特許第6795690号(P6795690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795690
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】マルチプロセス硬化方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20201119BHJP
【FI】
   A63B53/04 B
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-514765(P2019-514765)
(86)(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公表番号】特表2019-528890(P2019-528890A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017051775
(87)【国際公開番号】WO2018053263
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年8月27日
(31)【優先権主張番号】62/395,466
(32)【優先日】2016年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ダブリュ. シモーネ
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0231728(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0008726(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0108203(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0102984(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラブヘッドアセンブリを製造する方法であって、
(a)凹部を有するゴルフクラブヘッドとフェースプレートとを提供することであって、前記ゴルフクラブヘッドと前記フェースプレートとは、α−β Ti合金から形成されており、前記α−β Ti合金は、5.5wt%から6.75wt%のアルミニウム(Al)と、3.5wt%から4.5wt%のバナジウム(V)と、最大0.08wt%の炭素(C)と、最大0.03wt%のシリコン(Si)と、最大0.3wt%の鉄(Fe)と、最大0.2wt%の酸素(O)と、最大0.015wt%のスズ(Sn)と、微量のモリブデン(Mo)と、を備える、前記提供することと、
(b)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドの前記凹部に位置合わせすることと、
(c)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドに溶接することと、
(d)所定の時間にわたって前記α−β Ti合金のソルバス温度直下の温度まで、前記クラブヘッドアセンブリを熱処理することと、
(e)前記クラブヘッドアセンブリを室温まで急冷して、前記α−β Ti合金のβ安定体をマルテンサイトに変化させることと、
(f)TiAl溶液温度直下の温度まで前記クラブヘッドアセンブリをエージングすることと、
(g)毎時400℃以下ずつ、前記クラブヘッドアセンブリの温度を室温まで低下することと、を備える方法。
【請求項2】
ステップ(d)の前記クラブヘッドアセンブリは、425℃から550℃のα−β Ti合金溶液中で熱処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、ストレートオイルと、水と、水溶性流体と、微粒分散オイルと、合成流体または半合成流体と、から構成される群から選択される流体を使用して急冷される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、少なくとも550℃/秒の急冷速度で急冷される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(f)の前記クラブヘッドアセンブリは、誘導加熱コイルを用いた誘導加熱によってエージングされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時175℃以下ずつ、室温まで低下される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時350℃以下ずつ、室温まで低下される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、5時間から7時間の時間範囲で、室温まで低下される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、2時間から6時間の時間範囲で、室温まで低下される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、3時間から8時間の時間範囲で、室温まで低下される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
クラブヘッドアセンブリを製造する方法であって、
(a)凹部を有するゴルフクラブヘッドとフェースプレートとを提供することであって、前記ゴルフクラブヘッドと前記フェースプレートとは、α−β Ti合金から形成されており、前記α−β Ti合金は、6wt%のAlと、6wt%のVと、2wt%のSnと、を備える、前記提供することと、
(b)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドの前記凹部に位置合わせすることと、
(c)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドに溶接することと、
(d)所定の時間にわたって、前記α−β Ti合金のソルバス温度直下の温度まで、前記クラブヘッドアセンブリを熱処理することと、
(e)前記クラブヘッドアセンブリを室温まで急冷して、前記α−β Ti合金のβ安定体をマルテンサイトに変化させることと、
(f)TiAl溶液温度直下の温度まで前記クラブヘッドアセンブリをエージングすることと、
(g)毎時400℃以下ずつ、前記クラブヘッドアセンブリの温度を室温まで低下することと、を備える方法。
【請求項12】
