(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記検知センサー(113)は、前記側面視で前記回転軸線(Rx)回りの周方向に前記開口(116)から外れる方向に広がって前記クランクケース(28)の外面に配置されることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項3に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記クランクケース(28)には前記クランクシャフト(45)の下方でオイルパン(109)が形成され、前記検知センサー(113)は前記クランクシャフト(45)の上方に配置されることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項4に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記クランクシャフト(45)の一端から延長される前記回転軸線(Rx)上に位置して前記クランクケース(28)に連結され、少なくとも前記シリンダーブロック(29)に流通する冷却水から外気に熱交換するラジエーター(85)をさらに備えることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項6に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記導風部材(119)には、前記検知センサー(113)の後方で前記導風部材(119)から前記クランクケース(28)に向かって下方に延びる遮蔽板(124)が一体に形成されることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項7に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記導風部材(119)には、前記クランクケース(28)の外面に向き合う前記導風部材(119)の天板(119a)から外側に突出して前記検知センサー(113)の上端を収容する突出壁(121)が形成されることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項1に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記軌道に沿って環状に配置される前記被検知体(103)を外周に有して、前記クランクシャフト(45)の軸方向から前記クランクシャフト(45)に重ねられる環状板(102)と、前記環状板(102)から前記回転軸線(Rx)に向かって連続し、前記クランクシャフト(45)との間に油溜まり(106)を形成する覆い板(105)とを備え、前記環状板(102)と前記クランクシャフト(45)との間にガスケット(131)が挟まれることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項9に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記ガスケット(131)は、前記環状板(102)が前記クランクシャフト(45)に締結される際に押しつぶされるビード(137、138)を有することを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項9または10に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記クランクシャフト(45)には、前記油溜まり(106)に接続されて、前記油溜まり(106)から遠心力に基づき油を取り込む油路(107)が形成されることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
請求項11に記載のスイングユニット式のパワーユニットにおいて、前記クランクシャフト(45)は、前記油溜まり(106)に臨む軸端を有して、コネクティングロッド(48)に連結されるクランクピン(99)を備え、前記クランクピン(99)に、前記油路(107)と、前記油路(107)から前記コネクティングロッド(48)の軸受に延びる供給路(108)とが形成されることを特徴とするスイングユニット式のパワーユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内燃機関ではシリンダー軸線に沿ってピストンが線形往復運動することから、内燃機関は振動する。特に単気筒の内燃機関ではシリンダー軸線に沿って振動の振幅が大きい。したがって、検知センサーは、シリンダー軸線に対してクランクシャフト回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトに配置されることが望まれる。その一方で、例えばスイングユニット式の水冷パワーユニットでは、シリンダー軸線に対してクランクシャフト回りに90°の交差角で交差する位置にラジエーターの冷却風を排出する開口が位置することがある。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、クランク角の検出にあたってピストンの往復運動の影響を受けにくい検知センサーのレイアウトを実現するスイングユニット式のパワーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面によれば、クランクシャフトと、前記クランクシャフトの一端に固定されて前記クランクシャフトの回転軸線回りで回転する遠心ファンと、前記遠心ファンを収容し、前記回転軸線に並行に前記遠心ファンの気流を流出させる開口を有するクランクケースと、前記クランクシャフトに固定されて、前記クランクシャフトと一体に回転する被検知体と、側面視で、前記回転軸線回りで周方向に前記開口の前端または後端に偏って配置され、前記被検知体の軌道に向き合わせられて前記被検知体の動きに応じてパルス信号を生成する検知センサーとを備えるスイングユニット式のパワーユニットが提供される。
