晶を用いてもよい。
【0037】
第2液晶セル20は、第2TFT基板21と、第2TFT基板21に対向する第2対向基板22と、第2TFT基板21と第2対向基板22との間に配置された第2液晶層23とを備える。本実施の形態において、第2対向基板22は、第2TFT基板21よりも第2液晶セル20の前面寄りに配置されているが、第2対向基板22は、第2TFT基板21よりも第2液晶セル20の背面寄りに配置されていてもよい。
【0038】
第2TFT基板21は、第1TFT基板11と同様の構成であり、ガラス基板等の透明基板にTFT層(不図示)が形成された基板である。第2表示パネル200は、第1表示パネル100と同様にIPS方式により駆動されるので、第2TFT基板21は、互いに対向する画素電極及び共通電極を含む。
【0039】
第2対向基板22は、ガラス基板等の透明基板に第2画素形成層22aが形成された基板である。第2画素形成層22aは、画素を構成するマトリクス状の複数の開口部が形成されたブラックマトリクスを有する。第2画素形成層22aを覆うようにオーバーコート層が形成されている。さらに、オーバーコート層の表面には配向膜が形成されている。また、本実施の形態において、第2表示パネル200はモノクロ画像を表示するので、第2画素形成層22aには、カラーフィルタが形成されていない。したがって、第2画素形成層22aのブラックマトリクスの開口部内にはオーバーコート層が充填されている。
【0040】
第2液晶層23は、第2TFT基板21と第2対向基板22との間に封止されている。第2液晶層23の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。この場合、第2液晶層23の液晶材料としては、正の誘電異方性を有するポジ型液晶を用いてもよいし、負の誘電異方性を有するネガ型液晶を用いてもよい。なお、第2液晶層23の液晶材料は、第1液晶セル10の第1液晶層13の液晶材料と異なっていてもよい。例えば、第1液晶層13がポジ型液晶を含むようにし、第2液晶層23がネガ型液晶を含むようにしてもよいし、その逆であってもよい。
【0041】
第1光学シート30は、偏光板31及び位相差板32が積層された光学シートであり、少なくとも積層膜として偏光板31と位相差板32とを有する。第1光学シート30は、偏光板31及び位相差板32を含む複数の積層膜が積層されて一体化された位相差板付き偏光フィルム(位相差板付き偏光板)である。
【0042】
本実施の形態において、第1光学シート30は、さらに、積層膜として、偏光板31を挟む第1支持部材34a及び第2支持部材34bと、位相差板32を挟む第1粘着層35a及び第2粘着層35bと、最外層として第1支持部材34aに設けられた保護層36とを有する1枚の光学フィルムである。
【0043】
第1光学シート30においては、偏光板31の吸収軸と位相差板32の遅相軸とが略直交するように構成されているが、偏光板31の吸収軸と位相差板32の遅相軸とは直交していなくてもよい。例えば、偏光板31の吸収軸と位相差板32の遅相軸とは略平行であってもよい。
【0044】
第2光学シート40は、偏光板41及び位相差板42が積層された光学シートであり、少なくとも積層膜として偏光板41と位相差板42とを有する。第2光学シート40は、第1光学シート30と同様に、偏光板41及び位相差板42を含む複数の積層膜が積層されて一体化された位相差板付き偏光フィルムである。
【0045】
本実施の形態において、第2光学シート40は、さらに、積層膜として、偏光板41を挟む第1支持部材44a及び第2支持部材44bと、位相差板42を挟む第1粘着層45a及び第2粘着層45bと、最外層として第1支持部材44aに設けられた保護層46とを有する1枚の光学フィルムである。
【0046】
第2光学シート40においては、第1光学シート30と同様に、偏光板41の吸収軸と位相差板42の遅相軸とが略直交するように構成されているが、偏光板41の吸収軸と位相差板42の遅相軸とは直交していなくてもよい。例えば、偏光板41の吸収軸と位相差板42の遅相軸とは略平行であってもよい。
【0047】
このように構成された第1光学シート30及び第2光学シート40は、互いに同一部品である。つまり、第1光学シート30と第2光学シート40とは同じ層構造になっており、第1光学シート30及び第2光学シート40の各々における積層膜は、同じ膜(層)が同じ順序で積層されている。このように、第1光学シート30と第2光学シート40を同じ部品にすることで、部品の共用化を図ることができ、コストを削減することができる。なお、第1光学シート30と第2光学シート40とは逆向きに配置されている。
【0048】
本実施の形態において、第1光学シート30は第1液晶セル10の前面側に配置され、かつ、第2光学シート40は第2液晶セル20の背面側に配置されている。つまり、第1光学シート30と第2光学シート40とは、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の両外側に位置するように配置されている。
【0049】
具体的には、第1光学シート30は、第1光学シート30の第2粘着層35bが第1液晶セル10の前面に接着することで、第1液晶セル10に貼り合わされている。また、第2光学シート40は、第2光学シート40の第2粘着層45bが第2液晶セル20の背面に接着することで、第2液晶セル20に貼り合わされている。
【0050】
第3光学シート50は、少なくとも偏光板51を有する光学シート(偏光フィルム)である。本実施の形態において、第3光学シート50は、複数の積層膜によって構成されており、さらに、光拡散層53と、偏光板51及び光拡散層53を順に挟む、第1支持部材54a、第2支持部材54b及び第3支持部材54cと、第1支持部材54aに設けられた粘着層55と、最外層として第3支持部材54cに設けられた保護層56とを有する。
【0051】
第4光学シート60は、少なくとも偏光板61を有する光学シート(偏光フィルム)である。本実施の形態において、第4光学シート60は、複数の積層膜によって構成されており、さらに、光拡散層63と、偏光板61及び光拡散層63を順に挟む、第1支持部材64a、第2支持部材64b及び第3支持部材64cと、第1支持部材64aに設けられた粘着層65と、最外層として第3支持部材64cに設けられた保護層66とを有する。
【0052】
このように構成された第3光学シート50及び第4光学シート60は、互いに同一部品である。つまり、第3光学シート50と第4光学シート60とは同じ層構造になっており、第3光学シート50及び第4光学シート60の各々における積層膜は、同じ膜(層)が同じ順序で積層されている。このように、第3光学シート50と第4光学シート60を同じ部品にすることで、部品の共用化を図ることができ、コストを削減することができる。なお、第3光学シート50と第4光学シート60とは逆向きに配置されている。
【0053】
本実施の形態において、第3光学シート50は第1液晶セル10の背面側に配置され、第4光学シート60は第2液晶セル20の前面側に配置されている。つまり、第3光学シート50と第4光学シート60とは、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の内側(第1液晶セル10と第2液晶セル20との間)に位置するように配置されている。