ステップ(d)の前記クラブヘッドアセンブリは、400℃から630℃のα−β Ti合金溶液中で熱処理される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、ストレートオイルと、水と、水溶性流体と、微粒分散オイルと、合成流体または半合成流体と、から構成される群から選択される流体を使用して急冷される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、少なくとも2000℃/秒の急冷速度で急冷される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(f)の前記クラブヘッドアセンブリは、誘導加熱コイルを用いた誘導加熱によってエージングされる、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時125℃以下ずつ、室温まで低下される、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時275℃以下ずつ、室温まで低下される、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、5時間から7時間の時間範囲で、室温まで低下される、請求項11から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、7時間から8時間の時間範囲で、室温まで低下される、請求項11から17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、3時間から8時間の時間範囲で、室温まで低下される、請求項11から17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2016年9月16日出願の米国特許仮出願第62/395,466号の利益を主張するものであり、上記出願に開示される全ての内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的には材料硬化方法に関し、より具体的には、ゴルフクラブヘッドの材料硬化方法に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、ゴルフクラブヘッドは、ボールと繰り返し衝突した後も一貫した性能をもたらすように、硬度、降伏および引張強度が高くなるように製造される。ゴルフクラブヘッドの高い硬度、降伏および引張強度の製造は、異なる製造プロセスおよび異なる金属組成によって達成することができる。しかしながら、特定の金属組成物の硬度、降伏および引張強度を増加させると、ゴルフクラブヘッドの延性が低下する可能性がある。低延性のゴルフクラブヘッドは非常に脆く、延性がより高いゴルフクラブヘッドと比較して、ボールとの衝突時に容易に亀裂を生じ、破損する可能性がある。従って、延性を維持しながらゴルフクラブヘッドの高い硬度、降伏および引張強度を生じさせるために、特定の材料に適用される1つまたは複数の製造プロセスの技術が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】フェースプレートが取り付けられたゴルフクラブヘッドの斜視図を示す。
図2】フェースプレートが取り外されたゴルフクラブヘッドの斜視図を示す。
図3】クラブヘッドアセンブリの上面図を示す。
図4】種々の製造プロセスのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の他の態様は、詳細な説明と添付図面を考慮することによって明らかになるだろう。
【0006】
図示を簡単かつ明瞭にする目的で、各図面は構成の一般的な様態を示しており、周知の特徴および技術に関する説明および詳細は、本開示が必要以上に分かりにくくならないようにするために省略される場合がある。さらに、図面の各要素は、必ずしも縮尺に合わせて描かれたものではない。例えば、図面の一部の要素については、本開示の実施形態を理解しやすくするため、他の要素に比べて寸法が誇張されている場合がある。
【0007】
本明細書および特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などの用語がある場合、それらは、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも特定の順序または時系列的順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される上記用語は、適宜入れ替え可能であり、本明細書で説明される実施形態は、例えば、ここに説明または図示されたものと異なる順序でも実施可能であることを理解されたい。さらに、「含む」および「有する」という用語、並びにこれらの類義語は、非排他的包含を含めることを意図しており、列挙される要素を含むプロセス、方法、システム、物品、機器または装置は、必ずしもこれらの要素に限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはこのようなプロセス、方法、システム、物品、機器もしくは装置に本来備わっている他の要素が含まれていてもよい。
【0008】
本明細書および特許請求の範囲において、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「上に」、「下に」などの用語がある場合、これらは説明のために使用されるものであり、必ずしも永続的な相対位置を説明するためのものではない。そのように使用される用語は、適宜入れ替え可能であり、本明細書で説明される装置、方法および/または物品の実施形態は、例えば、本明細書に説明または図示されたものと異なる向きでも実施可能であることを理解されたい。
【0009】
「連結する」「連結される」「連結」「連結している」などの用語は、広義に解釈されるべきであり、2つ以上の要素を機械的に、または別の方法で結合することを指す。(機械的または別の方法による)連結は、例えば、永続的、半永続的、または瞬間のみといった任意の期間にわたってよい。
【0010】
「連結される」などの用語の近くに「着脱可能に」、「着脱可能な」などの用語がない場合でも、当該連結などが着脱可能か否かを意味するものではない。
【0011】
本明細書に定められるように、2つ以上の要素が同じ材料片で構成されている場合は、それらの要素は「一体」である。本明細書に定められるように、2つ以上の要素が異なる材料片で構成されている場合は、それらの要素は「非一体」である。
【0012】
実施例の詳細な説明を始める前に、本開示は、後述の記載で説明されるまたは後述の各図で図示される構成の詳細および構成部品の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本開示は、別の実施例でも実施可能であり、様々な方法によって実施または実行可能である。
【0013】
図1から図3は、ゴルフクラブヘッド10とフェースプレート14を示す。一実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、鋳込材料から形成されており、フェースプレート14は、圧延材料から形成されている。さらに、図示された実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、金属ウッドドライバ用である。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、フェアウェイウッドクラブ、ハイブリッドクラブ、またはアイアンクラブであってよい。ゴルフクラブヘッド10は、さらに、ホーゼル18を備えていてもよい。
【0014】
図2に示されるように、ゴルフクラブヘッド10は、フェースプレート14を受け入れるための凹部または開口22をさらに含む。図示された実施形態では、開口22は、開口22の周囲に延びる縁26を含む。フェースプレート14は、開口に位置合わせされ、縁26に当接する。フェースプレート14は、溶接によってゴルフクラブヘッド10に固定され、クラブヘッドアセンブリ30を形成する。一実施形態では、当該溶接は、パルスプラズマ溶接プロセスである。
