特許第6795634号(P6795634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6795634計時器のためのダイヤモンド研磨された装飾
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795634
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】計時器のためのダイヤモンド研磨された装飾
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/10 20060101AFI20201119BHJP
   B24B 19/26 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   G04B19/10 E
   G04B19/10 K
   B24B19/26 Z
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-12774(P2019-12774)
(22)【出願日】2019年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-158869(P2019-158869A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年1月29日
(31)【優先権主張番号】18160213.7
(32)【優先日】2018年3月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】カメロ・トロッタ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・エフェリ
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−214975(JP,A)
【文献】 特公昭47−30230(JP,B1)
【文献】 特開2010−223800(JP,A)
【文献】 スイス国特許発明第390157(CH,A5)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/10
G04B 19/12
G04D 3/00
G04D 3/02
G01D 13/02
B24B 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに見られるように意図されている上面(2)と、計時器の表盤又は構造上に載る下面(3)と、及び前記下面(3)から突き出ている少なくとも1つの足部(4)とを有する計時器用の装飾(1)を製造する方法において
まず、実質的に平坦な下面(30)があるまっすぐなワークピースの形態である粗い物(10)を作り、前記粗い物(10)の頂上(20)とは反対側にてこの下面(30)から突起(40)が突き出て各足部(4)を形成するステップと、
その後に、少なくとも各足部(4)を機械加工することによってブランク(11)を作るステップと、
その後に、前記ブランク(11)の下面に対して相補的な形である少なくとも1つの支持面(51)を有する少なくとも1つの道具(50)に前記ブランク(11)をマウントするステップであって、前記道具(50)には、さらに、各足部(4)を収容する少なくとも1つの凹部(54)があり、前記道具(50)が、さらに、各ブランク(11)を固定する把持手段及び/又は接着剤を有する、ステップと、及び
その後に、前記上面(2)を形成するような少なくとも1つの最終的なダイヤモンド研磨操作を用いて前記ブランク(11)の上部を機械加工するステップと
を有する方法であって
前記粗い物(10)が作られた後であって前記マウントするステップの前に、前記粗い物(10)は、前記ブランク(11)を形成するように変形されて前記頂上(20)の変形によって形成される上側曲がり(21)を形成する
ことを特徴とする計時器用の装飾(1)を製造する方法。
【請求項2】
前記ブランク(11)が作られるとき又は前記ブランク(11)が形成された後に、前記突起(40)を機械加工することによって及び/又はまっすぐにすることによって少なくとも1つの前記足部(4)が作られ、前記突起(40)から前記足部(4)が形成される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブランク(11)が作られるとき又は前記ブランク(11)が形成された後に、前記突起(40)を機械加工することによって及び/又はまっすぐにすることによって各足部(4)が作られ、前記突起(40)から前記足部(4)が形成される
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブランク(11)が前記道具(50)にマウントされる前に前記足部(4)のすべてが作られ、