【0054】
具体的には、第3光学シート50は、第3光学シート50の粘着層55が第1液晶セル10の背面に接着することで、第1液晶セル10に貼り合わされている。また、第4光学シート60は、第4光学シート60の粘着層65が第2液晶セル20の前面に接着することで、第2液晶セル20に貼り合わされている。
【0055】
第1表示パネル100において、第1光学シート30及び第3光学シート50は、第1液晶セル10を挟むように第1液晶セル10に貼り合わされている。この場合、第1光学シート30及び第3光学シート50は、偏光板31及び偏光板51の偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、第1光学シート30及び第3光学シート50は、偏光板31及び偏光板51がクロスニコルの位置関係となるように配置されている。この場合、偏光板31の吸収軸と偏光板51の吸収軸とが直交している。
【0056】
また、第2表示パネル200において、第2光学シート40及び第4光学シート60は、第2液晶セル20を挟むように第2液晶セル20に貼り合わされている。この場合、第2光学シート40及び第4光学シート60は、偏光板41及び偏光板61の偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、第2光学シート40及び第4光学シート60は、偏光板41及び偏光板61がクロスニコルの位置関係となるように配置されている。この場合、偏光板41の吸収軸と偏光板61の吸収軸とが直交している。
【0057】
さらに、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の内側に配置される第3光学シート50及び第4光学シート60は、第3光学シート50の偏光板51と第4光学シート60の偏光板61との偏向方向が一致するように配置する必要がある。つまり、偏光板51の吸収軸と偏光板61の吸収軸とを平行にする必要がある。
【0058】
したがって、本実施の形態では、第1光学シート30と第2光学シート40とが同じ部品であり、また、第3光学シート50と第4光学シート60とが同じ部品であることから、液晶表示装置1における第1光学シート30〜第4光学シート60の4枚の光学シートについては、各光学シートの偏光板の吸収軸の向きに応じて、
図3の(a)及び(b)のいずれか一方の態様で配置されることになる。
【0059】
これら第1光学シート30〜第4光学シート60において、偏光板31、41、51及び61の各々は、偏光子を含む。偏光子としては、例えばヨウ素等の二色性物質が吸着配向された樹脂フィルムが用いられる。偏光子に用いられる樹脂フィルムとしては、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVAフィルム)が用いられる。
【0060】
また、第1光学シート30及び第2光学シート40において、位相差板32及び42は、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の駆動方式に応じて、その屈折率特性が選択される。例えば、IPS方式を採用する場合、位相差板32及び42の屈折率特性は、nx≧nz>nyの関係を満足するとよい。ここで、「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。位相差板32及び42は、単層体であってもよいし、積層体であってもよい。また、位相差板32及び42は、例えば樹脂フィルムで構成されており、位相差板32及び42としては、リタデーション及びNz係数が適切に設定されたものを用いることができる。
【0061】
また、第3光学シート50及び第4光学シート60において、光拡散層53及び63は、例えば、アクリル系粘着剤等の透明粘着剤とこの透明粘着剤中に分散した光拡散性微粒子とによって構成された光拡散粘着剤である。一例として、光拡散層53及び63のヘイズ値は、80%である。光拡散層53及び63は、第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置されている。これにより、第1液晶セル10と第2液晶セル20との間において、第2液晶セル20の第2画素形成層22aにおけるブラックマトリクスのパターン形状に起因してモアレが発生することを抑制できる。
【0062】
また、第1光学シート30〜第4光学シート60において、第1支持部材34a、44a、54a及び64aと、第2支持部材34b、44b、54b及び64bと、第3支持部材54c及び64cとは、例えば、TAC(Triacetylcellulose:トリアセチルセルロース)フィルム等の透明樹脂フィルムである。
【0063】
また、第1光学シート30〜第4光学シート60において、第1粘着層35a及び45aと、第2粘着層35b及び45bと、粘着層55及び65とは、例えば粘着性を有する樹脂剤(粘着剤)である。
【0064】
また、第1光学シート30〜第4光学シート60において、保護層36、46、56及び66は、例えば、反射防止機能を有する透明表面保護フィルムである。
【0065】
ここで、本実施の形態における液晶表示装置1の光学作用について、
図4及び
図5と比較しながら、
図2を用いて説明する。
図4は、比較例1の液晶表示装置1Xの部分拡大断面図であり、
図5は、比較例2の液晶表示装置1Yの部分拡大断面図である。
【0066】
図4に示される比較例1の液晶表示装置1Xと、
図2に示される実施の形態1における液晶表示装置1とでは、第2光学シートの構成が異なる。すなわち、
図4に示す比較例1の液晶表示装置1Xで用いられる第2光学シート50Xは、第3光学シート50と同じ部品(つまり、第4光学シート60とも同じ部品)であり、位相差板が含まれていない。したがって、比較例1の液晶表示装置1Xでは、位相差板としては、第1液晶セル10の前面側に配置された位相差板32のみが配置されている。
【0067】
また、
図5に示される比較例2の液晶表示装置1Yと、
図2に示される実施の形態1における液晶表示装置1とでは、第1光学シートの構成が異なる。すなわち、
図5に示される比較例2の液晶表示装置1Yで用いられる第1光学シート60Yは、第4光学シート60と同じ部品(つまり、第3光学シート50とも同じ部品)であり、位相差板が含まれていない。したがって、比較例2の液晶表示装置1Yで用いられる位相差板は、第2液晶セル20の背面側に配置された位相差板42のみとなっている。
【0068】
図4に示される比較例1の液晶表示装置1Xのように、偏光板31と偏光板51との間に位相差板32を配置することで、ハローの発生を抑制できる。具体的には、位相差板32を配置することによって、高輝度領域(例えば白表示領域)周辺における低輝度領域(例えば黒表示領域)において、第2表示パネル200Xから第1表示パネル100に入射する光のうち第1表示パネル100内を斜め方向に進む光の位相差を位相差板32で補償することで、当該光の意図せぬ透過(光漏れ)を抑制でき、この結果、ハローの発生を抑制できる。
【0069】
ただし、第2液晶セル20のブラックマトリクスのパターン形状に起因して発生するモアレを抑制するために、第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置される第3光学シート50又は第4光学シート60には、光拡散層53又は63が含まれている。