【0015】
フェースプレート14は、ヒール端34と、ヒール端34と反対側のトウ端38を含む。ヒール端34は、ホーゼル18に近接して配置されている。フェースプレート14は、さらに、クラウン端42と、クラウン端42と反対側のソール端46を含む。クラウン端42は、クラブヘッド10の上端に隣接して配置されており、ソール端46は、ゴルフクラブヘッド10の下端に隣接して配置されている。図3に示されるように、フェースプレート14は、ヒール端34とトウ端38との間を延びる方向に、バルジ曲率を有する。一実施形態では、フェースプレートは、1.5ミリメートル、1.4ミリメートル、1.3ミリメートル、1.2ミリメートル、1.1ミリメートル、1.0ミリメートル、0.9ミリメートル、0.8ミリメートル、0.7ミリメートル、0.6ミリメートル、0.5ミリメートル、および0.4ミリメートルの最小の壁厚を有してもよい。一実施形態では、フェースプレートは、0.7ミリメートルの最小の壁厚を有してもよい。
【0016】
図4に図示されるように、本明細書に記載されている内容は、製造中にクラブヘッドアセンブリ30の特性を最適化するために適用され得る複合プロセスである。しかしながら、以下においてクラブヘッドアセンブリ30に関してこれらの複合プロセスを説明する際には、複合プロセスは、フェースプレート14およびゴルフクラブヘッド10の個々の要素にもさらに適用可能である。第1プロセスは、アルファ−ベータチタン(α−β Ti)合金溶液のベータ−トランザス(beta−transus)温度直下でのクラブヘッドアセンブリ30の熱処理プロセス100である。ベータ−トランザス温度は、100パーセントのβ相が存在できる最低温度である。第2プロセスは、クラブヘッドアセンブリ30を強化および硬化する急冷法プロセス200である。第3プロセスは、TiAlの転移温度直下まで熱を上げることによって延性を増加させるためのエージング処理300である。エージング処理プロセス300の直後に、クラブヘッドアセンブリ30は熱低下プロセス400を経て、室温まで戻る。熱処理プロセス100と、急冷法プロセス200と、エージング処理プロセス300と、熱低下プロセス400との複合プロセスは、クラブヘッドアセンブリ30の構造的特性を変化させ、最終製品は、脆くなく、高硬度と高降伏と高引張強度を有するクラブヘッドアセンブリ30となる。さらに、より強度の強いクラブヘッドアセンブリ30を有することで、製造者がより厚みの薄いフェースプレート14を設計することが可能となり、それによって、任意のウェイトをゴルフクラブヘッド10の他の位置に配置することができる。クラブヘッドアセンブリ30の異なる位置に任意のウェイトを再配分することにより、重心(CG)および慣性モーメント(MOI)に影響を及ぼしてよい。より厚みの薄いフェースプレート14は、さらに、より高い軌道および/または理想的なスピンのために、ボールとの衝突時により大きな撓みを生じることができる。
【0017】
本発明では、クラブヘッドアセンブリ30は、アルファ−ベータチタン(α−β Ti)合金である材料を備えることができる。フェースプレート14とゴルフクラブヘッド10は、同一のα−β Ti合金、または、互いに異なるα−β Ti合金を備えることができる。α−β Ti合金は、スズのような中性合金化元素と、アルミニウムおよび酸素のようなα安定体を含んでもよい。α−β Ti合金は、モリブデン、シリコン、およびバナジウムのようなβ安定体を含んでもよい。重量パーセントに関して以下に記載されるすべての数字は、総重量パーセント(wt%)である。α−β Ti合金中のα安定体アルミニウムの総重量パーセントは、2wt%から10wt%、3wt%から9wt%、4wt%から8wt%、または5wt%から7wt%であってもよい。α−β Ti合金中のα安定体酸素の総重量パーセントは、0.05wt%から0.35wt%、または0.10wt%から0.20wt%であってもよい。α−β Ti合金中のβ安定体モリブデンの総重量パーセントは、0.2wt%から1.0wt%、または、0.6wt%から0.8wt%、または、微量であってもよい。α−β Ti合金中のβ安定体バナジウムの総重量パーセントは、1.5wt%から7wt%、または、3.5wt%から4.5wt%であってもよい。α−β Ti合金のβ安定体シリコンの総重量パーセントは、0.01wt%から0.10wt%、または、0.03wt%から0.07wt%であってもよい。α−β Ti合金は、Ti−6Al−4V(またはTi6−4)、Ti−9S(またはT−9S)、Ti−662、Ti−8−1−1、Ti−65K、Ti−6246、または、IMI550であってもよい。α安定体とβ安定体とを組み合わせることにより、α−β Ti合金を熱処理することができる。さらに、アルファ安定体のミクロ構造は、延性がより高いため、クラブヘッドアセンブリ30と、フェースプレート14と、クラブヘッドアセンブリ30により高い弾性を与える。弾性が高いと、ボールとの衝突時の亀裂および永久的な変形を防止することができる。さらに、延性が高いと、クラブヘッドアセンブリ30の製品寿命が延びる。ベータミクロ構造は、アルファミクロ構造と異なる働きをする。ベータ安定体のミクロ構造は、強度を増加させるために、特定の温度で溶解され、冷却されて、異なる構造に変化してもよい。製造中に特定のプロセスにおいて特定の温度でα−β Ti合金を操作することによって、クラブヘッドアセンブリ30を、延性を維持しながら、高硬度と高強度となるように最適化できる。
【0018】
一実施形態では、α−β Ti合金は、6wt%のアルミニウム(Al)と4wt%のバナジウム(V)を含むTi6−4であってもよく、残りの合金組成は、チタンと場合によってはいくつかの微量元素であってもよい。いくつかの実施形態では、Ti6−4は、5.5wt%〜6.75wt%のAlと、3.5wt%〜4.5wt%のVと、最大0.08wt%の炭素(C)と、最大0.03wt%のシリコン(Si)と、最大0.3wt%の鉄(Fe)と、最大0.2wt%の酸素(O)と、最大0.015wt%のスズ(Sn)と、微量のモリブデン(Mo)を含み、残りの合金組成は、チタンである。いくつかの実施形態では、Ti6−4は、5.5wt%〜6.75wt%のAlと、3.5wt%〜4.5wt%のVと、0.08wt%以下の炭素(C)と、0.03wt%以下のシリコン(Si)と、0.3wt%以下の鉄(Fe)と、0.2wt%以下の酸素(O)と、0.015wt%以下のスズ(Sn)と、微量のモリブデン(Mo)を含み、残りの合金組成は、チタンである。Ti6−4は、グレード5のチタンである。Ti6−4のソルバス(solvus)温度は、540℃から560℃の間である。いくつかの実施形態では、Ti6−4は、0.1597lb/in(4.37g/cc)の密度を有する。Ti6−4はまた、T−65Kとして指定されてもよい。
【0019】
