【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、本発明に従って、独立請求項1に記載の複合ペイン、動力乗り物用の複合ペインを製造するための方法によって達成される。好ましい実施態様は、従属請求項から明らかである。
【0010】
本発明による方法は、少なくとも、以下を含む:
熱可塑性フレームフィルムの凹部に機能要素を配置すること;
第一のガラスペイン及び第二のガラスペインの間に、機能要素と一緒に、熱可塑性フレームフィルムを、面が一致するように配置して、積層体を形成すること;及び
続いて、積層によって、積層体を結合させ、複合ペインを形成すること。
機能要素は、特に、可変の光学特性を有しており、これは、例えば、光の透過性レベル、光の散乱度、光偏光、又は発光に影響を与えることができる。この凹部は、好ましくは、凹部の端と機能要素の間に小さな隙間、例えば、5mm未満、好ましくは1mm未満の許容可能な隙間を有しつつ、機能要素におおよそ一致するようにして実施されており、それによって、この凹部がまた、機能要素よりもわずかに大きいものであり得るようにされている。機能要素の周辺の熱可塑性フレームは、好ましくは同じ厚さの、一致して重ね合わされている複数のフレームフィルムによって、形成することもできる。
【0011】
本発明に照らして、「凹部」とは、フレームフィルムの連続的な凹部を意味し、いわば、拡張されたホール又は通路を意味する。この凹部は、典型的には、フレームフィルムの領域を切り取ることによって作製されるので、しばしば、「切り欠き部」とも称される。
【0012】
熱可塑性フレームフィルムと機能要素とは、異なる厚さを有している。したがって、機能要素が、凹部に挿入されたときに、オフセットが生じることになる。すなわち、熱可塑性フレームフィルムから機能要素へ移行するところで、共通する表面が、段(ステップ)を有する。このオフセットは、続く積層の時点で問題を引き起こし得る。機能要素がフレームフィルムよりも厚いと、機能要素それ自体に張力が生じる。機能要素がフレームフィルムよりも薄いと、機能要素に軸方向に作用する張力が、積層後に生じる。この両方の場合に、機能要素の損傷が起こり得る。そのほかにも、光学的ひずみが生じる可能性があり、又はガラスペインが破損する可能性がある。オフセットは、積層体内の段(ステップ)とも称される。オフセットは、積層体のすべての構成部分の総厚における、局所的な変動として作用する。
【0013】
本発明の着想は、少なくとも一つの熱可塑性補償フィルムを用いて、フレームフィルムと機能要素との厚さの差を、少なくとも部分的に相殺すること、又は完全に相殺することにある。この手法によって、臨界的な高さとなる段は、回避されるべきである。補償フィルムを使用することによって、生じるオフセットを減少させる。したがって、最大オフセットは、補償フィルムを使用しないときのオフセットとして生じるフレームフィルムと機能要素との厚さの差よりも小さい。理想的には、生じる最大オフセットは、最大で、補償フィルムの厚さに相当するか、又は補償フィルムの厚さよりも小さい。「少なくとも部分的な相殺」との表現は、もちろん、補償フィルムによって、オフセットが完全には消失しないが、低減されることを意味する。
【0014】
オフセットを減少させることができるようにするために、補償フィルムは、厚さの差の2倍、すなわち、フレームフィルムと機能要素との間のオフセットの高さの2倍よりも小さい厚さでなければならない。理想的には、補償フィルムの厚さは、フレームフィルムと機能要素の厚さの差よりも小さい。オフセットの大きさは、以下に説明するとおり、実施態様に応じた正確な関係を有しながら、補償フィルムの厚さに実質的に依存する。
【0015】
補償フィルムを使用した結果として、好ましくは、100μmを超えるオフセットは、積層体には生じない。
【0016】