【0070】
このため、
図4に示すように、第2表示パネル200Xから第1表示パネル100に向かう光(例えば白又はカラー表示の光)のうち斜め方向に進む光は、光拡散層53又は63で散乱し、その一部が正面方向(紙面上方向)に進行し、低輝度領域(例えば黒表示領域)に漏れ出てしまうことがある。この結果、黒画像が浮いて見えるという現象が生じ、コントラストが低下する。
【0071】
これに対して、
図5に示すように、比較例2の液晶表示装置1Yのように、第2表示パネル200の偏光板41と偏光板61との間に位相差板42を配置することで、第2表示パネル200を斜め方向に透過しようとする光が、位相差板42で位相差が補償されて偏光板61で有効に遮光されることとなる。ゆえに、
図4に示すような第2表示パネル200を斜め方向に透過しようとする光が光拡散層53又は63で散乱して低輝度領域に漏れ出てしまうことを抑制できる。したがって、黒画像が浮いて見えることを抑制できる。
【0072】
しかしながら、
図5に示される比較例2の液晶表示装置1Yでは、第2液晶セル20の背面側に配置された1つのみの位相差板42しか用いられていない。このため、
図5に示すように、第2表示パネル200から第1表示パネル100Yに入射する光(例えば白又はカラー表示の光)のうち第1表示パネル100Y内を斜め方向に進む光(光拡散層53又は63により不可避的に発生し得る)が第1表示パネル100Yから抜けてしまう。この場合、例えば白表示領域周辺における黒表示領域に光が抜けてしまうことが発生し、白線等の白表示部分がぼける。このため、画像品質が劣化する。
【0073】
これに対して、
図2に示すように、本実施の形態における液晶表示装置1では、2つの位相差板32及び42を用いている。具体的には、第1表示パネル100の偏光板31と偏光板51との間に位相差板32を配置し、第2表示パネル200の偏光板41と偏光板61との間に位相差板42を配置している。とりわけ、位相差板32(第1位相差板)は、第1液晶セル10の前面側(観察者側)に配置されている。また、位相差板42(第2位相差板)は、第2液晶セル20の背面側(バックライト300側)に配置されている。つまり、第1液晶セル10と第2液晶セル20の両外側の各々に1つずつ位相差板が配置されている。
【0074】
これにより、位相差板32によって、
図5のように第2表示パネル200から第1表示パネル100に入射する光(例えば白又はカラー表示の光)のうち第1表示パネル100内を斜め方向に進む光が第1表示パネル100から抜けてしまう(漏れ出てしまう)ことを抑制でき、結果として、ハローの発生を抑制できる。
【0075】
また、位相差板42によって、
図4のように第2表示パネル200を斜め方向に透過する光そのものを大幅に減らすことができるので、第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に光拡散層53又は63が配置されていても、斜め方向に進むが光拡散層53又は63で散乱して低輝度領域に漏れ出てしまうことを抑制できる。したがって、黒画像が浮いて見えることを抑制でき、高いコントラスト比を実現できる。
【0076】
例えば、
図4に示される比較例1の液晶表示装置1Xのように、1つの位相差板32のみを第1液晶セル10の前面側に配置した場合、コントラスト比は約37万対1であった。一方、
図2に示される実施の形態1の液晶表示装置1のように、2つの位相差板32及び42を用いた場合、約130万対1の高いコントラスト比を実現することができた。
【0077】
以上、本実施の形態における液晶表示装置1は、観察者に近い位置に配置される第1液晶セル10と、第1液晶セル10よりも観察者から遠い位置に配置される第2液晶セル20と、各々が、偏光板31(又は41)及び位相差板32(又は42)が積層された光学シートであって、互いに同一部品である第1光学シート30及び第2光学シート40とを備えており、第1光学シート30は第1液晶セル10の前面側に配置され、かつ、第2光学シート40は第2液晶セル20の背面側に配置されている。
【0078】
この構成により、ハローの発生を抑制しつつ、高いコントラスト比かつ高画質の画像を表示できる液晶表示装置1を低コストで実現することができる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る液晶表示装置1Aについて、
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態2に係る液晶表示装置1Aの部分拡大断面図である。
【0080】
本実施の形態における液晶表示装置1Aと上記実施の形態1における液晶表示装置1とでは、まず、第1光学シート及び第2光学シートの位置と構造が異なる。
【0081】
すなわち、
図2に示すように、上記実施の形態1における液晶表示装置1では、第1光学シート30及び第2光学シート40が第1液晶セル10及び第2液晶セル20の両外側に配置されていたが、
図6に示すように、本実施の形態における液晶表示装置1Aでは、第1光学シート30A及び第2光学シート40Aが第1液晶セル10及び第2液晶セル20の内側に配置されている。つまり、本実施の形態では、2つの位相差板32及び42が第1液晶セル10及び第2液晶セル20の内側に配置されている。
【0082】
さらに、
図2に示すように、上記実施の形態1における液晶表示装置1では、第1光学シート30及び第2光学シート40に光拡散層が含まれていなかったのに対して、
図6に示すように、本実施の形態における液晶表示装置1Aでは、第1光学シート30Aに光拡散層33が含まれているとともに第2光学シート40Aに光拡散層43が含まれている。
【0083】
なお、本実施の形態における液晶表示装置1Aと上記実施の形態1における液晶表示装置1とでは、さらに、第3光学シート及び第4光学シートの位置と構造も異なる。
【0084】
以下、実施の形態1における液晶表示装置1と異なる点を中心に、本実施の形態における液晶表示装置1Aの詳細な構成を説明する。
【0085】
図6に示すように、液晶表示装置1Aは、第1表示パネル100Aと、第2表示パネル200Aと、バックライト300とを備える。また、液晶表示装置1Aは、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、第1光学シート30Aと、第2光学シート40Aと、第3光学シート50Aと、第4光学シート60Aとを備える。
【0086】
第1表示パネル100Aは、第1液晶セル10と、第1光学シート30Aと、第3光学シート50Aとによって構成されている。また、第2表示パネル200Aは、第2液晶セル20と、第2光学シート40Aと、第4光学シート60Aとによって構成されている。
【0087】
第1光学シート30Aは、実施の形態1の第1光学シート30と同様に、偏光板31及び位相差板32を含む複数の積層膜が積層されて一体化された光学シートである。本実施の形態における第1光学シート30Aは、さらに、積層膜として、偏光板31及び位相差板32に積層された光拡散層33を有する。
【0088】
より具体的には、第1光学シート30Aは、偏光板31と、位相差板32と、光拡散層33と、光拡散層33及び偏光板31を順に挟む、第1支持部材34a、第2支持部材34b及び第3支持部材34cと、位相差板32を挟む第1粘着層35a及び第2粘着層35bと、最外層として第1支持部材34aに設けられた保護層36とを有する1枚の光学フィルムである。