【0008】
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記検知センサーは、前記側面視で前記回転軸線回りの周方向に前記開口から外れる方向に広がって前記クランクケースの外面に配置される。
【0009】
第3側面によれば、第1または第2側面の構成に加えて、スイングユニット式のパワーユニットは、前記クランクケースに結合されて前記クランクケースの前方に位置し、車両前後方向に、前記クランクシャフトにコネクティングロッドで連結されるピストンの線形往復運動を案内するシリンダーブロックと、前記クランクケースの後方に配置されて、前記クランクシャフトの前記回転軸線に平行な車軸を有する後輪とを備える。
【0010】
第4側面によれば、第3側面の構成に加えて、前記クランクケースには前記クランクシャフトの下方でオイルパンが形成され、前記検知センサーは前記クランクシャフトの上方に配置される。
【0011】
第5側面によれば、第4側面の構成に加えて、スイングユニット式のパワーユニットは、前記クランクシャフトの一端から延長される前記回転軸線上に位置して前記クランクケースに連結され、少なくとも前記シリンダーブロックに流通する冷却水から外気に熱交換するラジエーターをさらに備える。
【0012】
第6側面によれば、第5側面の構成に加えて、スイングユニット式のパワーユニットは、前記回転軸線に並行に延びて、前記開口に接続される空間を仕切る第1導風壁と、前記第1導風壁から連続して、湾曲面に倣って、前記開口から流出する気流を前記後輪に向かって案内する第2導風壁とを有して、前記クランクケースの外面に固定されて前記検知センサーに覆い被さる導風部材をさらに備える。
【0013】
第7側面によれば、第6側面の構成に加えて、前記導風部材には、前記検知センサーの後方で前記導風部材から前記クランクケースに向かって下方に延びる遮蔽板が一体に形成される。
【0014】
第8側面によれば、第7側面の構成に加えて、前記導風部材には、前記クランクケースの外面に向き合う前記導風部材の天板から外側に突出して前記検知センサーの上端を収容する突出壁が形成される。
【0015】
第9側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記軌道に沿って環状に配置される前記被検知体を外周に有して、前記クランクシャフトの軸方向から前記クランクシャフトに重ねられる環状板と、前記環状板から前記回転軸線に向かって連続し、前記クランクシャフトとの間に油溜まりを形成する覆い板とを備え、前記環状板と前記クランクシャフトとの間にガスケットが挟まれる。
【0016】
第10側面によれば、第9側面の構成に加えて、前記ガスケットは、前記環状板が前記クランクシャフトに締結される際に押しつぶされるビードを有する。
【0017】
第11側面によれば、第9または第10側面の構成に加えて、前記クランクシャフトには、前記油溜まりに接続されて、前記油溜まりから遠心力に基づき油を取り込む油路が形成される。
【0018】
第12側面によれば、第11側面の構成に加えて、前記クランクシャフトは、前記油溜まりに臨む軸端を有して、コネクティングロッドに連結されるクランクピンを備え、前記クランクピンに、前記油路と、前記油路から前記コネクティングロッドの軸受に延びる供給路とが形成される。
【発明の効果】
【0019】
第1側面によれば、クランクシャフトの回転に応じて被検知体はクランクシャフトと一体に回転する。検知センサーは被検知体の動きに応じてパルス信号を生成する。遠心ファンの回転で生成される気流は開口からクランクシャフトの回転軸線に並行にクランクケースの外面に沿って流出する。検知センサーは、側面視で開口の前端または後端に偏って配置されることから、検知センサーと開口から流出する気流との干渉は抑制される。したがって、シリンダー軸線に対してクランクシャフト回りに90°の交差角で交差する位置に開口が位置しても、検知センサーは、気流の流通を妨げずに、シリンダー軸線に対してクランクシャフト回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトに配置されることができる。クランク角の検出にあたって振動の影響はできるだけ抑制されることができる。
【0020】
第2側面によれば、検知センサーは開口から流出する気流に干渉せずに配置されることから、良好な気流の流通は実現されることができる。
【0021】
第3側面によれば、シリンダーブロックは、車両前後方向に延びるシリンダー軸線に沿ってピストンの線形往復運動を案内する。後輪はクランクケースの後方に配置されることから、シリンダー軸線に対してクランクシャフト回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトに検知センサーが配置されても、検知センサーと後輪との干渉は回避されることができる。クランクケースと後輪とはできるだけ近づくことができる。パワーユニットはコンパクトに構成されることができる。
【0022】