特に好ましい実施態様では、50μmを超えるオフセットは、積層体には生じない。発明者らは、そのようなオフセットでさえも、光学的ひずみや、さらにはガラスの破損のリスクが存在することを見出した。もちろん、熱可塑性フレームフィルムと機能要素の厚さの差が50μmを超える場合にのみ、このための補償フィルムを使用することは道理にかなっている。
【0017】
本発明による補償フィルムは、特に、その厚さが、フレームフィルムとは異なっており、この補償フィルムは、フレームフィルムよりも実質的に薄い厚さを有している。その結果、任意の厚さの明確な差を、柔軟に相殺することができる。例えば、補償フィルムの厚さは、最大で、フレームフィルムの厚さの5分の1である。
【0018】
厚さの差に関して、フレームフィルムの厚さが、機能要素の厚さよりも大きい場合、又は機能要素の厚さよりも小さい場合、という2つの場合が起こり得る。
【0019】
本発明の第一の実施態様によれば、熱可塑性フレームフィルムの厚さは、機能要素の厚さよりも大きい。その結果、フレームフィルムの凹部は、機能要素で完全には占められず、この凹部内の空いたスペースが、積層体内に残存する。厚さの差を相殺するために、熱可塑性補償フィルムは、凹部内の機能要素上に配置される。この場合に、補償フィルムは、好ましくは、実質的に、凹部に及び機能要素に合致している。また、特に、厚さの差が、補償フィルムの厚さの少なくとも1.5倍、又はさらには少なくとも2倍である場合に、複数の補償フィルムを、機能要素の上に互いに重ねて配置することができる。本発明の状況の範囲内において、当業者は、必要な数の補償フィルムを機能要素上に配置することができ、それによって、凹部内に残存する空いたスペースが、補償フィルムよりも小さい厚さを有するか、あるいは最も上にある補償フィルムが、部分的に凹部内に配置され、かつ部分的に凹部を越えて突出するか、のいずれかとなる。どちらの状況でも、補償フィルムを使用しない状態に比べて、オフセットを低減することができる。
【0020】
この第一の実施態様では、補償フィルムが、フレームフィルムと機能要素の厚さの差の2倍の大きさよりも小さい厚さを有する場合に、オフセットを低減することができる。補償フィルムの厚さが、この厚さの差よりも大きい場合は、補償フィルムは、フレームフィルム凹部を越えて突出するが、残存するオフセットは低減される。補償フィルムの厚さが、この厚さの差よりも小さい場合は、特に良好な結果が得られる。
【0021】
したがって、要するに、この第一の実施態様は、少なくとも以下を含む、複合ペインを製造するための方法である:
熱可塑性フレームフィルムの凹部に機能要素を配置すること;
第一のガラスペイン及び第二のガラスペインの間に、機能要素と一緒に、熱可塑性フレームフィルムを配置して、積層体を形成すること;及び
続いて、積層によって、積層体を結合させ、複合ペインを形成すること;
ここで、熱可塑性フレームフィルムは、機能要素よりも大きい厚さを有しており、かつ熱可塑性フレームフィルムと機能要素の厚さの差の2倍の大きさよりも小さい厚さの補償フィルムが、凹部内の機能要素上に配置される。
【0022】
本発明の第二の実施態様によれば、熱可塑性フレームフィルムの厚さは、機能要素の厚さよりも小さい。したがって、機能要素は、凹部を越えて突出する。フレームフィルムと機能要素の厚さの差を相殺するために、熱可塑性補償フィルムが、凹部周辺で、フレーム状に、熱可塑性フレームフィルム上に配置されている。「フレーム状の/フレーム状に」という表現は、補償フィルムが、実質的に完全に凹部を取り囲んでいることを意味する。フレーム状の補償フィルムは、好ましくは、この凹部とおおよそ同一平面で配置される。フレーム状の補償フィルムは、いわば、同様に凹部を有し、フレームフィルムの凹部と補償フィルムの凹部とが、好ましくは、おおよそ合致しており、それによって、これらが、同一平面になるようにされている。したがって、補償フィルムは、機能要素の突出部分を取り囲んでいる。もちろん、この実施態様でも同様に、必要に応じて、複数のフレーム状の補償フィルムを互いに重ねて配置することができる。