【0089】
本実施の形態における第1光学シート30Aでは、実施の形態1と同様に、偏光板31の吸収軸と位相差板32の遅相軸とが略直交するように構成されているが、偏光板31の吸収軸と位相差板32の遅相軸とは直交していなくてもよい。
【0090】
第2光学シート40Aは、実施の形態1の第2光学シート40と同様に、偏光板41及び位相差板42を含む複数の積層膜が積層された一体化された光学シートである。本実施の形態における第2光学シート40Aは、さらに、積層膜として、偏光板41及び位相差板42に積層された光拡散層43を有する。
【0091】
より具体的には、第2光学シート40Aは、偏光板41と、位相差板42と、光拡散層43と、光拡散層43及び偏光板41を順に挟む、第1支持部材44a、第2支持部材44b及び第3支持部材44cと、位相差板42を挟む第1粘着層45a及び第2粘着層45bと、最外層として第1支持部材44aに設けられた保護層46とを有する1枚の光学フィルムである。
【0092】
本実施の形態における第2光学シート40Aでは、第1光学シート30Aと同様に、偏光板41の吸収軸と位相差板42の遅相軸とが略直交するように構成されているが、偏光板41の吸収軸と位相差板42の遅相軸とは直交していなくてもよい。
【0093】
このように構成された第1光学シート30A及び第2光学シート40Aは、互いに同一部品である。つまり、第1光学シート30Aと第2光学シート40Aとは同じ層構造になっており、第1光学シート30A及び第2光学シート40Aの各々における積層膜は、同じ膜(層)が同じ順序で積層されている。このように、第1光学シート30Aと第2光学シート40Aを同じ部品にすることで、部品の共用化を図ることができ、コストを削減することができる。なお、第1光学シート30Aと第2光学シート40Aとは逆向きに配置されている。
【0094】
本実施の形態では、実施の形態1と異なり、第1光学シート30Aは、第1液晶セル10の背面側に配置され、かつ、第2光学シート40Aは、第2液晶セル20の前面側に配置されている。つまり、第1光学シート30Aと第2光学シート40Aとは、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の内側(第1液晶セル10と第2液晶セル20との間)に位置するように配置されている。
【0095】
具体的には、第1光学シート30Aは、第1光学シート30Aの第2粘着層35bが第1液晶セル10の背面に接着することで、第1液晶セル10に貼り合わされている。この場合、第1液晶セル10の前面側から背面側に向かって、第2粘着層35b、位相差板32、第1粘着層35a、第3支持部材34c、偏光板31、第2支持部材34b、光拡散層33、第1支持部材34a、保護層36が、この順で並ぶ。また、第2光学シート40Aは、第2光学シート40Aの第2粘着層45bが第2液晶セル20の前面に接着することで、第2液晶セル20に貼り合わされている。この場合、第2液晶セル20の前面側から背面側に向かって、保護層46、第1支持部材44a、光拡散層43、第2支持部材44b、偏光板41、第3支持部材44c、第1粘着層45a、位相差板42及び第2粘着層45bが、この順で並ぶ。
【0096】
第3光学シート50Aは、少なくとも偏光板51を有する光学シート(偏光フィルム)である。本実施の形態において、第3光学シート50Aは、複数の積層膜によって構成されており、さらに、偏光板51を挟む第1支持部材54a及び第2支持部材54bと、第1支持部材54aに設けられた粘着層55と、最外層として第2支持部材54bに設けられた保護層56とを有する。
【0097】
第4光学シート60Aは、少なくとも偏光板61を有する光学シート(偏光フィルム)である。本実施の形態において、第4光学シート60Aは、複数の積層膜によって構成されており、さらに、偏光板61を挟む第1支持部材64a及び第2支持部材64bと、第1支持部材64aに設けられた粘着層65と、最外層として第2支持部材64bに設けられた保護層66とを有する。
【0098】
このように構成された第3光学シート50A及び第4光学シート60Aは、互いに同一部品である。つまり、第3光学シート50Aと第4光学シート60Aとは同じ層構造になっており、第3光学シート50A及び第4光学シート60Aの各々における積層膜は、同じ膜(層)が同じ順序で積層されている。このように、第3光学シート50Aと第4光学シート60Aを同じ部品にすることで、部品の共用化を図ることができ、コストを削減することができる。なお、第3光学シート50Aと第4光学シート60Aとは逆向きに配置されている。
【0099】
本実施の形態では、実施の形態1と異なり、第3光学シート50Aは第1液晶セル10の前面側に配置され、第4光学シート60Aは第2液晶セル20の背面側に配置されている。つまり、第3光学シート50Aと第4光学シート60Aとは、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の両外側に位置するように配置されている。
【0100】
具体的には、第3光学シート50Aは、第3光学シート50Aの粘着層55が第1液晶セル10の前面に接着することで、第1液晶セル10に貼り合わされている。また、第4光学シート60Aは、第4光学シート60Aの粘着層65が第2液晶セル20の前面に接着することで、第2液晶セル20に貼り合わされている。
【0101】
第1表示パネル100Aにおいて、第1光学シート30A及び第3光学シート50Aは、第1液晶セル10を挟むように第1液晶セル10に貼り合わされている。この場合、第1光学シート30A及び第3光学シート50Aは、偏光板31及び偏光板51の偏光方向が互いに直交するように配置されており、偏光板31の吸収軸と偏光板51の吸収軸とが直交している。
【0102】
また、第2表示パネル200Aにおいて、第2光学シート40A及び第4光学シート60Aは、第2液晶セル20を挟むように第2液晶セル20に貼り合わされている。この場合、第2光学シート40A及び第4光学シート60Aは、偏光板41及び偏光板61の偏光方向が互いに直交するように配置されており、偏光板41の吸収軸と偏光板61の吸収軸とが直交している。
【0103】
本実施の形態でも、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の内側に配置される第3光学シート50A及び第4光学シート60Aは、第3光学シート50Aの偏光板51と第4光学シート60Aの偏光板61との偏向方向が一致するように配置する必要がある。つまり、偏光板51の吸収軸と偏光板61の吸収軸とを平行にする必要がある。
【0104】
したがって、本実施の形態でも、第1光学シート30Aと第2光学シート40Aとが同じ部品であり、また、第3光学シート50Aと第4光学シート60Aとが同じ部品であることから、液晶表示装置1Aにおける第1光学シート30A〜第4光学シート60Aの4枚の光学シートについては、各光学シートの偏光板の吸収軸の向きに応じて、
図7の(a)及び(b)のいずれか一方の態様で配置されることになる。
【0105】