他の実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、Ti−9S(またはT−9S)のような他のα−β Ti合金であってもよく、Ti−9S(またはT−9S)は、8wt%のAlと、1wt%のVと、0.2wt%のSiを含み、残りの合金組成は、チタンと場合によってはいくつかの微小元素である。いくつかの実施形態では、Ti−9S(またはT−9S)は、6.5wt%〜8.5wt%のAlと、1wt%〜2wt%のVと、最大0.08wt%のCと、最大0.2wt%のSiと、最大0.3wt%のFeと、最大0.2wt%のOと、最大0.05wt%のNと、微量のMoと、微量のSnを含み、残りの合金組成は、チタンである。いくつかの実施形態では、Ti−9S(またはT−9S)は、6.5wt%〜8.5wt%のAlと、1wt%〜2wt%のVと、0.1wt%未満のCと、最大0.2wt%のSiと、最大0.4wt%のFeと、最大0.15wt%のOと、0.05wt%未満のNと、微量のMoと、微量のSnを含み、残りの合金組成は、チタンである。いくつかの実施形態では、Ti−9S(またはT−9S)は、6.5wt%〜8.5wt%のAlと、1wt%〜2wt%のVと、0.1wt%以下のCと、0.2wt%以下のSiと、0.4wt%以下のFeと、0.15wt%以下のOと、0.05wt%未満のNと、微量のMoと、微量のSnを含み、残りの合金組成は、チタンである。Ti−9S(またはT−9S)のソルバス温度は、560℃から590℃である。いくつかの実施形態では、Ti−9S(またはT−9S)は、Ti−8−1−1よりも高い空孔率と低い降伏を有するだろう。Ti−9S(またはT−9S)は、約0.156lb/inから0.157lb/in(4.32〜4.35g/cc)の密度を有する。Ti−9S(またはT−9S)は、0.156lb/in(4.32g/cc)の密度を有する。
【0020】
他の実施形態では、材料は、Ti−6−6−2、Ti6246、または、IMI550のような他のα−β Ti合金であってもよい。チタン662は、6wt%のAlと、6wt%のVと、2wt%のSnを含んでもよく、残りの合金組成は、チタンと場合によってはいくつかの微量元素である。Ti−6−6−2は、0.164lb/in(4.54g/cc)の密度を有する。Ti−6−6−2のソルバス温度は、540℃から560℃である。チタン6246は、6wt%のAlと、2wt%のSnと、4wt%のジルコニウム(Zr)と、6wt%のMoを含んでもよく、残りの合金組成は、チタンと場合によってはいくつかの微量元素である。Ti6246のソルバス温度は、570℃から590℃である。Ti−6246は、0.168lb/in(4.65g/cc)の密度を有する。IMI550は、6wt%のAlと、2wt%のSnと、4wt%のMoと、0.5wt%のSiを含んでもよく、残りの合金成分は、チタンと場合によってはいくつかの微量元素である。IMI550のソルバス温度は、490℃から510℃である。IMI550は、0.157lb/in(4.60g/cc)の密度を有する。
【0021】
他の実施形態では、材料は、Ti−8−1−1のような他のα−β Ti合金であってもよく、Ti−8−1−1は、8wt%のAlと、1.0wt%のMoと、1wt%のVを含んでもよく、残りの合金組成は、チタンと場合によってはいくつかの微量元素である。いくつかの実施形態では、Ti−8−1−1は、7.5wt%〜8.5wt%のAlと、0.75wt%〜1.25wt%のMoと、0.75wt%〜1.25wt%のVと、最大0.08wt%のCと、最大0.3wt%のFeと、最大0.12wt%のOと、最大0.05wt%のNと、最大0.015wt%のHと、最大0.015wt%のSnと、微量のSiを含んでもよく、残りの合金組成は、チタンである。Ti−8−1−1のソルバス温度は、560℃から590℃である。いくつかの実施形態では、Ti−8−1−1は、0.1580lb/in(4.37g/cc)の密度を有する。
【0022】
(熱処理プロセス)
第1プロセスは、ベータ−トランザス温度(またはソルバス温度)直下でのクラブヘッドアセンブリ30の熱処理プロセス100である。クラブヘッドアセンブリ30は、不活性ガスが注入された真空環境チャンバ内で加熱されてもよい。不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、およびキセノン、またはそれらの混合ガスから構成される群から選択可能である。クラブヘッドアセンブリ30は、さらに、誘導加熱コイルを用いた誘導加熱によって加熱されてもよい。誘導加熱コイルを用いた誘導加熱では、交番磁界が材料を貫通し、材料内に電流を発生させる。電流は、材料内の原子を励起し、熱を発生させる。誘導加熱はまた、粒状構造をより強くし、応力は、脆弱点と溶接領域を緩和する。
【0023】
すべてのβ安定体が溶液マトリクス内に溶解してしまうβ−トランザス温度よりも高い温度でのクラブヘッドアセンブリ30の加熱とは異なり、ソルバス温度直下でクラブヘッドアセンブリ30のα−β Ti合金を加熱すると、β安定体の一部だけが溶解する。保持される残りのβ安定体は、急速に冷却されることでマルテンサイトに変化する。マルテンサイトは、強くて硬いメタ安定相であり、クラブヘッドアセンブリ30を硬化しおよび強化する。降伏強度と引張強度においてゴルフクラブヘッド10を硬化および強化することで、ボールに対する衝撃への耐性が促進される。クラブヘッドアセンブリ30を硬化および強化することで、さらに、フェースプレート14の厚みをより薄くすることができる。強度がより高く厚みがより薄いフェースプレート14は、ボールとの衝突時により大きな撓みを生むことができ、さらに、厚みがより薄いフェースプレート14の任意のウェイトは、クラブヘッドアセンブリ30の他の位置に再配分可能である。クラブヘッドアセンブリ30が加熱される温度は、クラブヘッドアセンブリ30が備えるα−β Ti合金に依存する。
【0024】
一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、1時間から6時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、1時間から2時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、1時間から4時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、4時間から6時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、1.5時間から5.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、2時間から5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、2.5時間から4.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、3時間から4時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。
【0025】