【0023】
フレームフィルムと機能要素の厚さの差よりも大きいが、この厚さの差の2倍の大きさよりは小さい厚さの補償フィルムを用いることによって、第二の実施態様における、機能要素の縁に残存する段もまた、低減することができる。しかしながら、補償フィルムの厚さに相当するオフセットが、機能要素から離れた側に面した補償フィルムの側端部に作り出されることになる。したがって、第二の実施態様では、フレームフィルムと機能要素の厚さの差よりも小さい厚さを有するような補償フィルムのみが、道理にかなったものとなる。
【0024】
したがって、要するに、この第二の実施態様は、少なくとも以下を含む、複合ペインを製造するための方法である:
熱可塑性フレームフィルムの凹部に機能要素を配置すること;
第一のガラスペイン及び第二のガラスペインの間に、機能要素と一緒に、熱可塑性フレームフィルムを配置して、積層体を形成すること;及び
続いて、積層によって、積層体を結合させ、複合ペインを形成すること;
ここで、熱可塑性フレームフィルムは、機能要素よりも小さい厚さを有しており、かつ熱可塑性フレームフィルムと機能要素の厚さの差よりも小さい厚さの補償フィルムが、凹部の周辺でフレーム状に、熱可塑性フレームフィルム上に配置される。
【0025】
フレーム状の補償フィルムが幅広であればあるほど、積層の間に、その上を覆うガラスペインの曲げは少なくなり、光学的ひずみ及び機械的応力をより効果的に回避することができる。その上限は、複合ペインの大きさによって定まり、それによって、補償フィルムが、最大で、フレームフィルムにおおよそ合致するように実施されるようになっている。しかしながら、より幅の小さい補償フィルムは、材料を節約するので、より経済的である。したがって、補償フィルムは、好ましくは、フレームフィルム又は複合ペインの側端部まで延在せず、それゆえに、フレームフィルムと合致するようには実施されず、代わりに、フレームフィルムよりも小さい面積を有する。フレーム状の補償フィルムの幅は、好ましくは、補償フィルムの厚さの少なくとも200倍、より好ましくは、少なくとも500倍である。したがって、その上を覆っているガラスの曲げは、良好な積層の結果を保証する程度まで減少する。典型的には、補償フィルムの幅は、好ましくは、少なくとも10mm、特に好ましくは、少なくとも15mmである。「フレーム状の補償フィルムの幅(フレーム幅)」との用語は、凹部に面した補償フィルムの内部境界縁部と、凹部から離れた側に面した補償フィルムの外部境界縁部との間の距離を意味する。
【0026】
この第二の実施態様の特に有利な変形では、フレームフィルムと機能要素の厚さの差が、補償フィルムの厚さの1.5倍を超え、特に、2倍を超える場合には、複数の補償フィルムが、フレームフィルム上に互いに重ねて配置され、かつそれぞれの場合に、凹部の周辺でフレーム状に配置され、この複数の補償フィルムの幅は、フレームフィルムから離れるにつれて減少する。したがって、補償フィルムは、いわば、ピラミッド状に互いに重ねて配置され、それによって、それぞれの補償フィルムが、その下を覆う補償フィルムに対して(又は、最も下にある補償フィルムの場合は、その下を覆うフレームフィルムに対して)、段を形成するようにされている。したがって、大きな段の発生は効果的に防止され、積層の間の応力は回避される。本発明に関連して、当業者は、フレームフィルム上に必要な数の補償フィルムを配置することができ、それによって、最も上にある補償フィルムから機能要素にかけて残存する段が、補償フィルムの厚さよりも小さい高さであるか、又は最も上にある補償フィルムが、機能要素を越えて部分的に突出するかの、いずれかであるようにされている。補償フィルムのピラミッド状の積み重ねのそれぞれの段の幅は、好ましくは、補償フィルムの厚さの少なくとも200倍であり、より好ましくは、少なくとも500倍である。
【0027】