なお、第1光学シート30A〜第4光学シート60Aを構成する各積層膜(偏光板31、41、51及び61、位相差板32及び42、光拡散層33及び43等)としては、実施の形態1における第1光学シート30〜第4光学シート60を構成する各積層膜と同じものを用いることができる。
【0106】
ここで、本実施の形態における液晶表示装置1Aの光学作用について、
図2に示す実施の形態1の液晶表示装置1と比較して説明する。
【0107】
本願発明者らの検討により、
図2に示される第1表示パネル100のように、位相差板(第1光学シート30)を液晶セルの対向基板(CF基板)側に配置すると、
図8に示すように、斜め方向から表示パネルを見た場合(斜視の場合)に色シフトが発生することが分かった。
【0108】
図8は、位相差板を液晶セルのCF基板側に配置した場合における黒画像の極角依存性を示す図である。
図8では、方位角が45°の場合(実線)と135°の場合(破線)とについて、極角を0°〜80°に変化させたときの0階調(黒)における色度の変化を示している。
【0109】
図8に示すように、位相差板を液晶セルのCF基板側に配置すると、極角が大きくなるにつれて色度が赤色にシフトすることが分かった。つまり、黒画像を表示しているにもかかわらず、赤色を帯びた画像に見えてしまう。このように、位相差板を液晶セルのCF基板側に配置すると斜視の場合に色シフト(色ずれ)が生じる。
【0110】
本願発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、以下のことが理由で色シフトが発生することが分かった。この点について、
図9を用いて説明する。
図9は、位相差板を液晶セルのCF基板側に配置した場合に表示パネルを透過する光が受ける影響を説明するための図である。
【0111】
図9に示すように、位相差板32(
図2参照)を含む第1光学シート30を第1液晶セル10の第1対向基板12(CF基板)側、つまり第1液晶セル10の前面側に配置した場合、第1表示パネル100を通過する光は、第1対向基板12の第1画素形成層12aにおけるカラーフィルタの位相差で変化する。このため、第1光学シート30の位相差板32では、カラーフィルタの位相差で変化した光の位相差が変化するので、カラーフィルタに依存した位相差によって光の状態が異なってしまう。このことが原因となって、
図8に示すような斜視の場合に色シフトが発生すると考えられる。
【0112】
そこで、位相差板を液晶セルの対向基板(CF基板)側に配置する場合には、カラーフィルタの品種ごとに位相差板を設計する対策を施すことで上記色シフトを解消することができると考えられる。
【0113】
しかしながら、このような対策では、カラーフィルタが持つ位相差に最適な位相差板の設計が必要になるばかりか、カラーフィルタの品種ごとに異なる種類の位相差板も必要となり、コスト高になってしまう。
【0114】
これに対して、位相差板を液晶セルのTFT基板側に配置すると、
図10に示すように、色シフトを抑制できることが分かった。
図10は、位相差板を液晶セルのTFT基板側に配置した場合における黒画像の極角依存性を示す図である。
図10でも、
図9と同様に、方位角が45°の場合(実線)と135°の場合(破線)とについて、極角を0°〜80°に変化させたときの0階調(黒)における色度の変化を示している。
【0115】
図10に示すように、位相差板を液晶セルのTFT基板側に配置した場合には、極角が大きくなっても色度があまりシフトせず、色シフトが抑制されていることが分かる。
【0116】
これは、
図11に示すように、位相差板32(
図6参照)を含む第1光学シート30Aを第1液晶セル10の第1TFT基板11側(第1液晶セル10の背面側)に配置した場合、第1表示パネル100Aを通過する光は、まず、第1光学シート30Aの位相差板32で位相差が変化して視野角が改善し、その後、第1対向基板12(CF基板)の第1画素形成層12aにおけるカラーフィルタの位相差で変化するからである。すなわち、位相差板32で位相差を補償された後の光がその後カラーフィルタを通過しても、カラーフィルタによる位相差の変化が小さくなるため、色シフトが起こり難い。このように、位相差板32を含む第1光学シート30Aを第1液晶セル10の前面側ではなく背面側に配置することで、
図10に示すように、色シフトを抑制することができる。
【0117】
なお、モノクロ画像を表示する第2表示パネル200Aについては、位相差板を含む光学シートを第2液晶セルの対向基板側に配置した場合であってもTFT基板側に配置した場合であっても、いずれの場合も、
図10と同様に色シフトは小さかった。これは、第2表示パネル200Aはカラーフィルタを含まないため、いずれの場合も、位相差板32による位相差の補償に大きく悪影響を及ぼす要素がないからである。
【0118】
以上、本実施の形態おける液晶表示装置1Aは、観察者に近い位置に配置される第1液晶セル10と、第1液晶セル10よりも観察者から遠い位置に配置される第2液晶セル20と、各々が、偏光板31(又は41)及び位相差板32(又は42)が積層された光学シートであって、互いに同一部品である第1光学シート30A及び第2光学シート40Aとを備えており、第1光学シート30Aは第1液晶セル10の背面側に配置され、かつ、第2光学シート40Aは第2液晶セル20の前面側に配置されている。
【0119】
この構成により、実施の形態1と同様に、ハローの発生を抑制しつつ、高いコントラスト比かつ高画質の画像を表示できる液晶表示装置1Aを低コストで実現することができる。
【0120】
さらに、本実施の形態では、第1光学シート30Aが第1液晶セル10の背面側に配置されているので、実施の形態1と比べて、斜視の場合の色シフトを抑制することができる。
【0121】
また、本実施の形態において、第1光学シート30Aは、さらに、偏光板31及び位相差板32に積層された光拡散層33を有する。また、第2光学シート40Aは、偏光板41及び位相差板42に積層された光拡散層43を有する。
【0122】
この構成により、第1光学シート30A及び第2光学シート40Aが第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置されることで、光拡散層33及び43も第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に挿入されることになる。これにより、光拡散層33及び43によって、第2液晶セル20の第2画素形成層22aにおけるブラックマトリクスのパターン形状に起因するモアレの発生を抑制できる。したがって、偏光板、位相差板及び光拡散板が一体化された第1光学シート30A及び第2光学シート40Aを、第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置するだけで、ハローの発生を抑制しつつ、高いコントラスト比で高画質の画像を表示できる液晶表示装置1Aをより低コストで実現することができる。なお、
図6に示される実施の形態2の液晶表示装置1Aのように、2つの位相差板32及び42を第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置した場合、約100万対1の高いコントラスト比を実現することができた。
【0123】