一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも1時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも1.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも2時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも2.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも3時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも3.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも4時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも4.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも5.5時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも6時間、α−β Ti合金のソルバス温度以下で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。
【0026】
一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、400℃から630℃で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、425℃から550℃で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、450℃から525℃で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、550℃から625℃で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、30分間、60分間、90分間、120分間、150分間、180分間、210分間、240分間、270分間、300分間、330分間、または、360分間、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃、480℃、490℃、500℃、510℃、520℃、530℃、540℃、550℃、560℃、570℃、580℃、590℃、600℃、610℃、620℃、または、630℃で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。
【0027】
一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも400℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも420℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも440℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも460℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも475℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも480℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも500℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも520℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも540℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも560℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも575℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも580℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも600℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも620℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも625℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、少なくとも630℃の温度で、α−β Ti合金溶液中で熱処理される。
【0028】
(急冷法プロセス)
次に、クラブヘッドアセンブリ30は、クラブヘッドアセンブリ30の熱を制御された急速な方法で室温まで下げるために、急冷法プロセス200を受ける。急冷法プロセス200は、加熱されたクラブヘッドアセンブリ30を選択された温度の流体内に急速に入れることによって行われる。急冷法プロセス200中に熱が急速に下がることで、保持されているβ安定体の一部といくらかの変化したαを依然として備えながら、残りのβ安定体の大部分をマルテンサイト粒子に変化させることができる。マルテンサイト粒子は、強くて硬いメタ安定相であるため、クラブヘッドアセンブリ30の強度と硬度を増加させる。クラブヘッドアセンブリ30の強度と硬度が増すことで、フェースプレート14の厚みをより薄くすることができるため、ボールとの衝突時により大きな撓みを有する。フェースプレート14の厚みが薄いと、さらに、CGの配置とMOIを最適化するために、任意のウェイトをクラブヘッドアセンブリ30の他の位置に配置することができる。
【0029】
急冷法プロセス200で使用される流体は、液体またはガスであってよい。液体は、ストレートオイル、水、水溶性流体、微粒分散オイル、および、合成流体または半合成流体を含む。ストレートオイルは、ベースミネラルと、石油と、脂肪、植物油、およびエステルのような極性潤滑剤を含んでよい。ストレートオイルは、さらに、塩素、硫黄、およびリンのような極圧添加剤を含んでよい。水溶性流体は、水と混合するとエマルションを形成する高希釈オイルである。微粒分散オイルは、ミネラルまたは石油中のPTFE、グラファイト、および二硫化モリブデンまたは窒化ホウ素のような固体潤滑剤粒子の分散物を含む。合成流体または半合成流体は、シリコン、ポリグリコール、エステル、ジエステル、クロロフルオロカーボン(CFC)、および、合成流体と水との混合物などの合成混合物に基づくグリスである。ガスは、窒素のような不活性ガス、またはすべての希ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、および、ラドン)を含む。
【0030】