第4側面によれば、シリンダー軸線に対してクランクシャフト回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトに検知センサーが配置される際に、検知センサーはクランクシャフトの上方に配置されることができ、その結果、検知センサーはオイルパンから遠ざけられることができる。検知センサーに対してクランクケース内のオイルの影響は抑制されることができる。
【0023】
第5側面によれば、遠心ファンが回転すると、クランクシャフトの回転軸線に沿って遠心ファンに向かう外気の気流は生成される。外気の気流はラジエーターを通過してラジエーターの冷却水から熱を奪う。熱交換後の気流は開口からクランクケース外に排出される。
【0024】
第6側面によれば、クランクシャフトの回転軸線に並行に開口から流出する気流は第1導風壁および第2導風壁に案内されて後輪に向かって誘導される。導風部材は検知センサーに覆い被さることから、クランクケースの外側で検知センサーは路面から跳ね上がる石や水から保護されることができる。しかも、クランクケースの外側で検知センサーの露出は回避されるので、パワーユニットの意匠性は良好に維持されることができる。
【0025】
第7側面によれば、検知センサーは後輪に巻き上げられる石や水から保護されることができる。特に,遮蔽板は、後輪の回転方向に倣って検知センサーの上方の導風部材から下方に延びるので、検知センサーは石や水から保護されることができる。
【0026】
第8側面によれば、クランクケースの外面から突出する検知センサーの突出高さに拘わらず、導風部材の天板はクランクケースの外面に近く位置することができるので、走行車両の空気抵抗の増大は回避されることができるとともに、導風部材の内側でクランクケースの開口から流出する気流の流通は良好に維持されることができる。
【0027】
第9側面によれば、クランクシャフトの回転時に遠心力が作用しても、油溜まりから遠心方向に油の漏れは防止されることができる。
【0028】
第10側面によれば、ビードの働きでクランクシャフトと被検知体との間で密着度は高められることができる。
【0029】
第11側面によれば、油溜まりから油路に効率的に油は流入することができる。
【0030】
第12側面によれば、油溜まりからコネクティングロッドの軸受に効率的に油は供給されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、上下および左右の各方向は自動二輪車に搭乗した乗員から見た方向をいう。
【0033】
図1は鞍乗り型車両の一実施形態に係るスクーター型自動二輪車を概略的に示す。自動二輪車11は、車体フレーム12と、車体フレーム12に装着される車体カバー13とを備える。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から前輪WFの後方で下降し、下端で湾曲して地面に並行に後方に延びる左右1対のメインフレーム15と、メインフレーム15の後部に結合されて車幅方向に延びるクロスパイプ16と、メインフレーム15から連続して後輪WRの前方で上昇し、上端で湾曲して緩やかに後上がりに車両前後方向に延びるリアフレーム17とを備える。ヘッドパイプ14には、車軸回りに回転自在に前輪WFを支持するフロントフォーク18と棒状の操向ハンドル19とが操向可能に支持される。
【0034】
車体カバー13にはリアフレーム17の上方で乗員シート21が搭載される。車体カバー13は、ヘッドパイプ14を前方から覆うフロントカバー22と、フロントカバー22から連続するレッグシールド23と、レッグシールド23の下端から連続して、乗員シート21および前輪WFの間でメインフレーム15の上方に配置されるステップフロア24とを備える。
【0035】
リアフレーム17の下方の空間にはスイングユニット式のパワーユニット25が配置される。パワーユニット25は、水冷式単気筒の内燃機関26と、内燃機関26および後輪WRに接続されて、内燃機関26の出力を後輪WRに伝達する伝動装置27とを備える。後輪WRの車軸は、パワーユニット25の後端で水平軸回りに回転自在に両持ち支持される。
【0036】
内燃機関26は、後輪WRの車軸に平行に延びる回転軸線Rx回りで回転自在にクランクシャフト(後述される)を支持するクランクケース28と、クランクケース28に結合されてクランクケース28の前方に位置するシリンダーブロック29と、シリンダーブロック29に結合されるシリンダーヘッド31と、シリンダーヘッド31に結合されるヘッドカバー32とを備える。後輪WRはクランクケース28の後方に配置される。
【0037】
クランクケース28は、リアフレーム17の湾曲域に結合されるブラケット33にリンク34を介して回転軸線Rxに平行な軸線回りで回転自在に連結される。クランクケース28に伝動装置27の伝動ケース27aは結合される。リンク34およびブラケット33から離れた位置でリアフレーム17とパワーユニット25との間にはリアクッションユニット35が配置される。こうしたパワーユニット25は後輪WRの懸架装置として機能する。
【0038】
シリンダーヘッド31には吸気装置37および排気装置38が接続される。吸気装置37は、伝動ケース27aに支持されて、外気を吸引して浄化するエアクリーナー39と、シリンダーヘッド31にエアクリーナー39を接続する吸気系部品としてのスロットルボディ41とを備える。シリンダーヘッド31の上部側壁には燃料噴射装置42が取り付けられる。排気装置38は、シリンダーヘッド31の下部側壁から内燃機関26の下方を通って後方に延びる排気管43と、排気管43の下流端に接続されてクランクケース28に連結される排気マフラー(図示されず)とを備える。