前記道具(50)の各凹部(54)は、少なくとも1つの前記足部(4)を受けるように構成しているか又は少なくとも1つの前記足部(4)に対して相補的な形を有する
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
対称平面(P)を形成する主エッジ(9)の両側にて面対称となっている前記上面(2)を形成し、
前記道具(50)は軸(A)のまわりを回転可能であり、前記軸(A)に前記対称平面(P)が垂直であるよう前記ブランク(11)をマウントするための支持面(51)が配置される少なくとも1つの前記道具(50)が作られる
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記道具(50)は軸(A)のまわりを回転可能であり、前記上面(2)の少なくとも1つの部分が前記軸(A)と同心であるよう前記ブランク(11)をマウントするための支持面(51)が配置される少なくとも1つの前記道具(50)が作られる
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
の並置によって前記上面(2)が複数の面を有するよう形成し、
前記並置される面の少なくとも1つ回転対称に形成されるように、前記道具(50)が作られ、
前記支持面(51)は、前記軸()と前記回転対称に形成された面が同心であるように配置される
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
回転対称に形成されたを含む前記上面(2)を形成するため
前記軸(A)と前記上面(2)の全体が同心であるように前記支持面(51)が配置される単一の前記道具(50)が作られる
請求項に記載の方法。
【請求項9】
の並置によって形成される前記上面(2)
前記並置された面の少なくとも1つ、平坦なを形成するように少なくとも1つの前記道具(50)が作られるとともに該道具(50)は軸(A)のまわりを回転可能であり、
前記支持面(51)は、前記軸(A)と前記平坦なが平行であるように配置される
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記上側曲がり(21)の前記機械加工はすべて、単一の道具(50)から前記ブランク(11)を取り除かずに前記上面(2)を形成するように実行される
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記上側曲がり(21)の機械加工は、複数の前記道具(50)を用いることによって前記上面(2)を形成するように細分化され、各道具(50)に前記ブランク(11)が順次的にマウントされる
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの前記道具(50)は、前記道具(50)に対して各ブランク(11)をポジショニングし前記道具(50)にマウントされた各ブランク(11)に対して機械加工及び/又はダイヤモンド研磨手段を空間的にポジショニングする角度的インデックス付け手段を有するように作られる
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記上面(2)の前記機械加工及び/又はダイヤモンド研磨は、各ブランク(11)に対して5つの軸の上で動くことができる機械加工及び/又はダイヤモンド研磨ユニットを用いて行われる
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記粗い物(10)は、数字又は符号の形態であるように作られ、前記数字又は符号にある少なくとも1つの開口のまわりにビードが延在しているようにし、
前記ビードには、前記突起(40)を担持している前記下面(30)があり、前記突起(40)は、各足部(4)を形成する
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記粗い物(10)には窪みがあり、
前記実質的に平坦な下面(30)は、周部支持エッジに限定されており、
この周部支持エッジは、各足部(4)を作るための突起(40)を担持しており、及び/又はポケットを囲みこのポケットから前記突起(40)が突き出て少なくとも1つの前記足部(4)を形成する
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記粗い物(10)は堅固であるように作られ、前記実質的に平坦な下面(30)にはポケットがなく、この下面(30)は前記突起(40)を担持して各足部(4)を形成する
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ユーザーに見られるように意図されている上面(2)と、計時器の表盤又は構造上に載る下面(3)と、及び前記下面(3)から突き出ている少なくとも1つの足部(4)とを有する計時器用の装飾(1)を製造する方法であって、前記装飾(1)は、計時器の表盤又は構造上に載るための一部が曲がっているか全体が曲がっている下面(3)があるように作られるものであり前記方法は、