本発明の両者の実施態様において、補償フィルムは、ワンピースのものとして実施することができ、これは、取り扱いがより簡単である点で有利であり、したがって、好ましい。しかしながら、補償フィルムは、原理的に、互いに隣接して設置される複数の部分から構成されるものとすることも可能である。
【0028】
熱可塑性補償フィルムは、原則として、個々の場合に必要な条件により、当業者が選択することができる。好ましくは、積層の間に、補償フィルムと直接接触する、(機能要素以外の)ポリマー層又はガラスペインとの接着接合、すなわち、特に、熱可塑性フレームフィルム及びその上を覆うガラスペイン、又はガラスペインとフレームフィルムの間に配置することができる任意のさらなる熱可塑性層との接着結合を作り出すために、適した材料を当業者は選択することができる。
【0029】
補償フィルムは、特に好ましくは、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及び/又はポリウレタン(PU)、とりわけ、PVBを含む。これらの材料は、複合ペインの熱可塑性中間層にとって一般的なものであり、また、ガラスとの接着結合を作り出すので、良好な結合を保証する。
【0030】
しかしながら、接着結合が望ましくなく、代わりに、いわば機械的デカップリングが望ましいことも想定される。この場合には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が、材料として適している。
【0031】
補償フィルムが薄ければ薄いほど、オフセットをより効果的に回避することができるが、熱可塑性フィルムは、任意に薄く製造することができない。熱可塑性補償フィルムは、好ましくは、25μm〜100μmの、特に好ましくは、40μm〜70μmの、特に、約50μmの厚さを有している。これらの厚さで、機械的応力を減少させる観点から、良好な結果を得ることができる。
【0032】
熱可塑性フィルムが硬ければ硬いほど、それは、より薄く製造することができ、特に、押し出しすることができる。したがって、補償フィルムは、好ましくは、可塑剤を少なくとも可能な量で有しており、それによって、できるだけ薄く製造することができるようになっている。一般的な熱可塑性フィルム、特に、PVBでできた熱可塑性フィルムは、可塑剤含量が、少なくとも15重量%である。対照的に、補償フィルムは、好ましくは、より少ない値の可塑剤を含有する。好ましくは、補償フィルムは、可塑剤含量が、15重量%未満、特に好ましくは、10重量%未満、特に最も好ましくは、5重量%未満であり、特に、実質的には可塑剤を含有しない。
【0033】
本発明は、原則として、フレームフィルムに対して異なる厚さを有する、すべての機能要素に用いることができる。機能要素は、特に、可変の光学特性を有する機能要素である。光学特性の変化は、例えば、フォトクロニック機能要素又は偏光フィルタの場合のように、使用者の関与なしで受動的に起こすことができ、あるいは、積極的に使用者の関与によって、例えば、機能要素に印加する電圧を変化させることによって、起こすこともできる。
【0034】
機能要素は、好ましくは、電気的に切替可能又は制御可能な光学特性を有する機能要素である。例えば、機能要素は、SPDの、PDLCの、又はエレクトロクロミックの機能要素とすることができる。
【0035】
SPD(懸濁粒子デバイス)機能要素の場合、活性層が懸濁粒子を含み、活性層による光の吸収は、表面電極への電圧の適用によって変化させることができる。吸収の変化は、電圧を加えたときの、電界における棒状粒子の配向性に基づいている。SPD機能要素は、例えば、欧州特許出願公開第0 876 608 B1号公報及び国際公開第2011/033313 A1号から知られている。
【0036】
PDLC(高分子分散型液晶)機能要素の場合、活性層は、ポリマーマトリックスに埋め込まれた液晶を含む。表面電極に電圧が印加されていないとき、液晶は、無秩序な方向を向いており、活性層を通過する光の強い散乱が結果的に起きる。表面電極に電圧が印加されたとき、液晶は、それら自身が共通する方向を向き、活性層を通じた光の透過率が増加する。このような機能要素は、例えば、独国特許出願公開第10 2008 026 339 A1号公報から知られている。