【0039】
図2に示されるように、クランクケース28は第1ケース半体28aおよび第2ケース半体28bに分割される。第1ケース半体28aおよび第2ケース半体28bは協働でクランク室44を区画する。クランク室44にクランクシャフト45のクランクが収容される。第1ケース半体28aには回転自在にクランクシャフト45を支持する軸受46aが組み付けられる。第2ケース半体28bには回転自在にクランクシャフト45を支持する軸受46bが組み付けられる。
【0040】
シリンダーブロック29にはシリンダーボア47が区画される。シリンダーボア47には、シリンダー軸線Cに沿ってスライド自在にピストン49が嵌め込まれる。ピストン49は、コネクティングロッド48でクランクシャフト45のクランクに連結される。シリンダー軸線Cは水平からわずかに前上がりに傾斜する。シリンダーブロック29はシリンダー軸線Cに沿ってピストン49の線形往復運動を案内する。ピストン49の線形往復運動はクランクシャフト45の回転運動に変換される。ピストン49とシリンダーヘッド31との間に燃焼室51は区画される。燃焼室51には吸気装置37を経て混合気が導入される。燃焼室51内の排ガスは排気装置38を経て排出される。
【0041】
シリンダーブロック29およびシリンダーヘッド31には燃焼室51周りで冷却水の流通を案内するウオータージャケット52a、52bが形成される。シリンダーブロック29のウオータージャケット52aはシリンダーヘッド31との合わせ面に沿ってシリンダーボア47周りに区画される。シリンダーヘッド31のウオータージャケット52bはシリンダーブロック29のウオータージャケット52aに連続して燃焼室51の天井壁に沿って広がる。
【0042】
伝動装置27は、伝動ケース27a内に収容されて、第2ケース半体28bの外面から突出するクランクシャフト45に取り付けられる駆動プーリー53、および、従動軸54に取り付けられる従動プーリー55に巻き掛けられるVベルト56を有し、クランクシャフト45から伝達される回転動力を無段階に変速するベルト式無段変速機(以下「変速機」という)57と、伝動ケース27a内に収容されて、変速機57の回転動力を減速して後輪WRの車軸58に伝達する減速ギア機構59とを備える。
【0043】
伝動ケース27aは、クランクケース28の第2ケース半体28bから連続するケース主体61と、ケース主体61に締結されて、ケース主体61との間に変速機57を収容する変速機室62を区画するケースカバー63と、ケース主体61に締結されて、ケース主体61との間にギア室64を区画するギアカバー65とを備える。ギア室64には減速ギア機構59が収容される。
【0044】
駆動プーリー53では、クランクシャフト45に同軸に固定されて、第2ケース半体28bに向き合わせられる円錐形の内向き面を有するプーリー半体66と、プーリー半体66および第2ケース半体28bの間でクランクシャフト45の軸方向に移動可能にクランクシャフト45に同軸に支持され、プーリー半体66の内向き面に向き合わせられる円錐形の内向き面を有するプーリー半体67とを備える。プーリー半体66の内向き面とプーリー半体67の内向き面との間にVベルト56が巻き掛けられる。プーリー半体67の外向き面には、クランクシャフト45に軸方向変位不能に固定されるウエイト保持プレート68が向き合わせられる。プーリー半体67のカム面67aとウエイト保持プレート68との間には遠心ウエイト69が挟まれる。カム面67aは、クランクシャフト45の回転軸線Rxから遠心方向に遠ざかるにつれてプーリー半体66から遠ざかる。クランクシャフト45の回転に伴って遠心ウエイト69には遠心力が生成される。遠心ウエイト69は遠心力により遠心方向に変位する。遠心ウエイト69がカム面67aに転がり接触しながら遠心方向に変位するにつれて、プーリー半体67はプーリー半体66に向かって駆動される。こうしてクランクシャフト45の回転に応じてプーリー半体67はプーリー半体66に向かって軸方向に移動し、Vベルト56の巻き掛け半径は変化する。
【0045】
従動プーリー55は、従動軸54に同軸の円筒形を有し、同軸に従動軸54に装着される内筒71と、内筒71に同軸に内筒71に固定されて、ケースカバー63に向き合わせられる円錐形の内向き面を有するプーリー半体72と、従動軸54に同軸の円筒形を有し、同軸に内筒71に装着される外筒73と、プーリー半体72およびケースカバー63の間で外筒73に同軸に外筒73に固定されて、プーリー半体72の内向き面に向き合う円錐形の内向き面を有するプーリー半体74とを備える。プーリー半体72の内向き面とプーリー半体74の内向き面との間にVベルト56が巻き掛けられる。内筒71は従動軸54に相対回転自在に支持される。外筒73は内筒71に相対回転自在かつ軸方向相対変位自在に支持される。外筒73および内筒71の軸方向相対変位に応じてプーリー半体74はプーリー半体72に近づいたりプーリー半体72から遠ざかったりする。
【0046】
従動軸54には遠心クラッチ75が装着される。遠心クラッチ75は内筒71に固定されるクラッチプレート75aを備える。クラッチプレート75aとプーリー半体74との間には弦巻ばね76が配置される。弦巻ばね76はプーリー半体72に向かってプーリー半体74を押し付ける弾性力を発揮する。駆動プーリー53でVベルト56の巻き掛け半径が増大すると、従動プーリー55では弦巻ばね76の弾性力に抗してプーリー半体74はプーリー半体72から遠ざかりVベルト56の巻き掛け半径は減少する。