急冷法プロセス200では、急冷速度として知られている極めて速い速度でクラブヘッドアセンブリ30を室温まで冷却する。急冷速度によって、マルテンサイトに変化する残りのβ安定体の量が決まる場合がある。一実施形態では、急冷法プロセス200の急冷速度は、2000℃/秒である。他の実施形態では、急冷速度は、少なくとも550℃/秒、少なくとも750℃/秒、少なくとも1000℃/秒、少なくとも1500℃/秒、少なくとも1700℃/秒、少なくとも2000℃/秒、少なくとも2300℃/秒、少なくとも2500℃/秒、少なくとも2700℃/秒、少なくとも3000℃/秒、少なくとも3300℃/秒、少なくとも3500℃/秒、少なくとも3700℃/秒、少なくとも4000℃/秒、少なくとも4300℃/秒、少なくとも4500℃/秒、少なくとも4700℃/秒、少なくとも5000℃/秒、少なくとも5300℃/秒、少なくとも5500℃/秒、少なくとも5700℃/秒、少なくとも6000℃/秒、少なくとも6300℃/秒、少なくとも6500℃/秒、少なくとも6700℃/秒、少なくとも7000℃/秒、少なくとも7300℃/秒、少なくとも7500℃/秒、少なくとも7700℃/秒、または、少なくとも8000℃/秒であってよい。
【0031】
(エージング処理プロセス)
急冷法プロセス200で残りのβ安定体がマルテンサイトに変化した後、クラブヘッドアセンブリ30は、次に、エージング処理プロセス300を受ける。エージング処理プロセス300では、クラブヘッドアセンブリ30の構造的特性をさらに操作するために、クラブヘッドアセンブリ30の温度を上げる。具体的には、エージング処理プロセス300は、クラブヘッドアセンブリ30の強度をさらに増加させ、クラブヘッドアセンブリ30の延性が減少しすぎることを防ぐ。さらに、エージング処理プロセス300は、クラブヘッドアセンブリ30の特定の部分に適用されてもよく、それにより、強度が増加した構造的特性がその領域に集中する。エージング処理プロセス300は、エージングオーブンによる従来の加熱、または誘導加熱コイルによる誘導加熱によって実施されてよい。
【0032】
エージングオーブンでの従来の加熱では、熱は、伝導、対流、または放射によって材料の表面に伝わり、熱伝導によって材料の内部に伝わる。従来の加熱によって、材料の分子構造を均一な構造とすること、材料のマトリクス内により大きな粒状構造を成長させること、脆弱点を消失させること、並びに溶接領域の応力緩和させることが可能である。
【0033】
従来の加熱でのエージングオーブンの温度は、エージング速度で上昇させてよい。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30に適用されるエージング速度は、400℃/0.5時間である。他の実施形態では、適用されるエージング速度は、少なくとも100℃/0.5時間、少なくとも150℃/0.5時間、少なくとも200℃/0.5時間、少なくとも250℃/0.5時間、少なくとも300℃/0.5時間、少なくとも350℃/0.5時間、少なくとも400℃/0.5時間、少なくとも450℃/0.5時間、少なくとも500℃/0.5時間、少なくとも550℃/0.5時間、少なくとも600℃/0.5時間、少なくとも650℃/0.5時間、少なくとも700℃/0.5時間、少なくとも750℃/0.5時間、少なくとも800℃/0.5時間、少なくとも850℃/0.5時間、少なくとも900℃/0.5時間、少なくとも950℃/0.5時間、または、少なくとも1000℃/0.5時間であってよい。
【0034】
クラブヘッドアセンブリ30をエージングするための誘導加熱は、上記に記載された熱処理プロセス100の誘導加熱と同様である。エージングオーブンの温度と同様に、誘導加熱コイルの温度も、誘導加熱速度で上昇させてよい。一実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30に適用される誘導加熱速度は、400℃/0.5時間であってよい。他の実施形態では、適用される誘導加熱速度は、少なくとも100℃/0.5時間、少なくとも150℃/0.5時間、少なくとも200℃/0.5時間、少なくとも250℃/0.5時間、少なくとも300℃/0.5時間、少なくとも350℃/0.5時間、少なくとも400℃/0.5時間、少なくとも450℃/0.5時間、少なくとも500℃/0.5時間、少なくとも550℃/0.5時間、少なくとも600℃/0.5時間、少なくとも650℃/0.5時間、少なくとも700℃/0.5時間、少なくとも750℃/0.5時間、少なくとも800℃/0.5時間、少なくとも850℃/0.5時間、少なくとも900℃/0.5時間、少なくとも950℃/0.5時間、または、少なくとも1000℃/0.5時間であってよい。
【0035】
エージング処理プロセス300中、クラブヘッドアセンブリ30は、TiAlの転移温度直下まで加熱される。TiAlの転移温度直下に到達すると、TiAlの析出体は、溶液マトリクス内に移動し、α−β Ti合金の粒子境界に沿って沈殿する。粒子境界周辺に集中する析出体により、粒子境界の厚みが増すため、クラブヘッドアセンブリ30の強度と硬度が増加する。エージング処理プロセス300は、クラブヘッドアセンブリ30の強度と硬度を増加させるため、フェースプレート14を少ない材料で製造可能であり、従って、ボールとの衝突時にフェースプレート14により大きな撓みを与えることができる。厚みのより薄いフェースプレート14により、さらに、最適なCGの配置とMOIのために、ゴルフクラブヘッドの任意のウェイトを、ゴルフクラブヘッドの異なる位置に再配分することが可能である。粒子境界周辺に集中する析出体は、さらに、応力緩和体としても作用する。クラブヘッドアセンブリ30の応力を緩和することで、クラブヘッドアセンブリ30の延性を維持しやすくなり、それにより亀裂と永久変形を防ぐことができる。
【0036】
(熱低下プロセス)
エージング処理プロセス300を受けた後、クラブヘッドアセンブリ30は、熱低下プロセス400において、比較的遅い冷却速度で室温まで冷却される。比較的遅い冷却速度により、クラブヘッドアセンブリ30の延性が、クラブヘッドアセンブリ30が脆くなってしまうまで減少しないように維持しやすくすることできる。さらに、比較的遅い冷却速度により、クラブヘッドアセンブリ30が酸化される可能性も低下する。上記のエージング処理プロセス300から、誘導加熱コイルまたはエージングオーブンの温度をゆっくりと低下させることで、室温までクラブヘッドアセンブリ30に熱低下プロセス400を実施することができる。クラブヘッドアセンブリ30をセラミック材料に浸漬させることによって、または、対流冷却によって、クラブヘッドアセンブリ30をゆっくりと室温までさらに冷却することができる。
【0037】
誘導加熱によってクラブヘッドアセンブリ30を冷却することで、冷却時間を大幅に長くすることができる。冷却時間は、クラブヘッドアセンブリ30に適用されている誘導加熱コイルの温度によって完全に制御される。クラブヘッドアセンブリ30の冷却時間を長くすると、ゴルフクラブヘッドの延性を維持することができる。クラブヘッドアセンブリ30が強化および硬化プロセスを受ける間に延性が維持されることで、ゴルフクラブヘッドが脆くなりすぎることが防止される。
【0038】
クラブヘッドアセンブリ30の温度がTiAl溶液温度直下に到達し、析出体が粒子境界に沿って集中すると、誘導加熱コイルの温度はゆっくりと下げられる。誘導加熱コイルの温度は、クラブヘッドアセンブリ30が室温に到達するまで、徐々にゆっくりと低下してよい。一実施形態では、誘導コイルの温度は、毎時100℃ずつ低下してよい。他の実施形態では、誘導コイルの温度は、毎時50℃以下、毎時75℃以下、毎時100℃以下、毎時125℃以下、毎時150℃以下、毎時175℃以下、毎時200℃以下、毎時225℃以下、毎時250℃以下、毎時275℃以下、毎時300℃以下、毎時325℃以下、毎時350℃以下、毎時375℃以下、または、毎時400℃以下ずつ低下してよい。