まず、実質的に平坦な下面(30)があるまっすぐなワークピースの形態である粗い物(10)を作り、前記粗い物(10)にある頂上(20)とは反対側にて前記下面(30)から突起(40)が突き出て各足部(4)を形成するステップと、
その後に、前記曲がっている下面(3)の少なくとも1つの部分を含む下側曲がり(31)を有し前記頂上(20)の変形によって形成される上側曲がり(21)を有するブランク(11)を形成するように前記粗い物(10)を変形するステップと、
その後に、前記曲がっている下面(3)の前記少なくとも1つの部分又は前記下側曲がり(31)に対して相補的な形である少なくとも1つの支持面(51)がある少なくとも1つの道具(50)に前記ブランク(11)をマウントするステップであって、前記道具(50)には、さらに、各突起(40)を、又は前記突起(40)が前記足部(4)と同じであるときには各足部(4)を収容する少なくとも1つの凹部(54)があり、前記道具(50)が、さらに、各ブランク(11)を固定する把持手段及び/又は接着剤を有する、ステップと、
その後に、前記上面(2)を形成するような少なくとも1つの最終的なダイヤモンド研磨操作を用いて前記上側曲がり(21)を機械加工するステップと
を順次的に実行する計時器用の装飾(1)を製造する方法。
【請求項18】
前記下側曲がり(31)は、前記曲がっている下面(3)の全体を形成するように作られる
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粗い物(10)は、金や金合金、白金又は白金合金で作られている
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法を用いて作られた装飾(1)を少なくとも1つ有する腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーに見られるように意図されている上面と、計時器の表盤又は構造上に載る下面と、及び前記下面から突き出ている少なくとも1つの足部とを有する計時器用の装飾を製造する方法に関し、
まず、実質的に平坦な下面があるまっすぐなワークピースの形態である粗い物を作り、前記粗い物の頂上とは反対側にてこの下面から突起が突き出て各足部を形成するステップと、
その後に、少なくとも各足部を機械加工することによってブランクを作るステップと、
その後に、前記ブランクの下面に対して相補的な形である少なくとも1つの支持面を有する少なくとも1つの道具に前記ブランクをマウントするステップであって、前記道具には、さらに、各足部を収容する少なくとも1つの凹部があり、前記道具が、さらに、各ブランクを固定する把持手段及び/又は接着剤を有する、ステップと、及び
その後に、前記上面を形成するような少なくとも1つの最終的なダイヤモンド研磨操作を用いて前記ブランクの上部を機械加工するステップと
を有する。
【0002】
本発明は、さらに、この方法によって作られた装飾を少なくとも1つ有する腕時計に関する。
【0003】
本発明は、さらに、前記方法によって作られた装飾を少なくとも1つ担持している前記表盤及び/又は構造を有する計時器に関する。
【0004】
本発明は、さらに、この方法によって作られた装飾を少なくとも1つ有する、計時器、特に、腕時計、に関する。
【背景技術】
【0005】
計時器用の装飾は、計時器、特に、腕時計、の必要な要素であり、特定の外観を与えることに貢献する。したがって、このような装飾は、非常に注意深く作ること、再現性が良いこと、そして、表面仕上げにおける欠陥がまったくないことが必要である。このような装飾性の部品の大きさが非常に小さいため、そして、これらの部品を把持することが難しいために、完璧に作業することは難しい。したがって、廃棄率が高くなりがちである。表盤、フランジ又はプレートの曲がりに適応するように装飾の一部が曲がっているか全体が曲がっていて平坦な基準面がない場合には、製造がさらに複雑になる。表盤が曲がっている場合、転写したり非常に薄い曲がった装飾を作ったりすることによって表盤上に記号を形成することが知られている。どちらの場合でも、通常の仕上がり外観しか得られない。ダイヤモンド研磨された装飾が作られ、ダイヤモンド研磨の後に曲げられたり(曲がっている装飾に対して)さらに曲げられる場合、このことは外観に害を与えてしまい、表面にオレンジ色の剥離片及び/又は裂け目が出現してしまう。このことは受け入れがたい。
【0006】
NIVAROXによる欧州特許出願EP1557729A1は、金属製の輪郭から足付きの時符号を製造する方法であって、前記符号の基部を表盤に固定することができるものを開示している。この方法は、輪郭の一端にある足部をミル処理して輪郭を粗く成形する第1のステップと、クランプで足部を把持しブランクを切り離す第2のステップと、及び所望の符号の形にブランクを仕上げてすべての可視表面に対してダイヤモンド研磨操作を行う第3のステップとを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、可視部分の表面状態が完璧であることを確実にするような装飾の製造方法を定めることを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、請求項1に記載の装飾の製造方法に関する。