【0047】
遠心クラッチ75は従動軸54に固定されるアウタープレート75bを備える。アウタープレート75bはクラッチプレート75aに向き合わせられる。クラッチプレート75aが回転すると、遠心力の働きでクラッチプレート75aにアウタープレート75bは結合される。こうして従動プーリー55の回転は従動軸54に伝達される。エンジン回転数が設定回転数を超えると、遠心クラッチ75は動力伝達状態を確立する。
【0048】
減速ギア機構59は、ギア室64に突き出る従動軸54に固定されるドライブギア77と、後輪WRの車軸58に固定されるファイナルギア78と、ドライブギア77およびファイナルギア78の間に配置されるアイドルギア79a、79bとを備える。アイドルギア79a、79bは共通の中間軸81に固定される。アイドルギア85aにドライブギア77が噛み合い、アイドルギア85bにファイナルギア78が噛み合う。こうして従動軸54の回転は減速されて後輪WRの車軸58に伝達される。
【0049】
クランクシャフト45の一端には交流発電機(ACG)82が連結される。交流発電機82は、第1ケース半体28aの外面から突出するクランクシャフト45の一端に固定される筒形のローター82aと、ローター82aに囲まれてクランクシャフト45周りに配置されるステーター82bとを備える。ステーター82bは、第1ケース半体28aに固定されて環状に配列される複数のステーターコアを備える。個々のステーターコアにコイルは巻き付けられる。ローター82aは、ステーターコアの径方向外側で環状の軌道を辿る磁石を備える。ローター82aとステーター82bとの相対回転に応じて交流発電機82は発電する。交流発電機82はACGスターターとして用いられてもよい。
【0050】
第1ケース半体28aには、第1ケース半体28aとの間で発電機室83を形成する発電機カバー84が結合される。発電機室83に交流発電機82は収容される。発電機カバー84には、クランクシャフト45の一端に向き合わせられる位置で空気導入口84aが区画される。空気導入口84aにはラジエーター85が組み込まれる。こうしてラジエーター85は、クランクシャフト45の一端から延長される回転軸線Rx上に位置してクランクケース28に連結される。
【0051】
発電機室83内で、クランクシャフト45の一端には、クランクシャフト45の回転軸線Rx回りで回転する遠心ファン86が結合される。遠心ファン86は、発電機室83を囲む第1ケース半体28a内側の空間に収容される。遠心ファン86は、交流発電機82のローター82aに固定される回転体86aと、回転体86aの表面から回転軸線Rxの軸方向に立ち上がって回転軸線Rx回りの周方向に配列される複数の羽根86bとを備える。遠心ファン86が回転すると、回転体86aの表面に向かって回転軸線Rxの軸方向に空気は引き寄せられ、遠心方向に空気は放出される。軸方向に遠心ファン86に向かって流れる空気はラジエーター85を通過する。
【0052】
内燃機関26には、吸気弁および排気弁を駆動するカムシャフト87に連結されて、カムシャフト87の回転に連動して冷却水を吐出するウオーターポンプ88が搭載される。カムシャフト87の回転駆動にあたって、カムシャフト87のスプロケット89aとクランクシャフト45のスプロケット89bとにカムチェーン91は巻き掛けられる。
【0053】
ウオーターポンプ88は、ラジエーター85を通過する閉じた経路内で冷却水を循環させる。経路は、
図3に示されるように、ウオーターポンプ88の吐出口88aにシリンダーブロック29のウオータージャケット52aを接続する第1管92aと、シリンダーヘッド31のウオータージャケット52bにラジエーター85の導入口を接続する第2管92bと、ラジエーター85の排出口にサーモスタット93を接続する第3管92cとで形成される。サーモスタット93はウオーターポンプ88の吸入管88bに接続される。
【0054】
ウオーターポンプ88から吐出された冷却水は第1管92aからシリンダーブロック29のウオータージャケット52aに導入される。冷却水は、シリンダーブロック29のウオータージャケット52aおよびシリンダーヘッド31のウオータージャケット52bを流通して内燃機関26を冷却する。シリンダーヘッド31から排出される冷却水は第2管92bを経てラジエーター85に流入する。ラジエーター85は冷却水から外気に熱交換する。ラジエーター85は放熱する。ラジエーター85で冷却された冷却水は、第3管92cからサーモスタット93に流入し、ウオーターポンプ88に帰還する。こうして内燃機関26は冷却される。
【0055】
ラジエーター85は、上方に延びるフィラーネック94を有する上タンク95aと、上タンク95aの下方に配置される下タンク95bと、上タンク95aおよび下タンク95bの間に配置されるラジエーターコア95cと、車幅方向外側から上タンク95aを覆うタンクカバー96とを備える。上タンク95aに第2管92bは接続される。下タンク95bに第3管92cは接続される。ラジエーターコア95cは、上タンク95aおよび下タンク95bを接続して上タンク95aから下タンク95bに向かって冷却水を通す配管と、配管に結合される放熱フィンとで形成されればよい。上タンク95aに導入された冷却水はラジエーターコア95cで冷却されて下タンク95bに流入する。
【0056】