【0039】
誘導コイルの温度を下げることでクラブヘッドアセンブリ30が室温に到達するまでの時間は、1時間から8時間の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、1時間から2時間、2時間から3時間、3時間から4時間、4時間から5時間、5時間から6時間、6時間から7時間、7時間から8時間、2時間から6時間、4時間から8時間、5時間から7時間、または、3時間から8時間で誘導加熱によって室温に到達してよい。
【0040】
クラブヘッドアセンブリ30をセラミック材料「風呂」に浸漬させることでクラブヘッドアセンブリ30を冷却することにより、ゴルフクラブヘッドの冷却時間を長くしやすくなる。風呂は、セラミック材料に電圧を印加することによって加熱または冷却可能なセラミックビーズまたはセラミックの塊を備える。誘導加熱コイルの温度と同様に、セラミック材料風呂の温度は、徐々に下げられてよい。さらに、誘導加熱コイルと同様に、セラミック材料風呂は、クラブヘッドアセンブリ30の冷却時間を長くすることによって、クラブヘッドアセンブリ30の延性を維持してよい。
【0041】
セラミック材料風呂の温度は、クラブヘッドアセンブリ30が室温に到達するまで、ゆっくりと徐々に低下してよい。一実施形態では、セラミック材料風呂の温度は、毎時100℃ずつ低下してよい。他の実施形態では、セラミック材料風呂の温度は、毎時50℃以下、毎時75℃以下、毎時100℃以下、毎時125℃以下、毎時150℃以下、毎時175℃以下、毎時200℃以下、毎時225℃以下、毎時250℃以下、毎時275℃以下、毎時300℃以下、毎時325℃以下、毎時350℃以下、毎時375℃以下、または、毎時400℃以下ずつ低下してよい。
【0042】
セラミック材料風呂の温度を低下させることでクラブヘッドアセンブリ30が室温まで到達する時間は、1時間から8時間の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、クラブヘッドアセンブリ30は、1時間から2時間、2時間から3時間、3時間から4時間、4時間から5時間、5時間から6時間、6時間から7時間、7時間から8時間、2時間から6時間、4時間から8時間、5時間から7時間、または3時間から8時間のセラミック材料風呂によって室温まで到達してよい。
【0043】
対流冷却によって、比較的遅い冷却速度で、クラブヘッドアセンブリ30全体を室温まで冷却することができる。対流冷却は、周囲の流体の動きによって、加熱された材料を室温まで冷却させることによって行われる。クラブヘッドアセンブリ30の対流冷却に使用される周囲の流体は、不活性ガスで真空にされた環境下のチャンバ内にあってもよいし、大気のような非封止環境にあってもよい。不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、または、それらの混合ガスから構成される群から選択されてよい。大気または不活性ガスは、クラブヘッドアセンブリ30の冷却時間を長くし、それにより酸化が発生する可能性を低下させ、さらに、クラブヘッドアセンブリ30が脆くならないように延性を維持しやすくなる。
【0044】
いくつかの実施形態では、冷却時間を長くするために、誘導加熱コイルの温度をゆっくりと下げることによって、クラブヘッドアセンブリ30に熱低下プロセス400を実施する。他の実施形態では、セラミック材料風呂によって、クラブヘッドアセンブリ30に熱低下プロセス400を実施する。他の実施形態では、対流冷却によって、クラブヘッドアセンブリ30に熱低下プロセス400を実施する。他の実施形態では、誘導加熱、セラミック材料風呂、および対流冷却の任意の組み合わせによって、クラブヘッドアセンブリ30に熱低下プロセス400を実施する。
【0045】
(例)
一例では、Ti−6−4を備えるゴルフクラブヘッドは、熱処理プロセス100と、急冷法プロセス200と、エージング処理プロセス300と、熱低下プロセス400の複合プロセスを受けた。複合プロセスは、さらに、ゴルフクラブヘッドの延性が低下しすぎることを防ぐ。複合プロセスの後、ゴルフクラブヘッドの測定が行われ、160ksiの降伏強度、170ksiの引張強度、10%の伸び率(伸び率は延性の評価指標)、および、(ロックウェル硬度Cスケールに基づく)C41の硬度レベルを有すると測定された。アニールされたTi−6−4を備えるゴルフクラブヘッドと比較して、複合プロセスを経たTi−6−4は、降伏強度が25%高く、引張強度が25.9%高く、さらに硬度レベルが6増加した。さらに、強度を増加する他のプロセスを受けたTi−6−4を備える他のゴルフクラブヘッドと比較して、複合プロセスは、ゴルフクラブヘッドの延性が脆くなるまで減少することを防いだ。
【0046】
他の例では、Ti−6−6−2を備えるクラブヘッドアセンブリ30は、熱処理プロセス100と、急冷法プロセス200と、エージング処理プロセス300と、熱低下プロセス400の複合プロセスを受けた。複合プロセスは、さらに、ゴルフクラブヘッドの延性が低くなりすぎないように維持しやすくする。複合プロセスの後、クラブヘッドアセンブリ30の測定が行われ、161ksiの降伏強度、175ksiの引張強度、8%の伸び率、および、C42の硬度レベルを有すると測定された。アニールされたTi−6−6−2を備えるゴルフクラブヘッドと比較して、複合プロセスを経たTi−6−6−2は、降伏強度が13.3%高く、引張強度が15.1%高く、さらに硬度レベルが4増加した。さらに、異なる強度増加プロセスを受けたTi−6−6−2を備える他のゴルフクラブヘッドと比較して、複合プロセスは、ゴルフクラブヘッドの延性が比較的低くなりすぎないように維持した。
【0047】
1つ以上の特許請求される要素の置き換えは、再構築を構成するものであり、修復とはならない。さらに、利益、他の利点、および問題に対する解決策を特定の実施形態に関して説明してきた。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、および利益、利点、または今後生じるもしくは顕著になる解決策につながり得る任意の要素または複数の要素は、任意のまたは全ての請求項の重要な、不可欠の、または必須の特徴または要素として解釈されるべきではない。
【0048】
ゴルフのルールは変更されることがあるので(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(Royal and Ancient Golf Club of St. Andrews:R&A)などのゴルフ標準化組織および/またはゴルフ管理団体により、新しい規定が採用されたり、古いルールが廃止もしくは改訂される場合がある)、本明細書で説明される製造装置、製造方法および製造品に関するゴルフ用具は、任意の特定の時点におけるゴルフのルールに適合している場合もあり、適合していない場合もある。従って、本明細書で説明される製造装置、製造方法および製造品に関するゴルフ用具は、適合または不適合のゴルフ用具として広告され、売り出され、かつ/または販売される場合がある。本明細書で説明される製造装置、製造方法および製造品は、この点に関して限定されない。
【0049】