【0009】
本発明は、さらに、この方法によって作られた装飾を少なくとも1つ有する腕時計に関する。
【0010】
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】下面の下に2つの足部、そして、上面上にファセットを有する曲がった装飾である、本発明の方法によって作られた装飾の概略斜視図である。
図2】本発明のための原材料としてはたらく粗い物についての概略側面図である。この粗い物は、実質的にまっすぐなワークピースであり、この粗い物の頂上とは反対側にて、実質的に平坦な裏面があり、この裏面から突起が突き出ており各足部が作られている。
図3】この粗い物を変形させることによって作られたブランクを示している図2と同様な形態の図である。
図4図3と同様な形態の図であり、下側突起をまっすぐにして平行な足部を形成することによって同じブランクを転換している。
図5図2と同様な形態の図であり、下側突起が発散方向を向いている別の粗い物の変種を示している。
図6図3と同様な形態の図であり、図5の粗い物を変形することによって作られたブランクを示している。このブランクの足部は、単に粗い物が変形されていたために、平行となっている。
図7図2と同様な形態の図であり、再機械加工されるように意図されている下側突起を有する粗い物の別の変種を示している。
図8図3と同様な形態の図であり、図7の粗い物を変形することによって作られたブランクを示している。
図9図4と同様な形態の図であり、下側突起を再機械加工して平行な足部を形成することによって転換された図8のブランクを示している。
図10】このようなブランクをいくつか担持するように設計されている道具の概略側面図である。このようなブランクの1つのみが適切な位置にマウントされているように示されており、仕上げられた上面が機械加工されダイヤモンド研磨された後に、すぐに使用可能な装飾に転換される。
図11】このようなブランクを担持している図10の道具の断面図である。
図12】本発明にしたがって作られた曲がった装飾についての上方と下方から見た2つの斜視図、上から見た図、側面図及び中間的な断面図である。この装飾の下面は曲がっており、2つの大きな上側ファセットのエッジが連結しており、これらの2つの上側ファセットは、このエッジを通る平面に対して対称であり、この装飾には、さらに、前側及び上側ファセットがある。
図13】平坦なファセットを有する本発明にしたがって作られた曲がった装飾についての上方と下方から見た2つの斜視図及び側面図である。
図14】本発明によって作られた数字を形成する装飾についての上方と下方から見た2つの斜視図、上から見た図、及び互いに垂直な方向から見た2つの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、計時器用の装飾1を製造する方法に関する。
【0013】
「装飾(applique)」は、物、特に、表盤、フランジ、プレート、ブリッジ、に配置されるユーザーに見られるように意図されているいずれの表示又は装飾性の要素をも意味する。例えば、印、時符号、数字、ロゴ、モノグラムなどである。
【0014】
このような装飾1には、通常、ユーザーに見られるように意図されている上面2と、及び計時器の表盤又は構造上に載るための下面3とがある。
【0015】
この下面3をこのような表盤又はこのような構造上に直接接合することができる場合、この下面3には、一般的には、少なくとも1つの足部4がある。このような表盤又はこのような構造に固定されるように、各足部4は、この下面3から突き出ており、特に(これに限定されない)、空間において下面3に対して特定の向きを向いているように突き出ている。
【0016】
このような装飾1を製造するために、以下のいくつかのステップを順次的に実行する。
− まず、粗い物10を、粗い物10の頂上20とは反対側にて各足部4を形成するように突起40が突き出ている実質的に平坦な下面30があるまっすぐなワークピースの形態にする。
− その後に、少なくとも各足部4を機械加工することによってブランク11を作る。
− その後に、このブランク11を、ブランク11の下面に対して相補的な形である少なくとも1つの支持面51を有する少なくとも1つの道具50にマウントする。この道具50には、さらに、各足部4を収容する少なくとも1つの凹部54があり、この凹部54は、特に(これに限定されない)、特定の向きを向いている。道具50は、さらに、各ブランク11を固定する把持手段及び/又は接着剤を有する。
− その後に、上面2を形成する少なくとも1つの最終的なダイヤモンド研磨操作によってブランク11の上部を機械加工する。