また、本実施の形態における液晶表示装置1Aでは、第1光学シート30Aにおいて、偏光板31の吸収軸と位相差板32の遅相軸とが略直交している。また、第2光学シート40Aにおいて、偏光板41の吸収軸と位相差板42の遅相軸とが略直交している。
【0124】
この構成により、図で説明したような色シフトをより改善することができる。
【0125】
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例について、
図12A、
図12B、
図13及び
図14を用いて説明する。
図12Aは、実施の形態2の変形例に係る液晶表示装置の第1表示パネル100Aの第1TFT基板11の画素構成を示す平面図である。
図12Bは、実施の形態2の変形例に係る液晶表示装置の第2表示パネル200Aの第2TFT基板21の画素構成を示す平面図である。
図13は、
図12A及び
図12BのXIII−XIII線における同液晶表示装置の断面図である。
図14は、
図12A及び
図12BのXIV−XIV線における同液晶表示装置の断面図である。
【0126】
図12A〜
図14に示される本変形例における液晶表示装置は、
図7に示される2つの態様の実施の形態2に係る液晶表示装置1Aのうち
図7の(b)に示す態様であり、かつ、上側の第1表示パネル100Aの第1液晶セル10における第1液晶層13の液晶材料をポジ型液晶にするとともに下側の第2表示パネル200Aの第2液晶セル20における第2液晶層23の液晶材料をネガ型液晶にした構成である。
【0127】
さらに、本変形例における液晶表示装置では、上記実施の形態2に係る液晶表示装置1Aとは、第2表示パネル200Aにおける第2液晶セル20の第2対向基板22の配置が異なっている。具体的には、上記実施の形態2に係る液晶表示装置1Aでは、第2液晶セル20の第2対向基板22は、第2TFT基板21よりも第2液晶セル20の前面寄りに配置されていたが、
図13及び
図14に示すように、本変形例における液晶表示装置では、第2液晶セル20の第2対向基板22は、第2TFT基板21よりも第2液晶セル20の背面寄りに配置されている。
【0128】
以下、本変形例における液晶表示装置の詳細な構造について、
図12A〜
図14を用いて説明する。
【0129】
図12Aに示すように、第1表示パネル100Aの第1TFT基板11には、第1方向(本変形例では列方向)に延在する複数のソース線SL1と、第1方向とは異なる第2方向(本変形例では行方向)に延在する複数のゲート線GL1とが形成されている。本変形例では、第1方向は、位相差板32の遅相軸に沿っており、第2方向は、偏光板31の吸収軸に沿っている。また、複数のソース線SL1と複数のゲート線GL1とのそれぞれの交差部近傍にTFT1が形成されている。第1表示パネル100Aを平面視した場合に、隣り合う2本のソース線SL1と隣り合う2本のゲート線GL1とにより囲まれる領域が1つの画素として規定され、当該画素がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。具体的には、複数の画素には、赤色用の赤色画素(R)と、緑色用の緑色画素(G)と、青色用の青色画素(B)とが含まれている。
【0130】
図12A、
図13及び
図14に示すように、第1TFT基板11には、画素ごとに画素電極PX1が形成されているとともに、複数の画素に共通する1つの共通電極CT1が形成されている。
図12Aに示すように、第1TFT基板11の画素電極PX1には、第1光学シート30Aの偏光板31の吸収軸よりも第1光学シート30の位相差板32の遅相軸となす角度が小さい方向に沿って延びる複数のスリットSLIT1が形成されている。本変形例では、複数のスリットSLIT1は、第1光学シート30Aの位相差板32の遅相軸に概ね平行な方向に沿って形成されている。また、第1TFT基板11において、TFT1のソース電極S1はソース線SL1に電気的に接続され、TFT1のドレイン電極D1はコンタクトホールを介して画素電極PX1に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線GL1に電気的に接続されている。
【0131】
なお、第1TFT基板11では、ゲート線GL1を覆うようにゲート絶縁膜GSN1が形成され、ソース線SL1を覆うように保護膜PAS1及び有機膜OPAS1が形成されている。また、有機膜OPAS1上に共通電極CT1が形成され、共通電極CT1を覆うように保護膜UPAS1が形成されている。画素電極PX1は保護膜UPAS1上に形成されており、画素電極PX1を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。
【0132】
第1表示パネル100Aの第2対向基板12には、各画素に対応する複数のカラーフィルタとブラックマトリクスBM1とが形成されている。各画素のカラーフィルタは、赤色(R色)の材料で形成され、赤色の光を透過する赤色カラーフィルタFILR(赤色層)と、緑色(G色)の材料で形成され、緑色の光を透過する緑色カラーフィルタFILG(緑色層)と、青色(B色)の材料で形成され、青色の光を透過する青色カラーフィルタFILB(青色層)とを含んでいる。赤色カラーフィルタFILR、緑色カラーフィルタFILG、及び、青色カラーフィルタFILBは、行方向にこの順に繰り返し配列されている。また、同一色のカラーフィルタが列方向に配列されており、行方向及び列方向に隣り合うカラーフィルタの境界部分にブラックマトリクスBM1が形成されている。各カラーフィルタに対応して、複数の画素は、赤色カラーフィルタFILRに対応する赤色画素(R)と、緑色カラーフィルタFILGに対応する緑色画素(B)と、青色カラーフィルタFILBに対応する青色画素(B)とを含んでいる。第1表示パネル100Aでは、赤色画素、緑色画素及び青色画素が行方向にこの順に繰り返し配列されており、列方向には同一色の画素が配列されている。なお、複数の画素は、黄色カラーフィルタに対応する黄色画素又はカラーフィルタが形成されない白色画素を含んでもよい。
【0133】
なお、第1対向基板12では、カラーフィルタ(赤色カラーフィルタFILR、緑色カラーフィルタFILG、青色カラーフィルタFILB)の表面にオーバーコート膜OC1が被覆されており、オーバーコート膜OC1上に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0134】
また、
図12Bに示すように、第2表示パネル200Aの第2TFT基板21には、第1方向(本変形例では列方向)に延在する複数のソース線SL2と、第1方向とは異なる第2方向(本変形例では行方向)に延在する複数のゲート線GL2とが形成されている。本変形例では、第1方向は位相差板42の遅相軸にも沿っており、第2方向は、偏光板41の吸収軸にも沿っている。また、複数のソース線SL2と複数のゲート線GL2とのそれぞれの交差部近傍にTFT2が形成されている。第2表示パネル200Aを平面視した場合に、隣り合う2本のソース線SL2と隣り合う2本のゲート線GL2とにより囲まれる領域が1つの画素として規定され、当該画素がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。なお、第2表示パネル200Aにおける1つの画素は、第1表示パネル100Aにおける画素の3つ分に対応している。
【0135】
図12B、
図13及び