ドライバー型のゴルフクラブに関して上記の例を説明することがあったが、本明細書で説明される製造装置、製造方法および製造品は、他の型のゴルフクラブ(フェアウェイウッドゴルフクラブ、ハイブリッドゴルフクラブ、アイアンゴルフクラブ、ウェッジゴルフクラブまたはパターゴルフクラブなど)に適用可能であってもよい。あるいは、本明細書で説明される製造装置、製造方法および製造品は、他の種類のスポーツ用品(ホッケースティック、テニスラケット、釣り竿、スキーストックなど)に適用可能であってもよい。
【0050】
さらに、本明細書で開示された実施形態および限定は、その実施形態および/または限定が、(1)請求項において明示的に特許請求されておらず、(2)均等論の下で請求項中の明示的な要素および/または限定の均等物または潜在的な均等物である場合、公有の原則(doctrine of dedication)の下で公衆に供されることはない。
【0051】
本開示の様々な特徴および利点は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
クラブヘッドアセンブリの方法であって、
(a)凹部を有するゴルフクラブヘッドとフェースプレートとを提供することであって、前記ゴルフクラブヘッドと前記フェースプレートとは、α−β Ti合金から形成されており、前記α−β Ti合金は、5.5wt%から6.75wt%のアルミニウム(Al)と、3.5wt%から4.5wt%のバナジウム(V)と、最大0.08wt%の炭素(C)と、最大0.03wt%のシリコン(Si)と、最大0.3wt%の鉄(Fe)と、最大0.2wt%の酸素(O)と、最大0.015wt%のスズ(Sn)と、微量のモリブデン(Mo)と、を備える、前記提供することと、
(b)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドの前記凹部に位置合わせすることと、
(c)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドに溶接することと、
(d)所定の時間にわたって前記α−β Ti合金のβ−トランザス温度直下の温度まで、前記クラブヘッドアセンブリを熱処理することと、
(e)前記クラブヘッドアセンブリを室温まで急冷することと、
(f)TiAl溶液温度直下の温度まで前記クラブヘッドアセンブリをエージングすることと、
(g)毎時400℃以下ずつ、前記クラブヘッドアセンブリの温度を室温まで低下することと、を備える方法。
(項目2)
ステップ(d)の前記クラブヘッドアセンブリは、425℃から550℃のα−β Ti合金溶液中で熱処理される、項目1に記載の方法。
(項目3)
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、ストレートオイルと、水と、水溶性流体と、微粒分散オイルと、合成流体または半合成流体と、から構成される群から選択される流体を備える、項目1に記載の方法。
(項目4)
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、少なくとも550℃/秒の急冷速度で急冷される、項目1に記載の方法。
(項目5)
ステップ(f)の前記クラブヘッドアセンブリは、誘導加熱コイルを用いた誘導加熱によってエージングされる、項目1に記載の方法。
(項目6)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時175℃以下ずつ、室温まで低下される、項目1に記載の方法。
(項目7)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時350℃以下ずつ、室温まで低下される、項目1に記載の方法。
(項目8)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、5時間から7時間の時間範囲で、室温まで低下される、項目1に記載の方法。
(項目9)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、2時間から6時間の時間範囲で、室温まで低下される、項目1に記載の方法。
(項目10)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、3時間から8時間の時間範囲で、室温まで低下される、項目1に記載の方法。
(項目11)
クラブヘッドアセンブリの方法であって、
(a)凹部を有するゴルフクラブヘッドとフェースプレートとを提供することであって、前記ゴルフクラブヘッドと前記フェースプレートとは、α−β Ti合金から形成されており、前記α−β Ti合金は、6wt%のAlと、6wt%のVと、2wt%のSnと、を備える、前記提供することと、
(b)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドの前記凹部に位置合わせすることと、
(c)前記フェースプレートを前記ゴルフクラブヘッドに溶接することと、
(d)所定の時間にわたって、前記α−β Ti合金のβ−トランザス(β−transus)温度直下の温度まで、前記クラブヘッドアセンブリを熱処理することと、
(e)前記クラブヘッドアセンブリを室温まで急冷することと、
(f)TiAl溶液温度直下の温度まで前記クラブヘッドアセンブリをエージングすることと、
(g)毎時400℃以下ずつ、前記クラブヘッドアセンブリの温度を室温まで低下することと、を備える方法。
(項目12)
ステップ(d)の前記クラブヘッドアセンブリは、400℃から630℃のα−β Ti合金溶液中で熱処理される、項目11に記載の方法。
(項目13)
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、ストレートオイルと、水と、水溶性流体と、微粒分散オイルと、合成流体または半合成流体と、から構成される群から選択される流体を備える、項目11に記載の方法。
(項目14)
ステップ(e)の前記クラブヘッドアセンブリは、少なくとも2000℃/秒の急冷速度で急冷される、項目11に記載の方法。
(項目15)
ステップ(f)の前記クラブヘッドアセンブリは、誘導加熱コイルを用いた誘導加熱によってエージングされる、項目11に記載の方法。
(項目16)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時125℃以下ずつ、室温まで低下される、項目11に記載の方法。
(項目17)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、毎時275℃以下ずつ、室温まで低下される、項目11に記載の方法。
(項目18)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、5時間から7時間の時間範囲で、室温まで低下される、項目11に記載の方法。
(項目19)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、7時間から8時間の時間範囲で、室温まで低下される、項目11に記載の方法。
(項目20)
ステップ(g)の前記クラブヘッドアセンブリの前記温度は、3時間から8時間の時間範囲で、室温まで低下される、項目11に記載の方法。
図1
図2
図3
図4