【0017】
いくつかの足部4を形成するように単一の突起40を作ることは明らかに可能であるが、図面には、突起40が単一の足部4に対応するような好ましい実施形態を示している。なぜなら、図3、6及び8に示しているように、この設計によって、変形によってブランクを容易に作ることができるようになるからである。
【0018】
足部4が作られた後のこのようなブランク11の再機械加工をいくつかの操作に分割することができる。これは、多目的の単一の道具50にて、又はそれぞれが特定の表面機械加工操作に特有な複数の道具50にて行う。
【0019】
同様に、ダイヤモンド研磨をして仕上げられた上面2を形成することによるブランク11の上部のダイヤモンド仕上げは、場合に応じて、単一の道具50にて、又はそれぞれが特定の表面機械加工操作に特有な複数の道具50にて、行うことができる。
【0020】
特に、本発明の特定の特徴によると、ブランク11が作られたとき又はブランク11が形成された後に、突起40を機械加工することによって及び/又はまっすぐにすることによって少なくとも1つの足部4が作られ、この突起40から足部4が形成される。また、特に、ブランク11が作られたとき又はブランク11が形成された後に、各突起40を機械加工することによって及び/又はまっすぐにすることによって各足部4が作られる。また、特に、ブランク11が道具50にマウントされる前に足部4がすべて作られ、この道具50の各凹部54は、少なくとも1つの足部4を受けるように構成しているか又は少なくとも1つの足部4に対して相補的な形を有する。なお、同じ凹部54が、同じブランク11のいくつかの足部4又は同じブランク11の足部4のすべてに対するハウジングとしてはたらくことができ、特定の足部4を収容するために少なくとも1つの凹部54を確保しておくことができる。当然、各凹部54は、各足部の挿入を可能にするように構成しており、同じブランク11の別の足部4に対して傾斜している足部4を挿入するためのオブロング状の穴などがあることができる。したがって、特定の場合として、凹部54が足部4に対して完全に相補的な形である場合がある。少なくとも1つの止め面を境界とするオブロング状の溝の形態である凹部54を形成することによって、一般的には、ブランクの良好なポジショニングと良好な保持の両方を与えることができる。
【0021】
本発明によると、粗い物10が作られた後に、この粗い物10は、ブランク11を形成するように変形されて、粗い物10の頂上20が変形することによって形成される上側曲がり21を形成する。また、この上側曲がり21は、少なくとも1つの道具50にて、仕上げられた上面2を形成する少なくとも1つの最終的なダイヤモンド研磨操作によって再機械加工される。
【0022】
当然、上面2は複雑であっていくつかのを有することができ、このは、例えば、平坦なファセット、曲げられた又は曲がっている面であり、特に、トロイドの一部、球体の一部のものであり、この上面2とそのの幾何学的構成に依存して、以下を実装することが必要であることがある。すなわち、
− 少なくとも1つのダイヤモンド研磨道具を有する、マシニングセンタや5軸又は6軸の研削機のような多軸加工手段、及び/又は
− 用いられる機械加工手段による機械加工のために、それぞれが特定の面を空間的に実現するように構成している複数の道具50である。
【0023】
機械加工操作は、ミル処理、ひずみ矯正、電食、レーザーなどの様々な技術を実装することができ、これらは組み合わせることができ、単独で用いることもでき、排他的ではない。
【0024】
本発明の特定の特徴によると、上面2の機械加工及び/又はダイヤモンド研磨は、各ブランク11に対して少なくとも5つの軸に沿って動くことができる機械加工及び/又はダイヤモンド研磨ユニットを用いて行われる。
【0025】
特に、対称平面Pを定める主エッジ9の両側にて面対称となっている上面2を形成するために、本発明の特定の特徴によると、道具50は軸Aのまわりを回転可能であり、この軸Aに対して図12に示す対称平面Pが垂直であるように各支持面51が配置されるように少なくとも1つの道具50が作られる。
【0026】
具体的には、図10及び11に示しているように、この道具50は、一又は複数の機械加工手段とは反対方向に回転駆動されるように構成している研磨ヘッドであり、この研磨ヘッドは、複数のブランク11を受けることができ、その各ブランク11が特定のハウジング内に挿入されたり、すべてのブランク11が足部4を収容するように構成している周部溝54内に挿入されたりする。図10は、各ブランク11に対して特定の角度的向きを与えるように構成している成形されたハウジングを用いる特定の場合を示している。また、この周部溝がある研磨ヘッドにおいて、足部4及び/又はブランク11の下面のための下側支持体がないようにすることを非常に単純に行うことができる。
【0027】