図14に示すように、第2TFT基板21には、画素ごとに画素電極PX2が形成されているとともに、複数の画素に共通する1つの共通電極CT2が形成されている。
図12Bに示すように、第2TFT基板21の画素電極PX2には、第2光学シート40Aの偏光板41の吸収軸よりも第2光学シート40の位相差板42の遅相軸となす角度が大きい方向に沿って延びる複数のスリットSLIT2が形成されている。本変形例では、複数のスリットSLIT2は、第2光学シート40Aの偏光板41の吸収軸に概ね平行な方向に沿って形成されている。また、第2TFT基板21において、TFT2のソース電極S2はソース線SL2に電気的に接続され、TFT2のドレイン電極D2はコンタクトホールを介して画素電極PX2に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線GL2に電気的に接続されている。
【0136】
なお、第2TFT基板21では、ゲート線GL2を覆うようにゲート絶縁膜GSN2が形成され、ソース線SL2を覆うように保護膜PAS2及び有機膜OPAS2が形成されている。また、有機膜OPAS2上に共通電極CT2が形成され、共通電極CT2を覆うように保護膜UPAS2が形成されている。画素電極PX2は保護膜UPAS2上に形成されており、画素電極PX2を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。
【0137】
また、第2表示パネル200Aの第2対向基板22には、ブラックマトリクスBM2が形成されている。なお、第2対向基板22には、カラーフィルタは形成されていない。第2対向基板22では、ブラックマトリクスBM2を覆うようにオーバーコート膜OC2が形成され、オーバーコート膜OC2上に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0138】
以上、本変形例に係る液晶表示装置によれば、第1表示パネル100A及び第2表示パネル200Aに対して位相差板が適切に配置されているので、上記実施の形態2における液晶表示装置1Aと同様に、低コストで、高いコントラスト比かつ高画質の画像を表示できる等の効果を奏する。
【0139】
また、本変形例に係る液晶表示装置では、第1液晶セル10の第1対向基板12が、第1TFT基板11よりも第1液晶セル10の前面寄りに配置されているとともに、第2液晶セル20の第2対向基板22が、第2TFT基板21よりも第2液晶セル20の背面寄りに配置されている。これにより、画像品位に優れた画像を表示できる液晶表示装置を実現できる。
【0140】
また、本変形例に係る液晶表示装置では、第1液晶セル10の第1液晶層13の液晶材料がポジ型液晶であり、第2液晶セル20の第2液晶層23の液晶材料がネガ型液晶である。第2液晶層23の液晶材料にネガ型液晶を用いることにより、第2表示パネル200Aの透過率を向上させることができる。また、相対的にバックライト300に近い第2表示パネル200Aは、バックライト300からの光により温度が上昇し易いため、高温での作動特性のよいネガ型液晶を第2液晶層23の液晶材料に用いることにより、高温での応答特性を改善することができる。
【0141】
なお、本変形例に係る液晶表示装置において、画像品位の効果に特に着目し、位相差板の配置によるハローの発生の抑制効果と斜め方向から表示パネルを見たときの色シフトの抑制効果とを犠牲にすれば、第1光学シート30A、第2光学シート40A、第3光学シート50A及び第4光学シート60Aは、必ずしも必要ではない。
【0142】
また、本変形例に係る液晶表示装置では、第2液晶セル20の第2対向基板22が第2TFT基板21よりも第2液晶セル20の背面寄りに配置されている。つまり、第2表示パネル200Aは、第2TFT基板21が観察者に位置し、第2対向基板22がバックライト300側に位置するように配置されている。これにより、第2対向基板22に形成されたブラックマトリクスによってバックライト300からの熱を効果的に遮断することができるので、液晶表示装置の熱による劣化及び画像品位の低下を抑制することができる。
【0143】
(実施例)
以下、実施例によって本開示をさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって限定されるものではない。本実施例では、液晶表示装置における位相差板の配置を変更して、サンプル1〜6を作製した。
【0144】
[サンプル1]
カラー画像表示用の第1液晶セルの対向基板(CF基板)側に位相差板付き偏光板(位相差板の屈折率特性:nx>nz>ny、位相差板の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度:90°)を、位相差板が偏光板よりも第1液晶セル側に位置するように貼り合わせた。ここで、第1液晶セルの液晶層として正の誘電異方性を有する液晶を採用し、偏光板の吸収軸と、第1液晶セルに含まれる液晶層(電界無印加状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子)の電界無印加時の長軸方向とが直交するように貼り合わせた。そして、この第1液晶セルのTFT基板側に、偏光板(位相差板なし)を、その吸収軸が、対向基板側の偏光板の吸収軸と直交するように貼り合わせた。このようにして第1表示パネルを得た。
【0145】
次に、白黒画像表示用の第2液晶セルの両側に、それぞれ、偏光板(位相差板なし)を互いの吸収軸が直交するように貼り合わせた。ここで、第2液晶セルの液晶層として正の誘電異方性を有する液晶を採用し、いずれか一方の偏光板の吸収軸と、第2液晶セルに含まれる液晶層(電界無印加状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子)の電界無印加時の長軸方向とが直交するように貼り合わせた。このようにして、第2表示パネルを得た。
【0146】
次に、第1表示パネルの液晶層に対してTFT基板が配置されている側に、第2表示パネルを、光拡散粘着剤を含む積層体を介して積層した。このとき、第1表示パネルの第1液晶セルのTFT基板側の偏光板の吸収軸と第2表示パネルの第2液晶セルの対向基板側の偏光板の吸収軸とが平行となるように積層した。これにより、サンプル1に係る液晶表示装置を得た。
【0147】
このように、サンプル1に係る液晶表示装置では、カラー画像表示用の第1液晶セルの対向基板(CF基板)側の偏光板のみが位相差板付き偏光板として構成されている。
【0148】
[サンプル2]
第1表示パネルの作製に際し、対向基板側に位相差板が積層されていない偏光板を貼り合わせ、TFT基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル2に係る液晶表示装置では、カラー画像表示用の第1液晶セルのTFT基板側の偏光板のみが位相差板付き偏光板として構成されている。
【0149】
[サンプル3]
第1表示パネルの作製に際し、対向基板側に位相差板が積層されていない偏光板を貼り合わせたこと、及び、第2表示パネルの作製に際し、対向基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル3に係る液晶表示装置では、白黒画像表示用の第2液晶セルの対向基板側の偏光板のみが位相差板付き偏光板として構成されている。
【0150】