図4に示されるように、クランクシャフト45のクランクは、軸受46aで第1ケース半体28aに連結されるクランクジャーナル97aから連続する円板形状のクランクウエブ97と、軸受46bで第2ケース半体28bに連結されるクランクジャーナル98aから連続する円板形状のクランクウエブ98と、クランクジャーナル97a、98aの軸心からずれた位置でクランクウエブ97、98に保持されて、回転軸線Rxに平行な軸線回りで相対回転自在にコネクティングロッド48の大端部に連結されるクランクピン99とを備える。個々のクランクウエブ97、98は、クランクジャーナル97a、98aの軸心回りでクランクピン99からずれた位置で内向き面から突出するバランスウエイト101を有する。
【0057】
クランクウエブ97の外向き面には、回転軸線Rxに同軸にクランクジャーナル97a周りで環状に形成される環状板102が重ねられる。環状板102はクランクウエブ97に結合される。環状板102の外周には、クランクウエブ97の外周よりも径方向外側に突き出る複数のリラクター(被検知体)103が連続する。リラクター103は、
図5に示されるように、クランクシャフト45の回転軸線Rx周りに環状に等間隔に配列される。リラクター103は例えば中心角10度ごとに配列される。リラクター103は例えば磁性体から構成される。
図4に示されるように、シリンダーブロック29に嵌め合わせられてシリンダーボア47を区画するシリンダーライナーには、リラクター103の逃げを構成する欠け104が形成される。リラクター103はクランクシャフト45と一体に回転する。
【0058】
環状板102の内周には、回転軸線Rxに同軸にクランクジャーナル97a周りで環状に形成される覆い板105が連続する。覆い板105は、クランクウエブ97の外向き面との間に油溜まり106を形成する。油溜まり106は、クランクピン99内にクランクピン99の軸心に沿って区画される油路107に接続される。覆い板105の内周は、クランクジャーナル97a周りに環状の隙間すなわち潤滑油の導入口を形成する。覆い板105の内周は軸受46aの内輪に接してもよい。覆い板105は環状板102と協働で遠心オイルフィルターを構成する。遠心オイルフィルターはクランクウエブ97の回転中の遠心力に基づき潤滑油中の異物を濾過する。
【0059】
クランクピン99には、油路107から径方向(軸心に直交する方向)に延びる供給路108が区画される。供給路108の外端はコネクティングロッド48の軸受に開口する。油溜まり106の潤滑油は油路107および供給路108を経てコネクティングロッド48の軸受に供給される。
【0060】
図5に示されるように、クランクケース28にはクランクシャフト45の下方でオイルパン109が形成される。オイルパン109には重力の作用でクランクケース28内の潤滑油が流入する。オイルパン109内の空間にオイルポンプ111の吸入口111aが開口する。オイルポンプ111は、クランクシャフト45の回転に連動して吸入口111aからオイルパン109内の潤滑油を吸い込みクランクケース28内の油通路112(
図4参照)に向けて吐出する。油通路112から油溜まり106や各潤滑部位に潤滑油は供給される。
【0061】
クランクケース28には、検知端113aでリラクター103の軌道に向き合わせられてリラクター103の動きに応じてパルス信号を生成するパルサーセンサー(検知センサー)113が支持される。パルサーセンサー113は、クランクシャフト45の上方で第1ケース半体28aに穿たれるセンサー孔114に外側から差し込まれて、クランク室44に臨む検知端113aを有するセンサー本体115aと、回転軸線Rxの周方向にセンサー孔114の後方でクランクケース28の外面に重ねられ、クランクケース28に締結される取り付け片115bと、クランクケース28の外側でセンサー本体115aの上端から上方に延び、折り返されてセンサー本体115aの側面に束ねられるセンサーハーネス115cとを備える。
【0062】
パルサーセンサー113は、例えば磁気抵抗効果素子の働きで、リラクター103の軌道上で検出される磁性体の有無に応じて電気信号すなわちパルス信号を出力する。パルス信号でクランクシャフト45の角位置は特定される。パルサーセンサー113では最も感度の高い検出軸線113bが回転軸線Rxに指向する。パルサーセンサー113は、シリンダー軸線Cに対してクランクシャフト45回りに90°に近い交差角で交差するレイアウトに配置され、地面GDに直交する車両上下方向に対して後方に傾斜角αで傾斜する姿勢で保持される。センサーハーネス115cはクランクケース28の外面に沿って前方に延びる。
【0063】
図6に示されるように、クランクケース28には、クランクシャフト45の回転軸線Rxに並行に遠心ファン86の気流を流出させる開口116が区画される。開口116の区画にあたって、クランクケース28には、交流発電機82の外周よりも外側の位置で、クランクウエブ97の外周に倣った外壁面よりも遠心方向に膨らむ膨出壁117が形成される。膨出壁117はクランクシャフト45の回転軸線Rxに平行な内壁面を有する。
【0064】
クランクケース28の外面には、クランクケース28の外面との間に、開口116を通じて発電機室83に接続される導風路118を区画する導風部材119が固定される。導風部材119は、
図5に示されるように、パルサーセンサー113に覆い被さる。導風部材119には、クランクケース28の外面に向き合う導風部材119の天板119aから外側に上方に突出してパルサーセンサー113の上端を収容する突出壁121が形成される。
【0065】
図7および