より詳細には、少なくとも1つのこのような道具50は、道具50が軸Aのまわりを回転可能であり、該と前記上面2の少なくとも1つの部分が同心であるように各支持面51が配置されるように作られる。
【0028】
ダイヤモンド研磨道具は、多軸軌道を描くように駆動されたり、非円形の運動をするようにカムに追従したりすることができる。
【0029】
具体的には、少なくとも1つが回転対称なであるようないくつかのの並置によって形成される上面2を形成するために、各回転対称なを形成するように道具50が作られ、前記道具50が軸Aのまわりを回転可能であり、該とこの回転対称なが同心であるように各支持面51が配置される。
【0030】
より詳細には、回転対称な上面2を形成するために、単一の道具50は、道具50が軸Aのまわりを回転可能であり、該と上面2全体が同心であるように各支持面51が配置されるように作られる。
【0031】
の並置によって形成される上面2を形成し、の少なくとも1つが平坦なであるような特定の場合において、好ましいことに、平坦なを形成するために少なくとも1つの道具50が作られ、前記道具50が軸Aのまわりを回転可能であり、該前記平坦なが平行であるように各支持面51が配置される。
【0032】
好ましくは、上面の幾何学的構成及び選択された機械加工手段が許すならば、上側曲がり21の機械加工はすべて、単一の道具50からブランク11を取り除かずに前記上面2を形成するように実行される。
【0033】
必要ならば、上側曲がり21の機械加工は、複数の道具50を用いて上面2を形成するように細分化され、この道具50に各ブランク11が順次的にマウントされる。
【0034】
本発明の特定の特徴によると、少なくとも1つの道具50は、道具50に対して各ブランク11をポジショニングし道具50にマウントされる各ブランク11に対する機械加工及び/又はダイヤモンド研磨手段を空間的にポジショニングする角度的インデックス付け手段を用いて作られる。
【0035】
数字、ロゴのような特定の形の装飾1を作るために、粗い物10は、数字や記号の形態となるように作られ、その数字や記号に形成された少なくとも1つの開口19のまわりにビードが延在するようにされ、このビードには、各足部4を作るための突起40を担持している下面30がある。
【0036】
装飾1が窪んでいる特定の場合では、粗い物10は、実質的に平坦な下面30が周部支持エッジに限定されているように、窪んでいるように作られ、この周部支持エッジは、各足部4を作るための突起40を担持しており、及び/又はポケットを囲みこのポケットから前記のような突起40が突き出て少なくとも1つの足部4を形成する。
【0037】
装飾1が堅固である場合には、実質的に平坦な下面30にポケットがないように粗い物10は堅固であるように作られ、この下面30は、各足部4を形成するための突起40を担持している。
【0038】
本発明に係る方法の特定の実装は、曲がっている装飾であって、その下面3が曲がっている計時器の表盤又は構造上に載るものに関する。この特定の場合において、装飾1は、曲がっている下面3があるように作られ、以下のいくつかのステップが順次的に実行される。
− まず、粗い物10を、実質的に平坦な下面30があるまっすぐなワークピースの形態にして、粗い物10の頂上20とは反対側にてこの下面30から突起40が突き出て各足部4を形成する。
− その後に、一部が曲がっているかまたは全体が曲がっている下面3の少なくとも1つの部分を有する下側曲がり31を有するブランク11を形成するように粗い物10を変形し、前記ブランク11には、頂上20の変形によって形成される上側曲がり21がある。
− その後に、前記曲がった下面3の少なくとも1つの部分又は下側曲がり31に対して相補的な形である少なくとも1つの支持面51がある少なくとも1つの道具50にブランク11をマウントする。道具50には、さらに、突起40が足部4と同一である場合、特に(これに限定されない)、特定の向きを向いている場合に、各突起40又は各足部4を収容する少なくとも1つの凹部54があり、道具50は、さらに、各ブランク11を固定する把持手段及び/又は接着剤を有する。
− その後に、上面2を形成するように少なくとも1つの最終的なダイヤモンド研磨操作にて上側曲がり21を機械加工する。
【0039】
特に、下側曲がり31は、一部が曲がっているかまたは全体が曲がっている下面3の全体を形成するように作られる。
【0040】
具体的には、前記粗い物10は、貴重な材料又は検定された材料で作られており、特に、金や金合金、白金又は白金合金で作られている。
【0041】
本発明は、さらに、本方法によって作られた装飾を少なくとも1つ有する腕時計に関する。
【符号の説明】
【0042】
1 装飾
2 上面
3 下面
4 足部
9 主エッジ
10 粗い物
11 ブランク
20 頂上
21 上側曲がり
30 下面
31 下側曲がり
40 突起
50 道具
51 支持面
54 凹部
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