【0037】
エレクトロクロミック機能要素の場合には、機能要素の活性層は、電気化学的に活性な層である。可視光の透過率は、活性層へのイオンの取り込み度合いの関数であり、提供されるイオンは、例えば、活性層と表面電極の間のイオン貯蔵層によって提供される。透過率は、表面電極に印加された電圧に影響され得るものであり、これは、イオンの移動を生じさせる。適切な機能性層は、例えば、少なくとも、酸化タングステン又は酸化バナジウムを含む。エレクトロクロミック機能要素は、例えば、国際公開2012/007334 A1号、米国特許出願第2012/0026573 A1号公報、国際公開2010/147494 A1号、及び欧州特許出願公開第1 862 849 A1号公報から知られている。
【0038】
本発明の特に好ましい実施態様では、機能要素は、エレクトロルミネセント機能要素、特に、OLEDディスプレイである。この場合に、活性層は、エレクトロルミネセント材料を含み、特に、その発光が電圧の適用によって励起される、有機エレクトロルミネセント材料を含む。エレクトロルミネセント機能要素は、例えば、米国特許出願公開第2004/227462 A1号公報、及び国際公開第2010/112789 A2号から知られている。エレクトロルミネセント機能要素は、単純な光源としても使用できるし、又は任意の表示を作り出すディスプレイとしても使用できる。このようなディスプレイは、例えば、運転手のためにデータを表示するためにウィンドシールドで使用される。したがって、例えば、現在の速度や、そのほかの状況の設定値を表示することができ、又は背面カメラからの映像を表示し、バックミラーの代わりになる。ディスプレイの場合は、もちろん、それぞれの場合に、全体として同じ電位を有する単純な表面電極では充分ではなく、むしろ、個々の画素を、別個に制御しなければならない。このために必要な手法は、当業者にはそれ自体が既知であり、OLEDディスプレイフィルムは、商業的に入手可能である。
【0039】
発明者らは、OLEDディスプレイは、特に、圧力の影響を受け、さらに、商業的に入手可能な熱可塑性フィルムの厚さにおおよそ相当する厚さを有するOLEDディスプレイは、商業的に入手できない、ということを認識した。したがって、OLEDディスプレイを有する複合ペインの製造の間に、オフセットの発生が、特に起こり得ると同時に、特に決定的に重大なものとなり得る。したがって、本発明の利点は、特定の様式で、そのような複合ペインを製造する間に明らかとなるものであり、こうしたことから、好ましいものである。
【0040】
機能要素は、好ましくは、多層構造の要素として提供される。多層構造の要素は、活性層を含み、電気的に切替可能又は制御可能な機能要素の場合には、活性層は、2つの透明な表面電極の間に平らに配置される。活性層は、切替可能又は制御可能な特性を提供する一方で、その切替の状態は、表面電極に印加された電圧によって選択することができる。例えば、薄い銀層又はITO層として実現され得る表面電極は、この目的のために、それ自体が既知の様式で、特に、適切な接続ケーブルによって、例えば、ホイル導体によって、外部電圧源に接続される。多層構造の要素の外層が、絶縁性の透明なキャリア層、例えば、0.1mm〜0.5mmの厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)で通常はできている、ポリマーのキャリアフィルム、又は同じ厚さを有する非常に薄いガラスによって、両側に形成される。したがって、多層構造の要素は、示された順番で、少なくとも一つのキャリア層、少なくとも一つの活性層、及び少なくとももう一つのキャリア層を含む。電気的に切替可能又は制御可能な機能要素の場合には、この多層構造の要素は、示された順番で、少なくとも一つのキャリア層、少なくとも一つの表面電極、少なくとも一つの活性層、少なくとももう一つの表面電極、及び少なくとももう一つのキャリア層を含む。こうした多層構造の要素は、商業的に入手可能であり、容易に積層ガラスに導入することができる。多層構造の要素は、縁部のシールとともに提供され、熱可塑性フィルムの化学的成分、例えば、可塑剤が、活性層に拡散するのを防止する。このことは、切替可能な機能要素の経年劣化を減少させる。例えば、縁部のシールは、多層構造の要素の縁部の周辺に延在する、ポリイミド含有フィルム又はホイルとして実施される。