図8を併せて参照し、導風部材119は、クランクシャフト45の回転軸線Rxに並行に延びて、開口116に直列に接続される空間を仕切る第1導風壁122と、第1導風壁122から連続して、湾曲面に倣って、開口116から流出する気流を後輪WRに向かって案内する第2導風壁123とを有する。導風部材119には、パルサーセンサー113の後方で導風部材119の天板119aからクランクケース28に向かって下方に延びる遮蔽板124が一体に形成される。遮蔽板124はパルサーセンサー113と後輪WRとの間で広がって後方からパルサーセンサー113を遮蔽する。遮蔽板124は導風部材119の天板119aから直立するリブ125で補強される。
【0066】
図9に示されるように、発電機カバー84は、クランクシャフト45の回転軸線Rx回りで途切れなく連続して遠心ファン86の外側で遠心ファン86の外周を囲む囲い壁126を備える。囲い壁126は、遠心ファン86の外周に向き合わせられて、遠心ファン86の回転方向DRに沿って第1仕切り片127aで仕切られる上流端から開口116の下流端に位置する第2仕切り片127bまで延びる第1案内壁126aと、遠心ファン86の外周に向き合わせられて、遠心ファン86の回転方向DRに第2仕切り片127bから重力方向で下方に位置する排出口128まで延びる第2案内壁126bとを有する。発電機カバー84の囲い壁126は第1仕切り片127aおよび第2仕切り片127bで遠心ファン86の外周に最接近する。第1案内壁126aは、第1仕切り片127aから下流に向かうにつれて遠心ファン86の外周から遠ざかる。第2案内壁126bは、第2仕切り片127bから下流に向かうにつれて遠心ファン86の外周から遠ざかる。遠心ファン86が回転方向DRに回転すると、遠心ファン86から遠心方向に放出される空気は、第1案内壁126aに案内されて開口116に向かって流れるとともに、第2案内壁126bに案内されて排出口128に向かって流れる。
【0067】
パルサーセンサー113は、回転軸線Rxの無限遠から観察される側面視で、回転軸線Rx回りで周方向に開口116の後端に偏って配置される。パルサーセンサー113の取り付け片115bは、側面視で回転軸線Rx回りの周方向に開口116から外れる方向(ここでは、後方)に配置される。ただし、パルサーセンサー113は、側面視で回転軸線Rx回りの周方向に開口116の前端に偏って配置されてもよい。その場合には、取り付け片115bは、側面視で回転軸線Rx回りの周方向にセンサー本体115aよりも前方に配置されればよい。
【0068】
次に本実施形態に係るパワーユニット25の動作を説明する。内燃機関26で吸気、圧縮、燃焼および排気の行程が繰り返されると、シリンダーボア47内でピストン49は線形往復運動する。クランクシャフト45およびコネクティングロッド48の働きでピストン49の線形往復運動はクランクシャフト45の回転運動に変換される。クランクシャフト45と一体に回転軸線Rx回りでリラクター103は回転する。リラクター103は環状の軌道に沿って移動する。パルサーセンサー113は、リラクター103の軌道上で検出される磁性体の有無に応じてパルス信号を出力する。パルス信号でクランクシャフト45の角位置は特定される。
【0069】
クランクシャフト45の回転はカムチェーン91の働きでカムシャフト87に伝達される。ウオーターポンプ88はカムシャフト87の回転に連動して冷却水を吐出する。冷却水は、経路内を循環し、シリンダーブロック29およびシリンダーヘッド31から熱エネルギーを奪い、ラジエーター85から放熱する。こうして内燃機関26は冷却される。
【0070】
クランクシャフト45の回転は遠心ファン86の回転を引き起こす。遠心ファン86が回転すると、クランクシャフト45の回転軸線Rxに沿って遠心ファン86に向かう外気の気流は生成される。外気は発電機カバー84の空気導入口84aから回転軸線Rxの軸方向に流入する。外気はラジエーター85を通過し冷却水との間で熱交換を実施する。ラジエーター85では冷却水の冷却は促進される。
【0071】
遠心ファン86から遠心方向に放出される空気の一部は第1案内壁126aに案内されて開口116に向かって流れる。気流は開口116からクランクシャフト45の回転軸線Rxに沿って流出する。気流は導風部材119内の導風路118に流入する。導風路118では第1導風壁122および第2導風壁123の働きで気流の向きは変えられ、気流は回転軸線Rxに直交する向きに進む。こうして気流は後輪WRに向かってクランクケース28外に排出される。
【0072】
遠心ファン86から遠心方向に放出される空気の一部は第2案内壁126bに案内されて排出口128に向かって流れる。気流は排出口128から地面GDに向かってクランクケース28外に排出される。
【0073】
本実施形態では、開口116からクランクシャフト45の回転軸線Rxに並行にクランクケース28の外面に沿って流出する気流の経路から後方に外れてパルサーセンサー113は配置される。パルサーセンサー113と、開口116から流出する気流との干渉は最小限に抑制されることから、シリンダー軸線Cに対してクランクシャフト45回りに90°の交差角で交差する位置に開口116が位置しても、パルサーセンサー113は、シリンダー軸線Cに対してクランクシャフト45回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトに配置される。したがって、ピストン49の線形往復運動に応じて内燃機関26がシリンダー軸線Cの方向に振動しても、クランク角の検出にあたって振動の影響はできるだけ抑制される。特に単気筒の内燃機関26ではシリンダー軸線Cに沿って振動の振幅が大きいことから、振動の影響は効果的に抑制される。
【0074】