[サンプル4]
第1表示パネルの作製に際し、対向基板側に位相差板が積層されていない偏光板を貼り合わせたこと、及び、第2表示パネルの作製に際し、TFT基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル4に係る液晶表示装置では、白黒画像表示用の第2液晶セルのTFT基板側の偏光板のみが位相差板付き偏光板として構成されている。
【0151】
[サンプル5]
第1表示パネルの作製に際し、対向基板側に位相差板が積層されていない偏光板を貼り合わせ、TFT基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと、及び、第2表示パネルの作製に際し、TFT基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル5に係る液晶表示装置では、カラー画像表示用の第1液晶セルのTFT基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成され、かつ、白黒画像表示用の液晶セルのTFT基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成されている。
【0152】
[サンプル6]
第2表示パネルの作製に際し、TFT基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル6に係る液晶表示装置では、カラー画像表示用の第1液晶セルの対向基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成され、かつ、白黒画像表示用の第2液晶セルのTFT基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成されている。
【0153】
なお、サンプル6に係る液晶表示装置は、
図2に示す上記実施の形態1に係る液晶表示装置に対応する。
【0154】
[サンプル7]
第1表示パネルの作製に際し、対向基板側に位相差板が積層されていない偏光板を貼り合わせ、TFT基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと、及び、第2表示パネルの作製に際し、対向基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル7に係る液晶表示装置では、カラー画像表示用の第1液晶セルのTFT基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成され、かつ、白黒画像表示用の液晶セルの対向基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成されている。
【0155】
なお、サンプル7に係る液晶表示装置は、
図6に示す上記実施の形態2に係る液晶表示装置に対応する。
【0156】
[サンプル8]
第2表示パネルの作製に際し、対向基板側に上記位相差板付き偏光板を貼り合わせたこと以外はサンプル1と同様にして、液晶表示装置を得た。すなわち、サンプル8に係る液晶表示装置では、カラー画像表示用の第1液晶セルの対向基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成され、かつ、白黒画像表示用の第2液晶セルの対向基板側の偏光板が位相差板付偏光板として構成されている。
【0157】
[サンプル1〜8の評価]
サンプル1〜8に係る液晶表示装置について、ハローの発生、正面方向における白輝度、及び、正面方向におけるコントラストを評価した。
【0158】
ハローの発生は、高輝度領域(白表示領域)の周りに低輝度領域(黒表示領域)を配置した第1マスター画像を表示させた際に、高輝度領域周辺の低輝度領域に光漏れ(黒表示領域に浮かび上がる高輝度領域に対応した明るい影)の有無(度合い)を目視にて観察することにより、評価した。
【0159】
正面方向における白輝度は、第1表示パネル及び第2表示パネルの2つの表示パネルに最大階調の信号を入力して2つの表示パネルの透過率を最大にした状態でバックライトを点灯させ、液晶表示装置の正面方向からの輝度を測定することで評価した。
【0160】
正面方向におけるコントラストは、第1表示パネル及び第2表示パネルの2つの表示パネルに最小階調の信号を入力して2つの表示パネルの透過率を最小にした状態でバックライトを点灯させ、表示装置の正面方向からの輝度(正面方向における黒輝度)を測定し、この値で、上記正面方向おける白輝度を除算することで評価した。
【0161】
このようにして評価したサンプル1〜8の液晶表示装置の評価結果を表1に示す。
【0163】
表1に示すとおり、サンプル1、2、5〜8では、ハローの発生が良好に抑制された。一方、サンプル3、4ではハローの発生が確認された。
【0164】
これは、サンプル1、2、5〜8では、観察者側の第1表示パネル(カラー画像表示用のパネル)に位相差板が配置されており、液晶表示装置に第1マスター画像を表示させた際に、第2表示パネルから第1表示パネルに入射した光のうち第1表示パネル内を斜め方向に進む光の位相差が第1表示パネルの位相差板により補償されて、この光が第1表示パネルの第1液晶セルの対向基板(CF基板)側の偏光板により良好に遮光されたと考えられる。その結果、第1マスター画像を表示させた際に、高輝度領域周辺の低輝度領域に光漏れが発生しなかったと考えられる。
【0165】
これに対し、サンプル3、4では、第1表示パネルに位相差板が配置されていないため、液晶表示装置に第1マスター画像を表示させた際に、第2表示パネルから第1表示パネルに入射した光のうち第1表示パネル内を斜め方向に進む光の一部が、第1表示パネルの第1液晶セルの対向基板側の偏光板に遮光されず、高輝度領域周辺の低輝度領域に漏れ出て、ハローが発生したと考えられる。なお、サンプル3、4では、正面方向におけるコントラストは比較的大きかった。
【0166】
また、サンプル5〜8は、サンプル1に比べて、コントラストが格段に優れている。これは、サンプル5〜8では、バックライト側の第2表示パネル(白黒画像表示用のパネル)に位相差板が配置されており、黒表示時に第2表示パネルを斜め方向に透過しようとする光の位相差が補償されて、第2表示パネルの第2液晶セルの対向基板側の偏光板に良好に遮光されたと考えられる。その結果、黒表示時に第2表示パネルを透過して第1表示パネルに入射する光の量が少なくなって、正面方向における黒輝度が低下し、コントラストが格段に高くなったと考えられる。
【0167】
(変形例)
以上、本開示に係る液晶表示装置について、実施の形態1、2に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態1、2に限定されるものではない。
【0168】
例えば、上記実施の形態1、2では、2つの表示パネルを用いて液晶表示装置を構成したが、これに限るものではなく、3つ以上の表示パネルを用いて液晶表示装置を構成してもよい。
【0169】
また、上記実施の形態1、2では、2つの位相差板を用いて液晶表示装置を構成したが、位相差板の数は2つに限るものではない。
【0170】
その他、上記実施の形態1、2に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。