【0041】
フレームフィルムは、第一のガラスペイン及び/又は第二のガラスペインと直接接触することができる。好ましい実施態様では、フレームフィルムは、それぞれの場合に、別の熱可塑性フィルムによって、機能要素と一緒に、それぞれのガラスペインに結合される。少なくとも一つの第一の熱可塑性結合フィルムが、フレームフィルムと第一のガラスペインの間に配置され、かつ少なくとも一つの第二の熱可塑性結合フィルムが、フレームフィルムと第二のガラスペインの間に配置される。好ましくは、結合フィルムは、くぼんだ部分を有しておらず、フレームフィルム全体を、その凹部と一緒に被覆する。
【0042】
複合ペインを形成するための積層体の積層は、典型的には、熱、真空、及び/又は圧力の作用下で行われる。それ自体で既知の方法を積層に使用することができ、例えば、オートクレーブ法、真空バッグ法、真空リング法、カレンダリング法、真空積層法、又はこれらの組み合わせを使用することができる。
【0043】
典型的には、積層は、好ましくは室温で、積層体を脱気することを含み、続いて、好ましくは70℃を超える温度で、複合体を形成させるために、熱可塑性フィルムを溶融させることを含む。
【0044】
フレームフィルム及び任意の結合フィルムは、好ましくは、PVB、EVA、及び/又はPUを含み、特に好ましくはPVBを含む。フレームフィルム及び結合フィルムは、好ましくは、同じ材料でできており、最適な結合を保証する。補償フィルムは、好ましくは、同じポリマーに基づいているが、その他のフィルムとは、特に可塑剤含量が異なるものであり得る。フレームフィルム及び任意の結合フィルムの厚さは、典型的には、0.2mm〜2mm、好ましくは、0.3mm〜1mm、例えば、0.38mm又は0.76mmである。
【0045】
第一のガラスペイン及び第二のガラスペインは、好ましくは、ウィンドウガラスとして一般的でありかつ経済的である、ソーダ石灰ガラスである。しかしながら、原則として、例えば、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、アルミノケイ酸ガラスのような、そのほかの種類のガラスを使用することもできる。ガラスペインには、熱的に又は化学的に、プレストレスを与えることができる。ガラスペインの厚さは、例えば、0.5mm〜5mm、好ましくは、1mm〜2.5mmである。
【0046】
特に、乗り物の分野で通常であるように、複合ペインが曲げられる場合は、ガラスペインは、好ましくは、積層前に、例えば、重力曲げ加工又はプレス曲げ加工によって、その最終形状に曲げられる。
【0047】
本発明は、また、本発明による方法によって製造された、又は製造できる複合ペインを含む。
【0048】
本発明は、また、乗り物のグレージングとしての、好ましくは、ウィンドシールドとしての、本発明による複合ペインの使用を含む。本発明は、また、本発明による複合ペインの製造の間に生じる、フレームフィルムと、電気的に切替可能な光学特性を有する制御可能な機能要素との、厚さの差を部分的に相殺するための、本発明による補償フィルムの使用を含む。
【0049】
本発明を、図面及び例となる実施態様を参照しながら詳細に説明する。図面は、概略図であって、縮尺通りではない。図面は、本発明を何ら限定するものではない。特に、補償フィルムの厚さは、明確にするために、そのほかの層に比べて、かなり拡大して描写されている。