本実施形態に係るパルサーセンサー113では車両前後方向にセンサー孔114よりも後方に取り付け片115bは位置する。したがって、取り付け片115bは、開口116からクランクシャフト45の回転軸線Rxに並行にクランクケース28の外面に沿って流出する気流の経路からセンサー本体115aよりもさらに後方に外れて配置される。パルサーセンサー113の取り付け片115bは開口116から流出する気流に干渉せずに配置されることから、良好な気流の流通は実現される。
【0075】
本実施形態に係るパワーユニット25では、シリンダーブロック29は、クランクケース28に結合されてクランクケース28の前方に位置し、車両前後方向にピストン49の線形往復運動を案内する。後輪WRはクランクケース28の後方に配置されることから、シリンダー軸線Cに対してクランクシャフト45回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトにパルサーセンサー113が配置されても、パルサーセンサー113と後輪WRとの干渉は回避される。クランクケース28と後輪WRとはできるだけ近づくことができる。パワーユニット25はコンパクトに構成される。
【0076】
本実施形態では、クランクシャフト45の下方でクランクケース28にオイルパン109が形成される一方で、パルサーセンサー113はクランクシャフト45の上方に配置される。シリンダー軸線Cに対してクランクシャフト45回りにできるだけ90°に近い交差角で交差するレイアウトにパルサーセンサー113が配置される際に、パルサーセンサー113はクランクシャフト45の上方に配置され、その結果、パルサーセンサー113はオイルパン109から遠ざけられる。パルサーセンサー113に対してクランクケース28内のオイルの影響は抑制される。
【0077】
本実施形態に係る導風部材119は、クランクシャフト45の回転軸線Rxに並行に延びて、開口116に接続される空間を仕切る第1導風壁122と、第1導風壁122から連続して、湾曲面に倣って、開口116から流出する気流を後輪WRに向かって案内する第2導風壁123とを有する。クランクシャフト45の回転軸線Rxに並行に開口116から流出する気流は第1導風壁122および第2導風壁123に案内されて後輪WRに向かって誘導される。導風部材119はパルサーセンサー113に覆い被さることから、クランクケース28の外側でパルサーセンサー113は路面から跳ね上がる石や水から保護される。しかも、クランクケース28の外側でパルサーセンサー113の露出は回避されるので、パワーユニット25の意匠性は良好に維持される。
【0078】
導風部材119には、パルサーセンサー113の後方で導風部材119からクランクケース28に向かって下方に延びる遮蔽板124が一体に形成される。パルサーセンサー113は後輪WRに巻き上げられる石や水から保護される。特に,遮蔽板124は、後輪WRの回転方向に倣ってパルサーセンサー113の上方の導風部材119から下方に延びるので、パルサーセンサー113は石や水から保護される。
【0079】
本実施形態に係る導風部材119には、クランクケース28の外面に向き合う導風部材119の天板119aから外側に突出してパルサーセンサー113の上端を収容する突出壁121が形成される。クランクケース28の外面から突出するパルサーセンサー113の突出高さに拘わらず、導風部材119の天板119aはクランクケース28の外面に近く位置することができるので、走行車両の空気抵抗の増大は回避されるとともに、導風部材119の内側でクランクケース28の開口116から流出する気流の流通は良好に維持される。
【0080】
その他、
図10に示されるように、環状板102とクランクウエブ97の外向き面との間にはガスケット131が挟まれてもよい。
図11に示されるように、ガスケット131はクランクウエブ97の外周に沿って連続する環状に形成される。ガスケット131は、周方向に等間隔に配置されて、締結具を受け入れる円孔133を形成する締結部131aを有する。クランクウエブ97の外向き面には、回転軸線Rxに直交する平面内で広がって外周に沿って途切れなく連続し、ガスケット131を受け止める受け面134が形成される。ガスケット131は受け面134に密着する。ガスケット131は締結具で環状板102とともにクランクウエブ97に共締めされる。締結具は、環状板102の円孔135に差し込まれて締結部131aの円孔133を貫通しクランクウエブ97のねじ孔136にねじ込まれる。
【0081】
クランクシャフト45の回転時に遠心力が作用しても、油溜まり106から遠心方向に潤滑油の漏れは防止される。クランクシャフト45には、油溜まり106に接続されて、油溜まり106から遠心力に基づき潤滑油を取り込む油路107が形成されることから、油溜まり106から油路107に効率的に潤滑油は流入する。クランクピン99には、油路107からコネクティングロッド48の軸受に延びる供給路108とが形成されることから、油溜まり106からコネクティングロッド48の軸受に効率的に潤滑油は供給される。
【0082】
図12に示されるように、ガスケット131は、環状板102がクランクウエブ97に締結される際に押しつぶされるビード137を有してもよい。ビード137の働きでクランクウエブ97と環状板102との間で密着度は高められる。ビード137は、締結部131aを含む全周にわたって連続する。締結部131aではビード137は円孔133よりも径方向内側に配置される。
図13に示されるように、ビード138は締結部131a以外で連続してもよい。